黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

外伝序章 「再動という名のプロローグ」

戦いがあった。世界をかけるほどの巨大な戦いが。

英雄がいた、力を併せその巨大な戦いに臨んだ英雄が。

戦いが終わり、彼らには安息が訪れるはずだった。

だが・・・

 

外伝序章「再動という名のプロローグ」

 

GM: ではゲームを始める。

一同: (歓声)

アイス: 外伝ですかー、こんなに長いゲームになるとは思いませんでしたよ僕。

GM: うん、それはこちらも同感だ。そろそろGM歴も10年を超えるが20回を超えるゲームなんて、今までにこれを含めて3回しかやってないぞ。

PL夏野: お、意外とやってますね。

GM: まあ、年がばれるので詳しくは言わないがな。さて、リプレイになった「借り免許の英雄達」本編から、ゲーム世界では1年あまりの月日が流れた。

ゴウダン: リアル世界でこのキャラクターを演じるのも8ヶ月ぶりぐらいか。巧く演じれるか不安だ。

エルナ: そうですね。

GM: 嘘をつけ。さっきアイス、エルナ、ゴウダンでキャラになりきって近況報告をしていただろうが君たち。

エルナ: 懐かしいメンバーだったもので話が弾みました。

アイス: そうですね姫さま。

GM: まあ、たしかになー。これでケンゼンのPLがそろっていれば完璧だったんだが。

PL夏野: (PLの商売柄)GWはかき入れ時らしいですからね。

GM: 仕事ではしかたがあるまい。

ゴウダン: そういえばGM、新メンバーがいるようだが。

GM: うむ、彼女は今回あるキャラクターを演じるために、遠いところからわざわざ来てもらったのだ。

PL礦石: よろしく~。

アイス: あ、こちらこそ。えーとGMの知り合いですか?

PL礦石: うん、結構前に此奴のGMでルナルをやったことがあってね。

GM: 懐かしい話だ。あの時は彼女の問答無用の戦略と出目に何度泣いたことか。

アイス: え、じゃあ、あの伝説のジェスタの戦士って女性だったんですか?

 

執筆者注:「仮免」以前におこなった350CPハイパールナルキャンペーンで礦石さんはドワーフジェスタ騎士(男)でゲームをしています。

 

PL礦石: そうだよ。まあ、(GM、夏野を見て)あの二人が周りにどう言いふらしているかは知らないけどね。

アイス: すごい人だったと聞いてますけど。

PL礦石: それは昔の話だから。それよりゲーム、ゲーム♪

GM: うむ、そうだった。さて今回は外伝ということでさっきも言ったとおり前回の戦いから一年後の物語なんだ。

PL夏野: じゃあその間に3人に何があったかなどを紹介するんですねGM。

 

再動という名のプロローグ

 

GM: まあ3人がどんな道を辿るかここにいるメンバーはだいたい知っているはずだが、確認の意味も込めて話していこうか。とりあえずエルナからだ。

エルナ: 私ですか?

GM: エルナード・ティーグいやエルナード・ティースはあの事件が終わった後で、エフラワ・ティーグをサポートする形で帝国入りをはたしたわけだ。

エルナ: ええ、そうです。気は進みませんでしたが、エフラワや帝国の人々のことを考えるとこれが一番力になれる方法だと思いましたから。

PL夏野: まさに「姫」になったわけですね。

アイス: いえ、僕にとっては最初から姫さまは姫さまでしたよ。

PL礦石: うーん、意味わからないよアイス君。

GM: で、サーライトを失い混乱の極みにあった帝国をもう一人の王女アレイシアとともに救い、一躍「三王女」などと呼ばれるようになったわけだ。

アイス: 流石は姫さま。

エルナ: ゴウダンさんじゃないですが、三王女なんて私には過ぎた名前ですよ。

GM: いや、あのままいけば内乱を経ての分裂まで行き着くことが確定だった帝国をルナルサーガ、およびニュージェネーション達の力を借りたとはいえ一定の秩序と保つことに成功したわけだからな。この程度の名声は仕方がないだろうさ。

エルナ: それで私の今やっている主な仕事は外交官でしょうか?

GM: うん。まだ人前に出るのが苦手なエフラワに代わって君が外交関係の仕事をしているわけだね。

PL夏野: そういえばエルナの顔は結局戻してないんですか?

 

執筆者注:エルナは本編第五話で邪術師の不完全な呪文によって顔の容貌を本来よりもさらに美しくされています。

 

エルナ: ええ、帝国内であった人のほとんどはこちらの顔を見慣れてますし。それに自分の立場を考えるとそう簡単に元の顔には戻せませんから。

GM: では君はその美しい容貌と、行動から「銀の姫」・・・は、まずいから「銀の淑女」と呼ばれるようになっている。そんな君のもとに舞い込んだ仕事から今回の外伝は始まるわけだ。

礦石: (投げやりな口調で)どんどんパフパフ~。

エルナ: (気にせずに)どんな仕事なんですか?

GM: それは君の秘書官が血相を変えて飛び込んでくるところからスタートだ。あ、君の秘書はお父さんのもとでも働いていたツワブキーさんね。

ツワブキイ: 姫さま大変ですぞ。

エルナ: ツワブキーさん。何度も言ってますが公式の場以外では「エルナ」と呼んで下さいね。

ツワブキイ: これは失礼しましたエルナ様。しかし事は一大事なのです。

 

そういってツワブキーの持ってきた情報は間違いなく大きな事件であった。「ザノス:トルア」で武力蜂起が起こりそうだというのだ。

 

エルナ: たしかあの周辺はサーライト氏の直轄地でしたよね。

GM: というよりも彼は軍事力自体を直接支配していたんだね。だからこそややきつめの独裁体制ができたわけだし。

エルナ: しかし例の混乱期に軍は何もしなかったのではないんですか?

GM: うん、もしもあの時軍部が勝手に動いていればいくら君が努力しても帝国分裂は避けられなかっただろうね。そのことについてはツワブキーさんが話してくれるよ。

ツワブキイ: はい。あの時軍部が暴走しなかったのは帝国軍務次官であらせられた「フォレスト=ピース」氏の協力があったからです。

アイスのPL: 名前からしていい人みたいですね。

GM: うん、ジェスタの人なんだけど帝国の軍学校を主席で卒業したくせに前線で隊長を10年近く経験した変わり者だ。そのため軍組織をトップから末端まで身をもって知っていて他の官僚達からの信任も厚い。

アイスのPL: ほんとにすごい人ですね。

GM: ああ、彼が強行派に静観を促したため軍部の内乱が起きなかったと言われる程の人物だ。

エルナ: それでピース氏はどうなったのです?まさか強硬派によって捕らえられているのですか?

ツワブキイ: それが・・・ピース氏と氏の直属の旗本(直属の軍)は一陣の霧の中に消えたらしいのです。

アイスのPL: 霧ですか、嫌な予感がします。

PL夏野: ひしひしと来るね。

エルナ: どういう事ですかツワブキーさん、詳しく聞かせてください。

 

ツワブキーの話によればフォレスト将軍は実戦を想定した演習活動の最中に数機の幕僚とともに忽然と姿を消してしまったのだという。

 

ツワブキイ: 捜索は現在も行っておりますが、将軍が見つかったという連絡は入っておりません。

エルナ: その霧は黄色い霧だったのではありませんか?

ツワブキイ: さて?残念ですが霧の色についてまではこちらには連絡が来ておりませんが。

エルナ: そうですか・・・

ツワブキイ: いかがいたしますか姫さま?

エルナ: 将軍を失ったあちらの情勢はどうなのですか?

ツワブキイ: よくありませんな。将軍の失踪を「職務放棄」と捉えたものが現在帝国軍を把握しようとしています。このままでは最悪、軍が独立を宣言するかもしれません。

エルナ: 今現在この問題を扱っているものは誰ですか?

ツワブキイ: モンテル=ルーグ氏とフライバー=ティーグ氏です。

GM: モンテルは今でいえば国防次官に当たる人物だ。能力は高いが事務畑の人物で軍人からの信望は低い。フライバーはサーライトの遠縁に当たる人物で、軍事関係に関しては帝国の中でも右に出る者はいない。けど・・・・

エルナ: なんですか?

GM: 野心家だね。

エルナ: この状況では信用できませんね。

PL夏野: 何でそんなのしかいないんですか帝国?

GM: サーライト亡き後軍部関係は良くも悪くもピ-ス将軍に頼ってたわけだね。

エルナ: これは私が直接「ザノス=トルア」に向かった方が良さそうですね。

ツワブキイ: しかし姫さま。今あの地に行かれるのはあまりに危険です。ここはこちらも親衛隊などを使ってそれ相応の軍事力を持ってから行かれるべきではないでしょうか?

エルナ: 危険なのはわかってますよツワブキーさん。でも大人数で向かえば向こうを刺激します。ここは必要最低限の人数で行かなければ行けません。

GM: そう言って準備を始めるの?

エルナ: ええ、またの二人の力を借りなければいけないようです。

GM: と、エルナが考えている時、場面はゴウダンのほうに向かう。

ゴウダン: 私か。

GM: 君は前回の冒険の後、帝国に請われる形で傭兵部隊の副隊長をやっている。

ゴウダン: そうでしたね。私などに何ができるかわかりませんが全力を尽くしますよ。

GM: む、相変わらず謙虚だが、それは嫌みかい?

ゴウダン: 事実でしょう。戦士として最前線で戦うのならともかく指揮者としての私の腕は凡庸ですよ。

GM: たしかに指揮者としては凡庸だろうけどな。前回の大冒険の英雄はそれだけで立派な才能だぞ。じっさい多くの傭兵が君の名を聞いて遠くから来るんだから。

ゴウダン: けれど彼らと向き合うのは「不屈の勇士」ではなくただの「ゴウダン」でしょう?

GM: ま、それはそうかもしれんがね。さて君は今日も仕事を終えて家に戻る。あ、君の家は帝国から支給された官舎ね。で、君が帰ってくると家からハイペリカちゃんが君の方に駆け寄ってくるぞ。

ハイペリカ おとうさま~。

GM: そういって彼女は君に抱きついてくるぞ。

ゴウダン: ではリカを抱きかかえながら「ああ、今帰ったぞ」とリカの頭をなでてやります。

GM: 彼女は気持ちよさそうに君のするがままになっているよ。

PL夏野: そういえば彼女の年齢ってどれぐらいなんですか?

GM: 外見的には8才ぐらいかな。ただその能力にはすでに天才の片鱗を覗かせているがね。まあ最終的には能力値平均15以上という超優良キャラになるわけだし。

ゴウダン: 今日も良い子にしてたか?

ハイペリカ うん。おねーちゃんと一緒に遊んでたよ。

ゴウダン: お姉ちゃん?

GM: ハイペリカの言葉に従っておずおずと出てくるのは、エフラワ=ティーグだ。

ゴウダン: えーと、彼女はよく来てるんですかねGM?

GM: うん。まあ忙しい人だしそんなに多い頻度ではないけどね。彼女自身ずいぶんとハイペリカのことを気にかけているみたいだしね。

ゴウダン: 彼女が来た時のハイペリカの様子はどうです?

GM: 嬉しそうに、にこにこしているね。まあ、かつての記憶はないわけだからさ。

ゴウダン: 個人的には複雑なんだが、今のハイペリカが幸せならそれでいい。

GM: で、エフラワは君が帰ってくるとそのまま帰ろうとするんだけどね。

ゴウダン: 護衛はいるんでしょうけどもちろん送りますよ。あ、ハイペリカは背中に乗せていきますから。

GM: おお、ギャビットはこんな時に便利だ。じゃあ並んで帰っているとエフラワが口を開くね。

エフラワ: 最近どうですかゴウダンさん?

ゴウダン: 私か?まだまだ学ぶことは沢山あるが、おかげで毎日が充実しているよ。エフラワ姫は?

エフラワ: はい、こちらも毎日大変です。でも御姉様がよくしてくれますし。それに・・・時々とても穏やかに空気が流れてくれるんです。こんな日がずっと続けばいいんですけどね。

GM: と、ここまで会話したところで血相を変えてツワブキー氏が来るわけだ。

PL夏野: そうでしょうね。「こんな日がずっと続けば」てのは結構な呪いの言葉ですから。

ゴウダン: ツワブキーさん。どうしたんですか?

ツワブキイ: じつは大変なことがおきまして、じつはかくかくしかじかで・・・

ゴウダン: な、そんな事件が!

ツワブキイ: はい、ですからゴウダン様には姫さまの護衛を是非ともお頼みしたいのです。

ゴウダン: なるほど、しかし今の私は一軍の副隊長だ。しかも反乱に発展するかもしれない軍が近くにある状況ならそう軽々とは動けないのだが。ですよねGM?

GM: その通りだろうね。じゃあ君は行かないのかい?

ゴウダン: いや向かいます。

GM: おや?言ってることと違わないかい。

ゴウダン: 一軍の副官としては失格でしょうね。しかし私は余計な戦いを防ぎたい。もしも今回の戦いが始まれば多くの犠牲者がでる。それを防げるのならば私はどんな努力だっていとわないつもりです。

PL礦石: 聞いてたとおり格好いいね。

PL夏野: でしょ。

GM: 君がそういうのなら、ハイペリカとエフラワは君の方をじっと見てくるぞ。

ハイペリカ おとうさま~、またお仕事なの?

ゴウダン: ああ、すまない。いつもお前には寂しい思いをさせてしまう。

ハイペリカ おとうさまはリカよりお仕事のほうが好きなの?

アイスのPL: うわ、痛い質問ですね。

ゴウダン: なに、すぐ帰るさ。

GM: 君がそう聞くとハイペリカは少しぐずりながらさらにこう聞いてくるぞ?

ハイペリカ 本当に帰ってくるのおとうさま?

ゴウダン: ああ、私はお前の笑顔が大好きだから、お前が笑ってくれていればすぐ帰ってくるさ。

GM: 君がそう言うとハイペリカは一応納得するが、エフラワも君の方を見て口を開くぞ。

エフラワ: 行くのですか?

ゴウダン: ええ、余計な争いを止めるためになによりあの子の笑顔を守るために。

エフラワ: お気をつけて。

ゴウダン: はい・・・そうだ一つ頼まれてくれませんか。

エフラワ: 何でしょうか?私にできることなら何でも仰ってください。

ゴウダン: 身勝手なお願いですがあの子が寂しがっている時、できるならそばにいてやってください。あの子はきっと辛い時でも無理に笑ってしまうでしょうから。やれやれ、まったくひどい父親だ。

エフラワ: (儚げに)帰って、くるんですよね?

ゴウダン: はい、あの子が泣かないうちに帰ってきますよ。

アイスのPL: もしかしてエフラワさんてゴウダンさんのことが好きなんですかね?

PL夏野: え、それ以外なにか考えられるの?

PL礦石: それ以外考えられないと思うけど。

GM: そこ、うるさい。さて次はアイス君のところだ。君は現在監獄にいる。

アイス: え、何故に?

GM: 正確に言えば監獄も真っ青な強化特訓の真っ最中だ。

PL礦石: 頑張れー、目指せ一人前♪

アイス: もちろん真面目に励みますよ。早く一人前にならないと。

PL夏野: 建前はいいから本音は?

アイス: ウワーン、もう勉強は嫌だ。でも、一人前にならないと姫さまとキティに会えない~。

一同: (笑)

GM: そういうことだ。さて今日も地獄のメニューが始まる、という時にツワブキーさんが現れるぞ。

アイス: ツワブキーさん。

ツワブキイ: おお、アイオス殿。じつはですな。

アイス: 行きます、行きます。すぐに行きます!

一同: (笑)

GM: (苦笑しながら)おいおい、ツワブキーさんはまだ何も言ってないんだが・・・

アイス: えーと、これも一年に及ぶ修行の成果ですよGM。

GM: 君は一年なんの修行をしてたんだね?まあツワブキーさんの口から状況の説明はされるから問題はないんだが。

ツワブキイ: というわけでして・・・

アイス: わかりました。ですからすぐにでも行かせてください。

ツワブキイ: わかりました。ところでキティ様はどうするのですか?

アイス: え、キティがどうかしました?

ツワブキイ: お隣の部屋におられましたが?

アイス: GM、GM、填めましたね。わかってるんですよ僕には!

GM: 何のことだね?言っておくがここにキティがいるのは君にお弁当を届けに来たからだぞ。

アイス: え、う、どうしよう。

ツワブキイ: 私に言われましても困りますが。

アイス: とりあえずキティと話をつけに行きます。

GM: いいだろう。ちなみに別室にいるのはキティと戦士のような体格のエルファだ。君は当然二人とも知っている。

アイス: え?戦士っぽい人は知りませんよ。誰なんですか?

GM: 彼はセレナ。こんな名前だが男性だ。今はキティの護衛のようなことをやっている。

セレナのPL: やれやれ、やっとキャラができる。

アイス: えーと、それはどうもご丁寧に。

セレナ: (アイスのほうを睨みながら)別に貴様のことを思ってやっているのではない。

アイス: うう、なんか嫌われてますか?

GM: うん、だって彼の本来の任務は「森の宝具を帰還させること」だからね。あ、宝具というのはキティの持っている「針葉・広葉の主」だよ。

アイス: それだったらさっさと持って帰れば・・・あ!

GM: うん、自分で気がついたようだね。あの宝具は「この戦いが終わったら二人で森に返しに行く」はずだったよね。ところで返しに行ったのかいアイス君?

アイス: ああああ、すいません今すぐに返しに行きます。

一同: (笑)

GM: あれ?エルナについていかないの?

アイス: いえ、でも、ああ、そうでした。

セレナ: まあ、そちらにも返す意思があるようだし。忙しいのは事実のようだから俺もとくにお前に危害を加えてはいないがな。

アイス: ごめんよキティ、仕事が忙しくって。

キティ: 大丈夫ですぅ、私もアイスさんと一緒にいれて楽しいですからぁ。

セレナ: おい、俺の話を聞いてるか?

PL:夏野: さて、このように仕事に逃げるアイス君をどう思いますか?

PL礦石: 仕事って言えば何とかなると思ってるならかわいいね。

PL夏野: ふむ、そうですか。

PL礦石: 尊敬できるかどうかは別だけどね。

アイス: (二人の会話を聞かないように)えーと、さて行きましょうか。

GM: ところでアイスくん、キティはどうするのかね?

アイス: え、キティですか?

GM: うん。ツワブキーさんはキティについては触れてなかったけどね。

アイス: もちろん連れて行きますよ。

GM: あ、そうなの。てっきり危険なところに連れて行くことはしないのかと思ってたけど。

アイス: ふふふ、そうしたいのは山々なんですが。キティに泣かれた場合、僕はキティを止める事なんてできませんからね。

GM: (苦笑しながら)なるほど。

セレナ: やれやれ、それなら俺も準備をしたほうがいいな。

アイス: 一緒に来てくれるんですか。

セレナ: 絶対に勘違いして欲しくはないが、お前を守るためではないからな。

アイス: はい。あれ?僕はセレナさんに嫌われてますか。

セレナ: 俺はお前等のせいで森に帰れん。恨むのはそれで十分だろう。それに、俺は彼女がいる奴は嫌いなんだ!

アイス: な、何故にですか。

セレナ: うるさい!貴様にもてない奴の気持ちがわかるか!

一同: (笑)

PL夏野: 美味しいのがまた出てきましたね。

PL礦石: それはいいけど私たちの出番は何時だろうね。

GM: まあ、それは少し待ってくださいな。さて各人は準備を進めるんだね。

エルナ: そうなりますね。

アイス: ええ、すぐにでも出発出来るようにしておきますよ。

GM: わかった。まあ、今回は秘密裏に動くことになるわけだから必要最低限のスタッフで行くことになるね。

ゴウダン: 護衛は私一人か?

GM: まさか。戦闘要員が君とセレナそれからアイスとかじゃ心許ないからね。そっちはツワブキーさんが信頼できる人物を用意するよ。

エルナ: ツワブキーさんて、すごく優秀な方ですね。

GM: うん。裏方としての能力はかなり高いよ。もっともこの能力は信頼にたる君主に仕えてこそ発揮出来る能力だけどね。

 

こうして一行は問題の地、「ザノス:トルア」に出発することになった。

 

GM: メンバーはエルナ、ゴウダン、アイス、キティ、セレナ、それから帝国親衛隊からセイバー、ランサー。

PL夏野: その名前はFateからですか?

GM: 残念なことに彼ら英霊ではない。彼らの存在は本来表に出てはいけないので、今回はスキルがすぐにわかる偽名にしているだけだ。

アイス: じゃあ、槍と剣の名手ですか。

GM: まあ、そうなるね。それからフォレスト=ピース氏の弟であちらの情勢にも詳しいミズガルド=ピース氏。よく鍛えられた体つきの紳士だぞ。出発前にエルナに挨拶をしてくる。

ミズガルド: このたびは兄の失態のためにエルナ様達の手を煩わせることになりまして申し訳ございません。

エルナ: いえ、今回のことはフォレスト氏の力を超える出来事ですからしかたありませんよ。

GM: エルナがそういうと彼はそれ以上何も言わずにそのまま馬車に乗り込む。

ゴウダン: ところでGM、「ザノス:トルア」までは馬車でどれぐらいなんですか?

GM: 高速馬車で1日半ぐらいだね。

 

そのあと一行を乗せた高速馬車は順調に速度を出し、休息を挟んで次の日の朝には目的地まであと少しに迫っていた。

 

来訪者と再来者

 

GM: さて、目的地まであと少しなわけだが。全員ここで「視覚判定」をおこなってみようか。

エルナ: 4成功です。

アイス: 2成功です。キティは3成功ですね。

ゴウダン: 成功度は0だ。

セレナ: 1成功。

GM: じゃあキティとエルナは前方の茂みが不自然に揺れているのに気がつく。

エルナ: 御者の方にそのことを言います。

GM: 他にも気がついたのがいたのでそこは問題ないだろう。速度を遅くするかね?

エルナ: この場合速度を遅くすれば襲撃される可能性が増えますから、むしろ速度を速めて突っ切ったほうがいいでしょうね。

GM: (戦術としては正しいけどね)じゃあ君たちの馬車はそのままその茂み横を突っ切るわけだ。ところでその林を見ているキャラはいるかね?

アイス: 姫さまに言われてからはずっと見てます。

GM: じゃあ君は茂みから顔を出す人物を見つける。1年ほど前に何処かへ消えたシャストアの高司祭と平行世界のキティだ。

アイス: ティマさんとチャーミー!!!姫さま、大変ですよあの二人が。

エルナ: 御者の方に言って馬車を止めてもらいます。

GM: そんなことをしている間にも馬車はずいぶんと進んでしまうがね。さて、では君たちにはここからキャラを演じてもらおうか。

ティマ: やれやれ、こっちに来ていきなり戦闘とはついてないね~。

チャーミー: さっさと迎撃しない!私はまだ死にたくないんだから。

ティマ: 了解。じゃああの場所のほうに移動しようか~。

GM: ちなみ君らを追ってくるのは「スケルトン」が6体ね。なんか妙に強いから。

ティマ: OK 。じゃあ逃げようか~。せっかくの有給で死にたくないしね~。

チャーミー: だから、なんの話よ!

ティマ: こっちの話~。さて、じゃあ迫ってくる連中を迎撃するためにそうだなここにはいないケンゼン君でも作ろうかな。茂みで戦うんなら機動性だよね。移動しながら作るよ。

チャーミー: なんでこっちに来てすぐに襲われるのよ!

ティマ: 日頃の行いだろうね~、つまり人徳かな~。

チャーミー: あんた日頃何してるのよ!!

GM: うむ、迫真のロールプレイだね(笑)

 

この後、スケルトンに追われながらも何とかアイス達と合流を果たすティマとチャーミーはなし崩し的にエルナ達と共同戦線を張ることになる。

多少強くても所詮はアンデット。武器の相性が抜群であるゴウダンをはじめ強力なメンバーによって敵は次々と撃破されていった。

 

ゴウダン: ふー、片づいたな。

アイス: そうですね。

チャーミー: あなた達強いのねー。とくにそこのギャビットの人。

ゴウダン: 武器がいいからな。もっともこれはいずれ返さねばならないのだが。

チャーミー: ふーん。

 

プチ愛泥(猫様は魔女編)

 

アイス: そ、そんなことより君が何でここにいるんだいチャーミー?

チャーミー: あ、久しぶりね~アイス。

アイス: いや、そんなことはどうでもよくて・・・

チャーミー: どう、私に会えなくて寂しかった。

アイス: え、そんなことはないよ、たぶん。

ティマ: そこはキティのことを考えるなら言い切らないとね~。

チャーミー: (声のトーンを落として)そう・・・私は寂しかったわよ。あなたに会えなくて。

アイス: ええ、いやそんなこと言われても・・・

チャーミー: (アイスの方を見つめながら)私のことは何とも思ってなかったの?あの時の言葉は嘘だったの。

アイス: ち、違う。でも、その、えーとあれは・・・

チャーミー: (声質をがらりと変えて)なんてね。本気にした?

アイス: (しばらく固まってから)はい?

チャーミー: まあ、なんていうのかな、挨拶みたいなものよ。本気にしないでね。

ティマ: いや~、いい仕事するねチャーミー。

チャーミー: ふふふ、ありがとう。

アイス: え、え?

GM: アイス君、惚けてるのもいいが君の腕に激痛が走ったりするんだが。

アイス: い、痛い。もしかしてキティですか?

GM: うん目に涙をためて上目遣いで君の方を睨んでいるが。

アイス: ち、違うんだよキティ。

キティ: いいんですぅ。私のことなんか気にしないでチャーミーさんと仲良くしてくださいぃ。

アイス: 誤解だよ。僕は君のことが好きなんだ!

ティマ: おお、いいねー思ったことをそのまま口にできるのは若者の特権だよ~。

チャーミー: あら、私のことはどうなのア・イ・ス?

アイス: えっと、それは。

チャーミー: べつに私はあなたが私を大事にしてくれるならキティと一緒でもいいわよ。

アイス: えええええ!う、嘘だよねチャーミー?

チャーミー: (ニッコリと笑って)どう思う?

キティ: (ひくーい声で)アイスさぁ~~ん。

アイス: (突っ伏して)うう、こんなにも過去に戻りたいと思ったのは生まれて初めてだ~(絶叫)

一同: (笑)

 

プチ愛泥終

 

エルナ: ところでチャーミーさん。話を聞かせていただいてもいいですか?

チャーミー: あら、チャーミーでいいわよ。だってあなたもライバルなんでしょ?

エルナ: 何のことですか?

チャーミー: まあいいけどね。話ってのは私のことでしょう?

エルナ: ええ、平行世界の住人であるあなたが何故ここにいるのかをお聞きしたいんです。

チャーミー: うーん。どこから話せばいいかしら。

ゴウダン: できれば順序を追って話してもらいたい。

セレナ: 新参者の俺にもわかるようにな。

チャーミー: む、世界の救世主にそう言われちゃ、話すしかないわね。

セレナ: 救世主、俺が?

チャーミー: あーあんたじゃない。そこのギャビットの人。まあ、そこらへんも話すか。じゃあGM、解説お願い。

GM: (苦笑しながら)了解。

 

かくしてチャーミーの話が始まった。そもそも彼女はこことは違う平行世界ルナルワールドにおける「キティ」にあたる存在である。

滅びかけたその世界において悪魔として殺されかけた彼女をたまたま平行世界に移動してしまったアイス達が救う。その時ゴウダンがその世界で手に入れた剣を彼女たちに渡した一行はまたこちらの世界に戻ってきたのだ。

 

チャーミー: で、あの時の剣がすごい力を持ってたのよ。

 

彼女の話によれば、あの後世界の破滅を回避するための方法を模索中にたまたまあの剣に込められた力に気がついたのだと言う。

じつはあの剣は古代、銀の月の神々と龍達が戦いを繰り広げた際に封印された双方の巨大な力の触媒であり、全部で4本ある剣の力を解放することで強大な力を得ることができるのだ。

彼女達はその剣の力で近づく月を戻そうとしたのだが。

 

チャーミー: で、私たちは残った3本も手に入れていよいよ力の解放をしようとしたんだけど・・・いきなり私だけが変な世界に吹っ飛ばされちゃって。

ティマ: で、そこに通りかかった僕が彼女を助けてこっちの世界に来たわけだよ~。

エルナ: 何故こちらの世界に?

ティマ: うーん、いい質問だね~。その理由は簡単だよ。彼女はなぜかこちらの世界に引きずられてたんだ。あのまま彼女をあっちの世界に戻してもまた同じ事になりそうだったからね~。

チャーミー: それでこっちで原因を潰すことにしたの。それに会いたい人もいるしね(と言ってアイスの方を見る)

アイス: (微妙にチャーミーから視線をそらせながら)それで理由は何なんですか?

ティマ: こっちに来たばっかりだからまだ何とも言えないよ。とりあえず安全なところまで送ってくれると嬉しいな。

エルナ: わかりました。それでは馬車のほうに乗ってください。

 

こうして一行はまた馬車の住人となった。

 

霧の再生者

 

GM: しばらく行くと「ザノス=トルア」につく、そして多くの兵士が立てこもる砦が見え・・・ない。

アイス: ないんですか?

GM: いや、視界が霧で覆われているんだ。黄色い霧でね。

ゴウダン: それはもしや。

GM: (ニヤリと笑いながら)たぶん考えていることは当たりだよ。君たちが気がついたぐらいのタイミングで黄色い霧のをスクリーンにして二人の姿が映る。一人はカイゼル髭と片眼鏡の老紳士、そしてもう一人はアマラン=ゾウスだ。

アイス: え、ちょっと待ってくださいよ。アマラン=ゾウスは倒されたはずです。

GM: 君の古葉に呼応するようにその老紳士がこう叫ぶ。

老紳士: そのとおり!アマラン=ゾウス様は貴様達愚かな定命者によって滅んだ。しかしわが輩達「霧の再生者」の力によって今蘇ったのだ。

ティマ: またとんでもないのが蘇ったね~。

GM: さて時間もないから最後はアマラン=ゾウスのお言葉で締めくくろうか。

アマラン=ゾウス:久しいな弱き者ども、我は蘇った。貴様等に武器も、命も、希望すらも奪い尽くす真なる霧の恐怖を味あわせるためにな。

 

蘇りし霧の吸血鬼。来訪した異世界猫耳少女。そして帝国分断の危機。様々な問題をはらみつつ物語は本編へと続く。

 

外伝(上)へ

 

閣下と臣民のお部屋

閣下: ところでウィリー。

夏野: 誰がウィリーですか!?

閣下: まあ、それはどうでもいいんだけど。とりあえず外伝第1回の執筆お疲れ様。

夏野: いえいえ。そちらこそ日程調整お疲れ様です。

閣下: まあ、予定していた GW中の完走は不可能になったけどね。なんとか5月中には終わらせたいものだよ。

夏野: そうですね。ところで閣下。

閣下: うん?

夏野: アイス君が主役のはずですが、今ひとつ主役に見えません。

閣下: む、まだ序章だからね。

夏野: 何というか前半ゴウダン、後半チャ-ミーが主役な気がします。

閣下: うんチャ-ミーは良いキャラだ。

夏野: それは認めますがアイスは?

閣下: 本編をお楽しみに~。

夏野: 閣下の強引な終わらせかたで幕。

 

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