黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第四話【雨降る森の魔術師】

GM 前回から数巡り後、君たち宛てに、ドーネルさんから小切手が届く。アナルダ様の感謝の手紙も入っていて、ノイエが騎士見習いとしてベルンクースに来た事なんかも書いてある。

アレク おお、本当にやりやがったか。…と、キャラクターは思うでしょうな(笑)

ミスティ 相手はお姫様だけど、文通できないかなぁ。

カムイ 忍び込めばいいんじゃない?(笑)

ルカ で、二人でこっそり出かけて、姫は預かったという手紙を残す(笑)

ミスティ そんな手紙を送りたいんじゃない(笑)

マック それで、小切手はいくら?

GM 2万ムーナだね。

一同 おお!?

GM ガヤンからも2000ムーナの報酬が出てる。

アレク ナルさんからもらったイヤリングはどうしましたっけ?

カムイ ああ、俺が持ちっぱなしだ。換金しようか。

ミスティ じゃあ、わたしが売ってきますです。

GM ナルさんのイヤリングは2000ムーナで売れた。

アレク じゃあ、合計で24000ムーナ?

カムイ 一人4000ムーナだな。

マック よっしゃ、これだけあれば、貯めてた金と合わせて技能とダメージ+1のスピアが買える!

GM …ん? ちょっと待てマック。「浪費家」のお前が、なんで金を貯めている?

マック え? 高いものに浪費するためにお金貯めるのは、普通でしょ?

GM 高いもの買いたくても、無駄遣いをしてしまうのが浪費家だよ! 特に君は3レベルだし、所持金の6割*1は無駄なことに使ってもらわないと。

マック うえー、じゃあ、残り2000ムーナかぁ… 仕方ない。スケイルアーマーと上質の槍だけ買っておこう。

アレク 不利特徴は、考えて選ばなければいけませんなぁ。

ダルシス あなたが言うと、重みがありますね(笑)

  

 そのお金と、前回シナリオ成功のCPを使い、買い物や成長を始めるプレイヤー一同。ダルシスの《死の手》やミスティの《集団誘眠》が25レベル*2になったという、どうしようかこれと思うような声も聞こえるが、平常心平常心。

 

ルカ あたしも必殺技欲しいから、《音噴射》をとりあえず17に。

マック やっぱり一点集中は強いなぁ。

ダルシス その分不器用になりがちだけどね。使えなくなると一気に弱体化するし。

カムイ 俺はディオス相手に負けたのが悔しかったから、刀技能を18にしたぞ。これでタメを張れる。次会った時はもう負けねぇ。…いや、負けてなくても他に上げるものないけどさ(笑)

アレク 「準備」技能を14に上げました。これで前より戦いやすくなりました。

カムイ でも、お前の「準備」失敗って、毎回15とか16だったんじゃなかったか?(笑)

マック 「浪費家」を2レベルに下げる。毎回報酬6割減るのはキツイ。「けちんぼ」でも良かったかなぁ…

GM 「けちんぼ」だと、そもそも魔法の武器を買おうなんて考えもしないぞ。*3

  

 他にも大型のパワーストーンを買ったり、アレクの鎧もスケイルアーマーになったりとパワーアップ。カムイは上質のカルシファードブレードを探すが、流石に見つからなかった。

 

第一章【大雨洪水警報発令中】

GM では、ゲームを始める。突然だけど君たちは、トリース森王国のマイテと言う町を目指して馬車に乗っている。

ダルシス また、唐突ですね(笑)

GM 遡ること数日前、君たちはバドッカにある施療院の院長、リュウ・シャルルと言う人物から、ある依頼を受けた。

  

 2巡り前、突如バドッカで、体が金属に変わっていく伝染性の奇病が発生。放っておくと、全身が金属になり死に至る。リュウたちぺローマの研究者が治療のために様々な方法を試したところ、異界の森エーデルで取れる、メトークスと言う薬草を原料とした霊薬があれば、回復させることが可能であると発見した。

 

カムイ そのメトークスってのを取ってきて欲しいってわけだな。

GM うん。前金に一人1000。成功報酬に一人2000を約束してくれた。

マック (手を口の前で組んで)反対する理由は無い(笑)

ミスティ エーデルって、どんなところですか?

GM 昔々、銀の月の神が降りてできた奇妙な森に、1000年前に〈悪魔〉が手を加えてさらにおかしくなった森。金属の木や草、空飛ぶナメクジもどき、鳥の声でなく魚やら、へんてこな生物がたくさんいる。

ミスティ わーい、なんか楽しそう!

ダルシス 楽しいと言うより、気持ち悪いのでは?

GM どっちかってーと、ダルシスの言うとおりだな。

アレク 金属のナメクジを乗り回したいですな(笑)

ルカ そんな事を話している間にも、病気でたくさんの人たちが苦しんでいるのね… さあ、行きましょう! 早く行きましょう!

ダルシス 落ち着いてください、ルカさん。エーデルまでは遠いのでしょう?

GM うん。馬車を飛ばしても30日はかかる。治療ではなく、病気の進行を抑える方に使えば、メトークスはあと12巡り(3か月)はもつ計算。

アレク バドッカはあと3カ月は戦える…

ルカ でも、そういう計算って、大抵トラブル起きて短くなるのよね…

カムイ 心配なのはわかるけど、焦ってると上手くいくものも行かなくなるぜ。のんびり行こうや。

GM と、まあ様々な思いを抱えたまま馬車にゆられていると、突然辺りが暗くなり、雨が降り始めた。

ミスティ わーい! 雨だ~!

マック ボクの白粉がおちるぅ~! 白粉が落ちて死ぬ~!(「妄想」)

アレク 近くに町か村はありませんか?

GM 近くと言うか、通り道にリンドと言う村がある。

マック いや、その村はよけて行こう。きっと面倒な事件が起こるに違いない。

カムイ だったら、お前一人で好きなところに行けば?(マジ)

GM 言っておくけど、ネタならともかく、あまりにメタ*4な行動はペナルティ対象だからな。

 

 そんな感じでマックが駄々をこねたものの、結局リンド村へ向かうことに。

 

GM 小さな村だけど、宿屋兼酒場や青の月の祠くらいはある。雨が止む気配はないね。

カムイ じゃあ、宿にチェックインしよう。

アレク 酒場に着いたらまずは酒。マスター、この村の名物の酒を頼む!

ミスティ あ、わたしもお酒ー!

酒場の親父 未成年にお酒は出せません。*5

ミスティ ガーン!

カムイ もしかして、姉さんが酒場やってるのって、普通の店じゃ酒を出してもらえないからだったりして(笑)

ミスティ かも知れない(笑)

カムイ それにしても親父さん、ひどい雨だな。この季節はいつもこうなのか?

GM ひどい雨と言った覚えはないけど、ひどい雨だな、うん(自己完結)

酒場の親父 いや、こんなひどい雨が連日降り続くことなんて、今までなかったなぁ。

ミスティ 降り続いてるんだ。

酒場の親父 ああ、もう一巡りになるな。サリカの高司祭様に《気象制御》を頼みたいんだが、高司祭様がいるような大きな町には、片道2巡りはかかってしまってね。南の森に住むガーナックって魔術師*6も、天気を操る魔法の研究をしているから何とかできるかもしれないが、彼のところに送った使いも帰ってこないらしい。

ダルシス あれ? そういえばルカさん、あなた《気象制御》使えたのでは?

ルカ (シートの呪文を確認して)あ、本当だ、使えるわ。

酒場の親父 おお、それはありがたい。もちろんタダでとは言いません。少しくらいなら、お礼も出せるかと思います。

ルカ お礼なんていいわよ。あたしたちも雨が続くと困るんだから。と、いうわけで、サリカの舞を踊りながら《気象制御》(ころころ)成功。

GM すると、雨の勢いは弱まりだし、数時間後には完全に止むが、またすぐに雲が出てきて雨が降り始める。

ルカ おかしいわね。術は成功したはずなのに。

カムイ 雨そのものが、別の魔法とか?

マック 親父さん、一瞬だけでも雨は止んだんだし。約束通りお礼を。

ルカ 《音噴射》で痺れてなさい。

マック しびびびびー

アレク しかし、どうしようかね、この雨。

カムイ 「この雨を降らせている何か」を、どうにかしなきゃならんかもな。そんなものがいればの話だが。

 

 ルカはもう一度《気象制御》を試してみるが、結果は同じだった。

 ミスティは雨や南の森の魔術師について酒場にいる人たちに話を聞き、雨が降り出す2日前に、ガーナックが村の道具屋で何かを買っていったこと。その翌日の夜、南の森に黒の月から光が降りていくのを見たと言う噂を聞く。もっとも、後者は情報源が酔っ払いなので、周りの者はそんな話信じるなと言われたが。

 

GM 反応判定は最高でも、本人が本当だと思っている法螺話をすることはあるからね。その話が法螺かどうかもわからんわけけど。

カムイ 一度森に行って、ガーナックって奴に会う必要があるかもな。もしかしたら、じゃじゅちゅしかもしれないし。

ミスティ 言い辛いよね、邪術師(笑)

カムイ うるせい(笑) ソーサラー*7かも知れないし。

村人 まさか! あの人に限ってそんなことは無いさ。数年前の干ばつの時に、この村を魔法で救ってくれたんだ。それ以前の干ばつで。奥さんと息子を亡くして以来、天候を制御する術をずっと探しててね。

カムイ そうやって油断させるのも奴らの…

ダルシス カムイくん、ここで口論しても始まりませんよ。なんにせよ、一度会ってみればいいのです。

GM とかなんとかやってると、外から声がする。

村人 大変だ! 堤防が決壊しそうだぞ!

アレク なんですとー!? ジェスタとして、それは見過ごせない。手伝いに行くぞ!

カムイ 俺も行こう。力仕事なら手伝える。

ルカ あたしも11だから、人並み以上にはあるわ。雨が止められれば一番だったんだけど…

ダルシス 私も行きましょう。体力9ですが(笑)

ミスティ 8だけど、「好奇心」があるので行きますです(笑)

GM 川の様子を見に行って流されるパターンだぞ、それは(笑)

マック ボクは行かない。

GM と言うか、行けないだろう。

マック そうとも言う(笑)

GM では、君たちが各々できることを探して手伝っているわけだが、時間を少しすっ飛ばして。

マック (ボソッと)キングクリムゾン発動。

GM ある程度落ち着いてきたところで、君たちに女の人が声をかけてくる。容貌は「魅力的」だね。

カムイ 運んでた土嚢を、アレクに押し付けて声をかけます。

アレク のわー!?

カムイ お美しいお嬢さん、ここは危険です。さあ、早く避難場所へ向かってください。

GM いや、向こうから声をかけてきたんだが…

カムイ 俺の逞しさに見惚れていたのですね。アレクの分の土嚢もぶんどって運んでいきます(ころころ)体力判定成功。

GM 2人分運ぶなら、-2は受けてもらうぞ。アレクは君より体力高いし。

カムイ じゃあ、失敗だ。運ぼうとして転んで土嚢を落としてしまう。よし、お茶目なところもアピールできた(笑)

ルカ ポジティブねぇ(笑)

アレク この一大事に余計な仕事を増やすなー!

ダルシス それよりお嬢さん、私たちに何か?

お嬢さん 私は、この村の村長の娘です。見れば、あなた方は旅のお方。

カムイ (すかさず立ち上がって)ガーナックに会って、雨を何とかしてもらえばいいのですね。任せてください。

お嬢さん は…はい、そうです。

GM 導入グダグダなのに、決まるの早いな(笑)

ダルシス すでに何人か使いを出して帰ってこなかったのですよね? ガーナックのいる場所は、そんなに危険なのですか?

お嬢さん 森の中なので、獣が出る可能性はあります。もちろんタダでとは言いません。一人500ムーナほどしか出せないと思いますが…

カムイ それは成功報酬で受け取らせてもらうよ。

ミスティ わたしもそれでいいけど、そう言って、最初は失敗したっけ(笑)

マック ほら、やっぱりトラブルが起こった。だからボクはこの村に入りたくないと…

GM キャラのセリフなら不自然だし、プレイヤーセリフなら、お前、何のためにルナルやってんの? ってなるけど?(ちょっと怒)

マック や…やだなぁ、冗談ですよ。報酬が一人80ムーナ程度なのは少ないなあと思っただけで。

カムイ ん? 全員でじゃなくて一人500じゃなかったか?

GM そうだよ。

マック よっしゃ、それなら文句は無い。ガーナックに会いに行こうか!

GM それは合流してからな。

 

第二章【館にて】

 そんなわけで、合流後ガーナックの館があるという、南の森に向かう一行。

 

GM 雨で地面が完全なぬかるみになってるぞ。軽くても膝くらいまではめり込みそう。

ミスティ あ~う~(指をくわえて意味ありげにカムイを見る)

カムイ 姉さんは、俺がおぶってやるよ。

ミスティ わーい!

GM なんか、さっきから幼児化してないか、ミスティ(笑)

ミスティ 前回、裏モードが出過ぎた反動ですです(笑)

 

 クールで怖いミスティは裏モードと言うらしい。その時使い過ぎた脳を休めるため、幼児化するのだそうな。*8

 それはともかく、ぬかるみの中を、10フィート棒*9をつつきつつ進む一行。ランダム遭遇表を振るも特に危険な目に遭うことも、道に迷うこともなく、予想以上に時間はかかり夜になりはしたが、ガーナックの館にたどり着いた。

 

ダルシス では、正面のドアをノックします。

GM すると、中から返事があり、右肩が下がり、卵を逆さにしたような頭のへんてこな人形が出てくる。大きさはミスティと同じくらいで、130メルチほど。

ミスティ (首をかしげて)ゴーレム*10

ルカ 「神秘学」判定は成功よ。

GM たぶん、クレイゴーレムだね。

ルカ ガーナックさんに会いに来たんだけど、入れてもらえますか?

ゴーレム ご主人様はぁ、今は誰も入れるなとおっしゃられていますぅ。どうかお引き取り下さいぃ。

カムイ はいそうですかと引くわけにはいかないな。どうしても入れてくれないって言うんなら(刀に手をかける)

ゴーレム ピピ! モクヒョウニ、セントウノイシアリ! ジエイノタメ、コウゲキシマス!

GM 腰につけてた大型ナイフ扱いの包丁を、技能+4で重要器官狙って突き刺してくる。

カムイ 「受け」る! (ころころ)うお!? 16で失敗!

アレク でも、しょせん大型ナイフでしょう?

GM うむ。所詮大型ナイフなので、7点の刺しだ。

カムイ なにー!? あ、だめだ、気絶した。

ミスティ ど、どーも失礼しましたー! カムイを引っ張って扉を閉める!

GM 別に追ってくる様子はない。

ルカ じゃあ、《大治癒》二回に《覚醒》

カムイ ふぅ、助かった。油断したぜ。

マック 相当強い人形だね。強行突破は無理?

GM いや、ほんとに油断して食らっただけだと思うよ。技能レベルは12も無かったと思われる。

マック じゃあ、強行突破?

カムイ いや、こちらが攻撃しなけりゃ、向こうも何もしないんじゃないか? こちらに攻撃の意志があるや、自衛のためって言ってたからな。

ミスティ もう、カムイは喧嘩っ早いんだから!

ダルシス じゃあ、もう一度正面から。ドアを開けます。

GM すると、左肩が下がり、逆さ卵頭のへんてこな人形がまた出てくる。

ゴーレム おやぁ、お客様ですかぁ。どうぞ中にお入りくださいぃ。どうぞどうぞぉ。

GM と、促してくるよ。

一同 (顔を見合わせる)

ゴーレム おやぁ? どうかしましたかぁ?

ダルシス さっきあなた、誰も入れるなと言われているって、言っていませんでしたか?

ゴーレム いえぇ? そのようなことは言っていませんがぁ?

カムイ ん~ まあ、いいや。入っていいって言ってるんだから入ろうぜ?

 

 館の中は、数日前から降り続けている雨でじめじめしており、何か所もの雨漏りのせいで、びしょ濡れになってしまっていた。

 PCたちはゴーレムに、応接室らしき部屋へ案内される。ゴーレムはお茶の用意をするため館の奥へ入っていった。

 

カムイ 今のうちにガーナックを探しに行こうぜ。

GM とか言ってると、また右肩が下がった逆さ卵頭のゴーレムが入って来る。

ゴーレム おやぁ? 勝手に入ってこられてはぁ、困りますぅ。

アレク なんなんだ、こいつ?

ミスティ あ、なんとなくわかっちゃったかも。

カムイ 何がだい、姉さん。

ミスティ たぶん、肩が下がってる向きで、こっちへの対応が違うんだよ。ゴーレムの左肩を下げてみます。んしょ。

ゴーレム おやぁ? 何をなさるんですかぁ?

GM 変わらないと言うか、肩は下がらないよ?

ミスティ (首をかしげて)あれ?

アレク 2体いる…とか?

GM アレク正解。正解したところで、お茶を入れに行った、もう一体にも登場願いましょう。

 

 2体のゴーレムは、最初に会った方がバゴン。お茶を持ってきたのがダゴンと名乗り、ご主人様に入れるなと言われた、自分は言われてないと口論を始め、PCたちを見向きもしなくなる。

 残されたPCたちは、この2体は放っておいて、お茶だけ飲んだ後ガーナックを探しに行こうということになったのだが…

 

GM 全員嗅覚判定。成功すれば、お茶に異臭が混ざっていることに気付く。

カムイ そういや、ガーナックはソーサラーかも知れないんだったな。

ミスティ 嫌な予感がしますです。飲まないでおこう。

ダルシス ごくごく。ふぅー、おいしいお茶でした(笑)

一同 おいおい~!(爆笑)

アルク そういえば、味覚消失でしたな(笑)

ダルシス しかも、くいしんぼう(笑) おや、みなさんは飲まないのですか?(笑)

 

 そういって、仲間が残した分も飲むダルシス。いや、誰か止めろよ(笑) GMとしては嬉しいけど。

 その後、館の中を探索始めたPCたち。応接室の隣の客間、向かいの食堂と調べてみるが収穫なし。しかし、食堂の隣の台所で事件が起こる。

 

GM じめついている台所に、3人の男が倒れています。

ダルシス 生きてるんですか?

GM 少なくとも、動く気配はない。

ミスティ じゃあ、「診断」しますです。

GM では、ミスティが近づいて調べようとすると、いきなり腕が動いて君の手首をつかむ!

ミスティ うわああああ! 離してえええええ!

GM それに呼応して、他2体も動き出す。触られてるミスティにはわかるが、こいつらもう死んでる。

ミスティ (泣き声で)カムイ助けてよおおお!! こいつらアンデッド*11だよおおお!

カムイ テメエなにしやがる! 全力攻撃でその腕ぶった切る!

アレク 境界線をまたいでくんなや死にぞこないが!

ダルシス 私の《死の手》が光ってうなります。不死者を倒せと轟き叫んでいるようです。

 

 ダルシスが珍しくネタ台詞を吐く余裕があるくらいに、この戦闘はあっさり決着がつく。所詮は、普通のゾンビ、ミスティを人質にしようとするなどの知恵もなく、4人がかりの攻撃で2ターンでアンデッドは黒い水を吐き出し、全員月に召された。…重要な複線口にしたんだけど、誰も気づかなかったのは悲しいが…

 また、珍しく、マックがクリティカルを出していたけど、ダメージボーナスのないゾンビ相手には、大したダメージにはならなかった。

 

マック やっぱり、フェイントかけるより、クリティカルが出るまでサイコロ振ってた方が有利だな(マジ)。

GM さっきの体たらくでまだ言うか。マックのプレイヤーの好きなエルフも、サイコロ運に頼る作戦なんて下策とか言ってなかったか?*12

カムイ 倒しちまった後に言うのもなんだけど、こいつら何者だ?

ルカ 普通に考えると、村の使者の人たちでしょうけど、なんでアンデッドに?

アレク やっぱりガーナックはソーサラー

カムイ 嫌だなぁ。知力抵抗の魔法とか、バンバン撃ってくるんだろうなぁ。

マック ボクは「意志の強さ」5レベルあるから大丈夫さ。

ダルシス では、カムイくんが操られた時の対応は、あなたに任せます。

マック え? 勘弁して(笑)

 

 探索を再開した一行は、雨水に沈んだ、頑丈そうな扉の地下室の入り口を発見するが、《水破壊》どころか「水泳」すら誰も持っていなかったりする。地下室を調べるのは後回しにし。玄関近くの物置へ。

 そこにいたのは、犬のようなサイズの凶暴な大鼠。しかし、その鼠たちはカムイの刀と、ルカの《音噴射》の前にあっさり倒される。

 

ダルシス こんなものを飼っているということは、やはりガーナックはソーサラーですね。

GM (飼ってるわけじゃないんだけどね。)

ミスティ 結構長いこと探索してるけど、ゴーレムさんたちは何してる?

ゴーレム お客様がたぁ。私たちはこれから魔力補充のための眠りにつきますぅ。くれぐれも勝手なことはしないようにお願いしますねぇ。

GM とか言って、地下室の隣の部屋に入っていく。

カムイ あ、眠る前にガーナックの居場所を聞いておいた方がよかったか?

ダルシス ご主人様は、2日前から見ていないと言っていましたよ。

ミスティ 良く覚えてたね、そんな言葉。

ダルシス 何となく、耳に残っていましてね。

 

 一行は。館の探索を続ける。一階の最後の部屋は複雑な鍵がかかっていたため後回しにし、二階へ向かう。故ガーナック夫人やその息子の部屋を調べるも、めぼしい収穫は無し。その代り? ルカが天井に潜んでいた毒蛇に噛まれ、敏捷と知力に-1されることに。

 

ルカ (ガタガタ震えて)蛇死んだ? 死んだ?(「蛇恐怖症」)

アレク 倒しましたよ(苦笑)

GM 蛇を倒した後探索するけど、特に何もない。2人の部屋で気になることは、何年も前に亡くなられた割には、掃除が行き届いている感じ。

ダルシス 2人の死後も、思い出をずっと大切にしていたのでしょうか? ソーサラーのイメージではないですね。

カムイ いや、2人を死なせてしまったことで、じゃじゅちゅに手を染めたのかも。

ミスティ (にやにや)

カムイ 笑うな姉さん。ショックで俺もソーサラーになるぞ(笑)

 

 続いてガーナック自身の部屋を探索。金庫の中の1000ムーナをマックが盗もうとして、ダルシスに関節を極められたりしたものの、こちらもめぼしい収穫は無し。1000ムーナと、マックは気付けなかったが一緒に入っていた10点分のパワーストーンは、ガーナックが死亡していた場合は村に渡し、邪術師だった場合は討伐報酬代わりにもらっていくことにした。

 …ここでGMは、1000ムーナのごたごたに気を取られ、大事なアイテムを一つ渡し忘れたことに気付くが、まあ、他の部屋で渡せばいいだろう。

 一行は一階に戻り、複雑な鍵がかかっていた部屋の扉を、ミスティが覚えたての《錠前師》の魔法で「鍵開け」のレベルを21まで伸ばし、開錠。

 

GM どうやら書斎のようだ。整理整頓は苦手なようで、所狭しと本が並べられている。

ルカ ようやく当たりに来た雰囲気ね。

GM めぼしい本を探すのは、「調査」技能だ。技能なし値は知力-5。

カムイ&ミスティ 成功!

ルカ あ~ん! 蛇の毒にやられてなかったら成功だったのにぃ! これだから蛇は嫌なのよぉ。

GM カムイまで成功しなくてもいいだろうに。

カムイ 1、1、2が出たからな。無駄なところでサイコロ運使っちまった(笑)

マック 突然めずらしい活躍しだすのって、死亡フラグだよね…?

カムイ 怖いこと言うなよ(笑)

 

 この軽口が、まさか現実になろうとは、この時は誰も思わなかった…

 

GM 大半の本は、風霊系、水霊系、天候を操るタイプの魔術書。ただ、詰まれている本の上の方は〈悪魔〉関係の本ばかりだね。

ダルシス やはり、そうでしたか。

GM その中の一冊に、赤い線が引かれている部分がある。天候を操る〈悪魔〉、ザウメイレンに関する記述だ。描いてあることでは、雨を降らせる能力を持ち、水を与えると強化されることくらいしか分からんが。

ルカ たくさんの人を不幸にする〈悪魔〉! 許せない!

マック でも、大雨振らせて何する気だったんだ? いや、ボクは雨大嫌いだけど(笑)

アレク 堤防を破壊する…とか?

ダルシス その行為にどれほどの意味があるかね。死人は出るでしょうが、村を滅ぼしたところでどうなるものでもないでしょう。

GM ジェスタのアレクなら分かるかもな。「神学」技能は、神官だから、知力そのままで判定して。

アレク (ころころ)成功ですぞ。

GM もしあの村の堤防が壊れても、村の3分の1が水で流されるだけ。もちろん、村人には死活問題だけど、避難所に逃げていれば大丈夫のはずだ。

一同 う~ん…

ミスティ あ、この部屋の探索もしてみますね。(ころころ)成功です。

GM では、本の中に紛れている机が見つかり、中から水色の、先端が輪になっている小さな杖と、ガーナック自身の研究記録が見つかる。(ほんとはガーナックの私室で渡すつもりだったけど秘密)

ミスティ 読んでみるね。「調査」は成功。ああ! 窓に! 窓に!

GM 違います(笑) 天候制御の呪文の研究に行き詰っていたため、〈天使〉より強力な〈悪魔〉の力を使おうとしたこと。何度か低級の〈悪魔〉を呼び出したこと。ザウメイレンは特殊な薬草があれば制御できそうという記述がある。それが8日前。

カムイ 善意のために、〈悪魔〉に手を出しちまった系か。やっちまったな。

GM で、最後の記述は3日前だね。

 

 どうやら〈悪魔〉の制御に失敗したようだ。私はこれから、封印を試みる。もしこの本を誰かが呼んでいるなら、それは封印に失敗し、私は死んだということなのだろう。この日記を読まれた方、どうか、私の代わりに、あの〈悪魔〉を倒して欲しい。

 

カムイ 予定変更だ。パワーストーンと1000ムーナは頂いて行く。ガーナックからの、正式な依頼料としてな。

マック うんうん。報酬がある方がやる気が出るもんな。

ルカ 多分、〈悪魔〉は地下室でしょうけど、どうやって入るの?

GM 一緒に見つかった杖には古代神聖語で文字が掘られている。《水浄化》《水作成》《水破壊》《脱水》がこれ一本で使える、お得なマジックアイテム!

アレク なんですか、そのテレビショッピングみたいな説明は(笑)

GM 使い方は簡単! この杖で対象に触れて、使いたい呪文に応じた言葉を言うだけ。古代神聖語技能が無くても大丈夫。

カムイ じゃあ、使わせてもらうか。

 

 この杖は、体力が高く魔法も使わないカムイが持つことに。そして、一行は〈悪魔〉待つと思われる、地下室へ向かう。

 

第三章【変幻自在の水の〈悪魔〉】

カムイ 地下室の水たまりに向けて《水破壊》(ころころ)成功。

GM では、水は問題なく消滅した。地下室への階段は、二人並んで入ることができる。扉の前は踊り場になっているね。

アレク 盾持ちの私とマックが前に出るぞ。

カムイ その後ろに、俺とダルシスさんだな。

GM オッケー。扉には《魔法の鍵》がかかっている。君らの力なら、壊せそうだけど。

アレク では、ジェスタアクスでガンガン殴る。

ルカ 《倍速》の集中待機しておくわ。目標はカムイ君。

ミスティ 前衛四人に《幸運付与》しておくです。

GM (こっそりダルシスにメモを渡す)

ダルシス …では、私は自分に《すばやさ》。パワーストーンも使ってフルパワーで。

カムイ 珍しいな、ダルシスさんがその魔法使うなんて。

ダルシス 今までは、使うまでもない相手ばかりでしたから…

カムイ 怖い怖い(笑)

GM では、ジェスタメイスで5,6回殴ると扉は壊れる。

 

 その先は10メルー四方はありそうな空間だった。扉の隙間や天井の空気穴から水が入り込んでいたのだろう、床は足首まで浸るほど水浸しになっている。その中央には魔方陣。魔方陣の手前には、手に巻き割り用の小型斧を持ち、水死体となっている魔術師風の男。

 

カムイ あいつが、ガーナックか。

マック 〈悪魔〉はいないのか?

 

 マックがそう呟いた直後、床の水が魔方陣に吸収されていく。そして、噴水のように水は盛り上がるが、それは二度と落ちてくることは無く、水でできた、4本の蛸や烏賊のような触手を持つ、てるてるぼうずのような形を取る。ほぼ透明だが、黒い体液のようなものが、体中を駆け巡っている。

 

GM これが、〈淀みの悪魔〉ザウメイレンの姿だ。

ザウメイレン ぐぼぼぼぼ、よくぞ扉を、ごぼぼぼ、開けてくれた。感謝のしるしに、ごぼぼ、我と一体化する名誉を、ぐぶぶ、授けてやろう。

カムイ やだね。一体化するなら、美女に限る。

GM さて、では戦闘開始。まずは、行動順を決めようか。

 

 先手を取ったのはマック。盾と槍を構え、〈悪魔〉に大振り攻撃を繰り出すが、外れ。

 

GM 次にダルシスだな。

ダルシス (ちょっと考えて)後ろから、カムイくんに抱き付きましょう。

カムイ ダルシスさん、こんな時に何を…?

ダルシス もちろん、フルパワーで《死の手》をかけて。

一同 えええええ!?

ダルシス (ころころ)11点ダメージ。そのまま首を絞める。

カムイ ぐはっ! いてえ!

ルカ ど、どういうこと!? 何やってるのダルシス!?

ミスティ …あ、もしかして! あの時飲んだお茶!

カムイ まさか、〈悪魔〉が体の中に!?

GM うむ。ダルシスの目や耳から、黒い液体が流れているね。

ルカ 《倍速》の集中止めて、《音噴射》に!

ミスティ 《集団誘眠》! 今のわたしなら、2ターンで使える! カムイ、ちょっと耐えてて!

アレク ま…まずいですぞ!? ルカさんたちを守れる位置に移動します!

マック え? もしかしてボク一人で〈悪魔〉と戦うの!?

GM まあ、待て、順番に行動していこうじゃないか。

 

 予想外の出来事にパニック状態になるPC達。ダルシスは自身への《すばやさ》により、柔道の技能レベルは22! 捕まったら逃げられない。

 アレクは宣言通り、ミスティとルカの前に移動。カムイは振り解くのを諦め、空手で攻撃しようとするが、「ひじ打ち」を覚えていない彼では、後ろから組み付いているダルシスに有効打は与えられない。そして、GMの番が回ってきた。

 

GM 上階で扉が開いて、目が黒くなったゴーレム、ダゴンが大きな肉切り包丁(ブロードソード扱い)を振り回しながらやって来る。2ターン後には接敵するよ。

アレク ま…まずいですぞ!?

ミスティ まずはダルシスさんを無力化する! その後に、ゴーレムはルカさんなら何とかできると思うから、アレクは、鳥さんを助けに行く! 落ち着いて順番にやっていかないと!

アレク そ…そうですな。

GM まー、その前に土左衛門となったガーナックもゾンビ化して、ハチェットを持って膝立ちになるんだが。

一同 ぎゃああああ!

 

 ガーナックゾンビは膝立ちになりつつ、マックを大振りで攻撃。後ろからの攻撃をマックは防ぐことができず、ダメージを受ける。さらに悪魔の触手に組み付かれてしまう。

 

マック くそー! ボクなんかを触手で捕まえても、うれしくないだろ! 後ろの女の子組にしろー!

ザウメイレン ぐぶぶぶ、言われなくてもそうしてやるさ。お前も我が同胞に加えてからなぁ!

GM ザウメイレンは、口らしき部位から水を吹き出す。2Dダメージの水撃だ。

 

 この水撃でマックの生命力は半分を切る。ルカ、ミスティは先ほどの宣言通りの呪文を集中。

 第2ターン。マックは、触手の振り解きを試みる以外何もできない。しかし、触手の合計体力は12。カムイやアレクなら脱出の目はあるどころか、空手や喧嘩殺法でダメージを与えられるが、マックの体力は9の上、ナイフも「格闘」技能も持たない。

 ダルシスはさらに《死の手》を使い、カムイの生命力は-に突入。

 そのカムイ、気絶判定は成功したが、この状況では何もできない。アレクは気絶狙いで手加減してダルシスの顔面をメイスで殴ろうとするが、背面からの攻撃でも「受け」の目標値は13になるダルシスは、軽々「受け」る。*13

 ガーナックゾンビとザウメイレンの攻撃で、マックも生命力がマイナスに突入。

 

ルカ フルパワーの《音噴射》よ! ダルシス、ちょっと痺れてて!

ダルシス よけの目標値は7。右背面なので5ですね。さすがに無理でしょう。

ザウメイレン ぐぼぼぼー、ダルシスよ、後退アクロバットよけをするのだ。

GM この場合は、前転して避ける感じかな? 目標値は10になるから、十分目はある。さすがにカムイを放さなきゃならんが、まあ仕方ない。

ダルシス (ころころ2のころころ)成功してしまいました。回転して起き上がりましょう。

ルカ ええええ!?

ミスティ ダルシスさんってもしかして、私たちが束になっても勝てないくらい強い?

GM それは大げさ。一対一でも通常の正面勝負なら、カムイの方が強い。

ダルシス ですので、最強戦力を無力化しろと言う指示で、後ろからカムイくんを狙ったんです。ミスティちゃんとどちらにしようか、ちょっと悩みましたけど(笑)

カムイ それは正解だと思う。姉さんが狙われてたら、俺はたとえダルシスさんでも、容赦なくぶった切りそう(笑)

GM できたら良いねぇ。通常ならともかく、《すばやさ》フル状態のダルシスは、マジでメンバー最強だろうし。

カムイ なんで、そんなに強い人が近くにいるのに、俺は試合申し込んでなかったんだろう。

ミスティ 戦えば負けると分かっているけど、それを周りに悟られたくないから、いつも近くにいるとか?(前回の後、るろ剣全巻借りて行った)

カムイ 何が可笑しい!!(笑)

 

 軽口をたたいているのは、油断でも余裕でもなく、冷静になるため…だと思う。

 ミスティは《集団誘眠》の集中を続ける。

 第3ターン。マックは気絶判定に成功するも何もできず。ダルシスは〈悪魔〉の指令を受け、《死の手》を発動しつつ振り向き、アレクに触れようとするが、大振りになるため不発。

 

アレク こえええええ! ダルシスさん無茶苦茶こええええ!!

カムイ 盾も鎧も関係ない、触れられるだけでアウトだもんなぁ。こっちに攻撃すりゃ、大振りじゃなかったはずだけど、もう一撃食らうと下手すりゃ死ぬから助かった(笑)

 

 カムイは、もはやフェイントが効くレベルじゃなくなったダルシス相手に全力攻撃で〈昇竜〉の連撃。まぐれ当たりを狙うわけでは無く、「受け」を二度使わせれば、その後のアレクの攻撃が当たるかもしれないからだ。しかし、続くアレクの顔面を狙った攻撃は失敗。本当に詰めの甘い男である。

 ガーナックゾンビとザウメイレンは、マックに攻撃を続ける。ダゴンはルカを攻撃するが、熱にかかっていても高い回避率を誇るルカは問題なく防御する。

 

ルカ じゃあ、反撃。「朱雀」でハリセンチョップよ! 当たって8点。

GM ナイスツッコミ。

ミスティ 《集団誘眠》の集中はできたけど…

カムイ どうした、姉さん?

ミスティ その3人の位置だと、全員巻き込むか、気絶しかけのカムイを外して、わたし自身巻き込まないとダルシスさんに魔法かけられない… 眠った後、《覚醒》で起こして、立ち上がって鳥さんのところに行くまで、4ターンはかかる。

マック えー!? それまで耐えるとかボク無理だよ!?

カムイ くっそ! だからアレクの方に行ったのか! GMが手加減してくれてるのかと思ったら、マジすぎるぞ!

ダルシス ミスティのことを知っている私なら、それくらい思いついてもおかしくないですものね。

マック ちょっとは手加減してよGMー!

ザウメイレン 手加減ってなんだ? 俺は〈悪魔〉だ。

 

 などと伝説の大悪魔のセリフをパくれるほど本体は大した強さではないが、PCたちの絶望的状況は似たようなもの。

 PCたちは何か方法がないかと模索するが、何も思い浮かばず。

 

マック 早くボクを助ける方法考えてよー!

ミスティ (ため息ついて)もういいや。コイツ、さっきから自分のことしか考えてないし。ごめんね、鳥さん(ニッコリ)

マック あ、ヤバい、裏モード出しちゃった?

 

 ミスティの《集団誘眠》で、3人は眠りにつく。続きミスティはアレクを目標に《覚醒》を集中*14

 

GM さて、4ターン目だ。お互い最強戦力が眠ったし、気絶したらマックを放って他の奴らの相手をしたいところだが…

アレク さらっと、ダルシスさんを最強戦力と言いましたな(笑)

カムイ 俺かアレクなら、振りほどいて戦えるみたいだからな。イニシアティブ次第じゃ、状況かなり変わってたな、

マック 「意志の強さ」が高すぎて気絶できないー! 無茶苦茶有利な特徴だと思ったのに! こうなったら死んだふりで…

 

 ガープスで大抵のデータマンチ*15が言う有利なキャラなんて、そんなもんである。もちろん、「演技」技能も持たないマックの気絶したフリなんかに、〈悪魔〉は騙されない。

 この後の3ターンは膠着状態が続く。ミスティはアレクを《覚醒》で起こした後、生命力が-に突入しているカムイに《大治癒》を連続掛け(一日に複数回《大治癒》をかける時のペナルティは、術者ごとにかかると扱っている)。ルカはゴーレムをツッコミ倒し、アレクは起き上がりマックのもとへ向かおうとするが…

 

マック あ、だめだ。三度目の死亡判定で死んだ。(←幸運は一度目に使っている)

アレク マックの仇! 〈悪魔〉め覚悟しろ!

ミスティ 待ってアレク! あいつきっと、鳥さんもゾンビ化させて手籠めにする!

ルカ それを言うなら手駒よ!(笑)

ミスティ あう、舌が回らなかった(笑)

GM ちっ、気づかれたか。では、ご期待通り、死んだマックに黒いエキスを注入。出でよ、ゾンビマック!

ゾンビマック よーくーもー、ぼーくーをー、みーごーろーしーにーしーたーなー(ノリノリである

 

 ルカ、ミスティ共に《倍速》に集中。アレク、カムイは、敵にダルシスを起こされてはもう手に負えないので、攻撃が届かないよう少し前進。

 ガーナック&マックゾンビはカムイ&アレクに大振り攻撃をするが外れ。逆に、反撃の〈降竜〉でガーナックは一刀両断に。

 カムイ、マック、アレクは目標値14以上で「受け」や「止め」が可能で、武器技能も高い。このレベルになれば、フェイントレベルを上げているカムイ以外のフェイントは効果が薄く、クリティカル狙いの攻撃を繰り返す意味も出てくる。奇しくもマックのプレイヤーが主張し続けた、クリティカルを狙った方が良い戦いが、ここに再現されたわけだが…

 

ルカ アレクに《倍速》

ミスティ カムイに《倍速》

 

 2対1の上、こうなってしまってはクリティカルを狙うとかそんな次元の話じゃぁない。一方的に攻撃され、マックゾンビも月へと還って行った。しかし、元仲間に君ら容赦なさすぎ(笑)*16

 残ったザウメイレンも、本体は水の中を漂う黒い液体だとあっさり見抜かれ、接敵から2ターン保たずに倒される。(まさかの割愛である)

 

エピローグ【今日は良い天気】

GM ザウメイレンが滅びると、黒い液体も霧散していく。

アレク ふぅ、何とかなったけど…

ミスティ 鳥さんは、森に埋めましょう。槍と鎧と、お金と一緒に。

カムイ それがいい。まあ、こんな仕事やってるんだ、覚悟はできていただろうさ。

ルカ ダルシスは?

GM もう操られていないし、黒い液体自体に攻撃力は無いから、内臓をやられたりもしていない。

ダルシス 操られていたときの記憶はありますか?

GM あるよ。

ダルシス なんて言ったらいいか分からない。自己嫌悪に陥っていよう。

カムイ こういう事もあるさ、あまり気にすんな、ダルシスさん。

ダルシス ありがとう、カムイくん。

カムイ 埋め合わせしてくれるなら、今度デートしてくれ。

ダルシス ええ、付き合います。

カムイ うおお!? 初めてOKしてくれた! 嬉しいけど、相当滅入ってんなこりゃ。

ルカ 試合は挑まないのね(笑)

カムイ 武芸者の名誉は-10。好色は-15。つまり、女好きの方が上ってことだ(笑)

GM そうなのか?(笑)

ミスティ わたしは、今度宴会に付き合って!

ダルシス ええ、もちろん。私が奢ります。

アレク おお、私もご相伴に預からせて下さい(笑)

GM さて、外に出ると、さっきまで大雨だったのが、嘘のように晴れ渡っている。

ダルシス 事件、解決ですね。

ミスティ そういえば、もう一体のゴーレムは?

GM ああ、帰ろうとすると起きて来るね。

ゴーレム おやぁ、お客様ぁ、お帰りですかぁ?

ミスティ ガーナックさんが死んだこと、伝えた方が良いよね? 伝えます。

ゴーレム ご主人様がぁ。ではぁ、私は次の主人が来られるまで、ここで眠りますねぇ。

カムイ 村に行った方がよくないか? 体力はあるみたいだから、重宝されるだろう。

ゴーレム ではぁ、そうしますねぇ。

ルカ じゃあ、一緒に村まで行こうか。

ゴーレム はぁい。

GM 村人たちは、雨が止んだことを喜んでいる。口々に、君たちに感謝の言葉を伝えて来るね。

ルカ 声援受けるのはやっぱりいい気分だわ! 村人の前に出ていくわよ!(笑)

GM ガーナックのことはどう報告する?

カムイ 〈悪魔〉を呼んだことは黙っておこう。最後は間違いに気づいていたみたいだし。

ミスティ 雨を降らす〈悪魔〉を倒そうとして、負けちゃったってことで良いんじゃない?

アレク そうですな。それを伝えて、とりあえず私は、仕事の後の一杯を飲みに行くぞ(笑)

カムイ んじゃ、これで。

ルカ そうね。

カムイ 村長の娘をデートに誘えるな。

一同 違うでしょ!(笑)

ダルシス …カムイくん、私を誘っておきながら、もう他の女のことですか…

カムイ え? あ、ちょ… ダルシスさん、待ってくれ!

ダルシス 待ちません。関節極めます。

カムイ ぎゃああああ!!

アレク おお、ダルシスさんがいつもの調子に(笑)

ルカ カムイ君、これ狙いだったのね(笑)

ミスティ いやー、どうだろう(笑)

カムイ 笑ってないで助けてーーー!!

第四話【雨降る森の魔術師リサーチャー】ー完ー

最終話【鬼面の都市の冒険者アドベンチャラーズ】へ

*1:後に公式ルールで8割と明記された。

*2:動作も詠唱も不要で、準備時間は4分の1、消費する疲労点も3減る。

*3:「けちんぼ」は、お金を使うことを何より嫌がるキャラの持つ不利特徴。こちらの方が「守銭奴」のイメージに近い。

*4:メタフィクションTRPGでは、プレイヤーは知っているがキャラクターは知らないはずなのに、まるでキャラクターが知っているかのように行動することを指す場合が多い。

*5:「小人症」の身長は130センチ以下になるので、ミスティの見た目は小学3年生くらいである。

*6:ルナル世界では職業ではなく、白の月に住む〈天使〉を使役し、魔法を使う種族のことを指す。

*7:〈悪魔〉に魂を売った魔法使いの総称。邪術師と書きソーサラーとルビを振る。

*8:不利特徴としてとっているわけではない。

*9:約3メートルの棒。罠や底なし沼を探るための、探索の基本装備。

*10:語源はユダヤ教の伝承にある、自動で動く泥人形。転じて、ファンタジー世界の多くでは魔法で作られたロボットを指す。

*11:ゾンビやバンパイアのような、死んでいるけど動いている怪物の総称。

*12:ソードワールドバブリーズシリーズのスイフリーのことか?

*13:柔道技能の「受け」は体さばきも含まれるため、両手が塞がっていても「受け」は可能とルールにある。

*14:ルールミス。《覚醒》は範囲魔法なので、ダルシスと同ヘクスにいるアレクのみを起こすことはできない。

*15:データ的な有利さを追求するプレイヤー。GURPSの場合、そうしたプレイヤーが作ったキャラは、特定の一点だけは優れているが弱点が非常に多いキャラになりがち。

*16:どうも、このシリーズ通して《倍速》の集中時間は2秒と、GMもPLも勘違いしてる模様。実際は3秒。