黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第2話「Princess of Silver Dragon」

ミディア最悪の1日

 

 前回のセッションで愚かな特攻を仕掛けた上、不利特徴を上手く演じたとは言い切れないラインは3点、他のメンバーは4点のCPを入手する。

 そのCPで各々、思い思いに成長する。

 

ヒスミ  うーん、体力も上げたいけど、まずは「両手剣」技能*1を伸ばしました。

ユズキ  僕は魔銃(“マガン”と読みます)の「べたべた弾」を取りました。

イングリッド  火が出せるだけじゃないんだ。その武器、どうやって弾作ってるの?

GM  もともと、ガープス・ソーサルナイツアカデミー(SKA)の「魔弾」のルールを少し変更して使ってるんだけど、SKAで魔弾を買うために必要なmipを1CP払う事で50点分手に入れるということにしている。イメージ的には、銃を持って魂込めれば銃の中に弾丸が出来上がるんだと思うよ。

ヒスミ  ベギラマ2発を弾に込めれば、ベギラゴンの威力になるはずだ(笑)

ユズキ  銃が壊れるからやりません(笑)

ライン  私は《すばやさ》を14レベルに上げました。

イングリッド  便利そうな呪文をいくつか覚えたわ。もっとも、私の研究に便利そうなであって、冒険の役に立つかどうかは微妙だけど(笑)

ヒスミ  イングリッドさんって、何の研究してるのです?

イングリッド  ふふ。秘密よ。

GM  さて、それではゲームを始める。前回から5日経ったんだが、何かその間やりたいことは?

ユズキ  逃げたシン・カーンの行方は?

GM  見つかっていない。<風龍会>もジェスタの街壁警備隊に情報を流して逃がさないようにしてるから、多分まだこの街のどこかにいるだろう。

ライン  普通、タマット神殿とジェスタ神殿って仲悪いですよね。よく話を聞いてくれましたね。

ユズキ  街の内側を表裏で守るのがガヤンとタマット。外側から守るのがジェスタですから、協力関係は結べますよ。

ライン  そうですかぁ?

GM  戦争中のライバル関係にあることと街の管理は別物だよ。

ライン  (何かぶつぶつ言っている)

ヒスミ  私はチェインメイル買いたいなー。でも、少しお金が足りない・・・

イングリッド  親にねだってみたら?

ヒスミ  お父様はお洋服やアクセサリーはたくさん買ってくれるけど、鎧や剣は買ってくれないです。

イングリッド  過保護なのか、厳しいのか(苦笑)

GM  娘に戦いの武具を与えるのは過保護とは言わないだろう(笑)

ユズキ  店主さん。僕達と仲良くしておくと、後々いいことありますよー(いきなり登場して、値切りを始める)

GM  (反応判定して結果は「とても良い」)1割引にしてくれるってさ。

ヒスミ  ホント? わーい、じゃあチェインメイル買うー。店主さんありがとー。

ユズキ  僕にはお礼行ってくれないのですね(泣)

ヒスミ  ユズキもありがとう!

ユズキ  (ちょっと照れて)い・・・いえ。

GM  他には?

ヒスミ  何もない日は、お店で歌ってるよぉ。

ユズキ  僕はウェイター。

イングリッド  いつ来ても、この店はいい歌が聞けるわ。

GM  ヒスミが来る日と来ない日では、カフェの売り上げが全然違う。

イングリッド  そりゃそうでしょう。15レベルって言ったら、プロの歌声よ。

ヒスミ  えっへん。

GM  それに、ヒスミの容貌とカリスマは、多くの人を引きつけるしね。

イングリッド  この子、一緒にいると安心できるのよね。

ヒスミ  (ちょっと照れて)えへへ。

GM  イングリッドは何かする?

イングリッド  私は・・・そうね。せっかく裏タマットにコネもできたんだし、例の件について情報集めてもらおうかな?

GM  いいのか? そうすると、君たちのことが向こうに知れる可能性もあるんだが。

イングリッド  う・・・そうね。今は止めておくわ。もう少し、ここの組織と仲が良くなってからにしましょうか。

ライン  何の話でしょうかね?

ユズキ  今の話は僕たちは知らないんですし、気にしても仕方が無いですよ。

GM  ラインは?

ライン  そうですね。犬のグッズが売ってある店でも探しますか。

イングリッド  嫁探しはいいの?

ライン  探そうにも情報がないですよ。

イングリッド  その情報を探すために、この街に来たんじゃないの? 人を探すのはまず足よ。街で聞き込みでもしてみたら?

ライン  そんなことで見つかれば、苦労はしませんよ。

GM  (こいつ、この街まで来れたことが奇跡だったかもな。)んじゃ、ゲームを開始する。今回も3人ばらばらの所から始める。まずはイングリッドから。君は、ミディア郊外の自宅にいる。今はお昼少し前で、レベッカがキッチンで昼食の用意をしている。

イングリッド  お皿でも並べておきましょうか。

GM  そんな時に、入口がノックされるよ。

レベッカ  イングリッド。今、手が離せないから、出てもらえます?

イングリッド  しょうがないわね。一応、警戒しながらドアを開けるわ。

GM  うむ。するとそこには、やつれた感じの中年男性シン・カーンが立っている。

一同(イングリッド以外)  えぇー!?

イングリッド  (全然動じず)あら、久しぶりね。

外野のユズキ  何でそんなに冷静なんですか!? 前回の蜘蛛男ですよ!?

イングリッド  知ってるわよ。あの時でも十分私たちを全滅させられた奴よ。今更、私たちに危害を加えるためにここに来たとは思えないわ。・・・それに、こいつには聞きたいこともあったしね。ついでに言うと、私は蜘蛛恐怖症じゃないわ(笑)

GM  こらこら。空間を越えた会話は控えて。

イングリッド  で、お昼時にいきなり訪ねてきて、何の用?

シン  ぶしつけですまないのだが、君たちにいくつか頼みたいことがある。

イングリッド  何かしら?

シン  それは・・・

GM  シン・カーンは、突然前のめりに倒れる。

イングリッド  ちょ・・・ちょっと! どうしたのよ?

シン  ・・・・まずは、何か食べさせて・・・

GM  シン・カーンの腹の虫の音が響く。

一同  (笑)

レベッカ  イングリッド、もう一人分昼食の用意をしましょうか?

イングリッド  ええ。お願いね。・・・あの娘には、部屋で食べてもらったほうがよさそうね・・・

GM  出された食事を、シン・カーンは平らげるね。

シン  ごちそうさま。礼を言わせてもらうよ。

レベッカ  いえいえ、お粗末様。

イングリッド  で、もう一度聞くけど何の用? 頼みってご飯をたかりに来たってだけじゃないでしょう?

シン  その前に、水を一杯いただけないか?

レベッカ  どうぞ。

イングリッド  (こめかみをぴくぴくさせながらころころ)ふぅ、「かんしゃく」は抑えたわ。こんなことで一々怒るなんて大人気ないからね。

一同  (笑)

GM  食事を終えて一服した後、シン・カーンは語り始める。

シン  君たちに頼みたいというのは他でもない。俺の娘を助けて欲しいのだ。

イングリッド  娘? あんたに娘なんていたのね。

シン  ああ。それと、<風龍会>に俺と娘に手を出さないように進言してもらいたい。

イングリッド  ずいぶん大きく出たわね。見返りは?

シン  何故、俺があのような変身ができるのかを教えよう。君は魔術師だ。興味があるだろう?

イングリッド  そうね・・・。こいつ、私たちがあの組織の一員だって知ってて話しかけてきたわけじゃないみたいね。

GM  そう思えるね。もちろん騙そうとしている可能性はあるけど。

イングリッド  騙していたとしてどうする気なのかが分からないわね。今は話に乗ってみるわ。私には十分な条件だけど、<風龍会>にその条件は通用しないわよ。

シン  奴らには、別の交渉材料を用意している。君には、あの組織との橋渡しをしてもらいたいのだ。

イングリッド  この私を、利用するつもり?

シン  いや。これはあくまでお願いだ。断るのだったら、他の人物を探す。

イングリッド  当ては?

シン  無い。(頭を下げて)だから、頼む。

イングリッド  フッ・・・人から頼まれるってのは悪い気はしないわね。とりあえず、<風龍会>の知り合いに話だけはしてみるわ。その後どうするかを決めるのは彼ら。最初の依頼も、私たちだけじゃどうしようもないから、彼らに話をしてから受けるかどうか決める。それでいい?

シン  ああ、頼む。

イングリッド  じゃあ、出かけてくるけど、(レベッカに耳打ちして)こいつの監視と、あの娘のこと、頼むわね。

レベッカ  ええ。いざとなったら、“あの力”を使って逃げるわ。

イングリッド  お願いね・・・

GM  では、イングリッドが<風龍会>本部へ向かった所で、次、ライン。

ライン  はい。

GM  君は、<風龍会>の門番から犬のグッズを扱っているファンシーショップのことを聞き、そっちに向かっていた。

ユズキ  ああ、あの犬好きの人(笑)

ヒスミ  ファンシー好きでもあるんだ(笑)

ライン  「けちんぼ」ですから、見るだけですけどね。

GM  いや、「愛好症」の特徴持ってる以上、犬のグッズを買うことにだけには、糸目をつけないってことにしてもらう。NPCへのプレゼントくらいにしか役に立たない小物が増える。

ライン  (不満そうに)分かりましたよ・・・

GM  で、そんな君だが、道に迷って裏通りっぽい所まで来てしまった。

ライン  いきなりですか(笑)

GM  ホームレスらしい人たちは、君に「バクシーシ、バクシーシ」とか言ってくるが?

イングリッド  どこの国よここは(笑)

ライン  「困っている人を放っておかない」って誓いを立てているのですが、私は「けちんぼ」なんですよね。(ころころ)自制判定は失敗。お金を渡したくないので、無視します。

外野のイングリッド  無視かよ? お金の換わりに何かできることを探したりしないわけ?

ライン  (勝手にサイコロ振って)意思判定も成功しました。無視します。

GM  (ため息)お前、その誓いの特徴、今度買い戻しとけよ。

ライン  なんでですか? 意思判定は成功したんですよ?

GM  その不利特徴を演じ切れていると自分で思ってるのか? それに誓いは自制判定で抑えられるものじゃないぞ。

ライン  だから意思判定に成功したんですってば。*2

GM  (話にならん・・・)OK。分かったよ(こいつのこの特徴は、今後「妄想/自分は困っている人を放って置けない善人だと思いこんでいる」に置き換えて進行するか。)*3 では、君は大通りに戻るために歩いていると通りの角から剣を打ちあう音が聞こえる。

ライン  駆けつけます!

GM  そこには、ジェスタメイスらしき鎚と盾で武装していて、背中に不気味な装飾がされた大剣を背負った青年・・・といっても、30半ばくらいの男が、黒いローブを被って黒光りする短剣とバックラーを持った4人組に襲われているね。

ライン  ジェスタ信者が大剣?

GM  背負っているだけで抜いてはいない。男は壁を背にして戦っているが、どうも足を切られて怪我している上、毒にでも侵されているのか顔色が悪く形勢不利。

ユズキ&イングリッドのPL  (口パクで、ラインに何か伝えようとしている)

ライン  (全然気付かず、嬉しそうに)ソードブレイカーと盾を構えて、切りかかります。

ユズキ&イングリッドのPL  (盛大にため息をついている)

GM  まて。街中歩くのにラージシールドなんか持ってたのか? ソードブレイカーならともかく、いくらなんでも不許可だ(だから他の方法を考えろ。)

ライン  戦士でしたら、普通盾くらい常備しているでしょう。

GM  お前は戦士じゃなくてただの旅の貴族だろ?

ライン  戦士でなくても、戦闘が起きそうな状況では持っているのが普通でしょう。私は旅の途中なんですよ。

GM  旅してるんじゃなくて店に行く途中だったろう? 却下だ。

ライン  何でですか!

GM  (投げやりに)もういいや、盾も持っててもいいよ。

ライン  よし。黒ローブに切りかかりますよ。

GM  黒ローブも君に気付き、4人中2人が迎え撃つ。この連中、ローブの下の顔はよく分からない。影になっていることが原因なだけじゃないだろう。後、なにか甘いながらも刺激のある奇妙な臭いがした気がする。

外野のユズキ  こいつら、人間でしょうかね?

ライン  臭いですか? まあいいや、黒ローブAに切りつけます。ダメージは最大の8点。

GM  あれ? 喰らってしまった。しかも転倒して朦朧。出目悪いなぁ。しかし、自分のターンで復活して膝立ちになる。黒ローブBは小手調べに攻撃。

ライン  余裕で「止め」ました。よし、この程度なら余裕で勝てる。

外野のイングリッド  どうなっても知らないわよ・・・

 

 調子に乗ったラインは倒れた黒ローブを攻撃するが、バックラーで止められる。その後、黒ローブABに全力4回攻撃をされる。状況的にあり得ないのだが、鱗鎧を着ていたこともプレイヤーがごねてきたので認めた*4ものの、足首と右手首を切られ、それらの部位が使えなくなる。さらに膝立ちになった所を集中攻撃され、あっさり死亡ダメージに突入。

 

ライン  なんで、ショートソードでそんなに攻撃力が高いんですか!

GM  おまえは文句しか言えんのか・・・

ユズキ  ショートソードでも体力が13以上あれば、期待値で6点の切りだよ。

ライン  雑魚をそんな体力にしないでくださいよ。技能レベルも高すぎですし・・・

GM  前にも、今回はそういうバランスで作るって言っただろ? それとも黒ローブに毒短剣装備のこいつらがチンピラにでも見えたか? さっさと死亡判定と気絶判定をしてくれ。

ライン  生きてはいますけど、気絶しました。

GM  じゃ、気絶したラインがどうなるかはヒスミ&ユズキの後で。君たちはこの街の西側を牛耳る裏タマット組織、<表裏のコイン>のトップの息子が結婚するというので、パーティーに呼ばれている。

ユズキ  敵対組織ではないのですよね?

GM  うん。昔は敵対してたけど、今は「強敵と書いて友と呼ぶ」関係かな。で、パーティーには参加するかね?

ヒスミ  わーい。もちろん参加するぅ。お父様、新しいドレス買ってー。

ゴウケン  良いだろう。好きなものを選んでくるといい。

ヒスミ  わーい。ユズキィ、ウィンドウショッピング行こう!

ユズキ  あ、だめですお嬢! あなたがウィンドウショッピングなんてやったら・・・

ヒスミ  あぁー! ガシャーン!(転んで窓を割ったらしい)

イングリッド  手遅れだったみたいね(苦笑)

ユズキ  うう・・・すみません、弁償します・・・。いや、お金は組が払いますけど。

ヒスミ  そっかぁ、ウィンドウショッピングって、窓を買うことだったんだぁ(笑)

一同  断じて違う!(爆笑)

 

 そんな悶着がありながらも、ヒスミは新しいドレスや化粧品、アクセサリーを購入。けちんぼなユズキは、一張羅があるからそれで十分と何も買わなかった。

 そしてパーティ当日。2人は組長や構成員と共に会場へと向かった。

 

ユズキ  武器の持ち込みはできますか?

GM  不許可。武器は裏口か表口に預けておいてくれ。

ユズキ  じゃあ、何となく裏口に預けておきましょう。

GM  結婚披露宴は始まりからつつがなく進む。結婚するのは、<表裏のコイン>のドンの3男で、優男のローレン・ローマ。

外野のライン  3男で優男ってことは、次男と長男は?

GM  次男はガタイがでかくて顔はごついが、綺麗な嫁さんがいる。長男は眉毛が無い。

外野のライン  やっぱりですか(笑)

ヒスミ  お料理おいしいですー(話を聞かないで、ひたすら食べている) ユズキぃ、あっちのケーキ持ってきて。

ユズキ  はいはーい。

GM  そんなヒスミとユズキの所に、1人の老人がやって来る。<表裏のコイン>のドン・ラブン・ローマだ。逆からは読まないように。

外野のライン  マーロ・ンブラ・ンド? 誰ですか?

GM  初代ゴッドファーザー

外野のイングリッド  ごめん知らない。

GM  そうか。残念。

外野のライン  誰も知りませんよ。そんなの。神谷明クラスならともかく。(←神谷明は日本の声優。マーロン・ブランドアカデミー賞をとったハリウッド俳優である)

GM  まあ、君が知ってるとは端から思ってないがな。

ラブン  やあ、ヒスミお嬢ちゃん。相変わらず元気なようだね。

ヒスミ  あ、ラブンさん。この度はお招きいただき、ありがとうございました(頭を下げる・・・と、料理を盛った皿を落す) あぁ!? もったいないです!

GM  ヒスミが拾おうとすると、すでに待機していた清掃係がやってきて、割れた皿や落ちた料理を片付け始める。

ヒスミ  はぅぅ・・・

外野のイングリッド  ヒスミのドジは、ここでも有名みたいね(笑)

ラブン  そんなところも、相変わらずみたいだな(苦笑)

GM  その時、ラブンの横をガタイのでかい男が通り、手を横に振るう。すると、ラブンの首から血が噴出す! どうやら手刀でラブンの首を掻っ切ったみたいだ。男は続いてラブンの目を目掛けて貫手を突き立てようとする!

ヒスミ  テーブル持って殴りつける!

GM  OK。背は高いが一見華奢な女の子がそんな行動を取るとは思ってなかったらしく男は怯んだ。周辺の人たちも異常に気付いたので、男は裏口へ向かって走り出す。ちなみにユズキは裏口に近い位置にいるよ。

ヒスミ  ユズキ! 追って!

ユズキ  は・・・はい!

GM  追うんだったら、このBGMだな(「踊る大捜査線」メインテーマを流す)

ヒスミ  事件はパーティー会場で起こってるんじゃない、現場で起きてるんだ!(笑)

ユズキ  パーティ会場が現場ですって(笑) 魔銃って裏口に預けてありましたよね?

GM  うむ。(サイコロ振って)異常を感知した裏口の組員が、ユズキに魔銃を投げてくれる。

ユズキ  受け取ります。この武器、切り札にしようと思ってたんだけど普通に使っちゃってるなぁ(苦笑)

外野のイングリッド  第1回から使ったしね(笑)

GM  拳銃は最後の武器だ!

 

 魔銃を受け取ったユズキはそのまま男を追跡。後続も何人か来るようだが、移動力6(本気で走れば100mを12秒)、敏捷力13で、軽装のユズキとの距離は離れるばかり。

 逃げる男の移動力も6だが敏捷力は12なため徐々にユズキは距離を詰める。さらにユズキはFP消費の激しい魔銃を有効に使うためFPが16もあり、持久力には自信がある。

 

GM  男は道の曲がり角を左に曲がった。

ユズキ  その男、人気の無い方向に走っていってませんか?

GM  「裏社会」か「地域知識」で判定。

ユズキ  あ、そういえば、「地域知識」とろうと思って忘れていました。ここはうちのシマじゃないので、「裏社会」で判定します(笑) (ころころ)成功。

GM  ふむ。だったら、この先にはホームレスのハーレムがあったはずだ。

ユズキ  おびき寄せているわけでは無いようですね。となると・・・上着を脱いで曲がり角に投げます。僕は大回りして移動します。

GM  (ふむ、とっさに服だけと気付けるかな? 賽の目は13だから無理か)だったら、曲がり角の影に隠れていた男が、手刀で服を切り裂いた。

ユズキ  ああ! 一張羅だったのに・・・。顔は見えましたか?

GM  視覚判定。

ユズキ  成功です。

GM  ごっつい顔のアメリカ軍人って感じの男だった。髪が逆立っていないストリートファイターのガイルみたいな。

外野のイングリッド  プッ・・・(想像したらしい) ってことは、服を切り裂いたのはソニックブーム

GM  いや、飛び道具じゃないし。

外野のイングリッド  だったら、スーパーコンボの目の前でぐるぐる回るソニックブームね。名前忘れたけど。

ユズキ  ふぅ。迂闊に飛び込んでいったら、サマーソルトキックの餌食になるところでした(笑)

GM  ネタ話はその辺にしておいて、男の腕にナイフのような刺青があるのが見えた。

ユズキ  また、紋々(刺青の隠語)ですか。気にはなりますが顔がわかったのなら十分です。「べたべた弾」を途中に撃ち込んで、さっさと逃げましょう。

GM  「優柔不断」の自制判定ね。

ユズキ  あ、そうでした。僕は個人行動しちゃいけない人でした(苦笑) (ころころ)幸運使って成功です。

GM  自制判定で幸運ってのも、ルール的にはともかくイメージ的には変だよな(笑)

外野のイングリッド  きっと、男に睨まれて逃げたいという気持ちが高まったのでしょう(笑)

外野のライン  逃げるなんて、かっこ悪いですねぇ。

ユズキ  僕はまだ死にたくないのですよ。

GM  逃げてくれるならこっちも逃げるか。

 

 そんなこんなでユズキは逃走。ガイル似の男も武装した後続が追ってくる中ユズキを追うような無謀な真似はせずユズキとは反対方向へ逃走する。

 後続の<表裏のコイン><風龍会>構成員と合流したユズキは、破れた一張羅を泣く泣く回収。その後、ホームレスのハーレムでガイル似の男について目撃情報などが無いか聞いて回ることに。

 一方パーティー会場では、<表裏のコイン>がラブンに「復活」の霊薬を飲ませ、生き返らせていた。

 

GM  さすがに、目を刺し貫かれていては脳も破壊されていたかもしれないし「復活」でも生き返れたかどうか分からない。ラブンや構成員はヒスミやユズキに大感謝。

ヒスミ  ふぅ、良かったですね。

ラブン  さすがはゴウケンくんのご息女。肝が据わっておる。

ゴウケン  はっはっは。おしとやかとは縁の無い育て方をしてしまったからのう。

ヒスミ  お父様ひどーい(笑)

GM  2人は各々の構成員に指示を出した後、昔話に花を咲かせ始めたよ。

ヒスミ  ユズキ大丈夫かなぁ。様子を見に行ってみよう。

GM  と言って駆け出すと、目の前にあった料理の乗ったテーブルに激突。

ヒスミ  わひゃあ!?

  お嬢。ユズキさんは私が呼んでまいりますから、ここでお待ちください。

ヒスミ  はぁい。

GM  では、ユズキのサイドへ話を戻そう。

ユズキ  ホームレスの情報屋と接触すればいいのかなぁ?

GM  接触するなら、「裏社会」で判定ね。

ユズキ  成功。指示してくれる人がいないと心細いなぁ。心細いから、人に会いに行こう(笑)

 

 ホームレスのハーレムで情報屋(シゲさんと命名)と接触したユズキは、逃げた男はすでにハーレムの外に出たという話を聞く。

 それと、裏通りで6人の変死体を発見した話を聞き、今回の事件と何か関係があるかもしれないと感じ、それらを収容中のペローマの無免許医の元へと向かう。

 そこでユズキが見たものは・・・

 

GM  変死体の中に、ラインもいる。致命傷は恐らく心臓への一撃だね。

ユズキ  (ため息ついて)彼はこの街で生きていける人間じゃなかったのですよ。(PLに)あの状況で、最も良い行動教えましょうか?

故ラインのPL  なんです?

ユズキ  「大変だー、人が襲われてるぞー!」または「ガヤンさんこっちです!」

故ラインのPL  襲われている人を助けるには、それじゃ間に合いませんよ。

GM  助けに入ろうとして返り討ちにあって、対象どころか自分まで死ぬことが間にあったって言えるのかね?

ユズキ  もし4人でかかってきたら、どうするつもりでした?

故ラインのPL  相手は1人を襲っていたんですから、そんなことはありえませんよ。

ユズキ  あんたが駆けつけるころに男が死んでいたら、4人同時に襲ってくる可能性は十分にありましたよ?

故ラインのPL  間に合ったんですから、そこまで考える必要はなかったでしょう?

ユズキ  (ため息)

GM  言っておくがな。フル装備時移動力2*5君が、男が死ぬ前に間に合ったのだって、接触してから君がフル装備だって宣言したからだからな。

故ラインのPL  だいたい、私にだけ死ぬ可能性のあるイベント起こすなんて、絶対おかしいですよ。

GM  (都合が悪くなったから話変えやがったな)

ユズキ  多分、僕がガイル似の男を追跡する時、何も考えず曲がり角曲がったり追い続けたりしたら死んでましたよ。ねえ、GM?

GM  可能性は十分あったな。ユズキ1人で勝てるようにはデザインしていない。

ユズキ  あなたでしたら、あの時何も考えず追ったでしょう?

故ラインのPL  (黙り込む)

外野のイングリッド  戦うにしても方法はあったでしょう。あんた、何のために《閃光》と《すばやさ》覚えてるのよ。

故ラインのPL  (手を叩いて)おお!

GM  (その《閃光》に弱いんだよな、あいつら。)今更言っても仕方ないさ。英雄願望と正義感を履き違えていた時点で遅かれ早かれこうなってただろうよ。別に「困っている人を助けると誓う」のは、自分が周りから良く見てもらうためかも知れないし、ロールプレイとして間違ってるとは言わんけど。

故ラインのPL  そんな風には思っていませんよ。襲われて困っている人を助けてやろうとしたんじゃないですか(ぶつぶつ)*6

GM  さて、ラインの他に黒いローブを着た人型のものがあるんだが、黒焦げになった者、大振りの剣で切り裂かれた者、獣に食い散らかされたような者、大型の獣にでも噛まれたのか、上半身の無い者とひどい有様だ。

外野のイングリッド  この街の裏通りには、化け物でも住んでいるの?

ユズキ  ローブを剥いで見ますけど、どんな顔ですか?

GM  見たとこ普通の人間だ。ただ、顔全体に黒墨を塗っている。ローブをの下の顔が分からなかったのはそのせいだろうね。

ユズキ  なるほど。単純かつ有効なトリックですね。僕はてっきり、こいつら人間じゃないとばかり思っていました(笑)

GM  あと、口から妙に酸っぱいような甘いような刺激臭がする。

ユズキ  ヤクでもやっていたのでしょうかね? メタ情報ですけど、身体強化のドーピングしていたのでしたらあの攻撃力も納得できます。

外野のイングリッド  ドラッグ兵ね(笑)

ユズキ  スパロボの雑魚兵士の名前じゃないんですから(笑)

GM  たくさんいるから雑魚だよ。強いけど。あ、そうそう。短剣でずたずた切り裂かれたジェスタ信者らしき男も運ばれてくる。その男を見ると、院長は驚いた顔をする。

ユズキ  知っている人ですか?

院長  神殿から剣作りの許可を受けたジェスタの高司祭だ。名前はドートン。

ユズキ  ジェスタが剣を作るというのも珍しいですね。

GM  うちのゲームじゃその手の規律を律義に守るのは不利特徴だからね。*7と、そのタイミングで月さん登場。

  ユズキさん。お嬢が心配していましたよ。

ユズキ  分かりました。気にはなりますが、こいつらはドンを襲った男とは関係がなさそうです。聞くこと聞いたので、戻りましょう。

 

 その後、ヒスミと合流したユズキは、これ以上ここにいても仕方がないとヒスミ宅へと帰ることに。

 そこで、シン・カーンのことを話に来たイングリッドと合流する。

 

GM  カコーン・・・と獅子脅しの音がする和室に、君たちはいる。

イングリッド  シン・カーンのことを説明するわ。

ユズキ  う・・・あの人は蜘蛛だから、近づきたくありません・・・

GM  その他にも、例のガイル似の男、直接顔を見たのはユズキだけだから時間があるなら探索を手伝って欲しいって話がある。あと、ローブの男たちの正体とそいつ等を殺した奴の探索、それに生前のドートンは強力な魔剣を打っていたらしいんだが、その魔剣が見当たらない。ガヤンがそれらを捜査することになったんだが、人手が足りないから暇なら手伝ってくれないかとショウさんが言ってきた。

ヒスミ  この中から仕事を選ぶなら、シンさんの娘を助けるのがいいと思いますよ。

ユズキ  そうですね。それがいいと思います(笑) いや、PCはお嬢に賛同しただけだけど、前回、結局あいつから何故お嬢を襲ったのか聞けませんでしたからね。あ、でも、ガイル似の男のモンタージュ写真は書いてもらっておきます。

GM  OK。

ヒスミ  私は、他の事件は調べている人がいるけどシン・カーンの娘のことは私たち以外は関わってないからっていうのが理由ね。

GM  (言われてみれば確かにそうだわ。選択の余地、狭めちまったな。)

イングリッド  ま、本当にあいつの頼みを受けるかどうかは実際に話を聞いてからでも遅くないでしょう。奴のところに案内するわ。

 

蜘蛛の子を散らすとはこういうことだ!(意味不明)

 

 一行はヒスミの仲間集団が1人、月の操縦する馬車に乗りイングリッド宅へ。

 

GM  シン・カーンは、椅子に座って大人しくしている。

ユズキ  目の前に蜘蛛がいる・・・落ち着かないです・・・

ヒスミ  今は蜘蛛じゃないから、大丈夫だよぉ。

ユズキ  でも、蜘蛛に変身するって想像しただけで震えてきます・・・

ヒスミ  ユズキって弱虫?

ユズキ  う・・・そ・・・ソンナコトナイデスヨ? コワクテモガマンシマスヨ? ユズキ君としては、お嬢の前ではカッコつけたいので我慢します。自制判定も成功。

ヒスミ  そうだよねー。さっきはあんな怖い人追いかけたんだし。

ユズキ  ガイル似の男は、蜘蛛じゃないので怖くなかったです(笑)

GM  君の感覚って(笑)

ユズキ  怖い顔の人って、周りにたくさんいますから(笑) (小声で)移動力で勝ってるのは分かっていたので、いざとなれば逃げられましたし(笑)

イングリッド  んじゃ、シン・カーン。約束どおり<風龍会>の知り合いを連れてきてやったわよ。依頼の内容を詳しく話してちょうだい。

シン  ああ。さっきあんたに言ったように、俺の娘を助けて欲しいことと、<風龍会>が俺と俺たちに手を出さないという約束が欲しいことだ。

ユズキ  前者はともかく、後者は・・・

シン  俺の力は見ただろう? その気になれば、<風龍会>に物理的な痛手をそれなりに与えられる自信はある。それでも、俺や娘を傷つけるか?

ユズキ  う・・・

シン  正直、俺はあまり人を傷つけるのは好きじゃない。だから、約束してもらえれば俺も<風龍会>には決して手出ししないと誓おう。

イングリッド  そのわりには、バーサークなんて持ってるのね。

シン  変身中でない限りバーサークはしない。変身したら戦う前に逃げるし、人の話を聞こうともしないで攻撃してくる者でも無い限り、そうそうバーサークすることはないよ。

イングリッド  なるほどね。

ユズキ  それで、見返りは情報でしたね?

シン  ああ、そうだ。そちらのお嬢さんを狙った理由も、変身の力も、全て話す。

ヒスミ  分かりました。私、ヒスミ・フウリュウの名にかけて、あなたと娘さんには<風龍会>は今後一切手出ししないことを誓います。もちろん、外に依頼してあなたたちに危害を加えるようなこともしません。

シン  ありがとう。

イングリッド  じゃあ、娘さんを何から助けるのか話してちょうだい。どんな状況にいるの?

シン  娘は・・・借金の形に連れて行かれた。

一同  ダメ親父だー!(爆笑)

GM  見事にハモったな(笑)

 

 シン・カーンの話によると、彼はそうとは知らず非合法の賭博場に通ってしまい、甘い言葉に乗せられ、小額の借金繰り返し、いつの間にか多額の借金を抱えてしまっていたのだと言う。

 

イングリッド  聞けば聞くほど情けないわね(苦笑)

ヒスミ  一番かわいそうなのは、こんな人を父親に持った娘さんです(笑) 借金取りからは助けてあげたいけどこの人に預けて大丈夫かな?

イングリッド  その判断はもう少し話を聞いてからにしましょう。

 

 シン・カーンによると、その借金の形に娘を連れて行った連中に、娘のことで脅されヒスミを襲撃するよう命じられたのだという。また、変身能力も娘のことで脅され組織の実験の被験者となり手に入れた能力だという。

 そして、シン・カーンが借金をし彼に命令を出した組織の名は・・・

 

シン  闇タマット<朝焼けの梟>だ。

イングリッド  闇タマット・・・確かに、危険な組織ね。*8

ユズキ  その、<朝焼けの梟>という組織に聞き覚えは?

GM  「裏社会」で判定ね。成功したなら聞いたことがある。<梟の嘴><梟の牙><梟の羽>などの<梟>の名を冠する7つの組織が集合して成り立っている連合組織の総称だ。この街の・・・というか、大抵の裏タマットとは敵対していて、<風龍会>と<表裏のコイン>が協力関係を結んでいるのもこの組織の存在が大きい。

ユズキ  うちとは敵対関係ですか。だったら、今更敵に回すのが怖い組織だとか言う必要はありませんね。

イングリッド  ここで尻込みするより、<風龍会>と繋がりを深めた方が後々有利になりそうよね。分かったわ。あなたの娘を救出依頼、受けることにするわ。

ヒスミ  私もです。闇タマットに捕まったままなのは、危険すぎますから。

シン  頼んだぞ。私の娘の名前は、リンだ。

ヒスミ  リンダちゃん?

GM  いや「リン」

イングリッド  リン・カーンね(笑)

ユズキ  さて、どのようにして娘さんの場所を探すかですね。イングリッドさん、魔法で・・・

イングリッド  (間髪いれず)できないわよ。

 

 イングリッド宅で頭を集めて相談する一行。かなりの時間を脱線に費やしながらも、作戦を考えつく。

 ボンボンの旅行者に変装したユズキをシン・カーンが通っていたという賭博場へ向かわせ、負けて借金をする。それを繰り返した後宿にでも引きこもり、借金取りが来た所をみんなでボコリ情報を聞き出すという方法。

 優柔不断なユズキのために作戦中起き得るであろうあらゆる選択に対する答えをあらかじめ考えておき、ユズキは潜入捜査を開始する。

 

ヒスミ  またユズキだけ遊びに行くなんて、ずーるーいー!

イングリッド  あら、あのファンシーショップ、中々かわいいものが揃ってそうじゃない。

ヒスミ  ほんと? どこどこー?(笑)

ユズキ  その隙に賭博場へ向かいますね。

イングリッド  がんばってね。私達は本当に買い物してくるから(笑)

ヒスミ  あ、このパンダかわいー。

GM  ルナルにパンダはいるのかね?

イングリッド  トルアドネスにならいるんじゃない?

ユズキ  なんだかすごく寂しいですが、まずはやるべきことをやりましょう(笑)

GM  では、しばらく遊んでいると、最初の頃は勝ち気味になる。

ユズキ  ここで引くのが真のギャンブラーでしょうけど、あえて続けます。勝ってはしゃいでいるフリして。

イングリッド  結構板に付いた演技よね(笑) 普段からギャンブルしてるの?

ユズキ  いえ。「けちんぼ」でお金使うのは好きくないので、ギャンブルはしませんよ。PLはブラックジャックや麻雀大好きですけど(笑)

 

 さて、こんなことを3日ほど繰り返していると・・・

 

GM  負けてすっからかんになった君を見て、ネズミ顔の男が声をかけてくる。

外野のヒスミ  その人は、きっとミズネさんという名前です(笑)

GM  その名前、いただいた(笑)

ミズネ  兄さん兄さん。まだ帰るには早いんじゃないでヤンスか?

ユズキ  今日はもう調子が悪い。

ミズネ  いやいや。最初の頃はちゃんと勝ってたじゃないでヤンスか。もう少し続ければ、運が回ってきヤスよ。

ユズキ  もう、持ち合わせがなぁ・・・

ミズネ  あ、大丈夫でヤスよ兄さん。この店はお客さんの私物1つを担保に1日最高1000ムーナまで貸すシステムがあるのですよ。利子も1・1ですので、大したことありやせんし、乗ってみてはどうでヤンス?

ユズキ  お、じゃあ、500ほど借りようか。ペンでも渡しておきましょう。(心の中で)多分、この私物に《方向探知》でもかけるのでしょうね。

GM  (正解)

ミズネ  あ、この契約書に、サインと指紋の印もお願いしヤスね。

ユズキ  じゃあ、偽名をサラサラっと。

GM  んじゃ、「演技」技能で判定だ。

ユズキ  う・・・持っていないので幸運を使って(ころころ)成功。なんとか騙しとおせそうです。そうだ、契約書の内容も読んでみますが?

GM  基本は普通の借用書と同じ。折り目にあるため読みづらくなっている利子の部分も、確かに1・1だ。ただし、1刻につき1割だけどね。

ユズキ  つまり、日賦16割増? 無茶苦茶もいい所ですね(笑) ガヤンや<風龍会>では利率の上限って決まってますか?

GM  決まってるよ。もちろんこの賭博場の利率は違法。

ユズキ  だったら大丈夫ですね。いざとなれば法が守ってくれる(笑)

GM  ちなみに、そのお金を使って賭博を続けると勝ってしまう。

外野のイングリッド  客の心理をついた狡賢い方法だけど、間違いなくイカサマしてるわよねここ(笑)

 

 で、翌日またスって借金をし、その金も使う。兄が金持ちだから返す当てはあるぜと強がり、また翌日も同じ事をする。その際「演技」の技能判定には失敗するが、逆に相手に「強がっているだけで実は返す当てのない男」であると思い込ませることができた。

 そして、借金の総額が利子つきで10000ムーナ(約200万円)ほどになった所で作戦の第2段階に以降。ユズキは賭博場に行くのを止め、一行は<風龍会>経営の安宿に篭もる。

 

イングリッド  さて、相手は生け捕りにしなきゃいけないんだけど、何か作戦はある?

ヒスミ  みかんの皮で目くらまし(笑)

GM  風呂に入れてあったまれば、ぽかぽかー。

イングリッド  シーリングシューターかウォーターシューターでもあれば、唐辛子水を吹きかけられるんだけどね。

ユズキ  唐辛子? そうだ、唐辛子を大量に煮込んでラー油を作りましょう。そして、上から降りかかるようにセットしましょう

ヒスミ  うわ、痛そぉー。

イングリッド  降りかかる直前に音が鳴る仕組みがあったほうが良いわね。気をとられて上を向いた瞬間・・・ってね。

GM  中々えぐい作戦考えやがるな(笑) 痛いですむのかそれ?

 

 そして翌日。狙いどおり、ミズネが屈強な男2人と借金の取立てにやって来る。まさかホテルの玄関に罠が仕掛けてあるとは夢にも思っていなかったミズネと男たちが音に気を取られ上を向いた瞬間に煮立ったラー油が降りそそいだ!

 

ミズネ  ぎゃああああ! 目が・・・目がぁぁぁ! しかもめちゃくちゃあついぃぃ!

ユズキ  お嬢、今です。

ヒスミ  気絶するまで殴ります。

ミズネ  痛い痛い痛いー!

ヒスミ  3人もいるし、1人位死んでもいいよね?

ユズキ  そうですね。どうせうちのシマを荒らすような連中ですし。

GM  場面を想像すると、かなり怖いな(ちょっと身震い)

ヒスミ  <風龍会>に逆らうとこうです! 覚えておいてください。

イングリッド  い・・・イエッサー。

 

かくして一行は、3人をまったく危なげなく捕らえることに成功した。

 

イングリッド  武装解除してからネットを巾着袋のようにして、ミズネを閉じ込めるわ。

ヒスミ  イングリッドさん、ネットなんて持っていたのですね。

イングリッド  《騒霊》で飛ばすつもりだったのよ。道具ってどんなところで役に立つか分からないわね。

ユズキ  借用書を奪って燃やしましょう。ミズネに「大治癒弾」と「覚醒弾」を撃って・・・これって、端から見ると止めさしてるようにしか見えないよね(笑)

GM  気絶している相手に銃弾を弾叩き込むわけだからな。

イングリッド  へぇ。そんな弾まであるんだ。便利ね。

ユズキ  一応切り札ですよ?(笑)

GM  では、ミズネは目を覚ます。すぐに自分がどんな状況にいるのか判断できたようだ。

イングリッド  降伏する?

ミズネ  甘いでヤンすね!

GM  ミズネがズボンの裾を少し上げると、脛にネズミの刺青が彫ってある。

一同  なにっ!

GM  一瞬刺青が光るとミズネの体がどんどん縮み、ネズミ人間の姿になる。そして・・・って、しまった!

ミズネ  巾着袋状に捕らえられていては、体小さくしても逃げられないでチュ!

一同  (爆笑)

GM  しょうがないので、ネットを齧ろう。がじがじ。

イングリッド  齧るな!

ヒスミ  元に戻らないと、叩きますよ?(刀を構える)

GM  そう言われると、人間の姿に戻る。

イングリッド  レベッカを連れて来てなくて良かったわ。あの子、ネズミ恐怖症だから(笑)

ヒスミ  わぁ、レベッカさんって、かわいいところあるんだー(笑)

外野のレベッカ  萌えキャラ目指してるからね(笑)

ユズキ  それにしても、変身能力は幹部の証とかだと思っていましたが違うようですね。

イングリッド  シン・カーンは組織の構成員ですらないわよ。

ユズキ  あ、そう言えばそうですね。

ミズネ  一応、刺青の変身能力を得たものは組織内での位が上がりまチュよ。

ヒスミ  このネズミ、口が軽そうです(笑)

ミズネ  あっしは長いものには巻かれろ主義でしてね。また、死にたくないのでチュよ。

ユズキ  じゃあ、色々聞かせてもらおうか。

ヒスミ  シン・カーンさんの娘さんの居場所を教えなさい。

ミズネ  シン・カーンの娘? 確かにあの人はバツイチでチュが・・・

ヒスミ  GM、さっきから口調がネズミのままです(笑)

GM  おっと。

ミズネ  バツイチでヤンスが養育権は母方に取られてしまってヤンスよ?

一同  え?

ユズキ  シン・カーンは嘘をついた? 何のために?

イングリッド  いえ、ちょっと待って。リンって名前に心当たりは?

ミズネ  リン? ああ、シン・カーンが贔屓にしてる、うちの娼婦の1人でヤンスな。ちなみに、13歳。

一同  ロリコンだー!(爆笑)

ユズキ  ダメ親父というか・・・

ヒスミ  ダメ人間ですねー。その子を連れ行けばいいのかな?

イングリッド  そうだと思うけど、一応、後で確認しに行くわ。その前に色々聞いておきましょう。まず、その変身能力、誰でも手に入るの?

ミズネ  ええ。ただ、相性や資質がありやしてね。それらが良い刺青を彫らないと、掘った部分が破裂するそうでヤンス。

ヒスミ  やっぱり、刺青の力だったのかぁ。

ミズネ  あ、変身能力以外にも色々あるらしいでヤンス。詳しくは知りやせんが。

ヒスミ  あ、そうだ。ボディガードの誰かに、ミズネさんの話が本当かショウさんに聞いてきてもらいましょう。

GM  OK。金さんあたりがやってこよう。先に言うけど、桜吹雪の人じゃないから。

イングリッド  ちっ!

 

 他にも、ヒスミの痣のことや、シン・カーンの青い蜘蛛の正体なども聞こうとするが、ミズネはそれらに関しては何も知らなかった。

 その後、イングリッドは月の操る馬車に乗り、シンの真意を確かめるため一人自宅へ戻る。その直後金が戻ってきて、シンがバツイチであり養育権も元妻にあることを確認してきた。そして、ホテルに残った一行は、リンを連れ出すための算段を立て始める。

 

ユズキ  リンに護衛は?

ミズネ  リン個人にはいやせんが、娼婦の足抜け防止兼護衛に、犬の刺青持った奴と、猿の刺青持った奴。それに、雉のミュルーンがいやす。

ユズキ  今、普通に雉の刺青持った奴がいると思いましたよ(笑)

ヒスミ  カルシファードの剣士がいれば、完璧ですね(笑)

ミズネ  能力に関してはよく知りませんが、犬の刺青持ちはゲイザー・ウルフを操るそうです。

ユズキ  あまり戦いたくないですねー。

ヒスミ  お手紙書いて、リンちゃんに来てもらえばいいのですよ。

ユズキ  なるほど。娼婦を指名するのですね。文面は・・・

ミズネ  あ、あっしが書きやしょうか?

ユズキ  だめ。文中に秘密の暗号とか入れられるかもしれないから。

ミズネ  チェッ(ネットを齧る)

一同  だから齧るな!

 

 ヒスミたちが、手紙の文を考えているころ、イングリッドは自宅についていた。そして、シン・カーンにリンの件で問い詰めてみると・・・

 

シン  (頭を下げて)すまなかった。

イングリッド  何で嘘をついたの?

シン  いや、さすがに13歳の娼婦の子を助けたいなんて言うと、変態と思われて依頼を受けてくれないじゃないかなーと・・・

イングリッド  まあ・・・微妙な所ね(笑) それで、他意はないのね?

シン  ああ。ガヤン様にかけて誓おう。

イングリッド  それで、リンを助けたい理由は?

シン  あいつは・・・俺の娘に似ているんだ・・・

一同  (笑)

イングリッド  なるほど。いつも親子プレイしてたわけね(苦笑)

シン  む・・・さすが魔術師。心を読んだか。

イングリッド  読まなくても分かるわよそれくらい(苦笑) その子を連れて、どうする気だったの?

シン  国を出て、奴らの手の届かない所で暮らすつもりだ。俺はロクデナシだが、こっぴどい目にあったから「強迫観念/賭博」は買い戻した。子ども一人を養うくらいはできるさ。

イングリッド  ま、いいわ。とにかくリンをここに連れてこれば、あんたの持っている情報をくれるってことに違いはないわけね?

シン  うむ。

イングリッド  OK。依頼は続行するわ。

 

 イングリッドは馬車で再びホテルに戻る。

 ホテルメンバーはリンを呼び出すための文章を作り、筆跡から罠と気付かれるのを防ぐため、ミズネにそれを書かせていた。そこにイングリッドも合流。シンとの話を伝え、他のメンバーもリンの救出・・・というか、足抜けの手伝いをすることに決める。

 

GM  そういや、リンに来てもらう日はいつがいいって手紙に書く?

ユズキ  ミズネに、リンが人気のある子か聞きましょう。

ミズネ  シンが来る時にはいつも買ってやしたが、そうでないならいつもフリーでやっていたと思うでヤンス。

ヒスミ  じゃあ、明日の夜にしよう。

 

 一行はミズネを<風龍会>に連行した後、デリバリーヘルスの依頼の手紙をミュルーンの伝令ギルドに預る。そして翌日、手紙で指定した部屋へ移動する。向かいの部屋にはヒスミが待機。

 その夜。リンらしき少女は、ボディガード1人を連れて時間通りにやって来た。

 

GM  布鎧と警棒で武装しているから、どっちがボディガードかすぐ分かるよ。

ヒスミ  だったら、ドアを開けて鞘に入れたままでボディガードを殴ります。全力攻撃技能+4で顔を狙って、命中!

GM  (サイコロを何度か振って)

ボディガー  貴様は俺の顔を狙っている。その程度の攻撃、理解するのは容易いことよ!

ヒスミ  はぅ!? よけられた?

GM  いや。

ボディガー  しかし! 頭で理解することと体が動くことは別物! その攻撃はよけられん。ぐはぁ!(気絶)

一同  (苦笑)

イングリッド  なんだったのこいつ?

GM  ただのネタだ。

ヒスミ  リンちゃん確保です!

ユズキ  僕たちも顔を出しましょう。

 

魅惑のBody Check

GM  リンは、茶色いショートと青い瞳の女の子だ。華奢ではかなげな雰囲気があって、かなり美人。ただ、ちょっと扇情的な香水の臭いが強いね。

リン  な・・・なんなのですか、あなたたちは!

イングリッド  シン・カーンに、あなたを連れてきて欲しいって頼まれてね。

リン  パパに?

一同  パパァ?(笑)

ユズキ  普段からそう呼ぶように言ってたのでしょうか?(苦笑)

ヒスミ  本当に変態です(苦笑)

イングリッド  かくかくしかじかで、説明するわ。どうする? シン・カーンの所へ行く?

リン  (少し考えて)パパは、私にとても優しくしてくれました。あの人が、連れて行ってくれるというのでしたら・・・

ヒスミ  優しくしてくれたって、どっちの意味かなぁ(笑)

イングリッド  決まりね。シン・カーンのところに連れて行くわ。

GM  あ、そうそう。ユズキ、3D6振ってみて。

ユズキ  ? 何の判定でしょうね・・・

 

 この判定で、ユズキは7を出す。そして、リンを連れた一行は、再び馬車に乗ってイングリッド宅へ向かう。

その途中・・・

 

GM  リンは急に咳き込む。そして、ポケットからカプセル状の薬を出す。

ユズキ  それは?

リン  あ、持病の薬です。

GM  リンはちょっと苦しそうにそう言って、薬を飲み込んだ。で、だ。その時、ユズキは、どこかで嗅いだことのある、甘く刺激のある臭いを感じる。

ユズキ  リンさんが飲んだ薬でしょうか? リンさん、その薬はまだありますか?

リン  いえ。1錠もあれば仕事中は十分だと思いまして、今飲んだ分しか持ってきていません。あ、でも、市販していますから街から出ても大丈夫ですよ。

ユズキ  薬の名前は?

GM  教えてくれるけど、薬学知識があるわけでもないし聞いても分からんよ。

一同  ・・・・・・

 

 ユズキはこっそりと臭いのことを伝える。リンのことをいぶかしむ一行だが、馬車での移動中では、自分たちが突然攻撃されないように警戒する程度しかできない。

 そんな状態で、一行はシン・カーンの待つイングリッド宅へとやって来た。

 そして、家に入ろうとするリンに対し・・・

 

イングリッド  リンちゃん。これからシンに会わせて上げるけど、彼は私たちにとって大事な情報源なのよ。念のためボディチェックさせてもらうわよ。

リン  え? ええ。どうぞ。

イングリッド  じゃ、遠慮なく調べさせてもらうわね。・・・じゅるり。

一同  (笑)

 

 イングリッドレベッカを呼び、自宅の奥でリンのボディチェックを始める。

 

イングリッド  うふふ・・・リンちゃん、お肌すべすべね・・・

リン  あ・・・あの?

イングリッド  ふとももなんて、とっても柔らかい・・・食べちゃいたいくらい・・・(もみもみ)

リン  (顔を赤くして)あ・・・やめて・・・ください・・・

イングリッド  胸の谷間に、何か隠したりしてないかしら?(なでなで)

GM  それはない。ぺったんこだから。

一同  (笑)

 

 イングリッドの必要以上に入念なボディチェック(笑)の結果、リンが服の中に一振りのナイフを隠し持っているのを発見した。曰く、「時々、買いたいと称して暴力行為を働く客もいるため、店が護身用に持たせている」とのこと。

 また、店からいつでも着けておくようにと命じられていたという腕輪から、バリバリに黒い魔力を感じた。

 イングリッドがそれらを渡すように言うと、あっさり渡してくれる。

 不安要素はあるものの、凶器になりそうなものはもう無いと判断した一行は、シン・カーンとリンを会わせる事にする。

 

シン  リンー!

リン  パパァー!

シン&リン  (お互い抱きつく)

一同  (笑)

イングリッド  さあ、シン・カーン。約束は守ったわ。あなたの知る情報について、話してちょうだい。

シン  (リンから離れて)ああ、そうだな。

 

 一行は、レベッカや月も加えて、テーブルを囲んだ。

 

シン  まずは、何が聞きたい?

イングリッド  青い蜘蛛への変身能力について教えてもらおうかしら。

シン  以前も言ったと思うが、借金をチャラにしてもらうために実験に協力した。力のこもった刺青を彫ることで、特殊能力を得るらしい。正確な名前は忘れたが、確か、<邪なるパパの結社>とか言う組織が開発したとか何とか・・・

一同  わざとらしい間違いをするな!(笑)

ユズキ  まあ、PCは知らないけど。

イングリッド  私は知ってるけど、黙っておくわ。

ヒスミ  その刺青は、<悪魔>の力とは違うのですよね? どう違うのです?

シン  黒の月の力を使っているかどうかの違いだな。この蜘蛛の刺青は、ガヤンの使いの神獣の力を持っているらしい。そういや、俺がこの力を得たとき、連中は驚いていたな。

ヒスミ  相性が悪いと、刺青が破裂しちゃうそうですよぉ。

シン  げ? そうだったのか?

イングリッド  知らなかったの?

シン  ああ。

闇タマA(ユズキ)  げっげっげ。今度の実験体はこいつか。

闇タマB(イングリッド  今日も人間花火が見られるぜぇ。

闇タマC(ヒスミ)  (彫り終わって)あれ? すいませーん、成功しちゃったみたいです!

ユズキ  って感じでしょうかね?

GM  うむ。まったくもってその通り(笑)

ユズキ  次に、何故お嬢を襲撃したのです? <風龍会>組長の娘だからって理由だけじゃないはずです。

シン  お嬢さんの、鎖骨に蝶の刺青があるだろう? それが覚醒しているか確かめろと言われてな。襲撃すれば確認できるかと思っていたが、甘かった。

ユズキ  確かめるも何も・・・ねぇ、お嬢。

ヒスミ  はい。ただの痣ですから(笑)

イングリッド  ま、痣か刺青かはともかく、<朝焼けの梟>の仕業だったわけね。

シン  ああ、そうだな。ただ、確かめてどうするつもりなのかは知らない。

ユズキ  ダメもとで聞いてみますけど、<朝焼けの梟>のアジトとか分かります?

シン  一箇所だけならな。そこは・・・

GM  (何とか2人きりになりたかったが、もう無理か・・・)と言ったところで、リンがいきなりシンに飛び掛る。そして、組み付いた状態で両手から電撃を放つ。彼女の顔は、悪鬼のように歪んでいるね。

ヒスミ  リンさんに飛び掛って引き離す!

GM  うむ。後ろからだし、掴まれた。引き剥がすには、体力の即決勝負に勝つことね。

ヒスミ  勝ちました!

ユズキ  お嬢、離れて!

 

 ユズキはリンの足元にべたべた弾を放ち足止めする。

 その後、一番近くにいた月(操っているのはヒスミのPL)が、鞘に納めたままの刀で水月を突き、(生命力は13あるが、賽の目が悪かった)リンを気絶させた。

 

JUNK DOOL

GM  リンは気絶したけど、シンもダメージで気絶している。

イングリッド  レベッカ、奥からロープ持ってきてくれない? あ、それより拘束椅子にしましょうか。

ユズキ  何でそんなものをおいているのですか(苦笑)

イングリッド  私はマッドサイエンティストよ。それくらい持っているわ。

レベッカ  でもだいじょうぶでしょうか? あの椅子は死刑囚の怨念によって<悪魔>が憑いているのですよ? 一度座ったら死ぬまで動けなくなるけど、<悪魔>が蘇ってしまう可能性があるわ。

イングリッド  え・・・? ええ、そうかもしれないわね。(そんな危険なものだったかしら?)

レベッカ  もちろん。そんなの作り話ですけどね。

イングリッド  冗談はいいから、拘束椅子お願いね?

レベッカ  分かったわイングリッド

ユズキ  だめだ。やっぱりこの人の性格よく分からない(笑)

イングリッド  まあ、クールでお茶目な子だからねぇ(笑)

ヒスミ  あ、冷静に本気か冗談か分からないギャグ言うような人ですね(笑)

ユズキ  それは分かりづらい人だわ(笑)

レベッカ  (ニヤソ)

 

 一行は、リンをイスに拘束し、イングリッドの回復呪文でシンを起こす。

 イングリッドはリンの魔力反応などを調べて、幻覚でないかを確かめるが、どうやら本物のようだ。

 リンが闇タマットの殺し屋だったことにショックを受けるシン・カーンだが、彼女の真意を確かめるために《精神探査》で深層心理に入り込み、その状態のままリンの目を覚まさせる。

 

シン  リン・・・最初に俺に接触してきた時から、俺を利用する気だったのか?

リン  (鬼のような形相で)ああ、そうだよ! あんたは青い蜘蛛の成功者! 組織を裏切ってもらうわけには行かないのさ! だからあんたに接触して、あんたの心を奪ったのさ! どうだ、これで満足か! そしてぇ・・・

GM  だれか、シンの意志判定変わりに振って。-10で。

ヒスミ  まいなすじゅう? 無理っぽいけど、私が振るぅ・・・てへ。

イングリッド  (サイコロ見て)ファンブルしてるじゃない(笑)

GM  (恐怖判定の表を見て、さらに3D6)20分ほど気絶する。

ヒスミ  シンさんに何をしたぁ!

リン  ハッ! あたしが<悪魔>と契約した時の心を見せてやったのさ!

イングリッド  こいつ、<悪魔>信者か!

ユズキ  交渉相手としては最悪です(撃鉄を起こし、リンの頭に銃口を突きつける)・・・誰も止めませんよね?

一同  (頷く)

リン  ははははは! いいだろう! 黒の月からあんたらを呪いつづけてやるよ! ははははははははは!

ユズキ  (無言でトリガーを引く)

GM  銃声が響き、リンの頭の半分が吹き飛んだ。だが、狂った笑い声はその後も数秒続いたような気がした。そして、 笑い声が止まった時、後ろから女の子の声がする。

少女の声  あーらら。ひどいことするわねぇ。

イングリッド  誰!?

GM  締め切っていたはずの窓の1つが、いつの間にか開いている。そこから、音もなく入ってくる少女が一人。

ヒスミ  少女?

GM  うん。黒いゴスロリドレスに身を包み、背中に漆黒の鳥の翼。流れるような銀髪。透き通るような白い肌に映える、吸い込まれるような黒い瞳のとびっきりの美少女。どことなく作られた美しさのような印象を受けるね。年齢は10歳くらいかな? あと、ちょっとだけ地面から浮いてる。

ユズキ  (少女に魔銃を向けて)あなたは、誰です?

少女  ギン・リュウ・キ♪

イングリッド  ギンリュウキ? 銀の龍の姫?

銀龍姫  ウフフフ・・・

ヒスミ  (無言で睨みつける)

ユズキ  やばい・・・こいつはすごくやばい気がする!

GM  (お? かってにびびってくれた。こりゃラッキー。)

イングリッド  (睨みつけて)ここに何の用?

銀龍姫  そんなに怖い顔しないほうがいいわよぉ。せっかくの美人が台無しじゃなぁい。

イングリッド  真面目に答えなさい!

銀龍姫  ウフフ・・・怖ぁい怖ぁい。お姉さん、カルシウム不足なんじゃなぁい?

イングリッド  むかつくわねこいつ・・・

銀龍姫  そこで倒れている、青い蜘蛛のおじさん。私に渡してくれなぁい?

ヒスミ  渡しません・・・って言ったら?

GM  銀龍姫の影が、3方向に怪しく伸びる。

銀龍姫  あらぁ? だ・め・よ♪ まだ早いわぁ。こっちが1人だと思っていた方が、相手は油断してくれるんだからぁ。

ユズキ  仲間がいるってことですね?

銀龍姫  さぁあ?  渡してくれないなら、勝手に持って帰らせてもらうわぁ。

GM  いつの間にやら、気絶したシンが銀龍姫の足元にいる。

ユズキ  《他者転移》? 集中も詠唱もなしで、5メルーも離れた対象に?

GM  その時、風が吹いたかと思うと、シン・カーンのYシャツがめくれる。そこにある青い蜘蛛の痣を見て、銀龍姫は満足そうな顔をする。

イングリッド  その刺青をどうする気?

銀龍姫  回収するのよぉ。

イングリッド  そんなことができるの?

銀龍姫  刺青を周辺の肉ごと剥ぎ取ればねぇ。これだけ大きいと、剥ぎ取る時に逝っちゃうかもねぇ。ウフフ・・・

ユズキ  シン・カーンの情報は惜しいけど、これで満足して帰ってくれるなら・・・

銀龍姫  帰ろうかと思ってたんだけど・・・

GM  そう言う銀龍姫の視線の先は、ヒスミ・・・正確には、ヒスミの鎖骨の痣。

ユズキ  げ、やばい?

銀龍姫  ねぇ、お姉さぁん。その青い蝶の刺青、本物かしらぁ?

ユズキ  はっはっは。お嬢のこれは、痣ですよ。

ヒスミ  そうです。生まれたときからありましたぁ。

銀龍姫  じゃぁ、少ぉしだけさ・わ・ら・せ・て♪ 本物かどうか、確認するだけだからぁ。

イングリッド  もし、触らせないといったら?

銀龍姫  触って確かめたいからぁ、遊んであげるわぁ。

イングリッド  触らせたら?

銀龍姫  本物だったら、覚醒させるために、いろいろ遊んであげる。偽者だったら、面白そうだから、遊んであげるわぁ。

ユズキ  どれを選んでも変わらないわけですか。

銀龍姫  それで、どうするのぉ? 触らせてくれないなら、自分で触りに行くわよぉ? うふふふふ・・・

GM  浮遊移動という言葉がよく似合う動きで、銀龍姫はヒスミに近づこうとする。

ユズキ  (銃を突きつけ)お・・・お嬢に近づくな!

銀龍姫  あら? 面白い玩具ねぇ。私と火遊びするぅ?

GM  銀龍姫の口から、ちろちろと火炎が見える。

ユズキ  《火吹き》? こっちのほうが1D+4点ほど威力が低いです・・・。

GM  (実際はその程度じゃないんだけどな。)

銀龍姫  邪魔をするなら、無理矢理触ることにするわ。おいで、私のかわいい剣。

GM  銀龍姫が呟くと、虚空に黒い穴があき、そこから剣が出現する。で、イングリッド、「魔法学」で判定してみ。

イングリッド  成功だけど?

GM  うむ。ならば、あの剣が発する凍てつくような禍々しい魔力。柄から生えている4本の金属製の触手。そして、全体のフォルム。どこかの書物で読んだある魔剣を連想する。

イングリッド  まさか・・・魔剣ヒュヒテ!!

ヒスミ  (PLの素に戻って)げっ!? 先輩たちが言っていた、あの?

GM  気持ちは分かるが、PLの素に戻らないように・・・あ、いや。有名な話だから、名前くらいなら知ってても良いか。で、銀龍姫はヒュヒテをシンの体に突き立てる!

ヒスミ&ユズキ  え?

イングリッド  早く! その剣を引き剥がして! その剣は、刺した相手の体を乗っ取って<悪魔>化させるの!

ヒスミ  大変です!

GM  さて、ここからは戦闘ターンで処理だ。ユズキ。

ユズキ  こいつ《射撃攻撃反射》くらい普通にかかってそうで怖いんですけど?

GM  さあ? それは撃ってみれば分かるんじゃない?

ユズキ  正直怖いですが、撃ちます!

GM  ダメージどうぞ。

ユズキ  え? 通るの? ダメージは15点!

GM  じゃあ、そのダメージの火球が跳ね返ってくるから、頑張って回避してね♪

一同  やっぱりかっ(笑)

ユズキ  (ころころ)あ、避けられました。・・・ふぅ・・・

GM  あ、そ。火球はユズキの後方の壁に当たって、炎上。木造立ての家だし。

イングリッド  こらぁぁぁっ! 人ん家に火をつけるなぁ!

ユズキ  わぁぁ!? ごめんなさいぃ!

ヒスミ  月さん、火ぃ消してぇ!

銀龍姫  あらぁ? せっかく綺麗な火がついたのに、消しちゃうわけぇ?

 

 そんなことがあって、お嬢のボディガードの月は上着を脱いで火を消しに走る。

 レベッカは念のためイングリッドを庇う位置に立ち、ヒスミは刀を抜いて銀龍姫に近づこうとする。しかし、少し離れていた場所にいた上、途中にあるテーブルが邪魔で近づけない。

 銀龍姫は動かなかったが、ヒュヒテの刃から銀色のゲル状のなにかが流れ出し、シン・カーンの体を覆い始める。

 そして・・・

 

GM  あ、そうだ。イングリッド、サイコロ3個振って。出目は大きいほうが良いよ。

イングリッド  う・・・嫌な予感がする。7です。

ヒスミ  (わざとらしく)うわぁ、おおきい数字(苦笑)

GM  では、大きい数字を振ったあなたに特別なイベントを用意しましょう。今いる部屋から、寝室へ向かう方のドアが開いて女の子の声がする。

女の子の声  イングリッド、さっきから騒がしいけど、どうしたの? お客さん?

イングリッド  メイベル!? きちゃだめぇっ!

ユズキ  メイベル? 例の猛獣?

メイベル  ・・・え?

GM  ドアから現れた車椅子に座った女の子は呆然としている。その様子を見て銀龍姫は純度100%の邪悪な笑みを浮かべ、メイベルの前にヒュヒテごと《瞬間移動》。そして、メイベルに触れようとする。それを見て、メイベルの顔が恐怖でひきつる。

イングリッド  させるかっ! メイベルの元へ駆け寄るっ!

GM  OK。基本反応速度差をペナルティにした、敏捷力の即決勝負と行こうか。

イングリッド  成功度4!

GM  うお? 負けた? 敏捷力と基本反応速度合わせて4差もあるのに。

イングリッド  そのまま抱き寄せて抱きしめる。大丈夫。大丈夫よメイベル。私たちが守ってあげるから。(ころころ)ふぅ・・・暴走判定は成功よ。レベッカ! 本気でお引取り願いなさい!

レベッカ  うぉおおおおおおっ!!

GM  レベッカが雄叫びをあげると、彼女に鉤爪、尻尾、獣耳が生えてくる!

ヒスミ  ライカンスロープ

GM  いや、よく見ると、へその下、丹田辺りに狼を模した刺青が光っている。

ユズキ  やっぱり、彼女たちも刺青持っていましたか。

レベッカ  加速モードで「飛び蹴り」から「回し蹴り」! ダメージは10点と9点!

銀龍姫  ちぃぃっ!

GM  蹴りが銀龍姫に当たる直前、空間が揺らいでダメージを防いだ。貫けなかったけど、手ごたえ的にもう少しだった気がする。

レベッカ  ならば、回し蹴りでフルダメージが出ればぶち抜けるはず!

ヒスミ  私も刀で攻撃!

GM  どんな風に斬る?

ヒスミ  肩からズバッといきます。てぇぇぇい! ダメージは13点!

一同  (歓声)

GM  (いきなりフィールド貫かれたっ!? しかも袈裟懸けに切られたなら命中する。やばい、「切り」ダメージだから、11点止めて3点ダメージ。HPの半分いった。こいつ一度朦朧とすると、戻れない可能性が・・・って、あ、そうだ。今のこいつの体は・・・)うむ。お嬢の剣はかなりの反発を受けながらも、銀龍姫のバリアを貫いてドレスごとその中身も切り裂いた。銀龍姫の体から緑色の液体が流れだす。体格的には結構深い傷与えたはずなのに、彼女は平然としている。

イングリッド  緑色の血?

ユズキ  いや、まさかね。そもそも、PCは知らないし。

銀龍姫  (流れた液体を指先でぬぐって舐める)ウフフフフ・・・この体って便利ぃ。だって、ぜぇんぜん痛みを感じないんだものぉ。

ヒスミ  「この体」?

イングリッド  痛みを感じない?

銀龍姫  (怒りの表情を浮かべ)でぇもぉ、傷つけてくれたお返しはなくちゃねぇぇ!

GM  メイベルの足元に転送陣が生じる。《他者転移》の呪文だ。抵抗は掴んでいるイングリッドがやってもいい。意思力で抵抗ね。成功度8とか言ってるけど。

イングリッド  確率は低いけど、出ない数字じゃない! (ころころ)よっしゃ、抵抗!

GM  ならば、魔方陣に引き込まれるような感覚が襲ってきたが、耐えることができた。

銀龍姫  ・・・(冷静に戻って)ふふふ。やるわね、お姉さぁん。今日はもう疲れたから、帰らせてもらうわぁ。

GM  銀龍姫は、シンの近くに戻り・・・

銀龍姫  じゃあ、また、遊んであげるわね。夜道には気をつけなさぁい。うふふふふ・・・

GM  笑い声を残して、シンとヒュヒテごと消える。

ユズキ  た・・・助かったぁ・・・

GM  (実は、こっちが助かった。もう一撃喰らってたらやばかったからな。こういうタイミングでクリティカル出す奴らだし(苦笑))

ヒスミ  でも、またあいつ来るつもりみたい。

イングリッド  厄介な奴に目をつけられたみたいね。

GM  レベッカは変身をとく・・・というか、耳と尻尾、鉤爪は引っ込み、動物の体毛は抜け落ちる。彼女は不安そうな顔でユズキたちの顔色をうかがう。

ヒスミ  レベッカさんかっこいぃー!

レベッカ  え? 怖く・・・ないの?

ヒスミ  怖くないよー! カッコよかったよー!

レベッカ  そ・・・そう? ありがとう。

ヒスミ  私も蝶々になれるといいなぁ・・・

ユズキ  お嬢が夢の世界に入りました(笑)

メイベル  レベッカ、ごめんね。

レベッカ  いいのですよメイベル。このところ蜘蛛やネズミに変身する奴がいるって聞いて、狼ってかっこいいなーって思っちゃってますから。・・・ぷっ、くすくす。

イングリッド  おーい(笑)

ヒスミ  クールでお茶目な人だぁ(笑)

ユズキ  それで、こちらの方は?

イングリッド  メイベルよ。私たちのルームメイト。

ヒスミ  私はヒスミ。よろしくね、メイベルちゃん。

メイベル  よ・・・よろしく・・・

イングリッド  この子、ちょっと人見知りするから。

ヒスミ  妹みたいでかわいいかもー(ニコニコ)

 

 暗躍する闇タマット<朝焼けの梟>

 一行に目をつけた邪術師銀龍姫。

 2つの強敵を前に、果たして一行はどのような選択をするのか?

 そして、敵NPCだけでなく味方NPCにまでついていた魔法の刺青。この刺青を巡る戦いは、どのような展開をしていくのか?

 

ユズキ  それより、早くこの家から逃げたほうがよくありませんか? さっきの銀龍姫がもう一度来た時、ここじゃメイベルさんを守り通すことは難しいのでは?

ヒスミ  そうそう。うちに来て下さいよ。そうすれば、少しは安心です。

イングリッド  いいの?

ヒスミ  はい。大歓迎です。

ユズキ  ただ、奴の《瞬間移動》のレベルから考えて、<風龍会>でも絶対安全とは言えません。

イングリッド  ユズキくん、それだけ魔法に詳しいのに、なんでいつも「じゃあ魔法で!」とか言うわけ?(笑)

ユズキ  はっ、そうでした。知力11のカルシファード人は、魔法に無知じゃないといけないのでした(笑)

GM  いや、ヒビト・リョウヤは、知力11あるのが間違いのキャラだと思うんだが(笑)

ヒスミ  9で十分だよねー(笑)

ユズキ  それは同感です(笑) 話し戻しますけど、家に篭もっているだけではこっちが不利になるだけです。

イングリッド  そうね・・・何とかしないと・・・。

 

次回に続く

*1:第4版では刀技能は無くなり、日本刀も長剣、両手剣技能に統一された。そのため、高い「受け」の数値は無くなったが、重い鎧も問題なく着れるように。

*2:自制判定は、不利特徴の「かんしゃくもち」が怒らないようにしたり、「くいしんぼう」が目の前の食べ物を我慢したりしなければならないときに行える。恐怖や魔法に耐えるための意思判定とは全く別の判定。そもそも、「誓い」は自制判定で抑えるものではなく、守れなかったら何らかの罰があるというもの。社会的な誓いであれば誓いのレベルに応じた罰則。個人に課した誓いであれば、自身を罰して髪を剃る、無償奉仕に参加、切腹するなど。

*3:こういう困ったPCへの対処法でもある。特に順法精神という不利特徴は、PCに有利な点もある不利特徴なので悪用されやすい。

*4:ファンシーショップに買い物に行くのに、重量が重荷になる総計50キロ以上の盾と鎧を装備していくと考えてください。

*5:100m走るのにの40秒はかかり、その間に疲労困憊するレベル。

*6:実はセッション中はここで温情をかけてラインは生きていたことにしたのだが、この後も敵に無策で突撃しては敗北を繰り返す上、自分が活躍できないのを他のPCやGMのせいにして愚痴を言い続けることしかしなかったため、途中からセッションに誘わなくなった。また、リプレイ上ここで退場しても展開上全く問題ない上、彼の愚痴をいちいち書くのもばかばかしいため、ここで退場と言う形を取ることにした。

*7:ルナル世界の信仰にも戒律や規則がある。しかし、ただでさえ信仰ごとの恩恵に差があるのに、飛び道具の禁止や叩き武器禁止といった、冒険者になるには致命的になりかねない戒律がある信仰もある。それを律義に守っているキャラは、「信仰による規律」という不利特徴としてCPを得ることができるとしている。

*8:闇タマットは、武装テロリストや武装ヤクザのような暴力的で危険な裏組織の総称。