黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第19話「英雄免許貸出し中」

「力が欲しい」

そう願ったのは何時だっただろう? もうずっと昔の気もするし、ほんの少し前の気もする。

けれど、一つ言えることは自分は力が必要だったということ。 そしてその力がすぐ目の前にあるということだ。

つまり私の願いは叶うのだ!

 

第19話「英雄免許貸出し中」

 

GM: では成長報告を各人でお願い。

アイス: GM、前回の状況を考えるとそれどころではないですが・・・

GM: まあまあ。イギリス人はいかなる時でもティータイムを忘れないぞ。

ラック: いやそれとこれとは全然関係ないで。

GM: ふむ・・・まあ、それはそれとして成長報告をお願いしよう。

アイス: えーとですねとりあえずは「ソードブレイカー」を上げようとしました。

GM: 上がったのかね?

アイス: えーと、GMがあとcpを1点くれたら上がりますね。

GM: うん、わかった。じゃあ次の人。

アイス: え?

ラック: ま、愛が足りんのやな。

エルナ: 「時間奔流」を18レベルまで上げました。

アイス: は。

ラック: わいはやな、今回は「槍」を上げるためにCPを貯めるで。なんか最終決戦近そうやしな。

アイス: あのー。

ガラ: わしは今回はあえて成長させん。CPを増やして次回につなげるつもりじゃ。ということでティマもおなじ成長です。

GM: まあ、考え方は人それぞれだからね。

ケンゼン: ちゃっちゃ、ついに念願だった「カルシファードブレード」が上がったぜよ。

GM: お疲れ様。それでゴウダンは?

ゴウダン: 「蹄戦闘」のレベルを上げた。もっともこのcpをもらっていいのか気になるが。

GM: 問題ないよ。さてアイスくん、何か言うことはあるかね?

アイス: うう、すいませんでしたー。

GM: わかればいいんだよ。

ラック: じゃあゲーム開始やな?

ゴウダンのPL:ティマ: うん問題ない。

GM: ではキャラクターも決まったところで今回だ。

 

神という名の方法

 

アイス: 何かすごいとところで終わってたと思うんですが。

ラック: そうや。世界が終わるってどういう事や?歌の一節とか言ったらさすがに殴るで。

GM: その謎は今回解かれるわけだ。さて舞台は謎の空間。君たちは前回クロスと対峙したところで終わったわけだ。

ラック: さて、どういう事か聞かしてもらおうか?

GM: 君がそういうと、クロスはあっさりと口を開くね。

クロス: 簡単なことだよ。事実は私の言ったとおりだと思ってくれればいい。

エルナ: つまり私たちのいた世界は滅んでしまうと言うことですか?

クロス: いや、正確に言えば「その可能性が非常に高い」が正しいがね。

ラック: む、自分がやっとたとはいえ、この話し方はむかつくで。

GM: そんなこと言われてもね。こいつの話し方を決めたのは僕じゃないし。さて他に質問はないかな?

ケンゼン: なんで世界が滅ぶことがわかるんぜよ?

アイス: そうです。憶測でものを言うのはやめてください。

GM: 君たちの質問に対して、クロスは笑いながらこう返すぞ。

クロス: 簡単なことだ。それは判るのは私が「管理者」だからだ。

ガラ: 管理者?

クロス: そうだ君たちの世界も含めて数多にある「世界」を管理する者だ。まあ、その実体はただの何でも屋だがね。

ラック: ちゅうことはなんか?わいらはお前らによって管理されていたんか?

クロス: いや君たちを管理しているわけではない。私が管理しているのはあくまで器としての「世界」でしかない。

ケンゼン: ちゃー、よくわからないぜよ。

GM: 少し違うが大雑把な「マンション管理人」をイメージして欲しいかな。入居者があまりにも無法であった場合は、それ相応の対応をとるけどそれ以外の時は口を出さないでしょ。

アイス: じゃあわいらはその入居者か?

GM: いやそのアパートの一室が「世界」で君たちはその中に住んでいるわけだ。

ティマ: じゃあ僕たちが何をしようとあなたは手を出すことはないんだね~?

クロス: そうなるな。その世界に住む人々がどう生活しようと我々に干渉することはできない。我々が守るべきは「器としての世界」であって「世界の中身」まで干渉する事はない。さらに言えば極端な場合を除いて「器としての世界」にも干渉はしない。

ティマ: つまり今回の僕たちの世界で起きていることはその「極端な例」なんだね~。

クロス: 理解が早くて助かる。それでこそこちらも交渉がしやすい。

ラック: やっぱりなんかあったんやな。

クロス: なに簡単なことだ。君たちに「神様」をやってもらいたい。

アイス: はいぃぃぃ?

ティマ: 神様ってあの月にいる神?

GM: ふむ、君たちの認識ではそうなるかな。

エルナ: ちょっと待ってくださいクロスさん!さすがに話が飛躍していますよ。

クロス: そうかな?では掻い摘んで話そう。君たちの世界はもうすぐ滅ぶ。

アイス: 確実ではないんですよね。

クロス: ほぼ確実だ。しかもこの「滅び」は君たちの世界だけでなく多くの世界を飲み込む巨大な渦に発展する可能性がある。

ガラ: なるほど、だからお主が登場したんじゃな。

クロス: そうだ。そして私はこの問題を解決する方法を考えている。

ラック: その方法と、神様と何が関係するんや?

クロス: その方法とは「世界を一度滅ぼし」そのうえで「雄志によって再度構築」するという方法だ。つまり君たちには創造神のまねごとをしてもらいたいのだ。

ラック: えーと、わいはかつてそれと同じような結末の小説を読んだことがあるんやが。

ティマ: ああ、あれはなかなか名作でしたね。

エルナ: それで私たちにその神役を行えと言うのですか?

クロス: ああ、君たちの行動は調べさせてもらった。多少問題点はあるが、それを収めるメンバーもいる。君たちに任せればなかなか優秀な世界を再構築してくれると思うがね。

ケンゼン: ゴウダンはどうなるんぜよ?

クロス: もちろん彼にも君たちのメンバーに入ってもらうよ。もっとも彼はこの世界に対する耐性がないので、その点だけは注意するが。

アイス: えーと、それはもしかしてキティも危なかったんですか?

GM: もちろん。君たちが前回のセッション最後の戦闘で調子に乗って彼女を前列に置けば非常に危険なことになったよ。

アイス: あ、危なかった。

クロス: さて、君たちの結論を出してもらおうか?

エルナ: すみませんがクロスさん、少し仲間内で話し合わせてくれませんか?

クロス: いいだろう。しかしあまり時間的な余裕がないことはわかってくれ。

 

かくしてメンバーの話し合いが行われたのだが・・・

 

ラック: わいはクロスの意見に賛成やな。

アイス: じつは僕も賛成です。

ケンゼン: ちゃちゃ、わしは反対ぜよ。

ティマ: 僕は保留だね~。

ガラ: わしも保留じゃな。

エルナ: (一同を見渡して)理由を聞かせてください

ケンゼン: わしの理由は簡単ぜよ。このままではゴールドとの決着がつかないぜよ。

エルナ: ラックさんとアイスはなんで賛成なんですか?

ラック: 簡単なことや、このやり方が一番リスクが少ないからや。

アイス: 僕もこのやり方が一番被害が少ないと思うんです姫さま。

ティマ: けどさ、なんにしても世界は一度滅ぶんだよね~。僕はそこが少し気にくわないかな。

アイス: けどそこらへんはクロスさんの力で何とかなるんじゃないんですか?

GM: うん。彼いわく、その際に滅んだ生き物の魂は「蜃気楼の町」に一時的に移して、君たちが世界を作るのを待つそうだ。

アイス: うん、それなら問題ないのではないでしょうかね。

ラック: そやな世界が滅んだ事で犠牲者はでんからな。

エルナ: 本当にそうでしょうか?それでも「世界が滅んだ」という事象は残ってしまうと思いますよ。

GM: 君がそういうならクロスは話に割り込んでくるよ。

クロス: 完全に消えることはないだろうが、それ補うための力も君たちに与えるつもりだ。

エルナ: それでも世界は滅ぶんですよね。その滅びを内包した世界はもとの世界と同じだといえるんでしょうか?

ケンゼン: うーん、よくわからんぜよー。

エルナ: つまりですね。その方法では滅んだ世界と同じ世界を作り出すことが出来なのではないかということです。

クロス: かもしれんが、それでは君には方法はあるのか?

エルナ: はい。単純な手ですが。

アイス: なんですか姫さま?

エルナ: 簡単です。もとの世界に戻ってゴールドを止めましょう。

GM: それを聞くとクロスは苦い顔をするけどね。

クロス: その方法は確率的に見て難しい、だから君たちにその手は話さなかったのだがな。

エルナ: はい、そうでしょうね。だからこそ、クロスさん。お力を貸してくださいませんか。

クロス: それはできない。先ほども言ったと思うが私の力はそうみだりに使えるものではない。いまのゴールドでは力を使う対象にはなりえない。

ラック: 要するにゴールドがもう少し育たんと力は使えんわけやな。でもその時にはゴールドの力でわいらの世界が滅んどるということか。

クロス: ああ、そういうことだ。

ラック: うーん、じゃあ難しいわな。

エルナ: それでも、なにか手はないんでしょうか?

 

愛泥・全ては愛と泥沼のために・・・編

 

アイス: 姫さま・・・わかりました、考えてみます。

ラック: ちょ、ちょっとまてやアイス。お前は反対派やろう?

アイス: 違いますラックさん。僕は姫さま派です!

一同: (笑い)

ガラ: むむぅ、なんという説得力じゃ。

ティマ: うん、思わず頷いちゃったよ。でもねアイス君、キティはどうするの?

アイス: ヱ、キティ、デスカ?

GM: キティは君の方を向いてこう聞いてくるぞ?

キティ: アイスさんはどうしたいんですかぁ?

アイス: え?ぼ、僕?

ラック: そういえばなんでアイスは反対はなんや確かに被害は少ないやろうけど。いつも姫さまべったりやのに。

アイス: いえ、その・・・笑わないでくださいね。

ガラ: 笑うようなことなのか?

アイス: 違う・・・と思いたいんですが・・・

ティマ: つまり笑うような理由なんだね。

ラック: ええから言え、時間もないようやしな。

ケンゼン: 聞かせるぜよ。

アイス: だからですね。僕は姫さまやキティが危険な目に遭うのが嫌なんです。僕は3人で幸せになりたいのに、一人でも掛けちゃダメじゃないですか。

一同: (沈黙)

アイス: やっぱり、はずしましたかね?

ラック: いや、その言葉はやなおもしろいちゅうよりは恥ずかしい台詞やで。

ケンゼン: まったくぜよ。

ティマ: でも良い言葉だよね~。なかなか言えないよ~そんなこと。

アイス: え、そうですか?

ガラ: 悪いことは言わんから、もう一度自分の頭の中でさっき言った事を繰り返してみろ。

アイス: (しばらく目を宙に向けるが、突然顔が目に見えて赤くなる)うわああああ!!!

一同: (笑)

ラック: おーい、アイス。その顔色は化学変化か?

ティマ: まあそもそも(PLが)色白だからね

アイス: ちが!違うんですよ。そんなつもりではないんです。

ケンゼン: ちゃちゃ、前回はいなかったキティに対してもまとめてプロポーズぜよ。

アイス: そんなわけないでしょうが!違う、わない、いや、その・・に、似たような意味ではあるけどね。

一同: (爆笑)

ケンゼン: 認めたぜよ。

ラック: 自己責任とは良い言葉やな。

エルナ: (怖いぐらいに澄んだ声で)それでアイス、対策は決まりました?

アイス: い、今に考えます。

エルナ:(澄んだ声で優しく)今すぐ考えてください。

ラック: おお、今のはすごいオーラやったなまさに氷の笑みやな。

ティマ: うん、すさまじい気迫だったね~。

アイス: 言いたいことはそれだけですか!

 

愛泥終

 

アイス: えーと、えーと、そうだ!

GM: 何か思いついたかね?

アイス: はい。まずクロスさんに質問があります、あなたの力を使うための条件とはなんなんですか?

クロス: うん?その存在が多くの世界にとっての害意になるかどうかだが。

アイス: では、それはいつ決まるんですか?

クロス: それが発生した瞬間だ。

アイス: なるほど。それなら・・・

ティマ: ゴールドがその力を使った瞬間に倒せば被害は最小限ですね~。

ガラ: そうだな。それなら世界を滅ぼさなくてもすむ。

アイス: あの・・・考えたのは僕なんですけど。

ティマ: ま、こういうのは言った者勝ちだよ~。

アイス: うう、何故に・・・

エルナ: いえ、ありがとうアイス。おかげで何とかなるかもしれません。

アイス: 姫さま。

ラック: これこそ火事場の何とかやな。

エルナ: どうですかクロスさん。さっき言ったやり方なら世界に負荷がなくこの世界の滅亡が食い止められるのではないですか?

GM: (さて、どうかな)

クロス: 君の言っていることは正しい。しかしその方法は危険だ。

エルナ: 何がですか?

クロス: 私の力を貸すことはできる。しかしその力を君たちが使い誤れば、ゴールドを倒す機会を失う可能性がある。

エルナ: それでも、それでも世界を破壊しないでいいのならこの手段をとるべきではないですか?

クロス: 管理者として賭をすることはできない。それとも君は世界と天秤にかかるほどの強い存在なのかね?

GM: (どうでるかな?)

 

英雄免許貸出し中

 

エルナ: わたしは弱い存在です。世界と天秤にかかる命なんかじゃないです。だって世界がなければ私は存在しないから。だからこそ世界を救いたいんです。それとも救うために頑張ることすらもできないんですか?

ティマ: うん、いい台詞だね~。

ガラ: ゴウダンがここにいたら賛同したじゃろうな。

GM: (まあ、いいでしょう)

クロス: ならば君たちが失敗した場合、ペナルティを受けてもらう。それは死ぬよりも苦しく永劫にも近い苦痛が続く。それでもやるかね?

エルナ: 皆さん。もしも嫌でしたら下りてください。ラックさんは反対していたはずですし。

ラック: あのな!この状況でわいだけ下りてみぃ、未来永劫恥さらしやで。

アイス: 僕はもちろんついて行きますよ、姫さま。

ケンゼン: これでゴールドと決着がつけれるぜよ。

ガラ: まあ、腐れ縁じゃよ。

ティマ: そ、ここまで来たらってやつだよ。

エルナ: ではその賭に乗ります。

クロス: 未来永劫の苦しみだぞ。

エルナ: それでも少しでも可能性があるならそれを信じたいんです。身勝手かもしれませんそれでもできることがあるならやりたいんです。

ラック: ええて、姫さん。一生に1回ぐらいはすごいわがままいっても罰は当たらん。

ガラ: そうじゃ。そういうのもたまには良いじゃろう。

アイス: 僕は始めから姫さまに従っています。

クロス: いいだろう。機会は一度、君たちにはゴールドの力を見極めて「それ」の発動の瞬間を倒さなければならない

エルナ: 心得ました。

クロス: 残された時間は少ないが、それでもやるというのだな。

エルナ: もちろんです。

ラック: まあ、ここまで来たら腹をくくるしかないやろ。

ケンゼン: うむ、こういう戦いもまたおもしろいぜよ。

エルナ: それではクロスさん、サポートお願いします。

GM: 君がそういうのならクロスは苦笑してこう言ってくるよ。

クロス: それは君たちが賭に勝ったらだ。しかし君たちもわからないな。神の力を手に入れるチャンスを自分から否定して分の悪い賭をおこなうとはな。失敗すればどうなるかもわかっているはずなのに何故だ?

エルナ: だって世界だって生きてるじゃないですか。それを一度壊して新しくしても、それは違うと思うんですよ。

クロス: ・・・君の願いが叶うのを祈っているよ。

エルナ: ええ、その時はよろしくお願いしますね。

クロス: ああ、その時は君の力になろう。

GM: そう言うと彼の姿は消えてゆき、君たちはもとの世界に戻ることができる。

ラック: ふー、一時はどうなることかと思ったわ。

ケンゼン: ちゃちゃ、まったくぜよ。

ガラ: しかしこちらに帰ってきてからが本番じゃぞ。

アイス: 責任重大ですよね。

ティマ: そうだね~。

 

瓦礫とシチューと情報と

 

GM: さて君たちは無事帰ってくるんだが・・・

ラック: なんやGM、奥歯に物が挟まったような物言いやな。

GM: うむ、君たちがいるのはなぜか廃墟なのだよ。

ケンゼン: ちゃ?ここはどこぜよ。

アイス: 廃墟ですね。

ラック: わかっとるわ!

ガラ: (しばし考えてから)GMもしかしてそのがれきに我々は見覚えがありませんか?

GM: (にっこりと笑って)うん、あるね。具体的にどこか聞きたいかい?

アイス: え~~~と、もしかして前回までいたソノー邸ですか?

GM: そうみたいだね。

ラック: なるほど、わいらの拠点が消えたんやな。て、言うてる場合か!保険屋はどこや。

一同: (笑)

ケンゼン: それどころじゃないぜよ。

ティマ: だね~。けどこの状況でもまだお金のこと言えるのは感心するよね~。

GM: 君たちがそうやってがれきの近くで話していると、向こうから人影が近づいてくる。

ケンゼン: 警戒するぜよ、みんな。

GM: その必要はないかもしれないね。なにせ君たちは近づいてくるのは彼だからね(と言ってゴウダンのPLにキャラクターシートを渡す)

ティマ: いままで、ガラをありがとう。

ゴウダン: いえ、良い経験になりました。

ラック: そんなことよりこの惨状はなんなんやゴウダン。

ゴウダン: うむ、じつはお前達が交渉に行ってから二度ほど「空の七月」の襲撃があってな。

ケンゼン: ちゃー、予想したとおりぜよ。

ゴウダン: その襲撃自体は撃退したんだが、連中があんまりにもエフラワ姫をピンポイントで狙ってくるので調べてみるとあの城に、エフラワ姫を監視している目がついていたらしくてな。それで目くらましのために城を壊したのだ。

 

執筆者注:ここいらの顛末は楽屋裏に載っています

 

ティマ: それはまた豪快だね~。

ゴウダン: ええ、ここまでする気はなかったんですが、時間がなかったのでしかたなく。

エルナ: ゴウダンさん。質問があるのですが私たちがゴールドさんと話し合いに行ってからどれだけ時間がたっているんですか?それにエフラワは・・・あの子はどこにいるんですか?

ラック: 姫さん、ちょっと落ち着くんや。

ゴウダン: まずは時間だが、あれから2週間たっている。次にエフラワ姫だが、現在はソノー氏と一緒に身を隠している。

エルナ: そうですか・・・よかった。

ゴウダン: えーと、その場所にはゴウダンはもうすぐ帰るつもりだったでいいですかGM?

GM: うん。問題ないよ。

ゴウダン: では詳しい話はとりあえず現在の拠点に行ってからでいいかな?

ラック: そこいらへんが妥当やろうな。

 

こうして一行は久しぶりの邂逅を果たした。

 

GM: さて、ゴウダン達が身を隠しているのはソノー邸跡近くの寒村にある空き家だ。そこにはエフラワとソノー。そしてエルファがいる。一応言っておくがエルファは君たちの知っている人だ。

ラック: もしかしてジャイアンシチューのか!

GM: あってるけどその覚え方はやめてくれ。それと彼は料理をしている方じゃない。

ラック: そんなことは些細なことや。それより厨房から煙りはでとるんか?

GM: うん、でているね。そして厨房の方から件のバーベナさんが顔を出すぞ。

バーベナ 無事戻れたようだな。ちょうど良い頃合いだ、今作っているポトフでも食べながら詳しい話をしよう。

ケンゼン: ちゃちゃ、逃げ場がないぜよ。

ラック: く、ティマはん。あんただけが頼りや。

ティマ: な、なんの話?

ラック: なんでもええからあんたの調理スキルを駆使して、あの料理の味を調えるんや。

ティマ: わかった頑張ってみるよ(コロコロ)ごめん失敗。

ラック: なんでや~。

バーベナ 何を言っているかはわからんが、お前達のぶんもあるから食べながら話そう。今日のは自信作だ。

ラック: ふ、神は我々を見放したで。

アイス: ふふ、僕はしょっちゅう見放されてますがね。

 

こうして戦慄のお食事会が始まった(笑)そして一行はしばし料理を味わった後に、現状について話を始めた。

 

ゴウダン: それで結局、そちらはゴールドとの話し合いはできたのか?

エルナ: では前回ゴウダンさんと別れた後に起こったことを皆さんに話します。あ、クロスさんとのことは秘密にしておきますね。

GM: (でもそれだと彼らに協力をしてもらいにくくなるよな。ま、こちらはかまわないがね)

ティマ: でもそれだとこのエルファの人たちに詳しい話ができないから、力を借りにくくない~?

GM: (ち、余計なことを)

エルナ: あ、そうですね。ではクロスさんのことは話します。でも約束のことは話さずに「ゴールドの力は解放直前であれば止められる」ということにしておきます。

GM: OK。訂正が早かったからそういったことにしていいだろう。ではエルナの話が終わった後に今度はキッソスが君たちがいない間にこの世界で何が起こったかを説明してくれるよ。

キッソス: ふむふむ、そちらもいろと大変だったようだな。ではこちらの情報を話をさせてもらおうか。まず一番大きいニュースだがサーライトの野望をほぼ阻止できた。

ラック: おお、ほんまか。

ケンゼン: めでたいぜよ。

GM: ケンゼンがそういうと横にいるエフラワは辛そうな顔をするが。

ケンゼン: あ、すまんぜよ。気配りが足りなかったぜよ。

エフラワ: いえ、かまいません。いずれこうなるのはわかってましたから。

エルナ: そんなエフラワを見て、頭をなでながら「強くなりましたねエフラワ」と言ってあげます。

GM: それならエフラワ姫は少しはにかみながら「はいお姉様」と言ってくるぞ。

アイス: ヌゥゥゥジェラシー・・・は、いけない二人は姉妹なんだ。

ラック: けどな~血は繋がってないんやで。

ガラ: そうじゃな、それにこの世界はやろうとすれば女同士で結婚も可能じゃしな。

アイス: うう、悪魔が、悪魔が僕に何か囁いてきますGM。

GM: いや、僕に言われてもね。

キッソス: 話を戻して良いかな?

ティマ: どうぞ。

キッソス: 「野望を阻止」と言ったがサーライトが死んだわけではない。あくまで彼の野望を阻止しただけだ。

ラック: ふーん、どうやってや?

キッソス: サーライト曰く「世界を救うため」に彼のやっていた非合法な実験を調べて、それを告発したのだ。

ガラ: なるほど。それでサーライトが失脚したわけか。

キッソス: とはいえ肝心のサーライトは混乱に乗じて逃走しているのが現状だ。そこで我々は逃走したサーライトがエフラワ姫を利用するのを防ぐためにここにきているわけだ。

アイス: そうだったんですか。

ケンゼン: なるほど。それで城を燃やした理由がわかったぜよ。

ゴウダン: 「空の七月」とサーライトの両方の目を欺くためにはこれぐらいは必要だった。まあ、とはいえやりすぎたとは思うが。

アイス: でもおかげで完全な目くらましになりましたしね。

ガラ: いや、まだ安心はできまい。連中がどんな手を使ってくるかわからんからな。

GM: (そのとおりなんだけど・・・その方法も燃えたんだよね)

ラック: ま、焦土作戦は近代戦の基本やからな。

エルナ: 私たちがいない間の空の七月の動向を教えていただけませんか?

キッソス: 悪いが「空の七月」についてはよくわかってないのだ。

ラック: そっちはサーライトで手いっぱいやったんか?

キッソス: いや、そうではないのだが・・・こちらは連中はサーライトの下部組織だと思っていたからな。まさか連中が独自にそんな方法をとるとは思っていなくてな。

エルナ: じゃあ彼らは?

キッソス: ああ、結果としてこちらがサーライトに手一杯になっている間に、地下に潜られた。どうやらサーライトの脱出にも力を貸したようだが・・・

ラック: うーむ、わいらが次元の狭間に飛ばされたんが響いたな。

ガラ: しかたがあるまい。こうなったら時間はないが連中を地道に捜すしかないの。

GM: (うむうむ、そうしてくれるととても助かるよ)

アイス: (メモをパラパラと捲りながら)そうですかね?

ラック: おお、アイスが自分のノートを捲っとるで。真面目になる前兆やな。これからはアイスを「眠りの小五郎」ならぬ「めくりのアイス」と呼ぼうやないか。

ガラ: うむ、微妙に卑猥な感じがアイスらしいの。

アイス: 何故にそんな名前ですか!

エルナ: それで、何か気付いたんですかアイス?

アイス: あ、はい。彼ら「空の七月」の計画は月を作ることですよね。

ラック: なんかそうらしいな。

アイス: では彼らはその月をどこで手に入れるつもりなんでしょうか。

ケンゼン: ちゃちゃ、それがわかれば苦労はしないぜよ。

アイス: いえ、そうではなくて・・・つまり月を作り出すにはそれ相応の力が必要ですよね。

ゴウダン: ああ、そうだろうな。

アイス: 彼らはそれをどこで手に入れるつもりでしょうか?

ケンゼン: ちゃちゃ、前回に聞いておけばよかったぜよ。

ラック: そう聞いてくるっちゅうことはそれの推測がついたんかアイス?

アイス: はい。僕らはもう一人強大な力を手に入れようとしている存在知っていますよね。

エルナ: サーライト閣下ですか?

アイス: はいそうです姫さま。僕が思うに両者の目的に必要な力は同じものではないかと思うんです。

ゴウダン: その根拠はあるのか?

アイス: 簡単です。サーライトを憎んでいるリカさんや、一度組織を壊滅させられたゴールドがサーライトに力を貸したんですよ。これこそが根拠です。ついでに言えばそんな連中に連れられて脱出したサーライトも彼らが手を出さない確証があったんじゃないでしょうか?

ティマ: 成る程ね~。そこで彼らはしかたなくサーライトと共闘しているのか~。

アイス: そういうことです。そして今までの会話からして、サーライトの求めるものが何かはわかってるんではないですかキッソスさん?

ラック: ナイスな推理やアイス。けど金はやらんで。

アイス: いえ、それは期待していませんから。

GM: (くそ~。こちらの勝利の目が。アイスがオリジナル版の知識を使うようだったらペナルティを課すつもりだったのにな)

キッソス: なるほど。早速調べてみよう。

アイス: お願いします。

ガラ: 調べているのは帝都かの?

キッソス: そうだが、どうかしたのか?

ガラ: それならわし達もそちらに移動した方がよくないかの?

ラック: けど力の寝むっとる場所が帝都から近いとはかぎらんで。遠いところやったら2度手間やしな。

ゴウダン: むぅ、難しいところだな。

キッソス: とりあえず、こちらで調べてみよう。

 

約束の力

 

GM: さて、君たちの話に割り込むようにソノー氏が聞いてくるよ。

ソノー: では君たちはそれがわかればすぐに移動するのかね?

ゴウダン: うむ、そのほうがいいだろうな。

ケンゼン: そうなるぜよ。

ソノー: ではその前にこちらの渡せるものを渡しておこう。

ラック: おお、ラストのパワーアップか。フルアーマーかそれともアサルトバスターか?

アイス: いえ、月光蝶とか特攻かもしれませんよ。

ガラ: いやそれはまずい。前者は文明を、後者は自信を破滅させるんじゃぞ。

ケンゼン: まあ、お前がそれを求める気持ちはわからんでもないぜよ。

ソノー: じゃあさっさと渡してしまおう。

GM: そう言うと彼が持ってくるのは淡い朱に、控えめに青い月が描かれている着物。

エルナ: 着物ですか?

GM: うむ。カルシファードの民族衣装に似ているが、それよりずっと豪華だ。ちなみにこう見えても金属製だ、特殊な「シロキノガネ」という素材でできているんだよ。

ラック: カルシファードっぽい名前やな。こっちの名前で言うとなんやろう?

アイス: えーと、「さりかにうむ合金」?

エルナ: 却下します。

ガラ: まあ、そうじゃな。

ゴウダン: そうだな、それはない。

アイス: な、なぜに?

GM: ちなみにデータは防護点4点受動防護点3点それに2点分の強化がかかったスケイルだ。ただし金属が軽いので重さは普通のハードレザーと同じ。しかも装備すると「サリカの舞」「記憶術」「応急処置」「看護」技能に+1。もっとも単衣のような衣装だから、バトルファン以外の武器技能には-1がつくけどね。

ソノー: 存分に使ってくれたまえ。

エルナ: いえ、こんな良い物をいただけませんよ。

GM: 君の意見にソノー氏は当然反論するがね。

ソノー: いや君にはそれを着る権利がある。

エルナ: ではお借りするということでいいですかね。

ソノー: いや借りるなどと言わずにもらってくれてかまわんよ。なにせ、それは良い物・・・

ラック: 後ろからソノーの口を塞ぐで。その台詞は言うたらあかんのや。

ケンゼン: まったくぜよ。

ソノー: む、何をする。

エルナ: すいません仲間が飛んだ失礼をしまして。でもやっぱりこの服はいただけません。

ソノー: いや今の一件はどうでもいいんだが。べつに気にはしないしね。

エルナ: いえそうではないくて、この服はエフラワ着るべき物なのではありませんか?

ソノー: む、確かにそういう約束でサーライトから託されたが・・・

GM: 君がそこまで言うとエフラワが慌てて君にこう言ってくるぞ。

エフラワ: そんな。ダメです、その服はお姉様が着るべきです。

エルナ: いえ、やはり本来の所有者が着るべきですよ。

アイス: そういえばエフラワさんて容貌「最高」なんですよね?

GM: うむ、はかなげな感じの超美人さんだ。ついでに言うと生来のカリスマはエルナより上だぞ。

ティマ: それだとどっちが着ても似合うよね~。

エフラワ: では今はそれを借りてください。そしてこの騒動が終わった時にはそれと同じ物をプレゼントさせてくださいお姉様。

エルナ: ええ、それなら喜んで。

ラック: お、めずらしいな姫さんが素直にプレゼントをもらうやなんて。

エルナ: ええ、だってもらうからには生きて帰らなくなりますから。

ゴウダン: ああ、なるほどな。

GM: そうやって二人の会話が終わったところで、キッソスも口を開くね。

キッソス: では今のうちにこちらも渡しておくか。

ラック: そっちはもなんかあるんか?

キッソス: ああ、もっともこれは私の持ち物ではないがな。

GM: そう言って彼が取り出したのは紅葉の葉っぱをデフォルメしたような形のショートシールドだ。

エルナ: その盾は?

キッソス: これはエルファに伝わる防具で「広葉の主」という。

ラック: くれるんか?

キッソス: やるか!これは本来森から持ち出すこともできん代物だぞ。

エルナ: え、そんな物をどうして?

キッソス: これは君たちへの品ではない。

GM: そう言って彼はキティの方に目を向ける。

キッソス: 君の母上からだ。

ラック: 母親がおったんかキティ!

ガラ: いや、問題はそこではなかろう。

アイス: それで彼女の様子は?

GM: ぶるぶる震えてるぞ。

キティ: 今更、なんで今更・・・やっと忘れてたのに。

アイス: キティ?どんな感じですか。

GM: 目に見えて怒っているね。こんな彼女は始めて見ると思うよ。

アイス: な、何故に?キッソスさんキティの母親は誰なんですか?

キッソス: 彼女の母親は私たちの森のまとめ役にあたる人物だ。

ラック: うわ、えらい人やな。

GM: だからといって彼女が落ち着くわけではない。なおも激高するぞ。

キティ: 関係ないですよ。私を捨てた人なんか。

ケンゼン: うーむ、いつになく感情むき出しぜよ。

ラック: これをアイスがどう止めるかやな。

アイス: えーと・・・辛いことがあったんだよね。

キティ: いろいろとありました。辛いことが・・・

アイス: そう、辛かったんだよね。

キティ: あ、アイスさーん。

アイス: ああ、やっと普通に戻ってくれた。えーと、でもその盾は受け取るべきじゃないかな?

キティ: 何でですかぁ?

アイス: それは・・・えーと・・・そのー。

PL一同: その

アイス: そ、そうだそれを借りれば返しに行く必要があるよね。だから借りないかい。

キティ: え、それって。

アイス: 僕も一緒に行くから。今は借りないかい?

キティ: は、はいぃ。

アイス: よかった。すいませんエルナ様。同じような事を喋ってしまいました。

エルナ: (ややひきつりながら)え、ええ。

ラック: わざとやよな。わざとやと言えアイス!

アイス: はい?

ガラ: なんか、解説するのも疲れるんじゃが。よいかアイス、好意を持っている女性と一緒に「彼女の家族に会いに行く」これがどういう事かはわかるじゃろう。

アイス: えっと、それはつまり・・・・ああああああ!!

一同: (爆笑)

ケンゼン: 見事なもんぜよ。

ラック: ここまで来ると呪いに近いんやないか。

アイス: (突っ伏して)僕は、僕はなんて事を・・・

GM: ちなみにキティは君の言葉を聞いてから不機嫌だったそれまでが嘘のように機嫌が良くなるぞ。

キティ: アイスさーん。私ぃ頑張りますぅ。アイスさんのためなら嫌いだったあの人も仲良くして見せますぅ。

ラック: うんうん、良かったやないか。

ガラ: まったくじゃ。幸せそうではないかキティ。

アイス: ああああ、えええそうですね。

GM: ちなみに「紅葉の主」はそれだけではただのショートシールドだが、「緑の主」あるいはそれにレプリカと併用することで鎧の受動防護点と防護点を+1してくれる。さて誰がこれを装備するかね?

アイス: それはもちろんケンゼンさんのレプリカと併用で、キティに着させてあげてください。

ラック: だ、そうやけど、どうするケンゼン?

ケンゼン: ちゃちゃ、あれだけ笑わしてもらったんぜよ。かまわんぜよ、そのかわり代用の鎧はアイス持ちぜよ。

アイス: わ、わかりました。

 

こうして装備を新たにしたメンバーは、最終決戦に向けた買い出しのために町に向かう。そしてこの時、後のアイス君の運命を決める重大な話し合いがおこなわれた。

 

エルナ: 町に行く前にキティを呼び止めます。

キティ: なんですかぁ?

エルナ: アイスのことについて話があります。

キティ: はいぃ。

 

この話し合いが何をもたらすかは次回明らかになる。そして買い出しを追えた一向についに運命の鐘が鳴る。

 

GM: 君たちが買い出しから帰ってくると、戸の前にキッソスが立っているよ。

アイス: キッソスさん。

キッソス: 喜べ場所がわかったぞ。

ラック: 姫さん。

エルナ: はい。みなさん行きましょう。世界を壊さないために。

 

こうしてついに世界の明日を決める舞台が始まった。はたして世界は滅びるのか?それとも滅びないのか?

天空の月達が輝くなか、舞台は動き始めるのだった。

 

最終話へ

 

閣下と臣民のお部屋

閣下: ご苦労であった。

夏野: ええ、今回は本当に苦労しました。

閣下: あ、花粉症だってね。

夏野: ええ、おかげで予定が狂いまくりましたよ。

閣下: ご苦労様。さてついに次回でラストだね。

夏野: そうですね。このセッション終了後はラストセッションについて話してましたね。

閣下: そうだったね。でもどちらかといえば「この後のアイス君」の話で盛り上がったような気がする。

夏野: ええ、結局エルナとキティのどちらも選べずに激高したキティに刺される「愛泥エンド」とか、アイスに愛想を尽かしたエルナとキティ、それからエフラワの3人が女性主体の国家を作る「百合の花園帝国エンド」泥沼にはまったアイス君が、クロスの力を借りてこの世界から脱出してチャーミーと幸せに暮らす「異次元で愛泥エンド」などいくつもの案が出ていました。

閣下: うん、今聞いてもどれもすばらしいね。

夏野: まったくです。おっと閣下、次回の前に今回のゴウダンの話をお願いします。

閣下: うむ。ゴウダンが他のPCと別れた後の話は、本来外伝でやるべきだったんだがPLの都合で不可能だった。よってメールでどうするか聞いてみたんだ。

夏野: そしたらソノー邸が崩壊ですか?

閣下: うん。2回襲われた時点で、防衛拠点としての意味を成さないとして壊したよ。彼はエフラワにも気に入られていたから、可能だったしね。

夏野: なるほど。

閣下: まあ、ソノー邸については保証するらしいがね。しかし彼の行動によってシナリオが一回分減ったのは確かだね。

夏野: へー。

閣下: さて、いよいよ次回だね。

夏野: そうですね。世界の運命。そしてそれぞれの運命をかけて、いよいよ最後の大勝負ですよ。

閣下: うむ、くるしゅーないよ。

 何となく絞まったような感じで終わる。

 

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