黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第9話「ブレイバー」

え、何ですかお客さん?ええ、その奥にあるのは確かに「イブニング・スター」ですがそれが何か。振ってみたい?どうぞ、どうぞ、ただし店の外でやってくださいよ。

どうでしたか振り心地は・・・ええ、そうでしょうそいつはうちで扱ってる武器の中でもピカ一なんですよ。え、何でこの武器がここにあるかですか?まあ気になりますよね、こんなぼろい故買屋にそんな一品があれば。

怪しい出所じゃないんですが、そいつを手にして戦ったファウンが次々と非業の死を遂げてるってんでみんな気味悪がったらしいですよ。

私も適当なところで売りたいんですがこれだけ強力だと手放すのも難しくて・・・え、値段ですか。そうですね、これぐらいで如何ですか?

即金ですか?ありがとうございます。ああ、それから旦那・・・いっち待ったよ。

「これを譲る者にはかならずこの言葉を」

売る時の条件だったんだけどな。まあ、言ってもあの旦那は意味がなかっただろうが。

男はそういってメモを放り出す。そこには武器の名と短い一文が書かれていた。

「この武器の名をくれぐれもはき違える事なかれ、この武器の名は・・・」

 

第9話「ブレイバー」

 

GM: では第九回を始める。

ラック: もうそんな回数か、早いもんやな。

GM: まったくだよ。では成長の申告を。

エルナ: そのまえにGM、私は高司祭になりたいんですけど。

アイス: 僕も神官になりたいです。

GM: うーむ。ツワブキイさんが援助してくれるだろうし、君たちの能力的には問題ないんだが高司祭だとエルナの年齢が問題かな。

エルナ: やっぱり無理ですか?

GM: いや、とりあえず「サリカの舞」「ボーナスのある知識系か言語系技能」「記憶力」の三つの技能で判定してくれたまえ。

エルナ: (コロコロ×3)全部成功です。

GM: 成功度は?

エルナ: サリカの舞と帝国語が4成功。記憶力が2成功です。

GM: (合計で10成功か、それだけあれば)では君は「サリカの高司祭扱い」となる。

エルナ: 高司祭扱いですか?

GM: 権限などは高司祭ではないが、呪文などは高司祭のものを教えてくれる。

ラック: はて?サリカは「サリカの舞」が15レベルないと高司祭にはなれんのやないのか?

GM: それだと一部の信仰で高司祭への道が遠のくからね。僕は基準となる技能である程度の成功度を出せればOKにしてる。

アイス: 僕のほうはどうですか?

GM: 君は「ソードブレイカー」か「ガヤンネット」と「ガヤンのボーナスがある精神系技能」で判定だ。

アイス: (コロコロ×2)両方とも結構成功してますが。

GM: なら後は面接がある。

ラック: あかん、落ちるな。

アイス: うう、そんな気がします。

GM: 面接といっても「法が正しく使われる世界とは」といった単純なものだけどね。

アイス: やりました。ガヤン様が僕に味方してくれました。

ラック: あかん、ここに不正者がおるでー(笑)

 

すったもんだの末、アイスも無事神官に昇格した。

 

ラック: うーむ、釈然とせんな。あ、わいは「忍び」を新しく取って「商人」を伸ばした。残りは「槍」のためにチャージや。

 

新たな力

 

GM: では成長は終了だ。さて君たちはこれからどうするのかね?

エルナ: とりあえずガラさんの帰還を待ちます。

ラック: そうやな。奴には返して貰ってない借金もあるしな。

アイス: ありましたっけ?

ラック: わいの心の中にな(笑)

GM: OK。どのみちエルナとアイスはしばらく神殿通いだろうからね。さてそのころのガラ君なんだが。

ガラ: やっとですか。一週間も待たされましたが一体どんな体に?

GM: まず君の腕だが切られた左腕は完全に復元している。

ガラ: 奇形とかではないですね?

GM: いや、ごく普通に使えそうだが。

ガラ: 少し動かしてみます。

GM: 多少違和感があるが、普通に使えるだろう。

ガラ: では一日掛けてリハビリをします。

GM: ところが今の君は生まれてから味わったことがないほどの、ひどい空腹感に襲われているんだよ。

ガラ: く、副作用か?しょうがないので近くの町まで買い出しに行きます。

 

その後近くの町に出たガラは町の人たちとした会話から自分が三日間も寝込んでいたことを知り驚愕し、自分の体重ほどの食料を軽々と平らげる食欲に不安を感じるものの当初の予定通りリハビリを行った。

 

ガラ: とりあえずある程度リハビリが終わったら今日はもう寝ます。

GM: OK。では君は眠りにつくとある夢を見る。その夢とは君の体に黄金の龍が入ってくる夢だ。その夢はとてもリアルでとても夢とは思えない。そして夢から覚めた君は自分の体に違和感がないことに気づく。

ガラ: うーむ、あの夢は何だろう?もしかしてあの霊薬の材料は龍だったのか?

GM: さてね。でこれが君の体のデータね。(といって紙を渡す)

ガラ: (紙を見て)な、なんですか、この無茶苦茶なデータは。

GM: 今の君の体。

ガラ: まちがいない。この腕は龍の欠片だったんだ!

GM: さてね。さてガラを待っている間のエルナ達のもとにツワブキイが現れる。

エルナ: ツワブキイさん。どうしたんですか?

ツワブキイ: おお、お嬢様お変わりなく。本日はお嬢様の護衛の件で伺ったのです。

エルナ: 護衛ですか?

ツワブキイ: そうです。これからお嬢様が歩かれようとしているのは茨の道です。今のうちに少しでもお嬢様の護衛を増やしておくのが得策かと思いまして。

アイス: なにか、お株を奪われる予感が。

ラック: 大丈夫や。もともとお前は護衛としては失格やったから。

アイス: ヱ・・・

エルナ: 私も仲間が増えるのはありがたいです。しかしその方々は我々が何をしようとしているのか判っているのですか?

???1: ちゃちゃちゃ、それについては問題ないぜよお嬢ちゃん。わしらとお嬢ちゃんの目的は一緒ぜよ。

???2: そのとおりだミス・エルナ。

エルナ: 誰ですか?

GM: ちゃちゃといっていたほうは180メルチもある大柄筋肉質の巨漢。ドワーフのような肌をしているが、腰にはカルシファードブレードを差している。そしてその後ろにいるのは馬の下半身を持ったギャビットだ。

ケンゼン: ちゃちゃ、わしはカリバ=ケンゼン。見ての通りカルシファードの剣士じゃ。

ゴウダン: 私はゴウダンだ。

ラック: うーん。強そうやし前衛としては持ってこいやけど、何でわいらを手伝ってくれるんや?

ケンゼン: わしは師匠の敵をおっとるんぜよ。

アイス: 敵ですか?

ケンゼン: そうぜよ小僧。奴はシルバーという名前ぜよ。わしは奴を倒すためにわざわざ海を越えてきたぜよ。

ゴウダン: 私はゴールドいう男に部族を皆殺しにされたのだ。

ラック: シルバーにゴールド。成る程あいつらいろんなところで敵を作っとるんやな。

アイス: そいうことなら大歓迎です。一緒に奴らを倒しましょう。

エルナ: 私は別に彼らと始めから争う気はないのですが。

ケンゼン: でもお嬢ちゃんと一緒にいると、連中が来るとわしの勘が告げ取るぜよ。

ゴウダン: サーライト氏によって拠点が壊滅した現状では、奴らが接触を持ちそうな人物は君たち他数名だ。我々の選択は理解して欲しい。

ラック: まあ、ええんちゃう。わいの懐は痛まんし。

アイス: そうですね。このパーティは破壊力に難がありましたしね。

エルナ: 私も異存ありません。

 

かくしてチーム・エルナに頼もしい前線が加わった。

 

GM: さて、二人が加わってから2日ほどしてガラが帰ってくる。

ガラ: 帰ってきたぞ。

ラック: よう帰ってきたなガラ・・・おおお!腕が生え取るやないか。

アイス: よかったですねガラさん。切られた部分どころか腕そのものが再生したんですね。

ガラ: ふ、何を言われてもむなしいの。

エルナ: どうなさったんですか?

ガラ: すまんがまずはペローマの神殿に行かせてくれ、話はそれからじゃ。

 

ペローマの神殿で検査を受けたガラだったが、結果が出るにはかなりの時間がかかることが判りその間に今後の方針を決めることにした。

 

エルナ: 私は前回言ったとおり、サーライト閣下が何をしようとしているのか見届けるつもりです。それぐらいしなければ今回の騒動に巻き込まれた人たちが浮かばれません。

アイス: 当然ついて行きます。

ラック: わいも、泣いたぶんは働くで。

ガラ: わしはこの体を元に戻したい。

ラック: でも強うなったんやったらええんちゃう?

ガラ: いや、今強力な力があってもこの後どんな副作用があるか判らん。直したほうがいいじゃろう。

ケンゼン: ちゃ、わしはあんたらについて行くだけぜよ。

ゴウダン: そうなるな。

エルナ: でも、問題はこれからどう行動するかですよね。

ラック: これ以上サーライトと接触するんは危険やし、「空の七月」は行方不明や。

アイス: アマラン=ゾウスはどうですか?

ガラ: おお、そういえば奴の生家がこの近くにあったはずじゃ。

ケンゼン: そいつは何ぜよ?

ラック: 以前戦ったことのある吸血鬼や。そういえば前回も会ったな。確かシルバーに会うて言うとったで。

ケンゼン: 早速手がかりぜよ。

ガラ: ではあの二人がつながっているんじゃな?

エルナ: 調べる価値はありそうです。

 

一行はガヤン神殿でアマラン=ゾウスの出生地を調べることにした。ところがその出生地は・・・

 

霧に消えた町

 

ガヤン神官: ハゲイトの町かね?その町は10年前に無くなっているよ。

ラック: 合併かなんかか?

ガヤン神官: いや、君たちも覚えていないかね?「満月の霧」事件を。

アイス: 何ですかその事件?

GM: 「地域知識」で判定してみてくれ。有名な事件だからボーナスがある。

アイス: 成功です。

GM: 10年前、ハゲイトの町でエリクサー作成中の事故と思われる大規模な爆発が発生した。知らせを聞いて駆けつけたジェスタやガヤンが見たものは腐食性のガスに覆われた町だった。結局、ガスが引いた後にはクレーター状の穴が町だった場所に存在しただけだったそうだ。

ラック: それでガスを霧に見立てて「満月の霧」か。

エルナ: ひっかかります。おそらく事件の名前から発生は満月でしょう、ヴァンパイアの中には満月の時に特殊な能力を持つものもいるそうですし。

ガラ: あの霧の体が満月の力でパワーアップか。考えたくないの。

ゴウダン: 霧の体?アマラン:ゾウスはただの吸血鬼ではないのか?

ラック: ああ、毒霧の体なんていうしゃれにならん本体を持った奴や。

ケンゼン: ほう、そいつは面白そうぜよ。

アイス: 僕はおもしろくなんて無かったですがね。

GM: さてどうするかね?

エルナ: 町の消失に吸血鬼が関わっているかもしれないとファウンに伝えればどうでしょうか?

ガラ: そうじゃな。餅は餅屋、アンデットはアンデット退治屋に任せよう。

 

一行はファウン神殿でアマラン=ゾウスと町との関係を話した。ところが帰ってきたのは思わぬ一言だった。

 

ファウン神官: 悪いがその事件には協力できない。

ラック: 何でや!ファウンがアンデットを追わないんはミュルーンがジェニを追わんようなものやで。

ファウン神官: 確かにアマラン=ゾウスの被害についてはこちらにも数件は行っているし奴が憎むべき敵であるのは事実だ。しかしあの森は今エルファに所有権があるのだよ。

アイス: な、何故にー?

 

じつは「満月の霧」事件の後、草一本生えなくなった元町の再生を周辺住民はエルファに頼んでいたのである。エルファ達は儀式をおこない、その結果町だった場所を巨大な森に変え、現在ではそこを治めているのだ。

 

ファウン神官: そういうわけで我々もあそこには手が出せない。それにエルファが管理している以上はアンデットも存在しないだろう。

ラック: うーむ、なんで釈然とせんのやろう?

ガラ: アマラン=ゾウスと協力関係にあったシルバーの弟ゴールドがプファイトの呪文を使ったからではないじゃろうか?

ゴウダン: 話を聞いていると、その森には何かとんでもない秘密がありそうだが。

ラック: そうやな。それを解くために入ってみる必要がありそうなんやが、ファウンは使えんわけや。

ガラ: こんな時にアベンジャーがいてくれたら。

ラック: お前アベンジャーから連絡手段を持たされたないんか?笛とか。

エルナ: XYZと書き込める掲示板とか。

アイス: 指をぱちんと鳴らすとか。

GM: 見事な時代別の呼び方をありがとう(笑)さてこれからどうするかね?

 

その後一行は、彼の立ち寄りそうな場所や伝令ギルドに「アマランはハゲイトに」という情報をばらまき彼の参戦を祈った。

 

ラック: 誰か頼りになりそうな奴・・・そうやティマがおる。あいつに連絡が取れんやろうか?

GM: 「裏社会」で判定してみて。

ラック: うなれわが幸運(コロコロ)よし6成功や。

GM: なら彼と連絡が取れる(キャラクターシートをガラのPLに渡しながら)演じてね。

ティマ: お久しぶり~。元気してたかい?

ラック: 元気やったで。ムーナはたまってないけどな。それはそうと頼みたいことがあるんやじつはかくかくぶたぶたで。

GM: どんどん、かくかくしかじかから遠のいてるような。

ティマ: ふーん。面白そうだね。エルナさんは来るの?

ラック: たぶんな。

ティマ: じゃあ参加しよう。面白い続編が書けそうだ。

ケンゼン: この御仁、大丈夫か?

ラック: 優秀な人やで。癖があるけど。

 

かくしてティマを加えた一行は、装備一式を買い込んだ後で謎の森の調査に向かうのだった。

 

GM: ハゲイトの町は現在森だけど、周辺の町までは馬車で移動できるよ。

ラック: 金はつかいとうないんや。

ガラ: わしが出す。

ラック: 特急で頼むで~。

アイス: ラックさんの扱いに慣れてきましたね。

GM: まあゴウダン君のために一台借り切らねばならないから料金は割高だけど。

ラック: わいは急に奴のことが嫌いになった。

ケンゼン: それぐらいならわしが払うぜよ。

ラック: そして奴のことは急に好きになった(笑)

GM: では馬車で行くんだね。昼頃には森の近くの村までいける。

ラック: まずは村で情報を集めるんや。

 

一行はバラバラになり、昼食を取りながら情報を集めた。途中でケンゼンの拙い共通語が災いして一騒動があったりもしたが、情報収集は問題なく行えた。

しかし村の人々も口をそろえて「あの森はエルファの管轄だから」と言い。森についての詳細な情報は判らなかった。しかし一部ではそれなりに収穫はあった。

 

エルナ: サリカの神殿に行ってエルファの管理する森について聞いてみます。

GM: OK。(コロコロ)窓口の青年は君の顔を見ると、自分の顔を真っ赤にしながらこう言ってくる。

青年: な、なんのご用でしょうか?

エルナ: この近くにあるエルファのかた達が管理している森について伺いたいんですが。

アイス: あと、姫様は君に好意を持っているわけではないので。

エルナ: アイス。できれば話の腰を折らないでくださいね。

エルナ: す、すいません。

青年: あの森には特殊な呪文を掛けた一帯がありまして、そこに入ってしまうと方向感覚を失ってしまいます。もし足を踏み入れた場合はひたすら真っ直ぐに進むようにすれば森から出られますから。

エルナ: その辺りには何が?

青年: エルファの祭壇があるらしいですよ。

 

こうして森についてエルナが情報を手にいれたころ、ラックとガラは酒場で話を聞いていた。

 

ラック: 行方不明?

村人: ああ、半年ぐらい前からこの村近辺に旅行に来た連中で行方が判らん奴がでとるんだそうだ。

ガラ: どれぐらいの数じゃ?

村人: さてな、この村からは出てないから詳しいことは判らん。

ラック: もしも吸血鬼なら巧い手やで。

ガラ: そうじゃな。旅行者なら詳しい捜査も難しいじゃろうし。

 

村人からもたらされたこの情報で、パーティはますます森に疑惑を抱くのだった。

 

森に住まう者

 

GM: さて君たちが再び集まるのは昼過ぎぐらいだ。これからどうする?

エルナ: 調べに行きましょう。

アイス: 森には術がかかっている場所があるらしいので気をつけましょう。

GM: では森に入るわけか。だれか生存森で振って。

一同: (しーん)

GM: な、まさか誰も持ってないの?

ティマ: あ、僕持ってるよ(コロコロ)3成功。

GM: (ふう、どうなることかと思った)では君たちはティマの案内で危なげなく森の捜索ができた。しかし歩いても歩いても森の奥に入れない。

ケンゼン: ちゃちゃちゃ、楽しい森ぜよ。

ラック: 楽しくないわ。とりあえずいったんでるで。

GM: でようとするとエルナの聞いた方法であっという間にでれるんだよこの森。そして気がつけば君たちは森の反対側まで出ている。

アイス: 何かの呪文ですね。

GM: さてね?森からでた頃には夕方だけどどうする?

エルナ: ここから町まで歩くと真夜中ですね。

GM: そうだね。しかも森をぐるりと迂回することになるからとんでもない労力だろうね。

ラック: 野外道具を買うといてよかったわ。今夜は野宿やな。さあみんな、まずい乾燥食食べてさっさと寝るで。

エルナ: 不味いんですか?

GM: 不味くはないが、大味だろうね。ドライフルーツにドライトマト、乾燥肉に乾パンと言ったところかな。「保存食」の呪文を掛けた食事もあるんだけど。

ラック: 腹には入れば一緒や。

ゴウダン: このメニュー、巧く調理すればスープとかできそうだが。

ケンゼン: で、誰が調理するんぜよ?

一同: (しーん)

ティマ: あ、僕が「料理」持ってるよ。(コロコロ)7成功。買い出しの時に買った香辛料と合わせてエスニックな感じに仕上げよう。

GM: では君たちはティマのおかげで、おいしいエスニックスープを飲むことができる。

アイス: さっきからティマさんの株がどんどん上がってます。

ラック: ふふ、いい物件や。さすがはわいやな。

GM: さて夜も更けてきたわけだが、これからどうする?

ガラ: GM、ガラの成長はどうなってるんでしょう?

GM: おお、今まで忘れていた。君は今回からCPの2/3を徴収されるから。

ガラ: では1CPは使えるんですね。ではそのCPで「魔法の霧」を取得します。

GM: む、いいだろう。こちらの手落ちだったわけだし。

ガラ: では周囲15ヘクスに霧を。これでだいぶん安全になるはず。

アイス: 「魔法の霧」ってどんな呪文なんですか?

ガラ: 人払いと防御用の結界を遭わせたような呪文じゃ。始めから中にいる者以外は霧の中は見通せんし、入ろうとすると意思判定が必要じゃ。

GM: では「魔法の霧」が張れたところで就寝かな?

ラック: この状況で寝れるか!見張りを決めるで。

ケンゼン: そうぜよ。夜襲は効果的だから警戒せねばいかんぜよ。

アイス: 7人ですし、2,3,2,で良いんではないですか。

ラック: ちょっと待て。わいは夜目が全く効かんから数に入れたらいかんで。

ガラ: ならラックは除いてティマとわしでペアになればいいじゃろう。

アイス: では僕は姫と。

ラック: 却下。戦力が低すぎる。感覚的なものを考えればエルナとケンゼン、アイスとゴウダンやろう。

GM: ではその組み合わせで良いんだね。

 

そして長い夜が始まった。一組目はティマとガラ。同じPLが操っているPC二人となった。龍の力?でパワーアップしたガラは戦士としても一級品であるため、3組の中でも強力なコンビであったが何も起こらない。

二組目のエルナとケンゼンも同じであった。そして3組目。

 

GM: 草木も眠る丑三つ時。君たちの番になるわけだが。

アイス: なんか時間からしてなにか出そうなんですけど。

ゴウダン: それは判るまい、しかし警戒するに越したことはないな。

GM: では君たちの警戒の程を判定してくれ。聴覚判定だ。

アイス: ペナルティがないなら(コロコロ)失敗です。

ゴウダン: 一応2成功だ。

GM: ならゴウダンは茂みの向こうから音がするのを確認できた。

ゴウダン: 何かが来るぞ少年!

アイス: みんなを起こします。

GM: OK、さてこちらは(コロコロ)霧の近くまで来て足並みが乱れたよ。ちなみに歩いてきたのは粗末な格好の男達だ。

ガラ: この呪文はマジックミラーの効果もあるんじゃよ。よって薪をしながらでも安心して野営ができる。

ラック: 野外の必需品ですね。

ケンゼン: ところで連中は強そうか?

GM: いや、どちらかといえば弱そう。血色が悪くって体も細い。

ガラ: 血色が悪い?霊気感知をしてみよう。アンデットの可能性がある。

GM: 彼らは人間だよ。

ラック: でもこの世界、人を操る方法なんていくらでもあるけどな。

ティマ: とりあえず僕が頭のいい幻覚を作るから、それで様子を見ようか。

ゴウダン: そうだな、あいつらが何ものか判らなければ対策が立てられない。私は後ろを警戒しよう。連中が囮である可能性もある。

アイス: あ、僕も。

GM: (ち、感づいたか)

ティマ: (コロコロ)両方の呪文とも成功。とりあえず幻覚は信用されそうなアイス君の10年後で。

ラック: おおお、渋いアイスや。

アイス: 抹茶でしょうか?

ティマ: では行ってもらおうか。

GM: では偽アイスが霧から抜け出してくると、彼らはおびえたような表情を浮かべる。

偽アイス: 私はガヤンの者です。こんな所でどうされたのですか。

GM: 偽アイスがそう言うと、村人は半泣きでこう叫ぶ。

村人: すまん、家族のためなんだ!

GM: 彼はそう言うと隠し持っていたナイフで偽アイスを斬りつける。(コロコロ)その一撃で偽アイスは消えてしまう。

ラック: なんちゅう破壊力や、毒か?

GM: そして霧の周囲から、屈強そうな骸骨兵士やゾンビがザザっと現れるんだな。

ケンゼン: ちゃちゃちゃ、腕が鳴るぜよ。

 

周囲を囲んでから倍の戦力による殲滅線。前回までのパーティであれば非常に効率的だっただろうが、いかんせん今回はパーティの重量が違った。

 

ケンゼン: よしフェイント10成功ぜよ。

GM: く、4ほど食らった。

 

ケンゼンは強うそうな臭いをかぎつけ、スケルトンチャンピオンと一騎打ちとなったがその剣士としての能力を遺憾なく発揮し数ターンで決着をつける。

 

ゴウダン: よし10点だ。

GM: そんな一撃耐えられるか!

 

ゴウダンはエルナを庇いながら、スケルトン達の討伐に当たった。モーニングスターという相性最高の武器もあり次々と雑魚スケルトンを倒していく。

 

ラック: よっしゃ、クリティカルや。

 

ラックは相性の悪いスケルトンではなくゾンビと対決。「痛み止め」の援護によって普通以上に戦えるため危なげなく亡者を土に返していく。さらにアイスと謎の力で魔法戦士として強化されたガラは柔軟に動き、エルナとティマは回復と援護に徹した。

 

GM: いかんここまで綺麗に役割分担されたら、闇雲に攻めても勝てない。

 

結局、15体ものアンデット達は次々と大地に戻っていくのだった。

 

大救出

 

ラック: やれやれ。ほんま久しぶりにまともな戦闘をしてもうたな。

ケンゼン: ちゃちゃ、いい運動じゃった。

エルナ: 話は傷を治してからにしてくださいね。

GM: 君らがそうやって話してると、さっきの男達が目を丸くしている。

男: そんな、あの連中をあっさりやっつけるなんて。

ラック: わいらの実力それなりのもんやろ。できればこれに感動して事情を話してくれれるとありがたいんやが。

ゴウダン: お前らが進んで協力していたようには見えない。なにか事情があるんだろう?

男: すまない。しかしこうしないと俺たちは吸血鬼どもに殺されるんだ。

ラック: やっぱでてきたか吸血鬼。

男: すべては10年前から狂ってしまったんだ。

 

そう言って男は話し始める。男はハゲイトで10年前まで普通に暮らしていた。ところが10年前の夜、町全体を黄色い霧が包み込んだ時から状況は一変する。外に出ようとした者は次々と倒れ、霧がその大きさを狭める中で町の住人は突然現れた吸血鬼達に従うしか生きるすべがなかった。

 

男: それで連中がいつの間にか用意していた地下通路を通ってこの森の下にある天然洞窟に連れて行かれたんだ。

ラック: あんたらは何人ぐらいおるんや?

男: 来た時は300人はいたけど、殺されたり環境が合わなくて衰弱死したりで今では50人ぐらいだ。

ゴウダン: 今回の襲撃の手伝いはその吸血鬼どもにいわれたからか?

男: ああ、連中はこの森に入ろうとする奴がいると俺たちを使って罠に填めているらしい。中にはそれで殺された奴もいるよ。

アイス: でもこの森はエルファが管理してるんではないんですか?

GM: アイス君がそう言うと、彼らは一同に首をかしげるね。

男: いや、少なくとも俺たちは洞窟に入ってからエルファなんて見ていないが。

ガラ: 何かまだ裏がありそうじゃな。

ゴウダン: それを調べるのは後でよいのではないか?今は彼らと我々の身の安全が大事だろう。

ラック: それもそうやな。けどこれからどうする?

ケンゼン: ちゃちゃ、わしゃ強い奴と戦えれば何でもいいぜよ。

エルナ: 何時までもここにいてはまずい気がします。とりあえず、場所を移動しませんか?

ラック: そうやな、案内役もおるわけやし。

 

一行は「魔法の霧」を消して、洞窟近くの茂みに身を隠した。

 

ゴウダン: では話を聞こう。洞窟はどんな作りなんだ。

GM: 君がそう言うと、男は地面に地図を書き出す。かなり巧いね。

ラック: うまいな。

男: こう見えても昔は画家で食ってたんだ。よしできたぜ。

GM: 男の書いた地図によると洞窟は3カ所入り口があって、今来ている入り口は裏口に当たるらしい。中は複数の部屋が入り組んでいる構造のようだ。

エルナ: 人がとらわれているのはどこなのですか?

男: (洞窟の中心部を指さして)ここだ。

ラック: ど真ん中か、これはあかんで。どうやったって気付かれんように忍び込めん。

ゴウダン: そうだな、たとえ忍び込めても彼らを助けることは不可能だろう。

ケンゼン: ところで中にはどれぐらい強い奴がおるんぜよ?

男: いつもはアマラン=ゾウスという女と「泗血天」という4人組のヴァンパイアがいるんだ数日前からアマランと泗血天の二人はいない。

ガラ: 嫌な名前じゃの。

アイス: GM、彼に「嘘発見」をやってみます。なんかこの人情報を知りすぎてる気がします。(コロコロ)3成功です。

GM: とくに嘘はついていない。

ゴウダン: こういった話は中に捉えられている者なら誰でも知っているのか?

男: いや、俺たちみたいに外に連れ出されている連中しか知らないだろう。

ラック: さて、どうするか?話を纏めたら中の連中を救出するのには今が一番良いタイミングみたいやけどな。

ゴウダン: 確かに、大物が少ないようだしな。

アイス: それでもヴァンパイア2体にアンデット軍団ですよ。まともに行ったら苦戦しません?

ケンゼン: ちゃちゃちゃ、腕が鳴るぜよ。

ラック: 鳴らすな。敵に気づかれる。別に正面から行く気はない。それに戦う気もあんまりないな。

ガラ: そうじゃな。穏便にいけばいいんじゃが。

 

一行は地図を見ながらああでもない、こうでもないと作戦を立て始める。

 

ラック: 問題はここが敵のアジトである以上は、何らかの警報装置がある可能性が存在することや。

ガラ: それは当然あるじゃろう。

ゴウダン: それならあの連中の先に行ってもらって中の人たちを誘導してもらえば。

エルナ: 彼らが帰っていけば当然、今回の襲撃のことを報告しなければいけませんよね。

ゴウダン: それを巧くだまして報告しなければいけないか。

ラック: 素人には荷が重いやろ。

ティマ: だったら僕が幻覚で偽物を作って行動させようか

エルナ: でも警報装置が。

ゴウダン: しかしそれをどうにかする手段がない。

 

結局、ガラが裏口に「魔力感知」を掛けた後にティマが「知的幻覚」で作り出した幻覚に「アンデット達が謎の襲撃を受け自分以外は全滅した」と報告させて泗血天をおびき寄せる作戦に決まった。

結界なども考慮して、ティマの幻覚が消えた場合に備えて最短ルートの近くでパーティは待機。幻覚は最長ルートで行動させて時間を稼ぐ作戦である。

 

ティマ: さーて、どうなるかな?

ガラ: 「魔力感知」によれば問題はなさそうじゃが。

GM: (ここの洞窟は侵入はたやすいんだよ)君の作った幻覚は問題なく入っていった。しばらくすると、その幻覚を先頭に10人ほどの集団が君たちが来たのとは逆方向に出て行く。

ラック: 突入や。一気に中の連中を解放するで。

GM: 中に入った君たちは問題なくハゲイトの人々が閉じこめられている部屋まで行くことができた。

ゴウダン: おかしいな。

アイス: そうですね。普通は罠ぐらいあるはずです。

GM: 中に入ると、そこには粗末な衣服を身にまとった50人ほどの一団がいるね。

ラック: ちゅうわけで神官に昇格したんやからびしっと決めてみいアイス。

アイス: えーと・・・ガヤンです。助けに来ました。

一同: (爆笑)

ガラ: そんな言い回しの芸人はいるが、そんな言い方のガヤンはおらんじゃろ。

GM: ではアイス君の感動的な演説に応えて、一団の中からも「帰れ!」とか「だまされるか!」と言った罵声が聞こえ出す。

ラック: (声質をがらりと変えて)ちょっと待ってください皆さん。確かに彼がガヤンであることは疑わしいですが(笑)我々があなた方を助けに来たのは本当です。どうか話を聞いて頂きたい。

GM: そうすると50人の中で一番高齢の人物が立って話し始める。

老人: 心遣いはありがたいが我々はここから出る気はない。わしらを助けに来たのは何もお前さん達ばかりではない。これまでもそう言ってくれた冒険者の方々はおったよ。しかし彼らはことごとくヴァンパイアに殺された。一緒に逃げようとした我々の仲間と一緒にな。ここにいれば金属の管で血は抜かれるが殺されることはない。わしらをそっとしておいてくれんか?

GM: 老人がここまで話すと、ヤジにも似た「帰れ」コールが彼らから巻き起こる。

ラック: くそー。ここのヴァンパイア連中が何で罠をしかけてないか判った気がするわ。

GM: さらに50人の中の何人かは外に出ようとする。

アイス: ちょ、ちょっと待ってください。

村人: もう話は終わっただろう?俺たちは死にたくないんだ。

ティマ: ちょっと待ってくれるかな?僕らがただの冒険者だと思ってくれちゃ困るんだけど。そうだよねエルナさん?

エルナ: え、もしかして?

ラック: !!そうや、ここにおられる御方をどなたと心得る!おそれおおくも今の帝国摂政サーライト・ティーグ閣下のご息女(だった)エルナード・ティーグ様にあらせられるぞ。

一同: (爆笑)

ティマ: ではその間にエルナの持っている守り刀を・・・

エルナ: 渡しませんよ。これはそんなことのために使うものじゃありませんから。

ティマ: (小さな声で)いまここでこれが嘘になったら、この洞窟から生きて帰れると思う?

エルナ: うう・・・渡します。

ティマ: これが証拠だよ。といって紋章入りの守り刀を見せる。

GM: しかしそれにはティーグ家の紋章は入ってないはず。

ラック: この状態で守り刀に入っとる紋章を悠長に確認する奴なんておらんと思うけど。

ティマ: そういうこと。何よりも本人は嫌がるだろうけどエルナの容貌とカリスマ性がこちらの武器だしこの剣はあくまで付け足し。

ゴウダン: これで判っただろう、我々はただの冒険者ではない。

GM: なるほど。では君らの発言で50人には動揺が走る。ただ相変わらずヤジは飛ぶけどね。そしてそのうちの何人かが「処刑人がやってくるぞ」と言うと集団はまたパニック状態になる。

アイス: 処刑人?

村人: 俺たちが反抗したりすると現れるドワーフのヴァンパイアだ。あんた達のせいで俺たちは襲われるんだ!

ゴウダン: そいつはどこから来るんだ?

GM: 君がそう言うと彼らは、君たちが来たのとは反対方向の小さな扉を指さす。

ゴウダン: ならばその扉の前で構えよう。私の体格ならば霧にでもならない限り通り抜けれないはずだ。

村人: 何のつもりだ?

ゴウダン: 簡単なことだ。私がここでそのヴァンパイアを食い止めるからその間に逃げてくれればいい。

村人: なんでそんなことを?

ゴウダン: 弱っているものを助けるのに理由なんて無いだろう?

GM: ゴウダンの一言で50人は「行くべきだ」と「行かないべきだ」の二つの意見に別れる。

ラック: くそー。まだだめか、時間はないんやで。

エルナ: では私は再度説得をしています。

ゴウダン: GM、その「行かないべきだ」と主張しているのはさっきからこちらにヤジを飛ばしているのと同じ連中では無いですか?

GM: 知力チェックをお願い。

ゴウダン: 成功です。

GM: そうだね。先ほどから君たちに率先して反発しているのは3人ほどだ。

ゴウダン: ではガラを手招きしてそのことを伝えます。

ガラ: ではその3人に「霊気感知」を。それだけ騒ぎが大きければ気づかれないでしょう。

GM: 彼らは人間ではない。

ガラ: ではそのことをラックに知らせます。

ラック: なんや、ここで買収する費用はださんで。

ガラ: ちがう!話を聞いてくれ。

ラック: ふむふむ成る程。楽に入れたと思ったら内側に監視しとる連中がいたんか。

ガラ: どうする?

ラック: そうやな。やっぱりそいつらを取り押さえて・・・あかん正体をみせんかったらそれまでや。ガラ、ターンはできんのか?

ガラ: 「死人返し」か?悪いがまだ覚えておらんな。

アイス: 僕がネットで取り押さえましょうか?

ラック: それはあかんやろ。

GM: 君たちがそんなふうに話している間にも、村人の議論は一進一退だ。

ラック: そうや、追い返すアイテムや呪文が無いなら作れんかティマ。

ティマ: ああ、なるほどね。ではアイス君、ケンゼンさん僕は近くのやつにしかけるから残った二人の確保をよろしく。何奴かはガラに聞いてね。

ケンゼン: そいつの近くにいくぜよ。

アイス: 残った奴にネット発射の準備をします。

ティマ: では用意がととのったら「皆さん聞いてください。」と大声で。

GM: 一応喧噪は止むが。

ティマ: 何故今の今まで議論が長引いたか、それはこの中にヴァンパイアがいるからです。

GM: すごい混乱が起きるよ。

ティマ: 混乱が起こる前によく通る声で「静かに!」と。それから1本のペーパーナイフを取り出す。これは執筆用具。「これはアンデットに効果のある魔法の武器です」と言って自分の手を切ってみる。

GM: まあ切れないだろうね。

ティマ: この通りこのナイフでは人間は切れません。切ることができるのはアンデットだけです。と言ってナイフを構える振りをして、よく似たナイフを「完璧幻覚」で作り出す。ペーパーナイフはマントにでも隠したい。

GM: 隠すのに速度がいるからね。「偽装-5」ぐらいで判定。

ティマ: (コロコロ)ぴったし成功。それからナイフを投げる振りをして、幻覚を消しながら、サクラ役のヴァンパイアに「完璧幻覚」をかける。一番近い奴までの距離は?

GM: 10メルーほど。

ティマ: こっちも成功。ではブッスリとさっさったかんじで。

GM: うーむ、その幻覚は本物として扱うからな。「飛ぶ剣」と同じように扱ってちょうだい。

ティマ: ではダメージは(コロコロ)5点。

GM: きっちり刺さったよ。彼は呆気にとられてる。

ティマ: さて、普通の村人なら痛さで転げ回るような短剣をうけて立っている君はなんなんだい?

GM: では、ティマのその一言で彼はティマに猛然と襲いかかってくるが。

ラック: それまでの間にわいがおるわ。そいつの足に槍をさすで(コロコロ)命中。

GM: 格闘でよける。

ガラ: (ヘクスシートを指さして)ラックの斜め前にはわしがいるんじゃが。

GM: そ、そうだね。

ガラ: 足狙いでメイスを(コロコロ)命中。

GM: よけれないな。

ガラ: 龍の力で14点とか出てますが。

GM: うん倒れるね(笑)

 

そのあと、残った二人も周りの村人を襲おうとするがわりとあっさり行動をふさがれてしまう。

 

ラック: さーて、敵もかたづいたし逃げるか。いくら何でも村人連中も、もう逃げることに異議はないやろ?

ゴウダン: その前にヴァンパイアに尋問をしてはどうだ?

アイス: その必要はないでしょう。もうすぐ夜明けですし。

ゴウダン: 確かに夜が明ければ普通はヴァンパイアは活動できない。しかしもし活動できる奴がいれば我々は逃げることができなくなるのではないか?

ラック: なるほどな。では尋問タイムや。

 

「尋問」のスキルを持つのがアイスのみで、そのレベルも低いこのパーティでは難航すると思われたヴァンパイアへの尋問だったが。ラック考案の尋問術によってあっさりと陥落する。

 

ティマ: 「この薬瓶の中に入っている液体を浴びると体色がどどめと蛍光ピンクのストライプになるんだよ」と言って彼の体に一滴落とす。しかる後にそこに幻覚を。

GM: なんか急に喋りたくなってきたなー(笑)

 

かくして一行はこの洞窟に「陽光の下でも活動できる鎧」があること知る。ただその鎧は着脱に時間がかかるうえ、アマラン=ゾウスの許可がなければ使用できないらしい事が判り一安心。

 

ラック: なら問題ないやろう。みんな出るで。

GM: では君たちが外に出ようとすると、突然部屋の照明が消える。

エルナ: 罠ですか!

GM: その通り。そして例の小さな扉が開いて中からドワーフが現れる。

ゴウダン: 皆の盾になるぞ。

ガラ: 「持続光」に集中。

GM: ゴウダンの場所は宣言していたからいいけど、このターンは暗闇によるペナルティがあるからね。

ゴウダン: 来るなら来い!

GM: ではお望み通りフレイルのような武器が君を襲う。

ゴウダン: 暗闇でフレイル!?(コロコロ)だめだ止められない。

ラック: その数値やったら後退したらいけるんちゃう?

ゴウダン: それだとあいつの侵入を許してしまう。せっかく助かる人たちに被害を出すわけにはいかない。

GM: よく言った。ではダメージは16点の切りだ。

アイス: 切りのフレイル武器?イブニングスターですか。

ゴウダン: くそ。一撃で気絶ダメージだ。でもまだいける。

 

次のターン。ティマとガラの持続光によって、光源が確保されるとガラ以外のメンバーは脱出を。ガラはゴウダンの援護のためにここに残った。

 

GM: しかしあそこで二人だけを残して、移動するとはね。

アイス: 二人を信頼してますから。

ラック: それにあそこでパーティ全員使ってあのドワーフを迎撃すると思わぬ伏兵で村人に被害が、ちゅうパターンもあるしな。

エルナ: でも大丈夫でしょうか?

ラック: それはいけるやろ。勝つことは難しいかもしれんけどな。

 

ガラとゴウダンを気遣いながらも残ったメンバーは村人と洞窟からの脱出を計る。

 

偽りの陽光を灯せ

 

GM: 君たちが真っ直ぐ進むと、その先の道はうっすらと明るいね。

ティマ: 長い道だったね。

ケンゼン: さっさと脱出ぜよ。

ラック: 脱出の前に陽動の幻覚はどうなったんや?

GM: (む、気づかなければ教えるつもりは無かったんだが)幻覚はついさっき消えたようだね。

ラック: やばいな、気づかれたで。連中はわいらとは逆方向に行ったから時間は稼げるやろうけど森を熟知しとるやろうからな。

ケンゼン: ちゃちゃ、迎撃ぜよ♪

エルナ: だめです!この状況で戦えば一緒に来ている人たちにどれぐらいの被害が出るか判りませんか。

ケンゼン: う、すまんぜよエルナの嬢ちゃん。

アイス: 姫様。立派になられて。

ラック: いや、青春ドラマはええから。それより50人もおるんやから一人ぐらい時間感覚の鋭い奴はおらんのか?

GM: ふむ(コロコロ)二人いるね。

ラック: じゃあその二人に聞こう。日が昇るまで後どれぐらいや?

男達: そうだな・・・後40分ぐらいかな。

ラック: それと帰ってくるヴァンパイアはどんな奴や?

男達: 「魔槍の射手レイゲルン」という奴です。やり投げが得意でアマラン=ゾウスに絶対の誓いをしている騎士みたいな奴です。

ラック: ・・・ティマはんはわいと一緒に残ってくれ。わいに考えがある。

ティマ: ほう、面白そうだね。ぼくはかまわないよ。

ラック: それ以外のメンバーは50人を守りながら村まで移動や。大変やろうがきばるんやで。

エルナ: わかりました。ラックさんもお気をつけて。

アイス: うう、なんかジェラシー。

ケンゼン: やれやれ、肝の小さい男ぜよ。

アイス: いえ、別に嫉妬とかではなくてですね。そのなんと言いますか。

ラック: ぐだぐだ言ってないで行動開始やで。

アイス: うう、僕ばっかり何故にぃ。

 

かくして村人達をエルナ達に託して、ラックとティマは洞窟のある山の上で吸血鬼の帰りを待った。

 

GM: では森から君たちのほうに向かって10体ほどのアンデットが歩いてくる。先頭を歩いているのは槍を背負った男だ。距離は80メルーほど。

ティマ: この間にこの前の成長で取った「矢よけ」を掛けておこう。勿論ラック君にもね。

GM: (この距離ではまだこいつの能力の範囲外か)じゃあ判定してみて。

ティマ: (コロコロ×2)成功。

ラック: さて連中がある程度近づいたら会話するで。

GM: ではレイゲルン君はある程度近づくと槍を投げてくる。(コロコロ)命中コースだけど外れるね。

ラック: ふ、呪文は偉大や。

GM: ちなみにそれた槍は君たちの後ろの岩に深々と突き刺さるから。

ティマ: ふー。僕はこの呪文を取っていたことをシャストア様に感謝するよ。

レイゲルン: 貴様ら。そこで何をしている!

ラック: あんたのお帰りを待ってたんやで。

レイゲルン: そうか。ならばここで死ね。

GM: といって彼はまた槍を取り出すわけだが。

ラック: ふふふ、そんな暇ないで。もうすぐ日が昇るんや。

レイゲルン: 何を強がりを(コロコロ)命中コ-スだけどこれもはずれだね。

ラック: ティマ頼んだで。

ティマ: OK。「完璧幻覚」(コロコロ)成功。

GM: (ち、その出目ではこやつの「不幸の運び手」スキルが意味無いではないか)では君たちの後ろから太陽がゆっくりと姿を見せる。

レイゲルン: ば、ばかな!

GM: そう言う彼の顔からは煙のようなものが上がりだすね。

ラック: おお、プラシーボ(思いこみ)効果や。

GM: そして彼はマントで顔を覆い慌てて洞窟の中に入っていく。部下達も動けるものは彼について洞窟に行くけど深追いする?

ラック: 誰がするか!

ティマ: でもこれで少しは時間を稼げたね。

ラック: いや、少しではないかもしれんで。多分あいつは話に出てきた闇に耐性のある鎧を着るやろ。でもそれはアマランの許可がいるんや。しかも着込んで出たらまだ夜やろ。外すやろ。そしたらちょうどおひさんが照るんや。

GM: (うう、レイゲルンの性格から考えると十分に考えられる事態だ)

ティマ: 成る程ね。嘘を真に真を嘘にか。君はシャストア信者の素質があるよ。どうだいなってみない?

ラック: 誰がなるか。

 

かくして口先と幻覚によって「泗血天」に一人が退けられた頃、ガラとゴウダンは死闘のまっただ中にいた。

 

ブレイバー

 

GM: (コロコロ)命中コースだよ。

ゴウダン: (コロコロ)後退して止めた。

 

もともと防御しにくい武器であるイブニングスター。しかも序盤で逃げる人々の盾となり後退を考えずに戦ったゴウダンは何時死んでもおかしくないほどのダメージを受けていた。おまけに、本来であれば援護に回るはずのガラはそのイブニングスターの威力の前に距離を詰められない。

 

ガラ: 「大治癒」失敗。このままではいいかん。やつと距離を取ろう。

ゴウダン: くそ、(コロコロ)命中コ-ス。

GM: ではイブニングスターで受けよう。

ガラ: え、「素早き斧」の呪文では攻撃に使えば次の準備までは使えないはず。

GM: これはそれの上の呪文が魔化されてるんだ。

ガラ: 「高速準備」何というレアアイテム。

GM: ふふん。さてどうするかね?

ガラ: 斧投げします。

GM: かまわんよ。

ガラ: では(コロコロ)命中コース。(ヘクスシートを見ながら)ところでこの位置だと広視界を持ってなければ横からの攻撃になりますよ。

GM: う、(コロコロ)だー刺さった。

ガラ: ダメージは10点。まだ斧は沢山あるぞ。

 

この後距離を取ってからの斧投げに切り替えたガラによってドワーフは思わぬ大ダメージを受ける。ゴウダンは何時倒れてもおかしくないのだが、持ち前のタフネスで倒れず攻撃を防ぐ。

 

ゴウダン: ダメージ13発。

GM: (コロコロ)くそ、死亡判定2回か・・・あ、だめだ。

ガラ: よし、倒した。

GM: では体が塵になる中でドワーフはゴウダン君に持っていたイブニングスターを投げる。

ゴウダン: なんだ?

ドワーフ 私はその武器の意味を間違えていた。そして気がつけばこのざまだ。弱者を守るお前ならこの武器を使いこなせるかもしれん。この武器の名はブレイバー・・・

GM: そう言うと彼の体は完全に灰になる。

ガラ: ブレイバー。勇気あるものとかになるのかな?

GM: いや、意訳して「勇士」と読んでもらいたいね。

ガラ: 勇士ゴウダンか、いいではないか。

ゴウダン: そうか?私は今でも人を守ることについて不安を持つことが多い。結局、私は人を救っているのでなく自分のエゴを救っているのではないかと。そんな者にこの武器はふさわしくはないだろう。

ガラ: さて、わしにはお前の気持ちはわからんが。

ゴウダン: それに誰かを守ると言っても結局はどちらかに加勢しているだけではないかと思うと、いつも自分のあり方が不安なのだ。

ガラ: 少なくとも50人からの命を救った者には勇士の名はふさわしいとは思うが。それより「応急処置」をしなければ。とりあえず救ったからにはその者たちを無事町まで送らねばな。

ゴウダン: ああ。

ガラ: まあ、その武器をもらったのを機会に「守る者の勇気」について考えてみればどうじゃ?

ゴウダン: そうだな。私が何時までも悩んでいては守れる者も守れない。ブレイバーなどと過ぎた名だが、それをもてるように頑張ろう。

 

こうして泗血天を撃退した二人は、エルナたちとの合流を果たす。その後追撃の時間差をかいくぐり「真っ直ぐ歩けばすぐ抜け出せる」森の秘密を逆手に取った一行は50人を村まで無事に案内する。しかし・・・

 

アイス: つきました。10.5pt'>

ケンゼン: ちゃー。欲求不満ぜよ。10.5pt'>

ラック: 心配すんな、次回で腐るほど戦える。

 

ラックのこの一言が告げるように、アマラン=ゾウスの影は急速に迫ってきていた。

 

第10話へ続く

 

夏野コーパル宵闇話

夏野: 第九回です。ちなみにこの裏話のタイトルが回によって微妙に違うことをお気づきですか?

コーパル: こら、この会話中に確かめられない話をしない。

夏野: では第九回です。

コーパル: いやー、みんな大活躍でした。

夏野: そうですね。新生メンバーが巧く機能したようです。でもGM、前回に引き続いてティマが活躍しすぎな気がしますが?

コーパル: でてきた者はしょうがない。そう言った意味でラック君は本当にいい物件を見つけたことになるね。

夏野: そして今回から二人の新キャラが加わりました。まずはカリバ:ケンゼン。第七話冒頭に出てきた師匠の敵を討つためにカルシファードからきた剣士です。

コーパル: じつはドワーフのハーフなんだよね。本人は隠してるみたいだけど。

夏野: そうみたいですねそのせいで本国では迫害を受けたとか。ではデータです。


カリバ=ケンゼン(♂ 外見:21才 ドワーフのような肌とがっしりした体格の大男

ST:12 DX:15 IQ:9HT:13

有利な特徴:カルシファードの武戦士 ドワーフハーフ(体力+1 くいしんぼ) 意志の強さ1L 戦闘即応 我慢強さ

不利な特徴:敵:シルバー 狭量:カルシファードの武戦士 お祭り好き 秘密:ドワーフハーフ

癖:口癖~ぜよ 口癖ちゃちゃ 潮風がすき 強いやつと戦うのがすき 歌が好き

技能:カルシファードブレード18 準備カルシファードブレード14 格闘14 共通語9 ランニング10 見切り7 歌唱10

格闘動作:強化受け フェイント:20 つむじ風:18 太刀折り:18 射撃受け:18

移動力:7 よけ/受け/止め:8/15/- 防護点/受動防御:2/2

武器:上質カルシファードブレード(切り2D+2/刺し1D+3)

防具:ヘビーレザー

能力CP:90 特徴CP:-1 技能/呪文:41 CP総計:130


コーパル: しかし何故彼は古流武刀術何だろう?

夏野: 判りません。刀がおりたかったんでしょうか?そしてゴウダンです。彼は幼かった時に自分の部族をゴールドの殺されており、その後はタマットの傭兵の元で暮らしています。そのためギャビットの持つ癖レベルでの「怠惰」と「自信過剰」が癖レベルの「火炎への恐怖」と「エルファ嫌い」にすり替わっています。

コーパル: これぐらいのレベルなら僕は特殊な背景無しで許可した。

夏野: その際に記憶も一部欠損しておりゴウダンという名前も育ての親からつけられたものです。彼自身も優秀な戦士なのですが、自身存在的に持つ弱者への義務感を「助けも来ず震えていた過去の自分を助ける代替行為では」と悩んでいます。

コーパル: うむ、存分に悩みたまえその方がキャラが立つ。

夏野: 見も蓋も無いですね。データです。


ゴウダン (♂ 年齢不詳:ただしかなり若い。馬の下半身と腕に火傷跡を持つギャビット)

ST:13 DX:13 IQ:10 HT:13

有利な特徴:ギャビット基本セット 意志の強さ2L 我慢強さ

不利な特徴:敵ゴールド 義務感:弱者 誓い:部族の再興

癖:水はゆっくりと飲む 入れ墨は誓いがかなうまでしない 朝にはランニング 食事は早く食べる 寝る前に星を見る

技能:モーニングスター15 盾16 蹄戦闘術14 生存:平原9 ランニング12 戦術9 指揮8

移動力:6 よけ/受け/止め:3/7/8 受動防御/防護点:5/6

武器:モーニングスター(叩き/2D+2)

防具:スケイルメイル、ミディアムシールド

能力CP:80 特徴CP:18 技能/呪文CP:32 CP総計:130


コーパル: ところで質問なんだが、ギャビットの基本セットは。

夏野: すいません。うっかり旧版のほうで計算してます。

コーパル: ま、いいけどね。これでお互いミスの指摘は無しで行こう。

夏野: そうはいきません。

コーパル: ちっ!

夏野: 最後にガラッテの能力ですが。

コーパル: 現状では左腕の体力+5(魔法使用時には追加疲労点として扱う)敏捷度+1、生命力+2、オーラによる特殊な防護点1点、我慢強さだけど。

夏野: なかなか思わせぶりですね。

コーパル: 先知ってるくせに。

またぐだぐだになりながら終わる。

第10話へ続く