第10話「不屈なる者」
「そうだ奪えばいいんだ」
彼女がそれに気がついたのは10歳の時だった。彼女の家は代々ガヤンの家柄で彼女の父親もまた高潔なガヤンの神官だった。
そんな高潔な父から彼女は様々なことを教わった。彼女は父が嫌いだったが家では父の言うことが絶対での父はまさに「法」だった。そして彼女は法に逆らうことなどできなかった。
彼女が10歳の時、彼女の住む町でひどい飢饉がおこった。
辺りにはろくに食べれない飢えた人々が大勢出た。しかし、なによりも飢えていたのは彼女の家だった。
厳格だが外面は良い父が食料を人々に与えていたからだ。
食料があるのに食べることのできない辛い空腹の中で彼女はあることを悟った。
「そうだ奪えばいいんだ」
そして彼女は自由になった。それからは楽だった。どんな人間も「奪う」対称だと思えば怖くなくなった。
でも何かが満たされない。人から効率よく全てを奪うために魔術も覚えた。
しかしそれでも私は満たされない。
いかに魔術を極めてもその能力を上げても彼女の何かが満たされなかった。
そして彼女は気がついた。
「そうか人の体で全てを奪えるわけがないんだ」
そして彼女はすべてを奪うために人を捨てた。
第10話「不屈なる者」
GM: ではいつもとおなじ成長申告だ。
アイス: 前回は余分にCPをもらいましたから沢山成長できましたよ。
GM: まあ、君たちは50人からの人間を解放したんだからね。そのCPは当然だろう。
アイス: では僕から、とりあえず盾を16まであげました。前回のゴウダンさん守護者っぷりに触発されての結果です。
ゴウダン: いや、私などまだまだなんだが。
エルナ: いえ、ご立派でしたよ。私は「時間奔流」を覚えました。これで大変な状態になっても何とかできるようになりました。
ラック: わいは相変わらず「槍」を上げるためにがんばっとるで。
ガラ: わしは沢山CPをもらっても謎の腕に吸収されるだけじゃ。
GM: ふふ、その腕から解放されたら返してあげるよ。
ガラ: とりあえずアンデット戦にふまえて少ないCPで「死霊返し」を覚えようかと思うんじゃが。GM、この呪文はわしは取得できるのか?
ラック: えーと前提は「聖なる人物」微妙やな。
GM: 君は聖人ではないが、何故か取得できる。
ガラ: う、腕か?、この腕なのか?
GM: さてね(ニヤリ)あと君の掛ける祝福についてだが、これからは2人までなら持続しているとは考えなくなるから。これも謎の力。
ガラ: うわ、絶対腕だ。
ラック: 龍の守護か。ここに龍闘士がおったらいくら払ってもかけてもらいたいやろうな。
ケンゼン: わしは「強靱精神」を覚えてみたぜよ。
ゴウダン: 私は「指揮」「生存:平原」「戦術」を伸ばした。
GM: ではゲーム開始だ。君たちが町から帰ってきてから2,3日が過ぎた。
ゴウダン: 私は無事に帰ってこれたのか?
GM: うん。そして問答無用で入院。
ラック: あれだけの怪我やからな。
GM: でも病院にはハゲイトの人々もいて、病院内ではちょっとしたアイドルだよ。
ゴウダン: うん。彼らの笑顔を見て、うじうじと悩んでいた自分を反省だ。
アイス: でもゴウダンさんが入院中はゆっくりできますね。
ラック: そんなお前に鳥キーック!
アイス: へぐぅ、な、何故にぃ。
ラック: 今のわいらの状況をわかってるんかアイス?
アイス: えーと、とりあえずアンデット達を倒して村人を救出しました。
ラック: わかってない、わかってないで!そんなお前に鳥パンチや。
アイス: な、何故にですか?
ケンゼン: あんなあ、わしらのやったことは主人のいない家に上がり込んで金品を盗んだようなもんぜよ。とうぜんそこの連中は怒って襲ってくるぜよ。
エルナ: そうですね。それに相手はアマラン=ゾウス。町を消し去るぐらいの力を持っているのですから、この村を消すこともできるかもしれません。
ラック: ちゅうわけや。わかったかアイス。
アイス: 成る程。言われてみればそうですね。
ガラ: 言われんでも考えような。
ラック: さて、ちゅうわけでこの3日は重要や。
エルナ: 普通に考えれば基本の策は援軍を呼ぶことですか?
ラック: そうやな、こんな小さな村の戦力じゃだめや。
ガラ: では増援を手配してもらって。
ラック: けどな、それをしたらかえって犠牲者が増えるんちゃうか?
アイス: その可能性はありますね。でもここで何もせずに待っていても連中は襲ってきますよ。
ラック: わいは一番ええんはこの村の村人達に非難してもらうことやと思う。もちろん戦いたい奴は残って欲しいけどな。
ケンゼン: けどいくらなんでも村人全員避難は無理ぜよ。
ラック: 無茶をとおすんや。前回50人救っておいて今回100人死なれてみい。目覚めが悪いわ。
エルナ: そうですね。では、この村の村長に直談判しましょう。
GM: 村長宅では現在、突然現れた50人の人々への対応で追われている。
エルナ: すいませんが村長さんはおられますか?
GM: (コロコロ)では40ぐらいの小男が君の方に笑いながら歩いてくる。
村長: 私がこの村の村長のカーネスですが何かご用ですか?
エルナ: はい、この村が近々アンデットに襲われる可能性があるので、村人の皆さんに避難して頂きたいと思いまして。
GM: 君がそう言うと流石に村長は驚くぞ。
村長: しかし、この村は昨日50人ほど増えたばかりでして、移動と言ってもそう簡単にはいきませんよ。
ラック: それはわかっとるわ。なにせわいらがその増やした原因やからな。
村長: ではあなた達がその時の冒険者さんですか?
ラック: そうや。ちゅうかGM、ここにも50人の中の何人かは来とるんやろ?わいらが入ってきたらわからんか?
GM: そうだね、気がつくね(笑)
ラック: わいらは確かにハゲイトの人らを助けた。けどなアンデットの巣にはまだしゃれにならんのがおるんや、そいつらが襲ってきたらここなんかひとたまりもない。
村長: しかしですな。ここは小さい村ですが100人ほどが生活していますし、家畜などもいます。そう簡単には移動できませんよ。
エルナ: 今回の敵はハゲイトの村で悲劇を作り出したアンデットです。ここだって一夜にして消される可能性があるんですよ。
村長: しかし、一応この村にも自警団もありますし、それでも無理なら近隣から人を呼んで対応もできますし。
ティマ: 埒があかないから僕はいったん席をはずすよ。
ラック: あかん平行線や。こうなったらエルナは嫌がるやるけど、サーライトの力を借りるしかないで。
アイス: またサーライトの名前を借りるんですか?それをやると今回こそ犯罪者になりますよ。
ラック: それ以外に方法がないんや。
ティマ: じゃあそれぐらいのタイミングで幻覚をまとって入ろう。外見は20才ほどの紳士風で。
GM: いきなりぱりっとした格好の奴が入ってきて、村長は驚くけど。
ティマ: (低い声で)私は彼らの後援者に当たる者だ。彼らが村長との話し合いをすると言ってからずいぶんと時間がたっているので、何事かと思ってね。
村長: いえ、それがその。
ティマ: 言っておくが私はサーライト閣下とも交友があるんだよ。と言って前々回の偽造入場券を出そう。
ラック: 田舎の村長のところに、いきなり総理大臣の関係者が来たようなもんやな。
GM: (一応判定を・・・うーむ、やはり見破れないか)彼は目を見開いてそれを見ている。
ティマ: 彼らの言っている策は問題ないと思うが?
村長: し、しかしこちら側にもいろいろと問題がありまして。
ティマ: 責任は私が取ろう。それでよいかね?
村長: はい!では大至急避難の準備を始めます。
この後、ペローマの書記官が偽造券を見破りかける場面もあったが、ティマの言いくるめにだまされてしまう。かくして村の避難は決定事項となった。
ラック: けどティマ、ええんか責任取るとか言うて?
ティマ: まあ、もしも今回の策が不発なら僕ができる範囲で責任は取るよ。でもそれは君たちもでしょう?
ラック: ま、金以外やったらそれなりの責任は取るわ。
アイス: なんか大事になってきました。
ケンゼン: ちゃちゃ、吸血鬼達と事を構えるのは十分な大事ぜよ。
GM: そうこうしている間に一日目は終わり、二日目。今日・明日で村人は隣接するクグルムという町に避難するらしいけど、君たちはどうする?
ラック: 護衛はいるやろ。避難中に襲撃されたりしたら目覚め最悪やで。
エルナ: そうですね。でもこの村の警護も必要ではないですか?
アイス: ゴウダンさんがいますよ。
ガラ: いや、いくら何でもけが人に防衛を任せるのはどうかと思うぞ。
ラック: そうやでこの人否人。
アイス: ニンピニン?
エルナ: (紙に文字を書きつつ)ちなみにこう書きます。
アイス: それって悪い意味ですよね。
ラック: 辞書で引け。さて順当に考えるとパーティの分裂か、問題はどう分けるかやな。
エルナ: ゴウダンさんは町に残るんでよね。でしたら私は彼を看護をするために町に残りたいんですが。
アイス: あ、ぼくも。
ガラ: 近頃、よりいっそう姫のオプションになってきたようじゃなアイス(笑)ちなみわしはどちらでもいい。
ケンゼン: わしは戦えればいいぜよ。
ラック: まった。意見を整理して見ようやないか。
この後メンバーによる議論の結果ゴウダン、エルナ、ガラが町に残り、残ったメンバーがクグルムまでの護衛をひき受けることになった。
ラック: それじゃわいらは出発するから、お前らも気をつけて町を守るんやで。
エルナ: そちらも気をつけて下さい。
GM: さて、では護衛をしている側から話を振ってあげよう。誰でもいいから3D6を振ってくれたまえ。
ケンゼン: 11ぜよ。
GM: ではとくに何事もなくクグルムまでつく。町に着くと村長はこの町の町長に話をつけに行く。
ティマ: 交渉が難航したらこちらの出番だね。
ラック: じゃあわいらはそれまでに吸血鬼用の戦力を増員せんとな。この町にファウンの神殿はあるかな?
GM: あることあるけど、人間の町だから規模はそんなに大きくないよ。
ラック: それでもないよりはましや、ファウンの神殿で救援を頼もう。
GM: OK。
一行はファウンの神殿に行き、アマラン=ゾウスの討伐に力を貸してくれるように要請した。50人からの証人が入るため、PC達の話は素直に受け入れられたのだが。
ラック: ちゅうわけで、恐ろしい連中がくるんや。是非とも力を貸してくれ。
ファウン神官: 成る程・・・お話はよくわかりました。しかしその連中がここを襲う可能性はないのですか?
ティマ: この町を?
ファウン神官: ええ、話を聞けばそのヴァンパイアどもは吸血対称を失って飢えているんですよね。そんな状態なら誰もいない村よりも、このクグルムを襲うのではないですか?
ラック: 成る程。それは気がつかんかった。
ファウン神官: その可能性がある僅かでもあるのなら、我々はここを離れるわけにはいきません。しかしながらあなた方の情報はありがたい。早速近隣の町やドワーフの集落から増援を集めましょう。
GM: といって彼はデスクワークに入る。
ティマ: ファウンとしてじつに正しい判断だね。
ラック: そうやな。今回はわいの配慮がたりんかった。これじゃあ防衛戦をしようとすんのに拠点を二つに増やそうとしとるようなもんやったな。
ティマ: でも、あの村にいるよりは村人達の被害は減るんじゃない。
ケンゼン: ちゃちゃ、やっぱり守るんじゃなくこちらから撃つしかないぜよ。
ラック: うーん。そうやな確かにそれが被害がでん方法やろうけど。
ティマ: そうだね。
ラック: これは早急に対策を練らんとな、へたすると村人の移動が意味を持たなくなるで。
ティマ: そうだね~。対策を練らないとね。
アイス: そういえばこの前から気になってたんですか、あのヴァンパイア達はあそこで何をしていたんでしょうか?太陽の下でも活動できる鎧を持ってるんなら、普通はあんな所に篭もりませんよね?
一同: (し~ん)
ラック: ・・・80点。
ティマ: いや83点はあげようよ。
ラック: そうやな。アイス、今の発言はよかったで。これからもこの調子で点数を上げるんや。1000点になったら1ムーナをやろう。
アイス: ペリカよりもひどい点数制ですね。
ラック: あほ、感謝の気持ちはジェニでは考えれんわ。まあ、考えれたとしても考えるつもりはないがな(笑)
ティマ: じゃあ、早速この事をハゲイトの人たちに話を聞いてみよう。
前回助けたハゲイトの人々から話を聞き出す面々。これにより面白いことがわかる。
村人: ああ、連中は洞窟で何かを作ってたんだよ。
ケンゼン: それはどんなものぜよ?
村人: さあ、俺も呼ばれた時に少し見ただけだったから。感じとしては・・・
GM: と言って彼は絵を書き出す(と言って一枚の絵を描く)
ラック: なんやろこれ、地球儀か?
ティマ: そうですね。地球に何も書いてない地球儀ですか。
GM: (これが月だとはさすがに思わないか)村人の話によると、これを作っている部屋は警備が厳重だったらしいよ。
ラック: 他にはなんか言うとったか?
村人: これが完成すれば世界がどうとか。詳しくは覚えてないよ、何せ作ってる吸血鬼が独り言みたいに囁いてただけだからな。
ラック: 世界か・・・嫌な響きやで。
ティマ: これは一度村に戻らないとね。
ラック: そうやな。その前にもう一回ファウンに戻るんや。
パーティはその後「ヴァンアンパイアの連中は住処で何かを企んでおり、それを防ぐには基地の破壊しかない」とファウン神官を説得して優秀なファウンの戦士を何人か借り受けることに成功した。
一方そのころ村に残ったメンバーにも、危険が迫っていた。
GM: 時間はそろそろ夕方ぐらいだけどどうするかね?
エルナ: ゴウダンさんの看護を。
ガラ: ではわしはそのまま散歩がてら村の巡回でもやろうかの。
GM: ではガラ君が見張りをしてるとイベントがある。「聴覚判定」をお願い。
ガラ: 嫌な予感が(コロコロ)成功。
GM: では君は村の外で「ギャー」と言う悲鳴を聞くことになる。
ガラ: 急行するぞ。
GM: ではそこにはレザーアーマーを着た自警団らしい姿の男が、骸骨と戯れている姿が。
ガラ: 戯れる?
GM: うん、剣と剣で。
ガラ: それは襲われてるというんじゃ。ダッシュしつつ襲われている男に「今、行くぞ!それまでは防御に徹しろ」と叫ぶ。
GM: OK(コロコロ)では君の声のおかげで君が到着するまでの間、男はなんとか立っているよ。
ガラ: 男を後退させて迎撃準備。
GM: よいだろう。ちなみに後ろから骸骨2体が迫ってるから。
ガラ: くそ、わしはウィウザードじゃぞ。戦闘は専門外じゃ!
文句を言いつつ戦闘を開始するガラ。本人は不満たらたらだがもともと愛用の武器がメイスであり、さらに謎の力による能力強化。ついでに自身による「素早さ」の効果もありスケルトンを簡単に倒してしまう。
ガラ: よし、なんとか倒したぞ。
GM: ふむ、そうするとまた近くで悲鳴が。
ガラ: くそ、またか?急行する。
GM: 君が急行するとそこにはゾンビの群れが。
ガラ: 何体ですか?
GM: 4体。
ガラ: くそ、「死霊返し」を使ってみましょう。(コロコロ)成功。
GM: (コロコロ×4)ならばゾンビのうち2体が君から逃げ出すが他は変わらず襲ってくるぞ。
ガラ: だからわしはウィザードだ!
絶叫と共に戦いだしたガラはここでも戦士顔負けの働きをして、戦士としての株を上げる。しかしこの後もアンデット達は散発的に村を襲ったのだった。
GM: そろそろ夜も遅い時間になって、3人が帰ってくるよ。
ガラ: やっと帰ってきてくれたか。
ラック: どうしたんやガラ、ぼろぼろやで。
ガラ: アンデットがひっきりなしに襲ってくるんじゃ。
アイス: じゃあ、やっぱり攻撃の目標はここなんですかね?
ラック: そうとはかぎらんで、襲ってきたアンデットはどんな奴らや?
ガラ: ゾンビやスケルトンじゃ。GM、それ以外のアンデットが出たという話はありますか?
GM: ないね。
ラック: それやったら呪文と墓があれば可能や。連中が本気ならこんな村自分たちが直に出て行ってすぐ壊滅できるはずやで。
ケンゼン: ちゃー、じゃあ襲ってるふりか?
ラック: そうやな。それにこうすれば連中のアジトをこっちが攻撃する時にも、戦力をここに置いておかんといかんようになるしな。
GM: (さすがに見え見えだったかな。)それで君たちはどうするの?
アイス: 襲ってくる理由なんて関係ありません。攻撃してくるのならここを守る事が大事です。
ラック: わいもひとまずはそれに異存ないけどな。とりあえず見張りは交代制でやろか。
GM: 君たちがそんなこと言ってると村の北側の方から「ゾンビだー!」と言う叫び声が聞こえてくるよ。
ラック: ほんまにひっきりなしやな。急行するで。
ティマ: 僕はここに残るよ。これが敵の陽動だったりしたら洒落にならないからね。
アイス: では僕も残ります。
GM: (おや、気付いたか)では残った二人がそこに行くと、ゾンビの気配はない。
ラック: あれ?
GM: そこには自警団の怪我を手当てするとファウンのドワーフが一人いるだけだ。
ガラ: それはもしや。
GM: 君たちには見覚えのある顔だ。
ラック: アベンジャー。
アベンジャー: 久しいな。
ガラ: 何というベストタイミングか。ヴァンパイアハンターはこうでなくてはいかん。
アベンジャー: なに、お前達が残してくれた情報を頼りにここまで来ただけだ。それよりあの情報は真実か?
ラック: ああ間違いないで、この近くにアマラン=ゾウスの秘密基地があるんや。わいらは今やってきてるゾンビやスケルトンはそこを攻撃されんんための陽動やと思ってる。
アベンジャー: そうか・・・それならば私が単独で攻撃して。
ラック: いや、さすがにそれは無理やろう。連中のアジトにはアマラン=ゾウスの他にも凶悪な連中が大量におるはずや。
アベンジャー: なに、私の力を持ってすれば・・・
ラック: あれ、この人こんな性格やったっけ?
ガラ: たしかに前と違うな。うーむ、前回は抑えたんだけどな気になるな。GM、アベンジャーに「霊気感知」してみます。
GM: OK。君が感知をしてみると、彼はドワーフでないことが判る。
ガラ: ドワーフでないならば何ですか?
GM: ヴァンパイア。
ガラ: ファウンでヴァンパイアか!?なんか自分の存在そのものを否定してるような人だな。そう言えば今日の月は?
GM: 満月ではないが、それに近いと思いたまえ。
ガラ: この性格はそのせいだろうか?とりあえずアベンジャーを落ち着かせて適当な場所にみんなを集めようと思います。
GM: 君が説得しようとしても、アベンジャーは血気盛んで君たちの言うことを聞かないよ。
アベンジャー: 君たちが行くよりは、私が一人で倒した方が効率的だろう。
ラック: まずいな。先走られたら大変や。
エルナ: 話の途中すいません。私がゴウダンさんの看護をしてるサリカの施療院はそこの近くではなかったですかね?
GM: そうだね。すぐ近くだ。
エルナ: なら、ゾンビの声が聞こえたらそちらに向かってると思うんですけど。
GM: 一応室内だし「聴覚判定」しといて。
エルナ: 成功です。
GM: なら3人が言い争っている所に行くことができるかな。
エルナ: 皆さん何をしてるんですか?
ラック: ああ、姫さん。じつはアベンジャーが来てくれたんやが、一人でヴァンパイア退治に行くって言ってきかんのや。
アベンジャー: 私は君たちが危険にさらされるわけにはいかんと言っているんだ。
エルナ: アベンジャーさん。彼らのアジトまでの行き方はおわかりですか?
アベンジャー: 森の中だということさえ判れば後は私の能力でなんとでもなる。
エルナ: あの森には呪文が掛けられていて、特殊なキーワードを言わないと入れないんですよ。
ラック: そうなんや、そうなんや。
GM: (なるほど、そうきたか)では彼は少し困ったような顔をするね。
アベンジャー: ではそのキーワードを聞かせてもらえないだろうか?
エルナ: では私たちと一緒に来てください。お教えしますから。
ラック: ブラフか、まさか姫さんがこんな事を言うようになるとは思わなかったで。
ガラ: 成長しているな。アイスとは大違いだ。
一行はこの後、町の南側にケンゼンとアイスを町の北側にゴウダン(疲労はほぼ回復)とその看護要員にティマを残して、残ったメンバーで村長宅に集まった。
GM: 室内に入ってしばらくすると、アベンジャーからとげとげしいオーラが無くなるね。
ラック: やっぱり月のせいか。
GM: (普通はそう感じるよね)そうかもね。
エルナ: とりあえずこれで普通に会話ができますね。
アイスのPL: でもまだ満月ではないわけですよね。それで凶暴になるのって変じゃないですか?
ガラ: ふーむ。謎の念波を受けたので、いったん外に出て周囲の魔力を感じてみるか。
GM: 外で魔力を感じるとかすかに邪悪な魔力が漂っていることに気がつく。
ガラ: それはアマラン:ゾウスの?
GM: そこまでは判断できないが、君はこの魔力の感じをかつて感じたことがある。
ガラ: 慌てて中に入って、戸締まりを厳重にしてこの事実を報告しよう。
ラック: なんやて、外にアマラン=ゾウスがいっぱい(笑)
ガラ: 「の魔力」が抜けてるぞラック。
エルナ: じゃあアベンジャーさんの気が立っていたのはそのためでしょうか。
ガラ: おそらく闇の眷属を狂わせる何かがあの魔力に在るんではないかと思うが、ちなみにこれは心の声です。
GM: 君たちの話を聞いたアベンジャーは目をつぶり何かの呪文を詠唱している。誰か古代ドワーフ語技能持っている?
一同: (首を横に振る)
GM: ではガラ君。知力で判定してみて。
ガラ: 何故じゃろう?(コロコロ)やれやれ無駄に6成功とかしてるよ。
GM: では何故か彼が唱える呪文が判る。龍に祈ることで精神を強靱にする呪文だ。
ガラ: (乾いた声で)はっはっは何故そんなことがわかったんじゃろう不思議じゃ。
アベンジャー: もう大丈夫だ。私としたことがアマラン=ゾウスの呪文にやられていたようだ。
ラック: もう、一人で特攻とか言わんやろうな?
アベンジャー: ああ、そこまで愚かではないよ。戦い方を話し合おう。
こうして参謀係達?による作戦会議が始まった。基本的な方針は「ヴァンパイア達の排除」なのだが、アベンジャー以外のメンバーは「ヴァンパイア達の作っている物を何とかすれば連中は出て行くのではないか」と全面戦闘を回避する発言を繰り返す。(理由がヴァンパイアすらも殺していいものではないとする慈悲深さと、危険と戦闘を嫌う合理主義との違いはあったが)
ラック: とりあえず威力偵察の必要はあるんやな。
アベンジャー: そうだな。明日にでも連中の動向を探ることにしよう。それはそうと・・・
GM: そう言って彼は自分の荷物から水晶球を取り出す。
ラック: 例のあれやな。
アベンジャー: ガラッテ=ベルダンベール。君の師匠からメッセージだ。
ガラ: え、師匠から?
アベンジャー: 旅の最中に君の師匠と知り合ってな。君のことを話すと彼から「弟子にこれ見せろ」と言われ預かったのだ。
GM: そう言って彼は水晶球にキーワードを喋る。そうすると水晶球が少年の姿を映し出す。杖を持って眼鏡を掛けた10才ぐらいのかわいらしい少年だ。
エルナ: 世界的に有名な魔法少年ですか?
ラック: いや魔法先生?
GM: 顔的には前者。勿論一作目ね、ただし顔から邪気がにじみ出しているけど。
ガラ: おお、モードレット師匠。
ラック: あれがお前の師匠やって?
ガラ: そうか、ラックは青年期の師匠しか見てなかったな。あの人は若返るのが趣味なんじゃ。
GM: 君がそう言ってると、モードレッドはしゃべり出すよ。
モードレッド: 久しいねガラ。君がこの映像を見ている時は、僕はもっと若返ってるだろう♪
エルナ: あれ、ガラさんの師匠だったら普通のかたかと思ったのに。
ラック: 師匠がガラの見事な反面教師になったみたいやな。
GM: その間にもモードレッドの会話は続くぞ。
モードレッド: さて今回の連絡はアマラン=ゾウス。いや僕の姉弟子についてのことを話すためだ。
ラック: なんと、それやとガラはアマラン=ゾウスと同門?
ガラ: うーむ。否定したいが師匠もかなりきてる人だしな。
モードレッドの話よればアマラン=ゾウスは、彼らの師匠からも将来を期待された優秀な魔術師であったらしい。ところが40年ほど前に彼らの師匠を殺して逃走。その際に弟子達の多くもアマランに殺され、残った者たちは彼女の行方を必死に捜していたらしい。
モードレッド: アベンジャーから話を聞いて、僕も是非そこに行きたいと思ったんだけど。近頃変な連中に附けられてるんで派手な行動はできない。しかし弟子のピンチを思って君の未来を切り開く魔法の品をアベンジャ-氏に渡した。
ガラ: おお、10話にして始めて後援者らしい対応が。
GM: アベンジャーは君に二つの品を渡す。龍の紋章が刻まれた小型メイスと刀身の青い打突型ソードブレイカーだ。
一同: (爆笑)
ガラ: 師匠はこれで私に何をしろと?
ラック: 未来を切り開くと言うよりは、打ち砕く武器やな。
モードレッド: そのメイスは「確かさ」の呪文が魔化されてるんだが、高い魔法の素質を持ったドワーフしかその恩恵にあずかれないんだ。君にはぴったりだろう。青いソードブレイカーは特殊な材質でできていて堅く、破壊力も上昇する。アベンジャー氏の話に出てきた頼りないガヤン君にでも渡してくれ。
エルナ: た、頼りないガヤンですか。
ラック: アイスやろうな・・・否定できんな。
モードレッド: それとアマランについてだが、おそらく霧の体から元の体に戻るスイッチがどこかにあるはずだ。それを探せば・・ッッガガガッッ!!
エルナ: 何ですか?
ラック: 電波妨害か?
アベンジャー: モードレッドの記録が終わったところで、何者かが映像を無理矢理この水晶球に配信しているようだ。
GM: アベンジャーがそう言ってすぐに画面は安定する。そこには君たちもよく見たことがある金色のフルプレートが映し出される。背景はどこかの小屋のようだ。
エルナ&ガラ: ゴールド!
ゴールド: 諸君久しぶり。どうやらお互い知らない間に近くに来ていたみたいだね。
ラック: ちゅうことはあいつもこの近くにいるんか?
ゴールド: さすがだね鳥の人。僕ら兄弟はこれからアマラン=ゾウスの拠点を襲撃するのさ。
エルナ: アマランの?何故です?
ゴールド: 簡単なことさ。彼女は従順な振りをして僕らを裏切った。だから処分するのさ。僕としては君らにも参加して欲しいな。前回の洞窟での戦いは消化不良だったからね。それではパーティで会えることを祈ってるよ。
GM: そう言って映像はとぎれる。
エルナ: どうしましょう。
ラック: とりあえず他の連中を呼ぼう。
こうしてまずはアイスとケンゼンが呼び出された。
アイス: 何ですか話って?
ラック: まあいろいろあるんやが、とりあえずはこのソードブレイカーをやる。
アイス: 青い打突型ですか?
GM: データとしては上質な打突型だ。
アイス: ではブルーディスティニーと名を付けましょう。
ラック: エグザミィシステム?皆殺しブレイカーやな。
ガラ: しかしあの師匠じゃからな。それぐらいのギミックはあるかもしれん。
アイス: 何のことですか?
ラック: あるゲームや。今度貸してやる。
エルナ: ああ,こうやってアイスがちょうき・・・教育されていく(笑)
一方がこんな事をやっている最中、ゴウダンとティマはかなりシリアスな会話をしていた。
ティマ: 病室にいる彼に話しかけます。「なんでもいろいろ考えてるらしいね。どうだい人生の先達者に話してみては?」
ゴウダン: ああ、たしかに悩んでいる。
ティマ: なにを悩んでいるんだい?
ゴウダン: 私は今まで傭兵としてやってきた。そして戦場で弱者の命を守るために戦ってきたつもりだ。しかし今ここには国や命令などはない。弱者を守るのはあくまで私個人の意思だ。そこには当然だが、私のエゴが入る。そんな中で弱者を守ると誓って本当によいのかと思っているのだ。なぜならこの誓いは私のエゴでしかないからな。
ティマ: いいじゃんエゴで。
ゴウダン: な!
ティマ: 昔々ね。ある島で強大な悪魔が復活して島の住民を恐怖に陥れたことがあったんだ。その時にある吟遊詩人がその悪魔と人との戦いに入っていったんだ。彼は逃げることもできたのに戦いに身を投じて、最後には悪魔と対等に戦うために仲間達と共に吸血鬼になろうとしたんだ。
ゴウダン: ヴァンパイアに!?
ティマ: ま、吸血鬼との交渉に失敗してなることはできなかったけどね。
ゴウダン: 何故彼らはそこまでしたんですか?
ティマ: うーん、その中の彼については弱かったからかな。
ゴウダン: 弱かったんですか?
ティマ: うん、心がね。何もしないせいで多くの人が死ぬのが耐えれなかったんだよ。もしも自分が逃げた後で島が全滅なんて事になったら耐えれないでしょ?まあ、そう言うのが平気な強い人もいるけど、彼はそんな人にはなりたくなかっただからいろいろもがいたんだよ。ね、これはエゴでしょ?
ゴウダン: いえ、立派です。
ティマ: これだけ聞けばそうだね。でもこれは後付の理由だよ。その戦いに参加した時の彼はこの戦いに参加したらすごい作品が作れると思ったんだ。それが一番の理由だったんだよ。ほら、エゴの固まりでしょう。
ゴウダン: たしかにそれはエゴかもしれません。でもそのエゴのせいで思わぬ犠牲が出たら。その人はどうしたんでしょう?
ティマ: それは辛いね。でも何もしなくてそのせいで守れたはずの者を失うのはもっと辛いよね。
ゴウダン: それは・・・そうですね。
ティマ: だから彼はエゴを貫いた。ま、実際にはいろんな事件や思惑が絡まってたから今言ったみたい単純でかっこいいものだけじゃなかったんだよ。彼のドジやミスも数え切れないほどあった。
ゴウダン: そうかもしれません。でも立派ですよ。
ティマ: そう?でも君には彼以上にその才能があると思うよ。
ゴウダン: 才能?確かに体には自身がありますが。
ティマ: 違うよ。人を守る才能はただ一つ。他人を守るリスクを他人ではなく自分で払えるかどうかだと思うよ。君はそれがある。
ゴウダン: それは、買いかぶりすぎですよ。
ティマ: じゃあそれを買いかぶりでなくするお守りを上げよう。と言って盾をモチーフにしたアミュレットを渡す。
ゴウダン: これは?
ティマ: 昔の知り合いが使ってた護符。「祝福」の効果があるんだ。僕もよく知っている物語やそいつを見て「守る」事がどれだけ大変か判ってる。そのお守りは少しは君の荷を軽くしてくれるはずだよ。
ゴウダン: これを私が持つ資格は・・・
ティマ: 君には持つ資格がある。前回の洞窟での戦いを見ていればそう思うよ。あとは周りから望まれて「英雄」になんてならないようにね。周りがなんと言おうと自分の人生だもん。生きたいように生きなきゃね。じゃね。と言って去っていこう。
ゴウダン: ではティマさんに向かって「ありがとうございました。あなたこそが勇士です」と叫ぼう。
ティマ: では「それは今話した吟遊詩人だよ。僕はそんなに勇敢じゃないよ」と言って姿を消そう。
エルナのPL: とっても、良い場面ですね。
ラック: そうやな二人を呼びにくい場面や。しかしティマはいいところを持って行くな。これで始めに噛まんかったら完璧やった。
ティマ: ははは、自分の昔話は緊張するよ。
アイス: ああ、今ここにいればティマさんをガヤンに勧誘するのに。
ティマ: はは、それはごめん被るな。
何のかんのと言いながら全員+ファウンの責任者による対策会議が始まった。議題は勿論アマラン討伐。初めはケンゼンを中心とした「今すぐ倒しに行こう」が会話の中心になるのだが。
ラック: それはあかん。ちゅうかこれは間違いなく罠や。
ケンゼン: それでも連中がいるのは確かぜよ!師匠の敵に突貫ぜよ。
ガラ: それが連中の手じゃろう。連中は間違いなくわしらとアマランゾウスとの戦いで漁夫の利を得るつもりじゃ。
ゴウダン: しかしゴールド達がアマランゾウスの作っている「何か」を取る可能性がある。
エルナ: それは、今すぐではないと思います。あの映像を見るかぎりゴールドが森の近くにいるとは思えません。おそらくヴァンパイアが全力を出せる夜にこちらとアマラン:ゾウスとを戦わせて消耗したアマラン達を夜明けと同時に倒すつもりではないでしょうか?
ラック: そうやなこれは夜明けまで待ったほうがいいやろ。よし、それまでにあの洞窟の詳細な地図を書いてもらうで。
GM: (参ったな、全くその通りなんだが)
早朝の決戦
結局一行は、夜明けと共にアマラン=ゾウスとの戦いを始めることになった。アマランとの決戦に向かうのは前回からのメンバー+アベンジャー+ファウンの雄志2名(他のファウン信者は村の警護)
そしてパーティは夜明けと共に決戦の地に向かう。
エルナ: では前回と同じルートで洞窟に向かいます。
GM: (くそ、夜の間に来てくれればこの森すべてを敵に回して戦う羽目になったのに)わかった一応「知力判定」してみて。
エルナ: 4成功です。
GM: なら問題なく洞窟までたどり着けたと思うよ。
ラック: なんか変わった点とかあるか?
GM: うん。まず洞窟に近づくにつれて濃密な血の香りがしてくる。
ラック: ホラーやな。
GM: そして洞窟近くには多くの人だった者達が倒れている。
ゴウダン: 助けるぞ。うん?人だったもの。
GM: ゾンビやスケルトンといったアンデットだね。ほとんどが原形をとどめないほど破壊されている。
ケンゼン: ちゃちゃ、誰かが暴れとるぜよ。
ガラ: もしかして周囲に爆発したような跡があったりとかしません?
GM: うん、付近にそんな跡が幾つかあるよ。
アイス: 来てますねゴールド。
ラック: そうやな。これはなんとかせんとな。
ガラ: しかし、ここに入らんことには何も判らん。
一行は慎重に洞窟の中に入っていく。
GM: 洞窟の中もアンデットの残骸でいっぱいだ。
ラック: ここに来る前に書いてもらった地図ではアマラン=ゾウスの居場所はどこやったかなGM?
GM: (マップを書きながら)村人の話ではアマランの部屋は真ん中のこの部屋、ただしここに行くまでにかならず「泗血天」の部屋を通らねばならなくなっているがね。
ラック: (地図を見ながら)こっちの右ルートやったら3方向からいっぺんに泗血天の部屋に入れるな。
GM: そうだね。そこの部屋は3方向から入れるね。
ラック: ならその部屋の泗血天を3方向から同時攻撃で殲滅するのが効率的やないかな?
エルナ: でもそれでは戦力が分担されるから危険じゃないですか?
ラック: それはそうなんやが・・・ここは敵の基地やしな。下手したら罠で一網打尽にされるかもしれん。それを考えたら戦力を分断した方がええと思う。
ガラ: 成る程。ではどうやってメンバーをわけるんじゃ?
話し合いの結果、斜めから迂回する第一パーティはアイス、エルナ、アベンジャー、正面からの第二パーティはラック、ガラ、ファウン神官、ケンゼン一番迂回する第三パーティはティマ、ゴウダン、ファウン高司祭となった。
ラック: ええか、この作戦はタイミングが重要や。例の部屋で物音がすればおそらく別のパーティが戦っとることになるやろ。そうなったら即座に参戦やで。
ゴウダン: 心得た。では、この間にエリクサーを飲んでおこう「戦士」と「怪力」だ(コロコロ×2)よし、どちらもいい目だ。
GM: 廉価版エリクサーだから最大で+3だけどね。
ケンゼン: ちゃちゃ、わしも「戦士」を飲むぜよ。よし+2ぜよ。
エルナ: では行きましょう。
かくしてこれより3パーティの戦いが始まる。