黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第8話「その一言が言いたくて」

酒場に美しい歌声が響き渡る。その旋律に乗って一つ物語が紡がれだす。それはある島国で起こった冒険譚。

美しい歌声と重厚なストーリーはそれだけでそこを安酒場から島国の戦場に変えた。何時しかヤジやざわめきもなくなり、人々はただ紡がれる叙情詩に心奪われていた。

(全く良い買い物をした)

酒場の主人はそう呟きながら、歌い手を見た。童顔で細目の男だ。取り立てて印象に残る顔ではない。あの男が始めて店に来た時追い返していたら、今の客入りはなかったに違いない。

あの男がここに来てからの一月でそれまでの半年分の売り上げがあったのだ。問題なの今日で今歌っている島国の冒険譚が終わることだが、あの男なら大丈夫だろう。

「かくして一つの物語が終わり、戦士たちは次の物語を紡ぎ出す」

終わった。それまで静かに聞いていた聴衆からはわれんばかりの拍手がとおひねりが送られ、そして。

「ウィズ・アーリフトだな。帝国第12条の容疑でお前を捕縛する」

潜り込んでいた帝国兵からは逮捕状が彼に送られた。

 

GM: ではゲームを開始する。

アイス: GM、前回の続きがすごく気になるんですけど。

GM: でもまずは成長報告をお願い。

アイス: とりあえずいろいろあって考えがまとまらなかったので、今回のぶんは纏めて貯めます。

ガラ: わしは補助を極めるため「魔化」をそして「発火」と「鉱物探知」を覚えた。

エルナ: 私もアイスと同じくCPは貯めます。今回の展開次第でどう成長させるか考えます。

ラック: わいは「裏社会」に全部つぎ込んだ。

 

真実

 

GM: では今回はサーライトの私邸から話は始まる。

ガラ: GM、その前に私の傷は治るんでしょうか?

GM: ふむ、そのことなんだが。サーライトの意向によって君の手は治療されることになるんだが・・・とりあえず3D6を振りたまえ。

ガラ: 10です。

GM: (うーむ、惜しいな)君の手を再生させようと使った呪文は、ことごとく失敗したらしい。

ガラ: 呪いですか?

GM: いや、医師の話では切られた君の腕に、何かの呪文がかかっているらしくそれが君の体を再生する邪魔をしているらしい。

ラック: じゃあ、失血死するんちゃうん?

GM: いや、止血などは成功している。あくまで腕の再生ができないだけだ。明日になればサーライト専属の術者をつれてきてくれるらしいけどね。

ガラ: うーむ、不安だ。

アイス: ガラさんのことも重要ですが、まずは姫様のことです。

GM: そうだね、話を戻そうか。君たちはサーライト=ティーグの私邸にいる。そして目の前にはサーライト=ティーグその人が鎮座しているわけだ。応急処置が終わった君たちは、この屋敷にすぐに通された。その間彼は何も語らなかった。

ラック: サーライトはん。姫さんが影武者ってどういう事や?

GM: 君がそういうとサーライトはおもむろに、エルナの額に手を伸ばす。

エルナ: え?

サーライト: 偽りの金は真実の黒と緑に。

GM: 彼がそういうと、エルナの額から小指の先ほどの宝石が出てくる。それと共にエルナの髪の色が黒色に、瞳の色が緑色に変わる。

ガラ: 「顔変え」の呪文か?

サーライト: そうだ。これで判っただろうエルナ。君と私は血のつながった親子ではない。

ラック: わしが聞きたかったんはそんなことやない。なんでエルナはあんたが自分を影武者にしてたって知らんかったんや。いや、そもそもエルナは誰の影武者やったんや?

GM: 君がそういうとサーライトは部屋にあった鈴を鳴らす。程なくしていかにもお嬢様スタイルの女の子が入ってくる。金髪碧眼で長い髪を後ろで束ねた美しい子だ。

サーライト: 私の本当の娘「エフラワ」だ。

ガラ: 「エフィメラ」と似てるな。

GM: ちなみに帝国語を持っている人間には判るけど「エフラワ」とは帝国の古い言葉で「繁栄」とか「発展」という意味がある。

エルナ: じゃあ私は彼女の代わりにされたのですか。

GM: 君がそういうとサーライトは流石に申し訳なさそうに顔を伏せる。

サーライト: 君には悪いことをしたと思っている。しかしこれは君のお父上との契約でもあるのだ。

 

サーライトの話によれば、エルナの本当の父親はティーグ家の外戚の貴族であった。彼は生まれたばかりのエルナが大病を患った際、親戚の中でもっとも地位の高かったサーライトに助けを求めた。

サーライトはエルナの病気が「喘息」に近いもので、生活改善が一番の薬である事を知るとエルナの父親に「自分の子供の影武者としてエルナを育ててもいいのならば、治療費などはすべてこちらがだす」と持ちかける。

ティーグ家の末席であったとはいえ、貧乏貴族であったエルナの父親にはこの申し出を受けるしかエルナを救う手はなかった。

 

ラック: 卑怯やな。

サーライト: それは否定しない。しかし「エフラワ」を守るためにはやむを得なかったのだ。

アイス: エルナ様はどうでもよかったんですか!

サーライト: エフラワが15才になれば、エルナ君には事情を話して本当の父上の元に帰ってもらうつもりだった。ところがその前に「空の七月」が動き出したためすべてが狂ってしまった。

ガラ: そういえば連中はなんなんじゃ?ただのテロリストには見えなかったが。

サーライト: 彼らはこの世界に新しい秩序を作ろうとする狂信者だ。私だけではなく各国の首脳陣は軒並み彼らのターゲットだ。他に話はあるかね。

エルナ: 私たちをこれからどうするつもりですか?

サーライト: 君たちにはエフラワが成人の儀式を終えるまで、この屋敷にいてもらう。

ラック: 軟禁か?

サーライト: すまないが事情を知った君たちが自分の立場を悪用しないとも限らないのでね。むろんすべてが終わればそれ相応の報酬は出すし、生命も保証しよう。望むなら爵位も考える。

アイス: さっきから聞いていれば勝手すぎます!

サーライト: 否定はしまい。元はと言えば私のエゴが招いた結果だ。だがそれゆえに譲るわけにはいかない。

GM: 彼がそこまで言うと屈強そうな男達が部屋の中に入ってくる。

サーライト: 抵抗はしないでくれ。

ガラ: 最後まで自分勝手な男じゃのう。

 

サーライトの横暴ぶりに、不満たらたらのPCであったが流石に帝国親衛隊と一戦構える気はなく。あっさりと軟禁された。

 

GM: 君たちが監禁された部屋は座敷牢みたいな作りになっている。調度品は豪華だし、食事も最上のものだ。ただ部屋からは出られないし、窓には鉄格子がはまってる。

ガラ: 全員バラバラなんですか?

GM: 勿論。外には見張りが各部屋一人づついるしね。さて時間はその日の夜なんだが、皆は何をするかね?

エルナ: あまりの状況にショックで心神喪失状態です。

アイス: ほぼ同じです。自分が守ってきたものがなんだったのかとかひたすら自問自答してますね。

ラック: なんか隣からマイナスパルスががんがんくるんやけど(笑)わいは脱出できんか考えるで。この格子戸とか人間サイズなんやったら抜けれんかな?

GM: 試してみるかい?

ラック: 見張りにばれんようにそっとな。

GM: では不可能でないことに気がつく。とは言っても結構時間がかかるから、見張りの目を欺く必要があるし、盾や鎧は没収されてるから丸腰になるけどね。

ラック: でも逃げれる可能性があるんやろ?ならそれでええわ。

GM: さて残るはガラなんだけど。生命力判定をしてみて。

ガラ: うん?失敗じゃが。

GM: では突然切られた腕が痛み出し、君は意識を失ってしまう。

ガラ: うわ、嫌な予感。

GM: その予感は見事に的中する。翌日になると君の切られた左腕が鋼鉄に変わっているんだよ。

ガラ: な、なんじゃこりゃ。

ラック: 衛生兵、衛生兵~。

 

流石の異常事態に、帝国子飼いのウィザードなどが調べた結果。「肉体石化」に近い呪文がガラにかけられており、その呪文がゆっくりと進行していることが判った。

 

ガラ: それでこの状態は直るんですか?

GM: ウィザード達も首をかしげている。

ウィザード: 何せこんな呪文の症例はないので、何とも言えませんな。再生呪文などの専門家がいれば話は別ですが。

ガラ: 再生魔術・・・確か私の師匠って「龍による不老不死や超再生」の研究をしてましたよね。

GM: うん。君の記憶が確かなら治癒系の呪文に秀でていたはずだ。

ガラ: 師匠の家は?

GM: 研究所は帝国郊外だから、ここからなら馬をとばせば数日だ。

ガラ: ならば師匠の元にいきたい旨の嘆願書を。

GM: そんなことをしてたらかえって時間がなくなると思うけど(笑)まあ人命に関わることだしね、サーライトも監視付きであれば師匠の元に行ってもいいと言ってくるよ。

ガラ: どのみち今の体では誰かに助けられなければ、旅なんてできませんしそれでいいです。

 

かくしてガラは自らの体を治すため、師匠の元に行くことになった。

 

ガラ: 出かける前に他のメンバーに別れが言いたいんですが。

GM: それぐらいの時間はあるだろう。

ガラ: ではまずエルナを尋ねます。

GM: 尋ねると言ってもちらっと顔が見えるだけだよ。

ガラ: 大丈夫かエルナ?

エルナ: ガラさんこそ大丈夫ですか?

ガラ: それは師匠次第じゃよ。それよりお主のほうこそ胸に受けた傷は大きいじゃろう?

エルナ: そうですね。あの時は何も考えられなくなりました。でも一晩寝たらサーライトさんにどうしても言いたい一言ができたんです。落ち込むのはその一言を言った後にします。

ガラ: そうか・・・すまんなこんな所で別れることになって。と言って次はアイスの元に。

アイス: ひたすら落ち込んでます。

ガラ: 重傷じゃなアイス。

アイス: はい、何も考えられません。

ガラ: お主のがんばりは無駄ではなかったと思うが?

アイス: そうでしょうか?でもその結果がこれじゃ。

ガラ: エルナ嬢はもう別の目標を見つけとったぞ。

アイス: そう言われると、ますます落ち込んでしまいます。

ガラ: ため息をついてラックの所に行きます。

ラック: なんやどうしたんや相棒?

ガラ: わしの体を治せるのはここにはいないらしい。しばらく師匠の元に行く。

ラック: 改造されてかえってくるんやな(笑)

ガラ: されるか!それはともかくエルナはサーライトにどうしても言いたい一言があるらしい。しかしおそらくあの男は我らの目の前に二度と姿を現すまい。

ラック: そうやな。

ガラ: ではくれぐれも・・・と言いながらラックに「騒げ」とジェスチャーを。

ラック: そういやお前に貸した1万ムーナ何時になったら返してくれるんや?嘘つきはシャストアの始まりやで。

ガラ: ではその間に幻覚を。

GM: (コロコロ)護衛は気がつかなかったけど、いったいどんな幻覚を作るんだい?

ガラ: 格子戸を含めた窓側壁の内側に、偽物の壁を作ります。

GM: 判定してみて

ガラ: 成功です。ではなラック。布団でも掛けて頭を冷やせよ。長くは持たんぞ、それではな。

ラック: 1万ムーナは貸しにしとくで相棒。

ガラ: ではわしは素直に馬車に乗り込むか。

ラック: じゃあガラが行ったら、布団の間に、服を入れて膨らみを作る。そしてダミーの壁の中で格子からでる作業開始や。

GM: 敏捷度で3回振って。

ラック: 三回とも成功。

GM: じゃあ5分ほどで出られた。

ラック: そのまま飛んで逃げるで。

GM: 流石にばれると思うが。

ラック: 敷地内で潜むなんて事をするよりは、よっぽど成功率が高いわ。

GM: (でも空にだって警備はいるぞ)そうすると君を追って、翼人が2体現れる。両手にはボウガンを持っている。

ラック: 全力で逃げるで。

GM: ボウガンが(コロコロ)一発はクリティカル。もう一発はミス。

ラック: 「祝福」がまだのこっとるはず。

GM: そうだったね。ではただの命中だ。

ラック: (コロコロ)何とか回避。このまま振りきるで。

 

逃亡先で笑う者

 

ダイス目に助けられたラックは何とか追跡者を振り切り、スラム街に身を隠すことになる。


ラック: 優秀な人事を探すで。(コロコロ)今回ばかりは金に糸目をつけないでやれとダイス神もいっとるし。

GM: では「裏社会」で判定して。金に糸目をつけないなら+2だ。

ラック: (コロコロ)8成功や。

GM: では(ガラのPCをみて)渡した中で一番下にあるキャラクターシートの奴を演じてくれ。

ガラのPL: 了解です。

GM: ではガラ君は裏世界の情報から、非常に優秀な幻覚使いに噂を耳にする。

ガラ: 幻覚使いか、陽動にはもってこいやな。そいつと連絡を取るで。

GM: では君は場末の酒場を指定される。そして指定した時刻に現れたのはマントを羽織り笑顔を浮かべた中肉中背の人間だ。

ガラ: シャストアか?

謎の男: こんばんわ。逃亡者さんだよね。

ラック: ブー、ゲホゲホ(飲んでいた酒を吐いたらしい。)

謎の男: おやもったいない。

ラック: いきなり何言うんや!

謎の男: ありがとう。おかげで100万言語らうより正確に、あなたが依頼人だって判ったよ。

ラック: 趣味が悪い人やな。だいたいあんたやって似たような立場やろ?

謎の男: 違うよ。

ラック: じゃあ、あんたは何なんや?

謎の男: 僕自身に自覚はないけど、周囲の言葉を総合するなら「愉快犯」かな(笑)

ラック: なお悪いわ!ところであんた名前は?

謎の男: 名前?何がいい?

一同: (笑)

ラック: 素直に本名いえや。

謎の男: じゃあ「ティマ=セーフバイヤー」と名乗っておくよ。

ラック: それ絶対本名ちゃうやろ!

ティマ: とりあえず僕的にはこれが本名でいいと思ってるんだけど。

ラック: くー、ああ言えばこう言いおってこの男は!

ティマ: あんまり熱くなると火傷するよ。

ラック: 誰のせいや

ティマ: それで話がずれたみたいだけど用件は?

ラック: 話がずれたんも誰のせいや!!!(息を整えている)まあ、ええわ。あんたが優秀な幻覚使いかどうかが問題や。

ティマ: では彼の目の前でミニチィアの兵士をだそうか(コロコロ)成功。ちなみにノーアクション。

ラック: おお!すごいやないか。では今までのことを掻い摘んで話そう。

ティマ: ふーん。成る程ね。

ラック: ちゅうわけで、わいは姫さんの言いたいことをサーライトに言わせたいんや。報酬は3000ムーナでどうや?

ティマ: (ため息をついて)多分その10倍の報酬でも、帝国の宰相と問題を起こそうという人間はいないよ。

ラック: そうやろうな・・・。

ティマ: そういうわけで引き受ける。

ラック: (ずっこけながら)何でやー!

ティマ: うん、良いリアクションだ。リアクションのいい人に悪い奴はいないよ。

ラック: そんなことどうでもええ、言ってることが矛盾してないか?

ティマ: うん、そうだね。ぼくもお金だけならこの10倍積まれてもこの依頼は受けない。
でもね、世の中には100万ムーナよりも価値のある言葉があるんだ。そのエルナさんが言おうとしているのはその言葉なんだと思うよ。

エルナ: 何故か、寒気が。

ティマ: 「その一言が言いたくて」か良い文章が書けそうだよ。

ラック: じゃあ手伝ってくれるんやな?

ティマ: うん、報酬も必要経費だけで良い。

ラック: あんた神様や。

ティマ: ではとりあえず2000ムーナばかり必要経費を用意してね(笑)

ラック: なんやと、金はいらん言うてたやないかこの詐欺師!

ティマ: (苦笑しながら)実費は必要だよ。帝国宰相と事を構えるんだからそれなりに物いりなんだ。

ラック: それならしゃあないか、さようならシュレイ、アンス。

ティマ: つ、通貨に名前をつけてるの?

ラック: あほか1000ムーナ貨やで!家族構成や歴史まで決めとるわ。

一同: (爆笑)

ティマ: 君も面白い性格だね。本にしてもいい?

ラック: 分け前は?

ティマ: 帝国スキャンダル本の登場人物にされるって聞いて、書くのを止めずに分け前をまず聞くとは・・・ますます見事な性格だね。

ラック: 照れるやないか。それでどうやって姫さんを救出するつもりや?

ティマ: そうだね。どうしようか(笑)

ラック: 今までの口ぶりからしてさぞ立派な計画でもあるかと思ったが?

ティマ: いくつかの案はあるんだけど、僕は人と話をしながら計画を纏めるたちなんだよ。

ラック: さよか。

 

二人で話し合いをおこなった結果。警備の手薄であろう成人の儀式当日を狙って、エルナ・アイス両名を救出。その後にサーライトと会わせることになった。

 

ティマ: ところで成人の儀式って何時なんですかGM。

GM: 5日後だよ。

ティマ: じゃあそれまでに各人ができる準備をしておこう。これからは1日1度は落ち合おう。

ラック: じゃあわいは情報集めや。でもこの町はタマットの神殿がないんやな。傭兵ギルドとかで情報を集めるか。

GM: (盗賊ギルドが無いとは言ってないがね)ではとりあえず「裏社会」を振ってくれ。

ラック: (コロコロ)1成功。

GM: (傭兵ギルドか、今回の不幸はここだな)君がギルドに入ろうとすると、見覚えのある翼人が出てくるぞ。

翼人: お前はサーライト閣下の元から逃げ出したミュルーン。

ラック: 何のことでしょうか人違いです。と言って「言いくるめ」(コロコロ)あかん失敗。

翼人: そんな体色の奴が他にいるか。

ラック: じつは翼人恐怖症でして、翼人のかたを見ると青くなるんです。

翼人: ではその羽、吹き飛ばしてやろう。

GM: と言って彼らは大きな竜巻のようなモンスターを召還する。

ラック: ルドラ~!あかん逃げるで。

 

何とか追っ手をまいたラックだが、この一見でスラム街にまで捜索の魔の手が伸びてしまい思うように動けなくなる。

 

GM: さてティマのほうはどうする?

ティマ: とりあえず人数分の衣装を用意しよう。

GM: 衣装というと?

ティマ: パーティドレスとかのたぐいかな。何にしてもサーライトに会うためにはちゃんとした衣装が必要だしね。金に余裕があるから早めに仕上げて貰う。

GM: OK。

ティマ: 後は情報収集かな。でもこの帝都って本当に盗賊ギルドがないんだろうか?サーライトのことだから清濁併せて使ってる気がするんだけど。

GM: (むむ、するどい)とりあえず「裏社会」を振ってみて。

ティマ: えーと、4成功。

GM: タマットギルドには接触できなかったが、存在しそうな気配を感じた。

ティマ: ならばこれからはギルドの存在を重点的に調べよう。

 

かくしてティマはサーライトに関する情報を集めながら、まだ見ぬ盗賊ギルドを探すのだった。そして捜索から4日目ついにその執念が実を結ぶ。

 

GM: 君はある廃屋の一角にいる。情報が確かならここにタマットのギルドがあるはずだ。

ティマ: とりあえず周囲を伺ってから「完璧幻覚」と「知的幻覚」で自分の分身を作ろう。

(コロコロ)両方成功。そしてそいつを中へ。

GM: では中に入っていった君の幻覚は数本の矢に撃たれ消える。

ティマ: 出てきたらどうだい。同じ赤の月の信奉者。

GM: 君がそういうと、中からターバンで顔を隠した数人の男たちが出てくる。

ターバンの男: シャストアの者か?

ティマ: ああ高司祭をやってる。お互いに帝国では肩身が狭いね。

ターバンの男: 失礼した。数日前から我々を探っているものがいると聞き、帝国の公安かと思ったのだ。

ティマ: 成る程。僕も配慮が足りなかったようだね。

ターバンの男: 私はハサンサだ。

ティマ: ティマ・セーフバイヤーだよ。もっともシャストアの名前は信じちゃいけないけどね。

ハサンサ: それで我々にいかようか?

ティマ: 情報が欲しい。今度の成人の儀式についてだ。

GM: そこまで君が言うと、ハサンサはその手を遮るように右手を挙げる。

ハサンサ: 我々に頼むと言うことがどういう事か判っているな。

ティマ: では頷いて1000ムーナ貨を投げてわたす。

ハサンサ: な、これは。

ティマ: 本来なら信頼関係は時間で築くものだけどね。今回は時間がないんだ。

ハサンサ: よかろう。お主の望む情報をわたそう。

 

1000ムーナの威力は格段で、ティマはタマット達から必要な情報を手に入れることができた。その中でもティマが気に止めたのは「成人の儀式の時、優秀な兵士達がサーライトの私邸に配備される」というものだった。

 

ティマ: なんで私邸なの?

ハサンサ: 判らん。傭兵ギルドのほうから警備隊に何らかの情報が流されたと言うことは判っているんだが。

ティマ: そう。これは計画を練り直さないとね。とりあえずラック君と合流かな。

 

こうしてティマは情報と偽装に使えそうな書類を胸に入れ、ラックと合流しようとする。ところがそうはうまくいかなかった。

ラック: あかん。なんちゃって「忍び」にも限界がある。昨日会った時に集合場所を代えときゃよかった。これではティマと合流なんてできんな。


いよいよ持って包囲網が厳しくなる中、ラックは指定の時刻に見せ来ることはなかった。

 

儀式は踊る

 

GM: ラック君と合流ができないまま、次の日になるんだけど。

ティマ: これって、僕が頑張らねばならないのということだろうか。そうなんだろうな。

GM: さてどうする?

ティマ: とりあえず服を取りに行って着させて貰おう。

GM: かなりいい仕立てになっている。ところでどんな服を頼んだの?

ティマ: 一言で言えば「平凡な貴族服」斬新でもなく、野暮ったくもない。点数でいえば60点ぐらいのやつ。

GM: ではそんな感じの服装に着替えれたよ。

ティマ: さて、会場は「帝国城」でいいのかな?

GM: いやガヤンの大聖堂だ。

ティマ: ではそこに行く前に、「偽装」と「変装」をしておこう。(コロコロ×2)両方とも成功。とくに変装は9も成功。穏和そうな小太りに化けよう。

GM: 会場はエフラワを一目見ようとする人間でごった返している。当然警備も物々しいよ。どうやって入る?

ティマ: 勿論表から堂々と入るつもりだよ

GM: どうやって。

ティマ: とりあえずはしばらく正門の近くで人混みにまみれる。そして正門前で騒ぎがあれば駆けつける。

GM: エフラワはもう入ってるらしいよ。

ティマ: そっちじゃなくて、多分招待もされて無いのに入ろうとする奴がいると思うので、それでの騒ぎ。

GM: ああそういう事ね。確かにそんな騒ぎも起きてるようだよ。

ティマ: ではそこに行ってみよう。

ラック: うぉー、入れるんや。

GM: 君の見知った人物が暴れてるが。

ティマ: うーん、救出は無理だね。とりあえずしばらく待つ。

GM: では彼は屈強な連中に連れて行かれる。

ティマ: ではその騒ぎの後、偽造の許可証をちらっと見せながら、「大変だったね君たち」と警備の連中に声をかけます。屈強な連中がラックを連れて行ったんなら残った彼らは若いですかね。

GM: そうだね。成人したてぐらいじゃないかな。

ティマ: 二人ともガヤンかね?学校を出たばかりのようだね。

二人組: はいそうです。

ティマ: 「ではいろいろと大変だろう。私も昔を思い出すよ」と言いながら中に。

GM: (さっきの騒ぎの後にこんな風に入られるとまともにチェックしないだろうな)

ティマ: とくに何もなければ中にはいるよ。

GM: しかしこの後はどうするの?君は正確な儀式の場所は知らないはずだけど。

ティマ: 人の多い方について行けばそれが儀式会場でしょう。

GM: (本気かね?)じゃその方法で行くの?

ティマ: うん、当たればそれで行けるし。間違った場合も「その方法で行こうとしたら迷った」と言えば立派な言い訳になるしね。

GM: (ああ、そういうことか)ではとりあえず3D6を振ってくれたまえ。

ティマ: うん?12だけど。

GM: では君がそうやって歩いていると、警備の人間に呼び止められる。

警備: ここから先は貴族の方専用の通路なんですけど。

ティマ: (即座に)知ってるよ。でも少しは融通してくれない?近くで姫様が見たいんだよ。

警備: 規則ですので。

ティマ: ちぇ、わざわざ遠回りしてきたのに、じゃあ素直に帰るけど、ここから一般席への近道はどこになるのかな?

警備: それなら右手の通路を通れば早いですよ。

ティマ: ありがとう。と言いながら言われた通路に行こう。ああ、やばかった。

GM: では君は一般席のほうだ。しばらくすると儀式が始まる。

ティマ: ではタイミングを見計らって「記憶幻覚」で頭の良い喋るネズミを作ろう。それなりに地位のある人らだろうから。結構混乱しない?

GM: するだろうね。結構な騒動になる。

ティマ: ではその隙に同じものを3体作ろう。サーライトの元までたどり着いてよネズミさん。

GM: (コロコロ)たどり着いたみたいだよ。

ティマ: では「サーライト閣下これ以上の騒ぎを起こされたくなければ、エルナ姫をあなた直々に指定の場所までお連れ下さい」と彼の耳元で囁く、これでいいかな。これ以上やったら僕の身が危ないし。

 

月を見る者たち

 

儀式の最中に騒ぎが起こっているそのころ、ラックは警備の連中によって馬車でサーライトの私邸に連行されていた。

 

ラック: くそー。わいも落ちたもんや。今度ビリケン様でも拝んどこう。

GM: とりあえず拝む前に「聴覚判定」をしてみてくれ。

ラック: あかん。今回は後半の出目が最悪やで。

GM: では君を運んでいた馬車が突然止まる。

ラック: なんや?

GM: そして君の周囲には見たことのある黄色い霧が人型を形作る。

ラック: ギャー。アマラン=ゾウス!

GM: ご名答。君に話しかけてくるよ。

アマラン: ほう。覚えているとはありがたい。

ラック: 何の用や?

アマラン: 何、確認じゃよ。お主達の警護していたエルナード姫は影武者であったのと言うのは本当か?

ラック: ああ、間違いないで。なにせわいらの見とる前で目と髪が変わったからな。

アマラン: そうか・・・流石はサーライト、落ちる月への切り札は盤石か。

ラック: 落ちる月?姫さん達が言う取ったあれか?

GM: 君がそう言うと、アマランは霧の顔を歪めて笑みを作る。

アマラン: そうか、もはやあれはゆかり無き者も見るようになったか。ミュルーンよ。生かしておく代わりにサーライトへの伝言を伝えるがよかろう。

ラック: なんや?

アマラン: 「二つの世界を結ぶ力はお主のものではない」そう伝えろ。では私はシルバーと約束があるからな。

ラック: おい、シルバーて。

GM: 残念だが君の声は届かない。

ラック: うーむ、気になるわ。けどこの伝言を伝えてええんやろうか?姫さんとサーライトを会わすことはできるやろうけど、わいの命が危険ぽい。

 

ラックは悩みながらもサーライトへの伝言を話すことはなかった。そして数日が流れ・・・

 

GM: 君たちの元にサーライトがやってくる。

アイス: ラックさんがやってくれました。

ラック: お前の隣でくさい飯を食うとるわ!やったのは笑顔がすてきな詐欺師やな。

GM: サーライト氏は君たちを一堂に集めて、今回の儀式の成功とこれまで報酬としてのムーナを出す。

 

その一言が言いたくて

 

サーライト: これからしばらくは監視がつくが、形式的なものだ。さて、君たちから何もなければ私は退出するが。

エルナ: 一言いいですか。

サーライト: 何かね?

エルナ: (深々と頭を下げて)ありがとうございましたお父様。お父様のおかげで私は強くなれました。

ラック: おお、そうくるか。

GM: サーライト氏も呆気にとられているようだ。

エルナ: 私の望みを言っていいですか?私の望みはこの名前を続けることです。

サーライト: 何故かね?

エルナ: この名前のために多くの人たちが死んでいきました。私がこの名前を捨ててしまってはこの名のために死んだ人々が浮かばれません。私がその人達の想に報いれたと思える時まで私はエルナード=ティーグでいたいのです。

サーライト: ・・・よかろう。しかし君がどう名前を名乗ろうが、それには一切の力はない。

エルナ: かまいません。それでも私はエルナードでいたいと思います。

サーライト: 好きにしたまえ。

GM: そう言うと彼は去っていく。

エルナ: ありがとうございます。サーライト=ティーグ閣下。

GM: では君たちは私邸から追い出される。

アイス: 姫様ご立派でした。

エルナ: 私はもう姫ではないですよ。

アイス: いーえ、僕にとっては姫です。

ラック: ま、それでええんちゃう。

GM: 君たちが話していると、私邸の影から一人の老人が出てくる。

????: おお、あなた様はまさしくエルナード様。

エルナ: どなたですか?

ツワブキイ: 私はあなた様の生家シーグ家の執事をしておりました。ツワブキイです。

 

一行はツワブキイ氏の案内で高級墓地を訪れる。

 

ツワブキイ: あと少し早く帰っておられれば、旦那様の臨終にも間に合ったのですが。

GM: そう言って彼が花を捧げるのは、サリカの紋章が入った君の父上の墓と、アルリアナの紋章が入った君の母上の墓だ。

アイス: アルリアナ?帝国ですよね。

ツワブキイ: はい。奥方様はもともとアルリアナのかたでした。

 

アルリアナの踊り子であったエルナの母はエルナの父ブリンガー:シーグと恋に落ちる。その思いは彼女に使える神を返させるほどだった。しかし元来自由奔放な生き方を好んだエルナの母は帝国の暮らしの中で若くして命を落としてしまう。

 

ツワブキイ: 旦那様は奥様亡き後、エルナ様だけが生き甲斐でした。それ故にエルナ様から離れて生活している内に体調を崩されて。

エルナ: では墓に喋り掛けます。「ありがとうございます。私は愛されていたのですね。でも私はまだあなたをお母様とは呼べません。いずれすべてが終わった時エルナード=シーグとしてお墓の前で報告します。」と唇をかみながら。

ラック: じゃあわいがそのぶん泣こう。この子の意思は立派にサポ-トしてやるから月から見てるんやで。

アイス: 僕もです。ところで姫様、これからどうされるんですか?

エルナ: 私はサーライト閣下が何をやろうとしているのかを見届けようと思います。

ラック: それで思い出したで、じつはな・・・

 

こうしてパーティの連帯感が上がったそのころ、長い旅を経てやっと師匠の元までたどり着いたガラだが・・・。

 

胎動

 

GM: 師匠の屋敷は半ば廃墟になっている。

ガラ: 師匠!?なぜこんなことに?とりあえず近くに住んでいる人に話を聞きます。

 

近く住んでいる人の話から、ガラの師匠宅は1月ほど前に謎の爆発で倒壊したらしい事が判る。

 

ガラ: しかしここまで来たのに何も無しでは・・・そうだ地下室とかありませんでした?

GM: 君の記憶が確かなら地下室はあった。探してみるなら「探索」でお願い。

ガラ: (コロコロ)よし5成功。

GM: なら地下への入口を君は発見する。

ガラ: 降ります。着いてきた帝国の連中には秘密で。

GM: まあ彼らも捜索に手を奪われてるから、君と同じように見つけない限り大丈夫だろうけど。

ガラ: 地下はどんな感じですか?

GM: がらんとしている。大事なものは運び出した後のようだ。

ガラ: 再生に関する品がないか「探索」を。

GM: では君はそれらしいものを二つ発見する。一つは霊薬。もう一つは厳重に封印された金色の種子だ。どちらも飲み込んで使うらしい。

ガラ: 魔力量を調べてみます。今の左腕とどちらのほうが高いですか?

GM: 霊薬のほうは負けてるね。種子のほうは圧勝だろう。

ガラ: 南無三。飲んでみます。

GM: では生命力判定2回。意思力判定を2回お願い。

ガラ: (コロコロ×4)4回とも成功です。

GM: では詳しい効果は次回だ。


かくて謎を残したまま次回に続く。

 

第9話へ

 

夏野コーパル裏談義

夏野: 第八回です。

コーパル: はい仙台土産の「萩○月」

夏野: ありがとうございます。それで今回ですけど。

コーパル: むこうで食べた「きりたんぽ鍋」がイマイチでね。

夏野: 仙台の名物ではないような・・・いや出張のことではなくてシナリオです!

コーパル: 判ってるって。今回のシナリオは動けるキャラクターが少なかった。

夏野: やはり前回の流れですか?

コーパル: そうだね。前回の決戦の展開次第によってはもっと別の可能性もあった。

夏野: それと今回から参入の「ティマ:セーフバイヤー」ですが。

コーパル: そこいらへんは君から説明して。

夏野: 判りました。彼は本名ウィズ=アーリフトと言います。もともとはある島国から大陸に渡ってきたのですが(ここいらはNASAさんのリプレイともリンクしてますのでそちらもどうぞ)ある事件をきっかけに特殊な生き方をせざるえなくなります。

コーパル: その事件というのはこのキャンペーンが始まる前にやっていた、魔術師系のみのパーティによるショートキャンペーンなんだけど。

夏野: ウィズはキャンペーン後半でメンバーに加わっていましたが、このキャンペーンというのが「時を操る銀の月遺跡」を巡るものでした。

コーパル: ところがこのキャンペーンが全滅エンド。

夏野: 正確に言えば遺跡の爆発に巻き込まれて、全員が何らかの時空間トラブルを抱えてしまったわけです。そしてウィズはその際の事故で、通常とは別の時間軸で生きる体になってしまいました。

コーパル: 一つの世界に留まることができず、パラレル世界を行ったり来たりする体になったわけだ。副作用で肉体の老化がエルフ並みになったけど。

夏野: そんなわけで、彼は一つの世界に数年しかいることのできない自分の体を利用して、行く先々で騒動に首を突っ込んではそれを文章にしているわけです。

コーパル: 懲りないね。

夏野: 全くです。

ティマ=セーフバイヤー (♂  外見:?歳、童顔細目の青年)

ST:9 DX:12 IQ:15 HT:10

有利な特徴:シャストア高司祭 魔法の素質2 美声

不利な特徴:お祭り好き 好奇心1L くいしんぼ 誓い・すばらしい物語を世界に広める 誓い・物語の登場人物になるように頑張る 義務感・仲間 敵・帝国公安

癖:幼い言葉遣い 基本的にノンフィクション作品を作る 一人称は僕 物語のためなら金は惜しまない 日々の糧は吟遊詩人の仕事で得る

技能:マント12 フェンシング12 吟遊詩人18 演技15 変装16 言いくるめ20 交渉14 偽装16 偽造14 文学13 記録18 歴史13 神秘学14 扇動15 歌唱10 外交14 ランニング7 探索15 戦術12 応急処置14 商人13 裏社会14 鍵開け14 古代神聖語12 生存/森・山13 料理15

呪文:体力賦与 生命力賦与 小治癒 大治癒17 痒み ひきつり 不器用 素早さ 幻影 幻覚 完全幻覚 完璧幻覚25 幻覚かぶせ 幻覚変身 幻覚感知 独立幻覚  知的幻覚 作音 光 持続光 闇 真闇 闇操作 ぼやけ 透明 暗視 闇視 盾

移動力:5 よけ/受け/止め:4/8/7 防護点/受動防御:5/4

武器:上質レイピア/目標値12=(刺し)
1D老マハノチのマント/目標値12=(切り)1D+1

防具:強化ヘビーレザー 老マハノチのマント

能力CP:70 特徴CP:-15 技能/呪文CP:45/55 CP総計:155

夏野: あとNASAさんから「ゴールドとシルバーの元ネタを教えて。」という質問が来てますが。

コーパル: じつはあのキャラは去年岡山でやったコンベンションでPLが使ってたジャングエルファが基本になっているんで元ネタは不明です。

夏野: その人にはちゃんと断り入れてるんですか?

コーパル: いや、それっきり会ってない。それよりおみやげどうぞ。

夏野: あ、どうも。それとサーライトの性格が本編と違う気がしますが?

コーパル: そこいらへんの話もまた今度ね。

うやむやになりつつ終わる

 

第9話へ