黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第15話「たとえifでも」

w世の中は不確かだ。

一寸先は闇、いかに叩こうがあっけないほど簡単に石橋は落ちる。だから人は灯りを欲して、群れる。そしてたとえそれが一瞬であっても灯りを欲する。

しかしそんな不確かな世界だから起こることもある。

例えば今目の前にいる、異形の一団とか・・・これだから世界はおもしろい。

私は心の中で苦笑しながら彼らに声をかけた。

 

第15話「たとえifでも」

 

GM: さて、君たちは異界に飛ばされてしまったわけだがどうするかね?

ラック: どうゆう事やこれは?ここはどこなんや?

アイス: K県だそうですが。

ガラ: だからそれはどこじゃ。そんな地名は聞いたことがないぞPLはよく聞くが(笑)

ゴウダン: とりあえず異界だろうな。なにせ月が一つしかない。

ケンゼン: ちゃー、綺麗な満月ぜよ。

エルナ: 月を眺めている場合ではないですよ。そういえばGM、前回の最後でこちらのかたが近くにいたような。

GM: うん。今もいるよ。君たちのことを呆然としながら見ている。50才ぐらいの人間で柔和な感じの人だ。カルシファード語に近い文字の書かれた前掛けをしている。

アイス: 異文化交流ですか。

ケンゼン: きゃんゆーすぴーくいんぐりっしゅ?

ラック: いや、前回は普通に会話していた気がするんやが。それにお前はカルシファード語のほうが得意やろう。

GM: 君たちがそう言いあっていると、彼はゆっくりと斜め後ろの店を指さしながら喋りかけてくる。

老人: 何か事情がおありのようですが、どうですか中に入ってお茶など一杯?

エルナ: よろしいのですか?

老人: かまいませんよ。今、店は休憩時間ですから。あ、私は荻野と申します。

 

こうして一行は店の中に入ることになった。

 

GM: 店内はカルシファードの亜流といった感じの印象だ。そして厨房からはいい香りが漂っている。

ゴウダン: うまそうだな。

ケンゼン: そう言えばしばらくまともに飯を食ってないぜよ。

荻野: それでは食事もどうですか?腹が減っては戦ができぬとも言いますし。

エルナ: ありがとうございます。

 

一行は荻野さんから暖かい食事を出された後、今の自分達がおかれている状況を話し始めた。

 

荻野: ではあなた達は「るなる」という世界から来たんですね。

ラック: 発音がおかしいけど、そういうこっちゃ。で、ここは「地球」いう世界の「日本」というい国なんやな。

ケンゼン: ちゃ、わしのいた国とにてるぜよ。

ガラ: それはデザイナーが・・・ゲフンゲフン。

荻野: なるほど、事情はだいたいわかりました。それではこちらに来た理由などはわからないんですね?

エルナ: わかりません。

ゴウダン: おそらくあの不思議な世界で出会った「偽サーライト」が関係していると思うんだが。

荻野: まあ、それについては私の知り合いでいろいろな知識を持っているのがいますので彼に連絡して聞いてみましょうか。では私は店の準備がありますので。

GM: そう言って彼は店の準備を始める。君たちは二階で寝ていてくれてかまわないそうだ。TVでも見ててとのこと。

ラック: なんや「てれび」って?

荻野: スイッチを入れると、映像と音楽が流れる前面ガラス張りの箱です。この世界の一般的な情報伝達手段の一つですね。

ゴウダン: じつに簡潔な説明だ。

GM: この人相当な長生きだからね自然と説明上手になったんだよ。さて彼はそう言うと慌てて店を再開する準備を始める。

エルナ: 流行ってるんですね。

ガラ(荻野の制作者): はて?そんな設定作ったかな。

GM: おいおい「料理」22LVの店主が料理する店が流行らんわけあるまい。店も裏通りといえ駅から歩いていける距離だし。

ガラ: しかしK県なら22LVのうどん屋はあると思いますが。

GM: 確かに専門化することで22LVになるうどん屋はあるだろう。しかし荻野さんの店は「うどんと小料理の店」どこに一流料亭レベルの小料理を出すうどん屋があるんだ。

ガラ: あ・・・。

ラック: しょうがないわな、ほなさっさと上に行くか。

 

この後一行は店が終わるまでテレビを鑑賞。この時始めてテレビを見たラックがテレビに感動し、持ち帰ろうとする場面もあったが全体としては静かに時間が過ぎていった。

 

ラック: いやや、わいはこの「マリーベル」を持ち替えるんや。

ガラ: 人の物にまで名前をつけるな!

GM: さて、そうやって寛いでいるとだね、突然キティとゴウダンの体が透けるんだが。

アイス: キティ!慌てて彼女の手をつかみます。

エルナ: では私はゴウダンさんの手をつかみます。

GM: (一回目はぬるいからね)では君たちがそうすると二人の姿は普通に戻る。

アイス: ふー、よかった。

ラック: これは・・・以前にたようなことがあったやないか?

ガラ: そうじゃな。あれは確か無限ループ世界での話じゃな。やはり我々には何か特殊な力が付加されておるようじゃな。そしてその恩恵を受けておらん二人が消滅しようとしたんじゃろう。

エルナ: つまり世界の強制力でしょうか?

GM: さてね。ところでアイス君、状況を知らないキティは怯えているぞ。

アイス: ではキティをためらいがちに抱きしめながら「大丈夫だから」と言っておきます。

 

愛泥・異界の中心で萌叫ぶ編

 

キティ(エルナのPL): (寂しそうに)こわいんですアイスさん、もっとぎゅってしてくださいぃ。

アイス: な、そんなこと言われたらぎゅってしますよ!ああ、でもついでに右手でキティの頭もなでてしまうかも。

一同: (笑)

ラック: 熱いの~。

ケンゼン: まったくぜよ。

ゴウダン: しかし、少しはTPOを考えてもらいたいものだ。

アイス: ち、違うんです。(と言って手をグーパー)

キティ: 痛いですぅアイスさん。

アイス: あ、ごめんよこれは僕の右手が悪いんだ。右手が猫好きだから。

ガラ: (冷たい声で)ふーん。

アイス: 信じて下さいよラックさん。そりゃ僕だって猫耳は好きですけど。

一同: (爆笑)

ラック: 今、自分で有罪やって言うたなアイス(笑)

アイス: え・・・そうですか・・・あ、本当だ。すいません今のは聞かなかったことにしてもう一度僕にチャンスを下さい!

一同: (笑)

ラック: なんやろなー、アイスの言葉を聞いてるとここでもがんばれるような気がしてきたで。

ガラ: まったくじゃ。自分が悩んでいたことがばかばかしくなる。

エルナ: 本当ですね。アイス、感謝しますよ。

アイス: 姫さま・・・ああ、久しぶりに誉められた。

GM: 君がそうやって鼻の下を伸ばしていると、キティをつかんでいる腕から鋭い痛みが。

アイス: 痛い。

GM: 痛みの方を見ると、なにやらキティが上目遣いで君の方を見ながら「アイスさ~ん」と涙目で睨んでくるが。

アイス: ち、違うんだよキティ。だから君と姫さまでは感情が違うんだ。

キティ: それはわかってますけどぉ~。

ラック: お、キティが「焼き餅」を覚えたみたいやな。よし、ここは人生の先輩として略奪愛という形の愛もあるっちゅう事を教えてやらな。

ガラ: では、わしは魔術師として「精神操作系」呪文の活用法を。

アイス: 教えないで下さい!悪魔ですかあなた達は。

GM: しかしアイス君がらみだと本当にみんな、生き生きするよね。

ラック: GMも楽しみにしてるやろ。だって「今回の成長報告」忘れてるで。

GM: (う、そう言えば)では今回の成長報告をやってもらおうか。

アイス: あ、そういえば聞きたかったんですけど、キティには特殊魔法とかはないんですか?

GM: いや、あるにはあるが・・・ところで君は天使とかメイドとか好きかね?

アイス: GMまで僕を追いつめるんですか?ええい、みんな敵だ!

一同: (笑)

 

愛泥終わり

 

GM: さて気を取り直して成長報告をしてもらおうか。

アイス: 「大治癒」を覚えたいんですが、この場所で覚えられるんですかね?

GM: 無理だね。覚える環境じゃないし、マナも薄い。

アイス: では今回は保留で、キティも同じです。後僕は義務感キティを取ろうかと。

ラック: これにそのうち「誇大妄想:僕はキティを守るため生まれた」とか「嫌な行動:キティへのストーキング」が追加されるんやな。

ガラ: しかし、「義務感から愛情」はよく聞くが、アイスの場合はすでに溺愛しておるからの。

ラック: これがそのうちちょっとしたきっかけで「憎悪」にかわり、愛憎劇に。浪漫やな。

アイス: なにが浪漫ですか!

エルナ: (ため息をつきながら)私はそろそろ「感情察知」を覚えれそうです。

ラック: わいは「軽業」を覚えたで。鎧が軽くなったから使える状況が増えるはずや。

ガラ: わしもアイスにならって保留じゃ。

ケンゼン: ちゃー、まだブレードマスターの道は遠いぜよ。

ゴウダン: うん、同じくだな。

 

ある日常

 

GM: さて、一連の騒動もすんだところで朝日が昇る。その頃には、お店のほうも終了だ。

エルナ: この店って完全に深夜営業の店なんですね。

GM: そうみたいだね。さて、しばらくすると店が終わった荻野さんが朝食を持って二階に来るぞ。で、朝食の準備をしながらこう言ってくる。

荻野: とりあえず、仲間とは連絡が付きました。昼過ぎには来るみたいですからこれから仮眠をとってはいかがですか?

アイス: ああ、なんて親切な人だ。

ラック: なあ、あんた何でわいらみたいなわけわからん連中に優しくしてくれるんや?別に得もないやろう?

エルナ: ラックさん!

荻野: いえ、いいんですよ。ラックさんの意見は当然でしょうから説明しましょう。私が何故あなた達を保護しているかと言えば簡単で、私らの仲間に原因があるかもしれないからです。

ラック: なんやて、じゃああんたらの仲間がわいらをここに召還したんか?うぬぬ、これは莫大な慰謝料が生じるで。

荻野: (苦笑しながら)違いますよ。まあ、私の同族には違いないですがね。

ゴウダン: 同族?あなたは人間ではないのか。

荻野: ええ、私は「妖怪」です。わかりやすく言えば人間の思いによって生まれた存在です。

アイス: え、でも人間そっくりじゃないですか!?

荻野: これは人間に化けてるんですよ。なんなら変身を解きましょうか?

ケンゼン: 見たいぜよ。

荻野: わかりました。見せますが、気をしっかり持って下さいよ。

GM: そう言うと彼の姿は、大きな円筒形の照明用具に変わる。一応全員意思判定だ。

一同: 成功です(ぜよ、や)

荻野: 納得いただけました?

ラック: ああ、そんなん見せられたら納得するしかないやろ。じゃああんたの知り合いいうんも妖怪なんか?

荻野: ええ、そうですよ。古くからの知り合いで頼りになる奴ですよ。さて、私も時間まで一眠りさせてもらいますよ。

GM: そういうと荻野さんは出て行くけど、君たちはどうするかね?

ラック: さて、こっからが重要や。わけのわからん世界で協力者は喉から手が出るほど欲しい。けどここで人材を誤ったら洒落にならん。

ケンゼン: わしはあん人は信頼できると思うぜよ。飯も美味かったし。

ラック: メシは問題やない。

ゴウダン: 私は信じてもよいと思うが・・・それにこの世界は私やお前のような異種族はいないようだし、別のあてを探すにしてもここから出て行くだけでも大騒ぎになるだろう。

ラック: う、そうやな。

エルナ: 私もあの方は信頼できると思います。

アイス: 僕もです。

ラック: うーん、多数決で決定やな。そうと決まったらさっさと寝るで。

 

一行はしばしの睡眠をとった後で荻野の友人と会うことになった。

 

荻野: 彼が先ほど言っていた友人です。

GM: 荻野さんがそう言って紹介するのは、金髪で茶色の目をした初老の男性だ。

ペディア: どうもペディア=エンサイスです。事情はだいたい荻野から聞かせてもらっていますよ。しかし災難でしたね。

ラック: あんたなら今回の一件の事情がわかるんやないかって荻野はんから聞いたんやが。

ペディア: ええ、いくつかの推測はできますがね。一番可能性が高いのが結界ではないかと思います。

アイス: 結界ですか?

ペディア: ええ、じつはこのK県をはじめとする四国には巨大な結界が張られているんですよ。それが何らかの理由で作用したのではないかと思われます。

エルナ: じゃあ我々はその結界の影響でこの世界に?

ペディア: 断定はできませんがその可能性が高いと思われます。

アイス: それで僕たちはどうやれば戻れるんでしょうか?

ペディア: さすがに、それは私にも・・・。

ラック: そこが肝心なとこやのに!

ペディア: なにぶん、こんな話はまれですからね。とりあえず私は資料検索をしてみようと思うのですが。

ケンゼン: じゃあわしらも手伝うぜよ。

ゴウダン: うーん、手伝いたいが、この姿では難しいだろうな。

 

全てはifで

 

エルナ: (考えながら)でも、もしペディアさんの言うことが本当だとすれば、結界を解けば、私たちは元の世界に帰れるんではないでしょうか?

ガラ: なるほど、結界によって我々がこの世界に閉じこめられておるとすれば、その可能性は成り立つのう。

アイス: 流石は姫さま。

ラック: 待て待て!その可能性はあるけどやな。もしも逆にこの結界によってわいらが守られとったしたら結界がなくなったらえらいことになるで。

エルナ: じゃあ、確かめてみますか?

アイス: え、どうやってですか?

エルナ: 一番単純な手はこの国から出ればいいんではないでしょうか?

ゴウダン: なるほど、この国から一歩でも出れば結界の加護をうけなくなるわけか。

ケンゼン: けどそこまで焦る必要があるぜよか?

エルナ: あります。ゴウダンさんとキティさんです。さっき消えそうになりましたけど、その理由はおそらくあの天球儀です。お二人は天球儀の加護をうけていませんから(第10、11話参照)そのせいで異世界に来てから存在が不安定になっているんだと思います。このままだと消滅する可能性もありますよ。

ガラ: うーん、そう言うことならやむおえまい。ではペディアさんこの仮説の証明を手伝ってくれるか?

ペディア: 勿論ですよ。

 

かくしてエルナ、アイスの二人は隣県まで出向くことになった。このさいエルナの容貌は世界を超えることがわかったのだが・・・

 

エルナ: 今はそれどころではありませんから。

アイス: まったくですよね姫さま。

 

にべもなかった。

 

GM: とか言ってる間に県境に来たよ。

アイス: じゃあ行ってきます姫さま。もしもの時はお願いします。

エルナ: ダメですよアイス。キティのためにも帰ってこないと。

アイス: いえ、そうじゃなくてですね・・・あれ、何故に?

GM: どうするの?行くの、行かないの?

アイス: 行きますよ。では・・・トリャ!

GM: では行こうとした君は確かに出ることなでたけどね、次の瞬間には謎の力でもとの道に戻される。

アイス: いてて、成功です姫さま。

エルナ: そうみたいですね。じゃあ早速帰って報告しましょう。

 

この二人の話を聞きメンバーはペディアの車で結界の起点に移動。そこで結界解除を持つことに。

 

GM: (うーむ、予定では結界を解くための探索とか敵妖怪とかいたのにな)

アイス: まだですかペディアさん?

ペディア: もう少しですよ。よし、これで・・・

GM: ペディアさんがそう言った直後に君たちは紫電の閃光に包まれる。

ラック: あっという間やったな、物色もできんかったわ。

GM: そうして君たちはもとの世界に帰って・・・

ケンゼン: 懐かしいぜよ。

ラック: そうやな・・・全てが懐かしい。

GM: 来ていないぞ。君たちの前に広がるのは荒廃した大地。そして君たちが知っているよりも遙かに巨大な月達だ。

 

滅び行く世界

 

ラック: いや~わいらがおらん間にえらい成長して・・・て、そんなわけあるかい!

アイス: えー、また異世界ですか?

エルナ: でもこの光景はどこかで見たような・・・

GM: 考察もいいがメンバーの中でゴウダンとキティがいないぞ。

アイス: え、今なんて言いましたGM?

GM: だからゴウダンとキティがいないんだって。

アイス: え、え?さ、探さないと。

ラック: 目に見えてうろたえるな!しかしやばいで。こんな荒廃した世界や、ゴウダンはともかくキティには優しくない世界やろう。

アイス: そうですよ、大変です。ああ・・・どうしよう。

ガラ: 目に見えて落ち込むな(苦笑)とりあえず神殿らしきものはないかなGM?

GM: かなり向こうの方にガヤン神殿らしき建物が見えるよ。ちなみにこの周囲は砂漠ね。

ケンゼン: 行ってる見るぜよ。

エルナ: そうですね。二人の安否も掴めるかもしれません。

アイス: ちょっと待って下さい。あの呪文は使えませんか「方向探知」僕はキティが前に使っていた短剣を持っていますよ。

ガラ: おお、なるほど。では使ってみるか。

GM: (遠距離の修正とこのあたりはマナが乱れているからその修正も・・・)残念だが脳裏に二人の姿は浮かんでこないね。

ガラ: すまん、失敗じゃ。

アイス: く、急ぎましょう。

 

こうしてアイスを先頭にパーティは朽ちかけたガヤン神殿に移動する。

 

GM: ガヤン神殿の前にはバラックが建ち並び、そこで多くの人が生活しているようだ。

ラック: 神殿の中には入れそうなんか?

GM: 今は神殿あたりは人はいないね。

エルナ: では入りましょうか。

GM: 君たちが神殿の門を開けると、中はがらんとしている。家具や置物などはなくそれが部屋の荒廃具合に一役買っているようだ。

アイス: 誰かいませんか?

ラック: いないんやったら「いない」ちゅうて返事せえ。

GM: その声で向こうの方から「はーい」という声とともに慌ててかけてくる男がいるぞ。

ラック: いないんやな(笑)

ガラ: いるわ!

アイス: で、どんな人物ですか?

GM: (きっぱりと)君。

アイス: はい?

GM: だから君だ。スケイルメイルを着ていて、やや精悍な顔つきだし体格も大きい。その上目の上に大きな傷があって容貌も損なわれているが、それでも自分の顔を忘れはしないだろう。

アイス: はぃいいい!?

GM: ちなみに向こうも、君の顔を見て驚くがその後で笑顔を浮かべてこう言ってくる。

アイス?: 始めまして、この神殿の管理をしている「アイオス:シェラード」です。

一同: アイスだ!!

 

一行は驚きながらもアイオス(執筆者注・アイス君との差別化のため以後はこう表記します)とともに神殿の執務室に。そこにはさらに驚く光景が待っていた。

 

GM: 君たちが執務室に入っていくとそこではこれまた知った顔がいるね。

エルナ: 誰や?

GM: まず執務室の机で書き物をしているのは以前、時計塔の事件で一緒になった「ゼイ=レンドース」さん。

ケンゼン: 誰ぜよ?

エルナ: ケンゼンさんはまだいませんでしたもんね。昔お世話になったガヤンの方です。

GM: ちなみに、ゼイさんは左腕がない。そしてさらにその後ろでバーベナ、キッソスが控えている。

ガラ: あのぐるぐる時空の時にいたジャングエルファじゃな。

GM: うん、その通り。そして彼らに向かってアイオスが口を開く。

ラック: その前に大声で叫ぶで。

GM: なんて?

ラック: すまんアイオスはん、それとここにいる皆さん。あんたらに話しておくけどわいらはもう一つの世界から着たトラベラーや。その証拠にわいらはあんたらの事がわかる。そこの物書きしているあんたは「ゼイ=レンドース」後ろにいる二人は「バーベナとキッソス」かそれに近い名前やそしてバーベナはんは「かかと落とし」と・・・・「料理」が・・・・得意や。

一同: (笑)

GM: 君がそう言うとそこにいたこちらの世界の人たちは呆気にとられているけど、ただ一人ゼイさんだけがおもしろそうに目を細める。

ゼイ?: おもしろい。何とも言えずに荒唐無稽ですがこの話、信用に値します。僕の名前はゼイン=レンドース。そして後ろの二人はガーベナとキソース。確かにあなたの言ったとおりです。無論、あなた達が僕らの個人情報をどこかで手に入れた可能性も否定できませんが、信用を得るならもっとまともな嘘をつくはずですしね。

エルナ: 突然の無礼お詫びいたします。ですが我々にも急用がありまして。

 

エルナは自分たち置かれた状況を話す。この後ガーベナとキソースはキティとゴウダンの情報を得るために外にでる、残ったゼインは一向にこの世界の現状を話してくれる。

 

ゼイン: 2年ほど前から月が大きくなりましてね。その巨大になった月によって日照りや大地震津波などが頻発しまして。それから「銀の月の下位神」「黒の月の悪魔」そういったものが活動を始めました。そんな中で人々が混乱の末に無気力になるのにそう時間はかかりませんでしたよ。

ラック: 何とかしようとした連中はおらんかったんか?

ゼイン: いえ、当時の帝国軍部トップのサーライト氏とその協力者によってサリカの「時間奔流」を強化させた呪文によって世界を変えようとする動きはありました。

アイス: うまくいったんですか?

ゼイン: まさか、うまくいったと帝国は発表していましたがね。結局それが人々をさらに絶望させる結果になりました。たしかサーライト氏は公開処刑になったはずです。その後その研究も「異世界に逃げ出す研究」に変わったそうですが、それがどうなったかはわかりません。

ラック: そうか、それで魂だけ逃げてきたんやな。

ケンゼン: 何の話ぜよ?

ラック: まだ仮定や。そうやろGM。

GM: さてね。そこまでゼインが言ったところでガーベナが湯気の出る大皿を持って現れる。

ケンゼン: ちゃちゃ、例のあれぜよ。

ラック: いやまつんや、異世界やで。ジャイアンシチューが出てくるわけないやろう。

GM: ガーベナさんはこんな事を言ってくるよ。

ガーベナ: すまない。君に誉められたところ悪いのだが、ここにはろくな食材がないので味は保証できない。

アイス: はは、改造版ですか。

ラック: 参ったなネオ・ジャイアンシチューか。てかGM。このネタ狙ったやろ。

GM: うん、前回の君がやったやりとりは個人的にツボだったからね。さてどうする?ちなみにゼインさんは仕事が終わってから食べるそうだ。

ガラ: 裏切り者。

エルナ: でも食べないわけにはいきませんよね。

ケンゼン: 昔、ある捕虜収容所で赤痢菌満載の蟹しか捕れない浅瀬に捕虜を監禁する拷問があったそうぜよ。

ガラ: うーむ、わしらのことが嫌いならそう言ってくれればいいんじゃ。

ラック: 何度も言うようやがこれはうまいはずなんや。だってタダなんやから!!

 

一行はその後持てる全ての力を持ってジャイアンシチューを完食した(エルナ以外のメンツの食事の擬音がぐふ!、ゲハ!、ガハ!だったのは問題だが)

勿論、そんな中でもラックはラックだった。

 

ラック: うまさにのたうちながら香辛料の瓶とジャイアンシチューの残りを麻袋に詰めアイスに渡す。この世界では香辛料とか貴重品そうやし、ばれてもアイスのせいや

アイス: 何故に僕ですか?

ラック: アイスやから(笑)

 

さてそのころキティとゴウダンは・・・

 

武器の名は「勇気と信念」

 

GM: 君たちは他のメンバーと別れている。今はバラックのような建物が建ち並ぶ場所だ。(エルナのPLに)というわけでキティをお願いね。

キティ(エルナPL): はいぃ。がんばりますぅ。

ゴウダン: しかしここはどこだ?

キティ: 月がありますからルナルだと思いますけどぉ。おっきぃですぅ。

ゴウダン: 幸い人はいるようだ。話を聞いてみるか。

GM: 君たちがそうやってバラックに入ろうとすると、向こうからおかしな一行が来るよ。

ゴウダン: おかしな一行?

GM: うん、ゴブリンとかオークとか。

ゴウダン: それは悪魔の軍団だろう。く、迎え撃つか。

キティ: ゴウダンさーん。

ゴウダン: キティは私の後ろに隠れるんだ。

GM: 君たちがそうしている間に、彼らは君たちを見つけて何かを叫んでいる。それからしばらくして一体のホブゴブリンが君たちの前に現れる。黒マントに黒鎧で黒い肌の黒ずくめだ。彼は尊大な態度で共通語を喋り始める。

ホブゴブリン: ほう、まだこの村を守ろうという者が残っていたか。クーゼの陽動もあてにならんな。

ゴウダン: 貴様らの目的は知らないが、ここにいる人たちを傷つける気ならば俺は容赦しない。

ホブゴブリン: そうか、これでもか?

GM: 彼はそう言うと腕を振るう、そうするとまるで腕の関節が増えたような不思議な角度に腕がしなりそこからの攻撃が繰り出される。しかも見えない。(コロコロ)まあ、手加減してるから君の薄肌を傷つけるだけだがね。

ホブゴブリン: どうだ我が不可視の剣と「軟体孔」を極めし奥義は。

ゴウダン: いや、見事なものだ。しかし私は引くわけには行かない。守るべき者がいるのだからな!

GM: 君がそう言うとホブゴブリンは嬉しそうに語る。

ホブゴブリン: ほう。我が一撃を見て引かず、しかもこの攻撃を誉めるとはな。貴様は私が怖くはないのか?

ゴウダン: 貴様らが村を襲うことは許せないが、貴様の攻撃手段は理にかなった見事なものだ。おそらく相当な修練をつんだのであろう。

ホブゴブリン: ははは!仲間からも「異形」といわれる我が「軟体孔」を誉めるとは見上げた男よ。我が名はアズバ、貴様の名は?

ゴウダン: 私はゴウダンだ。もう一度聞くが退く気はないか?

アズバ: ない!だが貴様の心意気に敬意を表してサシで戦ってやろう。その代わり「負ければお互いの得物を相手に渡す」というルールでよければだが。

ゴウダン: かまわん。この武器は人を守るための勇気の武器だ。かならず貴様を倒す。

キティ: 援護しましょうかぁ?

ゴウダン: ここで声を出せば君がやられる。私がやられたらすぐに逃げて助けを求めるんだ。

キティ: ゴウダンさ~ん。

ゴウダン: なに、心配するな。そのかわり約束してくれ。これが終わったらアイスに思いっきり甘えると。

キティ: はいぃ?何でですかぁ。

ゴウダン: なに、すこし嫌がらせをするのも一興かと思ったのだ。それぐらいは当然の権利だろう?さて、始めるか。

 

かくして緊張感漂う決戦が始まった。しかし勝負は一瞬だった。アズバの一撃から長期戦は不利と悟ったゴウダンが全力攻撃によって相手の脳を狙ったのだ。

 

ゴウダン: 唸れシャイニングブレイバァァァ!!!!

GM: くそ、中途半端に高い「受け」に期待したんだが。失敗。

ゴウダン: ダメージは10点だ。

アズバ: 見事・・・この剣は持って行け。

GM: そう言うと彼は倒れる。足下には半透明の剣が。

ゴウダン: かろうじてだな。こちらが先行でなければ、倒れたのは私だったろうな。

GM: ゴブリン達は動揺してるけど。

ゴウダン: ではリーダーを失った雑兵に「次は誰だ!」と大声で聞きます。

GM: (コロコロ)オーク達は蜘蛛の子を散らすように逃げていくね。かろうじてゴブリン2体が君を迎え撃つ。

 

この後、ゴブリンの「目くらまし」の呪文を耐え、「石弾」を止めゴウダンは2体を迎撃する。2体も「瞬間回避」を多用し戦闘を長期化させるのだが・・・

 

キティ: ではゴブリンAに「爆裂火球」ですぅ。この数値なら「抜き撃ち」でも命中しますね(コロコロ)命中ですぅ。

GM: ゴブリンAは防御呪文使ったばかり何ですけど~(コロコロ)あ、直撃。隣のBも。

 

この攻撃が勝利を決定した。

 

GM: さて、どうする?

ゴウダン: 悪魔に関係するものを世に留める気はない。とどめをさす。だがアズバの名は胸に刻んでおきます。それにしてもゴウダンは本当に良い敵と戦ってるな

 

この後、二人は悪魔をおそれてバラックに閉じこもっていた人たちから話を聞き神殿に急ぐ。そのころ神殿組は・・・

 

GM: 君たちが食事をおえると、そこにキソースが縛り上げて猿ぐつわを噛ませた猫耳の少女を引きずって・・・

アイス: キティ!?なにをするんですかキソースさん。

GM: (おや?ちゃんと確認しないのかな。いままでさんざん平行世界のキャラが出てきたのに)ではキソースは平然とこう答える。

キソース: バラックに住んでいる男の子が死体で発見され、その前で彼女が立っていた。近頃このあたりでは「殺した相手を丸ごと食べ、消化する間は姿をこらした対象に変化させる悪魔」が暴れているのだ。

アイス: じゃあその子はキティじゃないっていうんですか?悪魔だと?

キソース: その可能性もある。悪いが少し荒っぽい尋問をさせてもらう。

アイス: ダメです。認められません。

ラック: けどなアイス。キソースはんの言うことも・・・

アイス: ダメです!

GM: ではそれまで黙っていたアイオスが口を開く。

アイオス: この世界には秩序が必要なのだ。君もガヤンに使えるものならわかるだろう。

アイス: でも人を信頼することも必要でしょう。

アイオス: 君のは信頼か?ともかくソードブレイカーを持つものならば、それなりの行動をとりたまえ。

アイス: ソードブレイカーにだっていろんな形があるじゃないですか。法だってそのはずです。

ラック: ほんまにキティに関することやと滑舌最高やなアイス。

ガラ: 何時でもだともっといいんじゃが。

アイオス: 平行線だな。どうする、この先は荒事になるぞ。

アイス: う、わかりました。やりましょう。

一同: おお!

エルナ: アイス、やめなさい。危険ですよ。

アイス: 姫さま・・・でもやらないわけにはいかないんです。だってキティが・・・

ケンゼン: 燃える展開ぜよ。

ラック: そうか?

 

かくしてアイスVSアイオスの戦いが始まった。

 

GM: じゃあ、皆さん観戦のなかで決闘が始まる。ちなみアイオスの武器は「グレート・ハードブレーカー」ね。

ラック: しもた、なんかおかしいと思ったがプロトタイプか

 

執筆者注・アイス君はもともと「両手持ちソードブレイカーで相手の武器を折り、その後腕関節技で捕獲」という設定のキャラでそれを改造して現在のアイス君になっています。そしてアイオスはそのプロトタイプです。

 

アイス: まずは自分に全開で「素早さ」をかけます。

GM: じゃあ、こっちも待機。

アイス: 余裕ですか?(コロコロ)成功です。

GM: じゃあこっちも成功。あたりを閃光が包むぞ。

アイス: な・・・初期型は頭がよくないはず。

GM: 人並みだ。それに本人だけが呪文を使う必要もないだろう。

アイス: くそ、攻撃は(コロコロ)命中です。

GM: では受けてあげよう「破砕受け」でね。(コロコロ)8とか成功してるが。そちらの成功度は?

アイス: はは、失敗です。

GM: ではボキンと折れた。

エルナ: アイス!

ラック: あかん、負けムードや。

 

この後、折れたソードブレーカを捨てて、組み付いたアイスだが残念なことに「柔道」でもアイオスが2歩は上でありあっという間に投げられて、首筋にハードブレーカーを突きつけられる。

 

愛泥・今萌に行きます編

 

アイオス: ここまでだな。これを挽回するのは奇跡がいるぞ。

アイス: 奇跡だって起こしますよ。

アイオス: わからないな、そこまでして何故彼女を求める。君は彼女とガヤンを天秤にかけているんだぞ。

アイス: そんなの知りません。僕はただキティと姫さまとで幸せに暮らしたいだけなんです。

一同: (笑)

アイス: 何でそこで笑うんです!

ラック: まあ、お前がハーレム願望があることはわかったけどな。

ケンゼン: ハレムゥぜよ。

アイス: はいいいい???

ラック: 気がついてないんか、そうな風に言ったやないか。

ガラ: 自分のいったことを思いだしてみるんじゃ。

アイス: え・・・でも、ああああ(といって顔が真っ赤になる)

ラック: どうした顔が真っ赤やで。

アイス: 違うんですよ。そんなHな意味じゃないんですよ。なんて言ったらいいんですかね、えーと。すいません頭冷やしてきていいですか。

一同: (爆笑)

ケンゼン: 気持ちはわかるが、今の状況を考えるぜよアイス。

エルナ: そうですよアイス。今はそれどころではないですよ。

アイス: わかってます姫さま。でも僕はそんなつもりで言ったんじゃないんですけど、僕頑張りますから・・・えーと、その姫さまと釣り合うとかじゃなくてですね、え~あ~!僕はなにを言ってるんだっ!!(絶叫)

一同: (笑)

ラック: いやほんまに落ち着けってアイス。

アイス: 落ち着いてますよ!少し顔が赤いだけじゃないですか!姫さまへの事だって冷静に言いました・・・だー!!!なにを言わせるんです!ああ、顔が熱い~!(絶叫)

一同: (爆笑)

ラック: (笑いながら)いや、ほんまになにを言っとるんやお前は?

ケンゼン: それより、落ち着いて周りを見渡すぜよ。

アイス: (あたりをきょろきょろと見る)え、え、え???

ガラ: (苦笑しながら)キャラクター、キャラクター。

アイス: え、あ、あ!す、すいませんアイオスさん。悪気はないんですよ。

一同: (大爆笑)

ラック: 恐ろしい男や、関節決められて何で笑いがとれるんや?

ガラ: これが神の力か?

 

愛泥終了

 

GM: それまで黙っていたアイオスもついに笑ってしまうな。まあ、部屋の中で笑っていないのはキソースと君だけだろうけど。

アイス: えーと・・・大恥ですか?

ガラ: 異世界でまで笑いを広げるな。

GM: アイオスはひとしきり笑った後で、君の首にかけていたハードブレイカーを外す。

アイス: え?許してくれるんですか。

アイオス: まったく、君は何か特殊な魔法でも使えるのか。まともにやり合うのがバカらしくなったよ。

アイス: えーと・・・

ケンゼン: ちゃちゃ、命が助かっただけでもめっけもんぜよ。

アイオス: あの状態で言った言葉だ深くは考えていないのだろうが。その意味は大きいぞ。君は両方の世界を救うと言ったんだ。

アイス: あれ、そうですか?キティはこちらの世界の人間のはずではないですかね。

GM: 君がキティだと思った少女だが、よく見ると微妙に背格好が違うぞ。

アイス: え、まさか・・・・

GM: うん、別人。君は確認しなかったしね。

ガラ: おお、つまりこの少女は異世界のキティ。その娘のエルナとでとはつまり両方の世界を救うこと!

ラック: 見事な宣誓やなアイス。

ケンゼン: まさにガヤンの鏡ぜよ。

アイス: (頭を抱えながら)あああああああああ!

エルナ: あ、アイス、そんなに思い詰めないで。今なら撤回も可能なはずです。

アイス: でも、でも、そんな状況ではないですよ絶対。

GM: まあ、君がそう言ってるとだね。キソースさんが苛つきながら、こう言ってくるんだ。

キソース: 笑い話もいいが、そろそろこの少女の処分をかんがえないか?

アイス: そのことは無しでいいでしょう。

キソース: なにを言っている。この少女は悪魔かもしれんのだぞ!

ガラ: やれやれ。GM、この部屋に霊気感知を行います。この部屋に悪魔がいるかどうかこれでわかるでしょう?

GM: (なんで部屋全部を!)その少女からは邪悪な霊気は感じない。むしろ邪悪なのはキソースのほうだ。

アイス: え?

ガラ: なるほどな。ケンゼンの方にそっと近寄ってこのことを耳打ちします。

GM: (ところがこの悪魔は耳が良いんだよ)君がケンゼンのほうに近づいてしゃべり出す、といきなりキソースが半透明のスライムになって猫耳少女の方に走り出すぞ。(マップを見ながら)この位置で妨害できるのはアイス君だね。

アイス: では突撃です。

GM: (通常攻撃は効かないぞ)斬りつけるの?

アイス: いえ、本当にその悪魔に突っ込むんです。

GM: ・・・はい?

アイス: だから突っ込みます。そのゼリーに。判定は必要ですか?

GM: いや、問題ないがゼリーに消化されるぞ。

アイス: ですよね。多分そうだと思ったんですが、これ以外いい手が思いつかなくて。

ケンゼン: ちゃ-、アイスゼリーぜよ。

ガラ: 未知の新触感じゃな。

GM: こちらはゼインさんが慌てて「火球」の用意を始めるけどね。それでも暫くかかるぞ。こいつは消化しだしたら溶けるのは早いぞ。

ラック: 大丈夫や。アイスは「ネオ・ジャイアンシチュー」を懐にもっとる。あれならいくら悪魔でもあっというまや。

GM: おいおい、人間が食べれるものをこいつが消化できないわけないだろうが!

エルナ: (にっこりと笑って)でも瓶一本分のコショウは人間じゃ食べられませんよ。

GM: ・・・しまった(コロコロ)うぉぉ!むせてる。まさかこれを狙ったのかアイス?

アイス: え、僕助かるんですか?

一同: ・・・

ラック: まあ、アイスやしな。

 

この後、むせかえること5ターン。やっと消化を開始した悪魔ゼリーだったが時すでに遅く

 

ゼイン: やれやれ、仲間の敵討ち等というのは僕の主義に反するのですが

 

ゼインの放った弱点である「火球」と

 

エルナ: こんな事はしたくありませんが、アイスを助けるためですから。

 

エルナの「電撃」によってダメージを受けて炎上。その短い?生涯を終えた。

なお、アイス君は燃えさかる炎の中から無事救出された。(さすがに消化液より炎の方がまだマシであったらしい)

むしろ炎上するゼリーを見てフラッシュバックを起こし、朦朧としたところで持ち前の不運で最後の破裂に巻き込まれたラックのほうがよっぽど重傷だった。

 

たとえifでも

 

アイス: あ~、死ぬかと思った。

エルナ: アイスに「大治癒」をかけます。

ラック: じゃあその間に猫耳のロープをほどくで。

GM: では彼女はロープがほどけるとアイス君に走っていって跳び蹴りをかける。

アイス: あいた!なにをするんだ?

猫耳少女: うるさいわね!助けてもらった御礼は言うけど、なんで初対面の人に「3人で幸せに暮らす」とか言われないといけないよ!

アイス: そ、それは・・・

猫耳少女: 人の名前も間違えるし、人を口説くんならもっとやり方があるでしょうが。

アイス: ご、ごめん・・・君の名前は?

PL一同: 口説くな!

アイス: そ、そんなつもりじゃないんですよ。名前がわからないと呼びにくいじゃないですか。

猫耳 私はチャーミーよ。

アイス: ありがとうチャーミー僕の名前はアイス。

GM: といっている所にゴウダンとキティが入ってくるよ。

アイス: ち、t?lち”!がぅld(執筆者注・この時のアイス君の狼狽ぶりはとても日本語に変換できなかったため、このように書きました。言葉尻から彼の狼狽ぶりを感じていただけると幸いです)

キティ(エルナのPL): あ、アイス・・・さん?

アイス: かみさま!神様はどこにいるんですか!!!!!

一同: (大爆笑)

 

この後アイスは持てる全てのボキャブラリーを結集してキティを説得。その間に他のメンバーはゴウダンと状況確認をした。

 

ゴウダン: というわけなんだ。

ラック: なるほどな。

GM: 君たちが喋っていると、全員の体が薄くなり始めるぞ。

ラック: おや、時間切れか。

ゴウダン: なら例の透明剣をアイオスに渡す。これはあなた達の物だ。

ラック: 聞いてないで何やその剣は?

ゴウダン: ラックに話すと何かとうるさそうだったからな。それを使って生き抜いてくれ。

GM: ではアイオスも慌てて、バックパックから青いソードブレーカをアイスくんに投げ渡す。ちなみに打突型だ。

アイス: これは?

アイオス: 選別だ君の開き直りがどこまで成功するか、楽しみだよ。

アイス: ありがとうございますアイオスさん。僕はチャーミーとキティが幸せに暮らせる世界をエルナ様と作ります。

GM: じゃあチャーミーが少し顔を赤らめながら君にこう言ってくる。

チャーミー: 期待せずに待ってるわよ。

アイス: う、でも頑張りますから。少しは期待して下さい。いつか迎えに来ますから。この「ブル・ディスティニー」いや「ブルー・シンフォニア」にかけて。

GM: ではその台詞を最後に君の体は時空を超える。そして今度こそ元の世界に帰ってくる。ただ・・・キティが睨んでるぞ。

キティ: アイスさ~ん。最後の台詞はどういう事ですか?

ラック: 二つの世界を統合してハーレムを作るか。漢やな。

エルナ: ああ、昔はこんな子じゃなかったのに。

アイス: ち、違うんですよ。最後は言葉が足りなかったんです。誰か僕に弁護士を。

ラック: お前は何の高司祭やアイス?

アイス: あああ、神様、もう一度チャンスを!!!

 

本当にアイス君の未来はどっちだ。あと、世界の未来は大丈夫なのか?

 

第15.5話へ

 

閣下と臣民のお部屋

閣下: うむ。

夏野: なにが有無ですか?では今回のゲストは改造士郎君です。

改造: どうも~ゴルゴムどこっすか?

閣下: いるか!

改造: ちぇ。

夏野: 本筋話しても良いですか?

閣下: 今回は全部で3つの世界を行き来するすさまじい話だった。

夏野: このシナリオは本来2回分のもので、それが PLの行動で一回になったんですよね。

改造: そうだったんすか?

閣下: うむ。本来は次回やる予定の百鬼の顔見せも兼ねているはずだったからな。おかげでせっかく作ったネットワークの NPCが出なくて凹んだ。

改造: でもアイスは男ですよね。

閣下: 確かに。あそこまできっぱりと言われたらな。

夏野: そうでしょうか?彼は本当にハーレムとかでなくあの3人と一緒にいれれば幸せなのかもしれませんよ。

改造: でも、その改造のおかげでアイオスすらも陥落したんですよね。

閣下: あれは本来はあそこで「ガヤンとしての心構え」とか言うつもりだったんだが・・・あそこまでやられてはね。

夏野: ちなみにアイオス:シェラードのデータです。

 

アイオス=シェラード

ST:12 DX:15 IQ:10 HT:13

技能:グレートソードブレイカー20 柔道16 腕関節技18 破砕受け10 滑空ランニング10 跳躍13 指揮12 社交12

移動力:7 よけ/受け/止め:7/11/- 防護点/受動防御:3/5

 

夏野: 鎧は「強化」のかかったスケイル、グレートハードブレイカーは「閃光」が21 LVで魔化された一品です。不利特徴はアイスと一緒。有利な特徴は「魔法の素質と意志の強さ」に変わって「戦闘即応」を持っています。

改造: 強いですね。

閣下: アイス君の PLは気に入らなかったらしいけどね。まあ、いろんな形があっていいでしょ。

夏野: ちなみアイス君の新武器「ブルー・シンフォニア」は破砕受けが+1される「打突タイプのハードブレーカー」です。

閣下: こんな所か。

改造: そう言えば何で今週セッションがなかったんですか?

閣下: 夏野君が「カンフーハッスル」を見るため・・・

夏野: 違いますよ。確かに見に行きましたけど。本当の理由は閣下の家が使えなかったからです(いつもは閣下の部屋の二階でゲームをやっている)

改造: 何でですか?

閣下: 奥さんが模様替えしてたんだ。何でも「六○占術」でそんなことが書いてあったらしい。

改造: はあ・・・

夏野: そういえば改造君。いいかげんに装甲か生命力を上げないの?

改造: だってそれだと「ナマハゲブレード」が取れないんですよ。

閣下: 君がひどい目に遭っている大半の理由は、必殺技でできたスキをつかれる。なのでもっと打たれ強くなれば・・・・

百鬼議論になりつつ終わる。

 

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