第5話【DOLL】
ゲームが始まる前に
今回は、ジークやカガヤが入院している間、<看護都市>レナにやって来たザインとルイーネに起こった出来事をプレイしてもらうために、他の皆より一時間早くプレイヤーAに来てもらっていた。
GM じゃあ、他の皆が来る前に終わらせたいんで、準備してくれ。
ザインのPL 分かりました。(鞄の中を探しながら)・・・・・・あれ?
GM どうした?
ザインのPL すいません。ザインのキャラクターシート忘れてきました。
GM ・・・・・・。
ザインのPL すいません!今すぐ取ってきます!
プレイヤーA氏の下宿から、ゲームプレイする予定だった場所まで自転車で往復約一時間。プレイヤーAが戻って来る頃には、他のメンバー全員が揃っていましたとさ。
瞬間、心重ねて
GM 予定は狂ってしまったが、ゲームを始めよう。他の皆は茶々入れでもしていてくれ。
ジークのPL ラジャー!またはウォンチュ!(古い)
カガヤのPL 茶々入れなら、まかせなさい(笑)。
GM ジークたちが出発して一巡り後。ザインとルイーネ、それにガヤンの交換捜査員数名は、出発の準備をしていた。
ザイン ルイーネに服でも買ってあげるべきかな?
カガヤのPL どんな服選ぶ気?
ゲストキャラのPL ここは思いっきりゴスロリファッションで(笑)
ザイン 却下。多分僕が選ぶと、流行より安さと機能性重視の服になるだろうね。レインに任せる。
ジークのPL 女心がわかってないやつだなぁ。
ザイン そう言われてもね・・・
GM 任せられると、流行の最先端を行く高級カジュアルファッションで整えられるぞ?
ザイン また無駄遣いして。
レイン これくらい当然よ。あ、そうそう、あたしも<看護都市>に着いて行くからよろしく。
ザイン 来てくれるの?
レイン もちろん。ザインもあたしがいないと困るでしょ?
ザイン うん。・・・まあ、そうかな(苦笑)。
レイン なによ、その曖昧な返事と苦笑いは?
GM てなわけで、ザインにレイン、ルイーネと、交換捜査員3名を乗せた馬車は<看護都市>レナへと向けて出発した。
ザイン ルイーネの声はどうなりました?
GM 旅の途中で治った。けど、人見知りする性質なのか、声が戻っても相変わらずザインにべったりで、あまりしゃべらない。
ザイン じゃあ、レインと一緒に色々話し掛けるね。
GM すると、<看護都市>まであと一巡りといった頃には、相当打ち解けて、ちょっと硬いけど笑顔も見せてくれるようになる。ザインにこんなこと聞いてくるね。
ルイーネ あの・・・あなたのこと、なんて呼べばいいかな?
ジークのPL そりゃもう「兄たま」とか「兄くん」とか(笑)
ゲストキャラのPL 「お兄ちゃん」とか、「ご主人様」とかも良し(笑)。
ザイン 外野うるさい(笑)。(ちょっと考えて)ザインでいいよ。
ルイーネ うん・・・そう呼ぶ・・・。
ジークのPL お前には萌えがないのか!
ザイン あるけど、妹萌えよりはクール系萌えだし。
カガヤのPL 妹キャラいるじゃん。
GM 萌えで作ったってより、レインはネタだからなぁ。
ゲストキャラのPL 年下に呼び捨てというのも、それはそれで萌えかもしれん(笑)
アージスのPL そういや、妹からも呼び捨てだよな。
GM 自分も脱線に加わってなんだけど、話し進めるぞ。彼女について、約30日一緒にいて分かったことは、まず先端の尖った物に異様な恐怖を覚えていること。
ジークのPL じゃあ、俺の突き刺し用グレートソードブレイカーはダメだな。
アージスのPL 俺も<飛ぶ剣>用にナイフをたくさん持っている。
GM なんだ。目ぇ覚ましたときに一番近くにいた人になつくようにしていたんだけど、ザインになついたのは必然だったのか(笑)。
ザイン そんなものか?
GM んで、一人でいることを嫌がるくせに人見知りが激しい。ただ、初対面の人全てが苦手と言うわけではなさそうだ。記憶もまだ曖昧で、ついでに寝相も悪い。
ザイン 扱いづらい性格だね。寝相はどうでもいいけど(笑)。
GM まあね。特にザインから離れることを極端に怖がっているし。
ザイン 邪険に扱うことはしませんよ。この子もきっと不安なんでしょうし。
三つの心を一つに
GM さて、ザインたちは、特に何事もなく<看護都市>レナに辿り着いた。レインは先にこの街のタマット神殿に挨拶してくるってさ。
ザイン サリカ大病院のロビーで待ち合わせな。
レイン 分かった。
GM 君たちは本当なら市長のヴァイスと直接会う予定だったんだけど、市長は<最北都市>での市長同士の会談が長引いてしまって、今は街にいない。だから、ルイーネの姉2人と中央公園噴水前で待ち合わせすることになっている。
ザイン 行きましょう。
GM 噴水の前には、レザージャケットを着て、少し逆立てた髪を赤のかかった茶色に染めているという派手な格好だけどクールそうな女性と、アクセサリーのたくさん着いている青を基調にした服を着た、ショートの金髪の女性がいる。
ザイン あの、あなたたちがルイーネのお姉さん?
GM 君が声をかけると、2人の視線は君の後ろに隠れているルイーネに注がれる。金髪の女性、次女リリア・ハイルミッテルは、ルイーネを見て笑っているような、泣いているような顔になる。
リリア うわはぁ・・・ルイーネだ!ルイーネだルイーネだルイーネだぁ!
GM 両手を広げて抱きつこうとするリリアの襟を、クールな女性、長女のカレン・ハイルミッテルが止める。
リリア くぇ(首が閉まったらしい)。何すんのよカレン!
カレン 落ち着けリリア。確かにこの子は4年前行方が分からなくなったルイーネだ。だが、何故4年前と同じ姿なんだ?
リリア あっ・・・。
ザイン え?
GM 今の言葉に、ルイーネ自身はきょとんとしている。リリアとカレンは睨みあうね。
リリア ・・・・・・
カレン ・・・・・・
リリア てい(目突き)
カレン うわ!?(まともに喰らう)
リリア ルイーネェ!(その隙にルイーネに抱きつく)。ルイーネ、ルイーネ、ルイーネ、ルイーネ・・・会いたかったよぉ、心配したんだよぉ・・・。
GM リリアさんは突然声をあげて泣き出す。人の多い公園なんで、目立つ目立つ。
ザイン 感動の再会に水を指す気はありません。
GM 最初は戸惑っていたルイーネだけど、何か思い出したのか目に涙を浮かべ、リリアに抱きつき返す。
ルイーネ お姉ちゃんだ・・・私のお姉ちゃんだ・・・。
GM 目の痛みから回復したカレンは、その様子を見て困った顔を浮かべていたが、ルイーネのその言葉を聞くと堰を切ったかのように涙を流し、2人に抱きつく。その様子を見て、交換捜査員たちは、もらい泣きしている。
ザイン 僕も泣くかも。
その後、姉妹三人と、彼女たちに誘われたザインは場所を移し、まだ記憶が曖昧なルイーネとザインのためにお互い自己紹介を交した。ただし、お互いルイーネの体のことには触れずに・・・
GM カレンはアルリアナ信者で、リリアはサリカ信者だそうな。
ザイン 逆だと思ってた(笑)。
GM カレンは心理カウンセラーで、音楽は人の心を癒すことができると言う思いのもと、音楽活動も行っている。この街ではかなり有名らしい。
ザイン 女版熱気バサラ?
GM まあ、そんな風に思っていてくれれば良い。ドクター千葉も入ってるけど(笑)。リリアは都市警備隊の隊員らしい。一見遊び人風で・・・いや、実際遊び人だが(笑)、こう見えて強いし頭も良い。
リリア それで、君のことも教えてくれないかな?
ザイン 僕はザイン。よろしく。
リリア ザイン・・・何さん?
ザイン あ、僕セカンドネーム無いんですよ。実の両親いないし、育ててくれた人にも無かったから。
GM あ~・・・そういう事を言うと、カレンが突然君を抱きしめる。
ザイン え?え?え?
カレン 苦労したんだな。寂しくなかったか?
ザイン あ、いや、その・・・ほら、でも僕には育ててくれた母さんも妹もいるから、寂しくなんかないよ。
カガヤのPL それは墓穴を掘ったぞ(笑)。
GM うん。カレンの君を抱く力が強まる(笑)。ちなみに、彼女けっこう胸あります(笑)。
ザイン く・・・苦しい・・・。・・・今まで気にしてなかったけど、僕ってわりと不運な境遇だったんだなぁ・・・と思っていよう(笑)。
ゲストキャラのPL 鼻の下を伸ばしながらか?(笑)
ザイン (幸せそうに)伸びてるかも~(笑)
そんなことを交えながらも、4人は今後のことについて相談する。ハイルミッテル本家は、市長と執事が不在。下っ端のお手伝いにはルイーネたちを泊めるかどうかを決定する権限が無いため、市長が帰って来るまではリリアかカレンの住処に泊まることに決める。しかし、ルイーネはザインと離れることを嫌がり、リリアは警備隊の女子寮に住んでいるため、ザインを泊めることができない。ザイン、レイン、ルイーネは、当面はカレンの家に世話になることになった。リリアは残念そうだったが・・・。
ザインはレインと合流し、カレンに案内され、ボロい・・・というか、廃墟が続く一画に連れて行かれる。
GM その中で、壁半分が崩れた共同住宅の前でカレンは立ち止まる。中からなにやら騒がしい音が聞こえてくるね。
ザイン カレンさん、ここは?
カレン ん?あたしらの家兼練習場だ。あたしらの音楽は周りからうるさいと言われるんでね、練習するにはこういった人気の無い場所の方がいいんだ。
ザイン あ、廃墟みたいなところって、○サラが住んでいたようなところか。
GM そ。本来ならば立入禁止だけど、ジェスタ神殿お墨付きの丈夫な建物に住むことを許可されているらしい。この辺は不法居住者が居着かないように警備もしているので、下手な住宅街よりよっぽど治安は良いらしいよ。
ルミノールのPL でも、衛生状況はよくなさそうですね。
GM 確かに塵や埃は多いわな。んで、カレンがそのボロ集合住宅の扉を開けると、音楽が止む。中には口髭の豊かなガタイのいい男と、長身痩躯で垂れ目の男がいる。
口髭 おお、カレン。帰ったか。
カレン ああ、紹介するよ。あたしの妹ルイーネと、恩人のザイン。その妹のレインだ。
垂れ目 ヒュゥ(口笛)。カワイコチャン3人に囲まれて、坊主も幸せもんだねぇ。
ザイン アハハ(渇笑)。
カレン こっちのでかい奴がダー。
ジークのPL 垂れ目の奴はニェットだな(笑)。
GM 何故わかる?
ゲストキャラのPL バレバレ(笑)
ルミノールのPL カラミティは?
GM いません。今この場にはいないけど、カレンの旦那さんはガヤン神官のレオン氏だ。
カガヤのPL 結婚してたんだこの人。
GM もう21だ。結婚ぐらいはしてるよ。子どもはいないけど。
ザイン ちぇっ。
ジークのPL 今の舌打ちは何だ(笑)
カレン 今日はもう疲れただろう。ゆっくり休むといい。
レイン そうさせてもらお。ね、ルイーネ。
ルイーネ うん・・・。
ザイン じゃあ、今日はゆっくり寝させてもらって、明日にでもジークたちを探しに行くか。
そのころジークたちは、バグシーザー戦で負ったダメージと、奴がばらまいた厄介な病原菌に苦しめられていた。
ティースの霊 (ウクレレを弾きながら)ジーク様、こちらは楽しいですぞ。
カガヤ 高熱で幻を見ているようね(笑)。
アージス 悪夢の内容は怪我とも病原体とも関係が無いだろうな(笑)。
ルミノール 私が看病しますよ。幸い私の傷は大したことありませんですからね。
廃墟のザイン 楽しそうに見えるのは気のせい(笑)?
GM さて、カレンの家に泊めてもらったその夜。ザインは物音で目を覚ます。
ザイン 誰だ?
ルイーネ あ・・・ごめんなさい。起こしちゃった?
ザイン ルイーネ?いや、いいんだ。でも、こんな時間にどうしたんだい?
ルイーネ 眠れないから、散歩したいの。
ザイン 一人だと危険だぞ。僕も一緒に行くよ。
ルイーネ (嬉しそうに)ホント?
レイン じゃあ、あたしも行くね。
ザイン 起きてたんだ。
レイン 失礼ね。密偵のあたしが、物音に気付かないわけないじゃない。
ザイン それもそうか。じゃあ、三人で月夜の散歩にでも洒落こもうか。あ、何かあったときのためにヘビーレザーと武器は持っていくね。
GM OK。レインは、しばらくカガヤのPLに操ってもらおう。
カガヤのPL→レイン 了解。
3人は階下にいたカレンの夫レオンより、<持続光>の球を受け取り、夜の廃墟を歩き回る。
GM とにかく影の多い場所なんで、怖い。
レイン あたしは暗い場所でも大丈夫(「暗視」持ち)
GM ルイーネは二人に囲まれて安心しているのか、それとも暗い場所がすきなのか、機嫌が良い。
ザイン 何が潜んでいるか分からないから、警戒はします。
レイン あたしも~。
GM ならば2人とも聴覚か視覚判定。
ザイン (ころころ)成功度3です。
レイン 同じく。
GM じゃあ、尾行されているのに気付く。後ろの方から、シャランという音が一定間隔でついて来るね。
レイン ザイン。
ザイン 分かってる。
GM 2人の緊迫した雰囲気が伝わったのか、ルイーネも怯えてザインにすがりつく。
ザイン 大丈夫だ。僕が守る。
一同 おお(感嘆の声)!?
2人は反対側へ逃げられる細い通路で、追跡者を待ち伏せする。天に輝く3つの月を背にし、そこに現れたのは・・・
GM ローブを被って錫杖を持った子どもが3人。<持続光>で照らされたその顔は、気味が悪いほど無表情。
ザイン 君たちは何者だ。
GM 不気味な子どもたちは、その問いに答えない。手に持った錫杖を構え、君たちに襲いかかってくる!
レイン 問答無用ね。
ザイン 二人は下がって!
ザインは、レインとルイーネを庇う位置に移動し、子どもの初撃を盾で「止め」ることに成功する。
GM 外見は子どもだが、その動き、力共にかなりのもの。特に力はジークより上じゃないかな?
ザイン 最初から分かっていたけど、こいつらただの子どもじゃない。全力で戦わなきゃ、やられる!
ルイーネを後ろに下がらせたレインは、ザインが盾になっている隙間からリーチの長い槍で攻撃するという作戦に出る。しかし、高い「受け」の目標を持つ杖術の使い手たちには、なかなか命中しない。そこで、ザインに守られている後列のレインが防御を捨てて全力攻撃で二回攻撃を行い、その隙に攻撃力の高いザインが一撃を加えるという作戦を取る。
レイン 杖で「受け」が行えるのは、1ターン2回だからね。
ザイン 今までの動きを見る限り、移動力は高くない。盾も無い。鎧は軽そうだけど「よけ」の成功率は低いに違いない。
GM う~ん、読まれてるなぁ。ザインの斧は命中だ。
ザイン よっし! 8点ダメージ。
GM 君の斧は、袈裟懸けに不気味な子どもを切り裂く。確かな手応えと共に、子どもの傷口から緑色の液体が飛び散る。
ザイン 緑色?
レイン まさか、人間ですらないの?
GM しかも、かなりの手応えがあったのに、子どもは表情一つ変えずに向かってくる。
ザイン それは・・・ちょっと怖いかも。
レイン 怖がっている余裕は無いよ!
GM その時、路地を作っている建物の上からシャランという音がする。
ザイン 伏兵!?ルイーネ、逃げろ!
GM 残念ながらルイーネはその言葉に反応できない。建物の上から人影が飛び降り、長い錫杖でルイーネの足を目掛けて攻撃する!
レイン しまった!
ザイン やっぱりルイーネが狙いか!
GM しかし、錫杖が命中する瞬間ルイーネの姿が消え、すぐ横2メルー先のところに出現する。
ザイン 《瞬間回避》した? 呪文の詠唱とかは?
GM 全くした気配は無い。てか、瞬間移動したルイーネ自身戸惑っている。
ザイン 無意識? 魔術師とは聞いていたけど、そんな高度な芸当ができるなんて。
レイン 考えるのは後!今はこの状況を何とかしないと。
ザイン そ・・・そうだね。
屋根の上から飛び降りてきた子どもは、レインによる背面からの全力攻撃ダメージ増しで重要器官を貫かれ、1ターンで戦闘不能に陥った。
GM 脇腹を深く刺された子どもは倒れ、緑色の液体を撒き散らしながら、全身を激しく痙攣させる。全く表情が変わっていないから、異様としか言い様が無いね。
レイン 気持ち悪い。
さらに、前のターンにザインの斧の一撃をうけた子どもも、追撃を錫杖で受け流すことに失敗。全身を痙攣させ、活動停止する。しかし、ザインももう一方の子どもの攻撃に当たってしまう。
GM ダメージは9点ね。
ザイン ヘビーレザーじゃなくて、スケイルアーマーを着てくるんだった。一撃で生命力が半減だよ。
レイン あんな攻撃何度も耐えられないよ。あたし、回復呪文なんて使えないよ?
GM とか言っていると、ザインの傷の痛みが引いていく。
ザイン まさか、ルイーネ?
GM ルイーネは不安そうに君の方を見ている。
ザイン これも無意識の内に?でも《大治癒》って習得難易度が至難*1だったはず。
不可解な現象に悩みながらも、兄妹は見事なコンビネーションで残り2人の不気味な子どもを屠った。
レイン これで終わりかな?
ザイン いや。油断は禁物だよ。
GM いい心がけだ。路地の影から手を叩きながら現れる人物が一人。ローブを目深に被っていて顔はわからないが、体型からすると女性だろう。
ローブの女性 ほほほ・・・。「処刑者」たちを3人で倒してしまうとは。さすが、やりおるのう。
レイン 誰?アンタ。
ローブの女性 人に名を尋ねるときは、自分たちから名乗るのが礼儀であろう。
ザイン こんな時間にローブで顔を隠しているような怪しい奴に、礼儀どうこうをいわれる筋合いは無い!
ローブの女性 それは一理あるのう。
レイン 大方、この子ども達もあんたの差し金なんじゃない?
ローブの女性 まぁ、目的は同じじゃな。しかし、力ずくなどという物騒な真似は好まん。
レイン 目的?
ローブの女性 それを譲ってはくれぬか?タダでとは言わん。それに相応しい価値の謝礼はするぞ。
GM 「それ」と言いながら、ローブの女性はルイーネを指差す。
ザイン 人を物扱いするな!
ローブの女性 「それ」は人ではなく物じゃ。物を物扱いして何が悪い?
ザイン このっ!(殴りかかる)
GM しかし、ザインの拳は空を切った。ローブの女性は、いつの間にかルイーネの近くに立ち彼女の顔を覗き込んでいる。
ルイーネ (怯えて)ひっ!
ローブの女性 ほほほ・・・。なかなかに美しく造ってある。
レイン このぉ、ルイーネに触るな!(槍で石突)
GM その突きは、軽々さばかれる。
ローブの女性 やはり何が何でも欲しくなったぞ。譲ってくれぬと言うのであれば、力ずくでも奪わせてもらう。
ザイン あんた、さっきと言ってることが違うぞ!
GM 女性はザインの目の前に《瞬間移動》する。
ローブの女性 行け!飛蝶剣!
GM 女性の懐から二本のラージナイフが飛び出し、自動的にレインを襲う!
レイン 《踊る武器》?
ザイン やらせるか!
ザインは果敢に攻撃をするが、ローブの女性の《瞬間回避》により、全く命中しない。全力攻撃をしようにも、女性の持つ蝶柄のナイフが怪しく光り、無謀な行為に歯止めをかける。相手はナイフ技能も高く、フェイントも効果なし。レインもダンシングナイフに牽制され、ザインの援護に向かえない。
ローブの女性 ほほほ・・・。どうした?そんなことでルイーネを守れると思っているのか?
ザイン 今は弱くても、いつかは大事なものを守れるくらい強くなって見せる!
一同 おおおお!
レインはなんとかダンシングナイフを叩き落とし、ザインはローブの女性を壁際に追い詰めることに成功。そして、レインの攻撃で《瞬間回避》を使わせておき、ザインの斧が女性を捕らえた!
GM 君の斧は、確かな手応えと共に、女性を切り裂いた。
ザイン やった?
GM と思った次の瞬間、ローブの女性は無数の青い蝶に変わる。そして、無数の蝶はザインの後ろに集まり、再び人の形をとる。
ローブの女性 ほほほ・・・。意外となかなかやるのう。
GM 女性はローブを外す。《持続光》に照らされはっきりと分かるその顔は、君たちの母親にそっくりだ。ただし、髪も服も黒ではなく青白い。
レイン え?母さん・・・じゃない?
ザイン あなたは一体?
ローブの女性 わらわの名はヒンメル。お主たちの・・・母の姉じゃ。
一同 (笑)。
ゲストキャラのPL おばさんとは言いたくないか(笑)。
ルミノールのPL ということは、ザインさんたちの母親って・・・。
GM 今ルミノールはこの場にいないから、そんなことを知る術は無い。
レイン ザイン、知ってる人?
ザイン いや、知らない人だ。プレイヤーは知ってるけど(苦笑)。
ヒンメル おかしいのう。確か12年程前に会ったことがあるはずじゃが・・・
ザイン そんなこと覚えてられるか!それで、伯母さ・・・
ヒンメル ギロッ(睨む)!
ザイン ・・・母さんの姉さんが何の用(笑)?本当にルイーネをさらいに来たってわけじゃなさそうだけど。
ヒンメル それは秘密じゃ。
ザイン あ、そう。
レイン あたし、この人苦手かも。
ザイン 僕も。
ヒンメル そんなことを言っておって良いのか?あと20体の処刑者が、おぬしたちを包囲しようとしておるぞ。
レイン あんな奴が20体も!?
ヒンメル 安心せい。奴らはわらわが片付ける。後片付けも含めてな。
GM ヒンメルの背中に巨大な青い蝶の羽が出現する。
ヒンメル ルイーネを守ってやれ。そ奴を狙う輩は多い。それと・・・
ザイン それと?
ヒンメル 母の姉として忠告しておくが、あまりお人形に欲情せんようにな。
ザイン 誰がするか!だいたい、人形ってなんだよ?
ヒンメル ほほほ・・・。おぬしは賢い。薄々は気付いておるじゃろう。
GM ヒンメルはそのまま闇に消える。どこからともなく、戦いの音が聞こえてくるような気はするが。
ザイン ・・・・・・。
GM ルイーネは、黙っている君の元へ駆け寄ってきて、心配そうに見つめてくる。
ザイン 大丈夫だよ。ルイーネが何者でも、誰に狙われてても僕が守ってあげるから。
3人は、足音を忍ばせカレン宅へと戻る。
GM ルイーネはザインの横で安らかな寝息を立てている。寝相は悪いけど。
ザイン (毛布を直しながら)ふぅ・・・これからどうしようかな・・・。
一同 (爆笑)
ザイン 何で笑う?
カガヤのPL いや、今の君の姿、まるっきり子ども置いて奥さんに逃げられたヤンパパだよ(笑)。
ゲストキャラのPL (笑いながら頷いている)
ザイン 心境はそんなものかもね(笑)。経験無いから、わかんないけど。
失われたMemory
GM では、ヒンメルと出会った翌朝。配達ミュルーンがカレンさんちに荷物を届けてくる。宛先はザイン。差出人は不明。
ザイン なんだろ?危険なものじゃないよね。
カレン さあ?
レイン 《危険感知》の呪文を使うけど、危険反応は?
GM ない。
ザイン じゃあ、開けてみよう。
GM 箱の中には、メタリックブルーの美しいハーフプレートアーマーが入っている。メッセージカードと、鎧の取説、それに、地図みたいなものも入ってるね。
ザイン メッセージカードを読みます。
GM 高圧的だが簡単な挨拶と一緒に、こんなことが書かれている。「ルイーネを守りたければ、彼女の秘密を知る必要があろう。その覚悟と勇気があるのなら、仲間を連れて地図の場所へ行くがよい。遺跡の奥に、ルイーネの秘密がある。おぬしの母の姉。」
ザイン 差出人はヒンメルさんか。何でこんな手間のかかったことを?
GM 夜の出会いのとき、アイテムと情報渡し忘れたからさ。
一同 (笑)
レイン 鎧の効果は?
GM 防護点と受動防御は普通のハーフプレート。ただし、永続で重量が半分になっていて、21レベル扱いの《飛行》の呪文が魔化されている。
ザイン 弱点は?
GM 特になし。強いて言うなら、プレートの追加パーツをつけると、特殊効果がなくなることくらいかな?
ジークのPL ほう、それはこのGMにしては珍しい(笑)。
GM いや、使用者が「高所恐怖症」だから弱点をつけるまでも無いと判断した(笑)。
ザイン ま、そうなんだけどね(笑)。
ゲストキャラのPL 欠陥は鎧じゃなくて使用者の方にあるわけか(笑)。
ザイン 早速着てみましょう。
GM その鎧はしっくりと肌に馴染む。ただ、レインが複雑そうな顔をするね。
ザイン そうか、さっきまで着てたスケイルアーマーって、レインのプレゼントだったんだよな・・・。よし、スケイルアーマーは記念に部屋に飾っておこう(笑)。
GM 日本鎧じゃないんだから(笑)。だいたいこの家は君の家じゃない。
ザイン じゃあ、カレンさんに許可をとってから(笑)。次は地図のことだけど・・・
GM ここいら一帯の詳細な地図。レナの南にある巨大な監獄、<監獄都市>ジュリアン周辺の山岳地帯の一箇所に×印がある。
ザイン 普通に考えて、ここに行けってことだよね。・・・ルイーネはどうしたい?ここに行けば記憶が戻るって話だけど?
GM (・・・あれ?)
ルイーネ ・・・ザインが行きたいんだったら・・・。
ザイン それじゃダメだよルイーネ。自分のことなんだから、自分で決めないと。
ルイーネ ・・・でも・・・。
ザイン 怖いのは分かるつもりだよ。記憶が戻っても、いい記憶ばかりじゃない可能性もあるわけだし。
ルイーネ ・・・もし。
ザイン ん?
ルイーネ もし、記憶が戻って私がルイーネじゃなかったとしても、ザインは一緒にいてくれる?
ザイン それは大丈夫だよ。僕にとってのルイーネは君だから。
ルイーネ じゃあ・・・知りたい。私の記憶。
ザイン うん。カレンさんにも事情を話しておこう。
GM カレンは、ルイーネの記憶が戻るんだったら、是非行ってきて欲しいとのこと。
カレン あたしじゃ遺跡探査の役に立たないだろうし、ルイーネを守れるほど強くない。あたしの変わりにルイーネを頼む。
ザイン はい、分かりました。
カレンの許可を得て鎧を飾り終えた後、ザインとルイーネはジークたちを探してガヤン神殿に向かう。そこでサリカの病院で入院していると聞き、病室内で一行は再会する。・・・おまけ一人をつけて。
ゲストキャラ→ファリー あたしはファリアーン・シャザーリー。通称ファリーよ。所属していた一座が潰れて、ぶらり一人旅をしているの。それで、あたしが乗ってた馬車が、たまたま怪我してるこの人たちを見つけてねぇ~。
ザイン それは、友達が世話になりました。
ジーク 礼を言う必要は無いぞ。この女、それをいいことに付き添いと称して病室に寝泊りしてやがる。
ファリー いいじゃない、あたしも路銀が尽きかけてるんだから。踊りで稼ごうと思ってたのに。
GM 正直、君の踊りの腕前では、日銭を稼ぐのがせいぜい。浪費癖のある君ではまともに生活できない。
カガヤ ところで、そこにいる子がルイーネって子なの?
ルミノール そういえば、私たちが会うのは初めてですね。ルイーネさん、私はルミノール。よろしく。
ルイーネ うん・・・よろしく。
カガヤ 私はカガヤ。よろしくねルイーネちゃん。
ルイーネ う・・・うん・・・。
GM ルイーネはカガヤに怯えているようだ(笑)
カガヤ え?なんで?・・・あ、刀持ってるからか(笑)
ジーク 病室に刃物を持ち込むな!
アージス お前、持って来てないのか?
ジーク え?
ザイン こんな仕事をしている以上、いつ何があっても対応できるように準備しておくべきだと思うよ。
ジーク 何だよ何だよ、みんなして。
ティースの霊 (ウクレレを弾きながら)はっはっは、その調子ではこっちに来る日も近いようですな。
ジーク うるさい!
ファリー どうしたのこの子、独り言なんか言って(笑)
カガヤ まあ、生暖かい目で見守ってあげましょう(笑)
ジーク チクショウ、どーせ俺なんか・・・。
カガヤ 刀以外にもお酒も持ち込んでるよ(笑)。毎晩軽い宴会してる。
ルミノール そりゃ、あなたは酔わないからいいですけどね。付き合うほうの身にもなってください(笑)。
アージス 一番晩酌を楽しみにしてる奴がよく言う(笑)。
ファリー お酒だったらあたしも飲むわよ。お祭り好きだし。
ザイン 本題、話していい(笑)?
ファリー むしろ話して。話が進まないから(笑)。
ザインは仲間たちに、ヒンメルからもらった地図を見せ、この場所に遺跡があり、その奥へ行けばルイーネの記憶が戻るかもしれないと説明する。
GM (なにやら思いっきり勘違いされてるなぁ。まあ、その方が面白そうだからいいけど。)
ファリー ふーん。この子記憶喪失なんだ。そういう子を助けるのもアルリアナの役目。協力するわヨン。
ザイン それで、地図をくれた人、僕の伯母さ・・・母さんの姉さんなんだけど、仲間を連れて行けって。
カガヤ まあ、遺跡探索だからね。一人じゃ無謀でしょ。
ジーク 行くのは構わない。ルイーネのサポートなら神殿も協力するよう言ってくるだろう。遺跡にも興味はあるが・・・
ザイン が?
アージス 俺ら、あと一巡りは入院してなきゃならないんだよ(笑)
GM 今現在すぐに活動可能なのは、ファリーとルミノールだけだ。
ザイン 分かった。じゃあ、一巡りの間、僕はルイーネを守ることに専念するよ。
カレンに事情を説明し、ザインはカレン宅で一巡り世話になることになる。カレン宅の掃除なんかもしながら過ごした一巡りは、とくに何が起こるわけでもなく過ぎていった。
GM さて、もうとっくに市長のヴァイスも帰ってきても良いはずなのに、そんな噂も聞かないまま、ジークたちの退院の日が来た。
ルミノール 陰謀の匂いがしますね。
ザイン 確かに市長の件も心配だけど、今の僕たちにできることはないからね。
カガヤ それに、市長のためにもルイーネちゃんの記憶は戻しておいた方がいいと思うよ。
ファリー 出会ったときに「誰この人?」じゃ相手がかわいそう過ぎるわ。
ジーク 俺たちが遺跡行って戻って来る頃には、きっと市長も戻ってきているだろうぜ。・・・プレイヤー的には戻ってきてないと思うがな(苦笑)
遺跡探索に必要と思われる道具を買い込み、ガヤン神殿に事情を報告し、一行は<看護都市>を後にする。
GM ヒンメルからもらった地図は、自分たちが現在いる場所を表示してくれる魔法の地図だ。
ジーク 便利な世の中になったもんだ(笑)。
アージス さすがはヒンメル先生だ。もっとも、俺はこの地図がヒンメル製ってことは知らんがな。
しかしこの地図、このセッション以降存在が忘れられ、二度と役に立つことがなかった、あわれなマジックアイテムであった。
そんなことはさておき、<看護都市>を出てから歩いて三日。山に住む野生の動物に襲われながらも、山の中腹にある巧妙に偽装された洞窟に辿り着く。
賭け事はほどほどに
GM 地図の×印と、洞窟の位置は重なっている。
ファリー ここに間違いなさそうね。
カガヤ <持続光>の棒を持って、中に入りましょう。
一行は、戦闘即応を持ち、罠を解除する技術を持ったカガヤと、タフで硬いジークを先頭にアージス、ファリー、ルイーネと続き、しんがりはザインとルミノールという隊列で洞窟の奥へと進む。
GM しばらく進むと、露出した岩肌が手入れされたものになっていく。途中まではやたらと狭い場所なんかもあったけど、今は歩きやすい道に変わっている。
ザイン 自然の洞窟が、偶然古い遺跡と繋がったのかな?
GM そのまままっすぐな道を進むと、やがて開けた場所に出る。部屋の4分の1は崩れてるけど、それでも10メルー四方はある部屋には、3体の石像が立っているね。
アージス ゴーレムか?
GM 強い魔力を感じるし、その可能性は高い。3体の像は、それぞれガヤン神、ジェスタ神、タマット神の姿をしている。
ザイン 何か意味があるのかな?
ファリー 部屋には、他に何もないの?
GM 入口近くに石版がある。「古代神聖語」が読める人は?
アージス 俺だ。技能判定も成功。
GM じゃあ、石版にはこう書かれている。「先に進みたき者、法に従うならば正義の神に挑め、力在りしは壁の神に挑め、運在りしは直感の神に挑め、自由奔放なる者は気まぐれの神に挑め。」
ジーク 正義の神はガヤン様だよな。
ザイン 壁の神はジェスタ様で、直感の神はタマット様。気まぐれの神はアルリアナ?
ファリー きっと、部屋の崩れた部分にもう一体像があったのよ。
ルミノール 「挑め」ということは、「戦え」ということですかね?
ザイン 僕はタマット様はパスだね。ナチュラルで運がないから(笑)。そうだね・・・ガヤン様の前に行ってみよう。
GM すると、ガヤン像がしゃべりだす。(サイコロを一個振って)え~っと・・・
ガヤン像 汝に問う。汝の母が不治病でもがき苦しみ、命を絶って楽にしてくれと懇願している。汝ならばどうする。
ザイン ・・・・・・
ジーク どうしたザイン?
ザイン いや、僕の母さんて、僕が物心ついてから病気どころか怪我一つしたことないんだ。だから、病気で苦しむ母さんって想像できなくて(笑)。
GM あ~・・・確かに、君の母親は猛毒のコブラに噛まれても平然としてられるからなぁ(苦笑)。
カガヤ だから、君の母親って何者よ(笑)。
ザイン 何者って、僕の母さんだよ。それで、問いの答えなんだけど、死ぬかどうかは本人の自由ってことで、ナイフだけ置いてその場を立ち去ります。
GM 自殺幇助って立派な犯罪だよな?
ファリー そうね。
ガヤン像 汝に資格なし!
GM ガヤンの像は手に持ったバスタードソード、「断罪の剣」をザインめがけて振り下ろす。
ザイン うわ?後退して「よけ」る!(ころころ)失敗。
GM じゃあ、8点の「切り」ダメージ。
ルイーネ ザイン!?ザインしっかりして!
ザイン 抜けた3点を5割増して4点ダメージ・・・大丈夫ちょっと痛いだけ。
ルイーネ ちょっとじゃないよ、血が出てるよ!
アージス 安心しろ、その程度の傷なら俺が治せる。
ルイーネ うん・・・お願いします。
カガヤ 面白そうだから、私もガヤン様の前に行こう。
GM (サイコロを一つ振る)
ガヤン像 汝の土地に他者の家畜が入り込み、土地を荒らし、家屋を破壊している。汝ならばどうする。
カガヤ 持って帰って世話をする。
GM 即答すな!しかも立派な拾得物ナントカ罪じゃ!
ガヤン像 汝に資格なし!
カガヤ 後退して「アクロバット避け」。(ころころ)華麗に成功。
一同 (拍手)。
カガヤ (手を上げてそれに答える)。
GM ひょっとして、それがやりたかっただけ?
カガヤ そういうわけじゃないけど・・・その場のノリで(笑)。
ファリー でも、正義って六法全書に従うことなのかしらねぇ。
カガヤ 石版には「法に従うならば正義の神に挑め」って書いてあるだけよ。
GM 確かに、正義=法だとは一言も書いてないね。さて、他の人はどうする?
ジーク 攻撃を「受け」られるように、武器を構えてガヤン像の前にでる。
GM すると、ガヤンは即「資格なし」と言い攻撃してくる。
GM ありゃ?6点の「切り」じゃ君のライトプレートは貫けない。(攻撃力3D+2もあるのに・・・)
ジーク フウ・・・助かった。でもなんでだ?質問されてもいないのに。
カガヤ そりゃ、最初っから失敗する気でいたらダメでしょ。
ルミノール では、私は盾を構えて行ってみましょう。
GM 結果は同じ「資格なし」だ。
ルミノール 「止め」ました。カガヤさんの考えは正しいようです。
カガヤ いや、試さなくていいから(苦笑)。
ファリー あたしはガヤンはパスね。堅苦しいの嫌だから。
アージス 俺もだ。
ザイン もう一度ガヤンの像に近づいてみるけど?
ガヤン像 汝にはもはや資格なし。
GM 攻撃してくる気配はないけどね。
ザイン じゃあ、次はジェスタ様のところへ行こう。
ジェスタ像 汝に力あるならば、武器を構えよ。そして我に打ち込んで来い。
ザイン 本気で行きます。でりゃ!(ころころ)あ、ほとんど最高ダメージの11点。
GM (む?それならば)
ジェスタ像 汝力在りし者。わが加護を授け、ここを通ることを許そう。
GM ジェスタ像は、持っていた盾と斧をザインに渡す。技能とダメージに+1されたジェスタアクスに、重さが半分のミディアムシールドだ。
ザイン わ?すごいものもらっちゃったよ。
GM そして、ジェスタ像が横へスライドし、その奥に通路が現れる。
ザイン どうする?ここから行く?
カガヤ 私は、タマット像が何をやるのか気になる。
ファリー あたしも。だからタマット像の前に立つわね。
タマット像 ようネェちゃん。運があると思うんだったら、俺っちとブラックジャック一本勝負しようぜ。
ザイン 軽っ!
ジーク まあ、赤の月の神だからな(笑)。
カガヤ あ、私も参加していいか?
タマット像 OKOK!何人でもかかってきな。俺っちの運に勝つ自身があるならな。
アージス いいだろう、受けて立つ。
ジーク 俺も参加するぜ。
GM フフフ。このタマット像は常道で「幸運」が働いているから、毎回3枚のカードを引いて、その中から自分の望むカードを選ぶことができる。しかも、一回だけ「超幸運」の能力を使い、6枚カードを引くことができるのだ!
ザイン うわ、無茶苦茶卑怯。
GM なんとでも言え。この能力があれば、君にも勝てる。(ザインのプレイヤーはブラックジャック強いです)
そんな能力がありながら、ドボンしまいました(泣)
ザイン 特殊能力に溺れすぎたね。
GM 6枚引いた時にAか絵札が出ればよかったんだけどなぁ。
アージス 確率なんてそんなもんさ。
GM ま、負けたものはしょうがない。
タマット神 他人の運を吸収するのも立派な運だ。これを持っていけ。
GM タマットは勝負に参加した四人に二つずつ、サイコロを渡してくれる。
ザイン もしかして「ラッキーダイス」?
GM うむ。幸運を呼ぶ魔法のサイコロだ。ルール的には、サイコロを振った結果、気に入らなかった数字の一つを振り直すことができるアイテム。ただし使い捨て。
ファリー 確か、売っても一つ1000ムーナは下らなかったはず。
GM いや。これは普通のラッキーダイスと違って他人の運にも影響を及ぼすスーパーラッキーダイスだ。値段は普通のものの3倍以上はするだろう。
アージス それはすごいな。
ファリー あたしは売らないでおくわ。いざというとき、助かるだろうから。
ジーク 俺も売る気はない。
カガヤ 私もです。
ジーク ガヤンに認められたら何がもらえるんだろうな。
カガヤ 手に持ってるバスタードソードじゃない?
GM (資格がなかった者が何を言う。しかも、この「断罪の剣」は非常に強力な代物だ。)で、タマット像が横にスライドすると、奥に通路が現れるね。
カガヤ どうする?ジェスタ様かタマット様の通路の、どっちを通る?
ファリー あたしはタマットがいいな~。
アージス 俺もだ。
ザイン じゃあ、タマット様の通路でいいんじゃない?判断材料があるわけじゃないし。
ジーク 俺も異存はないぜ。
ルミノール どこを通っても変わらないでしょうよ。
ルミノールの予想を裏切り、タマット像の奥にあった通路は危険極まりないものだった。通路を少し進むごとに運が良いかどうかを試し(ようするにサイコロを振ってもらい)、運が悪かった者中心に、矢の雨が降りそそぎ、間欠泉が爆発し、炎が吹き出るのだ。しかもその全てを「不幸」なルミノールが喰らうはめに。隣りにいたザインと、ルミノールの前を歩いていたファリーとルイーネにもその被害は及んだ。ルイーネはザインの決死のカバーによりたいしたダメージは受けなかったが、他3人は通路を抜けた頃には半死半生状態だった。
ルイーネ ザインッ! しっかりしてザインッ! 私を置いて死なないでー!
ザイン だ・・・大丈夫。あと二点ダメージ受けると死亡判定突入するけど(苦笑)。
ルミノール 私は本気で死にかけました。(死亡判定した)
ファリー あたしも~。よく生きてたと思うわ。
ジーク 俺とカガヤさんも無傷じゃないぜ。
GM おかしいな。ここのトラップ、サイコロ3個振って13以上出をさないと発動しないものがほとんどだったはずなのに(笑)。
ルミノール すいません全て私の責任です。
ザイン 責任取る気があるのなら、傷を治して(苦笑)。あ、僕よりルイーネを先に。
ルイーネ 私は大丈夫だよ。どこも痛くないし。
ルミノール やせ我慢は止めなさい。私が呪文で回復します。(ころころ)成功しました。次はザインさんの番です。
GM ザインの傷なら、必死でルイーネが治してくれる。コツを覚えたのか、《大治癒》は使えるようになった。詠唱や動作、集中は一切必要無しで。
ザイン 先巡りの夜と同じだ。
カガヤ 口には出さないけど、誘拐されて幽閉されていた理由が何となく分かった気がする。
アージス 天才ってのは意外といるもんだな。
アージス まあ、俺も成人したてだが、何十種類も呪文が使えるからな。しかも一部の呪文は集中不要だ。
ザイン そう言われると、ルイーネのこの力も大したものじゃない気がしてきた(笑)。
アージス どういう意味だよそれは(笑)。
Pygmalion Complex
一行は呪文で傷を癒し、休憩を取って疲労を回復させた後、遺跡のさらに奥へと進む。途中にあった物理的なトラップはカガヤが解除し、魔法的なトラップはアージスが見つけ、単純な通路に特に迷うこともなく、最近人の手が加わった部屋へと辿り着いた。
GM 化学の実験室のような部屋だ。大きなテーブルの上に謎の機材が置いてある。部屋の横にある本棚には、魔法関係の書物が並んでいるね。で、部屋の奥に人の気配がある。
ジーク 奥にいるのは誰だ!
謎の人物 む!何者じゃ!
GM 現れたのは偏屈そうな髭もじゃのじいさん。色白のひょろ長で、多分魔術師。
カガヤ あ、私たちは・・・
謎の人物→魔術師 む!さてはシャルルの手先だな。もうここを嗅ぎつけおったか!
カガヤ は?
ザイン いや、僕たちは・・・
魔術師 じゃが、無駄じゃ。貴様らの欲しがる「もの」はここにはない。わしとて貴様らに協力するくらいなら死を選ぶ!
GM 魔術師は、手近にあったスプーンを自分の首に押し当てる(笑)
ファリー 錯乱してるわネェ(笑)
ジーク 少し落ち着けやじいさん。
カガヤ 私たちはシャルルなんてのとは関係ないですよ。
魔術師 その手に乗るものか。
ザイン 本当ですよ。(ルイーネを前に出して)僕たちはこの子の記憶が戻るって聞いてここまで来たんです。
魔術師 そ・・・その子はまさか・・・。
ザイン やっぱり知ってるんですね。
魔術師 プロトォォーッ!(涙と鼻水たらしながらダッシュ)
ザイン てい!(ラリアット)
魔術師 ぬほ!(喰らって転倒)
ザイン 少し落ち着けって。
GM 今のじいさんを見て驚いたのか、ルイーネ涙目(笑)。
魔術師 (倒れたまま)お・・・おのれ、まさかプロトまで貴様らの手にあるとはな。こうなったら玉砕じゃ!《爆裂火球》を使って部屋ごと・・・
カガヤ (刀を首に突きつけ)いい加減にしなさい。私たちは下らないコントを聞きに来たわけじゃない。
魔術師 わわわ・・・わかった。
アージス さっきまで自殺しようとしてたくせにな(笑)。
ファリー 最初に断っとくけど、わたしらはあんたの言うシャルルとか言う奴とは何の関係もないわ。
魔術師 だったら、プロトをわしに返せ!それはわしの物だ!
ジーク プロト?
魔術師 (ザインを指差し)そこの坊主の後ろに隠れとる女子じゃ。
GM ルイーネは身を縮めてザインの後ろに隠れてるね。
ザイン 悪いけどルイーネは怯えてる。何者かも分からないあんたに渡すわけにはいかない。
魔術師 何故じゃ、それはわしの造った最高傑作。確かに一時的に人に預けたが、わしの物には違いない!
GM 魔術師の「造った」という言葉に反応し、ルイーネは震え始める。歯も噛み合っておらず、目に涙を浮かべ始める。
ザイン (ルイーネの肩に手を乗せ)大丈夫だって。君が何者でも僕が守るって言っただろ。
ファリー あんまり驚かないのね。
アージス あんたもな(笑)。
ザイン だって、信仰一つで昨日まで人間だったのがヤドカリになったりする世界だからね。人間であることにたいした意味なんてないよ(笑)。
ジーク 昨日の人は今日のヤドカリ(笑)。
ファリー 人間の定義が、色んな意味で難しい世界よね(笑)。
GM そういや、ザインは母親が人間じゃないからな。こうしたことに耐性はあるかもしれない(笑)。
ルミノール そもそも、ルイーネさんはウィザードでは?
アージス 「人間の魔術師」*2だな。
GM 君たちがそんな軽口を叩いていると、ルイーネが呟く。
ルイーネ なんとなく思い出してた。わたし、この人に造られた人造生物だ・・・って。・・・人間じゃない・・・って。
ザイン さっきも言ったけど、人間かどうかは関係ないよ。ルイーネはルイーネだ。
ルイーネ でも・・・私はザインと一緒がよかったな・・・。
ザイン ・・・・・・
魔術師 なるほどな。そういう事か。
ジーク どうしたじいさん。いきなり話し出して。
魔術師 ザインといったな少年。あんたがプロトの、今のマスターのようじゃ。
ザイン そのプロトって呼び方は止めてくれ。この子はルイーネだ。
魔術師 ルイーネか・・・。きっとその名はその子の生体素材及び記憶の元となった少女じゃな。
ファリー 素材?
ルミノール 流れ的に今まで聞きづらくて聞いていませんでしたが、そもそもあなたは何者なのです?
魔術師 (立ち上がり)そうじゃな。まずはわし自身のことから説明するべきじゃろう。わしはドーリー・コッペリウス。人はわしを「狂乱の傀儡子」と呼ぶ。
アージス たしかに、ネジの一本や二本は狂ってそうな爺だよな(笑)。
魔術師→ドーリー 黙れ若造。否定はせんがな。
カガヤ 傀儡子ということは、人形を造っているのですね。
ドーリー そうじゃ。じゃがわしの造っていたものはただの人形ではない。意志を持ち、自立して動くことのできる自動人形DOLLじゃ。
GM 「人形」を古代神聖語で言ったものだと思ってくれ。
ドーリー そしてプロトは名前の通りDOLLのプロトタイプ。最も長い時間と資金をかけて創り上げたわしの最高傑作じゃ。
ファリー 流行の試作型のほうが後期生産型より優秀ってやつね。
ザイン ルイーネ、聞きたくなかったら一緒に外に出ていようか?
ルイーネ ・・・ううん・・・大丈夫。知らなきゃいけないから、自分のこと・・・
GM そういう声は少し震えている。すがりつくようにザインの手を握ったまま離そうとしない。
ザイン こっちからも握ってあげます。
カガヤ ルイーネちゃんの「素材」って言うのは?
ドーリー DOLLは元々、子どもが死んで嘆き悲しむ親のために造ろうと決意した物でな。死んだ子どもにそっくりにするためには、子どもの破損部分の少ない肉体を使うのが一番確実かつ手っ取り早いのじゃよ。「死にたて」であれば、友人の開発した技術により、人口脳に記憶を移植することも可能だ。
ザイン じゃあ、ルイーネは・・・
ドーリー わしのもとに運ばれてきたときは、すでに殺されておった。犯人も原因も分からん。
GM ルイーネの手を握る力が強くなるよ。
ザイン あ、ごめん。無神経だった。
ファリー 運ばれてきたって言ったわよね?誰が運んできたのよ。
ドーリー 四年前わしと共同研究をしておったシャルルという魔術師・・・いや、邪術師じゃ。
アージス 邪術師と共同研究してたのかよ。
ドーリー 知らなかったのじゃよ。わしとて善意が全てではないとは認めるが、死んだ子の親のためを思ってDOLLの研究と開発をはじめた。じゃが、あのシャルルめはそれを戦争利用しようなどと考えたのじゃ!
ファリー なんでもかんでも戦争の道具にしようとするのは、人の悪い癖ね。
ドーリー 奴はわしの技術がほぼ完成を見せた頃、わしの友人や弟子を殺し、DOLL開発技術を記した書物を奪いおった。幸いだったのは、《動像》のような呪文を使わずともDOLLを起動する方法を知っているのは、わしとプロトのみで、それは書物に記しておらんかったことじゃ。
カガヤ じゃあ、シャルルはDOLLを造れても、動かすことはできないと?
ドーリー あの技術はわしのような狂人じゃったからこそ思いついたような技術じゃ。《ゴーレム》や《動像》の呪文で覚醒させることはできるが、効率は悪い。ただ、造るスピードだけならば奴の方が速いじゃろう。やつはDOLL量産を計画しておったからな。それでわしは、DOLLたちがシャルルに襲われることを恐れ、事情を知る知人たちにDOLLを預けた。わし自身も奴に見つかり情報を漏らしてしまわぬように、隠れて暮らすことにしたのじゃよ。
ザイン じゃあ、どうしてルイーネは人身売買組織のところなんかに?
ドーリー ルイーネを託した魔術師がわしを裏切ったか、誘拐されたかじゃが、どちらにせよもう死んでおるじゃろう。
ルミノール 何故です?
ドーリー さっきのプロトの言葉からすると、記憶に大きな混乱が見られる。それは、正式なマスター登録解除を行わずマスターを失ったときに現れる徴候じゃ。別にそのようにプログラムしたわけではないがな。DOLLは人工的に造られたせいか、他人に対する依存性が非常に強い。わしの推論じゃが、マスターを失ったショックで自我が崩壊する前に記憶を封印することで、新たなマスターが現れるまでの自我を保つのじゃろう。ちなみにマスター登録は、いわゆる「すりこみ」で行う。
ザイン ああ、そういえばルイーネが目を覚ましたときに、一番近くにいたのは僕だ。
ルイーネ じゃあ、私がザインを好きなのは、その「すりこみ」のせいなの?
ドーリー わしの造ったDOLLは、他人への依存性が高い以外は、人間と同じようにものを考え感情も持つ。人の心が解明されん以上は、「すりこみ」のみが原因なのかは分からんよ。きっかけではあるだろうがな。
GM ルイーネは心底安心したかのように胸をなでおろす。
ザイン (頭を掻きながら)えっと・・・困ったなぁ(苦笑)
ジーク (ニヤニヤしながら)ま、がんばれよザイン。
アージス それで、DOLLに弱点とかは?
カガヤ 「わしの造ったものは完璧じゃー!」とか言わないでよ(笑)。
ドーリー そうじゃったらよいのじゃがな。DOLLは専用機プロトドール、量産型問わず痛みを感じん。
ジーク それは弱点か?
GM 状況によっては弱点になりうる。痛みに鈍感ということは、特定部位が破壊されていても気付かないってことだから。
ファリー 悪魔将軍がそうだったわね。
GM チェックメイトもな。
ルミノール 将軍はすぐに治りましたけどね(笑)。
ドーリー そして、体内を循環しておる血液代わりの霊薬は、飲むと劇薬じゃ。
ザイン あの緑色のやつね。
アージス 血が緑でも気にすることはないぞ。この世には紫色の血を持った奴がいた(笑)
GM いや、ルイーネとしては、ザインが一緒にいてくれるなら、もうなんだって良い状態(笑)。
ファリー 羨ましいわよ色男(笑)。
ドーリー おぬしら、真面目に聞いとるか?
カガヤ 明るく振舞って、ルイーネに気を使わせないようにしてるのよ。・・・多分(笑)
ドーリー まあいい。他にも弱点と呼べるかどうかは知らんが、DOLLは肉体的な成長はしない、寿命が短い、傷の自然治癒ができない、量産型に限って一定のダメージを受けると動きが止まるといった所か。
GM ルール的にはマイナス生命力まで行くと判定の余地なく活動停止。
ファリー 傷が自然治癒しないのは、無痛と合わせるとすごい弱点になりそうね。
ザイン 寿命は具体的には?
ドーリー 計算では20年。じゃが安心しろ、呪文による延命は可能じゃ。傷も魔法的手段でなら治る。
ルイーネ (複雑そうな顔で)私・・・大きくなれないんだ。
ザイン それに関しては何も言えないなぁ。
ジーク 小さい方が好きって奴もいるからな(ニヤニヤ)
ザイン いや、そう言う意味じゃなくて、 僕じゃアドバイスできないってこと。
カガヤ 後はDOLLの能力とか。
ドーリー 元々、研究の助手をしてもらうホムンクルスの技術を応用しているせいか、総じて頭が良い。優れた記憶力に体内時計、体内磁石に、計算力、数学的才能にも優れている場合が多いな。肉体的には外見は子どもだが、成人以上の能力を持たせることも可能だ。
GM ちなみにルイーネは、肉体的にはひ弱。
ドーリー 量産型の知力は総じて低くなる。主の命令を理解し実行するのがせいぜいだ。肉体的には平均的な成人のレベルだが・・・
ザイン 以前戦った奴ら、かなりの怪力でしたよ。
ドーリー シャルルは魔法の義手や魔法の義眼などの開発も行っていた。改造次第でかなり強力なものが造れるだろう。
GM ルールは「GURPSサイバーパンク」のサイバー装備のものを使用。
ファリー う~ん。卑怯だわ(笑)
GM 安心しろ、PCでも使えるようにドール基本セットも作ってある(笑)。
ファリー 誰か使ってみる(笑)?
ジーク 使わねぇよ(笑)。
ザイン DOLLについては大体分かりました。あとはシャルルのことなんだけど。
ドーリー 奴に関してはわしもよく知らん。優れた奴じゃったから共同研究をおこなっとっただけじゃ。ただ、ひとつ分かっておるのは、奴が一人ではないと言うことじゃ。
ファリー 仲間がいるってこと?
ドーリー いや。たまたま奴の研究書を見たときに知ったのじゃが、奴は自分の魂をコピーし、他人に移すことができるらしい。
ザイン (手刀を突きつけ)me.me.me.
ジーク me to.
ザイン (ネクタイを直す)
ジーク thank you.
ザイン my pleasure. ってやつ(笑)?(←今となっては懐かしい、マトリクスリローデットをご覧下さい。)
GM いや、そこまで簡単ではないが。
ドーリー そんな秘術を持っているということ以外は、分からん。今どこにおるかも知らん。
カガヤ シャルルの情報はここ以外で探すしかなさそうね。
ザイン でも、僕はルイーネを守るって決めたからいいけど、みんなまでそれに付き合う必要はないんだよ?
アージス 言っておくが、俺はここまで関わっておいて、「はいそうですか」で別れられるほどドライじゃないぜ。
ジーク フン。邪術師一匹倒せなくて、親父を超えることなんかできないからな。
ルミノール 私の人助けは、趣味みたいなものですから。
カガヤ 君一人にカッコ良い真似はさせないよ。
ファリー 弱い人を守るのはアルリアナの役目でもあるわ。ルイーネちゃんのことは守ってあげないと。
ルイーネ みんな・・・ありがとう・・・。
ドーリー 現在のマスターから無理やり引き離すのは、良い結果を生むとは思えんの。わしは何もできんが、せめてこれくらいは持っていってくれ。
GM 5点分のパワーストーンと、様々な霊薬をもらう。霊薬のリストはこれ。(プレイヤーに紙を渡す)
ザイン (リストを見て)<治癒>とか<筋力>とか、メジャーどころばっかりだね。
GM 使いすぎると霊薬中毒になるから気をつけろ。
ルミノール 私は前回のセッションからちょくちょく使っていましたからね。霊薬の使用は控えた方が良いでしょう。
カガヤ この<復活試作型>ってのは?
GM 文字通り<復活>の試作品。飲ませてみて無事復活するかどうかの確率が五分五分(笑)。
アージス 博打性の高い霊薬だな。俺はそういうの大好きだが(笑)
ファリー その<復活>を飲む前に<幸運>を飲ませれば安心ね。
ドーリー 少年よ。
ザイン 何ですか?
ドーリー プロト・・・いや、ルイーネのことを大切に思っているなら、簡単に死ぬでないぞ。
ザイン 分かっています。
ジーク ・・・ところでだ、ザイン。
ザイン 何?
ジーク ここに来ればルイーネの記憶が戻るんじゃなかったのか?
ザイン え?ルイーネ、記憶戻ってるでしょ?
ルイーネ (プルプルと首を振る)まだ・・・思い出せないことたくさんある。
ザイン あれ?
GM ヒンメルのメッセージカードには、「秘密が分かる」とは書いてあったが「記憶が戻る」とは一文も書いてなかったよ。
ザイン あれ?ひょっとして僕の早とちり?
アージス みたいだな(苦笑)。
ドーリー (こんなうっかり君にプロトを託したことが、ワシの早とちりじゃなければ良いがのう・・・。)
そうでないことを祈りつつ、次回へ続く