黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第3話「“風”の霊峰」

サイボーグ・ジャン

GM  はい。では毎度毎度メンバーが微妙に入れ替わるトレジャーハンターという名の妖怪人間ショートキャンペーン。第3回を始める。

バルド  妖怪人間?

ベッツ  前回いろいろあってね。今私たちは「早く人間になりたーい」状態なわけですよ。

GM  そういうわけです。はい、ではお待ちかね。皆様の改造結果報告を・・・

一同  改造違う!

ジャン  俺は改造かもしれませんけど(笑)

GM  失敬。蘇生結果報告を。まずはジャン。

ジャン  はい。

GM  君は左肩から先が、全てサイボーグとなった。そして、その左腕を固定するために、全身が鎧のようなもので覆われる。デザインは自分で決めていい。

ジャン  では、シェルブリット最終形態ということで。

ロジャー  ガイ兄ちゃんみたいな奴だな(笑)

GM  で、左手首から先が、巨大な鋏になってる。

ジャン  へ? なんで?

ロジャー  このGMの趣味だろう(笑)

GM  うむ。クローアームは男のロマンだ。ドリルもな(笑) ただ、ゲーム的には「多足のものが手を作った」だけだ。

ベッツ  そういや、あいつらの手は鋏ですからね。

ジャン  じゃあ、ヴァルヴァロのクローアームにしましょう。

バルド  なんだ。仮面ライダーシザースじゃないのか。

GM  その辺は好きなように。データはこんな感じ。

ジャン  えーっと、素体の防護点が5!? クローアームの攻撃力が2D+2の「切り」で、かなり強い?

GM  うん。さらに、歪な外見になるが防護点と受動防御がさらに+2される脱着可能な外装もある。また、多足のものが余計な気を利かせてバーサークチップを装着させた。多少ダメージ食らってもびくともしないし、強い強い♪

ジャン  余計なことすんなーっ!

GM  君、(別のサイトのコラムで)バーサーカー好きって言ってたじゃん。

ジャン  それはそうですけど、演じるのと見るのとでは違うのですよ~!

 

強化人間レイツェル

GM  ではレイツェル。

レイツェル  はい。

GM  君は体内にナノマシンを抽入される。それにより、追加HPを得る変わりに、通常の応急処置などでは生命力の回復は不可能になった。

レイツェル  呪文は?

GM  普通に有効。そして、右目がカメラのズームのようになっている。

レイツェル  何故ですか~?

GM  いやー、多足のものがいろいろいじってたら、ウッカリ首のあたりの視神経を切ってしまって(笑)

ベッツ  鎬昴昇か(笑)

バルド  または、耳たぶのピアス穴から出ていた、白い糸を引っ張った(笑)

ロジャー  しかし、今回はパロディネタの宝庫だな(笑)

レイツェル  目の特殊能力は?

GM  4倍まで望遠、拡大、縮小が可能。レンズに光を集めて【陽光撃】と同じ効果のビームを出すことができる。その代わり、色の区別がつかなくなった。

ベッツ  また趣味的な(笑)

GM  そして、傷口を塞ぐ際に、サブアームとサブアイを取り付けておいたそうだ。肩のあたりから伸びて、軽いものを持ったり周囲を見回したりできる。

レイツェル  気持ち悪いですね~。

GM  君の改造はこの程度だ。

 

鋼の企業戦士ベッツ

GM  君のデータは、肉体的部分は全てブロンズゴーレムのものを使用。

ベッツ  (ルールブックを見て)えーっと、ブロンズゴーレムは・・・強っ!

レイツェル  HPの回復とかは?

GM  体重55kgとみなして、修理の呪文をかけてもらうしかないね。

ベッツ  回復するのにエネルギー消費33点・・・厳しいですね。できるだけダメージを受けないようにしないと。

GM  さて、最後に、全員に死ぬ直前の映像がトラウマになり、重度の恐怖症を強制的に植え付ける。ジャンは爬虫類恐怖症。レイツェルは炎恐怖症。ベッツは刃物恐怖症だ。

ジャン  蛇恐怖症が進化(?)したのですね。

ベッツ  剣が怖いよ~小型クラブで戦うしかないよ~。攻撃力は5Dだけど(笑)

ロジャー  無茶苦茶だな(笑)

GM  でも、敵が刃物持ってたらアウト。

ロジャー  お? ちょうどよかった。前回の成長で《勇気》の呪文を覚えたんだ。余裕があるときは、事前に呪文を使うことにするぜ。

 

3人揃って

GM  てなわけで、今回は多足のものの洞窟から始まる。ロジャーはもう帰ってるよね?

ロジャー  もちろんだ。死者蘇生方法についていろいろ調べてみることにするぜ。

GM  うい。じゃあ、3人が目を覚ましたところから。

ジャン  うーん・・・ここは・・・(と言いつつ、左手で目をこすろうとして)なんですかこれは~!?

外野のバルド  甘いな。こういう時は「なんじゃこりゃ~!」だぜ(笑)

レイツェル  視界から色が消えましたー!

ベッツ  私の体はどうなってしまったのですかっ!?

GM  そんな君たちに、多足のものが近づいてきて、筆談で状況を説明してくれる。

レイツェル  な・・・なるほど。

ベッツ  私たちは元に戻れるのですか?

多足のもの  (筆談)ハイ。

GM  方法に関しては、前回言った通りだ。

ベッツ  ・・・体に、宣伝のためにアンダーソン商会というステッカーを貼っておきましょう。

一同  (笑)

ベッツ  ところでGM、私に感覚ってあるのですかね?

GM  触覚と味覚以外はあるよ。何故か匂いもわかる。

ベッツ  よかった・・・元に戻れば、嫁に会うこともできる・・・

外野のバルド  既婚者か?

外野のロジャー  新婚だが単身赴任らしいぜ。

外野のバルド  ああ、そりゃ確実に夫婦仲悪くなるな。

GM  経験も無いくせによく言う(笑)

外野のバルド  地元の近所に、そんな人がいたんですよ。

ベッツ  ところで、わたし、「くいしんぼう」なのですけど、物は食べられます?

GM  無理。

ベッツ  克服していいですか? このままじゃストレスで死ぬかもしれません。幸いCPは足りていますし。

GM  良いよ。色々なショックで、食べ物への執着が無くなったんだろう(笑)

ベッツ  うう・・・この体になって、初めてアルフォンスが人間に戻りたいと願う気持ちがわかりました(笑)

多足のもの  イマノママデハ、アナタタチハマトモニウゴクコトモムズカシイデショウ。シバラクリハビリガヒツヨウデス。

ベッツ  いつ頃帰れますかね?

多足のもの  ヨンメグリモアレバ。

ベッツ  バイト君、大丈夫かなぁ・・・

 

 こうして、改造人間3人のリハビリ生活が始まった。一方その頃、スターライト研究所では。

 

ロジャー  死者蘇生について書かれた書物は多いのか?

GM  そりゃね。ほとんどが眉唾だけど。

ロジャー  《復活》が使える術師を探すだけじゃなく、200点のエネルギーをどうやって捻出するかも問題だよなぁ・・・

研究員  ようロジャー。最近死者復活について調べまくってるそうだが、人体練成だけは止めておけよ。

ロジャー  大丈夫だ。すでに一人、向こうに持ってかれたような奴がいるからな(笑) それはともかく、現実で使えそうな奴をピックアップしていくか。

GM  そんなこんなでそちらも4巡り。事件は先にロジャーの方で起こる。

ロジャー  なに?

GM  生活資金がかなりヤヴァイ。

ロジャー  うお!? 前回の報酬スズメの涙だったからな。使っちまってたんだった?

一同  (笑)

ロジャー  給料の前借頼むか、知り合いから金貸してもらうかしかないか・・・

 

 で、給料の前借を断られたロジャーは、友人から生活費を借りることに。
 そして、多足のものの洞窟では。

 

GM  最初は相当違和感あった体も、ほとんど自在に動くようになった。最初の頃のベッツなんかは触覚がないから、力の入れ具合が分からなかったほどだ。

ベッツ  早くもとの体に戻りたい・・・

多足のもの  アナタノカラダハ、ワレワレガレイトウホゾンシテオキマショウ。

ベッツ  冷凍保存ね。お願いします。

レイツェル  そろそろ私たちは地上に出たいのですが?

多足のもの  アナタタチガキタイリグチハ、フサイデシマイマシタ。センジツホッテシマッタ、ベツノデグチヲツカッテクダサイ。アナタタチガデテイキシダイ、ソチラノアナモフサギマス。

ベッツ  では、私の体を受け取るときはどうすればよろしいのでしょう?

多足のもの  ・・・・・・・・・・・・・・・デハ、オキヲツケテ。

ベッツ  誤魔化すなぁー!

多足のもの  チッ。ナンダヨ、ヨミガエラセタウエニマダメンドウミロッテカ? ズイブンチョウシニノッテルジャネーカ。マアショウガネェ。ウラグチハアケタママニシトイテヤルヨ。

レイツェル  態度でか(笑)

ベッツ  お願いします。

多足のもの  ア、ソウソウ。アナタタチガモトニモドレルキゲンハ、イチネンイナイトスイテイサレマス。ソレイジョウイマノカラダノママデイルト、モドレナクナルカノウセイガアルノデ、チュウイシテクダサイ。

一同  なにぃ!?

ジャン  一年!?

ベッツ  のんびりしている暇はありません。まずは研究所へ戻りましょう!

 

 多足のものの洞窟から出てみると、そこはどことも分からぬ山の中の森だった。

 

レイツェル  早くも足止めですか・・・

ベッツ  まいりましたね。星があれば「航法」技能が使えるのですけど・・・

GM  残念ながら、今は昼だ。

ジャン  闇雲に歩くしか・・・

GM  とか言ってると、後ろの木々がざわめく!

ベッツ  何者!?

GM  と、君が誰何の声を上げると、木々の間から、かなりかわいい女の子が飛び出してきて君に激突。

女の子  うひゃぁ!?(ベッツにぶつかって盛大に転ぶ)・・・いったー。何でこんなところに鎧の置物があるの?

GM  さらに、その子の後ろから、人らしきものを背負った大型の狼が現れる。

ベッツ  狼?

レイツェル  エルファですかね?

ベッツ  あの、大丈夫ですか?

女の子  わ? しゃべった? ひょっとしてゴーレム? すごーい!

ベッツ  あの、ひょっとしてこの子、黒髪で髪を二つに分けて白いリボンで結んでたりしません?

GM  してるけど?

ベッツ  私の中で、この子には優しくすることが決定しました(笑)

レイツェル  ああ、あの子か。

ジャン  ・・・だれ?

GM  ジャンはカシム村出身だったよな? だったら、プレイヤーはともかくキャラクターは知ってる。村の外れに母と兄と3人で暮らしていた女の子、レインだ。年は君より一つ上。少なくとも生年月日は。

レイツェル  やっぱり。

ジャン  あれ? レイン?

レイン  えっと、誰? ガイ兄ちゃん? それともカズくん?

ジャン  あ、いや。こんなカッコだから分からないかもしれないけど、同じ村のジャンだよ。

レイン  え? ジャン君? ザインの後輩だった?

ジャン  そうそう。

レイン  うわぁ、久しぶりだねぇ! 確かによく聞けばジャン君の声だね。

GM  とかやってると、突然狼が人の形になる。長身痩躯で耳の尖った、目つきの悪い男だ。そいつはレインに何か話し掛けるが・・・帝国語が分かる人。

レイツェル&ベッツ  はい。

エルファ男  (帝国語で)おい。長話している場合じゃねぇぞ。

レイン  (帝国語で)あ、うん。そうだね。そうだ、その人、彼らに預けて安全な所まで運んでもらおうよ。奴等は、あたしたちで退き付けておいてさ。

エルファ男 信頼できるのか?

レイン  中々ね。ジャン君は肉弾戦なら、ザインより強かったし。

レイツェル  ・・・あの・・・

レイン  あ、ごめん。突然だけど、一つ頼まれて欲しいの。この人を安全な所まで連れてって。

GM  と言って、狼が運んできていた人物を指す。翼が千切られていたし、うつ伏せだったから分からんかったが、翼人だ。装飾品も派手だし、族長とか司祭の類かもしれない。

外野のロジャー  また銀月関係か。

ジャン  この人は?

レイン  翼人の部族の族長。理由は後で話すけど、狙われてるの。この辺の街道はこの人狙っている帝国の連中がいるから、できれば森を抜けてちょうだい。

ベッツ  帝国って、トルアドネス帝国?

レイン  正確には、トルアドネス帝国の一派ね。今は大したお礼はできないけど・・・

GM  と言って、小さな袋をジャンに握らせる。で、ジャンの手を取る。

レイン  お願いね。

ジャン  分かった。

ベッツ  安全な場所に連れて行った後、あなたとはどうやって連絡を?

レイン  族長さんに《方向探知》かけてるから大丈夫。でも、あまり遠くには行かないでね。

レイツェル  分かりました。私たちは、<魔道都市>マリクのスターライト研究所にいます。

レイン  マリクね。

レイツェル  あ、実は私たち道に迷っているのですが、マリクヘはどうやって行けば?

レイン  (指を指して)あっち。あたしたちは反対側で、帝国の連中を陽動しておくわ。

ベッツ  ありがとうございます。

ジャン  ところで、そっちのエルファさんは何て名前?

レイン  (帝国語でエルファ男に)なんて名前かだってさ。

エルファ男  (帝国語で)俺はアンディ・クルツだ。(親指を立てて)よろしくな!

レイツェル  へ?

ベッツ  アンディ・クルツって、トリース革命の英雄の名前ですよね?

GM  うん。

ベッツ  エルファらしくないですし、恐らく偽名でしょうね

ジャン  ・・・ん? エルファで帝国語で、狼の氏族でアンディ・クルツ?

GM  さらに、地面の下から少女の声が響く。

  レイン。何かトラブルか?

レイン  ううん。戻って奴らを陽動するわ。着いてきて。

  分かった。

ベッツ  ああ。(プレイヤーは)何となく正体はわかった。

GM  で、翼人を置いて、レインとアンディ、そして地底の声・・・が移動したかどうかは分からんが、2人は走っていく。で、しばらくすると彼女らが走り去った方向から、爆発音が!

ジャン  何!? 助けに行かないと!

アンディの声  わははははははははっ! フル・ブラストォッ!!*1

一同  (笑)

ベッツ  気のせいでしょうか。今の言葉は万国共通で通じるような気がします(笑)

ジャン  ところで、レインがくれた袋の中には何が?

GM  100ムーナ金貨が20枚ほど。

レイツェル  高!?

ベッツ  2000ムーナ*2って、そこそこ大金ですよ。あんな簡単にポンッと渡せるものでしょうか? 彼女、何者です?

ジャン  いや、俺が村を出たのは何年も前だから、今何をやっているかは・・・

 

 レインの行動に疑問を抱きつつも、3人は言われた方向へ向かい、街道沿いに出る。
 レイツェルは《魔法の目》で街道を偵察。すると、そこには帝国の紋章らしきものを付けた男たちが、さっきの爆発音の方へ移動していた。

 

ベッツ  レインさんの言ったことは、本当のようですね。

レイツェル  何とか翼人さんを隠す方法は・・・

GM  ベッツの腹の中。

外野のバルド  嫌な表現だな、おい(笑)

ベッツ  これ以上人間から離れるのは嫌ですが、仕方がありません。胴体を開けて翼人を収納しましょう。

 

 翼人を隠した(笑)3人は、山を降りた後に街道に出る。その後、街道を移動していたマリク行きの商隊にばったり出会う。

 

仮面のエルファ

GM  さて、ようやく登場してもらうバルドだが、君はスターライト研究所に届く予定になっている荷物の護衛を頼まれた。馬車4台の商隊だ。

バルド  荷物の中身は?

GM  火薬。

外野のロジャー  これは爆発ネタする気だな(笑)

GM  ま、状況次第かな(笑) ロジャーはしばらく暇になるだろうから、こいつでも演じててくれ。

ロジャー  (キャラクターシートを受け取って)良いのか?

GM  OKだ。君、ティリンは友達のリゼと共に、先生の命を受けてマリクに向かっている。

ロジャー→ティリン わっかりましたぁ。

GM  んで、バルドよ。君が街道を歩いていると、見た事のある2人と、知らない鎧さんを見つける。

バルド  よう、レイツェルとジャン。こんな所でどうしたんだ? 妙な格好して。

レイツェル  色々ありましてね。

ジャン  この商隊はマリクまで?

バルド  ああ。隊長には話しとくから、一緒に行くか? そっちのでかい鎧も一緒に。

ベッツ  ええ。そうさせていただきます。あ、怪我してる翼人がいるので、馬車で休まさせてもらいましょう。見つからないように体から出して(笑)

バルド  こいつは?

レイツェル  怪我人です。スターライト研究所まで連れて行かなければならないのですよ。

バルド  ふぅん。何か知らんが大変だな。

GM  さて、その後は何事も無く馬車は進むが、ベッツが商隊を見回っていると、女の子が連れている鉄のトカゲが、君のことをジーッと見てる。

ベッツ  ・・・何か?

GM  ベッツは、このトカゲから何となく同族のシンパシーを感じる。多分、トカゲも中身は空洞だ。

ベッツ  よかった。こんな特殊な体をしているのは私だけじゃないのですね。

バルド  そんなことで安心してどうするよ(苦笑)

GM  では、君たちが馬車に揺られたり、周辺を見回りながら、森に囲まれた街道を歩いているとだ。

バルド  (ネットを振り回しながら)あ~、何か面白いことでも起きねぇかなぁ。

GM  その気持ちが届いたのか、突如馬が嘶き、御者を振り払おうとする。

ティリン  何事ですかぁ?

ベッツ  盾と小型クラブを構えます。

GM  その直後、仮面を被った長身痩躯で耳の尖った武装した集団が襲ってくる。多分仮面を被ったエルファだ。

ベッツ  いや、ゲルーシャ*3でしょう。

GM  仮面のエルファだってば。

ジャン  何であっても、敵には違いありません。

 

 仮面のエルファ集団を迎え撃つために、武装して馬車の外に出る一行。
 そこに仮面エルファたちの放った矢が降りそそぐ。

 

GM  うーむ、非力なせいか、硬い鎧着た連中には全くダメージが通らんのう。

ベッツ  恐怖症の判定には成功しました。怖いからこそささっと倒しましょう。

バルド  その前に俺の行動だな。ネットを目線の先にいるゲルーシャに向かって投げるぜ。

GM  だから、仮面エルファだってばよ。回避は失敗。

ベッツ  そいつに攻撃。恐怖のペナルティがあっても命中。ダメージは(ころころ)18点(笑)

一同  おお!?

ティリン  ベッツさん。それ以上やると死んでしまう(笑)

GM  それはアルのセリフだったと思うがな(笑) ソレはともかく、ゲルー・・・もとい、仮面エルファは気絶した。

ベッツ  いや。誰もこいつらをエルファだとは思ってませんから。

ティリン  ん~どうしようかなぁ。こいつら強そうじゃないしワギャン(鉄のトカゲ)との合体は必要ないかな~。まあいいや。(ポーズを取って)アクセェースッ!

GM  鎧トカゲのワギャンのパーツが分解して、ティリンの体を覆う。

ティリン  よーし、いっくぞぉ!

 

 仮面エルファたちは、数は多いのだが一人一人の錬度は低い。ベッツの怪力や、ジャンのシールドチャージからの斧の一撃、ティリンの高い技能レベルを生かした重要器官ねらいの後ろ回し蹴り(トカゲアーマーの爪でダメージ増加)の前に、次々と気絶していく。

 

GM  うーむ・・・そこまで弱いはず無いのに、バタバタ倒れるな。あ、倒れたエルファの仮面が落ちるんだが、なんとその顔の瞳には眼球が無く漆黒!

ベッツ  いや、だから最初から分かってるって。

ティリン  ボクは驚いておくね。(棒読みで)うわぁ? こいつらゲルーシャだったんだ!

GM  ところで、君たちが守っている2台以外の馬車も、敵の襲撃受けてるよ。相手の目的はあくまで馬車らしく、人的被害はほとんど出てないけど。

バルド  さすがに、そこまで気を回す余裕は無いな。

 

 そんなこんなで戦闘開始から4ターン目には、6人にいた仮面のエルファ改めゲルーシャは、全員行動不能に陥った。

 

ティリン  奪われた馬車は?

GM  森の中に入られた。空から探すのは難しそうだ。(ティリンの着るワギャンアーマーは、飛行能力も持っている)

バルド  2台守れただけでも御の字と受け取るしかないか。

GM  商隊の隊長も嘆いてはいるが、人間の被害が無いのはせめてもの幸いだと言ってるね。まあ、保険かけていたから言えるセリフだろうけど。

ティリン  あいつらの目的って、間違いなく荷物だったよね?

ベッツ  火薬と知って奪ったか、それとも何も知らずに奪ったか、気絶してるやつらに聞きましょう。

ジャン  答えてくれますかね?

ティリン  一応、「尋問」してみるね。

ベッツ  <悪魔>なんですから、拷問しましょう。

バルド  どうせ後で全員殺すんだ。少しぐらい手荒なほうが良いだろうぜ。

GM  うむうむ。<悪魔>には容赦せんか。これも幼い頃からの教育の賜物。

一同  あんたのシナリオのせいだろがっ!

GM  すんません(平伏)。

 

 さて、しゃべってくれるかどうか疑問だったゲルーシャだが、ベッツの怪力やジャンのクローアーム、ティリンの《電光の瞳》*4で脅してみると、意外とあっさりしゃべりだした。

 

ゲルーシャ  俺たちは火薬を使って古代遺跡の入口を吹っ飛ばすつもりなのさ。奥に眠る古代兵器を復活させ、死と恐怖を振りまいてやるぜ!

ベッツ  うわぁ、三流。

レイツェル  その遺跡の場所は?

ゲルーシャ  知らねぇ。俺たちはそのための道具を集めて来いと、ボスに言われただけだしな。

バルド  ボスってのは誰だ?

ゲルーシャ  俺たちのボスだよ。まあ、ボスも誰かから依頼されたみたいだが、それが誰かは知らねぇ。さて、俺が知ってるのはここまでだな。さあ、好きなように処刑しな。先に月で待っててやるぜ!

ティリン  微妙に潔いのが腹立つなー。

 

 で、6匹のゲルーシャを処刑した一行は、2台の馬車と共に<魔道都市>へ到着した。

 

ロジャーレポート

GM  ティリンとリゼは、街に着いた後すぐに別れた。「ザインたちと合流だー」とか「ヒンメル先生も人使い荒いよねー」とか言いながら。

ベッツ  気にしない気にしない。

ジャン  無視無視。

レイツェル  私たちは、スターライト研究所へ帰ります。

ベッツ  私は一度店に行きます。翼人はお願いしますね。

ジャン  分かりました。医務室に運んでおきましょう。

GM  あ、店に戻るなら、2回分反応判定。一回目は特に重要。

ベッツ  ? 1回目は「良い」で、2回目は「中立」です。

GM  だったら、君が雇ったバイト君は、君がいない5巡りの間、とても真面目に働いてくれていたようだ。

ベッツ  しばらく留守にしてしまって、本当に申し訳ない。

バイト  いえ、しばらく帰ってこられないと言う話はロジャーさんから聞いていましたから。でも、何で鎧なんです?

ベッツ  いや、旅先で手に入れた鎧でね。着心地良いんだ。

バイト  そ・・・そうですか? でもよかったですよ。店長がいないと、品切れ品の納入とかできませんからね。あ、それと、店長が留守の間、何度か手紙が来ましたよ。

GM  手紙の束を見ると、送り主は君の妻だ。

ベッツ  まずい。返事しないと、怪しまれるし、怒られる!? どうしようどう書こう・・・って、この体じゃまともにペンが使えない!?

一同  (笑)

バルド  婿養子は大変だな(笑)

ベッツ  しょうがない。リハビリついでに、字を書く練習もしよう。壊さないように物を持つ訓練はしたんだ。できるはず。

GM  とか言って書いた手紙は、ミミズがのたうったような字だ。

ベッツ  誰かに代筆してもらいましょう。事情説明し易いように、この体のこと知ってる人がいいですね。研究所へ向かいます。

GM  さて、ロジャー君。レイツェルたちが帰ってきたぞ。

ロジャー  よう。何とか生き返られたみたいだな。

レイツェル  お陰さまで(笑)

ジャン  こんな手になっちまいましたけどね。

ロジャー  そう言わないでくれよ。お詫びと言っちゃ何だが、元の体に戻れる可能性のある方法をいくつか探しておいたぞ。で、GMよ、どんな方法があったんだ?

GM  単純に、呪文の《復活》。ただし、この方法で復活が可能なのは、おそらくベッツのみ。ジャンとレイツェルは、死んでいるとは少し違うからね。

ジャン  それじゃ意味ないじゃないですか。

ベッツ  GM。私も出てきて良いですか?

GM  どうぞ。

ロジャー  よう。あ~・・・その・・・なんだ。すまなかった。

ベッツ  いえ。元に戻られる可能性があるなら、それで十分です。

ロジャー  ああ。スマンな。

レイツェル  今、その元に戻る方法を幾つか調べてもらっていた所です。

ロジャー  それで、他の方法は?

GM  今から約500年前の、メディウス帝国時代、8賢者と呼ばれていた不老不死の魔法使いの集団がいたんだが、そいつらは自分自身の複製を作って魂を入れ替えていたらしい。ただし、遺失技術。

ロジャー  幸いってのはなんだが、ここは古代遺跡関連の研究所だ。技術が見つかったら、優先的に教えてもらうよう、上に言っておく。

ジャン  でも、俺たち1年以内に元の体にならないと、戻れなくなる可能性があるみたいなんですよ。

ロジャー  む・・・それは厳しいか?

GM  ちなみに、幸か不幸か迷いの森はメディウス帝国時代のものであることは、文献から明らかになっている。

ベッツ  ひょっとして、森の中にその遺失技術があるかもしれませんね。それに期待するしかないでしょうか。

GM  いや。もう一つ方法があるぞ。

レイツェル  (喜んで)本当ですか!?

GM  うむ。まず、自分に背格好が似た相手を探す。

ジャン  ふんふん。

GM  そいつを拉致って気絶させる。

ベッツ  って、おい。まさか・・・

GM  そいつの体を乗っ取って、《顔変え》で・・・

ジャン  もういいです。

ベッツ  何でこんな方法まで調べるんですか!

ロジャー  最後の手段だよ! だからレポートの隅っこの方に、小さい字で書いてあるだけだろう(笑)

レイツェル  迷いの森に賭けてみるしかなさそうですね・・・

GM  さて、そんなことを話していると、翼人が目を覚ましたとの報告がある。

ベッツ  では、話を聞きに行ってみましょうか。

 

いざ風の霊峰へ

GM  目を覚ました翼人は、群島語はしゃべれないみたいだが、古代神聖語がしゃべれるので、レイツェルに来て欲しいってさ。

レイツェル  分かりました。

ベッツ  そういえば、この体は銀の月の技術でしたよね。翼人も銀月の種族ですから、ひょっとしたら元に戻る方法何か知ってるかも・・・一緒に行ってみます。

GM  バルドやジャンも、何かあったときのために来てくれだとさ。

バルド&ジャン  了解。

ロジャー  俺も行こう。

GM  んでは医務室。全身包帯の翼人の族長が座ってて、古代神聖語で話し出す。

族長  おぬしらがわしを助けてくれたのじゃな。礼を言わせていただきたい。

レイツェル  と、群島語で通訳します。

ジャン  いや。助けたのは俺たちじゃなくて、知り合い。俺たちは運んだだけ。

レイツェル  と、古代神聖語で通訳します(笑)

GM  んじゃ、こっから先は全てレイツェルが同時通訳した内容と言うことで(笑)

族長  じゃが、ここまで運んでくれたのは君たちじゃろう。ありがとう。

ベッツ  (ちょっと照れながら)いえいえ。

ロジャー  何でレイツェルたちが翼人を連れてきていたのかは知ってても良いよな? 何でそんなケガを?

族長  襲われたのじゃよ。空飛ぶ船に乗ってきた人間どもにな。

バルド  空飛ぶ船?

 

 翼人の話によると、彼らはゴードン山脈の中でももっとも高い山の頂に集落を作り生活していたのだという。ベッツたちと出会う2日前、その集落に空飛ぶ三角錐の船に乗って、人間たちが襲撃を仕掛けてきたのだという。

 その人間たちの目的は、集落に口伝としてのみ伝えられてきた禁断の秘宝のありかを探すこと。力で襲撃してくるような奴らに、それを奪われたらろくなことにならないと感じた集落の翼人たちは、口伝の内容を知る、部族の長にして呪いまじない師(翼人の魔法使い)を逃がすことに専念したのだという。

 

GM  で、その族長兼呪い師の翼人がこいつ。逃げた後、以前から交流のあったレイン嬢の元へ向かったのは良いが、途中見つかって両翼を切り落とされたとのこと。

ロジャー  ひでぇことしやがる。

ベッツ  それで、集落は?

族長  分からぬ。空飛ぶ船は謎の怪光線まで使いおったからな。勝てぬと感じたら、集落を捨てても撤退するよう言っておいたが・・・

ロジャー  翼人ってのは、血の気の多い奴が多いって聞いたことがあるからな(苦笑)

ジャン  その攻めてきた連中が、トルアドネス帝国?

族長  レイン殿はそう言っておったな。正確には、帝国の一派らしいが。それで、こんなことを言える立場ではないのじゃが、おぬしらに頼みがある。奴らより先に秘宝を手に入れ、封印して欲しい。

バルド  向こうは口伝の内容は分からんのだろ? だったらそんな必要ないんじゃねぇか?

族長  いやー、それがじゃな。その口伝の内容は、ちょっとした暗号となって集落の壁に書いてあるのじゃ。奴らの中に学者がいたようじゃから、気付かれるかも知れん。

バルド  全然口伝じゃねぇじゃん(笑)

ロジャー  いや、壁に堂々と書いてあれば、逆にそれが秘密とは誰も思わん。それがそこで生活している者ならの話だけどな。

ベッツ  帝国の人たちには、秘密の暗号に見えて、解読に乗り出すかもしれませんよね。

メアリー  あ、それなら丁度良いや。

ロジャー  どうしたメアリー。突然出てきて。

メアリー  「迷いの森」に入るための霊薬の材料でね、影絵草ってあったじゃない。あれ、ゴードン山脈の高い山に生えてるみたいなの。あたしも一緒に行くから、それも探しましょう。

 

 レイツェルたち3人に時間制限があるため、翼人の秘宝探しに行くかどうかで迷う一行。だが、影絵草のこともあり、秘宝がどのようなものか翼人でも分からないとのことで、好奇心を燃やす者が2名。ひょっとしたら、その秘宝は自分の体を戻すことができるかもという希望をもつ者も2名で、結局全員で秘宝探しに出かけることになった。

 

ロジャー  (メモの用意をして)それで、口伝の内容は?

族長  『聖地より南。10メルチの蝋燭が燃え尽きる所、禁断の秘宝への道あり』。それと、『風を忘れるな』『自由であれ』『風に乗れ』の三つの言葉じゃ。

レイツェル  (メモを取りながら)聖地とは?

族長  我らが集落の頂にある洞窟じゃ。

ベッツ  そこから南に進んで、20メルチの蝋燭が燃え尽きたあたりに入口なりヒントがあるということでしょうか?

バルド  俺もそれしか思いつかん。その方向で行こうや。

ロジャー  ああ、そういやもう一つ翼人の族長に聞きたいことがあった。名前はなんていうんだ?

族長  ・・・ゾック・チョウだ。

ロジャー  考えてなかったんだな。名前。

GM  うるさいやい。族長は集落の連中に見せてくれと、書状を書き留める。

族長→ゾック  では、頼むぞ。

バルド& ロジャー  まかせとけ。

ジャン  また、根拠の無い自信を見せて(笑)

 

 数日後、一行は準備(ベッツの手紙も含む)を整え、NPCの荷物もち2人とエキストラ研究員1人と共にゴードン山脈へと向かうことに。

 

ベッツ  刃は怖いので、クロスボウではなく、プロット(鉛の弾丸を放つ機械式弓)を買います。

GM  体力25のプロットなんて、簡単に手に入るかなぁ。

ロジャー  体力15のプロットなら、1ターンで準備して使えるんじゃないか?

ベッツ  おお、そうですね。

GM  なんてこと思いつきやがるんだこいつは(笑)

 

 険しい山道や、流れの急な川、崖などの自然のトラップが複数用意されていたのだが、このメンバーは軒並み野外活動で役立つ技能を修得しているため、大した危険も訪れず、どんどん翼人の集落へ近づいていく。

 また、賽の目も味方し、ランダム遭遇では気のいい翼人たちが山登りの手伝いをしてくれ、天候変動判定では、7分雲という最高の天気の日が続いた。

 一度、メアリーが登攀判定を失敗したのだが・・・

 

メアリー  《浮遊》の呪文覚えてて良かったー。

ロジャー  ちっ。なんだよ、落ちてきたところを受け止めてやろうと思ったのに。

メアリー  そう? じゃあ落ちるね。

ロジャー  のわー!?(受け止め損ねた)

バルド  尻に敷かれてる場合じゃないぜ、ロジャー。

レイツェル  文字通りの意味ですね(笑)

ロジャー  笑ってないで助けてくれ。結構重・・・もとい、軽いなメアリー。ちゃんと食べてるか(笑)

 

 と、まあ始終明るい雰囲気で登山は続いた。

 一度レイツェルが、高山病にかからないかの生命力判定で大きく失敗し倒れ、回復するまで丸一日休んだのだが、何の事件も起こらず。

 山村出身のジャンやボーイスカウトで慣らしたベッツが食料や水を見つけたりしながら、登山開始から5日後には、ほとんど被害の無いまま翼人の集落に辿り着いてしまった。

 

GM  うーむ。何の危険もなかったな。影絵草も簡単に見つかっちまったし。一度降りてから、また登らね?

一同  嫌です。

GM  ちぇ。ま、いいけどさ。集落の入口付近で、武装した翼人たちが君たちに武器向けてるし。もっとも、ほとんどがどこかしら怪我してるけど。

ロジャー  待ってくれ。俺たちはあんたたちに危害を加えにきたわけじゃない。族長からもらった書状を見せるぜ。

GM  うむ。書状を見ると、翼人たちの警戒は一気に解ける。中から群島語がしゃべれる翼人も出てくる。

翼人A  失礼しました。族長の恩人とは知らず。

バルド  いや。状況が状況だ。警戒するのも無理はねぇ。

ロジャー  それで、俺たちは族長に頼まれて、禁断の秘宝の保護に来たんだが、協力してもらえないか? かくかくしかじかで、事の顛末を話すぜ。

翼人A  いいでしょう。ただ、いくら恩人でも外部の者を聖地に入れることはできません。それはご容赦を。

ベッツ  聖地に入らなくても、距離は入口から計算できますからね。それで大丈夫でしょう。

 

 一行は翼人に案内され、部族の聖地へと向かった。

 

GM  洞窟の入口付近に、武装した翼人2人が立つ。

翼人A  あの2人より奥へは行かないようにお願いします。

ロジャー  分かった。・・・が、気になるな。覗き込んでみよう(笑)

GM  んじゃ、視覚判定を。成功? だったら、次のようなものが見える。8本首の黒い龍と、それを囲むように描かれている、無数の翼の先に無数の武器を持った固まり。光る球体。2本の角を持った蛇のように渦巻く水流。いくつものブロックが重なりあって、人の形をしているもの。そして、白金の龍とそれを守るようにいる赤と青の龍。

ロジャー  うわ。気になる。中央の八本首の龍はハトゥルだろうけど。入口守ってる翼人に、絵の由来を聞いてみよう。

番兵翼人  (反応判定して、結果は「良い」)あの壁画か。あれは、かつてこの地で暴れまわった4大元素全てを司るとか、時間を操るとか言われた嫌われ者の邪神を倒すため、我らが偉大なる風の神が、クソ生意気な他の元素神や、パワーバカの龍を配下に治め、撃退した時の絵だ。

ベッツ  どこまでが脚色なのか、とてもよく分かる説明ですね(笑)

ジャン  あれ? その邪神って、ひょっとして20年程前復活しませんでした?

番兵翼人  復活と言うか、残りカスが溢れてきたことがあったらしいな。

レイツェル  ああ、あれか。

ベッツ  話し変えますけど、そろそろ口伝で言われている位置を計算しましょう。

バルド  そういう頭使うことは任せたぜ。

 

 一行は、地図や蝋燭、口伝のメモと睨み合いながら、謎解きを開始する。

 まず、20メルチの蝋燭が燃え尽きるには、かなりの時間がかかるため、南に全力疾走で移動はありえないと判断。しかし、歩くにせよロープで降りるにせよ、山の頂から南に向かう場合、山に慣れているか否かで移動距離が大きく変わってしまい、場所の特定には至らない。

 

ロジャー  うーん、飛んで行くとか、滑るとか・・・

ベッツ  飛ぶ? 考えてみれば翼人の口伝なんですから、「飛ぶ」は正しいかもしれませんね。翼人の平均移動力が・・・

 

 そんなこんなで、口伝の位置を固める一行。彼らが出した答えは、「聖地より南に、20メルチの蝋燭が燃え尽きる所まで飛ぶ。そこに禁断の秘宝へ繋がる道がある」に固まった。

 一行は比較的ケガの少ない翼人たちに協力を求め、その場所へ向かおうとするのだが・・・

 

GM  聖地から南を見ている方々。ちと視覚判定を。

レイツェル  8成功です。

GM  南の方に、何か浮いてるぞ。

バルド  浮いてる?

レイツェル  サイバーアイのズーム機能を使って、その方角を見ましょう。

GM  あれは、ドワーフ制の気球と言う代物ではないかね? 7人ほど乗ってる、中々大きなものだ。さらに、レイツェルは「犯罪学」と「紋章学」で判定。

レイツェル  持ってませんから技能なし値で、両方成功。

GM  ならば、7人の内5人が着ている革鎧に、詳しくは分からないけど帝国風の紋章が描かれている。それ以外に、白いタキシード着て片眼鏡かけた中年がいるんだが、ありゃ遺跡荒らしで有名な、通称プロフェッサーという男ではないかね?

レイツェル  皆さん、大変です!

ベッツ  ひょっとして、気球がある所って、口伝の場所だったりしません?

GM  だったりするね。

ロジャー  まずい。そんな遺跡荒らしに先に入られたら、貴重な遺跡が壊される。

ベッツ  翼人たちに知らせましょう!

翼人A  何!? ここを襲撃した連中だな! 行くぞ皆、今こそ復讐の時!

翼人たち  おうっ!

ベッツ  あの空飛ぶ船は、上の部分を攻撃すれば簡単に壊れますよ。

翼人A  助言、感謝する。

GM  20人近い翼人たちが、弓矢やジャイグ(翼人の使う特殊武器)を持って出陣。で、戦闘開始からすぐに気球の風船がしぼみ始めて、風に流されつつ高度がどんどん落ちていく。あ、誰かサイコロ一個振って。

バルド  6だ。

GM  そのサイコロの意味はまた後で。

ジャン  翼人たちが勝ったみたいですね。

ベッツ  しかし、敵が口伝の解読を終えたのは間違いないでしょう。急がないと、本隊が来る可能性があります。

 

神々の遺跡

 

 飛行能力を持たない一行は、翼人に空飛ぶ巨大くらげサルヴィードを召喚してもらい、それに乗って目的地へと向かった。

 

ロジャー  元素獣に乗れるなんて感動だ・・・生きてて良かった。

レイツェル  全くです。

翼人A  そんなに感動することなのでしょうか?

バルド  あの2人は特別だ(笑)

ベッツ  貴重な体験には違いないですけどね。

GM  では、目的地についた。

レイツェル  望遠視覚で辺りを見渡してみましょう。

GM  北には翼人の聖地が見えるし、下には木々の茂る森が広まっている。

ジャン  下に降りて調べてみませんか?

レイツェル  そうですね。

 

 一行は森へと入り、周辺の探索を開始する。

 しかし、2刻が経過しても何も見つからなかった。

 いや、正確には墜落した気球の残骸と、そこに転がる6人の死体は見つかったが。

 

レイツェル  6人? 確か、7人乗っていましたよね?

ジャン  一人は生きてるってことですね。多分プロフェッサーでしょう。

GM  確かに、プロフェッサーの死体は無い。

バルド  ああ、さっきのサイコロは、墜落して何人死んだかだったのか?

GM  その通り。

 

 さらに、一行は探索を続けるが、それでも何も見つからない。

 

ロジャー  (空を見ながら)『風を忘れるな』『自由であれ』『風に乗れ』か。

レイツェル  どうしましたロジャーさん?

ロジャー  いや、そうだな。すまんが、少し一服してくる。サルヴィードを飛ばしてくれないか?

翼人A  構いませんが?

ロジャー  んじゃ、聖地と同じ高さ辺りでタバコを吸うが・・・煙の流れはどうなってる?

GM  北北西に流れてる。

ロジャー  しばらくしてから、もう一度流れを確かめるが?

GM  いつまでたっても、煙というか、風の流れは変わらんね。

ロジャー  妙だな。高い所ってのは、風の流れの変化が激しいはずだが・・・なあ、翼人さんよ。サルヴィードを風にのらせてもらえないか?

翼人A  分かりました。

ロジャー  そうだな、聖地の方角を見てみるか。

GM  しばらく風に乗っていると、山の側面に奇妙な紋章が浮かび上がる。

ロジャー  (指を鳴らして)ビンゴ! 翼人さんよ、あの紋章の意味、分かるか?

翼人A  あれは、風を意味する紋章ですね。しかし、あんな所にあのようなあんなものがあるとは、知りませんでした。

GM  紋章は、岸壁にできる影で描かれている。少しでも角度が違えば、意味の無い形にしか見えないだろうね。

ロジャー  なんにせよ、紋章の場所に何かあるのは間違いないだろうな。一度戻って、みんなを呼ぶぜ。

 

 ロジャーは他のメンバーと合流し、紋章のことを話す。

 そして一行は再びサルヴィードに乗り、紋章のあった岸壁へと向かう。

 

GM  紋章の中心点に、小さな入口がある。しかもかなり巧妙に隠されているので、紋章の中心と知らなければ、まず気付くことは無いだろう。

ロジャー  入ってみるぜ。

ベッツ  狭くて通り辛いです(苦笑)

GM  狭い入口を抜けると、廊下のような所に出る。奥に神殿の正面口のような建物が見えるが、その途中、ローラーのように風が渦巻いている。

ジャン  石を投げてみよう。

GM  風のローラーに巻き込まれ、石はいとも簡単に砕ける。その破壊力はニューサンシャインもびっくりだ。

ベッツ  呪いのローラー。こうなったら右腕を犠牲に・・・

ロジャー  いちいちネタに乗らんでもいい(笑) さて、どうやって通るか。

GM  壁になんか書かれてる。「翼人語」技能で・・・

バルド  ネイティブスピーカー連れて来てるじゃねぇか。

GM  あ、そうか。なら、「三つの言葉を唱えよ」とのこと。

ロジャー  『風を忘れるな』『自由であれ』『風に乗れ』だな。翼人に頼んで言ってもらおう。

GM  すると、風のローラーは止まる。所詮風なんで、止まると普通に通れるようになる。

ベッツ  奥に進む前に、しばらく待ってみよう。ローラーが止まりっ放しとは限りませんからね。

 

 ベッツの予想通り、風のローラーはしばらく経つと再び動き始めた。

 もし翼人と共に行動して、奥で倒れられでもしたら帰ることができなくなってしまう。だからと言って、どれだけかかるか分からない探索の間、入口で待っていてもらうのも悪いし、入口が絶対安全とも言えない。

 そのため、毎食後に様子を見に来てもらうよう頼み、奥に進むことにした。

 

GM  神殿に入ると広い部屋があって、廊下が三つ伸びている。

ロジャー  聞き耳を立ててみるぜ。

レイツェル  聴覚は7成功しました。

GM  ふむ。すると、右からは風が渦巻くような音。左からはラッパのような音が聞こえる。

ベッツ  (「動植物知識」で判定*5して)恐らく元素獣のエキムとバシューラでしょうね。(ルナル完全版184頁参照)

ジャン  だったら、音のない真ん中に行きましょう。

GM  ふむ。廊下を進むと、また広い場所に出る。今度は4つ通路があるね。通路の上には、それぞれ地水火風を表す紋章が描かれている。他にヒントは無いし、どの通路からも特別な音は聞こえない。

ロジャー  ノーヒントの場所は悩んでも無駄だ。ここは翼人の遺跡なんだし、風に行くぜ。

GM  うい。風の通路を進むと、また広い部屋に出る。今度は奥へ続く通路は一つだけだが、部屋の中央に奇妙で巨大な像が立っている。あえて形容するなら、無数の武器を持った、無数の翼の固まり。

ロジャー  これは、聖地の壁画に描かれていた奴だな。

GM  ちなみに、魔法の素質を持たないものでも分かるほど強烈な魔力を発している。

ロジャー  触るのは危険か・・・と、理性は言っているんだが、感性はとても触りたいといっている(笑) ふらふらと触りに行こう。

ベッツ  (すかさず)止めます。後ろから羽交い絞めにして。

ロジャー  うお? 何をするベッツ!

メアリー  あたしもふらふらー。

レイツェル  私は我慢しました。

ベッツ  ジャンさん。メアリーさんを止めて。

ジャン  分かりました。

ロジャー  分かったよベッツ。もう触ろうとしないから離してくれ・・・と言っておいて。

ベッツ  (少し力を込めて)無駄ですよ!

ロジャー  あだだだだっ! 分かった! マジでもう触ろうとしない! だから力緩めて!

GM  (ちっ。せっかくロジャーを変異させるチャンスだったのに)

バルド  念のため、この部屋を出るまでロジャーとメアリーはネットで絡めておこう(笑)

ロジャー  せめて縛るだけにしてくれ(笑)

 

 そんな悶着をしながらも、一行はさらに奥へと進んだ。

 

GM  今度の部屋は、恐らく2つ前の部屋から繋がっていたんだろう。君たちが出てきた通路の他に、ここに来る通路が3つある。

ロジャー  どこから来ても良かったってことか?

バルド  それで、この部屋には何があるんだ?

GM  部屋の奥に台座があって、そこに漆黒の双頭龍の像が置いてある。

一同  ハトゥル像!

ロジャー  なるほど。触れてはならない禁断の秘宝か。

レイツェル  触っても大丈夫なのでしょうかね? 他に何か怪しいものとかあります?

GM  ハトゥル像の置いてある台座に、何か文字が書かれている。古代神聖文字なんだが、所々欠けてて読みづらいので、-5の修正で判定してみて。

レイツェル  う・・・1失敗です。

GM  だったら、断片的にしか読めなかった。「闇の像」「触れる」「神の怒り」「吹き消される者」「神はおらず」ってところだ。

ジャン  闇の像はハトゥル像のことですよね。

バルド  触れると、神の怒りを喰らうってことか?

ベッツ  何となく分かりました。ハトゥル像に触れると、途中あった元素神の像が動き出すってことではないでしょうか?

ロジャー  途中の像は、どれくらいの大きさだった?

GM  10メルー弱ってところかな。

レイツェル  とてもじゃありませんが、勝ち目はなさそうですね。

ベッツ  ですが、こう考えることもできます。「ハトゥル像は元素神の像によって監視されている持ち出し不可能なものだ」ってね。

バルド  ここまで来てなんだが、このままにしておくのが一番安全かもな。

GM  (「吹き消される者」「神はおらず」の2文は無視かい。)

ロジャー  もったいない気もするが、持ち出せないのなら仕方が無いさ。族長には持ち出し不可能だったこと伝えて、安心させようぜ。

ベッツ  そうですね。戻りましょう。

 

その名はProfessor

GM  じゃあ、君たちは神殿の入口まで戻るわけね。

ベッツ  夕飯には早いですから、翼人の迎えはまだでしょうけどね。

GM  (うーむ・・・すぐに帰らないなら、奴らが来るな。)では、君たちが休んでいると、神殿の入口の向こうから爆発音が響き、揺れが伝わってくる!

バルド  何!?

ロジャー  洞窟の入口か? こっそり外を見てみるが?

GM  うむ。そこにはピラミッドを上下に合わせたような、黒い物体が浮いている。そして、洞窟の半ばまでが抉り取られている。

ジャン  エヴァラミエル

GM  の、小さい奴。全長は10メルーくらい。で、その物体の上下の接続面が輝きだす。

ロジャー  やばい! 奥に逃げろ!

 

 一行が神殿奥へと逃げた直後、大きな揺れが神殿全体を襲う。

 

バルド  神殿入口に戻ってみるが、どうなってる?

GM  正面口は完全に破壊されている。おそらく風のローラーも粉々だろう。

レイツェル  ああっ! 貴重な遺跡が・・・

GM  で、飛行物体は神殿近くに停止。下の面にドアが開き、中から誰か出てくる。帝国のどこかの家の紋章をつけた戦士4人と、白いタキシード着て、片眼鏡かけた中年男、プロフェッサー。

プロフェッサー  やはり我が輩は天才だな。思ったとおりの場所に遺跡があった。

レイツェル  そこのあなた! 貴重な遺跡に何てことするんですか!

ロジャー  あ、こら、危ないぞ!

プロフェッサー  ふん。何者かは知らんが、我が手に入らぬ遺跡など不要。行くのに邪魔ならば、破壊するのみ。

レイツェル  何を言っているのですか! 遺跡と言うものは遥か昔からそこにあるからこそ美しいものなのですよ!

プロフェッサー  我が家のコレクションに入れられぬ遺物など、無価値だよ。

レイツェル  そんなことはありません!

ベッツ  はいはい。あなたたちの話は、いつまでたっても平行線でしょうから、そこまでにしてください。

プロフェッサー  ん? ・・・なんと!? この我が輩より先に遺跡に入っているものがいたというのか?

バルド  あんた、反応遅せーよ(笑)

ジャン  あんたたちの目的は?

プロフェッサー  よくぞ聞いてくれた。我が輩はこの遺跡に眠ると言われる、古代の邪神像が欲しいのだ。

ロジャー  手に入れてどうするんだ?

プロフェッサー  我が輩のコレクションに加える。

ジャン  それだけ?

プロフェッサー  それだけ。

一同  ・・・

GM  ちなみに、帝国の人たちは後ろで失笑しています。

ベッツ  あ、帝国の人たちは、プロフェッサーを利用しているわけか。

ロジャー  まあ、単純そうな奴だからな(笑)

プロフェッサー  ところで、そんなことはありえんと思うが、貴様ら、双頭の黒龍像を見つけなかったか?

バルド  ああ、知ってるぜ。(注:彼は「正直」である)

一同  (苦笑)

プロフェッサー  ほほう。それは良い。案内していただこうか。

ロジャー  断るといったら?

プロフェッサー  さて、帝国の民よ。朱雀に戻ろうか。主砲を撃つとしよう。

ベッツ  わぁぁ!? ちょっと待った!

ロジャー  ちっ! ・・・分かった。案内する。ただ、その場所に行くには危険が伴う。一般の研究員はここに置いて行く。

プロフェッサー  まあ、良いだろう。では、案内していただこうか。

ベッツ  分かりました。先頭を行くのは、偉大なあなたにお任せします。私たちは後ろから道を教えますので。

プロフェッサー  うむ。ようやく我が輩の偉大さが分かったようだな。ならば案内してもらおうか。

GM  帝国の人たちは、再び失笑しているね。ただ、移動が始まると君たちの後ろに付く。

ジャン  奴らの後ろに回ろうと思ったんですがね。

ロジャー  今は止めとけ。

GM  では、どの辺りで行動に移す?

ベッツ  四元素の通路がある、広い部屋。そこで、後ろを向いているプロフェッサーを全力で攻撃します! 準備/剣は成功。2回殴って、当たったなら17点と21点!

 

 プロフェッサー。一年越しの登場ながら、出番わずか10分で死亡。

 しかし、帝国の戦士はそれを見越していたかのように抜刀。たちまち剣戟が始まった・・・のだが・・・

 

ベッツ  あたりましたか? でしたら、ダメージは25点(爆笑)

GM  チ・・・チェインメイル着てなかったら死んでたぞ今の?

帝国戦士A  群島の鎧戦士は化け物かっ!?

 

 さらに、帝国の戦士はバルドのネットに絡まれ、ジャンに取り押さえられ、行動不能。残った一人も戦意喪失。降参する。

 

帝国戦士B  あのー、命までは取りませんよね?

帝国戦士C  もうすぐファーン様がこちらにいらっしゃるので、身代金と交換しません?

ロジャー  何?

ベッツ  ちょっと待って。今何て言いました?

帝国戦士C  身代金と交換しませんか?

ロジャー  その前だ。誰がここに来るって?

帝国戦士B  ファーン様が。

バルド  ファーンってのは、あんたらのボスだな?

ベッツ  その人、<朱雀>の主砲で狙い撃ちにしてください。

帝国戦士D  無理ですよ。ファーン様は<朱雀>の中の転送装置を使って来られますから。

ロジャー  これは、予想外だったな。急いで戻るぞ。研究員たちが危ないかも知れん。

 

気障で美形で嫌な奴

GM  では、神殿入口に戻ってきた君たちを迎えたのは、研究員たちを囲んでいる、例の紋章をつけた十数人の戦士たち。

ロジャー  ちっ、遅かったか。

GM  そして、飛行物体<朱雀>の昇降口から、魔術師風の化粧っ気のない女性。槍と鎧で武装した金髪碧眼の美女と、浅黒く焼けた肌の、筋骨隆々な角刈りのにーちゃんが出てくる。

バルド  ゴールドセイントのお出ましか。

GM  むしろシルバーセイントかな? その二人の後から、背中にひらひらの羽飾りが付いた、金ぴかに輝く鎧を着た金髪碧眼の美男子が現れるから。鎧のイメージは、黄金のフェニックスのクロス。

レイツェル  趣味の悪い鎧ですねぇ(笑)

ベッツ  宝塚みたいな格好しやがって(笑)

ロジャー  金持ちそうな美形か。いけすかねぇ野郎だ。

GM  (予想通り第一印象は最悪になったな(苦笑))で、どうする?

ロジャー  研究員を見捨てるわけには行かん。堂々と奴らの前に出るぜ。

ベッツ  美形に話します。あなたがファーンさんですね。

ファーン  その通りだ。私の名はファーンブルグ・ティーグ。

一同  ティーグ!?

ロジャー  こいつ、サーライトの血筋か!?

GM  後で調べれば分かるけど、サーライトの兄、ラースデンの妾の息子。

ジャン  ラースデンというと?

ベッツ  確か「天空の蹄編」で、ゼクス以外の羊毛に投資して破産した人。

バルド  微妙な奴だな(苦笑)

ベッツ  ティーグ家の者は「バカ」か「策略好き」か「バカの策略好き」のいずれかです。こいつがどのタイプか・・・

GM  否定できない(笑)

ロジャー  「バカの策略好き」が一番危険だな。

ファーン  それで、君たちは何者かね? プロフェッサーの部下には見えんが。

バルド  あんな奴の部下になるくらいなら、死んだほうがましだ。

ファーン  確かにな(苦笑)

レイツェル  同意されました(笑)

ロジャー  俺たちは、<魔道都市>マリクのスターライト研究所の者だ。

ベッツ  話して分からない相手ではなさそうですね。まずは人質の交換をしませんか? こちらはあなたの部下を4人ほど捕らえたのですが・・・

ファーン  別にこちらは、この者たちを人質にするつもりはないがな。だが、良いのか? 数で勝るこちらに人質を返すということは、そちらの切り札を失うことになるのだぞ?

ベッツ  武力で逆らう気はありませんよ。それに、人質の解放はこちらの誠意を見せるためでもあります。

ファーン  なるほどな。交渉相手がいつも君のような者だとありがたいのだがな。

ベッツ  褒め言葉として受け取っておきますよ。質問ですが、あなたはこの奥に何があるか知っているのですか?

ファーン  もちろんだ。古代の邪神、ハトゥルの力の一部が封印されている像だろう?

ベッツ  それを手に入れてどうするつもりです?

ファーン  ハトゥルの力が我らの手に負えるものであれば、ティーグ家の再興に使う。使えないものであれば封印する。扱えぬ力を無理して使い、破滅したくは無いのでな。

ベッツ  世界にとって危険なものであるなら、安全なように封印すると。

ジャン  そうでしょうか? 自分たちで使えない力なら、他の者には使えないようにしようとしているのでは?

ロジャー  おいおい。本人の目の前で言うことかよ。

ファーン  どう取ってもらっても構わない。だが、どちらかといえば後者よりだな。

ロジャー  ずいぶんと正直だな。

ファーン  私は君たちの実力を買っているのだよ。こちらの目的に協力して欲しいとも思っている。なかなか優秀な人材が揃っているようだしね。

ジャン  そうですかぁ?

ファーン  君個人は、有能とは言えないようだがね。研究者の数も移動手段も勝る我々より先んじて遺跡を見つけたのだ。見事なものだよ。

ロジャー  それほどでもないがな。・・・こいつ、何を企んでいるのか読めんな。

ベッツ  いざとなれば武力で押さえられる私たちに嘘をつく必要はありませんし、意外と本気かもしれませんよ。

バルド  美形でああいった口調のやつは、何か企んでいると相場は決まってる(笑)

ベッツ  そりゃ、全部が全部本心ではないでしょうが・・・

ファーン  今度はこちらが、君たちに聞く番だな。2つある。1つ目はハトゥル像の場所まで案内してはもらえないだろうか。2つ目は、今後、ハトゥル像の探索に協力してはもらえないだろうかの2つだ。

ロジャー  もし断ったら?

ファーン  1つめは、我々が自力で探す。2つめは、報酬を提示する。それでも断るなら諦めるだな。

ベッツ  どうします?

バルド  俺はどっちでも良いぜ。今の境遇とあまり変わってなさそうだし(笑)

レイツェル  私としては、遺跡を平気で壊すような人には協力したくありません。

ロジャー  それに、あんたらはハトゥル像の探索にかまけてる暇は無いだろ?

ベッツ  いえ。ひょっとして、この人に協力すればもとの体に戻れるんじゃないかって思っているのですよ。

ロジャー  正直、俺は奴に従うのは嫌だ。

ジャン  美形ですからね(笑)

ロジャー  それだけじゃない。美女をはべらせ金持ちで気障・・・羨ましい奴だぜ、くそぅ!

一同  (笑)

ファーン  断っておくが、私が求めるのは協力関係だ。私に従えと言っているのではないぞ。

ロジャー  俺たちが協力する見返りは?

ファーン  可能な限り、そちらの望みを聞こう。金でも良いし、マジックアイテムでも良い。

ベッツ  死者の蘇生などはできますか?

ファーン  肉体が新鮮な状態で残っているなら可能だ。魔導船<玄武>の中には、冷凍保存装置もある。

バルド  あんな船が、まだあるのかよ。

ジャン  まだ<青龍>と<白虎>がありそうですね。

ベッツ  ロジャーさんには申し訳ありませんが、私は彼に協力したいと思っています。

ロジャー  ああ、気にすんな。俺のはただのわがままだ。

レイツェル  でも、私とジャンさんは、通常の蘇生では元に戻れないのですよね。

バルド  それについても、あいつらの知識や技術は使えるんじゃないか?

 

 この後もしばらく相談が続き、一行が出した結論は・・・

 

ロジャー  俺たちは俺たちでやらなきゃならんことがある。その途中でハトゥルに関する情報が入ったら、必ずあんたたちに連絡すると約束しよう。

ファーン  それでも構わない。有力な情報の場合は、見合った報酬を渡すことにしよう。次は、1つめの質問の答えを聞きたいな。

ベッツ  悪事に使わないのであれば、あなたに持っていてもらったほうが安全かもしれませんね。案内しますよ。族長との約束が果たせなくなったのは残念ですが。

ロジャー  しょうがないさ。俺たちが像を確保しなかった時点で負けだったんだ。

GM  では、帝国の人々はファーンを先頭に君たちの指示に従い移動する。

ベッツ  ・・・さっきと全く同じ状況ですね。

ロジャー  止めておけ。わざと隙を作っているようにしか見えん。

レイツェル  ところで、私たちプロフェッサーの死体、片付けていませんでしたよね?

一同  あ・・・

GM  四大元素の通路がある部屋で、ファーンたちは立ち止まる。

ファーン  なるほど。おだてて先頭を歩かせて、後ろから不意打ちか。見栄っ張りで自信過剰なところと、貴重な遺跡を無駄に傷つける悪癖が無ければ、こいつも優秀な考古学研究者だったのだがな。

レイツェル  遺跡を傷つけることを悪と言いました。この人は良い人です(笑)

ファーン  そうそう。今私は君たちに背中を向けているが、プロフェッサーと同じになるとは思わないほうが良い。この鎧は、趣味は悪いが高性能でね。

バルド  趣味が悪いって自覚はあるんだな(笑)

ファーン  伊達や酔狂でこんな格好をしているとでも思ったか?

ロジャー  思っていたが、言わないでおこう(笑)

GM  さて、ではハトゥル像が安置してある部屋に来たが。

ベッツ  ハトゥル像を取ると、途中にあった銀の神の彫像が動き出すようなのです。

ファーン  それは、この台座に書いてある文字に書かれているのか?

レイツェル  完全には訳せませんでしたが。

ファーン  ならば、ルゥに訳させてみよう。

GM  化粧ッ気のない女性が、石版の前に行き呪文を唱える。

ルゥ  「闇の像に触れる者に、神の怒りは落ちるであろう。されど吹き消される者の間に神はおらず」だそうです。

ベッツ  《文字理解》の呪文ですね。

レイツェル  言語学者として、完全に負けた・・・

ロジャー  相手は魔法を使ったんだ。落ち込むことはない。それより、「吹き消される者の間に神はおらず」・・・どういうことだ?

ファーン  吹き消される者・・・炎か。炎の間には神はいないという意味ではないかな?

ベッツ  可能性はありますね。

バルド  試してみようぜ。

GM  ファーンの部下がハトゥル像を丈夫そうな箱に収納する。

ロジャー  炎の通路に行ってみるか。

 

 一行は警戒しながらも、炎の元素神像がある部屋へと向かった。

 炎の元素神像は、巨大な白い球体。宙に浮かび、完全な球であることを除けば、何一つ怪しい所は無かった。

 

ロジャー  (触って)へこみもざらつきも無い。しかも、こんな完璧な球体は始めて見たな。持って帰れないか?

GM  球体は浮いてるくせに、動かそうとしてもびくともしない。そもそもデカすぎて通路を通れないよ。

 

 球体を諦めた一行は、警戒を続けながら神殿入口へと向かう。

 その後、何も起きぬまま、一行は神殿の入口に辿り着いた。

 

ファーン  これでこちらの目的は果たした。礼を言うぞ。少しばかりだが報酬を渡そう。

GM  5000ムーナ入った小袋がもらえる。

ロジャー  10人で来たから、一人500ムーナか。

ベッツ  10人? (数えて)ああ、そう言えばメアリーさんも来てたね。

メアリー  途中からすっかりセリフ言うのを忘れていたわ(笑)

ファーン  それで、今後の連絡だが、これを使うといい。

GM  携帯電話みたいな効果のあるお札を渡される。

ロジャー  ベルトに挿して変身(笑)

ファーン  残念ながら、その機能は開発中だ。

バルド  してるのか(笑)

ファーン  これを使えば、私の部下と連絡ができる。情報の内容によっては、私に繋げるよう部下に言っておこう。

ロジャー  分かった。

ファーン  これから、よろしく頼むぞ。

 

 一行の行く先々で見つかる、邪神ハトゥルの像。それを集めるシェクラシュや帝国の連中。果たして、像を巡る冒険は、今後どのような展開を見せるのか?

 そして、レイツェルたちは元の体に戻ることができるのか?

 全ては、PCたちの判断にかかっている。

 

次回へ続く

*1:狼の氏族プファイトに伝わる必殺技。自分中心に4Dの爆発を起こす。

*2:約20万円。もちろん物価は違うので単純比較はできないが。

*3:黒の月を信仰して変異したエルファ。

*4:目から電撃を放つ魔法。かなり威力が高い。

*5:元素獣の多くは魔法生物なので、「神秘学」が適当。