黄金の羊亭新館

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15・5話「主なき栄誉」

荒廃した世界には狂気と退廃が蔓延する。そしてこの広場に集まった民衆が持っていたものは間違いなく前者の感情であった。

その感情を一心に受けているのは中央で張りつけにされている男。本来であれば美しいかったであろうその衣装も、手入れが行き届いていたであろう金の髪も今は汚れてくすんでいる。

「私はただ世界を救おうとしただけのなのだ」

男は繰り返す、憔悴しているはずの男だがそのしゃべりはむしろ熱を帯びている。

「世界の救済には犠牲は必要だったのだ」

その言葉は誰に語られているのであろう?

もしここに一人でも冷静なものがいればこの演説は彼が彼自身に対して行っていることを気がついたかもしれない。だが男の演説とは関係なく、法廷という名の死刑場は彼の処分を決めた

「やはりこの世界では無理か」

民衆の上げる怒号の中で、男の発した最後の言葉を聞いた者はいたのだろうか?

 

15・5話「主なき栄誉」

 

GM: さて、今回は前回のラストで異世界から帰ってきたメンバーが、帰還するまでに帝都であったことをやっていくわけだ。

ティマ: それはいいんだけど、キャラクターは僕一人?でも、そのわりには人がいるような?

GM: うん、今回は君の暇な時間にあわせてやるから最悪はマンツーマンでやる予定だったんだが、参加してくれる物好きさんが多くてありがたいよ。

ゴウダンのPL: まあ、我々は学生ですから。

アイスのPL: そういうことです。

エルナのPL: え、それだと私がすごく暇みたいに聞こえるんだけど・・・仕事かたずけて来ない方がよかった?

アイスのPL: いえ、そんなこといってませんよ!

エルナのPL: どうだか。

アイスのPL: ほんとですって!!

ゴウダンのPL: ・・・なんか先週のゲームまんまのノリだな。

GM: いやいや、来てくれたのはありがたいですよ。では君たち3人には演じるキャラクターを選んでもらおうか。その間にティマくんのほうに話が進む。君は失踪したメンバーから情報収集を頼まれているんだったね。

ティマ: そのとおり、しかし連中もお尋ね者に情報をしろとはなかなかハードな事を言ってくるよ・・・まあそれだけ信頼されてるんだろうけど。

エルナのPL: (キティの声色で)ティマさーん、あなただけが頼りですぅ。

ティマ: は、何か今いきなり猫耳少女のボイスが聞こえたような。これはどう受け止めればいんだろう?まあ、とりあえず真面目に情報を集めようか。

アイスのPL: くぉ~、なんかジェラシー。

ティマ: いや、僕にどうしろと(笑)

ゴウダンのPL: ここは是非脳内念波に惑わされずに真面目な情報収集を頑張ってください。

ティマ: そだね。では前回と同じように「裏社会」でタマットにあたりをつけようかな。

GM: 判定してみて。

ティマ: (コロコロ)6成功。この技能前回上げといてよかったよ。

GM: では君は帝都の暗部を巧みに泳ぎながら前回と同じようにタマットのギルドを発見する。前回と違う廃屋だ

ティマ: では「知的幻覚」と「完璧幻覚」で僕のダミーを作って、ダミーの彼に用件を話してもらって、タマットの連中がこちらに来るようにお願いさせよう。

GM: おや、自分から会いに行かないの?

ティマ: 帝都はここんとこなんかきな臭いからね。

GM: (まあ、そう簡単には釣れないか)ではしばらくすると、タマットギルドから謎の爆発が起きる。

ティマ: うわ~ビンゴ?

GM: そうみたいだね。で、それとともに周囲に隠れていた帝国兵が中に入っていくんだが。

ティマ: やっばいね~。とりあえず物陰に隠れて自分に「透明」それから「幻覚」で足の速い僕を作って逃がす。

GM: (まあ、今回は君を逮捕しに来たわけではないから優先順位は低いかな)では下っ端が何人か君の方を追いかけたけど、他の帝国兵は中に入っていくね。

ティマ: この間に逃げようかな。あ、適当な距離に来たら逃げた幻覚は消すよ。それと中に行かせた幻覚はもう消しちゃう。

GM: OKだ。

ティマ: とりあえず酒場にでも行くよ。やれやれ、前回に続いて今回も帝国側に先を越されたか。

 

失意の中ティマは宿で一夜を明かすことにする。だがその夜。

 

GM: さていよいよ他のキャラクターの出番だ。とりあえず(エルナの PL10.5pt;font-family:"MS 明朝"; を見て)そのキャラの持っている「忍び」で振ってみて。

エルナのPL: (コロコロ)5成功です。

GM: だそうだよティマ君。

ティマ: それで寝てる僕になにをしろって言うんだい GM10.5pt;font-family:"MS 明朝"; 。

GM: まあ一応「-5」で「聴覚判定」をしてみて。

ティマ: (コロコロ)まあ、失敗。

GM: じゃあ、君が目を覚ますとそこには覆面を被った人物がいて君の喉元にナイフを突きつけているわけだ。

覆面: 起きろ!

ティマ: ムニャムニャ(目を擦りながら)やあ、何のようだい?

エルナのPL: ほ~、落ち着いているんだな。

ティマ: これでもそれなりに修羅場で生きてるからね。こういう時に虚勢をはることぐらいはできるさ。それで何の用件なの?

覆面: この状態でよくそんな事が言えるな。

ティマ: うん?

覆面: まあいい、昨日の昼間にタマットのアジトに現れた人影が突然消え、直後に帝国兵がなだれ込んできた。その男を帝国の関係者だと疑わないものはいないと思うが。

ティマ: なるほど・・・でも僕は一回そちらのボスに会ってるんだけど。君はその時一緒にいなかったかな?

覆面: 一度仕事を依頼したからといって、それだけで信頼されたと思うのか貴様は?

ティマ: なるほど、おっしゃるとおりだね。それで相手の出方を見てたかもしれないもんね。さて、ならどうやれば僕は信頼されるのかな?

覆面: とりあえず、貴様の目的を聞かせてもらおうか?

ティマ: サーライト=ティーグの情報。

覆面: それを知ってなにをするつもりだ?

ティマ: まあ、ライターなんでね。適当な国でおもしろおかしく書いても儲けるつもり。

覆面: そうか。

GM: そう言って覆面はナイフをおろす。

ティマ: あれ、いいのこんな中途半端なところで。

覆面: 貴様が帝国側の人間ならそんな危ない嘘はつくまい。

ティマ: ありがとう。じゃあ、こちらから聞いていいかい?あの後ギルドのメンバーはどうなったの?

覆面: あの爆発でちりぢりだ。

ティマ: そう。君たちはこれからどうするの?

覆面: 私は部外者だからな。連中がなにをしようとしているのかはわからんよ。

ティマ: 部外者?

覆面: そうだ。

GM: そう言って覆面を取った彼女はエルファでなかなかの美人さんだ。しかし君は夜目は利かないのでエルファということしかわからない。

ティマ: エルファだったの。でもなんでここに?

エルファ: お前と同じだ、知りたいことがあったのでタマットの力を借りようとしたのだ。

ティマ: ふ~ん。それで知りたいことはわかったの?

エルファ: いや謎のままだ。

ティマ: そう、それなら僕と協力しない?僕も友人に頼まれてるんで情報がほしんだよね。

エルファ: 悪いが貴様を信じる気にはなれない。

ティマ: そうか・・・さて、ラック君達になんて言おうかな?

エルファ: ラック・・・お前はミュルーンのラックを知っているのか!?

ティマ: うん。友人みたいな、戦友みたいな関係だけど。

覆面: そ、それはすまなかった。知らないとはいえ私は恩人の友人を手にかけるところだった。

ティマ: なんの話?

 

この後、両者は互いに事情を話してうち解ける。エルファは廊下にいた相棒も呼んでさらに詳しい話を続ける。

 

エルファ: 本当にすまなかった。

ティマ: かまわないよ。それで二人の名前は?

バーベナ 私はバーベナ。そしてこちらは相棒のキッソスだ。

キッソス: どうも。

バーベナ それと・・・じつはタマットのトップもこの下で待機してるんだが。

ティマ: じゃあ彼も呼んできてよ。あ、そう言えば僕は裏タマットのトップの名前を知らないんだけど。

GM: ああ、彼の名前はリードレスだ。バーベナから指示があればすぐに中に入ってくる。

リードレス: おや、君だったか。

ティマ: 覚えてるんだ。うーん、やはり金の力は偉大だね(苦笑)

キッソス: なんのことです?

ティマ: 大人の話さ。

バーベナ さて、これからどうする?

ティマ: それを今から話し合おうか(笑)

 

こうして真夜中の対策会議が開催された。

 

リードレス: このままでは埒があかない。ここはサーライト氏に直接あって真意を確かめる必要があるだろう。

ティマ: うーん、それができればいいんだけどね。その方法はあるの?

リードレス: どうなんでしょうかGM?

GM: 君は直接サーライトにあったことはないな。顔役として来るサーライトの子飼いなら知っているけど。

リードレス: じゃあ、帝国城に秘密の通路とかは?

GM: 君がつかんでいる情報ではここ数ヶ月で昔からあったものはほとんど封鎖されているようだ。

バーベナ となると、直接忍び込むしかないがこれこそ危険だ。

キッソス: でもティマさんなら幻覚を使えば潜入は可能じゃないですか?

ティマ: そりゃ不可能じゃないけど、見破られたら一発だしね。計画的にはきついかな。

バーベナ 手詰まりか・・・

ティマ: ここはとりあえず地道に情報を集めていくしかないんじゃない?

リードレス: そうだな。

 

話し合いの末にこうして地道な情報収集を決定した一行。しかし翌日からその地道な情報収集すら難しくなる。急に帝国の警戒が厳しくなったのだ。

 

ティマ: 何でこんなに警戒が厳しくなったんだろう?やっぱり例のタマットのたまり場から逃げた奴の残党狩りかな?

GM: そうだろうね。宿に張り紙がしてある。

バーベナ どんな張り紙です?

GM: いわゆる尋ね書き。ちなみに罪状は爆破事件の容疑者。

キッソス: うわ、無茶苦茶。

リードレス: 危ない、危ない。変装しておいてよかった。

GM: (笑いながら)そうだね。君は変装しておいてよかっただろう。しかしだね、その手配所にはティマの顔も書かれてあるんだけど。

ティマ: え?

GM: なにせ君は囮として使った幻覚の顔を変えなかったからね。

ティマ: あ・・・やばいな。

キッソス: 無茶苦茶やばいですよ!

ティマ: そだね、とりあえず宿の中で騒ぐのもやばいからここは静かに出ようね(笑)

 

素早く宿を出た一行だが、張り紙の効果は確実で裏通りに入ったところをきっちりと襲撃される。ただ、幸いなことに襲撃して来たのは帝国兵ではなく金目当てのごろつき(×5)だったためリードレスの「誘眠」やティマの「完璧幻覚」で作った偽ゴーレム。さらにバーベナの・・・

 

バーベナ 雑魚だから手加減してやろう、1Dの「かかと落とし」(コロコロ)6点。

一同: (笑)

GM: どこが手加減だ!こいつは鎧がソフトなレザーなんだぞ。頭蓋骨がなければ死んでたわ。

バーベナ いかんな、人間はもろくて困る。

ティマ: いや、たぶんそれ違うと思うよ。

 

一行はこうしてあっさりとごろつきを撃破。しかしこれによって帝国の監視はますます厳しくなり、一行はリードレスの人脈を利用して帝都の闇に身を潜めることになる。

 

ティマ: なんか帝都に来ると毎回こんな立ち位置の気がする。まあ今回は僕のせいなんだけど。

 

こうして何もできないまま3日の月日が過ぎた。

 

リードレス: いかんな、何もできないではタマットギルのマスターとしての名が廃る。

キッソス: しかし、警戒が解かれないと動けませんよ。

ティマ: それでどうなの、近頃の町は?

GM: 警戒は日ごとに厳しくなっているみたいだね。露骨なんで流石に帝都の市民からも疑問の声が上がってるみたいだけど。

リードレス: まだ帝国兵と触れた瞬間に戦闘にならないだけましだな。

ティマ: うん?なんの話?

リードレス: FF2ですよ。いまケータイでやってるもんで。

GM: 君たちがそうして他愛もない話をしているとこの宿を手配してくれた主人が困った顔で現れる。

バーベナ どうしたご主人。

主人: それがその・・・

GM: 主人はそう言うと困ったような顔をして後ろを見る。そこには大柄な男が立っているんだが、リードレスはそいつに心当たりがある。

リードレス: 誰です?

GM: 君と帝国の顔役。

リードレス: 即座に「誘眠」の集中に入ります。

GM: すると男、名前はレイモンドと言うんだが。レイモンドは君の気配を察したのか、慌てて手を挙げる。

レイモンド: 待ってくれ私は閣下の書簡を持ってきたのだ。

バーベナ サーライトの?

レイモンド: そうだ、この通り。

GM: そうやって彼は金縁の封書を差し出してくる。蝋印がされたちゃんとしたものだ。

リードレス: 一応「偽造」とか持ってるんだが調べてみていいかな?

GM: やってみて。

リードレス: 「幸運」を使う(コロコロ×3)よし8成功だ。

GM: 君が見たかぎり本物だと思うよ。

キッソス: なら安心ですね。

バーベナ 甘いな、それが本物であってもサーライトの罠でないとはかぎらない。

ティマ: そだね~。

リードレス: とりあえず内容を見てみますが。

GM: では簡潔な内容で「君たちと直接会って話がしたい」と書いてある。

リードレス: 罠ぽいな。

ティマ: だね。でも彼の地位ならこんなまどっろこしいことしなくても僕たちの抹殺ぐらいできそうだけどね。

バーベナ そうだな。しかしそう思わせることが向こうの狙いかもしれないぞ。

ティマ: うん、そうかもね。でもここに手紙がきた以上は何らかのリアクションを起こさないとね。

 

一行はこのあとも議論を重ね、何かあった時のためにキッソスを残して書かれていた場所に急ぐことにした。

 

ティマ: さて鬼が出るか蛇が出るか。

GM: 書かれている場所は帝都内でも有数の庭園だ。お金を払えば一般人でも見学できる。

 

そして君たちが待っていると約束の時間にサーライトが現れる。

 

ティマ: 本物?僕は一度会ったことがあったけど。「幻覚感知」はしておくよ。

GM: 君が見る限り本物だ。幻覚でもない。

ティマ: 本物がこんな所に現れるとはね。

バーベナ まだわからないぞティマ。前に一度見た人物が影武者だという可能性もある。

ティマ: あ、そうだね。

GM: 彼は君達の前まで歩くと膝をつき「すまなかった」と詫びてくる。

リードレス: え、あの陰険策士が?

バーベナ すまなかったとは何のことだ?タマットギルドの破壊か?

サーライト: それだけではない。君たちの森を荒らした連中を私は知りながら見過ごしていた。

バーベナ それを聞いたら無言で距離を縮めます。そしてサーライトに肉薄して「この距離ならあなたを一撃で倒すことも可能だぞ」と言います。

サーライト: 君たちの森にはすまないことをしたと思っている。しかしこれは迫り来る大破壊を食い止めるために必要なことだったのだ。

リードレス: どういう事です。

サーライト: 全ての顛末は10年前に遡る。君たちはもう一つの世界を信じるかね?

ティマ: 滅び行く世界だね。

サーライト: そうだ。全ては滅びゆく世界より飛来したその世界の私たる魂が原因なのだ。

 

サーライトによれば10年前のある夜、自分の意識に「もう一つの世界より飛来した自分」が現れた。かれは世界の滅びについて話をし、その上でサーライトに協力を申しこんだという。

 

サーライト: 当時の私にとって今後10年間の情報を持つ奴はすばらしい存在だった。

リードレス: では、その力を使って今の地位を?

サーライト: ああ。正直、私はそれが悪だとは思わなかった。詳しい事情は話せないが私はある結社によって生み出された人間だ。それを打ち破るためにそれまでもいろいろやってきたからね。

バーベナ なら何故急に心変わりをしたんだ?

サーライト: やつは世界を救うために、多くの犠牲が必要だといっている。そしてその犠牲者には私の娘もいるようなのだ。

ティマ: エフラワちゃんも?

サーライト: ああ、エフラワの優れた力は奴の起動させる「何か」に指向性を持たせることができるらしい。

バーベナ しかし娘を・・・なるほど、彼にとっては娘ではない。

サーライト: そうだ。奴には娘はいない。しかも奴はその計画を徐々に進め、我が娘を銀の月の鍵に改造していった。

ティマ: 何とかならなかったの?

サーライト: 奴の思考は私には読めない。そして私が計画に気がついた時には、私の意識はほとんど奴に乗っ取られていた。今日だって数日前から奴の意識が混濁しているから、思考をこちらに奪い返せているのだ。そこで君たちに頼みがある。どうか奴の・・・

GM: 彼はそこまでいったところで突然苦しみ出すね。

リードレス: 近寄って見るが。

GM: 君が近づこうとすると、地面から黒い影のような物が伸びて君の行動を妨害してくるよ。

リードレス: なんだ?

GM: そして影はやがてサーライトそっくりの形をとり、粘着質のようにどろっとした感じの口を開く。

影: やれやれこの世界の私は出来が悪くて困る。自分のことを話しても犠牲者が増えるだけだということにまだ気がつかないとは。

ティマ: どうやらサーライト氏が言ったことは本当のようだね。

GM: 君の言葉を聞いて影は愉快そうに笑うよ。

影: 何を言っている?私こそがサーライト=ティーグだ。そこで苦しんでいるのは「偽善」というつまらないものに支配された愚か者に過ぎん。

バーベナ 私たちの森を見過ごしたというのも貴様の指示か!

影: うん?ああエルファか。左様、だが私は「見過ごせ」とは言ってない「潰せ」と言ったのだがな。

バーベナ そこまで聞けば飛びかかります。今の発言で「直情」なキャラには十分かと。そのまま「かかと落とし」を

GM: 判定してみて。

バーベナ 成功ですが。

GM: では君の攻撃は影をすり抜けてしまう。そして君はそのまま影の中だ。生命力抵抗してみて。

バーベナ (コロコロ)失敗です。

GM: では4点の疲労だ。ちなみに影は粘着質なので抜け出すには「体力-3」の判定が必要になる。

リードレス: まいったな。私はあんな存在を攻撃するすべは持っていない。

ティマ: ならこんなのはどうかな?完璧幻覚による「閃光」ペカペカっとね。

GM: (コロコロ)うん、苦しんでいるようだぞ。さてここからは戦闘ラウンドだ。

 

かくして戦闘開始となった。しかしパーティ内の唯一の前線バーベナは影からの脱出で手一杯。残ったメンバーで影に攻撃が可能なのはティマのみ。当然そんな存在を影が許すはずもなく、ティマには黒い影の手が伸びる。

 

GM: ではこちらの手番だ。ティマ君。能力の中で一番高い数値で判定してみたまえ。

ティマ: (コロコロ)4成功。

GM: こちらは5成功だ。では君の体を突然影が包み込む。

ティマ: えーと、マントで止められる?

GM: むりだ。そして君は黒い影に包まれて、異次元に飛ばされるのだ。

ティマ: ・・・なんか二重人格気味で、えらい人ってだけでサガというのはやり過ぎじゃないGM?

GM: 文句を言ってないで3D6を振れ。

ティマ: えーと14。

GM: (表によると懐かしい知人の元に移動か・・・こいつがいたな)では君は完全な暗闇の世界に閉じこめられる。

ティマ: 時の狭間ってやつ?

GM: さてね。そしてそこには君の見知った人物がいるぞ。

ティマ: 誰かな?

GM: 銀色の鎧を着て、竜の紋章の入った槍を持った騎士風の男だけど。

ティマ: もしかしてコール君?

GM: (キッソスのPLに)というわけでコールを演じて。

コール: わかりました。久しぶりですティマさん。

 

彼の名はコール=リンドバーグ。かつてティマがただの吟遊詩人兼冒険者だったときの仲間である。

彼とティマを含めた5人はかつて「龍と銀の月の異貌神」にまつわる伝承を追っていた。ところがその核ともいうべき遺跡が敵の手で暴発(大部分はティマ達の戦略ミス)これによってメンバーの全てが銀の月遺跡の魔力によって様々な被害を被ったのである。

コールはその中でももっともたちの悪い「次元の狭間に10年間閉じこめられる」という被害にあった被害者になるかわいそうな青年。

 

ティマ: じゃあ10年間もこのまま?

コール: どうなんでしょうかGM?

GM: 君の感覚ではせいぜい5日だ。ここでは喉も渇かないし、腹も減らないから詳しくはわからないけどね。

ティマ: 不憫だね~。

コール: そんな心の底から同情しないで下さいよ。ところででティマさんはどうしてこちらに?

ティマ: は、そうだった。戻らないと。

GM: どうやって?

ティマ: おや?忘れましたかGM。ティマは自分の意思で次元跳躍ができるんですよ。

GM: そうだっけ?

ティマ: 詳細なデータ見せたくせに忘れないで下さい!もっとも帰ってこれない一方通行ですし、一度やったら半年はできませんが。

GM: うーむ、じゃあ「意思判定」をしてくれ。

ティマ: ばっちりですよ。前回この目が出ていれば。

GM: では君は次元跳躍をした。さて君の跳躍がこちらの術よりも上かどうか判定してもらおうか。もう一度自分の最も高い能力値で判定してくれ。

ティマ: 6成功。

GM: く、前回と同じ5成功。では君は時空の檻を破りもう一度影の前に出る。

コール: ティマさ~ん。

ティマ: あ・・・ごめん。後半年待ってね。

一同: (笑)

 

かくしてコール君を不幸にしつつも、戦列に戻ったティマ。しかしその間にもバーベナは影に体力吸われグロッキー状態になっていた。

 

バーベナ GM、私はどうなったのかな?

GM: 影からはティマが現れた衝撃で、解放されるよ。

バーベナ しかしこのままでは・・・

GM: そうだね。さてティマ君。君はバーベナのかわりに影にの捕獲対象になるぞ。

ティマ: GM。僕の持ち物って、基本的に前回から変わらないんだよね。

GM: ああ、そうだが。

ティマ: そうすると、僕の懐にはグルグドゥ印の「閃光弾」が眠ってるんだけど。取り出してもよいよね。

GM: (無言で頷く)

 

次のターン、影達はティマの下半身を捕らえるも、時すでに遅くティマによってグルグドゥの力は解放されてしまう。

 

ティマ: 「グルグドゥの偉大な力よここにこれぞ闇を切り裂く光の刃」なんてね。

GM: ではあたりを閃光が包む。その光の中で君たちはサーライトの悲鳴を聞いた気がする。そして閃光が晴れるとそこにはサーライトが倒れているわけだ。

リードレス: ややこしいな。

GM: 彼はすぐに目を覚ます。そしてあたりをきょろきょろと伺うんだが。

サーライト: 君たちがやってくれたのか?

ティマ: そうなるかな。

サーライト: すまないな。奴は常に私を監視しているのだ。しかし君たちのおかげで奴もしばらくは外に出れなくなったはずだ。この間に私はやるべき事をする。

バーベナ では彼の喉元にナイフを突きつけながら「贖罪はかならずはたしてもらうぞサーライト!」と言います。

サーライト: わかっている。だが今は奴の考えを正すのが先だ。

バーベナ なら、無言でナイフを下ろします。

ティマ: それでどうするの?

サーライト: 私の遠縁でソノーという男がいる。変わり者で誰からも相手にされていないが、故にどの組織にも属していない。この男に娘を預け。私の体が再び奴に乗っ取られる前にソノーに手出しを出来無くさせるつもりだ。

ティマ: となると僕のやるべき事は決まったね。連中にこのことを話して、ソノー氏の所まで案内しよう。

バーベナ では私は一足先にソノー邸に行くとしよう。

リードレス: どうやら今回が盗賊家業最大の山になるようだな。

サーライト: すまない。娘をよろしく頼む。

 

かくして世界は風雲急を告げ動き出す。だがその主役達はまだこの世界には帰っていない。世界の明日は・・・まだ見えない。

 

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