黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

最終話【鬼面の都市の冒険者】

 さて、前回からしばらくの間、プレイヤーが全員揃うことがしばらく無かったため、異界の森エーデルへ向かう途中、あるいは、過去に戻っていくつもの事件に巻き込まれたPC達。

 そこで得た報酬やCPで、アレクがヘビープレートを買ったり、ルカが《音噴射》を21レベルにしたり、カムイの刀が19レベルになったりしながら、ようやくエーデルの隣町マイテに到着。

 カムイ達は、初登場PCであるエルファの案内人と共にエーデルに入り、目的の薬草メトークスを入手。*1 

 帰り道にそのエルファが、襲ってきた怪獣グーギ相手に、「頭上からの溶解液なんて盾を上に構えれば大丈夫だろう」と言って近づいて、初登場で蹴り殺されるというハプニングはあったが、森からも無事脱出。メトークスを専用の保存ケースに入れ、バドッカへの帰路へ着くことに。

 そして、今回のシナリオが始まる前の、各々成長報告。

 

カムイ 刀技能ばかり上げても芸がないんで、「調理」技能を12で覚えたぞ。これで用心棒以外の、店の手伝いができる。

アレク おお、刀でマグロを解体するのですな(笑)

ミスティ あ、それいいな。お店の名物にしよう(笑)

GM 闘神伝だったか、主人公が魚屋の、刀使いの格闘ゲーム

カムイ 魚屋っぽいだけで、魚屋じゃないぞ、あいつは(笑)(正確には板前っぽい外見)

 

第一章【陰謀蠢く帰路】

GM では、マイテを出て二日目。ミールと言う宿場町で泊まることになった。

アレク まずは酒だ。

ミスティ さんせーい!

ダルシス 付き合います。

GM そんな感じで歩いていると、一人の男がミスティに近づいてきて、懐に手紙を忍ばせ去っていく。

ミスティ カムイ! 今の人、わたしの胸触った!

カムイ (刀抜いて)なにぃ! ぶった切ってやる!

男 待て待て待て待てー!

GM えー、男は裏タマットの密偵と名乗るよ(笑)

ルカ 誰であっても女の敵! 許せない!

カムイ 密偵密偵と名乗るなんて、怪しいな(PLは笑)

密偵 言わなきゃ、あんたらに殺されるだろーが!

ダルシス で、その密偵さんが、ミスティさんに何の用です?

密偵 その手紙に書いてあるから、読んでくれ。

カムイ なんで、直接言わんのだ?

密偵 カッコよく情報を渡して、去っていきたかったんだよ!

一同 (笑)

ミスティ じゃあ、手紙読んでみますです。

GM 件の、体が鉄に変わる病気、鉄化病の調査報告だね。病気の治し方じゃなくて、どこから始まって、どう広がっていったか。

カムイ これを渡して、俺たちに何をしてほしいんだ?

GM まだ続きがある。それを裏タマットやガヤンが追って行ったら、闇タマット『蜘蛛の牙』が拷問用に作ったもので、仕掛けた相手に逃げられたのが始まりらしい。

アレク 細菌兵器ですな。

ダルシス その治療薬の原料を持っている私たちは、『蜘蛛』にとって邪魔者と言う事ですか。

密偵 それだけじゃないぜ。他の闇タマットも、治療薬があれば『蜘蛛』への牽制にもなるし、単純に金にもなる。

カムイ バドッカ中の闇タマットに、狙われるってわけか(苦笑)

密偵 タマットやガヤンも、全力であんたらをサポートする。途中の宿場町には話が付いているから、着くたびに挨拶に行ってくれ。夜の見張りくらいはやってくれる。だが、メトークスを守るのは任せたい。

ダルシス ダミーケースも用意していただけますか? あと、その運び手も。

密偵 ああ、もちろん。すでに、いろんな奴らに運ばせている。それと、バドッカが雇った凄腕の魔術師がいるんだが、今日、あんたらに合流する。って、書いてあったんだけどしゃべっちまった。その手紙は焼いといてくれ。

GM と言って、密偵は去っていく。

カムイ 自己消滅はしないのか(笑)

ミスティ じゃあ、メッセージは燃やすです。

カムイ 俺らも、ダミーのケース一つ持っておくか。ケースはアレクと俺で運ぶとしよう。

ルカ バドッカまでの道、ずっと気を張ってるのはきついけど、油断はできないわね。

アレク 酒も、蓋を開けてないものしか飲まないようにしなきゃなぁ。

カムイ ところで、凄腕の魔術師が合流するって話だったな?

GM うん。宿に戻ると、一階の酒場に魔術師風の男がいる。魔術師の割に体格の良い美男子だ。では、PLE、よろしく。

魔術師 カムイさんだな。俺はシャモン。密偵から聞いていると思うが、バドッカに雇われた魔術師だ。護衛として、あんたたちに同行する。

ミスティ 《敵感知》!

GM たぶん敵じゃないよ(笑)

カムイ 何ができるんだ、あんた?

魔術師→シャモン 《凍傷》*225レベルに、《瞬間回避》*320レベルだ。「身体感覚」*4レベルも高い。補助魔法はまるでないが、戦闘では役に立つぜ。…バーサークしなけりゃな(笑)

アレク なぜ魔術師でバーサーカー(笑)

 

 他にも「人の行動に点数を付けたがる」嫌な行動や、「魔術師の名誉」。契約は必ず守るという「誓い」を持つこの男。ミスティの《敵感知》には無反応だったのを信じて、PCたちは一応シャモンを歓迎する。

 

GM では、ミールを出て、またしばらく進むと、ムーダという、小さな宿場町に着く。町というか村だね。

カムイ 言われた通り、ガヤンとタマットに挨拶に行くぜ。

GM 小さな村なので、タマットは無い。じゃあ、ちょっとサイコロ振って。

一同 (一斉にころころ)

GM ガヤン神殿も交番みたいな小さなところなんだけど、ミスティ、中で誰かが息を潜めている感じがする。

ミスティ 待って、カムイ。交番全体を覆って《生命感知》。

GM 入り口に4人。奥に2人だ。

ミスティ 《集団誘眠》で全員巻き込めます?

GM いけるね。

ミスティ 成功度5。今、突入して、みんな!

GM その成功度なら、全員寝てるね。

シャモン 見事な連携だな。90点だ。

GM 眠っているのは、フードを被ってブロードソードで武装した3人と、人質らしき中年女性一人。奥ではここのガヤン信者だったのであろう中年男性一人と、その息子らしき子供が簀巻きにされてる。・

ルカ 大丈夫!? 助けに来たわよ!

カムイ こいつら、無関係の人間を巻き込みやがって!

ダルシス 尋問しましょう。

ルカ 何もしゃべらなくても、心を読んであげるわ。

 

 襲撃者は『噛み砕く顎』*5という、バドッカ5大闇タマットの構成員だった。カムイたちが本物のケースを運んでいることを知っていたわけでは無く、ケースを持っている一団を斥候の一人が見つけたのでこの村で待ち伏せしていたらしい。

 また、宿の方にも仲間がいて、宿の主人に変装しているとの情報を得た一行は、逆に宿を襲撃。闇タマットは、主人夫婦を人質に取ろうとしたが、シャモンの《凍傷》の前に氷づけにされる。

 

シャモン 戦力の分散とは下策中の下策だな。10点だ。

カムイ やるな、あんた。

シャモン まあな。伊達に凄腕と言われてないぜ。俺もさっき言われたのが初めてだったけどな(笑)

 

 PCたちは、村長に襲撃者の件を伝える。ガヤン駐在や酒場の主人の証言もあり、PCたちの話は信じてもらえた。

 また、村長から、ここ数日、同じようなケースを持った冒険者が襲われる、同じく配達中のミュルーンが飛んでいたところ狙撃されるなどの被害が相次いでいるとの情報も得る。

 

カムイ 本物も偽物もお構いなしか。

ミスティ なんで気付かなかったんだろう。ケースを「偽装」しておこう。できるだけ可愛くデコレーションして(笑)

ルカ もう一つは赤と青の、めでたい色にしましょう(笑)

シャモン いいセンスだ。20点(笑)

 

 その後は、酒を買うにも《敵感知》して、毒見も欠かさない。眠るときには《見張り》と《番犬》*6。《持続光》は必ず手の届く位置においておく、シャモンと二人きりになることも含め、単独行動はしないと、徹底的に警戒するPCたち。

 おかげで、スリに化けてケースをスろうとしたり、宿に忍び込んで盗もうとした闇タマット『七本目の指』や、カムイを誘惑しようとした『朱色の暗黒』らも無事退けることができた。

 

カムイ 意外にセコイな、闇タマット(笑)

ミスティ そのセコイのに引っかかりかけてたのは、誰だっけ?

GM 闇タマとしても、無暗やたらと殺すと角が立つし、そもそも誰が本物持っているのかの情報も曖昧なままだからな。

 

 そして、バドッカまであと二巡り(14日)というところで…

 

ルカ (ガープスマジックを眺めていて)あれ? GM、あたしの《進軍》って魔法、これって長距離移動の速度が倍になるって書いてあるけど、馬にかけることってできないの?

GM (確認して)できないとは書いて無いから、できるわなぁ(苦笑)

 

 ルカのデータの半分はGMが組んでおり、プレイヤーが知らない魔法があるのも仕方ない。いつ気付いたかの知力判定をしてもらい、その成功度+5日数分すでに進んでいたことにしようとしたところ…

 

ルカ 1ゾロ! 10成功よ!

一同 おー!(歓声)

ルカ 15日分だからもう到着してるわね。出発してすぐに気付いたみたい(笑)

 

 歓声を上げているが、今回のシナリオはバドッカに着いてからが本題だ。

 ソイル選王国側から、アナルダ様の治めるベルンクースを通って、バドッカ入口に戻ってきたPCたち。

 到着早々、ガヤンの格好でケースを受け取りに来たと騙そうとした、闇タマット『闇の千の目』の構成員との戦闘が起こるが、あっさり撃退。しかし、率いていたボスには逃げられる。

 

セルジオ お嬢さんたち、また会えてうれしかったよ! では、さらばだ!

ルカ おじ様待ってー!

ミスティ また逃げられたー!

 

第二章【バドッカ大作戦】

GM メトークスを届けるリュウ・シャルルは、左目地区の施療院にいるはずだけど、どこから向かう?

 

 バドッカの入り口に当たる口地区から、左目地区に抜ける道は5つ。

A:大階段。バドッカの脇を通り左目区の目じりあたりに抜ける、最もスタンダードな道。

B:魔法の昇降口。魔法のエレベーター。お金はかかるが、一気に左目区へ抜けることが可能。

C:裏階段。口地区奥から、左目区まで螺旋階段が続く狭い空間。滅多に使う者はいない。

D:翼人*7の渡し。一人10ムーナほどで、翼人が籠に入れて上まで運んでくれる。

E:崖を登ったり、《飛行》などの魔法で、直接目に向かう。

 

カムイ 敵をおびき出すには、狭い場所であえて襲撃させるのもアリなんだけどな。

アレク 敵が直接挑んでくるとは限らないからな。狭い場所で《集団誘眠》なんてかけられたら、目も当てられない(笑)

ミスティ そういえば、ミリスも闇タマットかも知れないんだよね。

ダルシス セルジオも出てきましたからね。今までの敵オールスターかも知れません(笑)

カムイ ディオスの奴もいそうだな。

 

 残念ながら、ミリスもディオスも『蜘蛛』所属というわけでは無いため、今回は出番無し。(リプレイは最終回だが、ゲーム自体はこの後も続けている)

 

ルカ 昇降口や裏階段は怖いわね。

カムイ シャモン、あんたは何か意見は無いのか?

シャモン ここで俺が言った場所で襲撃されたら、スパイ扱いされそうだから何も言わん(笑)

ダルシス 賢明な判断ね(笑)

 

 さらに、崖を登ったり、翼人を利用するのは全員で一度に行動するのが難しいため、一番無難な大階段で向かうことに。

 

GM では、大階段。4、5人が並んで歩ける程度の広さだね。商人の一団や冒険者なんかともよくすれ違う。

カムイ どいつもこいつも、敵に見えるなぁ(苦笑)

ミスティ いきなり刀振り回したりしないでよ、カムイ。

カムイ 俺は、「かんしゃくもち」じゃねーよ(笑)

ルカ は!? あたしそういえば、「かんしゃくもち」だった! こんな状況耐えられない! ムキー! 襲ってくるなら来なさいよー! とか言って、バトルファン振り回していよう(笑) ついでに目立てて一石二鳥(笑)

カムイ そんな目立ち方で良いのか(笑)

ダルシス これで、襲撃者以外は近づこうとしないでしょう。いい手かもしれません(マジ)

アレク いや、ガヤンが来ますよ?(笑)

GM まー、ガヤンや闇タマ以外は近づきたくないわな(笑) そんな感じで大階段を上っていくと、上から壺を抱えた油商人らしき一団が見える。

油商人 おっと、手が滑ったぁ!?(棒)

一同 わざとらしすぎるわー!(笑)

GM そんな感じで、一人が壺を落とすと、他全員バランス崩して次々油がまかれる。3秒後には到達するね。階段全体覆うほどの量なので、よけるのは不可能。敏捷-5に失敗すると転ぶ。階段だから、転ぶとかなりやばいかも。

ルカ 《空中歩行》をカムイ君とアレクに!

カムイ 《空中歩行》がかかったら、姉さんを抱いて空に逃げる!

ミスティ わーい。

アレク 私はルカさんを! すいません、ダルシスさん! あなたなら平気そうな気がしたんです(笑)

ダルシス 敏捷は一番高いからね。転んでも「軽業」もあるし、良い判断よ。今は「登攀」で、壁を登りましょうか。

シャモン 俺も《飛行》で飛ぶぜ。あんたを運びたいが、俺の体力じゃ無理だ(笑)

ルカ アレク、ダルシスに近づいて。彼女にも《空中歩行》よ。

ダルシス ありがとうございます。

シャモン 今の作戦、俺たちじゃ無かったら、やられてたかもな。だが、リサーチ不足ということで40点だ。

カムイ じゃあ、商人たちのかなり上の方まで移動して降りるぜ。

GM 商人たちは、それに走ってついて来る。10人くらいいるね。お怪我はありませんかとか言いながら近づいて来るけど?

ルカ あんたたちが襲撃者ね、ムキー!

ダルシス ルカさん落ち着いて。

カムイ 近づいてきたなら、抜刀して服の一部を切る。怪我はないからとっとと失せろ。これ以上近づいたら叩き斬る!

GM 商人たちは気にせず近づいてくる。

ミスティ (ピンと来たらしく)そいつらに《沈黙》!

カムイ 遠慮なく切って、蹴っ飛ばす。

GM では、商人軍団は「人殺しだー!」 と叫ぶけど、《沈黙》のせいで声は届かないな(笑)

ミスティ ふふん。

シャモン ナイスな判断だ。80点。

GM 仕方ないから短剣を抜いて実力行使に出ようとするけど、勝負にならんからまあいいや。カムイに蹴っ飛ばされた奴が仲間の裾を掴んで、そいつがさらに別の奴の裾を掴んでって感じで、芋づる式に階段を転げ落ちていく。自分たちが撒いた油があるから、止まれずにね。

カムイ 油商人のフリすんなら、真面目に仕事してないで油でも売ってりゃいいんだよ!

ルカ カッコいいのか、悪いのか(笑)

 

 その後も…

 

翼人 疲れていませんか? 格安で送っていきますよ?

ルカ うるさいわね! 《音噴射》!

翼人 しびびびびー!

 

 あの手この手で

 

冒険者風の男 (わざとぶつかってきて)おい、どこに目えつけて歩いと…

ダルシス 関節極めます。

冒険者風の男 あだだだだー! すまん、俺が悪かったー!

 

 ケースに近づこうとする連中を

 

ガヤン風の男 ガヤン神殿です。先ほどからバトルファンを振り回しているあなたにお話が…

ダルシス 所属神殿と氏名、どこのチームか教えてください。

ガヤン風の男 え? 〇〇神殿の××で、△△高司祭のチームですが…

GM そんなチーム聞いたことないよ。

ダルシス 偽ガヤンですね。

ガヤン風の男 くそ! 大人しく付いて来てりゃ、怪我せずすんだものを!(剣を抜く)

カムイ じゃあ、叩きのめさせてもらうぜ。

 

 次々撃退し、PCたちは左目地区100メルー通りに到着する。

 

GM リュウの家は、施療院は100メルー通りのちょうど真ん中くらいにあるんだが…

バドッカ住民 大変だー! 暴れ牛が来たぞー!

GM と、君たちが向かう方向から牛の群れが! 数は9頭。50メルー先から移動力10で突っ込んでくるよ。

カムイ ええい! またセコい方法を!(笑)

ダルシス 路地裏に入りましょう。

GM すると、一旦通り過ぎたと思ったら、旋回して路地に逃げ込んだ君たちを追ってくる。

アレク 魔法で操られてるのか?

ミスティ 《集団誘眠》は疲れるから、狭い路地に《べたべた》! 最初の一頭が倒れれば、他も倒れるでしょう。

牛 ぶもー! どどどどどー!(鳴き声&擬音)

 

 暴れ牛を撃退した後は特に妨害もなく、リュウ・シャルル施療院に着くことができた。 

 

GM 職員も警備員もマスクに手袋と、感染予防はしっかりしている。あと、君たち以外にも、ケースを持ち込んで謝礼を受け取っている人が何組かいるみたい。

アレク ああ、ニセケースの運び屋か。

カムイ じゃあ、俺たちもマスクと手袋借りて、リュウにケースを渡すか。

ミミスティ これで依頼終了…だといいなぁ。

ルカ もうひと悶着ありそうよね(笑)

カムイ じゃあ、病院に入…

ミスティ ! 待って! 《敵感知》! パワーストーン使って、病院内の出来るだけ広範囲に!

GM (ちっ!)

シャモン お、今、GM、「ちっ!」て顔したぞ(笑)

GM ミスティの予想通り、病院内に、敵意がある奴らがたくさんいるね。

アレク 闇タマに占拠されてる? それとも、紛れ込んでるだけ?

ミスティ 警備員に話しかけます。ここのお医者さんや看護婦さん、何人くらい働いてるんですか?

警備員 (反応判定して「最高」)30人はいるんじゃないかな?

GM 敵の数は、少なくとも20はいたよ。

一同 (どよめく)

アレク いや、だとしたら、治療はどうやってるんだ!?

ミスティ 『蜘蛛』が作った病気なんだから、『蜘蛛』なら治療法なり、進行を抑える方法くらいは知ってるのかも。

ダルシス では、敵は『蜘蛛』ですね。今は怪しまれないように治療しているようですが、もしメトークスが奴らの手に渡れば…

ルカ 考えたくもないわね。

カムイ ガヤンと裏タマに行くぞ。このことを報告しないと。さすがに、患者がいる中30人の相手はできん。

GM そんな事を話してると、看護婦さんが君たちを見つける。

看護婦 あら、ケースをお持ちのお方ですね。そちらをお渡しください。

カムイ ニセケース渡して、ついでに配送料ももらっておいて、さっさと行くぞ。

 

 危険ではあるがルカ、ダルシス、アレクとカムイ、ミスティ、シャモンに分かれ、ガヤン神殿と裏タマットに向かうPCたち。

 ガヤン組はヤン・クレードやログナー神官に状況を伝え、応援が出せないかと聞くが、証拠がない現状では動かせないと言われる。

 

ヤン せめて、本物のリュウさんが見つかって、証言してくれれば…

ダルシス 彼が見つかればいいんですね。

 

 ミスティたちも裏タマットへ行き情報を伝えるが、裏タマットの情報屋、『眠り目』や『早耳フリッツ』にとっても寝耳に水だったらしく、今から情報を集めるとのこと。リュウの場所も探してみるが、時間はかかるだろうと言われる。

 

ミスティ わたしたちも探そうよ。

シャモン だが、どうやって?

ルカ あ、そうだ。リュウさんの家って、どこか教えてもらえない? 私物があれば、ミスティちゃんやあたしなら探せるわ。

ヤン 分かりました、住所をお教えします。

アレク なんで敬語なんだ、ヤンの奴?

ルカ 忘れてるかもだけど、あたし青の月の高司祭よ(笑)

ダルシス 私も、ガヤンの神官ですからね。

 

 我家である『跳ねる飛び魚亭』や、ルカの家も見張られている可能性を考え、帰るのは止める一行。

 ただ、カリスティナ家の両親は南の島に行っているので大丈夫だろうが、ソニアは心配なので夜にミスティが忍び込み、しばらくガヤン神殿に保護してもらうよう伝える。

 

ミスティ 自分の家に忍び込むことになるなんて、思わなかったなぁ。

カムイ 俺は夜遊びした後は、いつでも忍んで帰ってきてたぞ。

GM カムイの「忍び」技能って、そのためか(笑)

カムイ 敏捷は高いからな。起きてる時ならともかく、寝てる姉さんに気付かれないくらいは余裕だ(笑)

ミスティ はっ!? もしかしてダルシスさんに夜這いを…?

カムイ かけたら俺が死ぬ(笑)

 

 実はカムイたちがニセケースを渡した段階で、本物のケースは持っていないと闇タマット達は判断したため、『飛び魚亭』やカリスティナ家はもう見張られていない。しかし、PCたちにそれを確認する術は無い。

 適当な宿を取り、夜のうちにリュウの家に忍び込み、私物らしき白衣をゲット。《方向探知》と《追跡》を使う。

 ミスティの《方向探知》に従い、バドッカ鼻地区のスラムへやってきた一行は、古びてもう使われていないガヤン神殿に着く。

 

ダルシス 昔のガヤンの牢屋を、そのまま使っているのでしょうか。

アレク 私の「建築」で、建物の中を把握できませんか?

カムイ そんな技能持ってたのか。

アレク 役に立つこともあるかと思ってね。レベルは11なので、あまり頼りにはならないけど(笑) (ころころ)成功ですな。

GM ならば、神殿の南西側に地下があると推測できる。リュウの反応もそこだね。

ミスティ そこを中心に、《生命感知》。

GM 地下に三人。上階に六人。離れたところに二人だ。

ミスティ じゃあ、地下の三人だけをめがけて、「衰弱している人間」の《生命感知》。

GM なるほど。三人ともかなり衰弱してるよ。

ミスティ 地下の三人に敵はいないと思う。ただ、上の階の六人が一人でも下に行かれると、その人たちが人質に取られる。

ダルシス 《魔法の目》でもあれば、偵察もできるし、シャモンの《他者転移》で誰かを先に送ることもできるのですけど。

シャモン あ、あるよ、《魔法の目》。

一同 あるのかよ(笑)

ミスティ 《生命感知》いらなかったです…

シャモン 気づいたダルシスには70点だ(笑)

ダルシス 関節極めてあげましょうかね、この男…

シャモン すいません、勘弁してください(土下座)

 

 プレイヤーが初魔法使いなのだから、仕方がない。…それを言うならルカもだが。

 ともかく、シャモンの《魔法の目》で神殿内を偵察。上階の6人は酒盛りをしており、少し離れたところに、暇そうにしている見張りが2人。地下の3人は命に別状はなさそうだが、確かに衰弱していた。

 捕えられている3人が何者なのかは、「地域知識」に失敗したシャモンではわからなかったが、その場所へ《他者転移》させることは可能。鎧も体重も軽いダルシスとシャモン自身を転移させ、他のメンバーは正面から突撃という流れに。

 

カムイ シンプルで良いね。

ダルシス では、私たちが転移した後、10秒後に行動してください。「身体感覚」に失敗しても、その頃には意識も戻るでしょう。*8

シャモン じゃあ、行くぜ。《他者転移》。そして、《瞬間移動》(ころころころころ)両方成功だ。

GM では、二人は消えた。

ミスティ 10秒数えている間に、《韋駄天》と《倍速》をカムイに。

ルカ 同じくアレクにかけるわ。

ダルシス …今更気づいたけど、シャモンが敵の可能性もあるんですよね。

シャモン まだ信用されてなかったの!?(笑)

カムイ 敵だったらその時はダルシスさんに任せるしかない(笑) じゃあ、行くぜ!

GM さて、見張り2人は突然の襲撃に驚いてはいるが、すぐに起き上がり奥に逃げだす…けど、《倍速》《韋駄天》があるから追いつかれるな(笑)

 

 見張りABは、なんとか叫び声をあげて仲間に襲撃を知らせることはできたが、あっさり気絶。カムイ&アレクは、《倍速》の効果が切れる前に奥へと走る。

 

GM では、上階で酒盛りしていた6人のうち4人は、最初から臨戦態勢だ、2人は地下へ続く階段を向かっている。

カムイ 闇タマットども! 死にたい奴だけかかってこい!

 

 闇タマットも一般的に見れば優秀な戦士ではあるが、カムイたちは達人クラス。人質を脅しにも使えない4人は、ほとんど何の抵抗もできないまま戦闘不能に。下の奴らを人質にしようとしていた2人は、ダルシスとシャモンにあっさり倒された。

 

シャモン 人質の傷を治すぞ。

GM いや、衰弱しているだけで外傷はない。

ダルシス リュウさん、無事ですか?

リュウ ああ、あなたはダルシスさん。ええ、大丈夫です。それより、施療院が…

ダルシス ええ、知っています。

ミスティ 他の2人は誰なんです?

リュウ 鉄化病の研究者と、私の施療院以外で患者を受け入れている施設の院長だ。

アレク では、そちらも?

リュウ ああ、恐らく闇タマットに抑えられているだろう。

カムイ 急いだ方が良いな。こいつらが解放されたと知られたら、奴ら何をしでかすか…

 

第三章【異形の『蜘蛛』】

 急ぎ、ガヤン神殿と裏タマットへ向かい、リュウの救出を知らせる一行。切迫した状況を知った両神殿は、二刻(3時間)以内にガヤンやジェスタの機動部隊と傭兵団。冒険者たちを集めて、行動を起こすことに。もちろん、PCたちも協力すると約束する。

 

アレク 患者たちはどうなるのですか?

GM 基本的なガヤンの突入スタイル。部屋に入って《閃光》して犯人確保に、ジェスタが加わって患者の保護も行う予定。

ルカ 突入組も感染しない?

GM するだろうけど、リュウの知識と施設。君らが持ってきたメトークスさえあれば、即効性の特効薬を作れるとのこと。今回に関して言えば、君らは突入する必要はないんだけど?

カムイ 俺は腕試しだ。

ミスティ 好奇心が抑えられないですです(笑)

ルカ 困っている人を助けるのは、カリスティナ家の家訓! 目立ちたいし(笑)

アレク 目立つ、目立たないはともかく、前半部分は私も同じです(笑)

ダルシス 私はガヤンですから。

シャモン 契約内容は「メトークスを施療院に届ける」だ。まだ契約は果たしていない。

GM 全員戦う理由はあるわけね。じゃあ、恐らく偽物のリュウ・シャルルが敵のボスクラスだろうから、できればそいつらの相手は頼みたいってさ。

カムイ 言われるまでもないぜ。

ミスティ あ、突入前に、カムイとアレクに《幸運付与》しておくね。

カムイ ありがとう、姉さん。

 

 そして、二刻後。

 今回の作戦は、スピードと隠密が命。最低限の打ち合わせをした後は、掛け声や激励もなく、即座に行動に移る。各部屋に閃光が煌めき、「確保」「クリア」の声が聞こえる中、PCたちは偽リュウのいると思われる診察室に向かう。

 

GM 偽リュウは、診察所の窓から飛び出し逃げだす。

ミスティ 距離は?

GM 15メートル。移動力は7だね。

ミスティ 《集団誘眠》は間に合わないです!

シャモン 15ならギリギリ《凍傷》行けるか…(ころころ)失敗だ。

GM 外にいた5人の警備員たちも、リュウの後を追っていく。

カムイ 姉さん、《倍速》を!

GM と、言ったところで、広い街道に出た偽リュウは、足を止めて君たちの方を向く。

カムイ どうした、観念したか? 俺としては〈悪魔〉変身でもしてくれると嬉しいんだが。

GM (へクスシートの上に駒を配置しつつ)警備員たちも遠巻きに警戒してる。

ダルシス (駒の配置を確認して)まずい、これは…

リュウ ほう、気付いたようだな。そう、私は逃げたのではない。貴様たちを追い込んだのだ!

GM と言いつつ、変身する。警備員も一緒に。

ダルシス やはりそうでしたか。ガヤンやジェスタじゃ無くて、警備員って言っていましたもんね。正体は奴と同じ闇タマット!

シャモン いや、それより、変身ってなんだ? やっぱり〈悪魔〉?

 

 〈悪魔〉と言えば、〈悪魔〉かも知れない。白衣を脱ぎ捨てた偽シャルルの体は肥大化。2メルーを越える巨人となった。全身は黒光りする甲虫の殻に覆われ、アクスやメイス、戦闘用ピッケルを構えた4本の腕と、巨大な鋏のような頭部はクワガタ虫を連想する。

 

リュウ→ゴーマ 俺の名は橄欖石ペリドットのゴーマ! 

GM 警備員たちは、右手に尾の針が生えたスズメバチ人間、腕のない蛾人間、蟻人間3体に変身。

ゴーマ 〈鉄の姫〉様から授かったこの力、貴様たちで試してやろう!

ルカ 昆虫人間で〈鉄の姫〉って、もしかして…

一同 スティニア昆虫兵団!?

カムイ いやいや、待て。まだスティニア戦争*9、始まってないよな?

GM せやな。

シャモン て、ことは、昆虫兵団の試作型?

アレク まずい、このGMのことだから、試作型だからバランス悪い代わりにめっちゃ強いって設定に決まってます!(笑)

GM (あ、そうしとけば良かった。)

カムイ 一瞬ビビったが、昆虫兵団を知らない俺らからすりゃ〈悪魔〉と変わらんな。お前たちこそ覚悟しやがれ!

GM じゃあ、まずはイニシアティブだ。

 

 先手を取ったのはルカ。蟻人間の方に向きを変えつつ、「朱雀」「青竜」を広げ、ダルシスが空を飛びそうな蛾とスズメバチの相手をすると言うので、《空中歩行》の集中に入る。

 

ルカ 《空中歩行》使ったら、《音噴射》で攻撃してみるけど、多分効かないから、早く他を片付けて助けに来てね!

 

 ダルシスは、ミスティを守るため、スズメバチ&蛾人間の前なるように移動。ミスティはダルシス、ルカの後ろに下がる。シャモンは《凍傷》でゴーマを攻撃してみるも、高い「魔法耐性」*10を持つゴーマには通用しない。

 

ミスティ 《集団誘眠》も無理そうだね。

シャモン 発動-5なら、少しでも近づけば効きそうだな、ミスティの前に移動するか。

 

 この行動がまずかった。

 

ミスティ なんか、あなたに近づかれると、《他者転移》でどこかに飛ばされそうで怖いんだけど?

シャモン まだそれ言われるの、俺?(笑)

 

 そして、GMのターン。

 

GM ゴーマはどたどたと移動し、4本の腕+顎で5回攻撃だ。

一同 五回!?

GM もちろん、それぞれの手に持った武器は準備なしでぶん回してくるぞ。

 

 しかし、いかにパワーがあろうとも、当たらなければどうということは無い。カムイ、アレクに攻撃が分散されたこともあり、二人は軽々全ての攻撃を捌く。

 

カムイ 一瞬ビビったが、技能レベルは高くなさそうだな。

アレク けど、万が一のクリティカルがあるからなぁ。

 

 蟻人間は移動しつつスピアで突いたり、蟻酸を飛ばしたりするも、ルカは華麗に回避。呪文の維持にも成功する。しかし、我慢強くない彼女は一撃受けると総崩れになるため、プレイヤーは冷や冷やもの。

 ダルシスは飛んで移動してきたスズメバチのフェイントを見切ることができず、次の行動の能動防御に-7を受けることに。蛾は飛び上がり、戦場に毒鱗粉をまき散らした。

 

ミスティ 嫌な予感がする…

GM 全員生命力抵抗。失敗すると防護点無視の1Dダメージ。

ミスティ やっぱりー!? 生命力判定失敗。ダメージは3だけど、いたいいたいいたーいー!(「痛覚過多」)

カムイ 姉さん!?

シャモン 俺も失敗だ。4点食らったけど、(ころころ)バーサークはしていない。

カムイ 範囲攻撃はヤバい! アレク、付与された幸運を無駄遣いしてくれ。今のままじゃ、姉さんが幸運を使えない!

アレク じゃあ、自分に《鎧》かけたいから、次のターンの集中維持に使うか。上手くいけば、防護点13になる。

カムイ いや、相手の手数が多いから確実じゃない。…よし、俺が全力防御よけ+2でアレクの前に立つ。アレク! 時間は稼いでやる。ただ、その後はしばらくこいつを任せる。

アレク 助かる。そして、任せてくれ。その間に、ミスティちゃんを助けて来い!

 

 第2ターン。

 ルカは《空中歩行》をダルシスにかけた後、蟻人間を殴るが盾で防がれる。

 

ルカ 蛾に《音噴射》してみたいけど、こいつらがミスティちゃんのとこに行くのもまずいのよねぇ。

ダルシス 私も蛾を攻撃したいけど、次のターンまず間違いなくスズメバチが目を狙ってくるのよね。…いや、私「自信過剰」だった! ミスティちゃんのためにも《死の手》をかけて、蛾に跳びかかる!

 

 ミスティちゃん、同性からもモテモテである。

 この跳びかかりで蛾に組み付くことに成功したダルシス。蛾はダメージを受けるも、戦闘不能には至らず。シャモンも向きを変え、蛾に《凍傷》を使うが、距離と痛みの修正で不発。

 カムイは、ゴーマの攻撃を《幸運付与》の補助もあり、見事一人で捌き切る。

 ダルシスは、フェイントが7点も効いていたスズメバチの攻撃を後退して見事に「受け」るが、蛾を放すことになってしまう。

 

GM ええい! 回避が高い奴にはやはりこれしかない! 蟻人間A&Bはルカに組み付き! 敏捷か格闘系技能の即決勝負で、こっちは3と4!

ルカ 「サリカの舞」で回避できない?

GM おお、カッコいいね。認めよう。

ルカ だったら、どちらもあたしの勝ちよ。おほほほほ! 捕まえてごらんなさーい。

 

 蟻Cは蟻酸の狙いを付ける。

 そして、蛾の鱗粉が再び放たれたとき、それは起きた。

 

ミスティ いたぁいいいいいい!

ルカ ああ、あたしもダメージ受けた。次のターン攻撃食らうかも…

シャモン (ころころのころころ)

ダルシス どうしました、シャモン?

シャモン URYYYYY!

一同 バーサークしたー(笑)

ミスティ …あれ、今、こいつの目の前にいるのって、わたし…?

 

 アレクはパワーストーンも使い切り、自身にフルパワーで《鎧》。幸運を使ってのクリティカル狙いは失敗したものの、これで防護点は13。体力20のゴーマの攻撃を、期待値ではじく超重装甲。いや、クワガタ人間が相手だし、超重甲とでも言っておこう。

 それを見たカムイは踵を返し、姉を傷つけた蛾のもとへ向かおうとする。彼の跳躍力と刀の長さなら、3メルー程度の高さの敵なら余裕で攻撃が届くのだ。

 第3ターン

 ルカはダメもとで《音噴射》。効かないと思った蟻人間はあっさり痺れて動かなくなる。空中戦を繰り広げるダルシスは、再び蛾に触れるが、やはりまだ倒れない。ミスティは痛みで動けない。

 そして、運命の時が訪れる…

 

シャモン (妙に嬉しそうに)杖で目の前のミスティを殴る。全力二回攻撃で5点と7点。

ミスティ (計算して)あう~…死亡判定入ってます。(ころころ)失敗。幸運使います。(ころころ)失敗…あと一回(ころころ)

一同 (固唾を飲んで見守る)

ミスティ 良かったぁ、生きてる。わたし生きてるよぉ。けど、叫び声上げる気力もなくなってる。

 

 ゴーマの攻撃は何発かアレクに命中するが、超重甲によりかすり傷。蛾は気絶し、スズメバチのフェイントは、今度は完全に見切られる。蟻人間は、痛みの修正を受けているルカを捕まえられない。

 そして、振り向いたカムイが見たものは、死にかけている姉と、姉に杖を振り下ろす魔術師の姿。

 

カムイ (一切躊躇せず)シャモンに全力2回攻撃で〈降竜〉×2だ。

シャモン いや待て! 俺はバーサーカーの特徴通り演技してるだけだぜ!?

カムイ キャラ通りに演じてりゃ何でも許されるってんなら、俺もカムイ・レグリアスってキャラを演じてるんだよ。テメエは敵だッ!! (ころころのころころ)13点と11点!!

 

 大上段から振り下ろされた一撃はシャモンの脳天に直撃し、さらに全体重をかけ刀を押し込まれ、シャモンは自動死亡ダメージに余裕で到達。こうして、シャモンは初登場回でいきなりPCの手により両断された。

 

シャモンの霊 バーサークしないように、「意志の強さ」も取ったのになぁ。

GM 意志が高いからバーサークしなんてしないなんて、机上の空論だってキャラ作の時に警告したはずだぞ。意志判定って13以上は失敗だし。

カムイ 必要なのは「幸運」と「我慢強さ」だよな。そこまでしてCP稼ぐためにバーサーク取るのはバカバカしいけど。

ルカ あのさ、違和感あるなー*11と思って確認したんだけど、バーサーカーって、「目の前の誰か」じゃなくて「敵を攻撃する」って書いてあるわよ?

GM&カムイ&シャモン ……え?

 

 シャモン、まさかのルールミスによる犬死。

 

ミスティ 響きで不利特徴取るのもいいけど、取ったなら内容調べてよね。

シャモン プレイヤーは二度もPC見殺しにされてるからなぁ。魂が恨んでてもしょうがない。

ダルシス 二度目のは、完全に自業自得だったでしょうが*12

 

 余談だが、シャモンの一番近くにいた敵はゴーマだったので、カムイに殺されなくても彼の命はそう長くなかったのは間違いない。

 第4ターン以降、蛾が倒れたことで範囲攻撃が無くなり、ルカは順調に蟻を痺れさせていく。ダルシスもスズメバチに組み付き気絶させる。

 残るはゴーマだが…

 

ルカ カムイ君に《倍速》

ダルシス 私は、カムイくんに《すばやさ》

ミスティ ダルシスさんが誰かのドーピングするの、初めて見た気がする(笑)

ルカ 自分にドーピングするのも、雨の館以来見ないわね(笑)

GM こっちの攻撃は、ピッケルが11点とメイスが15点だが…

アレク メイスで2点食らった。反撃のジェスタアクスはクリティカル! 防護点無視で9点の「切り」!

ゴーマ ぐはぁ!? 生命力がマイナスにー!

ダルシス アレクの方がボスっぽいわね(笑)

カムイ よし、じゃあくぜぇ! 倍速一回目は全力攻撃ダメージ+2で〈竜破墜天〉!

アレク とどめを持っていかれるのには、もう慣れました(笑)

カムイ あれ? ダメージは6点(3D+1で)

GM カチンだな。

一同 (爆笑)

シャモンの霊 さっき、俺を両断したのは何だったんだ(笑)

アレク おお、まだ私にもチャンスが(笑)

ゴーマ 続く攻撃でもまだ倒れんぞ! だが、こうなったら最後の手段! 全力攻撃攻撃回数増加で7回攻撃! 一人ぐらいは道連れにしてやる!

GM …あっ! その前に、ゴーマの体が電気を帯び始めるぞ!

シャモンの霊 今、「あっ」とか言ったなGM(笑)

ミスティ 忘れてたんだね(笑)

ゴーマ 第二形態だ第二形態!

 

 この電気を帯びた7回攻撃で、カムイ、アレク共に中々手痛いダメージを受けるものの、戦闘不能にさせるには至らず。

 

カムイ ダメージ+2で〈降竜〉! 12点だな。

GM (ころころ)その一撃で、脳天かち割られた。ゴーマの体は崩れ落ちていく。

ゴーマ 鉄の姫様、ばんざぁーーーーい! ぐはぁ!(死亡)

アレク 結局トドメ持っていかれた(笑)

 

エピローグ【〈鉄の姫〉】

カムイ 大丈夫か、姉さん?

ミスティ 大丈夫じゃない。すっっっごく痛かった。

ルカ あたしらには、シャモンが裏切ってミスティを攻撃したようにしか見えないのかしらね?(笑)

GM そうなるかねぇ(笑)

アレク シャモンのことだけじゃなくて、この虫人間は何なんだって、キャラクターは思うでしょうな(笑)

GM さて、戦闘が終わって回復したりしてると、どこかからか視線を感じる。

カムイ 見回してみるが?

 

 古びたサリカ神殿の上に、一人の女性が立っていた。

 蜘蛛を連想する黒い鎧を纏い、流れるような金髪と健康的な褐色の肌を持つ、美しきその女は…

 

ダルシス あなたが、〈鉄の姫〉ね?

鉄の姫 そうだ。私が、鉄の姫サレイア。

カムイ そんなところにいないで、降りてきて俺と茶でも飲もうぜ。

鉄の姫 せっかくのお誘いだが、遠慮しておくよ、カムイ・レグリアス。

カムイ お、俺のこと知ってるの?

鉄の姫 もちろんさ。あんたたちには、うちの『蜘蛛』がずいぶん世話になったからねぇ。しかも、今回は新兵器まであっさり倒しちまった。

ミスティ 強いの、あの人?

ダルシス 変身後は強いですが、変身前は、確か初期アンディたちで戦えていたはず。

ルカ え? それって無茶苦茶弱くない?*13(笑)

アレク それは禁句ですぞ(笑)

カムイ シリアスなシーンなんだから、みんな真面目にやろうよ(笑)

シャモンの霊 ふむ… じゃあ、〈鉄の姫〉の横に、幽霊の俺が現れるぞ。申し訳ありません〈鉄の姫〉様。あの厄介な女盗賊の始末、失敗してしまいました。

一同(シャモン以外) ええええ!?

GM えーっと…

鉄の姫 まあ、いいさ。報告にあった、あの男が姉のピンチに戦闘力が増す件、この目で見られたからな。よくやった。

シャモンの霊 ありがたき幸せ。と言った後、みんなに向かって、〈鉄の姫〉様に逆らとは、貴様らの点数は0だ! と言って成仏する(笑)

GM 成仏っつーか、還月かな、この世界じゃ。

カムイ シャモンの奴、本当にスパイだったのか?

GM いや、アドリブ。

一同 (爆笑)

ダルシス 彼の能力なら、もっと簡単に暗殺できたでしょうからね(笑)

ミスティ でも、ミスティは、やっぱりスパイだったかって思いの方が強いだろうなぁ(笑) 鉄の姫に言います。そんな奴をスパイに送り込んだり、病気を流行らせたり、虫人間なんて作ったり、あなたは何がしたいの!?

鉄の姫 鉄化病に関してはこっちの手違いでもあったが、みんな鉄になれば、静かになるだろうなぁ…って思ってねぇ。

ミスティ はぁ?

鉄の姫 どいつもこいつの私の頭の中に入り込んできやがってねぇ… ああアア嗚呼うるさい五月蠅い煩いウルサイぃ!!

GM 鉄の姫は、突然取り乱したように叫びだす。

ルカ こ…怖い…

鉄の姫サレイア ああ、そうだ。みんな鉄にしてしまえ。それがダメなら消してしまおう… (冷静になって)それが私の目的。

アレク なんだコイツ、電波か?

カムイ いくら美人でも、こいつは勘弁願いたいな。

鉄の姫 それを邪魔した、あんたたちの顔を見ておきたかったのさ。今日はあいさつだけだが、次に合う時は容赦しないよ!

カムイ いつでも来いよ。相手になってやる!

ミスティ わたしは、ずっと暗殺者に狙われるなんて絶対嫌だよ、カムイ?

カムイ お…おう、そうだな。いつでも正面から来い! 相手になってやる!(笑)

鉄の姫 面白い奴らだ。次に会う前に、寝首を掻かれたりしないよう気を付けるんだね。

GM そう言って、鉄の姫は去っていく。

ダルシス 宣戦布告…でしょうか?

ルカ あいつを放っておいたら、たくさんの人が不幸になるわ。あたしは、戦う!

アレク 私もです。

ミスティ あうー…(緊張が解けたのか突然幼児化)

カムイ 大丈夫、姉さんは俺が絶対守るって。

ミスティ うん!

 

 その後、彼らの持ち込んだメトークスによって、鉄化病の特効薬が開発され、バドッカは束の間の平穏を取り戻しました。

 記録として残っている彼らの冒険はここまで。けれど、彼らの冒険は、ここで終わってしまったわけではありません。この後も彼らは、『蜘蛛』の手で〈悪魔〉を植え付けられた少女を助け*14、古代の遺跡で見えざる〈悪魔〉を倒し*15、彷徨いの月の種族を奴隷にしていた、闇タマットを壊滅させました*16

 この物語が終わった後も、バドッカでは大きな争いが何度も起きました。帝国とスティニアの調停式での内乱*17。〈黄金の姫〉との決戦*18。神の力を巡る月に至る子らの戦い*19など…

 それらの戦いに、彼らの記録はありません。ですが、彼らはきっと、この場所で戦っていました。困っている人を助けるため。弱き者を救うため。大切な人を守るため。強い相手と戦うため。目立ちたいため…

 彼らに会いたければ、バドッカ左目地区、『跳ねる飛び魚亭』を訪ねてください。今でもきっと彼らはそこにいます。トラブルを解決してほしいと思っているなら、少しの報酬と、好奇心を刺激する何かで、彼らは力になってくれるでしょう。

 美しい女性や、渋いおじ様なら、特に歓迎されますよ。

シャストア神官 ソニア・ロクファーヌ著

最終話【鬼面の都市の冒険者アドベンチャラーズ】ー完ー

ガープスルナルカムイ伝ー未完ー

*1:音声が撮れていなかったためリプレイにはできないと注釈があった。

*2:目標を氷付けにする攻撃魔法。25レベルにすることで集中、疲労無しで使えるようになる。

*3:攻撃を瞬間移動して回避する魔法。20レベルで疲労しなくなる。

*4:この技能がないと、瞬間移動後、一時的に行動不能になってしまう。

*5:武闘派の闇タマット組織。

*6:共に、範囲内に誰かが入ってきたことを術者に伝える魔法。

*7:銀の月の神を崇める、コウモリ人間。ミュルーンと比べると、特撮の怪人のような姿をしている。

*8:「身体感覚」の失敗は、1ターン行動不能のみなので勘違い

*9:ルナルサーガ世界で、このリプレイ舞台の3年後にスティニア低地王国が起こす戦争。その戦争でスティニアは、人間と動物や昆虫を掛け合わした異形の兵団を投入した。

*10:魔法の発動判定そのものにペナルティをかける有利特徴。回復魔法などの発動値も下げてしまう。

*11:ルカのプレイヤーは、アルリアナ信者のバーサーカー娘を演じていたことがある。

*12:冒頭のグーギに蹴り殺されたエルファの件

*13:GURPSのルールに習熟していない時期に作られたため、リプレイ第一部のメンバーはお世辞にも強いとは言えなかった。なお、正確にはリプレイ初期に鉄の姫と戦ったのはサーライト。彼も個人の戦闘力はそれほどではないが。

*14:追加サプリ「鬼面都市の冒険」第4章「花束を、君に」の改変。手書きリプレイは、これの導入まで書かれている。

*15:追加サプリ「月を追うものたち」第1章「笛のごとく、そは響く」の改変

*16:同第3章「とまどいの刃」の改変

*17:ルナルサーガリプレイ第1部

*18:同第3部

*19:同月に至る子3巻