黄金の羊亭新館

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第20話「借り免許の英雄達」

ここに一つの物語が終わりを迎える。

長き旅の中で彼らは何を思うたか。

長き旅の終わりに彼らは何を得たのか。

全てはここに・・・

 

第20話「借り免許の英雄達」

 

GM: では恒例の成長報告をお願いしようかな。

アイス: 最終回だっていうのになんかいつもと変わりませんね。

GM: む、たしかに流れ的に最終回みたいな香りがするし、時間も今回は多めにとらせてもらった。しかし、だからといって最終回とは決まってないぞ。

ラック: そうやで、わいはこのGMのゲームで「最終回」いう言葉を全八回中の2回目で聞いたことがある。

GM: はははっは。いや、ここで昔の話はやめようね。

アイス: では成長報告ですね。

GM: うん。ついでに前回に買った物もいってくれ。

ラック: あれ?それは前回メモってたやないか。

GM: はは、そのメモを紛失してしまってね。

アイス: じゃあ僕からですね。とりあえず残っていたムーナで「戦士」「筋力」を2本と「無敵」のエリクサーを買いました。ちなみに戦士と怪力は廉価版ではなくて本物ですよ。成長のほうは念願だった「ソードブレイカー」を上げることができました。それとキティも「ショートソード」を成長させました。

ラック: けどそれでやっとアイスは16レベルやろ。

アイス: ふふ、甘いですよラックさん。ハードブレイカーじゃなければ15LVです。

ガラ: やから威張ってどうするんじゃ!

エルナ: 私はとりあえず「時間奔流」を20レベルまで上げました。買った物は「幸運」のエリクサーを3本です。

GM: 言っておくけど「幸運」のエリクサーは緊急時だから手に入ったのであっていつもはそう簡単に手に入りはしないからね。

エルナ: わかってます。

ラック: わいは本式の「筋力」と「戦士」を買ったで。これ以上は絶対にジェニはださんからな!

一同: (苦笑)

ラック: あ、成長やけど「槍」をあげたで。

アイス: なんか僕との実力差がますます開きましたね・・・

ラック: 大丈夫や。前に出たお前のことはあてにしとらん(笑)

アイス: うう、僕なんて。

GM: 次の人。

ガラ: わしもとりあえず「筋力」と「戦士」を一本ずつ。これで前に行く可能性のあるメンバー全員ぶんになるはずじゃ。それから「幸運」を1本。これも誰かが後一本買えば全員ぶんになるわい。成長は「大治癒」のレベルを上げた。ちなみにティマも同じじゃがついでに「透明看破」を覚えた。最終戦じゃし癖のある奴が多そうじゃからな。

ラック: 成長はええけど、わいは自前で運が良いからエリクサーは大丈夫やで相棒。

ガラ: おっとそうじゃったな。それとティマがネームレスに頼み込んで「ラッキーダイス」を1個買っておいた。

GM: む、彼の名前を持ちだしてくるのか・・・事情は話すの?

ガラ: それはもちろん。

GM: なら、買えるだろうな(これはボスの能力を少しいじっておいたほうがいいかな)

ケンゼン: わしの欲しい物は買えるぜよか?前回言ったぜよ。

GM: だからその紙を紛失したんだってば。何が欲しいの?

ケンゼン: 今より良いカルシファードブレードぜよ。

GM: 無理。

ケンゼン: ちゃー。じゃあとりあえず新しい鎧を買うぜよ。

GM: ああ、それならソノー氏が手配してくれる。黒光りする立派な超軽量ハーフプレート・メールが君の基に。

ゴウダン: む、あんな短期間に準備するとはすばらしい人脈だな。

GM: 家の倉庫にあった物らしいけどね。

ケンゼン: ちゃちゃ、さんきゅうぜよ。じゃああとは「祝福」の護符を買うぜよ。

GM: かまわんがあれはとても人気が高いから常に品薄だ。3Dを振ってくれ。

ケンゼン: 9ぜよ。

GM: じゃあ定価の3割り増しで購入できる。

ケンゼン: 問題ないからそれで買うぜよ。それから成長は「つむじ風」のレベルを上げたぜよ。

ゴウダン: 私は予備用に「戦士」と「怪力」を買った。それと「荷役」と「治癒」を2つ。成長は「斧投げ」を覚えた。

ラック: こうして飛び道具使いがまた一人やな。

GM: しかし君たちが潜伏している町にはそんなにエリクサーは置いてないはずだが。

ゴウダン: うむ、だから帝都に連絡をしていたキッソスに合流先で集めてくれるように頼んだはずだが。

GM: あ、そうだったね。(さてこれは本気でデータをいじるか)ではゲームを始めましょうか。

 

決戦の扉は今開く

 

ラック: 最後か・・・なんか感慨深いな。

GM: まったくだよ。さて君たちは空の七月殲滅のために決戦の地である鬼面都市バドッカに向かうわけだ。

ガラ: やはり最後はあそこになるわけじゃな。

ラック: まあ、ちゃんとした理由があってあんな形の町になったわけやしその背景を使った方が進行も早いわな。

GM: おいおい、君たちはそこいらの事情は詳しく知らないんだが。

ラック: おっとそうやった。じゃあわいらはそこいら辺の事情をしらんのやな。

GM: うん。まあここいら辺の事情はキッソスさんが話してくれるけどね。

ラック: なんやてー!バドッカには神にも匹敵する力が隠されてるやて。

ガラ: なるほどあの巨大な町はもとは巨大な巨人でそれの顔が丸ごと町になったわけじゃな。当然その内部には巨大な力が存在しておっても不思議ではないの。

GM: いや、まあそうなんだけどね。

エルナ: ところで、移動していると言いましたが、我々の移動手段はなんなんですか?

GM: 謎のメカ。

一同: (笑)

アイス: えーと、謎のメカですか!

GM: うん、キッソスさんが運転している謎のメカ。大型のグライダーのような物体を創造してくれればいいかな。

ラック: キッソスはん、これは何なんや?

キッソス: これはこの前のサーライト事件の時に知り合った女性が手配してくれた物で、多足の物が作ったらしいが。

ラック: まちがいないな、あの人やな。

ガラ: うむ、間違いなかろう。

アイス: 出てこないですかね?

ラック: ああいうキャラはGMが演じわけがきついやろうから無理やないか?

ガラ: 何時にもまして突っ込みがきついの相棒。

ラック: まあ、最後やしな。

エルナ: 移動しているのは私だけですか?

GM: 正確にはまだ移動準備中だけどね。バドッカに移動しているのは君たちとバーベナ、キッソス。そしてエフラワだ。

エルナ: (慌てた口調で)ちょっと待ってください。なんであの子が?

GM: 簡単なことだよ。彼女がいなければ君たちはサーライト達のもとに行くことができないからだ。

アイス: (首をかしげて)サーライトが呼びかけてるんですか?「娘が来ないと扉は開けてやらんぞ~」とかって言って?

GM: うーん、そんな説得は嫌だな。そうではなくてキッソスによると件の場所には結界が張ってあって、そこに続く鍵がエフラワ姫らしい。

ラック: ふーん。でもエフラワをただの鍵ですますわけないわな。

ケンゼン: きっと、そのまま何かに利用されるぜよ。

エルナ: キッソスさん、他に扉を開く方法はないのですか?

キッソス: ああ、すまないが現在わかっているのはこの方法だけだ。

ラック: やれやれやな。けどそれならエフラワの身の安全も考えないかんな。

エルナ: そうですね。一番いいのはエフラワが行かないことなんですけど。

ガラ: しかしそれでは、結界を突破できん。厄介な状況じゃ。

 

一行は話し合いをしながらバドッカに向かった。

 

GM: グライダーの速度だと日が落ちる前にバドッカにつくよ。

ケンゼン: ちゃちゃ、早いぜよ。

アイス: 多足の物の発明はすごいですね。

ラック: それはええんやけど、こんな謎の飛行物体が町の中に入ってええんか?最悪は打ち落とされるで。

GM: 大丈夫。住民は避難しているから。

ラック: わいの予感やと、謎の地震がバドッカをおそったんやと思う。

ガラ: うむ、わしの推測ではその地震はこの町の奥深くに封印された力が原因であるはずじゃ。

GM: (二人を無視して)グライダーは町の中心部の一角に下りるね。

キッソス: この先にある井戸がサーライト達のいる場所に繋がっているようだ。

アイス: 行きましょう。

ラック: お前がそのかけ声をつかうんは早いで。

アイス: うう、何故にぃ。

エルナ: まあまあ、アイス。そうだ、今のうちにエリクサー類は飲んでおきましょう。

ゴウダン: そうだな。それとGM、私のベルトポーチをエフラワ姫にに渡します。

GM: なんで?

ゴウダン: 荷重の関係です。

GM: 渡されたんなら預かるけどね。

GM: (最後まで締まらないな)君たちが井戸に近づくとそこには見知った顔が立っている。

ゴウダン: ありがたいな。他にも支援者がいたのか?

GM: 支援者ではないだろうね。なにせ彼女は黒髪のエフラワだからね。

アイス: それってまさか?

ケンゼン: えーとリカさんぜよ。

GM: 本名忘れたな。ハイペリカだ。彼女は優雅に一礼をして君たちに向かい合う。

リカ: お久しぶりです皆さん。

エルナ: エフラワを庇いながら、彼女に聞きます。何故あなたがここにいるんですか?

リカ: 私がここにいてはいけませんか?偽りの姫君。

ラック: いや、普通に考えたらあんたがおるんは普通や。けどな、わいの考えではとっくに中に入ってるとおもったんやがな。

リカ: ええ、私もゴールド様と一緒に行来ますとも。この用事が済み次第ね。私がここにいるのは半分は私のわがままです。

ガラ: 悪いがこちらもいそいどるんじゃがの。

リカ: 簡単にすみますよ。もっともそれが嫌な場合は、ここであなた達の時間を浪費させて頂きますがね。

ラック: えらい不自由な選択やな。それでなんのようなんや?

リカ: 簡単ですよ。私の質問に答えてくださいゴウダンさん。

ゴウダン: 私か?

リカ: ええ。質問があるんですよ。

ゴウダン: かまわないが。

GM: ではゴウダンは君にこう切り出す。

リカ: あなたは神にでもなるつもりですか?

ゴウダン: うん?なんの話だ?

リカ: だってあなたは弱者を救おうとするんでしょ?それは突き詰めれば神の行動でしょう。

ゴウダン: 悪いが私はそこまでの力はない。私は弱くて小さな存在だ守れる存在など限られている。

リカ: なら何故人を救おうとするのですか?結局はただの自己欺瞞じゃないのですか?

エルナ: それは違います!

ティマ: そうだよそれは・・・

ゴウダン: すまないが二人とも、ここは私に喋らせてくれ。

ティマ: わかったよ。

ゴウダン: 私は父と母に命を守られた。もう顔すらも思い出せない両親だが、私の両親が残してくれた思いのおかげで私は生きてこれた。

リカ: それは血の繋がった者としてあたりまえの事じゃないですか。

ゴウダン: それは違う。人は弱いたとえ血の通った息子だって自分の命と天秤にかければ助けるのはためらわれるだろう。それは強さだ。

リカ: 何が言いたいんです?

ゴウダン: 人は弱い。だから強くなろうとする。いや、あるいはその弱さから目を背けて生きようとするかもしれない。弱さを受け入れてその中で必死に生活していくかもしれない。なんにしても人は最初から強くなんてない、少しずつ時には逃げ出したり、後ろを向いたりしながら強くなるんだ。その人達を「弱い」という理由で見捨てようとする存在がいるかぎり、私は彼らを守るために戦う。

リカ: ほら、全てを救うと言っているじゃないですか。

ゴウダン: いや、そんなことは私一人では不可能だ。

リカ: なら。

ゴウダン: しかし私一人では不可能でも、7人で50人生命を守れたんだ。それならもっと多くの人たちが協力すればもっと多くの命が守れるはずだ。

リカ: それこそ不可能ですよ!

ゴウダン: 不可能か可能かではない。そこに私の目指す道が見えたのなら行くだけだ。

リカ: やはり私とあなたは決定的にあわないようですね。

ゴウダン: ならどうするのだ?

リカ: こうするんですよ!

GM: そういうと、彼女の影が伸びてエフラワに迫るが。

ゴウダン: エフラワをガードする。

エルナ: 同じくです。

アイス: もちろん僕もです。

GM: (ニヤリ)では君たちが防御している反対側から、エフラワに斬撃が迫る。

ラック: しもた!陽動か。

GM: そのとおり。さて受動防御でダイスを振ってもらおうか。ちなみに彼女の受動防御は装身具などを含めると5だ。バトルファンも使っているが今回は開いてないから無効だ。

ケンゼン: で、誰が振るぜよ?

GM: (嬉しそうに)それはやはりゴウダンじゃないかな?

ゴウダン: わかった(コロコロ)9だ。

ガラ: まったそのダイス目(出た目は1,2,6)ならラッキーダイスを使えば、6が振り直せるんじゃ。やってみんか。

ゴウダン: 使おう(コロコロ)3。

GM: 残念だったね。

ゴウダン: (笑いながら)そうでもないですよ。だって祝福の効果があれば成功でしょう。

GM: うん?そりゃ確かにそうだが、彼女は祝福のアミュレットなど持ってないぞ。

ゴウダン: 彼女に渡していたベルトポーチの中に私の護符が入っています。あれは身につけていれば効果があるんでしょう?

一同: (歓声)

GM: ぬぅわに!!

ゴウダン: いったはずですよ。彼女は守るってね。

ラック: かっこいいでゴウダン。

GM: く、なら謎の一撃は彼女の衣服を傷つけただけだ。

ラック: 敵の姿はないんか。

GM: ないね。

ガラ: 全員でエフラワ姫をガードするんじゃ。といいながらラックに「痛み止め」に集中じゃ。

ティマ: 僕は「透明看破」に集中するね。

エルナ: キティはこちらで操っていいんですか?

アイス: あ、お願いします姫さま。

エルナ: じゃあキティはアイスに「素早さ」をかけます。

GM: ならばこちらも全力を出そうかな。まずリカは・・・

ラック: なあ、前から思ってたんやけど、その愛称やと本編のアレイシアの母親と一緒なんで愛称かえへんか。

GM: う、しかし自分で名前をつけといてなんだが「ハイペリカ」という名前は呼びにくくてね。最後だし前編通してリカさんと呼ばせくださいな。

ラック: ま、ええか。それで例の髑髏面がでてくるんか。

GM: うむ。彼女の影からニョキニョキと(笑)

アイス: 茸ですか!

ラック: ま、食っても巨大化はせんやろうしむしろわいらが死ぬやろうけどな。

GM: そして同タイミングで君たちの背後から二人の人物が現れる。

ケンゼン: 誰ぜよ。

GM: 熊を連れた派手な赤いマントをつけた男と、白いローブの二人連れだよ。

ガラ: たしか夢幻のバイアルス・・・ともう一人は誰じゃ?

GM: 君らがそういうと、そのローブの男は気取った動作で君たちに一礼する。あ、40ぐらいの面長の美形ね。

ローブの男: 私の名は深謀のボルトス、ワイアートに代わって空の7月に入った賢者だ。

ラック: あ、そうなんか。頑張ってな。

GM: む、反応が薄いな。

ラック: だってな。最終回寸前に数あわせで出てきたキャラはたいしたことないって相場が決まってるやん。ましてや自分で賢者とか言うとるし。

GM: (そういっていられのも今のうちだぞ)では戦闘開始だな。

ガラ: その前にこっちの呪文は全て完成したと思ってでいいんじゃな。

GM: かまわないよ。ただしこちらもそれ相応の攻撃はしてくるぞ。君たちがエフラワを中心に防御しているなら、そこに切り刻む突風が吹くぞ。(ヘクスを見ながら)この位置なら全員1D6を振ってもらおうか。

ラック: なんかこんなダメージダイスをかなり前に振った気がするわ(コロコロ)3や。

アイス: おなじく。

アイス: こちらもです。

ガラ: う、5じゃな。ティマは2じゃ。

ケンゼン: ガラと同じぜよ。

エルナ: キティは1ですね。

GM: わかったちなみにエフラワは2だった。では1の人は1D6-1、2の人は1D6、3の人は2D6-2、5の人は3D6-3のダメージだ。ダメージタイプは切りだから、それと防護点は有功だからね。

エルナ: ダメージはないです。

ラック: こっちもや。

ガラ: わしは3点ほどくっらたの。ティマは無傷じゃ。

ケンゼン: ちゃちゃ、3点ですんだぜよ。

GM: エフラワは2点のダメージだ。アイス君は?

アイス: えーと7点のダメージで倒れました。

一同: (苦笑)

ラック: なんでそんなダメージを受けるんや。

アイス: だってダメージの出目が6ゾロだったんですよ。

GM: あいも変わらずこの攻撃に対する出目は最悪だね。それとダメージを受けた人はこの攻撃によって何回ダメージを受けたか書いといてね。

ティマ: それでこんな攻撃をしたやつはどんなや奴かな~。僕には見えるよね~。

GM: うむ、輪郭がぼやけるわけだがどうやら巨大な扇を持った人物のようだ。

ラック: 風葬のエアールやな。全員散るんやで!

エルナ: 待ってください。そうするとエフラワに集中攻撃が飛びますよ。

ラック: う、しょうがない。このまま戦うで。

リカ: 覚悟はよろしいですか。では止めようとする人物にも会えず、無惨に散って行っててくださいねみなさん。

GM: 彼女がこう言ったところで戦闘開始だ。

 

大いなる前哨

 

こうした始まったラストバトルの前哨戦?はPL不利に進んでいった。それも当然でPLはエフラワを守りながらリカ&髑髏面とボルトス&熊&バイアルスの両面攻撃を受けている状態だった。

 

ラック: やっばいで

ティマ: そうだねー、完全にフォーメーションを組まれてるからねー。

ラック: で、なんでそんなに呑気やねん!

ティマ: まあ、口癖だからね~。(コロコロ)ケンゼンさんに「透明看破」成功。これでエアールの姿が見えるはずだよ。

ケンゼン: すまないぜよ。これで連中を倒せるぜよ。

 

ケンゼンはこう言うが、実際にはそうは巧くいかない。ケンゼンの攻撃を受けるエアールは自身の武器であるエア・スレッジャーを巧みに使い攻撃を受け流す。

本来ならケンゼンの援護に回らなければならないゴウダンとラックだが、ラックはバイアルスの生み出した熊とゴウダンはリカの生み出した髑髏面との戦闘に手一杯でそれどころではない。

それとは対照的に敵側はバイアルスが幻覚作成に失敗した以外は順調にPCにダメージを与える。

これによってガラ、エルナ達の後列側は前線の維持にて一杯になってしまう。そしてさらに悪いことにこういう時にもアイスの悪いジンクスは顕然であったりする。

 

GM: さて、3発目の風檄だ。エフラワには逃げられたが効果範囲のメンバーは自己申告でダメージを言いたまえ。

ラック: 2点や。たいしたことないな。

ケンゼン: ちゃちゃ、鎧で弾いたぜよ。

ティマ: 同じくだね。

GM: ち、鎧が良くなってるからみんなダメージが通らんな。ところでアイス君は?

アイス: (無言でダイスを指さす)

GM: えーと、13点?

アイス: はい。防護点を引いて1,5倍しても同じになりますよね。

GM: ああ、そうだね。

アイス: では気絶判定を(コロコロ)ええっと、もう一回13です。

一同: (苦笑)

ラック: なんでやアイス。最終回でその目はないやろ。

ガラ: まあ、最終回とは限らんがな。

アイス: 僕に言われたって!ああ、姫さま、キティ・・・ガク(机に突っ伏す)

 

こうしてアイス君は早々と戦線を離脱。メンバーはさらなる苦境に立たされる。

 

ラック: やばいで。アイスがおらんようになると前線の維持が問題や。

ケンゼン: それよりエアールの攻撃が洒落にならんぜよ。範囲内にアイスがいたら気絶してるから助からんぜよ。

エルナ: GM,キティの性格を考えるとこの状況ならキティが前に出ると思うんですが。

ケンゼン: ちゃ、危険ぜよ。

キティ(エルナのPL): 平気ですぅ。今までアイスさんからもらったぶん私が頑張るんですぅ。

ガラ: やれやれ。アイスへの大治癒はやめてキティへの「痛み止め」に集中じゃ。

アイス(気絶中): キティ。ああ、僕はなんでこんな時に気絶してるんだ。

GM: 前にでたからだろ。

アイス(気絶中): くそ。GM、僕になんか出番をください。

GM: (君は気絶中だろうに・・・)ならエフラワでもやるかね?

アイス(気絶中): お願いします。

 

こうして熱を帯びだした戦闘空間。そして一同はここでキティの実力を目にする。

 

ケンゼン: 「つむじ風」ぜよ。

GM: 見切った。その攻撃は迎撃するぞ。

ケンゼン: ちゃちゃ。側面のペナルティぐらいどうって事ないぜよ。「受け」たぜよ。

GM: だが君の攻撃は防いだぞ。さて次はキティの行動だがどうする。

キティ(エルナのPL): エアールに攻撃しますぅ。

GM: それはいいが、姿が見えていない相手にはペナルティがあるぞ。

キティ: 大丈夫ですぅ。技能レベルは20ですからぁ。

GM: ぬ、それなら当たりそうだが。

キティ: (コロコロ)命中です。

GM: では後退「よけ」を・・・すると風檄が撃ちづらいし、瞬間回避もおなじか。しょうがないから普通に避けて(コロコロ)あ、1足りない。

キティ: ダメージは8点です。

GM: なんだって。それだけダメージを受けるとこいつは朦朧とするぞ。

ケンゼン: ちゃちゃ、チャンスぜよ。

GM: く、じゃあここまでずっと待機していたボルトスが行動をおこす。

ボルトス: やれやれ、姿を消しながらなんというざまだ。まあいい、君たちは消去する。

GM: 彼がそういうと霧のような白い腕が宙に現れてケンゼンとキティを掴もうとする。掴まれたくなかった後退「よけ」ね。

ケンゼン: 成功ぜよ。

キティ: 失敗ですぅ。

GM: ではキティは霧の腕に掴まれる。脱出したければ毎ターン自分の行動順でこちらとの「体力」の即決勝負だ。

アイス(気絶中): キティー!!

GM: 叫んでるところ悪いがエフラワの行動なんだがどうするね?

アイスのPL: もちろんキティを助けます。

ラック: おーい、お前は今エフラワやで。

アイスのPL: は、そうでした。この状況なら仲間の援護ですかね。

GM: (彼女は直接相手をどうにかする呪文は持ってないからね)まあ、そうだろうね。

アイスのPL: えーと。ではボルトスに対して「ひきつり」に集中します。

ラック: ふーんエフラワってそんな呪文使えたんやな。

アイス: ええ、「素早さ」の前提としてとっているみたいですね。

GM: (そういえば覚えていたような・・・)

 

このターンエルナはキティへの大治癒へ集中。ラックはキティを援護しようとするが、バイアルスの熊に行く手を遮られてしまう。ゴウダンは髑髏面に対する行動で手一杯。

そして続くターン。ケンゼンは朦朧としているエアールを責め立て気絶寸前のダメージを与える。

ガラはキティへの「痛み止め」に成功。ティマはゴウダンへの援護のために幻覚の戦士を作り出す。

 

GM: さてキティの前にボルトスの操る腕がキティを攻撃するぞ。当然この状態では回避できないから。

キティ: 瞬間回避はダメですかぁ?

GM: ふふふ、この腕自体が簡易結界としての効果もあるのだ。よってこの中では移動系呪文の使用には-10、他の呪文の使用にも-5のペナルティがあるぞ。

ラック: 汚いで。

ボルトス: 汚い?それは心外だな、そもそも君たちがゴールド様に逆らわなければこんな事になってはいないのだよ。

GM: ということでニギニギと(コロコロ)ダメージは10点ね。

キティ: いたいですぅ。けど朦朧とはしませんよぉ。

ガラ: うむ、痛み止めが間に合ってよかったわい。

GM: さてここからどうするかね?

キティ: 「怪力」に集中します。今の体力ではこの腕からは脱出できそうもありませんからぁ。

GM: OK。

アイスのPL: じゃあエフラワは「ひきつり」(コロコロ)成功です。この距離なら3成功ですね。

GM: く、判定失敗。やばいこいつが腕が引きつると連動している「霧の腕」も引きつる。

ラック: ようやったで姫さん。

 

この行動が勝負を決した。ボルトスはこの後も「死の手」を使う接近戦に切り替えて戦いを挑むが、戦士も真っ青の技能レベルになっているキティは「瞬間回避」からのヒット&ウェイで終始有利に戦いを進める。最後に残ったバイアルスは力押しの作戦が実らず、あっさりとケンゼンに倒されてしまう。

 

ラック: さて、決着はついたで。

GM: 君がそういうと彼女は不敵に微笑む。

リカ: それはどうですかね。だって私たちに与えられた仕事は「時間を稼ぐこと」ですよ。

ケンゼン: ちゃ、陽動ぜよ。

リカ: それでは皆さん。深淵で会いましょう。

GM: 彼女はそういうと、「瞬間移動」で消えてしまう。

アイス: エアールやボルトスは?

GM: 気絶したまま。

ラック: おいおい、仲間はそのままかいな。

ガラ: それだけ向こうにはとんでもないものが控えておるんじゃろう。

エルナ: そうですね。皆さん急ぎましょう。

アイス(気絶中): みんな、できれば僕を回復させてくれませんか。

ゴウダン: すまない。そうだったな。

 

こうしてアイスの傷を癒した一行は、空の七月の捕縛をキッソス等に任せて深淵に続く洞窟に向かう。

 

GM: 穴は君たち全員が丸ごと入れるほどの大きさで、その奥はどこまで続くかわからない。近くまでエフラワが来ると、井戸の中にかすかに光るがさすね。

アイス: えーと・・・これどうやって入るんでしょうか?

ラック: そりゃ、このままヒューと入るしかないんやないか。

ガラ: さすがにそれは不味かろう。とりあえず「飛行」系の呪文で・・・

GM: 会話の途中で悪いんだけど、大穴の前で君たちが会話しているとそのまま吸い込まれるんだけど。

ラック: マジで。

GM: うん。逃げたかったら体力判定-10で判定してみたまえ。

ラック: ふん、わいらは事前にエリクサーをのんどるんやで。それぐらい成功するわ。

一同: (しーん)

ラック: あれ?

GM: 成功したのは君だけみたいだね。どうする、踏ん張るかい?

ラック: みんなが落ちるんやったらわいも落ちるしかないやろ!

GM: では君たちはそのまま大穴の中に入るんだね。

アイス: 入るっていうか、これはどう考えても拉致ですよね。

GM: あ、そうかもね。で、大穴の中では君たちのよく知ったフルプレートの二人組がいるわけだけどね。

ラック: あれ、サーライトは?

GM: それは二人に聞いてみたらどうかね。

ゴウダン: やはり最後に待っていたのはお前達か。サーライト氏はどうした?

GM: 君がそういうと、ゴールドのほうが笑いながら喋ってくれるよ。

ゴールド: 彼ならこの下だよ。もっとも二度と帰ってこないだろうけどね。

ラック: どういう事や。お前等が殺したんか。

ゴールド: まさか。僕らは父さんを殺したりはしないよ。

ゴウダン: 父さん?じゃあお前達もリカさんと同じように?

ゴールド: ああ、そのとおりさ。

GM: 彼はそういうとフルフェイスヘルムをとる。そこには頭に長い角の生えたサーライトを若くしたような青年が立っている。

ゴールド: 僕は父さんの因子にエルファやトロールの因子を掛け合わせて作られたのさ。ちなみに兄さんはドワーフトロールだ。リカと僕たちは兄弟って事になるかな。そんな僕たちが生みの親である父さんを殺すわけないじゃない。

ケンゼン: じゃあ、サーライトはどこぜよ。

ゴールド: 父さんなら、さっきも言ったとおりこの下さ。今頃は神になろうと頑張っているよ。

エルナ: どういう事です。

ゴールド: わからないかな偽りの王女。この下には父さんの求めた神になれる力があったのさ。

アイス: あったということは、もうここにはないんですね。

GM: 君たちがそういうと、壺のような器を君たちに持ってくる。

ゴールド: ああ、その力はこの中に入っている。苦労したよ銀の月の秘宝をここまで軽量化するのはね。

ラック: それがお前等の最終兵器ちゅうことか。

ゴールド: そうさ。あらゆる力を歪めベクトルを変える事のできる銀の月の秘宝。これで僕たちは月を作る。

アイス: 一つ教えてくれませんか?そこまでしてなぜ月を作るんですか?あなた方の真意を教えてください。

ゴールド: そうだね、ここまできて嘘を言うのもなんだからね。教えてあげるよ、嫌なんだよ。地上にいても絶えずあの天空の月に監視されるような世界はね。だから、月を作ってそうだな手始めに双子の月あたりでも落としてやるさ。

ゴウダン: 正気かお前達。

ゴールド: もちろん。考えてもごらんよ、この世界にある月とは究極的に言えば何かの力の象徴だよ。それを倒すためにはそれ以上の強大な力がいるんだ。

ラック: 間違いないな。あれこそがクロスの言うとった世界を滅ぼす原因や。

ケンゼン: ならあれを倒せばハッピーエンドぜよ。

アイス: そうですね。ハッピーエンドにしましょう。

ガラ: ま、お主のハッピーエンドは連中を倒したところでやってはこんと思うがの。

エルナ: 最後に聞きますゴールドさん。その計画を諦めてくれませんか?

ゴールド: それは無理だね。諦めさせようとするなら。僕たちを倒してくれないと。いったろこれは力対力の戦いなんだ。

ケンゼン: 始めからそのつもりぜよ。

ゴールド: だろうね。僕たちもそうじゃないとつまらないよ。やっぱり月を作る前に異分子は排除しておかないとね。リカ!

GM: 彼がそう叫ぶと、ゴールドの影からリカさんが現れてゴールドから壺を受け取る。

ゴールド: リカは月を生むための寄り代だ。僕らの計画を止めたいなら、あの子を止めることだね。

ラック: 止めてやるわ。そんでわいは莫大な報奨金で一生暮らすんや。

ガラ: この鳥は・・・まあわしもこの世界を脅かすものをほおってはおけん。

ティマ: 物語はハッピーエンドじゃないとね。

ケンゼン: 師匠のかたきぜよ。

ゴウダン: 守るべき者のために。

GM: 君らの言葉をゴールドは笑いながら聞くね。

ゴールド: そうさ。その決意があればこそ僕も相手のしがいがあるよ。さあ英雄達よ僕たちを倒してみろ!

エルナ: 世界を救うなんてつもりはありません。英雄なんて私には過ぎた名前です。でも私たちは多くの人たちの協力でここにいます。その人達の思いに報いるために、その人達の幸せを壊さないために、私はあなた達と戦います。

 

ファイナル・バトル

 

GM: では戦闘開始だね。

 

かくして最後の戦闘が始まった。

 

GM: 先手はこっちだな。ではゴールド一瞬間をおいてからラックに斬りかかる。

ラック: なんでわいやねん。

GM: とりあえず当たりかけているがどうするかね?

ラック: とりあえず「止める」成功や。

GM: では攻撃は止まるね。ちなみに彼の装備は金色の突き刺し用ブロードソード、それとミディアムシールドだ。ちなみに受けた時の衝撃からしてダイスは5個は振れそうだぞ。

ラック: しゃ、洒落にならん。

GM: 続いてはシルバーだが、彼も一瞬間をおいてからカルシファードブレードを抜くね。ちなみにその一瞬の間に彼とゴールドの速度は2倍強になるから。

アイス: 倍速ですか!?それを無詠唱だなんてなんて奴だ。

ガラ: しかも二人一度にじゃと。

GM: それから「行け、スチールハート」というかけ声を発する。すると彼の剣の刀身はバラバラになって見えなくなる。

ラック: でたナノ・ブレード。

GM: 何度も言ってるがこれはナノ・ブレードではないんだがね。

ケンゼン: どっちでもよいぜよ。シルバー覚悟。(コロコロ)つむじ風のフェイントが18成功ぜよ。

GM: (コロコロ)12ほど見切ったが(コロコロ)スチールハートの盾が失敗。ダメージは?

ケンゼン: 17点ぜよ。

一同: (歓声)

GM: ではシルバーがニヤリと笑うと、鎧を貫通してシルバーの身を切った君のブレードはまったく動かなくなる。

シルバー: 見事な太刀筋だ。それに敬意を表して全力を出してやろう。

ケンゼン: えーと、刀はどうなったぜよ?

GM: シルバーの筋肉でがっちりと固定されている。

ラック: なんかそんな裏っぽい流派にそんな技があったな。

 

このターンラック、ゴウダンはゴールドを攻撃するがきっちりと弾かれてしまう。ガラはラックに「痛み止め」、アイスはケンゼンにキティはアイスにそれぞれ「素早さ」をかけるために集中する。エルナはケンゼンへの「倍速」に集中。

そしてシルバー、ゴールドの倍速ターン。シルバーの奥義が発動する。

 

シルバー: ゆくぞ我が奥義「ミスリル

GM: 彼の声とともにケンゼンの足下から銀色の竜巻が発生する。当然ケンゼンはその竜巻に切り刻まれることになる。(コロコロ)ダメージは21点の切り。カルシファードブレードを手放せば、回避も可能だけど。

ケンゼン: 刀は手放さないぜよ。えーと18点のダメージぜよ。(コロコロ)大丈夫ぜよ転倒はしないぜよ。

ラック: いきなり気絶ダメージかい。

GM: ではゴールドのほうも攻撃だ。(コロコロ)ゴウダンにフェイント14成功。

ゴウダン: む、10しか見切れていない。

アイス: だめです。僕はあの戦いに首を突っ込むことができない。

ガラ: それはわしも同じじゃ。しかしこっちはこっちでやることがあるじゃろう。

GM: ではこっちの通常行動ターンだ。まずはゴールド。とりあえずゴウダンに突っ込みながら「爆裂」をしながら攻撃。

ゴウダン: 攻撃自体は「止め」たが。

GM: じゃあその「爆裂」の10点だけか。

ゴウダン: く、十分だ!

GM: それでシルバーのほうだが今度はケンゼンの背中に巨大な刃を作ってそれで攻撃してくる。

ケンゼン: ちゃちゃ、それは洒落にならんぜよ。

GM: 洒落にしているつもりはないんだがね。背面ではなくて斜めだから、側面扱いで回避はできるけど。

ケンゼン: 避けるぜよ。ここでエリクサーの「幸運」の効果は使ってしまうぜよ。(コロコロ)2回目で成功。

GM: さて君たちの手番だけどどうするかね?

ラック: この状態では全滅や。壺をを狙うんや。

ケンゼン: わかったぜよ。ハイペリカのところまで移動ぜよ。これで次のターンには着くぜよ。

ゴウダン: こちらも移動だ。エリクサーのおかげで荷重が減っているから次のターにはつける。

ラック: こっちはシルバーのほうに移動や。ゴールドは任せたでアイス。

アイス: とりあえず「素早さ」(コロコロ)は失敗しましたが前に出ることはできます。

ガラ: やれやれ、呪文どころではないな。GM、こちらも前列にでるぞ。

エルナ: 倍速の集中をやめてアイスへの「大治癒」に集中です。キティは素早さに成功したので同じように「大治癒」に集中します。

ティマ: ゴールドの前になじみの幻覚戦士を出すよ。とりあえず盾ぐらにはなるだろうしね。

GM: ではこちらの倍速行動か、まずはゴールドが剣を捨てて白い短刀を用意する。

ケンゼン: なんぜよ?

GM: それはわからない。そしてシルバーだがケンゼン達の方に向きながら腕を一閃する。(コロコロ)成功だ。じゃあ二人は虚空から現れた刃に切られるから。

ケンゼン: 二人ってどういう事ぜよ。

GM: 君とゴウダン。これぐらいの距離なら彼は一気に攻撃できるよ。それとケンゼン君への攻撃は背面扱いだから。

ケンゼン: (コロコロ)回避失敗。

ゴウダン: (コロコロ)こちらはかろうじて成功だ。

GM: ではダメージは12点の切り。

ケンゼン: えーと6点通って1,5倍で9点。(コロコロ×2)死んではないぜよ。けどそのダメージで転けたぜよ。

ラック: あかん希望の光が。

GM: ではこちらの通常行動だが、ゴールドはガラに短剣を投げつける。

ガラ: 瞬間回避を・・・

GM: あ、この短刀は特別制なんで君を自動追尾するよ。「止め」ないかぎり回避判定を行い続けてね。もっとも1ターンに2度回避したらそのターンはこれ以上襲ってこないけどね。

ガラ: まあ今の状況なら(コロコロ)うそ・・・

ラック: 今止めは9やから16て失敗よな。

ガラ: 回避失敗です。

GM: では短剣は君の腕を貫く。

ガラ: 腕というと龍のほうですか?

GM: そのとおり。そして君の腕は短剣が刺さった場所から急激に膨らんでいくぞ。

ガラ: こ、これはなんじゃ。

ゴールド: はっはっは。愉快だね。君のことは調べていたよ龍を飼う魔術師。そいつはサーライトが作った研究室にあった龍を束ねる混沌龍の欠片さ。そいつに乗っ取られて狂い死ねばいいさ。

アイス: ガラさん!

GM: とりあえず「意思-2」でチェックしてくれ。

ガラ: 成功です。

GM: ではかろうじて乗っ取られはしない。しかし意識を手放せば身近な者に自分の体が襲いかかるよ。

ガラ: まずいの。

ゴウダン: おのれゴールド。

GM: そんなこと叫んでいていいのかなゴウダン君。君の足を狙って2回攻撃が襲ってくるんだが。もちろん君の死角から。

ゴウダン: (コロコロ)1回は幸運の効果で回避した。

GM: では一撃。(コロコロ)ダメージは10点だ。

ゴウダン: まだ足は大丈夫だ。このターンで壺のもとまで着く。

GM: (そう巧くはいかないのだよ)では君がリカさんのところまで到達すると、君の精神に直接鮮明な画像がうかぶ。悪魔支配のころの映像だろうか、この世のものとは思えないまさに地獄そのものの映像が君の心を焼いていく。-2で意思判定だ。

ゴウダン: (コロコロ)成功だ。

GM: ではかろうじて踏みとどまった君に暗い声でリカさんがこう話しかけてくる。精神世界での彼女は黒い炎に身を包んで現れるから。

リカ: どうですか?地獄でしょう。

ゴウダン: なにがいいたい。

リカ: 彼らが恨むのはなんだと思ういます。悪魔だと思いますか?

ゴウダン: なんの話だ。

リカ: 彼らが恨むのは守ってくれた人たちです。そのままにしてくれれば惨めなんて感じなかったのに、希望なんて感じなかったのに守ってくれる人がいたからそれを知ってしまった人たち。それが今の光景です。

ゴウダン: だからなんだ。

リカ: だから、あなたの考えは無駄なんですよ。

ゴウダン: たしかに、私には彼らを守ることはできない。しかし守ることは止めない。彼らが感じた希望は確かに絶望を与えたかもしれない。でも、彼らの感じた希望があったから悪魔達の支配から人は打ち勝てたんだ!

リカ: それは詭弁です!

ゴウダン: 違う。そういって彼女のもとに走ります。

GM: 全身が炎で包まれるよ。

ゴウダン: 彼女もでしょう?なら大丈夫です、彼女を助けるまで燃え死んだりしませんよ。

GM: とりあえず2D6のダメージだ。鎧は無効。

ゴウダン: (コロコロ)6点です。じゃあ彼女のもとまで言って、彼女の手を取ります。

リカ: なにをするんです!

ゴウダン: 言ったはずだ私は弱い存在を守ると。炎の中にいる女性を助けるのは当然だ。

リカ: 私を助けてくれるんですか?私があなたに何をしたか・・・

ゴウダン: ある人に言われた。「助けれなかった存在を悔いるよりも助けた存在を誇るべきだ」とだから私はあなたを助けることができて事で十分だ。それ以外のことは後で考えるよ。

GM: (うまく決めてくれたね)ではゴウダン君+8で意思チェックだ。

ゴウダン: (コロコロ)11成功です。

GM: 精神世界で君は彼女の手を握ることができる。その時彼女は諦めたような、それでいた少し嬉しそうな表情を浮かべる。

リカ: 完敗です不屈の勇士。敗者は黙って少しだけ素直になりますよ。私を守ってくださいね。

ゴウダン: ああ、約束する。

リカ: ありがとう。

GM: その言葉を最後に世界がはじける。他のメンバーの視点から見ると、ゴウダンが一瞬だけ止まったかと思うと次の瞬間には壺を手に膝をついているぞ。

一同: (歓声)

ラック: ようやったでゴウダン。

GM: (あまーい)君たちがそうやって喜んでいるとゴールドが笑ってくるぞ。

ゴールド: ご苦労様。でもねもう遅いんだよ。力の半分以上は僕に流れ込んでいる。あれの力を手に入れる契約はぼくしか済ませていない。

GM: 彼がそういうと、君たちを囲むように下層に続く大穴が巨大化する。同時にシルバーの手には巨大な黒い剣が握られる。

ゴールド: 残った力は君たちを滅ぼした後でゆっくりと手に入れるさ。さあ死んでももらおうか。

ガラ: GM、ゴウダンの会話の流れから考えて1,2秒ぐらい時間がありませんかね?

GM: そうだねそれぐらいの時間はあるだろうけど、どうするの?

ガラ: いえ、呪文を使いたいんですがね。

GM: いいけど、毎ターン-2で意思判定ね。

ガラ: (コロコロ)意思判成功。(コロコロ)呪文も発動。「瞬間転移」でシルバーの目の前にでます。(コロコロ)あ、移動後に朦朧としますが問題ないでしょう。おそらく混沌龍はシルバーを攻撃するかと。

GM: ・・・するね。(コロコロ)混沌龍に支配されかけている君の体によって組み付かれてしまった。

シルバー: 貴様!何をする。

ガラ: (にっこりと笑って)自爆。

エルナ: ガラさん。

ガラ: さてGM。もう一回自分の意思でこの龍を制御できますかね?

GM: 1回支配されたからね。今度は意思判定-5でお願い。

ガラ: では幸運のエリクサーで(コロコロ×3)成功。ところでこの腕は何ができるんですかね?

GM: まあ、普通の腕にできることはできるよ。

ガラ: では反動をつけてシルバーごと大穴に落ちます。混沌龍の体力なら問題ないでしょう。

GM: でもそれをやると君も死ぬよ。

ガラ: まあ、この腕を移植した時から覚悟はできてました。

GM: (コロコロ)じゃあ。君とシルバーの二人はそのまま大穴に落ちていく。

ラック: あいぼうー!!

ガラ: すまんな、後のことは任せたぞラッッック。

アイス: ガラさん・・・そんな。

ティマ: まったくかっこつけすぎだよ。

GM: 悲しむのはいいが、まだ敵はいるんだが。

ラック: そうやったゴールドは?

GM: ゴールドは君たちの見ている前で小刻みに震え出すぞ。

ゴールド: 兄さん・・・兄さんが・・・ニイサーン!!!

ラック: いったか?

ゴールド: くくくく、せっかくの兄さんとの計画がケイカクガ。全ておしまいだよ。そうかオシマイニすればイインダネ兄さん。

アイス: こ、壊れてませんか。

ゴールド: 死ねシネしね!!みんなシネ!!!

GM: 彼はそういいながら君たちに向かって黒い影を生み出す。牛のような怪物のそれは見る見るうちに膨れあがり・・・

ラック: まずいな。この状況で戦闘なんかできへんで。

エルナ: 諦めないでください。まだ何かあるはずです。

 

借り免許の英雄達

 

GM: そして巨大な牛は君たちを攻撃する・・・前に破裂する。

ケンゼン: どうなったぜよ。

GM: そして破裂した牛のいた場所には人影がある。クロスだ。

エルナ: クロスさん。約束守ってくれたんですね。

ラック: 遅いで。

GM: 君たちがそういうと彼は笑いながらこう言ってくる。

クロス: まあ、あれは約束というのには少し無理があるがね。

ラック: うん?どういう事や?

クロス: なぜなら私はこの世界を守る者ではない。その男が持っている壺の思念体だ。

エルナ: え、じゃあ前回の話は一体?

クロス: あれは嘘だ。もっとも嘘だと気がつかせるための嘘だったからずいぶんと無茶な点もあったと思うがね。

アイス: ええ、まったくです・

ラック: 嘘やって!なんであんな事をしたんや?

クロス: 簡単なことだ。私と契約をしてもらうためだ。私という強大な力を使う対象は最後まで見極めなければ行けないからね。しかし君たちは私の考え以上の事をやってくれた。ありがとう。

ケンゼン: じゃああんたは守護者ではないんぜよか?

クロス: ああ、もしもそんな者がいるならそれは私と君たちを引き合わせて者だろうがね。

GM: ここまで会話すると、ゴールドが激高しながら会話に割り込んでくる。

ゴールド: さっさと奴らを滅ぼせ力よ。

ラック: あほか。さっきのことでわかったやろお前はその力に裏切られたんや。

クロス: 私には私という力を作り出した多くの人々の思いがある。残念だが汝を主にはできない。

GM: 彼はそういうと、かき消えてしまう。

ラック: ふう、しかしなんとまあ。前回の話がそんな展開かい。

ティマ: あ、そういえばゴールドは?

GM: 呆然としている。

ラック: それはまあそうやろう。まさか自分の使っとった壺に力にあんな効果があったなんておもわんやろうしな。

アイス: (考えながら)たぶん、あの壺にはそんな力なかったんじゃないですか。

ラック: どういう事や?

アイス: おそらくですが、銀の月の力によって壺の存在が歪められてできたのが彼なのではないでしょうか。

GM: 君たちがそうやって会話していると、何か吹っ切れたようにいい笑顔をしたゴールドが立ち上がるよ。

ゴールド: さて、舞台の幕を下ろすか。

GM: 彼がそういうと、ゴウダンが抱えていたリカがみるみる小さくなる。

エルナ: 何をしたんです!

ゴールド: ははは。彼女を生まれた頃の姿に戻してあげようと思ってね。これが僕の最後に残った力さ。リカは僕らの中じゃ一番かわいそうな奴だからね。生きなおさせてやるよ。

ラック: てっきり最後にわいらと戦うんかと思ったけどな。

ゴールド: そんなことをしてなんの意味があるのさ。もっともリカが協力してくれていたら二人で戦ったかもしれないけどね。つまりそこの不屈の勇士を含めて君たちの勝ちだよ。

GM: そう言って彼は剣を地面に落とす。

アイス: 最後に一つ聞かせてくれませんか?

ゴールド: なんだい?

アイス: あの壺の力には気がついていましたか?

ゴールド: まさか。気がついていたらこんな事はしないよ。

アイス: でも銀の月の力を借りる以上は不測の事態は覚悟しなければいけませんよね。そんなことをするよりサーライト氏の追った力を手に入れた方がよっぽど建設的だったんではないですか?

ゴールド: ああ、それはそうだろうね。でもねそれでも僕は父さんよりも少し高いところを飛びたかったんだよ・・・じゃあね。

GM: 彼はそこまで言うと例の大穴から自ら飛び降りる。

アイス: ゴールドさん!

ラック: 行かせてやれ。最初で最後の飛行かもしれん。

アイス: ・・・そうですね。

エルナ: ガラさん。

ティマ: 彼のぶんまで僕たちは生きないとね。

ゴウダン: ああ、彼からもらったものを私は必ず繋いでいく。

ラック: 熱い話や。とりあえずわいは旅にでも行くか。

ケンゼン: ちゃちゃ、それもいいぜよ。

エルナ: これからやらなければ行けないことは沢山あります。まずは力をお借りした人たちに感謝をしないと。

ティマ: 借りか・・・うん決めた!今回の作品のタイトルは「借り免許の英雄達」にしよう。

ラック: で、印税はどれぐらいもらえるんや?

ティマ: あのね・・・

 

かくして一つの冒険は終わりを告げた。また始まりの鐘が鳴るまで願わくば彼らに幸運があることを祈って。

Fin

 

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閣下と臣民のお部屋

閣下: 最終回お疲れ様!

夏野: ありがとうございます。

閣下: いやー、文章にするとすごいもんだね。

夏野: なにせ35万字ですからね。本編よりも長いかもしれません。

閣下: さて、詳しい裏話などは今度やる外伝にとっておくとして今回はそれぞれの明日かな。

夏野: ですね。まずはエルナですがあの後帝国の混乱期をエフラワ、それからリプレイでは出てきませんでしたがアレイシアなどと救い「3王女」といわれるようになります。彼女自身はおもに外交面で活躍してゆくゆくは「エルナード国家連合」の当主になるとか、ならないとか。

閣下: ラックとケンゼンはカルシファードだっけ?

夏野: はいケンゼンは武の日々だそうです。ラックもそれにつき合っているという話ですがタマットの神槍を返したくなかっただけという話もあります。

閣下: ゴウダンとアイスはエルナの下だよね。

夏野: はいゴウダンは帝国で傭兵部隊を率いる要職に着くそうです。小さくなったリカを育てながら忙しい日々を送るでしょう。アイスはこのゲーム終了後「エルナを守る法となり、キティを守る盾になる」と啖呵を切ったのですが。

キティ・エルナ:「では私たちのために一刻も早く1人目になってください」

夏野: と言われて現在スパルタ教育中です。もっとも合間にはエルナやキティと過ごしているようですがね。将来が楽しみです。もっともキティは抜け駆けを企んでいるようですが。そしてガラとティマですが・・・

閣下: 外伝のネタに使うつもりなんでそこいらへんは簡単にお願い。

夏野: ガラはじつはあそこで死んでおらず混沌龍の寄り代として活動しています。やがて龍達が復活するまでの間だけ、龍のかわりに動く雑用ですね。

 ティマはこの世界での事件の後、自身性格の変動を理由に強力な力を持つイモータルに自身の消滅を願いますが気がつくと世界の果てで「観測者」をさせられています。仕事の内容は非常にリアルな映像をフルタイムで見る・・・だけの仕事です。現在有給を申請中だとか。

閣下: うむうむ。みんながんばっているね。

夏野: そうですかね。さて長くなりましたがここいらへんでお別れです。みなさんまた外伝で会いましょう。

閣下: 今までご愛読ありがとうございました。

最後ぐらいは綺麗に終わる

 

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