外伝(上)「霧の女王」
目が覚めたら知らない世界に一人だった。
それまで頼っていた仲間も、住んでいた場所もなかった。頼れるのは一人だった。
だから彼に頼ろうと思った。
外伝(上)「霧の女王」
GM: さて前回のCPでどう強化したかね?
アイス: えーと、今回の成長CPは4CPでいいんですよね。
GM: うん。今回は3セッションなので少し多くあげることにした。
アイス: ありがたいです。で、僕なんですが今回は保留します。
GM: なに!?せっかく沢山やっているのに使わないのかね。
アイス: えーと、ここで使ってもいいんですが武器系の技能を伸ばしたりするなら次回まで貯める必要がありますからね。
ティマ: 4thだとこのcpで上がるんだけどね~。
GM: しかし今更ここでキャラクターを4thに修正して作り直すのはちょっとな。
エルナ: そうですね。あ、私は大治癒を伸ばしました。これで18レベルです。
GM: OK、次の人。
ゴウダン: 私は「フレイル」を上げるために貯蓄だ。
GM: おや、隊長スキルを上げるんじゃないの?
ゴウダン: この状態でですか?
GM: それもそうか
ティマ: 僕も「大治癒」を上げたよ。そう言えばチャーミーは誰が成長させるの?
GM: いやー、それはもちろんアイス君でしょう。
アイス: ですよね。えーとどうしようかな・・あ、キティは「空気破壊」を覚えましたので。
霧砦の決戦
GM: さて前回、君たちは「アマラン=ゾウス」によって黄霧に包まれた砦の前まで来ていたわけだが、ここからどうするかね?
セレナ: 俺は詳しく知らないんだが、あれは敵なんだろう?
アイス: はい。強敵です。
GM: 呑気に話しているのはいいがアマランの霧は君たちを徐々に包囲していくぞ。
アマラン: ほほほ、本来であればこの砦を貰い受けてこちらの勝利なのじゃがな。折角じゃからお主等にはわらわと一曲ワルツを踊ってもらおうかの。
セレナ: くそ!冒頭から戦闘かよ。
アイス: 仕方がないですよ。前回の終わり方が終わり方でしたからね。あ、GMには申告しておきますが僕のパワーストーンはキティに預けます。
エルナ: 私のものも預けておきます。
GM: 了解。
ゴウダン: 馬車の御者には霧に囲まれずに逃げ切れるか聞いてみるがどうだろうかGM?
GM: 御者は悲鳴を上げながらこう言ってくるよ。
御者: むりです。この黄色い霧が出始めてから馬どもが言うことを聞きません。
セレナ: 戦闘しかないか。誰かエリクサー持ってないか?
アイス: 幾つか持ってますけど。
セレナ: 「怪力」とか「戦士」が余ってたらくれ。この敵は厄介そうだ。
チャーミー: それで何なのよあいつは!
ティマ: 何に見える~?
チャーミー: 悪者。
ティマ: 正解。そして現在進行形で僕たちは悪者に狙われてるわけだね~。
チャーミー: ああ、もう!どうしてこうなるのよ。
ティマ: 僕に聞かれても困るね~。
一同は慌てて装備を調えて馬車を下りたが、そこには真の力を使うアマラン=ゾウスとの戦いが待っていた。
GM: 馬車から降りた君たちを待っているのは実体化したアマランゾウスだ。
アイス: え?霧の像じゃなくて実体ですか。
ティマ: それはどうかな~、とりあえず「幻覚感知」を。
GM: しなくても彼女がその姿については教えてくれるよ。
アマラン: なに、お主達相手に手加減をせぬのもなんなのでな。術を使っているとはいえ、今のわらわはたしかに実体を持っておる。倒すなら今のうちじゃぞ。
セレナ: 好きなこといいやがって!
GM: ちなみに彼女は黄色いゴッシクドレス身にまとって一見すると少女に見える。まあ雰囲気は妖艶そのものなんだがね。ただ髪だけは空中になびいているが
チャーミー: やっぱり嫌な奴ね。
ゴウダン: アマランの方を向いてこう聞いてみます。一つ聞きたいが、砦の兵士は無事なのか?
GM: アマランは君の方を見て楽しそうに笑うよ。
アマラン: ホッホッホ。少し見ぬ間に勇者の目をするようになったものじゃ。案じづとも兵士どもは無事じゃ。もっともわらわを倒して、あの砦の霧を解かねばどうなるかはしれないがの。
エルナ: あなたの目的はなんですか?
GM: (お、いい質問だよ)
アマラン: 目的・・・さてお主達には必要のない事よ。それより始めるか。いくぞ・・・「月下美刃」
GM: そう言うとアマランの体をまとっていた霧が突然琥珀を思わせる槍となって君らをおそう。あ、この攻撃君らの周囲にもある霧も変化するので攻撃してくる場所が掴みにくいよ。よって戦闘即応持ち以外は受け-3のペナルティ、止めは-1ね。戦闘即応持ちは止め-1でいいけど。
アイス: この攻撃って「刺し」ですか?
GM: うん。君の鎧が苦手な「突き刺し」攻撃だから頑張って避けてね。
アイス: (コロコロ)ふぅ、ぎりぎりですよ。
ティマ: (コロコロ)こっちもだよ~。これから僕は身の安全を最優先するので。
エルナ: 失敗しても「時間奔流」がありますけどそう何度も仕えませんしね。
ゴウダン: では、反撃だ(コロコロ)ブレイバーが命中するぞ。
GM: (コロコロ)その攻撃は硬化した霧で受けておこうか。
ゴウダン: ちっ。
問答無用の全体攻撃を放ち続けるアマランゾウスに対抗して、うまく反撃を行いたいエルナ達だったがアマランの攻撃にアイス、ティマ、キティが大ダメージを受けてしまい戦線の維持が難しくなる。
しかしそんな中で新規参入組二人の力が俄然光り出した。
GM: (コロコロ)また「月下美刃」が来るぞ。
セレナ: (コロコロ)止めた。
チャーミー: (コロコロ)受けた。さすがにそろそろワンパターンでしょ。
アイス(気絶中): すごい。あの攻撃を受けきるなんて。
セレナ: ふふふ、森一番といわれたフェイントソードの腕前を見てくれよ。(コロコロ)命中しかけてるが。
GM: (コロコロ)む、さっきのフェイント効果がなければ受けれたんだがね。命中だよ。ダメージは?
セレナ: (コロコロ)9点だ。
GM: おっとそれはくらってしまうな。アマランの体からは血しぶきのかわりに霧が吹き出す。
セレナ: みたか吸血鬼これがエルファの剣技だ。
GM: 君がそう言うと、アマランは目を細めるね。
アマラン: ふむ、たしかに手加減が過ぎたようだ。お主のためにこの月下に咲く刃、一つに纏めてやろうぞ。
セレナ: ふ、いらん気遣いだなGM。できれば止めてくれ。
一同: (笑)
GM: 君にそう言われてもこっちは攻撃するんだがね。では一カ所に集中した月下美刃、その攻撃は命すらもたやすく剥ぐのだよ。喰らえ「美刃剥命(びじんはくめい)」あ、エフェクトとしては10メルーほどの巨大な二枚刃が君に突っ込んでくると思いなさい。
セレナ: 受けるぞ!
GM: あ、この攻撃は巨大すぎて「受け」れないから。
セレナ: な、そんな。じゃあ(コロコロ)「止めて」から「よけ」(コロコロ)れない。
GM: じゃあダメージは(コロコロ)20点ね。ダメージタイプは切り。
セレナ: くそ防護点を引いてもさっきかすった分を併せると死亡判定か。
アイス: セレナさん頑張って。
セレナ: こんなところで、なんの良いところもなく死ねるか!(コロコロ)生きてるぞ。
一同: (歓声)
この後、さすがに戦列を離れざるえなくなったセレナだったが、怪我から復活したキティが戦列に復帰。いよいよあの呪文が発動する。
キティ(エルナのPL): えーと空気破壊は15メルーだから15Dですかぁ。
アイス: ダメージは58点ですよ。
GM: では周囲の霧はこの呪文によって吹き飛ばされて、アマランの肉体も吹き飛ぶ。
セレナ: やったな。
GM: (ふふ、甘いのだよ)だが次の瞬間には何事もなかったように復活するのだ。
アイス: え、効いてないんですか?
GM: それについてもまた彼女自身が喋ってくれるよ。
アマラン: いや、効いたさ。少なくとも砦の中の連中は苦しんでおったぞ。
セレナ: なんの話だ。
GM: 君がそう言うと、アマランは楽しそうに笑うぞ。
アマラン: まだわからぬか。我が身は砦を舞う霧と同じもの、そして我が力は根源は吸収。
ティマ: つまり、砦の兵士達の体を吸収した~?
アマラン: いや、連中はまだ我と一体にはなっておらん。しかし我が霧によって捕らえ我に生命力を献上する贄となってもらっておる。これこそ我が「刻死霧葬陣(こくしむそうじん)」の力ぞ。
アイス: なんか、「国士無双」と技の効果があってませんね。
チャーミー: そこは大して重要じゃないでしょ!
GM: あ、正しくは死を刻む霧の葬儀という意味で刻死霧葬だから。
エルナ: それじゃ私たちがあなたを攻撃すれば砦の中の人たちは死ぬんですか?
GM: 君の言葉にアマランは笑みを浮かべるぞ。
アマラン: さすがエルナード姫。物わかりがよくて助かる。つまりの砦の兵士達は我と一蓮托生じゃよ。
セレナ: 「砦なき者」ならぬ「砦で亡き者」か。
ティマ: いや、そんな事いってる場合じゃなくない~。
GM: そのとおりだ。アマランはさらにこう続けるぞ。
アマラン: さて、ここで質問じゃ。あそこにいる150人からの人命に、お主等はいかなる対価を払えるか?
ゴウダン: 何が目的だアマラン!
アマラン: フフ、そう怒るな不屈の勇士。我らが欲しいのは時間じゃ。
ゴウダン: 時間?
アマラン: さよう。いかに我が肉体が蘇ろうが力はそうはいかぬ。我が力を蓄えるまでの僅かな間、汝らがここを攻めぬと約束すれば砦の兵士は帰してやろう。悪い条件ではあるまい?
セレナ: なるほど、そちらの力が回復するまでこちらが攻めるな。と言うことはつまりそちらがこちらを攻め滅ぼす力ができなければ俺たちは攻められないと。
アイス: そうなるんですかね姫さま?
エルナ: そうなりますねアイス。
チャーミー: それってこっちからすると無茶苦茶不利な条件ね。
アマラン: ふふ、人質を取った上での交渉じゃよ。こちらが有利な状況にしようとするのは当然であろう?
エルナ: GM、アマランに聞いてみます。時間をくれませんかアマランさん?
アマラン: ふむ、そう言うと思ったわ。よかろう、一日だけ時間をやろう。明日の朝までに結論を出すがよい。
こうして疲れ切った一行は近くの村を仮の宿営地とするのだった。
決断
ティマ: さて、宿には着いたけどどうする~?
チャーミー: プレイヤーとしてはいろいろ言いたいこともあるんだけど、とりあえずキャラクターが状況を見極めるまでは静観。あ、お茶頂戴。
アイス: あ、はい。ウーロンでいいですか?
チャーミー: うーん、できれば午後ティー。
セレナ: まあ、暫く静観で新キャラメンバーは途中から話し合いに参加する形になるだろうな。
エルナ: べつに状況を見てなくても意見はどんどんお願いします。
チャーミー: まあ、それは言うけどね。
エルナ: 結局のところ、人命をとるかアマランを倒すかですよね。
ゴウダン: 簡単に結論が出ればいいんだが・・・
アイス: うーむ、ガヤン様を崇める者としてはやはりアマラン討伐でいいのかな?
セレナ: いや、ファウン信者ならともかくガヤンを信仰していてもこの状況でどちらを選ぶかは人によるだろうな。
アイス: うーん、やはりそうですかね。
GM: (うんうん、悩みたまえ)
ティマ: それもあるけど、他にも問題があるよね~。
エルナ: ええ、そうですね。
アイス: え、なんかありましたっけ?
チャーミー: ねえ、こいつってホントに例の推理をしたの?
セレナ: まあ、アイスがスロースターターなのはいつものことだからな。
アイス: ええ、そうなんですよ。
チャーミー: そう言うことを自分で言わないの。
エルナ: 問題というのは我々の本来の目的ですね。
ティマ: うん。詳しくは聞いてないけどここの軍隊が反乱をするのを防ぐために来てるんでしょ~。この件にはそれほど時間をかけられないよね。
アイス: あ、そうか。それもどうするか決めないと・・・
ゴウダン: キャラクター的にはどうするか決まってるから、他の人の意見が聞きたいところだ。
エルナ: 私たち以外の他の人たちはどんな意見ですか?
GM: セイバーとランサーは保留。ミズガルドは攻めるべきというね。
セレナ: おいおい、砦の兵士はどうするんだ?
ミズガルド: 彼らは兵士だ。自分の身よりも国家のことを考えるのが当然だろう。
ゴウダン: たしかに、あなたの言っていることは正しい。
アイス: ゴウダンさん!?
ゴウダン: だが私は、可能性があるかぎり助けられる者を救いたい。どちらかといわれても「どちらも」と言いたいのだ。
ティマ: 良いんじゃないそれで。
セレナ: ああ、叶うならそれが一番いいな。
ティマ: それに・・・なんかおかしいんだよねこの交渉。
チャーミー: あ、あんたもそう思う?
アイス: なんの話ですか?
ティマ: アマランの交渉の条件だよ。あれだけの力があるんならこちらに交渉を持ちかけなくてもパワーゲームでどうにかできたはずなんだよね~。
チャーミー: それに、あいつの力なら立てこもりなんかしないほうが早く力を回復させれそうだしね。
セレナ: エルナ姫に話すことでこの交渉を帝国の正式な交渉にしたかったんじゃないか?
ティマ: うーん。その可能性もあるんだけど、それならあそこできっちり話を纏めないといけないんだよね~。下手すれば思わぬ伏兵が出てくる可能性があるわけだしさ~。帝国内部でこの条件が承認されるわけないしね~。まあ、それぐらい自分たちの力に自信があるのかもしれないけど~。
チャーミー: ふーん、さすがに毎回へんな策略ばっかり考えてるだけはあるのね。
ティマ: それは、誉め言葉ですか?
チャーミー: うん。
アイス: えーと、つまりどういう事ですか?
エルナ: つまり、今回の交渉には裏があるって事ですねティマさん。
ティマ: ま、その可能性があるよね~。
GM: (うん。たしかに、そのとおりなんだけどね。)
ゴウダン: しかし、だからといってここで何もしないわけにはいかないだろう。
エルナ: そうですね。今、こうしている間にも多くの兵士があの砦で命を奪われようとしているわけですから。
GM: 君たちがそこまで言うとミズガルドさんが口を開くぞ。
ミズガルド: 私は個人的には兵士達の命を優先するのは反対なのだが・・・彼らを助ける手段がないわけではない。
セレナ: 本当か?
ミズガルド: うむ、あの砦には敵の急襲に備えて隠し通路が用意されているのだ。そこを逆に辿ればアマランに気がつかれず砦にはいることができるかもしれない。
ティマ: なるほど~、砦や城に隠し通路はセオリーだからね~。
チャーミー: でも、今までこっちと違う立場だった堅物がこちらに協力してくれるのは危険ってのもセオリーよね。
アイス: 信じていいんでしょうか?姫さま。
エルナ: ミズガルドさん、あなたが何故その隠し通路のことを知っているのですか?
GM: 君がそう聞くと、彼は難しい顔でこう言ってくるね。
ミズガルド: あの砦は兄が設計に関わった物です。もしもの時のために私もその図面に目を通さしてもらっていたのです。正直にいえば私はエルナ様の作戦はあまり支持したくありません。しかしエルナ様がお決めになったのであれば私としてはその作戦の成功率を上げるだけです。
エルナ: ありがとうございますさんミズガルドさん。
セレナ: それでその隠し通路の行き方は?
GM: 君がそう聞くと彼は懐から地図を取り出しながら説明してくれる。
ミズガルド: この村から南に少し行ったところにガヤンの祠があるのだが、その祠から直接入ることができる。通路は基本的に一本道だ。
アイス: でも、それだとアマランにはすでにばれてるんじゃないんですか?
GM: 君がそう言うと、彼は少し声のトーンを落としてこう言ってくるね。
ミズガルド: その可能性は否定できんな。しかしこの通路以外であの吸血鬼に気がつかれずに移動する手段はないと思う。
ティマ: なるほど、難しい選択だね~。
ゴウダン: それでも、可能性があるのなら調べてみたいんですが。
エルナ: そうですね、調べてみる価値はあると思います。
GM: 君たちの言葉に頷きながらは彼はさらに続けるね。
ミズガルド: 隠し通路なのだが800メルー(m)ほどの直線があり、防衛用の扉。そしてもう一度800メルー(m)の通路という行程だ。通路の幅は2×2メルーだな。
アイス: じゃあ160mですね。
セレナ: おいおい、小さい通路だな。1,6kmだろ。
アイス: あ・・・そうですね。
チャーミー: しっかりね。ア・イ・ス。
アイス: え、あ、うん。
ティマ: さて、その通路の幅だとこのメンバー全員で行くのは危険だね。向こうでアマランに襲われたりしたら一発だよ~。
セレナ: そうだな。なにせ向こうは霧だもんな。長々と隊列を伸ばしたら煙に巻いてくれって言ってるようなもんだ。
GM: (お、こっちが言わなくても勝手に考えてくれた。)
チャーミー: じゃあ、メンバーを考えないといけないのね。あ、ポカリ取ってー。
アイス: あ、はいはい。
ティマ: そうだね~。ここまで真面目な話をしてあみだくじは問題だろうし
ここから一同はメンバーを考え始めた。その結果通路の調査はゴウダン、キティ、チャーミー、セイバーというパーティになることになった。
GM: じゃあ、早速移動するのかな?
真面目な愛泥
チャーミー: まあ待って、その前にアイスと話す時間ぐらいあるでしょう。
アイス: え、ああ、僕とですか?何故に・・・
チャーミー: うん、大丈夫。もちろんキティも一緒だから。
アイス: えーと、それは・・・
チャーミー: (少し寂しそうな声で)もしかして・・・嫌?
アイス: あー、わかってるんですよ。これはきっと罠なんです。今までいろんな事がありましたからね僕だってわかりますよそれぐらい。
GM: で、どうするの?
アイス: (きっぱりと)罠にかかります。だってそんな声で言われたらしょうがないじゃないですか。
一同: (笑)
チャーミー: じゃあ、軽く散歩しながら話そうかしらねアイス。
アイス: えっと、なんの話かなチャーミー?
チャーミー: え、何となく気がつかない?
アイス: ううう、気がつきたくない。
一同: (笑)
チャーミー: だーめ。さあ、時間もないんだしここで話してね。あなたは「誰が」好きなの?
アイス: えええええええ。いや、あの、その、えええっと。
チャーミー: キティ?それとも私?エルナ?
アイス: それは・・・そのぅ。
GM: ちなみにキティは一言も喋らない。そのかわり君にすがるような視線をずっと向けているぞ。
アイス: う、う、うーん。僕は誰が好きなんだろう?
一同: (笑)
チャーミー: (ため息をついて)あのね。私が聞いてるんだけど。
アイス: あ、あああ、整理させて。ぼくはキティのことは絶対に好きだよ。でもエルナ様のこともサポートしたいんだ。
チャーミー: 私はどうなの?
アイス: 君のことはわからないんだ。だって僕は君のことをまだなんにも知らないし。
セレナのPL: (小声で)何か聞いてる方が恥ずかしいんだが。
ティマのPL: (小声で)まあ、じっくりと聞いてあげましょう。
チャーミー: まあ、それが普通でしょ。だったら私の事は気にしなくていいわよ。
アイス: うん・・・て、そんなことできません!
チャーミー: なんで?
アイス: 理由なんてわかりません。いやわからないよチャーミー。だけど君がここにいるのは僕のせいでもあるんだし。
チャーミー: あのね、同情とか。キティに似ているからとかでの好意は正直迷惑なんだけど。
アイス: そんなんじゃないです。あ、そんなんじゃないよチャーミー。
ティマのPL: (小声で)アイス、落ち着いて。
アイス: 僕は、僕は・・・ああ、言いたいことが言葉にならない。
チャーミー: 別にちゃんとした文章にしなくてもいいけどね。
アイス: 僕は、あ~やっぱり君のことを助けたいんだよ。
チャーミー: (静かな声で)さっき言ったよね、同情とかは迷惑って。
アイス: 同情だけじゃないだ。そりゃキティに似ているとかもあるよ、でもそれだけじゃなくていろいろ混ざってる。僕はそれをそんな綺麗な形にできないんだよ。
セレナのPL: どういう事だ?
ティマのPL: 察するにチャーミーに対する思いを「愛情」とか「同情」といった一つの感情に纏められないと。いろんな感情や葛藤があって現在のチャーミーに対する気持ちになっているからそれを一つの言葉で表すことができない。といったところではないでしょうか?
アイス: あ、そんな感じです。
チャーミー: それで、結局あなたは私をどうしてくれるの?
アイス: 僕は君が幸せに暮らせるようにしたい。
チャーミー: それは私の世界を救ってくれるの?
アイス: 僕は、キティのことが好きだ。だからキティの分身みたいな存在の君も幸せになって欲しいんだ。
セレナのPL: 顔真っ赤だなアイス。
ティマのPL: ですね。
チャーミー: で、その方法は?
アイス: えーと・・・
チャーミー: ちなみに世界を救うのはとても大変なんだけど。
アイス: それは・・・その。
チャーミー: あなたの技量でできるの?
アイス: えっと無理だと思う。でも、君の力にはなりたい。なにか少しでも。
チャーミー: ふーん。あ、GM、彼の不意ってつけます?
GM: うん?まあ戦士としての技量は君の方が上だし、アイスは君との会話で一杯一杯みたいだしね。
チャーミー: じゃあ、彼の唇でもいただきます。
一同: (歓声)
アイス: ええええええ!な、なんんでです?
チャーミー: まあ、何となくかな。結構嬉しかったりしたから。
アイス: は、はぁ。
GM: ところでアイス君?キティはどうするの。
アイス: (しばし考えた後)GM、キスに対して全力防御って可能ですか?
GM: いや、喰らったあとで言うなよ。
キティ(エルナのPL): アイスさーん?
アイス: えーと、キティ。僕は最低かな?でも僕はこんな答えしか出なかったんだけど。
キティ(エルナのPL): いえ、アイスさんの言いたいことはよくわかりましたぁ。
アイス: よかった。
キティ(エルナのPL): はいぃ。だから今度は私とお話ししましょうねぇ。
アイス: えーと、キティ?怒ってないよね。
キティ(エルナのPL): (静かな声でにこにこと)はい、ちっとも怒ってませんよぉ。
こうしてアイス君の苦悩はもう少し続いたりする。
愛泥了
裏切りと決戦の・・・
GM: さて、会話もすんだところでいよいよダンジョンかね?
ゴウダン: そうだな。準備が整ったのなら少しでも早いほうがいいだろう。
GM: わかった。では君を含めた4人は砦に向かって移動する事になる。
チャーミー: じゃあ、この間はキティは本家がする事になるのか。
エルナ: え、私ですか?
チャーミー: うん。
GM: ほ、本家って・・・まあいいけどね。
ゴウダン: では移動を開始します。
一行はこうして移動を開始した。とはいえ僅か1,6kmの道のりである。何もなければあっという間についてしまう距離だ。事実1枚目の扉までは何事もなく突破したのだが・・・
チャーミー: このままなんにもなくゴールでいいの、GM?
GM: まあ、そう慌てずに聴覚判定をおこなってくださいな。
ゴウダン: えーと1成功です。
キティ&チャーミー: 3成功。
GM: セイバーが2成功か。隊列はゴウダン、チャーミー、キティ、セイバーで灯り持ちはゴウダンとキティでいいんだよね?
ゴウダン: ええ、それであってます。
GM: ではチャーミーにはこれから進む先に灯りに照らされてかすかに霧のような物が見えた気がしたよ。
チャーミー: それならゴウダンに止まるように言うけど。
ゴウダン: もちろん止まります。
GM: (引っ掛かったね。)じゃあ君たちは足下に黄色い霧のような物を確認することができる。
チャーミー: これってあれなの?
ゴウダン: とりあえずブレイバーを準備します。それと松明はチャーミーに渡します。
GM: OK。霧は君たちの前進を防ぐように揺らぎの壁になっているぞ。
チャーミー: GM。前がそう言う状態になったのならこっちはゴウダンから松明を受け取ってキティと入れ替わるから。
GM: おや、なんで?
チャーミー: さすがに後ろからも来られると困るから。こういう場合真ん中が照明を受け取った方が橋の二人が迎撃に専念出来るし。
GM: (いや、そのとおりなんだが・・・それだとこっちの都合が)
ゴウダン: それで霧はどうなっているんですか?
GM: 霧は君たちを徐々に覆っているね。
ゴウダン: 一応、ブレイバーを光らせて攻撃してみますがどうですか?
GM: 攻撃すればその瞬間はかき消えるが、またすぐにより集まってくるね。
ゴウダン: これは・・・後ろまで一旦引くべきだな?
GM: (お、決断が早いな・・・不意打ちにならないがこの状況ならいいか。)じゃあ、君が後退しようとすると、セイバーがチャーミーに斬りかかるよ。
チャーミー: 受ける。
GM: 松明は「受け」には適してないぞ。
チャーミー: だれが松明で受けるって言ったの?「鉄の腕」で受けるんだけど。
GM: む、それなら問題なく受けれるな。
チャーミー: (コロコロ)成功。こっちは松明をすてるから。
GM: いいだろう。しかしそっちがその気ならこっちも全力で行かせてもらおう。
キティ(エルナのPL): セイバーさん!どうしてですかぁ。
GM: キティの声に彼の表情は一瞬曇るがすぐに剣を振り返す。というわけでフェイントから即攻撃の重要器官狙いだ。(コロコロ)8点の刺しだ。
アイスのPL: チャーミー!
チャーミー: 大丈夫。(コロコロ)倒れてないし痛いけどまだいけるから。じゃあこっちはセイバーの剣を持っている手首を狙うから。(コロコロ)命中。
GM: む、(コロコロ)喰らってるな。
チャーミー: (コロコロ)じゃあ、お返しに8点の切り。
GM: えーと、まだ手首は使えるぞ。
キティ: チャーミーに大治癒の準備をします。
ゴウダン: く、援護したいがここからでは方法がないか。
チャーミー: 大丈夫だと思う。
GM: そう言ってられるのも今のうちだ(コロコロ)フェイントが13成功とかだ。
チャーミー: (コロコロ)4ほど見切れてないかな。じゃあこっちは全力2回攻撃。両方とも相手の手首を狙う。(コロコロ)命中の(コロコロ)命中。
GM: 相変わらず思い切りがいいな。(コロコロ×2)あ、2回目よけれてない。
チャーミー: (コロコロ)ダメージは7点。
GM: く、この攻撃で手首が使えなくなった。
剣の名手も剣が使えなければ、ただの戦士。この勝負はこの時点で決着がついてしまった。
チャーミー: 最初の攻撃で私の手首や、目を狙えば結果は逆だったのにね。そっちの慢心が今回のポイント。
GM: む、言い返せないな。しかしセイバーを倒したのはいいが、前には霧が迫っているぞ。どうするのかね?
アマランゾウスの光と影
チャーミー: む、そういえば結構厄介な状況だったのね。
キティ(エルナのPL): ここはやっぱりぃ、一旦撤退じゃないでしょうかぁ。
ゴウダン: いや、私は少しだけ先に行ってみたいんだが。二人は危険を感じたらすぐに退避してくれ。
チャーミー: それはいいけど意外ね、あなたがそんなことを言うなんてね。
ゴウダン: ああ、自分でも危険だとは思うがセイバーがこの状況でも我々を攻撃してきた理由はこの霧にあるような気がするんだ。
セレナのPL: そう言った彼はそれっきり帰ってこなかった・・・バッドエンド。
アイスのPL: さすがに今それは不味いんじゃないですか?
GM: じゃあ君はこのまま前に進んでみるんだね。
ゴウダン: はい。もちろん何かあればすぐに引き返しますが。
GM: わかった。君が真っ直ぐに進んでいくと霧は君の体にまとわりついてくる。
ゴウダン: それで何か体に変化はありますか?
GM: 今のところはないよ。
セレナのPL: そして気がついた時にはこの気流ならぬ霧に完全に体の自由を奪われて吹き飛ばされると。
ゴウダン: 何もないなら、さらに先に進むぞ。
GM: (む、これは予想外だ。)じゃあ、2枚目の扉が見える。ただそこには横穴があるけどね。
ゴウダン: 横穴?
GM: そう横穴。そしてその先には一人の少女が石のベットで寝ているわけだ。
ゴウダン: 少女ですか。そう言えばアマランも見かけは美少女でしたよね。
GM: うーん。そうなんだけど今回のはもうちょっと幼い感じだ。
チャーミー: そう言えばアマランの外見イメージってどんな感じなの?
アイスのPL: やっぱり霧の中に浮き出た感じなんじゃ?
チャーミー: いや、そうじゃなくて顔とかね。
ティマ: アルクェイド=ブリュンスタッドはイメージに合いませんね。
エルナ: 悪魔城シリーズ「月下の夜想曲」のアルカードを女性化したような感じではないですかね。
GM: いや、個人的にはさる魔法先生の真祖をもう少し邪悪にしたイメージなんだ。
ティマ: え、エヴァンジェリンですか。
チャーミー: どんな感じなの?
ティマ: 金髪のロングで冷たい感じのややつり目・・・えーと、そこの本棚にたしか入ってたと思いますよ。
GM: うむ、今回の資料用に買ったのだよ。
チャーミー: ふーん。
ゴウダン: GM、つまり私の知っているアマラン=ゾウスにそっくりの少女が眠っているのか。
GM: うん。ただ、今は彼女の体から邪悪な気配はしない。
ティマのPL: つまりアマランの本体ですかね?
セレナのPL: だとすればここで倒せばかなり楽になる。
ゴウダン: なるほど、それはそうだが・・・
ゴウダン達が霧深き隠し通路で、アマラン?と遭遇している頃、残ったメンバーにも危機が訪れていた。
GM: ゴウダン達は地下に潜ったわけだけど、君たちはその間どうするの?
アイス: 僕はとりあえず姫さまの護衛ですね。
エルナ: 部屋でゴウダンさん達の帰りを持ちます。
ティマ: じゃあそこに僕も一緒にいさせてもらおうかな~。
セレナ: 俺はの近くにいる。どうもあいつは嫌な感じがする。
GM: どの辺りで?
セレナ: 宿で部屋が違うなら、部屋の見える辺りで見張っておこう。
GM: (まあ、そうだろうね)じゃあ各人の動きはそれでいいね。じゃあセレナ君。聴覚判定をお願い。
セレナ: (コロコロ)3成功だ。
GM: (ふむ)じゃあ君は、ミズガルド氏の部屋から何かが倒れるような物音がしたのに気がつく。
セレナ: 部屋に近づいてみるな。一応聞き耳も立てておくが。
GM: じゃあ、もう一回聴覚判定をお願い。
セレナ: (コロコロ)あ、2失敗。
GM: その後はとくに物音を聞くことはなかったよ。
セレナ: とりあえず部屋に入ってみる。鍵は?
GM: かかってるね。
セレナ: 面倒だな。そう言えばランサーはミズガルドの部屋にいたんじゃないのか?
GM: うん。彼はミズガルドの部屋に一緒にいたはずだ。
セレナ: なんで出てこないんだ?とりあえず一旦エルナの部屋に行く。
GM: じゃあエルナ達が部屋でゴウダンの帰りを待っていると、セレナが入ってくるわけだ。
エルナ: どうしたんですかセレナさん?
セレナ: ああ、ミズガルドの部屋の様子がおかしいんだ。見に来てくれないか?
エルナ: ミズガルドのさんの様子はどうなんですか?
セレナ: それが返事がないんだ。
エルナ: わかりました。といって席を立ちます。
アイス: お供しますよ姫さま。
ティマ: 僕だけ残ってると一人のところを襲われそうだからね~。一緒に行くよ。
その後宿の主人に話をつけて鍵を借りた一行は、ミズガルドがいるはずの部屋に雪崩れ込むのだが、そこにはあの影があった。
GM: 君たちが部屋にはいると、部屋の中は濃厚な血の臭いと、濃霧に覆われている。
ティマ: えーと・・・それって当然黄色い霧かな?
GM: もちろん。そして問答無用に攻撃をしてくるぞ。
セレナ: うお。デストラップ!
アイス: 不吉なことを言わないでください。
吹き荒れる「月下美刃」の雨。遮蔽物を影にして必死に攻撃を防ぐ一行だが、アマランに対して決定力を持たない。
戦闘は犠牲者必至と思われたが・・・
GM: 全員回避?じゃあその攻撃を最後に霧は窓から姿を消す。
アイス: た、助かった。
エルナ: ミズガルドさんは?
GM: 部屋の隅にはランサーだと思われる首無し遺体がある。
セレナ: ちっ、惨いな。
GM: そしてその遺体が庇うような恰好で大量の血痕がついたミズガルドの服が落ちている。
エルナ: そんな。じゃあミズガルドさんはいないんですか?
GM: 姿は見えない。
セレナ: 後手後手だな。あの時に俺が無理にでも部屋に入っていればな。
ティマ: 被害者が増えただけかもしれないよ。でもやっぱりあの少女が本体かな~?
GM: そこいら辺の情報はまだメタ情報だぞ。
恐るべき力をもつ霧の女王。パーティは彼女にいかなる戦いを挑むのか。風雲急を告げつつ物語は次回の扉を開ける。
閣下と臣民のお部屋
閣下: また中途半端なところで切ってるね、今回は。
夏野: まあ、内容を完全に把握してる人から見ればそうでしょうね。
閣下: これ、あと1回でリプレイとして完成するの?
夏野: わかりません。
閣下: おいおい。
夏野: まあ、いいわけを言わしてもらえば、本編のセッションは1回平均4~5時間程度でしたが今回のセッションは前後編で15時間以上の骨太の物でしたからね。
閣下: で、自分の不出来をセッションの長さを理由にすると?
夏野: う・・・
閣下: で、どうするの?
夏野: とりあえず予定としてはあと2回にわけて書こうかと思います。もっとも編集の段階で1回に纏め直すかもしれませんが。
閣下: うむ、くるしゅーな~い。
夏野: それと皆様お待ちかね、チャ-ミーのデータです。
チャ-ミー=サリオン (?歳、金髪碧眼、童顔の美少女)
ST:11 DX:15 IQ:13 HT:11
有利な特徴:ハーフエルファ(DX、IQ+1、自然への義務感) ウィザード基本セット 容貌美人 戦闘即応 我慢強い
不利な特徴:肉体的特徴(猫耳、猫尻尾、肉球) 狭量・エルファ 直情(軽度)
船酔い 身長が低い 嫌な行動・酒やマタタビ系の植物で悪酔い(半日はそのまま)
癖:物事をすぐに決断しない奴は嫌い 練丹術は好きではない ほおを書く癖がある じつは嫉妬深い おいしいものが好き(とくに魚)
技能:格闘15 両手剣17 エルファ語12 身体感覚13 応急処置13 軽業13 ランニング8 戦術10
呪文:体力賦与 生命力賦与 浮遊 飛行 高速飛行 瞬間移動 瞬間回避 他者移動 痒み ひきつり 不器用 素早さ 怪力 鉱物探知 水探知 空気浄化 発火 弱点看破 弱体化 見せかけ 応急修理 修理 盾 鎧 鉄の腕 (移動系、肉体操作系+1)
移動力:6 よけ/受け/止め:6/10/- 防護点/受動防御:5/4
武器:謎のバスターソード/目標値18=刺し/1D+3/切り2D
防具:緑の主のレプリカ(軽量)
能力CP:90 特徴CP:57 技能/呪文CP:13/24 CP総計:184 未使用CP:0
夏野: 見ればわかりますが、非常に強力な「魔法戦士」ですね。
閣下: 全くだ。普通に戦ったらアイスに勝ち目はないね。それと彼女の使っているのは例の異世界でゴウダンが敵からもらった剣だ。もっとも彼女は剣の真名を知らないから現時点では「確かさ」のかかった最上質の突きさし用バスタードソードにすぎないけどね。
夏野: 無茶苦茶強いですけどね。それ。
夏野の何気ない一言で終わる。