黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

外伝(中)「月下舞踏は突然に」

あの人は言った

私は「強い」らしい。

私は「すごい力を持っている」らしい。

わたしは「たくさんのなかま」がいるらしい。

わたしは「とてもえらい」らしい

ねえ・・・それで・・・ワタシハダレ?

ダレナノ?

 

外伝(中)「月下舞踏は突然に」

 

前回人質にとらわれた150人からの帝国兵士救出のため、隠し通路から砦に入ろうとしたゴウダン達。しかし隠し通路の横道で見つかったのは・・・・

 

あなたのお名前は?

 

GM: さてさて、アマランみたいな女の子が君の目の前にいるわけだけど。どうするのかねゴウダン君?

ゴウダン: GM、彼女が確実にアマランだという確証はあるんですか?

GM: うんにゃ。君はイブニングスターを使っているけど、別に「アンデット感知」とかはできないでしょう?まあ、イブニングスターで撫で切ってみて切れ味の違いを見るとかなら話は別かな。

セレナのPL: やってしまえ。その子を少し傷つけるだけだって。もしも本体だったら、そこで倒せばいいんだしな。

ゴウダン: いえ、そんなことできませんよ。それにそんな方法じゃ正確さに欠けます。

GM: じゃあどうするのかね?君はここに一人、仲間までは50メルー(メートル)は離れている。そしてあたりには恐怖の黄色霧が渦巻いている。

ゴウダン: そうですね・・・ところで少女の状態は?

GM: 君が見た限りでは普通に寝ているみたいだよ。

ゴウダン: それなら一旦チャーミー達のほうに戻ります。

GM: (お、少し意外だな)OK。

チャーミー: どうだったの?

ゴウダン: それなんだがじつは、こんな事があってな。といって二人に事情を説明します。

チャーミー: なるほど。そんなことがあったわけか。

キティ(エルナのPL): その子はぁ、罠じゃないでしょうかぁ。

ゴウダン: ああ、そうかもしれない。

チャーミー: たしかに、こんな所にただの女の子がいるのはおかしいしね。

ゴウダン: さて、どうすればいいと思う?

チャーミー: うーん、やっぱりそのままにしておくのは危険だと思う。

キティ(エルナのPL): そうですよぁ。その子がアマランだとしたら危険だと思いますぅ。

ゴウダン: そうだな。

チャーミー: それであなたの意見はどうなのゴウダン?

ゴウダン: 私は・・・その子を起こしてみようと思う。

セレナのPL: それはやめといたほうが利口だと思うぞ。

キティ(エルナのPL): そんなことしたらぁゴウダンさんが危険ですよぉ。

ゴウダン: それはわかっている。

チャーミー: いや、問題はそこじゃないでしょ。150人からの命を助けるために私たちはここに来てるのに、その前に1人の命を助けるためになんでそんな危険な事をしなければならないの?

セレナのPL: おお、シリアスな空間だな。

ティマのPL: まったくですね。

ゴウダン: 理屈はわかっているつもりだ。だが、150人を151人にしようと思うのはいけないことだろうか?

チャーミー: でも、その一人のせいで成功確率が下がるんですけど。

ゴウダン: ああ、だが私は疑わしいという理由で一人の女の子を殺す気にはなれない。だが、自分が今言っていることがどれだけ無茶かもわかっているつもりだ。だから、無茶を承知で言うが二人には力を貸して欲しい。

チャーミー: つまり、その子を助けるのを手伝えということ?

ゴウダン: ああ、私ではその子の外見だけでしか判断ができない。しかし君たちなら別の方法がないだろうか?

チャーミー: 協力って、しなくてもあんた一人でその子を助けない?

ゴウダン: いや、君たちの協力が取り付けられなければその子は諦める。

GM: (い、意外だ)

チャーミー: いいの?あんた弱者を守ったりしてるんでしょ?

ゴウダン: ああ、状況を考えれば仕方がない。今は諦める、そして次の機会を待つ。

キティ(エルナのPL): ゴウダンさぁん。

チャーミー: はいはい。手伝いますよ。

ゴウダン: 本当か?

チャーミー: だって、砦の兵士を助ける時に「あの子は大丈夫だろうか」とかずっと考えられてたら効率悪そうだし。あと、これは貸しだからね。

ゴウダン: すまない。

チャーミー: いっとくけど、軽く調べるだけだからね。それで判断できなかったら、今回の件は無し。

ゴウダン: ああ、それで十分だ。ありがとう。

チャーミー: まったくアイスもあんたもこの世界の男は少しおかしいと思うよ。まあティマは別の意味で変だけど。

ティマのPL: 大丈夫、自覚してますから。

アイスのPL: まあ、僕はゴウダさんにいろいろ教わってますから。

セレナのPL: あれだ、心の友というやつだな。

GM: さて、じゃあ女の子の寝ている部屋に戻るんだね。

チャーミー: こうなったらスピーディに行きましょ。あ、キティは部屋の前で待ってもらうから。いざという時は私のほうがまだ対応出来るし。

キティ(エルナのPL): そういえばキティはチャーミーをどう呼ぶんでしょうね?

アイスのPL: やはり御姉様でしょ。

チャーミー: あ、私そう呼ばれたらキティをグーで殴るからね。

キティ(エルナのPL): じゃあ、普通にチャーミーさんで。わかりましたチャーミーさぁん。

ゴウダン: それで女の子の様子はどうですかねGM?

GM: とくに変化はないぞ。さっきと同じで寝てるみたいだ。

チャーミー: じゃあ、周囲の魔力を感じてみる。

GM: そうだね・・・周囲を漂う霧からは強大な魔力を感じるが彼女自身からはとくに何も感じないぞ。

ゴウダン: なら、その子を起こしてみます。おっと、その前にチャーミーには脱出するように言いますよ。

チャーミー: あ、その言葉にはしたがわない。その子が誰なのか興味はあるし。一応扉の向こうへの「瞬間移動」に集中はしておくけど。

GM: (さて、ここからどうなるかな?)君が起こすと彼女はすぐに目を覚ますよ。で、君を見て不安そうな目をするぞ。

少女: おじさん・・・だれ?

ゴウダン: やはり、アマランじゃない?

GM: 君の呟きを聞いて少女は、不安そうな目をしながら後ろに下がる。

チャーミー: ゴウダンを少し小突いてから、その子と同じ目線で話しかける。こんにちわ、私はチャーミー。あなたのお名前は?

セレナのPL: お、少し古いが名セリフだ。

GM: 君がそう言うと、少女はおずおずと喋るね。

アマラン?: わたしの・・・わらわの名前はあまらん:ぞうす。

チャーミー: アマランちゃんか、いい名前ね。どうして「わらわ」なんて言葉を使うの?あなたには少し早すぎるよ。

GM: 君に言われると彼女は目に涙をためてこう言ってくる。

アマラン?: でも、こうやって言わないとおじちゃんに怒られるの。

ゴウダン: おじちゃんそれは、おっとそれは誰なんだい?

アマラン?: コペルのおじちゃん。わらわは偉いんだって。だからちゃんとした言葉を使わないといけないんだって。

アイスのPL: 敵ですね。そのロリコンが最終ボスです。

ティマのPL: えーと、GM。先に進めて。

チャーミー: あなたはそのしゃべり方が好きなの?

GM: 君がそう聞くと彼女は困ったような表情を作る。

アマラン?: でも、わた・・・わらわはこのしゃべり方じゃないとダメなの。

チャーミー: あのね、そんなことここじゃ誰も気にしないよ。好きなように喋っていいよ。

ゴウダン: ああ、背伸びなんかしなくても大丈夫だ。

アマラン?: ほんと・・・わたしって言ってもいいの?

チャーミー: うん。あなたは自分のことを「私」て言いたいんでしょ。

GM: 君の言葉を聞いてアマランと名乗る少女は始めて笑みを浮かべる。

アマラン?: うん。ありがとうお姉ちゃん。

 

この後しばらく、世間話に興じる3人。状況を考えるとやきもきしてしまう状態だが。その甲斐あってゴウダン、チャーミーの二人はアマラン?との距離を少しずつ近づけていく。そして暫くするとアマラン?から驚くべき言葉が告げられる。

 

アマラン?: あのねお姉ちゃん。わたしは誰なのかな?

チャーミー: え、どういう事?

アマラン?: あのね、おじちゃんはわたしは「偉い吸血鬼」だって言うの。でもわたしは何も覚えてないの。

ゴウダン: 君は記憶がないのか?

アマラン?: 記憶?

チャーミー: 今まで自分が何をしてきたかを覚えてないの?

アマラン?: うん、気がついたらここにいたの。それでおじちゃんにいろんな事を教わったの。

 

150と1

 

GM: 彼女がそこまで言うと同じぐらいに、霧の中から一人の男が現れる。カイゼル髭と片眼鏡の老紳士だ。

ゴウダン: 何ものだ!

GM: 老紳士は君らを見渡すと、大げさにため息をついてから芝居がかった口調うでしゃべり始める。

老紳士: ふむ、いかに武勲光し「不屈の勇士」といえど老人に対する配慮がないのはいかがなものかな。まあいい、わが輩の名はコペリウス=アイン=シュトローゼン。コペルと呼んでいただこうか。

チャーミー: 凶器髭が出てきてからのアマランはどんな様子なのGM。

GM: (凶器髭って・・・)無事だよ。だけどコペルが現れてからは目がとろんとなっているけどね。

チャーミー: 魔眼?それとも何かの呪文?どちらにしてもアマランを髭から隠すように動くから。

ゴウダン: この子にいろいろと教えていたようだが、お前がこの子の保護者というわけか?

GM: 君の言葉にコペルはまた大げさに芝居がかった動作で否定する。

コペル: どうやら汝らは誤解しているようであるが、我が輩はアマラン様の従者である。従者が主人の知らぬ事を教えるのは当然の勤めであろう。

ゴウダン: じゃあ、この子はあのアマラン=ゾウスなのか?

コペル: 左様。我が力が足りぬばかりに未だ記憶が完全ではないが、間違いなくアマラン=ゾウス様である。さて、貴様等にはアマラン様をたぶらかそうとした罰を受けてもらおうか。

ティマのPL: なんか「からくりサーカス」見たいですね。

セレナ: 微妙にマイナーどころだな。

GM: 外野うるさいよ。さてコペルの声に従うかのように、霧の刃が四方から生まれるのだがね。

ゴウダン: チャーミーに目配せします。これで伝わるはず。

チャーミー: じゃあアマランちゃんを連れて「瞬間移動」します。アマランちゃんの体重が40kg以下なら大丈夫なはず。

GM: うむ、彼女はそんなに重くない。しかしこの状態なら「他者移動」と同じように意思判定をするのが普通ではないだろうか。

ゴウダン: 魔眼で意識は朦朧としてるんでしょ

GM: あ・・・。

チャーミー: (コロコロ)よし、成功。キティと合流して一旦ここから距離をとる。

ゴウダン: すまない。さてアマランが消えてから、コペルはどんな感じですか?

GM: それは怒ってるよ。それまでの芝居かかった口調とはうってかわって、君に噛みつくような形相で喋ってくる。

コペル: 貴様ぁ!!何をしたかわかっているのであろうな?

ゴウダン: わかっているさ。女の子を一人助けただけだ。違うのか?

コペル: いいだろう。そのような口を叩けないようにここで完膚無きまでに滅ぼしてやろう。

GM: さて戦闘、戦闘。

 

コペルの声と共に襲いかかる霧の刃。四方から襲いかかる刃に堅牢なゴウダンもダメージは受けてしまう。

しかしコペルの刃は威力がアマランの「月下美刃」に遠く及ばないため、ゴウダンにかすり傷しか負わせれない。逆にゴウダンは「シャイニングブレイバー」を名前の通り煌々と光らせてコペルに次々とダメージをあたえる。

この間にキティと合流したチャーミーは「瞬間移動」でさらに通路の入り口まで移動する。

 

ゴウダン: (コロコロ)ダメージは11点。

GM: うーむ、その程度では大丈夫なんだが・・・状況が悪いな。

セレナのPL: 口先だけだなこいつ。

GM: く、この成果ではそういわれてもしかたがないか。なら交渉のほうで頑張らせてもらおうか。と、言うわけでゴウダンに話しかけてくるぞ。

コペル: そこまでだ、勇士よ。

ゴウダン: ここまで来て命が惜しくなったか吸血鬼?

コペル: いや、貴様は今の状況がわかっていない。わたしの手元には150人の砦の兵士がいるのだぞ。そして彼らの命はわたしの手にかかっているのだ。

ゴウダン: なるほど、何が狙いだ?

コペル: わかっておろう、簡単なことだ。アマラン様を帰すのだ。さすれば150人の命は救ってやろう。

セレナのPL: うわ、卑怯で姑息だな。

ゴウダン: それはすぐには難しいな。二人はかなりの距離を移動しているはずだ。

GM: 君がそう言うと彼は少し考えたような顔をするね。

コペル: ふむ、もともと貴様等には1日の猶予を与えていたからな。よかろう、2日後の満月の夜。アマラン様を連れて砦に来るのだ。

ゴウダン: それまで150人の命はどんなことがあっても散らすなよ。もちろん吸血鬼化などもするな。

GM: (ちぇ、釘を刺された)君がそう言うと、コペルは調子を取り戻したのか例の芝居かかった口調でこういう。

コペル: あたりまえだろう。我が輩は紳士であるのだぞ。

セレナのPL: ほぼ確実に似非紳士だな。

ティマのPL: しかもチキンハートです。

ゴウダン: わかった。だが一つだけ言っておく。私が守りたいのは150人ではない、151人だ。

一同: おお。

コペル: くく、所詮は定命の浅はかさよ。せいぜい二日間で焦るがよいわ。

GM: こんな言葉を残して彼は霧に消えていくよ。

ゴウダン: じゃあ、それが終われば一旦チャーミー達と合流します。その後でもう一度砦に続く扉まで行って見ますがどうですか?

GM: 砦に続く扉は溶接されたようになっていて開かない。合金製の丈夫なものだし。そう簡単には破壊出来ないだろうね。

ゴウダン: やはりか・・・あの時すぐに砦に向かっていれば違った結果になったかもしれないな。

キティ(エルナのPL): でもぉ、それだとアマランちゃんは助けられなかったですよぉ。

チャーミー: まあ、そう言うことになるかな。

ゴウダン: ああ、こうなったからには砦の兵士もアマランも必ず守ってみせる。

チャーミー: 兵士はいいけど、アマランちゃんは難しいけどね。

 

こうして地下通路での決戦は一応の終息を迎えた。そのころ地上では前回行われた事件の後片付けが行われていた。

 

サプライズ・ザ・カウ

 

GM: 一応、ランサーの死体は駆けつけたガヤンの巡査によって秘密裏に運ばれる。

エルナ: 首無し死体は間違いなく本物なんでしょうか?

GM: まあ、解剖などはしてないけどほぼ間違いないね。

セレナ: やっぱり霧に襲われたのか?それでミズガルドは服以外が吸収されたのか?なんか今ひとつピンとこないな。

GM: さてさて、どうだろうね。あ、それと君たちには護衛がつくからこの村のガヤン神官のハバネロさん。

ティマ: また辛そう名前だね~。

GM: 辛いかどうかは兎も角、常に眉間にしわを寄せてる人だ。

セレナ: うん、室井さん?

GM: いや、顔つきはあれより遙かに怖い。子供とかが見たら泣くだろうね。

 

一行は事件についてのあらましを説明した。(もっとも霧の件には触れず、暴漢がミズガルドを攫った。という話でお茶を濁したのだが)

一行はエルナの立場や、アイスがガヤンの高司祭であることもあって容疑も掛けられずにすんだ。

 

GM: さて、一段落つくと彼が君たちに替えの服も用意してくれる。

セレナ: そう言えば結構戦闘とかあったし服も汚れてるよな。

エルナ: あ、それなら直接取りに行きますよ。

アイス: ご一緒しますよ。姫さま

 

こうして一行は貸衣装屋へ向かった。村にある規模としてはかなり巨大な貸し衣装屋でそれぞれが自分の趣味でコーディネート(ティマだけは何故かアイスと色やデザインを合わせていたが)を楽しんでいると、意外な来客が訪れる。

 

GM: (やはり会うことになるのか・・・)君たちが貸衣装屋にいると、店の入り口が開いて見覚えのある顔が入ってくる。

アイス: え、誰ですか?

GM: えーと小太りで、つけ耳をつけている眼鏡の中年男性。

アイス: フリスキー!(と言いながら抜刀の動作)なんで貴様がここにいる~!!(と言いながら斬りかかりの動作)

セレナ: おい、落ち着けアイス。

アイス: 僕は冷静ですよ。冷静にこいつを斬り殺すだけです。

GM: (うーむ、こいつの性格から考えて使いたがらないんだが・・・)じゃあアイス君-5のペナルティで「生命力チェック」お願いね。

アイス: え・・・(コロコロ)ぜんぜん、成功してませんけど。

GM: じゃあ君は突然目が見えなくなる。当然攻撃の判定には-10とかつくからね。

アイス: えーと・・・(コロコロ)失敗です。何故にー、ゴロゴロゴロ(どうやら攻撃失敗後に転けたらしい)

GM: アイスが転けた後でフリスキーは息を整えながら君たちに喋ってくるね。

フリスキー: ふー、まったく物騒な奴にゃン。

エルナ: アイスを見てみますが大丈夫でしょうか?それにしてもフリスキーさんて強かったんですね。

GM: あくまで自衛用の呪文だよ。性格があれだからいろいろと敵も多かったわけだ。あ、アイスは10秒ほどで元に戻るから。

セレナ: ところでこいつは誰なんだ?

ティマ: えーとキティのお師匠さん。

 

そう、彼の名はフリスキー。キティの師匠にして「獣耳を世界中に広げる」という自身の熱き思いのために「町一つをの住民を総獣耳化」した男である。もっともその後は捕まって騒乱罪などの刑になったはずなのだが・・・

 

フリスキー: 幾つかの霊薬を作った見返りに刑期を短縮してもっらったにゃン♪

アイス: くそ、世界はなんでこんな男は野に放つんだ。

ティマ: まあ、まあ、落ち着いて。ところでフリスキーさん、どうしてあなたはここにいるの?

フリスキー: ふん、お前等には関係ない話だにゃん。

アイス: こ、この男は!

ティマ: 落ち着いて。大丈夫だよ彼の思考パターンは未来という可能性で実証済みだ。(コロコロ)じゃあ GM 、「完璧幻覚」でキティ作ります。

一同: (笑)

キティ’(エルナのPL): お久しぶりですぅ、ご主人さまぁ。

GM: その瞬間、フリスキーは涙を流しながらキティに抱きつくぞ。

フリスキー: キティ~~~

セレナ: あー、うっとおしい親父だな。

ティマ: それは認めるよ。しかし別のGMがやってるのにこうも変わらない奴も珍しい。

 

執筆者注:じつはフリスキーはNASAさんのルナルワールドでも一波乱起こしていたりします。*1

 

GM: まあ、あれだよ。それだけこいつのキャラクターがわかりやすいってことだろうね。

フリスキー: ああ、キティ私は寂しかったにゃ~ん。

キティ’(エルナのPL): 泣かないでくださいご主人さまぁ。

アイス: そ・れ・でお前はなんでここにいるんだフリスキー。

GM: 君の言葉など聞こえてないかのようにキティとべたべたしているぞ。

アイス: く、この変態め、僕のキティに何をしている!

ティマ: まあ、落ち着きなよさりげなく所有宣言をしたアイス君。

アイス: え、いや、それは勢いでして・・・その。

セレナ: 狼狽するなら最初から言わなければいいのにな。

ティマ: まあ、まあ。アイス君はあれでこそアイス君だからね。さてフリスキーにはキティで話を聞いた方がいいね。

キティ’(エルナのPL): ご主人さまぁ、どうしてここにいるんですかぁ。

フリスキー: うむそうだったにゃキティ。じつはわしは今ある御方の協力をしているにゃ。

キティ’(エルナのPL): あるおかたぁ?

フリスキー: うむ、その御方のために服を作っておるのにゃン。

ティマ: あれ?そんなスキル持ってましたっけこの人?

GM: いやティマは詳しくこいつのスキルを知らないだろう。さて、君たちがそんな話をしていると屋敷の扉が開いて中に女性が入ってくる。

????: あらン、いつの間にか男の子が一杯ねン。

セレナ: どんな奴だ?

GM: (無言でルナル・サーガ・リプレイ天空の蹄編を取り出して)こんな人。

一同: (その開かれたページを見て爆笑)

エルナ: えっと「虹色の野牛」ですか?

GM: うむ。額に短い角。白い肌に黒い模様がある爆乳のお姉さんだ。

ティマ: いや、えーとGM~?いくらなんでも出てくるキャラクターの脈絡がなさすぎなんじゃ・・・。

GM: (むしろ、関わるのが遅すぎたぐらいで脈絡はちゃんとあるんだがな)さて、どうするかね?

アイス: えーと、神の乗り物なんですよねこの女性?

GM: PLは知らないよ。それに、そんな悠長な事を言っているなら男性諸君は1D6を振ってもらうけど。

ティマ: は、しまった(コロコロ)4だね。

セレナ: (コロコロ)3だ。

アイス: えーと(コロコロ)5ですね。

GM: じゃあ美人のお姉さんが君に枝垂れかかってくるぞ。

アイス: え、ちょちょっと。

????: あらン、私はぼーやのタイプじゃないのン?

アイス: いえ、そんな、じゃなくて、僕には、えっと。

セレナ: おいおい、目に見えて狼狽してるな。

ティマ: これでこのまま皆をほっといて虹牛と天に昇れば伝説になるね~。

セレナ: そう言えばアインとアイスは名前が似てるな。

 

執筆者注:アインはルナル・サーガでこの女性?に誘惑されかけたキャラクターです。

 

エルナ: あの、ところであなたはどなたなんですか?

GM: 君が声をかけると女性は眉間にしわを寄せて君の方を睨んでくる。

????: ああん!?お前には関係ないだろうがよ!!

アイス: えー、対応が違いますよ。

ティマ: そりゃしょうがないよこの人だもん。

セレナ: しかし重要そうなNPCが片方はアイスもう片方はキティ(のシャドー)にべったりでは問題だぞ。

ティマ: あ、そうか~、つまりキティを使ってフリスキーにこの女性を紹介させればいいんだね。

キティ’(エルナのPL): ご主人さまぁ~。このお姉さんはどなたなんですかぁ?

GM: キティがそう聞くとフリスキーは慌てて、手を振りながらキティにこう答えるね。

フリスキー: 誤解するにゃキティ。わしはお前一筋だにゃン。

一同: (笑)

 

意思の疎通に問題はあったが、フリスキーによって女性を紹介してもらう一行。この女性の正体はゼクス高原に三体存在する「神の騎乗」が一、「虹の野牛」であった。神の騎乗とは平原の国ゼクスに双子の神が現れた際、神をその背に乗せていた聖なる動物である。

赤と青の神がこの世界から離れた際に彼らもまた眠りについたはずなのだが・・・

 

セレナ: それがなんでこの村に来てるんだ?

虹の野牛: それがン、私が寝ている間に厄介なことが怒っちゃったのよン。

アイス: 厄介なことですか?

虹の野牛: そうなのよン、ねえ、ぼ・う・や助けてくれるン。

GM: そう言うと彼女は君に枝垂れかかってくる。完全に胸に君の顔が埋没する状態だ。

アイス: え、エー、こ、困りますよ~!

ティマ: だね。さすがに胸で窒息はアイス君もしたくないだろうしね~。

アイス: え?あ、そうですね。それは困りますよ。

セレナ: おい、お前は「何に」困ってたんだ?

エルナ: あ、それは私も聞きたいですね。

アイス: いえ、その、あの。

GM: (困ったな。話がちっとも進まないぞ)

セレナ: それで、結局何があったんだ?

虹の野牛: 私の封印してた力が奪われちゃったのン。

ティマ: ・・・えーと。

エルナ: それって大変なんじゃないんですか?

虹の野牛: そうねン、使いようによっては国が一つピンチになるわねン。

セレナ: それを大ピンチって言うんだ!なんでそんな事になるんだよ。

虹の野牛: それがいろいろあってねン。

 

彼女の封印していた力とは「闇の蝗」と言われる存在で。名前の通り、それが通った後には何も残らない凶悪な存在であった。

十数年前、ある事件で封印が解かれかけた「闇の蝗」を同じ神の騎乗である「風の山羊」「黒雲の馬」と共に封印したのだが、彼女の受け持っていた封印が解かれたというのだ。

 

セレナ: ちょっと待て!それだとあれか、この世界はもうすぐ蝗に滅ぼされるのか!?

アイス: さすがに佃煮にはできませんよね。

セレナ: あたりまえだ!俺はあんなもの絶対に食わんぞ。

GM: いや、意外と美味いんだがなーあれ。おっと、君たちの話を聞くと「虹の野牛」は訂正するぞ。

虹の野牛: あ、勘違いしないでねン。奪われたのは「闇の蝗」の力だけだから。

エルナ: 力ですか?

GM: うん。彼女によれば「闇の蝗」の本体は現在でも眠りについているらしい。だから今まで気がつかなかったとの事だ。決して彼女がオス以外に関心がないだけじゃなくて。

アイス: 本編でもあったような話ですね。

ティマ: だね~。ところでその力って何ができるの~?

GM: 君がそう聞くと彼女は小首をかしげて考え込む。

虹の野牛: そうねン、あれだけ歪んだ力だと使い方も限定されるわねン。

セレナ: あれか?歪んだパワーストーンみたいなものか。

GM: うん、そんな感じだね。

虹の野牛: 使うには、儀式とかを施すのが前提になるでしょうしン、使えたとしても「略奪」とか「吸収」とか「破壊」っていう方形性を持ったものになっちゃうわ。

エルナ: なるほど、何に使われたのかはわかりました。

セレナ: ああ、それで奴は蘇ったわけだな。

ティマ: そだね~。ところであなたはなんでここにいるの~?

虹の野牛: 私の家を守ってくれてるシャロッツの子達が「帝国の人たち」を家の近くで見たらしいのよン。それでこの村に帝国の偉い人が来てるって聞いて話を聞きに来たの。

セレナ: まさに「駆けて」だな。

アイス: 質問があります。虹の野牛さん。

GM: アイスくん。質問はいいがとりあえず「生命力判定」をおこなってくれ。

アイス: え、何故にですか?

GM: では聞くが、君は今どういう状況かね?

アイス: えーと、牛さんに挟まれてますね・・・え、窒息死?

一同: (笑)

GM: うむ、したくなければ成功したまえ。

アイス: (コロコロ)成功です。ゼーハーゼーハー(深呼吸の擬音らしい)

セレナ: ちっ、歴史に名を残し損ねたなアイス。

GM: それで質問は?

アイス: あ、はい。虹の野牛さんがここにいる理由はわかりました。でも、なんでここに変態がいるんですか?

GM: ああ、そのことか。君が聞くと虹の野牛は答えてくれるぞ。

虹の野牛: ああ、そのことねン。フリスキーちゃんは私の衣装をコーディネートしてくれたのン。

ティマ: へー、フリスキーも意外な成長をしたね~。

GM: いや、ただ単に彼女がこちらの衣装に疎いだけだ。なにせウン百年単位で眠ってたわけだから、近頃の流行が判るわけがないだろう。

アイス: 別にそこは気にしなくてもいいんじゃないですか?

虹の野牛: あらン。それは女心が判ってないわよンぼーや。やっぱりちゃんとした場所で話し合いをするんだから着飾らないとねン。

アイス: でも、それならフリスキー氏じゃなくてもいいでしょ。

虹の野牛: それはおまけよン。彼にはこの体を安定させる手伝いをしてもらってるのン。

セレナ: どういう事だ?

GM: 彼女の今の姿はあくまでかりそめの姿だからね。本体から遠く離れて力を使ったり、この姿をとりつづけるのは少しだけしんどいのだよ。で、たまたま知り合ったフリスキーが彼女の悩みを解決するエリクサーを作ったと。

セレナ: うはー、フリスキーってもしかしてホントに天才じゃねーか?

GM: うん。「自分の好きな分野」や「自分の夢のための分野」なら世界屈指だと思うよ。

エルナ: そう言えば衣装はもう準備されているんですか?

フリスキー: とうぜんにゃ。

GM: 彼は持っていた衣装箱を虹の野牛に持たせる。彼女はそれを持ったまま隣の試着部屋に消えていくね。アイス君を最後まで瞳で捕らえながら。

セレナ: あー驚いたぜ。また、すごいサプライズだったよな。

ティマ: まったくだよ。

アイス: あ、GM。今のうちに姫さまに言い訳をします。

セレナ: すでに言い訳は決定なのな。

チャーミーのPL: やっぱりそう言う星のもとに生まれてるのがアイスなの?

ティマ: まったく否定出来ないね~。

エルナ: わかってますよ。アイスだって男の子ですからね。

セレナ: うわ、好意を持ってる女性には言われたくない台詞だなー。

アイス: ち、違うんですよー姫さま。あれはあの人が急に襲ってきて。

チャーミーのPL: でもアイスも真剣に嫌がってはなかったような気がする。

エルナ: ダメですよアイス。あなたには心に決めた人がいるんでしょう?

アイス: え、それはそうですけど・・・

ティマ: ふむ、姫さまは暗に「あなたはキティを選んだんでしょう」と言ってるね。

セレナ: つまり「猫ッ子を取ったからには牛属性には目覚めるな」と言うことだな(笑)

アイス: でも、僕は姫さまのことも支えていきたいんです。

エルナ: その気持ちは嬉しいですが・・・

GM: (お、いい雰囲気だ。壊しづらいな。)君たちがそうやって話していると、「虹の野牛」さんが衣装をまとって入ってくるぞ。

セレナ: む、いいとこだったんだが。ところで虹牛の衣装はどんなのだGM?

GM: (虹牛・・・ま、いいけどね)彼女の衣装はマーブルカラーのゴスロリメイド服。

アイス: は?

GM: だからベースが白でそれに黒のマーブル。で各部に黒いフリフリがついた胸元にゆとりのあるメイド服。ちなみにフリスキーはそれを見て無言でガッツポーズをしている。

アイス: こんの、変態が~!!!(そう言いながら剣を振りかぶるようなポーズをとる)

フリスキー: な、何をするにゃン。昔から正装と言えばメイド服にゃン。

アイス: そんなわけがあるか~!

ティマ: うーん。知り合いにそんな意見を持っている人がいるんだけどね~。

チャーミーのPL: ねえねえ、とりあえずアイスを止めたら?

セレナ: わかってるんだが。止めたくないな。

虹の野牛: さて、正装になったところでン。あなた達は帝国偉い人の関係者なのン?

セレナ: ああ、そこにいるお嬢さんが帝国の黒幕だ。

エルナ: 黒幕ってなんですか?

ティマ: いい言葉だね~。あこがれの職業だよ~(笑)

GM: セレナの言葉を聞くと虹の野牛は顔をしかめる。

虹の野牛: ち、女かよ。

ティマ: まあ、まあそれは今は些細なことでしょ~。

虹の野牛: で、おたくの軍隊の不始末をどうつけてくれるんだ、アン?

エルナ: その騒動は本当に帝国軍が行ったんでしょうかGM?

GM: それはわからないね。君だって帝国の内情をすべて知っているわけじゃないでしょう。

セレナ: しかし、次から次に厄介なことが起こるな。

アイス: (自分のノートを見ながら)えーと、虹の野牛さん、質問があります。

虹の野牛: 何かしら、ぼーや?

アイス: えーと、今回は胸の間にいないから普通に喋れますよねGM。

GM: ああ(笑)

アイス: それじゃあ、質問なんですが。どうして僕らがこの村に来てることをあなたは知っていたんですか?

ティマ: あ、そういえば。

虹の野牛: 帝国のトップがこの近くに来るってこの辺りじゃ噂になってたわよン。

セレナ: まあ、実際に来てるしな。

アイス: でも、それっておかしくないですか?

ティマ: そうだね~。君たちがここに来ることになったのは急なんでしょう?それならおかしいね~。

アイス: それもありますけど。普通こういった場合なら「偉い人が来る」とかの言い回しが使われるんじゃないでしょうか?

チャーミーのPL: お、そろそろアイス君が本気になってきたのかな?

GM: そうかもね。

アイス: だとすれば・・・事前にしっかりしたシナリオを作っていた人物がいて。あ、GM以外ですよ。

一同: (笑)

セレナ: 大丈夫だ。それぐらいわかるぞアイス。

チャーミーのPL: こういう一言がなければもっと格好いいのにねー。

エルナ: そのシナリオ通りに我々が動かされていると言うのですかアイス?

アイス: その可能性がありませんかね姫さま?

ティマ: 可能性はあると思うよ~。けど証拠がないね。

セレナ: 今からでも遅くないから情報を得るために動いてみるか?

アイス: でも、軍部の事をよく知っている人がいないんですよね。

GM: (そうそう、せめてゲームスタート時点からこの心意気で動いていればねー)

ティマ: でも諦めたらそこで試合終了だからね。とりあえず噂の出所の調査かな。

エルナ: そうですね。ゴウダンさん達が帰ってきたら情報を集めてみましょうか。

GM: (そう、うまくはいかないけどね。)

セレナ: でも、問題は時間だな。GM、今は夕方ぐらいなんだろう。

GM: うん。もうすぐ日が沈むね。

ティマ: 日が暮れてから情報を仕入れるのは大変だね~。しかも明日には結論を出さないといけないし。

GM: ついでに言えば、君たちには常にハバネロ氏の護衛がついているしね。

セレナ: うわー、あいつがついてくるんじゃ情報なんて集められないぞ。

アイス: なんとかならないんですかねGM?

GM: まあ、エルナあたりが強権を発動すれば彼も引き下がるんじゃないかな。

ティマ: こっちの立場がさらに悪くなるけどね~。

セレナ: しかしな。俺が思うにここいらへんできっちり情報を集めておかないと、とんでもないことになると思うんだが。

GM: (この考えを始めから持っていたらね・・・)

アイス: ここは素直にゴウダンさんが帰ってくるまで待機して、それから考えませんか?

エルナ: いえ、ゴウダンさんがあれだけ頑張っているんですから。私たちもできることをやりましょう。

ティマ: うーん。姫さまが承諾してくれるんならいい策があるよ~。

アイス: 本当ですかティマさん?

チャーミー: いや、こいつの策はあんまり聞かない方がいいような気がする・・・

 

月下舞踏は突然に

 

ティマ: うん。ちょっと大事になるけどね。

エルナ: 大事ですか?

ティマ: うん。パーティなんてどうかな?

セレナ: (首をかしげて)は?お前、何を言ってるんだ?

ティマ: だからね~。ここに僕らが来てることが噂になってるんならパーティでもして村人を一カ所に集めてから、直接話を聞くことができるんじゃないかな~。

アイス: えーと、本気ですかティマさん?

ティマ: うん。本気だよ~。だって今回は情報収集じゃなくて情報戦ぐらいしないとダメでしょう?

セレナ: なるほど。戦いなら多少無茶なことは必要だと。

ティマ: そう言うことだよ。

アイス: でも時間がありませんよ。

エルナ: それにこんな急な話ではこの村に人たちに迷惑がかかります。

ティマ: それはそうだね~。でもこれから2時間ぐらいで何とか準備はできると思うよ。会場になりそうな場所を押さえたり、人の確保をするのは姫さまの力を使うことになるけどね~。それに帝国の重鎮と仲良くなれるチャンスならそれなりの立場がある人間なら問題なく出席してくれるでしょう。

GM: 君たちが話をしているとハバネロ氏が入ってくるぞ。

ティマ: ちょうどいいや。ハバネロさんにも話を聞いてもらおうかな~。

GM: おいおい、ハバネロさんはそんな話を聞くと激高するぞ。

ハバネロ 君たちは何を考えているんだ!

アイス: いえ、そのですね。

ティマ: (口調を変えて)捜査への協力ですよハバネロさん。

GM: 君の言葉で彼は怪訝な顔をするが。

ティマ: いいですか。今回の犯人はこれだけの事件を起こしているわけですから、普通の精神状態ではいられないでしょう。ゆえにパーティなどで不審な人物の発見が有功です。

ハバネロ む・・・

ティマ: 加えて言えば、パーティを開くことで本来なら不審がられるあなたの存在を「エルナード姫の護衛」ということで正当化出来る。つまり住民からの取り調べが容易です。ねえアイス氏。

アイス: え、はい。

GM: じゃあ、ハバネロ氏はアイス君に聞いてくるよ。

ハバネロ Mrアイス。こちらのかたはどなたです?

アイス: えーと。正直なんで嘘をつけないけど。シャストアってのを言わない方が良さそうなんですよね?

GM: うーん、そういう意味じゃなくて。ティマの捜査能力とか聞いてるんだけどね。

アイス: あ、そうなんですか。それなら大丈夫ですよ。こちらの方には僕も何度か助けられてますから。

ティマ: ふふ、アイスと似たような服装で。なおかつガヤンの高司祭が頼っている人物。さてハバネロ君は僕をどう見るかな~。

GM: まあ、信頼するだろうな。

チャーミーのPL: この詐欺師。

ティマ: ははは、いつからこの世界は紛らわしいだけで詐欺師になったんだい?

アイス: でも僕と同じような服装を望んできてませんか?

ティマ: いや、これはマイブームだよ(笑)さて、ハバネロさんに許可はもらったし、あとはエルナ様次第だね~。

エルナ: 無茶だとは思いますが。今は情報が欲しいです。やりましょう皆さん。

ティマ: 決まったね。

セレナ: よし、それじゃあ場所の確保と、食事の準備。それから招待状だな。

ティマ: 招待状は急を理由に口頭で村の人たちに伝えればいいでしょう。食事は立食形式が手間がかからなくて、マナーもいらない上に人と話もしやすいからいいよね~。場所の確保さえできれば内装は最低限でいいよ。

アイス: こっちの服装は?

セレナ: エルナ姫は例の単衣があるから問題なし。他は仮貸し衣装でどうになるな。服を持ってない出席者の分もそっちで無料手配出来るようにしようぜ。どうせ金は帝国持ちだ。

エルナ: いえ、この一件が終われば私が出しますよ。

アイス: しかし。こうやって決めていくのは簡単ですけど。本当にうまくいくんでしょうか?

ティマ: パーティ自体は完全に成功しなくていいんだよ~。きっかけが必要なのさ。

セレナ: うん?ああ、なるほどな。パーティに協力してもらう連中にはこれで情報収集が簡単にできるわけだな。

ティマ: そういうこと。さてパーティの準備だよ。もっともゴウダン達が有益な情報を持ってきたら準備の振りして奇襲に変わるかもしれないけど。

 

こうしてゴウダンが帰ってくるまでの間、地上ではサプライズ・パーティの準備で大いに盛り上がっていた。企画者のテキパキとした行動と、ダイス目もあってゴウダン一行が帰ってくる頃にはパーティは形になりつつあった。

 

ゴウダン: 我々が帰って見るとパーティの準備中か。

GM: そうだね。なにやら盛り上がってるよ。

アイス: あ、帰ってきたんですか皆さん?

チャーミー: あら、帰って来ちゃダメだったのアイス?

アイス: えう、いえ、いえ。そんなことないよチャーミー。

チャーミー: ところで何やってるの?

アイス: かくかくしかじかと言うことで。これからティマさん考案のパーティです。

チャーミー: あの男は!

ゴウダン: それよりも、状況を話したいんだが。

アイス: あ、ダメなんですよね。

チャーミー: PLは知らないでしょ。そのこと。

アイス: おっと。

ゴウダン: とりあえず何が起こったかを、短く纏めます。

GM: わかった。さて話は伝わったがどうするのかね皆さん?

セレナ: とりあえず、その子を村の外に出そうぜ。

アイス: そんな。あんまりですよセレナさん。

セレナ: 何がだよ。いっておくが俺はこいつのせいで死にかけたんだぞ!

チャーミー: とりあえず、アマランちゃんには話が聞こえないように移動させるから。

GM: 賢明だね。

アイス: それは、そうですけど。この子には記憶がないんですよ。

セレナ: だからなんだ。いつもとに戻るかもしれないんだろうが!

ティマ: そうだね~。

アイス: ティマさん!?

ティマ: 言葉を付け足すならここからその子を放り出しても、その子が真の力を使えば簡単にこの村は壊滅する。この村の住人ごと出て行くこともできるけど、この時間じゃ帰って危険性が上がるよ。それよりは村人一カ所に集めておいたほうが、防御はできるけどそれもアマランの前じゃ難しいね。

エルナ: そうですね。それに砦の兵士の問題もあります。その子をどうにかすればいい問題ではないと思いますが。

セレナ: わかったよ。それでゴウダンの意見はどうなんだ?

ゴウダン: 私は彼女に聞いてみたい。GM、アマランの方に歩いていきます。

GM: わかった。アマランはもう例のトロンとした目じゃなくなっているよ。

アマラン: どうしたのお兄ちゃん?

ゴウダン: 一つ聞きたいことがあるんだ。君はおじちゃんの元に返りたいかい?

GM: それを聞くと彼女は全身を震わせてこう言うね。

アマラン: いや!帰りたくない。わたしはここにいたいよ。

ゴウダン: そうか。なら君は私が守る。

セレナ: おい、本気か!記憶が戻ればどうなると思う。

ゴウダン: その時は・・・私が責任を持つ!

セレナ: お前なー。

ティマ: ま、そんなに心配だったら君も武装しておいたら?今回のパーティに正装はないんだから。

セレナ: 当然だ。パーティに出るのは村人をアマランから守るためだからな!

エルナ: ありがとうございますセレナさん。

チャーミー: ま、強大すぎる相手のことを考えるよりも、まず目の前にあることからよね。

アイス: 一応、セッション終了のCPでチャーミーも「空気破壊」を使えるようになりました。あと、アマランについていくつかおかしい点があります。そこを調べていけば何か見つかるかもしれません。

エルナ: お願いしますアイス。今回はこれ以上武力の争いにはしたくありませんから。

ティマ: だね~協力するよ。さて皆さん、準備はいいかな?ここまで来たら、パーティをやってもいいでしょう。

セレナ: 村人の身の安全はどうなる?

ティマ: 吸血鬼の世界である夜に出歩くの?それよりは一箇所に固まったほうがいいよ。もちろんアマランの力はまずいけど。彼女の身の振り方はゴウダン君に任せる。そして彼女さえどうにかなれば、まとまった対象を排除できるのは髭だけ。でもその髭も結局はアマランが鍵になっている。それも考えて身の振り方を考えてね。

チャーミー: 村人がパーティに出ていれば、気がつかれずに村から出ることまできるわね。

ティマ: あくまで方法のひとつだよ。

ゴウダン: ・・・わかりました。

ティマ: じゃあ、開演だ。

GM: その前に衣装はどうするの?

アイス: あ、忘れてました。

 

かくして始まることになった偽りの宴。これが狂宴の宴になるか、終演の宴になるか、それとも前夜祭となるかは彼らの双椀にかかっていた。

 

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閣下と臣民の部屋

夏野: これ、主役はアイス君ですよね?

閣下: うん。

夏野: 本当に?

閣下: いや~ゴウダンいいね。

夏野: ・・・

閣下: それはそうと、また微妙なところで切ったね。

夏野: 予想よりページ数が膨らんでしまいましたからね。

閣下: そうだね。

夏野: ところでなんで「牛」ですか?

閣下: いや、君にさ。電話掛けたことがあっただろう。ルナル・サーガでもっとも成熟したプロポーションは誰かって?君「虹牛でしょ」て言ったよね。

夏野: そんなことで決めないでください!!!

閣下: ふ、自分の失言を悔いたまえ。

 なぜか閣下の偉そうな言葉で終わる。

 

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*1:NASA注:単発セッションの出来事で、リプレイ化はしていません。ちなみにそのセッション、ティマもPCとして参加しており、今回と全く同じ方法でフリスキーから情報を得ることに成功しています。