黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第14話「全てはifで」

二つの世界を巡る消滅の噂は徐々に世界に広まっていった。各国のトップはその対応に追われた。しかしその中で一人苦悩する者がいた。

「世界に広まったこの噂を消さねば国中で混乱が起こる」

(しかしそれを広めたのは私だ)

「全ては証拠をともわない虚言だ。取り締まりを強化しろ。」

(大本を絶たねばこの噂は消えん)

「この国に安定を取り戻すのだ」

(それを本当に望むのか)

「世界の消滅などありえぬ!誰もそれを望みはしない!」

(本当に望まないのか・・・)

 

第14話「全てはifで」

 

GM: さーて舞台はいよいよ帝都だ。

ラック: ソロモンよ・・・

ガラ: それはこの前やりましたよ。

ラック: ぬー、テンドンを理解せんとはそれでもわいの相棒か。

ガラ: 笑いの繰り返しはテンポがあって始めて笑いを取れるもの。冒頭でやるなど・・・

GM: (口メガホンを作って)オーイ、ゲーム再会してもいいかい?

アイス: は、そういえば猫耳っ子がついて来たような記憶があるんですが。

GM: うん(にやにやしながら)これが彼女のシートね。

アイス: え、何故に僕ですか?

GM: いやー、やっぱり愛のある人物が育てないとね。

一同: (笑)

 

愛泥・将来への誓い編

(ここよりアイス君の泥沼劇場が始まります。本編とは関係ありませんので本編を読みたい方は無視して下さい)

 

アイス: うーん、それならしょうがありませんか。

ラック: 自分で認めたでアイス。

ガラ: さすが猫萌えアイス。新商品であったら頼んでみたい一品です。

アイス: いえ、猫耳萌はPLであって、キャラクターはそうでもないと思いますが。

エルナ: 本当ですかアイス?

アイス: 信じて下さい姫さま。キティとのことは気の迷いだったんです。

ゴウダン: おい。浮気を認めた台詞だぞ、それ。

ラック: キティでさんざん遊んどいて、いざと言うときはエルナに泣きつく。最低やな。

キティ(エルナのPL): 私のことは遊びだったんですかぁアイスさん?

アイス: そんなことはない。でも・・・姫さまに対する思いと君に対する思いは違うんだ。

ガラ: うーん、キティがらみだと本当によく喋るなアイス。

キティ: どう違うんですかぁ?

アイス: え、それは・・・僕はど、どういえば言いんだ!!(絶叫)

一同: (爆笑)

ラック: いや、それをわいらは聞きたいんやが。

アイス: え、えーと。ほら将来のこともあるし。いずれ君と僕は違う道を歩いて行くわけだし。

キティ: (辛そうに)将来、そうですよねぇ・・・私はウィザードだから子供は産めませんからねぇ・・・。

ガラ: ぬぅ、人種差別とはガヤンの名が泣くぞアイス。それともわしらウィザードに対する挑戦か?

ケンゼン: うわ、最低ぜよ。

ラック: しかも話せば話すほど台詞が最低男になっていくんやけど。

アイス: ち、違います。僕はそんなつもりで言ったんじゃないんです。

キティ: (突っ伏して)いいんですぅ。私が勝手についてきただけですしぃ。

アイス: だから違うんだ!どういえばわかってくれるんだ!誰か僕に魔法の言葉をくれ(絶叫)

一同: (爆笑)

ラック: なんちゅうかアイス。そんなに思いつめんでええんちゃうか?キティのことは好きなんやろ?

アイス: ええっと、守っていきたい存在です。

ガラ: うわぁ、言い切りおったなこの男は。しかしそれならそれだけで十分じゃろう。なあキティ。

キティ: は、はいぃ。

ラック: さて問題はエルナじゃが。

エルナ: (鮮やかな笑顔で)私は気にしないで下さい。私も気にしませんから。

アイス: ひ~め~さ~ま~(大絶叫)

一同: (大爆笑)

ラック: すまん。これから毎回これをやってくれんやろうか?金はだすで。

GM: (こまったな、先に進まないぞ。でも面白いからいいか)

 

アイス君泥沼劇場・将来の誓い編終了。次回へ続く。

 

GM: ではそろそろ成長申告を。

ラック: まあ、若干一名成長の前に燃え尽きとんのがおるけどな(笑)

アイス: (息を整えて)思い切って「大治癒」までの前提呪文を全て覚えました。

ラック: これからは後衛で生きるんやな。

アイス: うーん、そういう感じでしょうかね?

ラック: これで回復呪文が使えるのが3人になったで。

アイス: じつはキティも「大治癒」が使えるので4人です。

ティマ: 僕も使えるから5人かな。

ラック: ちゅうか、わいらって呪文つかえるやつは全員「治癒呪文」使えるんやな、ありがたいで。さて、わいは「偽装」と「忍び」をおぼえたで。

エルナ: 私は相変わらず「感情察知」を覚えるために頑張ってますよ。

ガラ: ついに念願の「鎧」を覚えたぞ。

ケンゼン: わしはまたカルシファードブレードのために貯金ぜよ。

ゴウダン: 武器は違うが同じだな。

GM: さてこれで成長も終わったようだね。

アイス: まだキティの成長が終わってませんよGM。

GM: おお、そうだった。それでどうするかね?

アイス: 「盾」を持って貰おうと思います。

GM: おや?まあかまわないけど。

ガラ: わしが言うのもなんじゃが魔術師っぽくないの。

アイス: それは否定しませんが、身を守るのは大切ですよ。

GM: まあ問題なかろう。しかし彼女は手が特殊な形(肉球ハンド)だから装備できるのは、腕に固定できるたぐいの盾だけだぞ。

ラック: バックラーや、ラージシールドは無理なんやな。

アイス: どのみちスモールシールドにするつもりでしたから。問題ないです。

GM: キティの成長が終わったところで、ゲームに戻ろう。さて君たちは長き旅の後についに帝都に戻ってきたわけだ。

ラック: 長い道やったで。

GM: ところでティマ君。さすがに帝都は警備が厳重なんだけど・・・

ティマ: そうだろうね。じゃあ僕はここいらで隠れるよ。そうだ、キティ君にはこの剣をあげよう。と言ってアマランの所からくすねた剣を渡す。

GM: (しばらく考えた後で無言で噴く)な、な。

ティマ: どうしたのGM?

GM: (しまったあの剣のことをすっかり忘れていた)しかし柄の部分が特殊な形でないと彼女は使えないぞ。

ティマ: そこいら君たちが何とかしてね。じゃあ僕はこれで。

ラック: やっぱり相変わらず、忙しいお人や。

GM: それで君たちはこれからどうするの?

ラック: とりあえずはツワブキーさんのとこかな。

エルナ: そうですね。久しぶりに顔も見たいですし。

GM: OK。

 

策謀

 

一行はエルナーの後見人であるツワブキーの元へ。しかしそこで一行が見たのは、帝国の役人によって封鎖されているツワブキーの家であった。

 

GM: 厳重に封鎖がされていて、見張りが二人たっている。

ラック: なにがあったんや?

アイス: 取りあえず門番に聞いてみましょう。

GM: 君たちが中に入ろうとすると、中からよれよれになったツワブキーさんが現れる。

エルナ: ツワブキーさん!

ツワブキイ: ああ、お嬢様。申し訳ありませんサーライトにしてやられました。

ラック: サーライトやて?

 

ツワブキーの話によればエルナ達から送られたアマラン=ゾウスの資料をペローマの神殿に送る途中、どこから嗅ぎつけたのか皇帝の直属部隊が現れ資料を奪っていったのだという。

 

エルナ: じゃあこの屋敷も?

ツワブキイ: はい、国家転覆罪の疑いをかけられて家宅捜査中です。お嬢様は一刻も早くここからお逃げ下さい。

GM: そういうとツワブキーさんは君に、麻袋を渡す。

ツワブキイ: お父上の残した財産です。どうかこれでお嬢様の思いを遂げて下さいませ。

エルナ: ツワブキー・・・わかりました。あなたもどうかお元気で。

ラック: よし、とりあえず逃げるで!

 

一行は帝都のスラム街近くにあるうらびれた酒場に身を寄せた。

 

アイス: 僕らは帝都に来るといつもこんな状態ですね。

ラック: しょうがないやろアイス。わいらはお尋ね者なんやから。

ケンゼン: けど何でわしらが追われるんぜよ?

エルナ: やっぱりアマラン=ゾウスの残した資料でしょうか?

ラック: それ以外に考えられんな。それにしてもうっかりやな。帝都といえばサーライトの巣なんやからもう少し慎重に送るべきやった。お尋ね者か。

GM: (君たちは手配されてないんだが、まあ気がつかないのならいいがね)

ゴウダン: さて、これからどうする?

ラック: このまま帝都におっても危険やな。一旦出るしかないやろ。

エルナ: でもそれではサーライト閣下が何をしようとしているのか何もわかりませんよ。

ラック: そうは言ってもやな姫さん。このまま帝都に残ったらわいらやって捕まるで。ここは素直に逃げるしかないやろ。

ガラ: でもこんな状態で簡単に逃げられるかの?

ラック: こんな時こそ我が幸運の出番や「裏社会」(コロコロ×3)5成功。

GM: 5成功はいいけど誰に当たりをつけるんだい?

ラック: それは勿論、ついさっきまで行動を共にしとって幻覚の達人でもある人や(笑)

 

かくして一行は別れたばかりのティマともう一度コンタクトを取るのだった。

 

ティマ: へロー、久しぶり。

ラック: ああ、久しぶりやな。何時間ぶりや?

ティマ: さてね?それはそうととんだ災難だったみたいだね。

ラック: まったくや。このままやったら外にもおちおち出れんで。

ティマ: それで僕に力を借りに来たわけか。いいよ協力するよ。

エルナ: ありがとうございます。

ティマ: いいの、いいの。ネタになりそうだしね(笑)

ゴウダン: それでどうやって町から出るつもりだ?

ティマ: 正攻法がダメならやっぱり裏からかな?

GM: いっとくけどタマットなり裏の顔役に連絡するにしてもそれなりに時間がかかるからね。

ラック: 時間は覚悟しとる。問題はツテや。

ティマ: それは任せて貰っていいよ。

ラック: そうやな頼むで。さてその間にわいらがやるべきことはやな・・・

エルナ: 時間はあります。まず今の状況を整理してみましょう。

アイス: えーと、まず僕らが旅に出たところからですからね。

ガラ: そこまで戻る必要はないだろう。せいぜい「空の七月」に遭遇したところだろう。

エルナ: そうですね。そういえば彼らの目的はなんなんでしょう?

ゴウダン: 奴らの言うことを信じるならば「世界の破滅の回避」だろう。

ケンゼン: ちゃちゃ、それだと奴らと敵対してるわしらは世界を破滅させる悪党ぜよ。

ラック: そうやない連中が突っかかって来るだけや。それにこの前のエルファ連中に聞いた話もあるし、単純にあいつらがいい奴とは思えんのや。

アイス: でもケンゼンさんの話を聞くとサーライト氏も怪しくないですか?

ラック: ええ度胸やなアイス。聞かれた瞬間に「国家反逆罪」やで。

アイス: でも閣下も「空の七月」の敵ですよね。

ガラ: あれはしょうがあるまい。テロリストとそれの取り締まりじゃよ。

エルナ: それだけですかね?

一同: (視線をエルナに向ける)

エルナ: それだけではない「何か」があるような気がするんです。

ラック: そうか。じゃあティマはんにそこいら辺のことも調べて貰おうか。

GM: なにを聞くのか具体的にお願いね。

エルナ: とりあえず宰相になってからの彼の行動ですかね。

ゴウダン: あと、「研究機関を使って世界の破壊を伝えている」という話もあったな。

ラック: じゃあこの二つも調べといてや。

ティマ: いいけど、調べるのもただじゃないんだけど。

ラック: ジェニか~、しもた。忙しくって忘れとったけどあの袋の中には幾らはいっとんや?

GM: 袋の中には1000ムーナ貨が20枚。

アイス: 20000ムーナ~!!!

ラック: あかん、これはわいのもんやで。そうやなジェニファー。

一同: (笑)

ゴウダン: 悪いがそれはエルナ嬢のものだラック。

ラック: あかんでこれはわいがおなかを痛めて生んだ子供や(笑)

ガラ: ミュルーンは金のためなら性別も超越するのか。

GM: それで幾ら渡すんだい?

ラック: ジェニファーはわたさへんで。

ティマ: まあそれはおいといて。

 

一同は2000ムーナをティマに渡し、残った金額を路銀にすることにした。

 

ティマ: じゃあ僕は行ってくるよ。

GM: そういって彼は出て行ったがそれからどうするかね?

ラック: 確か前回はタマットとの接触にかなりの日数がかかったはずやからな。その間今回はどうする?

エルナ: とりあえずこのあたりを転々とするしかないのでは?

ラック: でもな、そんなに長いことなにするんや?

ゴウダン: いや、あの人のことだから意外とすぐかもしれないぞ。

ケンゼン: ちゃちゃ、果報は寝て待てぜよ。

ラック: その言葉自体は好きなんやが。何かやることないか?

アイス: 何かありましたか?ここではろくな思い出がないですが。

ラック: うん?それで思い出したで!以前ゴールドとシルバーがアジトにつこてた場所があったやろ。あそこまだ行けるんやないか?

ガラ: おいおい相棒、わしがサーライトなら真っ先に封鎖するが。

ラック: 普通はそうやが万が一ちゅうことがあるで。

ケンゼン: それはなんの話ぜよ?

アイス: 昔の話です。

ゴウダン: まあそれぐらいは判るが。

ラック: もしも残っとたら、連中のことがわかるで。暗くなってから調べてみんか?

ガラ: 藪をつつきそうじゃがな。やれやれ、わかった。わしが調べに行こう。

ラック: 流石や相棒。

 

かくして夜の帳と共にガラはかつて侵入した入り口に向かった。

 

ガラ: 一応あたりを警戒しながら入っていきますよ。さて入れるんですか?

GM: 例の岩から?入れるんだよこれが。

ガラ: おや!

GM: しかし中の空洞に続く道は埋められているがね。それもかなり念入りに。

ガラ: これは無理だな。

 

ガラはそのまま一行と合流する。

 

ラック: どうやったガラ?

ガラ: あの穴はふさがっておったよ。かなり念入りにやられていたな。

ラック: ふーん。じゃあそこに潜伏できるんやないか?

ガラ: うん?どういうことだ。

ゴウダン: なるほど、念入りに埋めたのであれば連中は入ってこないだろうな。

アイス: えーと、じゃあしばらくは穴蔵生活ですか?

ラック: その方が安全やろうが。

 

かくして一行は洞窟に向かうことになった。しかしこれが思わぬ転機になるのだが。

 

GM: さて次の日になるけど。

ラック: ティマはうまくやっとるやろうか?

ティマ: (コロコロ)ごめんもう少し待って。

ラック: という念波を受信したで。

エルナ: ではもう少し潜伏ですね。

ラック: あかんマジで暇や。

ゴウダン: 確かにすることがないな。

ケンゼン: ちゃちゃ、なんならそこを掘るぜよ。

ラック: そやな。他にやることもないしな。

ガラ: おいおい本気か?

ラック: 何かあったら、そこまでにしとけばいいんやし。

アイス: そうですね。このままでは体がなまります。

ゴウダン: いいだろう、やってみよう。

ガラ: やれやれ・・・はあ。

 

かくして工具の買い出しの後トンネル作業が始まった。トンネルはガラとケンゼンが掘り、ゴウダンは掘削された岩を運び、アイスは呪文で援護。キティは疲労の回復役でエルナは呪文で換気をおこなった。

言い出しっぺのラックはあまり役に多立たなかったが、意外なほど作業は順調に進んでしまい。気がつけば一日でほとんど終わってしまう。

 

GM: (驚いた。ほんとに掘ったよ)では君たちは例の七つの月のレリーフ・・・ちょっと待てよラック君、今あれを持っているのかね?

ラック: あれってなんや?

GM: 洞窟で手にいれた岩。

ラック: ああ、なんかの岩の欠片みたいなやつやな?持ってるで。

GM: (ああ、フラグがたった)では君たちを閃光が包む。

ラック: なんか近頃このパターンが多いで。今度はなんや?

 

幻覚

 

GM: 目を開けた君たちが見たのは見たこともない世界だ。パッと見は普通の町並みなんだが、全体的に輪郭がぼやけている感じだ。

アイス: なんでこんな場所にいるんでしょうか?

ラック: わいがわかるか!

GM: (にやけながら)しかしねラック君。君の持っている例の石は淡く光り輝いているけど。

ラック: うーん、ここに来た理由は理由はこの岩かもしれんが、わいのせいではないはずや(笑)

ガラ: 確かに、ここに来たのはお主の持っている石のせいかもしれんがわしらはそれを防ぐ手段はなかったわけじゃからな。

ゴウダン: そうだな。それに今回はまず自分達の状況確認が大事だ。

エルナ: そうですね。GM周囲を確認してみます。

GM: 周りは町以外見えない。周囲が濃い霧に包まれていて、町のあたりだけぽっかりと空いていると思ってくれればいい。

アイス: 人はいるんですか?

GM: 人影はある。しかし町並みと一緒で人々もまた透けていると思ってくれ。

ラック: まさに幻覚の町やな。

ケンゼン: とりあえず町に行って見るぜよ。

ラック: そうやな。とりあえず行ってみん事にはしゃあないやろう。

GM: では移動するんだね。さて、町に入ろうかというときに君たちは知り合いに会う。

ガラ: だれじゃ?時空移動をできる能力者は・・・PLは大量に知っておるがガラは知らんぞ。

GM: 知り合いというよりは顔見知りかな?幾何学模様のローブで白髪、赤い目を三つ持った男だよ。

エルナ: クロスさん!

ラック: おお、かつての我が分身。

GM: クロスは君たちのほうをびっくりしながら見ている。

クロス: 驚いた。この町に現れるものがいると聞いてきてみたが、君たちだったのか。

アイス: どうもお久しぶりです。いろいろありまして。

クロス: まあいいだろう。ようこそ「蜃気楼の町ガランド」へ。

ラック: ガランド?それがここの名前か?

エルナ: それよりも私「蜃気楼の町」という名前に聞き覚えがあるんですが。

ガラ: じつはわしもなんじゃ。

アイス: あ、僕もです。

GM: いやー、じつはネトゲーやってる時フリーチャットで「歴代のFF話」を話してたときに出たのがこの都市の大本(笑)

ゴウダン: ではこの町にいるのは全て幻なのか?

クロス: そうではない。ここにいるのは迷える魂なのだ。

ケンゼン: ちゃ?幽霊ぜよ。

クロス: そうでもない。君たちの世界のように、他の世界との接触が起こると両者の世界が乱れ、本来はその世界で留まるはずの魂が世界の外に出てしまう事がある。ここはそういった魂にかりそめの肉体を与え、両者の世界が収まるまで置いておく場所なのだ。

ラック: 魂の保管所か?そんなら何で「町」なんや?

クロス: 集合体を作ろうとした結果「町」になったのだ。魂というのは不安定な状態なので一カ所に集合させておく必要があるからね。勿論君たちの世界が平穏になれば、彼らも月に行くことができるだろう。

ラック: う、こんな所でもプレッシャーが。

エルナ: こんな所にも二つの世界の問題の目があったんですね。

ケンゼン: シリアスなところ悪いんじゃが、クロスさんわしらはどうやれば元の世界に帰れるぜよ?

クロス: 君たちがここに来たのは、そこのミュルーン君が持っている「あちらの世界の品」が空間転移の際に「あちらの世界」に行こうとした結果だ。このまましばらくすれば君たちの世界に戻る力が働くだろう。

ラック: ほら見てみい、やっぱり事故やったやろう。

GM: (でもフラグは立ったよ)

アイス: じゃあしばらく待機ですか。

クロス: それもいいが、どうせならこの町の見学などはいかがかね?

ガラ: おもしろそうじゃがここで買ったものは、ちゃんと残るんじゃろうな?

クロス: その理屈で「なくなる」と言ったら、君たちは今装備しているアイテムをどうやって守るんだね?

エルナ: 確かに。

クロス: ここの世界ではかりそめの存在だが、君たちの世界に入れば「実体」になるよ。もっともあまり大きなものは持ち帰らないことをお勧めするがね。

ケンゼン: ではショッピングに行くぜよ。

GM: OK。さて、アイスくん。

アイス: はい?

GM: 君が移動しようとすると、キティが自分の首輪を差し出して「巻いてくれませんかぁ」と言ってくるが。

アイス: な、な、な、え、ええ!!!いや違うんですよ。てか無実です。

一同: (爆笑)

ケンゼン: アイスが変態ぜよ。

ラック: グッバイ、アイス。お前は「漢」やった。ムショでもしっかりな。

ガラ: まあ、趣味は人それぞれじゃし。

エルナ: そうですよね。アイス、私は別にこれであなたのことを嫌ったりしませんから。

アイス: ち、違うんですよ!てか聞いて下さいよ。あ~あ何故にぃぃ!!

一同: (笑)

キティ: でも前のご主人様はお外に行くときには首輪を締め直すって言ってました。

アイス: 前の主人のことは忘れてくれ!今は僕の言うことに従ってくれないか。

ラック: (小さい声で)今奴は軽率な一言を言ったで。

ガラ: (同じく小さい声で)前の話で告白したと思ったら今回は「ご主人様」ですか。あの純朴な少年はどこに行ったんでしょうか?

アイス: あ~びっくりした、しかしキティにこんな事を毎回やらせていたとはおのれフリスキー。ラックさん。あちらに帰ったら・・・やっぱりいいです。

ラック: どうしたんや?

アイス: いえ、「裏社会」で仕置き人を雇おうかと思ったんですが、もしもばれたときに嘘を突き通す自身がないのでやめておこうかと。

ガラ: そんな話は思っていてもするもんではないぞ。まあアイスらしいが(笑)

 

やんや、やんやといいながら一行は町を訪れる。

 

ゴウダン: 目を引く建物とかありますか?

GM: そうだね。巨大な煙突みたいなものがそびえ立つ建物があるね。

ケンゼン: 銭湯ぜよ。

GM: いや、看板には「魔術付加おこないます」と書いてあるが。

エルナ: エンチャントショップですか?

クロス: この世界は魔力が貯蓄しやすいからな。大がかりな魔力強化が簡単におこなえるのだよ。リスクがあるため、高価ではあるがね。

ケンゼン: やってみるぜよ。

GM: 店員さんがいるので聞いてみるかね。

ケンゼン: 鎧を強化するぜよ。

ラック: おや、ブレードやないんか?

ケンゼン: カルシファードブレードに魔力を通すのはいやなんぜよ。

アイス: ええと、たしかあれは魔法武器みたいなものだったような気がしますが。

ケンゼン: それはそれぜよ。

GM: では店員さんは値段表を出してくる。だいたいの武器・防具の魔化はできると思っていい。ちなみに値段は(必要魔力量×30)ムーナだと思ってね。

エルナ: (ルールブックを見ながら)それだと「強化1L」1500ムーナですか。

ラック: 高いか~、安いか~。

GM: 自分の着ている鎧にすぐさま呪文をかけてもらえるんだから破格だと思うよ。

ケンゼン: じゃあこの鎧をやってもらうぜよ。

ゴウダン: おや、その鎧はすでに魔法がかかっているのではないのか?

GM: いやケンゼン君の鎧は「緑の主」を模した金属で作られているから、鎧の能力はその材質によるものだ。

ケンゼン: じゃあ軽くするぜよ。

ラック: ちょっと待て!その鎧はもう十分軽いやろ、それ以上軽くしても利益は少ないで。

ケンゼン: でも軽くなるのはいいことぜよ。

ラック: そんなことに3000ムーナも使うな。

ケンゼン: わしの金をどう使おうとわしのかってぜよ。

ガラ: 確かにそうじゃが。

GM: やるんだね。では3D6を振って15以下をだしてくれ。この装置の目標値だ。注意点として200以上の魔力を一度に流そうとするとペナルティがつくぞ。

エルナ: つまり「確かさ」とかの武器魔化呪文は発動にペナルティですか。強化が難しいですね。

ケンゼン: えーと5ぜよ。

ラック: おしいな。ここやなかったらクリティカルやで。

GM: いやここでもクリティカルは起こる。ただこの効果はどうなるかはわからない。1D6を振ってくれ。

ケンゼン: 6ぜよ。

GM: では本来より軽い、元の重さの半分の重さになった。

一同: (歓声)

ラック: おしいな、もう1カガル軽かったら、ケンゼンが装備したら「無荷」になったのにな。

ケンゼン: いや~、これおもしろいぜよ。

 

ケンゼンはこの後鎧に「強化」もかけて鎧の能力を上げる。

 

エルナ: 我々も買い物を始めましょうか。

 

エルナは自分の鎧に強化をかけるよりも安い値段で強化のかかったハードレザーが売ってあったのでそれを購入。さらにこれまた安く売っていた12点分のパワーストーンを購入。7点のものはアイスに譲る。ついでに「治癒」などのエリクサーを買い込んだ。

 

ラック: ジェニがなくなるとほんまに身が切られるみたいや。

 

ラックはムーナを使いたくないためさんざん悩むが結局自分の鎧に「軽量化」と「強化」をかける。

 

ガラ: わしは霊薬を買っておこう。

 

ガラは自分の鎧に「強化」をかけたあとエリクサーショップを回る。エルナに通常のエリクサーの購入を任せ少し高価な「無敵」「予知」「カリスマ」などを購入する。

 

ゴウダン: この鎧を軽くすれば多くの物が持てるようになるな。

 

ゴウダンもケンゼンと同じく鎧の「軽量化」と「強化」をほどこす。ギャビット鎧の重さをこっそり嘆いていた彼はこれによってポーターとしての活躍も見込めるようになった。

 

そしてアイスは・・・

 

アイス: キティの鎧を選びます。

GM: 自分のはいいのかね?

アイス: 以前買ったチェインメイルに「強化」をかけますがそれで終わりです。

GM: あれ?そんな話しあったっけ?

アイス: 忘れないで下さい!

 

執筆者注:この文章の下りを聞いてから慌てて確認しましたがアイス君は第10話において確かにチェインメイルを購入していました。執筆者のミスです、アイス君ごめんなさい。

 

GM: それはいいがキティにはどんな鎧を着させるの?

アイス: それが問題なんですよね。防御力を取るか、それとも機動性を取るか。キティはどうしたい?

キティ: え、私は今のままでも良いですよぉ。

アイス: ダメだよ。そんな鎧で君が傷ついたらどうするんだい?

一同: (笑)

ラック: うーん、まさに猫かわいがり。目に入れても痛くないんやろうな?

ガラ: まあ、目に入れたらその時には死んどるじゃろうからな。

ケンゼン: ちゃ、ちゃ、こういうイチャイチャは独身者には目の毒ぜよ。

アイス: イチャイチャなんてしてませんよ。好きとか嫌いとかじゃなくて僕はキティの事が心配なんですよ!

一同: (生暖かい目)

エルナ: よかった。アイスにも私以外に大事な人ができて。

ゴウダン: うむ、守るべき者ができたのは良いことだ。ちゃんと最後まで守れよアイス。

アイス: だからそんなのではないですよ。信じて下さい。

 

こうしてアイス君はキティ用の強化ハードレザーを手に入れた。ただ、彼がかわりに何を失ったかについては定かではない

 

GM: そういえばティマがキティにあげたショートソードは誰が持っているの?

アイス: たぶんキティの腰につるされていると思います。

GM: ではそれをクロスが見て目を細めるよ。

アイス: どうしました?

クロス: いや、その剣はどうしたのかね?

アイス: 貰い物です。

クロス: そうか・・・大切にしたまえ。

アイス: すごい武器なんですか?

クロス: 知らなかったのか?それは「針葉の主」エルファの古い部族に伝わる武器だ。持ち主の痛みを忘れさせ、持ち主の傷を破壊力に変える剣だ。

アイス: 知りませんでした。うーん、それだとエルファの人に返した方がいいのかな?

クロス: そうだな、そのほうがいいだろう。ところで君たちはこれからどうするのかね?

エルナ: 買い物も済みましたし、後は世界の強制力が働くまでゆっくりするつもりです。

クロス: それなら近くに私の私邸があるからそこで休むと良いだろう。

ゴウダン: それはかたじけない。

 

一行はしばしの休息のためにクロスの私邸を訪れた。

 

流転

 

GM: 私邸は古い洋館だ。勿論ぼやけているけどね。

ラック: 敵の目を気にせんでいい場所はええな。

エルナ: まったくです。

GM: (だから確認を怠ったな、甘いぞ)君たちが洋館にはいると、空間が歪む。

アイス: なんですか?

GM: そこに現れるのはサーライト=ティーグそっくりの男だ。

ガラ: む、陰険策士の影武者か?

GM: 顔色がとても悪いがそれ以外はそっくりだ。そして彼は君たちを見つけると顔を歪ませる。

サーライト?: ちぃ、流石は「零の観測者」簡単にはいかないか。

ラック: あんたなにもんや?

GM: 君が声を出すと、彼は思いっきり見下した目で君たちを見てくる。

サーライト?: ほう!?ここにも聖者がいるとはな。ならば世の顔を知っておろう我が名はサーライト=ティーグ。帝国を治め、そして世界をも統べる者。全ての者はわれに跪け!

ラック: なんかすごいはっちゃけてるで、あんな人やったか?

ガラ: いや、前にあったときにはあんな奴ではなかったが。

エルナ: あなたは何ものですか?少なくとも私の知っている閣下はそのような言い回しはなさいませんよ。

GM: 君がそういうと、彼は急にぶつぶつと独り言を言いだす。それが聞きたい方は「聴覚判定」ね。

エルナ: 4成功です。

GM: では彼が「やはり奴には無駄が多い、記憶の共有も曖昧だ」といったのが聞こえる。

ラック: PLは何となくからくりがわかったような気がするんやけど。

GM: PLがわかってもね。で、彼はそういうとあたりを帯電させ始めるんだけど。

ケンゼン: ちゃ、なにをするつもりぜよ?

サーライト?: しれたこと。貴様らを消すのだ。この都市を形ずくっている力を使ってな。

ゴウダン: 阻止する。この語りの間に武器を抜いて斬りかかる。来いブレイバー!

GM: (このタイミングで回数に達するとはやっぱり勇者属性だね)では君が斬りかかろうとするとブレイバーが淡く光って君に質問をしてくる。

ブレイバー: 我が真の名を答えよ。

ゴウダン: なんの話だ?

ブレイバー: 我の真の名を言えば汝に力を貸そう。

GM: (ヒントが何にもないからな。)念での会話だけどすぐに答えてね。

ゴウダン: ぬぅぅ、よし決めた。お前の名は「シャイニング・ブレイバー」だ。

GM: (おお、当てた!!)では君の叫びとともにブレイバーから光が溢れ、サーライトを切り裂く。ダメージを振って。

ゴウダン: (コロコロ)13点です。

GM: どうして君はそんなダメージばかりだすんだ。ではその一撃でサーライトは四散するよ。

ゴウダン: やった。

GM: でもその力で君たちは異世界にとばされるんだよね。

アイス: またですか?

GM: でも今回は行き先は判らないぞ。君たちが決めたまえ。代表者が3D6だ。極端な目は振らんように。

ケンゼン: (コロコロ)5ぜよ。

一同: あほ~!!!

GM: (やれやれ)では君たちは不思議な世界につく。

ラック: どんな世界や?

GM: そこは月が一つしかなく、空気は妙に悪い。建物はカルシファードてきな物と、四角い箱形建築の物が大半だ。

エルナ: PLはわかったような気がします。

GM: (にやり)で近くの建物から人の良さそうなおじさんが出てくる。

アイス: すみませんここは?

おじさん: 妙な形ですが旅の方ですか?ここは日本のK県ですが。

一同: やっぱり~

 

次回に続け。

 

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閣下と臣民のお部屋

閣下: くるしゅーない。

夏野: すでに台詞が裏世界として成立してませんよ。さて今回からゲストを呼んでます。一回目はアイオス=ジェラード君です。

アイス: どうも。えーと僕はどう喋ればいいんですか?

夏野: アイス風に。

アイス: かなり前なのでロールが難しいです。

閣下: それでキティとの仲はどうなんだね?

アイス: え、えええ、ええ?

夏野: 閣下お見事です。

閣下: うむ、さて今回は衝撃の結末だった。

夏野: ええ、そして次回は衝撃のコラボレーションです。

アイス: たしか荻野・・・

夏野: それ以上はストップ。

閣下: そしてこの間に元世界でのティマ君の外伝があったわけだ。

夏野: それは14話の次ですね。さてアイス君質問は?

アイス: いきなり振られても・・・そうだ!今回の特殊武器について教えて下さい。

閣下: いいだろう。まず「針葉の主」通常時は上質のショートソードだがいざ戦闘になると「痛み止め」が所有者に自動付加される。そして食らったダメージをチャ-ジできる。チャージは最大で10点。一日に一度それを解放することでソードのダメージを増やせる。

夏野: かなり強い武器ですよね。

閣下: うむ、しかしあの武器は「身長150cm以下の者しか装備できない」「植物への義務感を持つ者しか装備できない」という制限があるので装備できる者はいなかったはずなんだが。

夏野: 自分のだしたNPCでそれを破ったら仕方がないですよね。

アイス: シャイニングブレイバーは?

閣下: 真の名を唱えると光り輝く。そして霊体なども切れるようになる。さらに閃光によって回避に-4のペナルティだ。ただし一度光のに2点体力を消耗し、攻撃のたびに光なおす必要がある。

夏野: なるほど。アイス君他には?

アイス: 「愛泥」って何ですか?

夏野: 「アイス君泥沼劇場」の略称。おもしろくなかったかね?

アイス: 笑ってしまった自分が少し情けないです。

閣下: 青春だ。

閣下の意味のわからない一言で続く。

 

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