黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

最終話「“光”の迷走」

古代帝国の遺産

GM  さて、森の奥へとさらに進むと、突然目の前が開く。広い空間があり、真っ白い巨大な建物が、目の前に広がっている。どれくらいでかいかってーと、目測で幅2キロ。高さは上のほうが見えないくらい。

ロジャー  おいおいおい。とんでもないものが見つかったぞ?

ジャン  で・・・でかい・・・

ベッツ  どうやって建てたのでしょうかね?

エリィ  ハトゥルさん、入り口はどこですか?

ハトゥル  ここから入れそうプー。

GM  エリィの右腕が勝手に動いたかと思うと、建物の壁に触れる。すると、そこに今までなかった扉が浮かび上がる。

ロジャー  この建物がハトゥルとどんな関係があるのかは知らんが、どうせここにいても後ろから危険が迫ってきてるんだ。入るぞ。

一同  賛成。

GM  建物の中の部屋も白い。中は10メルー四方ほどの広い部屋になっており、どことなくビルの受付といった雰囲気がある。そして、壁にはこの建物の案内図のようなものが描かれていて、古い紫の群島語で部屋の名前が書かれている。

ロジャー  群島語? 古代遺跡じゃないのか?

ベッツ  古いって、いつ頃使われていた群島語ですか?

GM  歴史と、紫の群島語技能で判定。

クレア  両方成功です。

GM  だったら、5、600年ほど前のものだと推測できる。

ロジャー  メディウス帝国時代には重なるな。

GM  とか話していると、突然この部屋の入口に、5人の人間が転送されてくる!

エリィ  誰ですか?

GM  エリィとクレアは知らんはずだ。ファーンブルグと一緒にいた、角刈りのにーちゃんと、帝国の鎧着たその他大勢。全員どこかしら怪我をしている。角刈りのにーちゃんは、左目から血を流してるね。

角刈り  ふん。座標は間違ってなかったようだな。

ジャン  お前らは?

ベッツ  あなたはファーンさんのところにいた人ですね。私たちに何か用ですか?

角刈り→ロイ  俺の名はロイ。時間がないから手短に言う。ハトゥルの巫女をこちらによこせ。

ベッツ  それは、ファーンさんの命令ですか?

ロイ  ファーンの奴はすでに捕らえたさ。俺はファーンより上のお方の命で動いているのさ。

ロジャー  クーデターは成功したってことか。

ロイ  そういう事だ。さあ、ハトゥルの巫女、情報ではそこのおちびちゃんをこっちによこせ。

エリィ  レディに向かっておちびちゃんは失礼です!

ロジャー  なんでお前らが、エリィがハトゥルの巫女だと知っている。

ロイ  ファーンが貴様らに渡した通信用のお札。あれは盗聴器にもなっているのさ。ここまで来れたのも、そのお札の反応をたどって、ここに転移してきたってわけよ。

ジャン  よく来れましたね。

ロイ  元々、迷いの森は面に対して結界が張ってある場所。点から点へ移動するのは分けないさ。さて、無駄話はここまでだ。ハトゥルの巫女をこちらによこせ。

ベッツ  嫌だと言ったら?

ロイ  (お札を取り出して)<玄武>に貴様の体があるんだったよな? 俺が冷凍保存装置を止めろと言えば・・・どうなるか分かるよな?

ベッツ  な、何!?

ロジャー  チッ! 卑劣な手を・・・

ベッツ  飛び掛る! そして札を奪う!

GM  何!?

ベッツ  この距離なら、私でしたら跳躍できます!

GM  (ころころ)「戦闘即応」持ってないから、反応できなかった。組み付かれて(ころころ)お札を落とした。

ベッツ  拾いに行きます!

GM  おっと、そうはさせじと、メイスを持った帝国兵Bがブロックだ!

ジャン  ロイにクローアームで大振り攻撃します!

GM  む? その攻撃は何とかさばいたぞ。

ロイ  くそ! こうなったら力づくだ! テメェら、やっちまえ!

帝国兵  おう!

 

 かくて乱戦が始まった。

 ロイの隣りにいた、打突用グレートハードブレイカー(特注品)使いが、手持ちの武器でジャンを攻撃。ジャンはこの攻撃を喰らってしまい、バーサークする。ロイは呪文に集中。

 ロジャーはスピアを両手で構え、向かってきた帝国兵A(斧使い)を長いリーチで牽制。エリィとクレアは補助呪文に集中。バーサークしたジャンは、クローアームで打突用ソードブレイカー使い(以下、帝国兵C)を切り裂き、転倒させる。ベッツは帝国兵Bを棍棒で殴り、一撃で気絶させた。

 そして・・・

 

ロイ  そこの鎧野郎、喰らえ、グリモア魔法《重量増加》!

ジャン  おお、重力攻撃!

GM  君の体重が6倍の330カガルになる。275カガル分は荷重として扱い、まともに立っているには、-12のペナルティを受けて体力判定・・・って、-12程度じゃ楽々抵抗されるじゃん!?

一同  (笑)

ベッツ  ぬぐっ、重いけど、この程度! そこで倒れている帝国兵Cに倒れかかります!

一同  えぇー!?

GM  し・・・質量攻撃!? 300カガルに押し潰されると、毎ターン防護点無視で1Dダメージかよ? 初撃は勢いもあるし、2Dダメージとしておこうか。まさか、PCに押し潰し攻撃をされるとは思わなかった(笑)

ベッツ  こんな体にしたのは、GMですっ! 女王に石を投げた時もそうでしたが、改めてこの体は人外なんだなーって実感しましたよ(泣) 

GM くくく。脆いなぁ、人間って奴は!

ベッツ そんなこと思って・・・ない?

ロジャー そこで迷うなよ(笑)

 

 この後の展開はあっけないものだった。帝国兵Cはそのまま押し潰され、胃液を逆流させながら気絶。ジャンはロイのウォーハンマーの一撃を喰らってしまうが、ダメージの目がイマイチ走らず、ロイは逆にクローアームを頭部に叩き込まれ気絶。

 帝国兵Aは、ベッツの槍を叩き折ろうとするが失敗し、残り一人となったところで降伏する。

 

ジャン  (バーサーク状態から元に戻り)よし、楽勝。

エリィ  あらら? 《倍速》の必要はなかったですね。

ロジャー  しかし、あんたも無茶するよなベッツ。もし、冷凍保存装置を止められたらどうする気だ?

ベッツ  フッ、その時は、バーサーカーが一人増えただけですよ。

一同  (笑)

ベッツ  でも正直緊張しました。今でも心臓がバクバクいっている感じがします。いや、心臓無いですけれど(笑)

ロジャー  (苦笑して)さて、こいつらは武具の類は全部外して、ロープで拘束しておこう。

GM  うむ。拘束された。ナイフとか隠してたけど、見つかる。

ベッツ  それにしても、こいつら、何でケガも治さずにここに来たのでしょうかね?

ロジャー  直接聞けばいいんじゃないか?

GM  そんなことを話していると、ベッツの持っている通信のお札から声が聞こえる。

ベッツ  ファーンさん?

ファーンの声  ああ、そうだ。

ジャン  あれ? ファーンって、今、捕まっているのでは?

ファーン  ん? 何のことだ? こちらはクーデターを鎮圧したのだがな、リーダー格のロイに<朱雀>の転送装置を使われてしまったのだ。君たちを狙うかもしれないから、気をつけてくれ。

ベッツ  ああ、そいつらなら、今さっき捕らえましたよ。

ファーン  そうか? こちらの不始末を片付けてくれたようだな。礼を言わせてもらう。では、こちらはこちらで後始末が忙しいのでな。そいつらの処分はそちらで適当にやっておいてくれ。ではな。

GM  通信を切ったようだ。

ジャン  適当に処分していいってことは、こいつらの持ち物はもらって良いってことですよね。何もってます?

GM  打突用グレートハードブレイカー以外は、普通のジェスタアクスにジェスタメイス。それにウォーハンマーだ。ロイは5点のパワーストーン持ってるけど、さっきの《重量増加》で使い切った。後は、ナイフとスモールシールドくらいか。

ジャン  ちぇ。盾だけもらっておこう。

ロジャー  変わったものだし、打突用ハードブレイカーも奪っておこう。さて、傷の手当てだけしてから、色々聞くとするか。帝国兵Aは起きてたよな。

ベッツ  まず、あなたたちは、何故ハトゥルの力を狙ったのです? そして、何故反乱などを起こしたのです?

GM  口の堅い連中じゃないので、全部しゃべろう。こいつらは、“結社”という秘密組織から依頼され、ハトゥルの力を奪おうとし、ファーンに対して反乱を起こした。“結社”の思惑もある程度理解していて、“結社”の連中はファーンは“結社”に対し非協力的で、ファーンがハトゥルの力を手に入れても自分たちの目論見通りには使わないだろうと思っていた。

ロジャー  なるほど。反乱起こして、ファーンの持っているハトゥル像を奪って、ファーンが持っている飛行船で俺たちの・・・というか、エリィのハトゥルの力も奪うつもりだった。

GM  そういうこと。君たちが「迷いの森」に入る直前に反乱を起こしたのは、“結社”の求めるものが「迷いの森」の中にもあって、さっきロイがいった通り、君たちが森の中に入ってしまえば、転送呪文で入ることができるようになるから、そのタイミングを狙っていた。でも、反乱は事前に知られていたらしく、あっさり鎮圧され、君らからハトゥルの力を奪えば巻き返せるかなーという希望の元ここに来たが、敗退したというわけだ。

ジャン  情けないですねー。

GM  さて、そうこうしていると、君たちが入ってきた入口の反対側のドアが開く。

一同  えぇっ!?

ロジャー  誰かこの建物の中にいたのか?

GM  現れたのは、白衣を着たオレンジ色の明るい髪の、若くて美人な女性。

女性  おや? 賑わしいと思ったら、どうやらお客人のようですね。

ベッツ  あの、あなたは?

女性  私の名前は、ハル・フォウ。この遺跡の調査をしているものです。本当はもっと長い名前ですが、ハルで結構ですよ。

 

真の邪神像

ベッツ  ハルさんって・・・フォウシーズン研究所の?

GM  こらこら、キャラクターはそんなことは知らないだろう。

ロジャー  ミス・ハル。こちらから名乗りもせず名を訊ね、失礼致しました。私の名はロジャー・ヘイカスト。今からお茶でも一緒にいかがです?

ハル  くすっ・・・以前、今のあなたと同じことを言われたことがありますよ。でも、残念ながらここにお茶を飲むようなところはありませんわ。

ロジャー  ちぃ! こんな美人を目の前にして、茶にも誘えないとは!

ジャン  それで、おハルさんでしたっけ? 何でこんなところに?

ベッツ  さっき、この遺跡を調査していると言っていたでしょう。てか、その「おハルさん」ってなんですか?

ジャン  呼びやすかったので。

ロジャー  ミス・ハル、あなたはこの遺跡が何なのか知っているのですか?

ハル  ええ、もちろんです。もう20年近くここに篭もって研究していますからね。

エリィ  20年ですか!? びっくりです。

ジャン  そんな歳には見えませんね。

ロジャー  レディに歳のことを聞くのは失礼だぜ。ミス・ハル、よろしければ、この遺跡のことを教えていただきたいのですが。

ハル  よろしいですよ。でも、口で説明するより、見ていただいたほうが早いですね。ついて来て下さい。

クレア  帝国の人たちはどうします?

ロジャー  簀巻きにして、その辺に転がしとこう。

GM  さて、ハルは遺跡の中を慣れた様子でスイスイ進む。移動の途中、ジャンの姿やベッツの体に興味を持ったみたいだ。

ベッツ  私の鎧は、ただの趣味です(笑)

ジャン  かくかくしかじかで説明します。この体を元に戻す方法を知りませんか?

ハル  複製人間を造る装置が生きていたので、あなたとほぼ同じ存在をかつての体で創造する事は可能でしょう。記憶を移植することも可能です。

ジャン  よっしゃ!

ハル  その場所へは後でご案内しますわ。まずは、この遺跡に何があるかを見ていただきましょう。

GM  移動式床とか、いわゆるエレベータとかに乗ってしばらく移動すると、一面ガラス張りの部屋に着く。ガラスの向こうは暗くて何があるのか分からない。

ハル  この遺跡は、メディウス帝国時代、八賢者および帝国の支配者が製造していた、魔道兵器・・・マナで動く兵器の工場。そして、これが、その巨大魔道兵器です。

GM  ガラスの向こう側に明かりがつく。そこにあるものは、全長1メイルはあろうかというクロガネの巨人! でかすぎて全体像が見えない。

ロジャー  うぉ!?

クレア  これは・・・

GM  その巨人の頭部、両の手、両の足、胸、そして背中から生えている羽のような突起の先端は龍の首の形をしている。

ジャン  (首の数を数えて)龍の首が8・・・まさかこいつ、ハトゥルですか?

ハル  ええ。太古の強力な思念体、ハトゥルの入れ物として、この巨人は造られたと、遺跡で見つけた本の記述にありました。

ハトゥル  すごいプー。ママ、あれに乗りたいプー。

エリィ  わぁぁ? ダメですよー。危ないですからねー。

ハル  おや? それはハトゥルの思念体ですね。

エリィ  はいです。

ジャン  おハルさんは、こいつらを取る方法を知りませんか?

ハル  いえ、残念ながらそれは。

ハトゥル  ママー、こいつ僕たちをとっちゃうつもりみたいだプー。僕たちママと別れるの嫌プー。ずっと一緒にいたいプー。

エリィ  はわわ、私も別れたくないですよー。

ジャン  (馬鹿にしたような口調で)情が移ってますねぇ。

ロジャー  なあ、前から思ってたんだが、このハトゥルってのは、本当に古代の邪神なのか?

ベッツ  確かに。エリィさんの腕にとりついたものを見ていると、とてもそうは思えませんね。

エリィ  この子たちは、邪神なんかじゃありません! 私とウィズ様の子どもです!

一同  (笑)

ハトゥル  ウィズ様って、ぼくたちのパパプー?

エリィ  ええ、そうですよー。

ハトゥル  わーい、早く会いたいプー。

エリィ  そうですねー。会ったら思いっきり抱きしめてあげましょうね。

ロジャー  いや、そいつらに抱きしめられると死ぬって(笑) だいたい、父親に会ったら、子は抱きしめてもらう方だろう(笑)

エリィ  でも、この子たちなら抱きしめて上げられます。

ベッツ  ですから、ウィズさんが死にますって(笑)

エリィ  死んでしまえば、いつまでも私の心の中に・・・。うふふふふ(笑)

クレア  こ・・・怖い(笑)

GM  話し戻すよ(笑)

ハル  ハトゥルの思念体については、ここの遺跡に記述がありました。ハトゥルは、元は意志を持たない純粋なエネルギーだったそうです。かつて銀の神と<龍>が戦った時代、何かは分かりませんが邪悪な者に使われたがため、邪神と呼ばれるようになったと。

クレア  ふむ・・・

ロジャー  つまり、こいつらに危険は無いってわけか。よかったな、エリィ。

エリィ  はい!

ジャン  危険が無いわけないじゃないですか。暴れだしたら大変ですよ。

ハル  暴れる可能性があり危ないと言う点では、高い戦闘力とバーサークを持つあなたも同様ですね。

ジャン  規模が全然違いますよ(ぶつぶつ)

ベッツ  そうか、分かったぞ!

ロジャー  なにがだ、ベッツ?

ベッツ  ハトゥルは・・・ルナル外生命体だったんだよ!(手をワキワキ)

一同  なんだってー!

GM  何故いまごろMMR? まあ、銀の月と一緒にやって来たエネルギー体だから、ルナル外生命体には違いないが、それはともかく。

ハル  とは言え、ハトゥルの思念体の中にかつての邪悪な者の意志が残っていないとも限りません。完全復活してどうなるかは、私にもわかりませんよ。

ベッツ  8体全部そろえるのは危険かもしれませんね。

ハトゥル  僕たち、8人揃うと悪いこになっちゃうプ? それでママと一緒にいられなくなるなら、6人でよい子でいるプー。

エリィ  よしよし、えらいですねー(自分の右腕をナデナデ)

ロジャー  さて、話をハトゥル像に戻そうか。ミス・ハル。こいつは完成しているのですか?

ハル  ええ。ハードだけは。

ベッツ  ハードだけ?

ハル  ええ。ソフトもありませんし、電源もありません。

エリィ  全然ダメじゃん(笑)

ロジャー  それは、完成したって言うのか?

ハル  元々、ここで造ろうとしていたものはこのハードだけだったみたいです。電源として、<龍>の心臓を使用し、ソフトは8体揃ったハトゥルの思念体を入れれば動くはずです。

ロジャー  あー・・・PL的には、電源の場所に心当たりがあるなぁ・・・

ベッツ  とは言え、<龍>の心臓を取るなんて、我々の常識で考えれば、どれほどの技術があってもほぼ不可能ですよ。

ジャン  あ、ちょっと待った。この話、ファーンにも聞かれてませんか?

ベッツ  聞かれているも何も、聞かせるつもりで私はしゃべっていましたよ。ファーンさん、こういうわけですが、どうします? まだ、ハトゥルの力を使おうと思いますか?

GM  通信のお札から声がする。

ファーンの声  フッ、さすがだな。ぶっちゃけて言えば、俺としてはハトゥルの力ってのにこだわりはねーのよ。

クレア  GM、口調が違いますよ(笑)

ファーンの声  これが俺の素だよ。今は周りに誰もいないからな。で、ハトゥルの力を欲しがってたのは、ロイたちを焚きつけた“結社”の連中だ。俺としては、力が使えるものだったら、“結社”の連中に対して切り札になるかと思っていたが、使えないんだったら無理して使えるようにしようとも思わんよ。

ベッツ  あなたの、本当の目的を教えていただけませんか?

ファーンの声  昔、ティーグ家に仕えていた奴等が、俺はティーグの血を引いているからティーグ家を再興すべきだとか、“結社”とかいう連中が、世界を救済に導くものの血を引いているから、そうしろだとか色々言ってきてな。そのために肩書きだのなんだのを色々用意して押し付けやがる。そうした柵から解放されたいのさ。まあ、権力なんかは欲しいが、欲しければ自分で手に入れる。人から押し付けられるのは真っ平ごめんだ。

ジャン  ああ、こいつジーゼと同類ですね。

GM  そうか?

ベッツ  ジーゼはもらえるもんはもらっとくけど、責任は果たさないってタイプでした。どちらかと言うと、サーライトに近い考えだと思いますよ。

ジャン  そうですかぁ?

ベッツ  (無視)では、ファーンさん、ハトゥルからは・・・

ファーンの声  ああ、手を引くとしよう。ま、あんたらのお陰で、今回の目的だった結社にそそのかされた内部の反乱分子も一掃できたことだしな。

ベッツ  私たち、何かしましたっけ?

ファーンの声  そっちに行った奴らが言ってただろう? あんたらが6体のハトゥルと、「迷いの森」へ入る方法を見つけてくれたから、あいつらも動いたんだよ。奴らの目的は、ハトゥルの力を手に入れることだったからな。

ロジャー  そうだ。ミス、ハルにもう1つ聞きたいことがある。俺・・・いや、私たちはこの迷いの森に入るために探っていった場所の先々で、ハトゥル像を見つけた。そして、森に入ってからはハトゥルの導きでここまで来た。500年前にハトゥルを入れる魔導兵器が作られたってのと、どこまで関係があるんだ?

ハル  簡単な理屈ですよ。かの時代の研究者たちが、ハトゥル像を1箇所に置いておくことは危険だと判断したのです。そして、この魔導兵器が完成した時、この森の霧を無力化する薬を取りに行くのと同時に、ハトゥル像を回収できるよう、かつて支配下においていた各種銀の月の種族に、像を守護するよう命令していたのです。

ベッツ  と、いうことは、メディウス帝国は銀の月の種族も隷属させていた?

ハル  この遺跡の記述にはそうありますね。どこまでが本当かは分かりませんが。

 

振り向かずに走れ!

GM  と、言う所で、突然遺跡内に警報が鳴り響く!

ロジャー  女王が来やがったか。

ジャン  女王の大きさってどれくらいでした?

GM  全高は6メルー強ってところかな。

ジャン  6メルーでしたら、何とか勝てるでしょう。今度は盾もあります。

ロジャー  君は、ダンバインパトレイバーに殴られて、無事でいられると思うかね?*1

ジャン  (悩みはじめる)

クレア  私も蹴られて30点とかダメージ受けましたからね。まともに戦って勝てる相手ではありませんよ。

ベッツ  石を投げた手ごたえからすると、防護点11はありますね。

ジャン  そこがおかしいんですよ。恐竜女王って、体力倍増1Lしか持っていないはずですよ。蹴っただけで、そんなダメージ出せるわけがありません。

GM  あのデータ(ルナル完全版103頁)は、恐竜女王をPLとして使うときの指針みたいなものだからな。今回のシェクラシュ女王には関係ないよ。

ジャン  ルールブックに書いてあるなら、それに従うべきでしょう。

GM  そのルールブックにおかしな記述が多いんだよ、ルナルは*2。その話は置いとくぞ。ハルさんが、天井に向かって何か呪文を唱えると、スクリーンが浮かび上がり、シェクラシュ女王が映し出される。女王は、遺跡の壁に向かって火炎のブレスをはいたり、蹴っ飛ばしてみたり、色々試している。

ハル  この遺跡の壁は簡単には壊れませんが、脆い場所もいくつかあります。放っておくと、いずれ侵入される危険性がありますね。

ロジャー  この遺跡に、迎撃システムとかは無いのか?

ハル  残念ながら、先生がここの遺跡を占拠する際全て破壊してしまいました。地下の宝物庫にならば、何かあるかもしれませんが・・・

ベッツ  その地下は、安全なのですか?

ハル  いえ。地下は手をつけていないので、防衛システムも動いていると思います。

ロジャー  だったらパスだ。命の危険を冒したくない。

GM  (うお!? そう来るか。これは予想外。)

ベッツ  他に何か方法を考えましょう。

 

 とは言ったものの、高い知能を持っている企画違いの化け物を、安全にどうこうする策など、そうそう無い。

 《幻覚》で崖までおびき寄せて落すとか、崖近くで《土変化》を足元にかけて崖に落すなどの話も出たが、それらの呪文を使える術士がいないのでは話にならない。エリィの腕に眠るハトゥルを召喚してはどうかという案も出たが、召喚の方法が分からなくてはどうしようもない。

 

ベッツ  相手がただの野獣だったら対策がいくらでも立てられるんですけどね。やっかいなことに、奴に「この頭の良い猿めが!」っ言われても、私たち反論できないんですよ。相手は私たちより頭がいいのです。

ロジャー  そういう時はこう言ってやれ。「何か用か頭のいいトカゲ」

エリィ  解決になってないです(笑)

 

 そんな中、GMは手元の研究所内のマップを見ていた。

 

GM  (思わず)あ!?

ロジャー  ? どうかしたのかGM。顔色が悪いぞ?

GM  いや、何でもない(やばい。非常に簡単に逃げられる手段があるよ、これ。)

ベッツ  ・・・どうやら、簡単にこの状況を打破できる方法があるみたいですね。

GM  (余計なことに気付かなくてよろしい。)

ロジャー  ・・・ハルさん。この「迷いの森」から出るには、どうしたら良いのですか?

ハル  あなたたちが来た方向とは逆の方向。あなたたちの場合は北へひたすら進めば、いずれ外に出られます。出口は森の北側になるはずです。

ロジャー  (しばらく考え込んで)なあGM、この遺跡、中から外の様子がわかるんだよな?

GM  (気付かれたかな、これは)うん。

ロジャー  で、この建物は幅が2メイルはある巨大なものだ。俺たちは北へ移動し待機。奴が南にいるのを見計らって、北から逃げるぞ。

エリィ  なるほど!

クレア  ロイさんたちはどうします?

ロジャー  反乱起こして失敗したんだ。もう“結社”にもファーンの所にも帰れないだろうし、ここで解放する。それより、(お札に向かって)ファーンさん、あんたに頼みたいことがある。

ファーンの声  なんだ?

ロジャー  外で暴れているシェクラシュ女王は、俺たちを追って来るだろう。奴を倒すために、<朱雀>に乗って「迷いの森」の北側に待機していてもらえないか?

ファーンの声  いいだろう。おまえらには世話になったことだしな。

ベッツ  あ、奴は規格外の化け物です。<朱雀>以外にも、<白虎>や<玄武>も連れて来て下さい。

ファーンの声  待て、なんであんたが<白虎>の存在を知っている?

ベッツ  え? 乗せてもらいましたから。

ファーンの声  いつ? 誰に?

ベッツ  数巡り前、<白虎>船長のネルソンさんに。

ファーンの声  ああ、少し待っててくれ。

GM  お札の向こうから、声が漏れ聞こえる。

ファーンの声  ああ、人事部か? ネルソン、首な。

一同  (爆笑)

ファーンの声  (ベッツのお札に戻って)話は分かった。魔導船をそちらに回しておこう。

ベッツ  お願いします。

ロジャー  頼む。・・・さて、後は俺たちが逃げるまでだ。ハルさん、外の様子のモニターする方法を教えてくれ。

ハル  分かりました。

GM  (女王は2日目にならないと入ってこない予定だったが、予定を早めるか? ・・・いや、こちらのミスにPLは気付いたわけだし、このままで行くか。)

ジャン  おハルさんはどうします? 一緒に逃げますか?

ハル  いえ。私はここに残ります。まだ、研究することがたくさんありますし。

 

 モニター方法を覚えた一行は、遺跡の北へ移動。女王は遺跡周囲をうろついていたのだが、女王が南口近くに立ったのを機に、一行は北口から逃走する。

 そして、危なげなく「迷いの森」から脱出した一行は、森の北側にすでに待機していた、ファーンブルグ・ティーグと、4つの魔道船<朱雀><青竜><白虎><玄武>に合流する。

 

ファーン  よう! 大変だったみたいだな。

GM  ファーンが軽い調子で挨拶すると、隣りの槍持った金髪美人の女性が咳払いをする。

ファーン  コホン・・・どうやら大変な目にあったようだな。

一同  (笑)

ロジャー  金髪美人に話し掛けよう。お嬢さ・・・

金髪美人  (ギロリ)

ロジャー  すいません(何故か平伏)

ファーン  それで、相手はどのような化け物なのだ?

ベッツ  それは・・・

GM  その時、「迷いの森」の方角から地響きが聞こえた! こいつは高レベルで「足跡追跡」できるから、君たちが逃げたことに気付いて追って来たみたいだ。

ファーン  説明を聞く手間が省けたようだな。君たちも<朱雀>に乗るといい。

ベッツ  乗りましょう。

ファーン  君たちは、ブリッジの空席にでも座っていてくれ。全艦、あの化け物を攻撃せよ!

 

 そして始まる怪獣vs魔道戦船。戦船は、女王の機動性に翻弄され、バリアもぶち破る熱線のブレスに苦戦するが、ファーンの命令の元、ダメージ覚悟でバリアを解除。四つの船が女王を取り囲み、全エネルギーを使った主砲を放つ準備をした。

 

ジャン  ファーンブルグキャノンですね。

GM  そんな名前じゃないが、まあ、必殺兵器には違いないわな。あ、帝国語が分かる人、全員対ショック体勢取れってさ。

ベッツ  通訳しま・・・

ファーン  極光大輪砲、てぇぇっー!!

GM  巨大な光の渦が女王を巻き込んだ。光が消えた後には、全身が焼け焦げた女王の亡骸が残る。で、エネルギー使い果たした四つの機動戦艦は高度が下がっていく。敏捷力判定して、失敗すると3D-6点ダメージね。

エリィ  (Gに耐えながら)えぇー!?

ロジャー  (同じく)何かに捕まらないとぉー!?

 

 かくして、一行にとっては軽微な被害で、シェクラシュ女王は撃退された。

 

GM  ファーンたちは外に出て、なにやら話をしている。帝国語が分かる人なら、2巡りは動かすこともできないとか、完全に修理するには2,3年はかかると言っていることが分かる。

ベッツ  ファーンさん、ありがとうございました。

ファーン  正直、奴がここまで化け物とは思っていなかった。まさかこれほどのダメージを受けるとはな。

ロジャー  あんたは、これからどうするんだ?

ファーン  修理が終わったら、国に帰るさ。もう、この地で他にやるべきことはない。・・・そうだ、そこの2人、私と共に来る気は無いかね?

ジャン  嫌ですよ。

ファーン  君はいらんよ。私が誘いたいのはロジャーくんとベッツくんだ。

ロジャー  俺も遠慮しておくよ。面白そうだが、この島にゃまだまだロマンがありそうだしな。

ベッツ  私も、妻がいますから。

ファーン  そうか。今なら<白虎>の船長の座が空いているのだがな。

一同  (笑)

ベッツ  心惹かれるものはありますが、止めておきます。それより、もしまたこの国に立ち寄ることがありましたら、ぜひ、アンダーソン商会にお寄りください。

ファーン  君の体に貼ってあるステッカーの店のことだな。ふむ・・・君のような者がいるなら、商売相手としても良い関係が築けそうだ。どうだね、私の家と取引してみる気は無いかね?

ベッツ  それは喜んで!

エリィ  その前に、体、戻してもらいましょうよ。

ベッツ  あ、そうですね。この体、便利だったから、すっかり忘れていました。

一同  (笑)

ジャン  俺も、遺跡に戻って元の体に戻してもらいますか。

ベッツ  あ、そうそう。ファーンさん、あなたたちの持っているハトゥルの像、どうするつもりですか?

ファーン  持っていても危険だし、下手に封印しても効果はなさそうだ。海底深くにでも沈めておくよ。

ベッツ  そうしてください。

ロジャー  俺たちは一度研究所へ戻ろう。薬の効果も証明されたわけだし、森の中に何があったかも報告しないとな。

クレア  そうですね。

 

 一方、そのころ、「迷いの森」の中の遺跡では・・・

 

????  ハルよ、研究は進んでおるか?

ハル  あ、先生。ええ。でも、先ほど数人の者がこの遺跡に入ってきました。どうやら、「迷いの森」を抜ける薬を開発したそうです。

????  ふむ。そうなると、おぬしの研究に支障が出るな。良いじゃろう、森の結界にわらわの呪をかけて、数段強くしておこう。

ハル  お願いします。

 

夢はまだまだ終わらない

 

 かくして、邪神ハトゥルと「迷いの森」を巡る冒険者達の物語は、ひとまずの終りを迎えた。

 しかし、「迷いの森」探索隊の第2陣は失敗に終わった。量産した薬が失敗作だったのか、他に要因があるかは分からないが、探索隊は中での記憶を完全に失ってしまっていたのだ。

 そのため、「迷いの森」へと入った冒険者達の報告を確かめる術もなく、今日も「迷いの森」は学者達の研究対象として存在している。

 さて、その後、その冒険者達がどうなったかというと・・・

 

GM  まずはベッツから。《復活》の魔法の判定を、目標値13で行ってくれぃ。チャンスは一度きりだ。

ベッツ  ぐ・・・微妙な判定値ですね。自分でお金払うので、幸運の霊薬使ってはダメですか?

GM  儀式魔法で行うので、却下。

ベッツ  仕方がありません(気合を入れてころころ)よっし! クリティカル!

一同  (歓声と拍手)

GM  ほほう。なるほど。だったら、生き返ると同時に「刃物恐怖症」も消して良い。嫌ならいいけど。

ベッツ  消します消します。

GM  さらに、君には大事な判定が待っている。

ベッツ  何ですか?

GM  奥さんの君に対する反応判定だ! 「良い」以上出さないと、大変なことになるかもよ?

エリィ  家に帰ると、「あなたとはもう一緒にいられません」って手紙があるのですね(笑)

ベッツ  いや、私婿養子ですから、一方的に家を追い出されることになるのですが(ころころ)何とかギリギリで「良い」がでました・・・

GM  じゃあ、休みが取れたので家に帰ってみると・・・

ベッツの妻(実はエリィのPL)  何故、何度も手紙だしたのに返事をくれなかったのですか?

ベッツ  (土下座して)ごめんなさい、忙しくてそれどころじゃなかったのです!

ベッツの妻  それに、私が様子を見に行った時、店にいませんでしたね。

ベッツ  て・・・帝国との取引の打ち合わせをしていまして・・・

ベッツの妻  手紙に、「この日に行く」ということも書いていましたけど、読まなかったのですね?

ベッツ  ご・・・ごめんなさい・・・

エリィ  ベッツさんは一生尻にしかれるでしょうね(笑)

ベッツ  離婚だけは・・・離婚だけは勘弁してー!

一同  (笑)

GM  ちなみに、帝国・・・というか、ファーンとの取引の話をつけたのは君の独断ということで、あまり手柄にはならなかった。<魔道都市>マリクの支店長の座からは中々上げてもらえそうにないね。

ベッツ  踏んだり蹴ったりだー!(泣)

一同  (笑)

ベッツ  でも、与えられた仕事は全力でこなすのみです。まずは、私の体だった鎧に、帝国兵から奪ったグレートハードブレイカー持たせて、店に飾りましょう(笑)

ロジャー  本当に、前向きだよなお前って(笑)

ベッツ  それが取り柄ですから。これからも、贔屓にしてくださいよ。

ロジャー  おうよ。お前は戦友だからな。

GM  (笑) クレアはどうする?

クレア  スターライト研究所で、言語学者として活動を続けますよ。「迷いの森」の研究には役に立てそうにありませんし。

GM  まぁ、それしかないわな(苦笑)

 

 この後、レイツェルが抜けたことによる穴を埋めるため、クレアは忙しい日々を送る。しかし、本に囲まれて幸せであることは間違い無いだろう。

 

GM  次にジャン。

ジャン  元の体には戻れたのですか?

GM  元の体というか、人間には戻れたよ。

ベッツ  額に02の刻印はあるでしょうけど(笑)

ジャン  いりませんよそんなの。無しにしてください。

GM  ちなみに、他の探検家同様、迷いの森の中で複製を作ってもらってから外に出ると、記憶を移植したという記憶は無くなる。

ロジャー  気が付けば元の体に戻っているんだし、何があったかの推測はできるだろう。

GM  それくらいはな。

ジャン  それと、森でサンダートマホーク探します。

GM  無理。見つからない。

ジャン  何でですか!

GM  どこに置いたか大まかな位置も分からず、周囲は女王の炎で燃やされている広い森の中で、灰に埋まった一本の斧が見つけられると思うか?

ジャン  じゃあ、「ハトゥルを封印する」という誓いを立てて、旅に出ます。-15CPでいいですよね?

GM  君が残りの生涯全てを、ハトゥルを封印することに費やす覚悟があるなら、-15だな。

ベッツ  生半可な覚悟で、無茶な誓いを取るのは止めたほうが良いですよ。相手は龍や神ですら封印することしかできなかったのですから。

ロジャー  てか、何のために封印するつもりだよ?

ジャン  危険だからに決まってるじゃないですか。

GM  (まるで、ドン・キホーテだな。)

ジャン  じゃあ、-5CPにしておきますよ。

GM  誓いを立てて旅に出たはいいが、ハトゥルの伝承は一般では御伽噺以下のレベル。君の能力じゃろくな情報は集まらないよ。そもそも本気で封印する気なら、研究所に残ったほうが良いだろうに。ハトゥルに関して今一番情報あるのはスターライトだぜ?

ジャン  別にいいですよ。自分で古代の遺跡を探しますから。

GM  (投げやりに)ま、見つかると良いな。

 

 この後、誓いという名の妄想を持って一人旅に出たジャンの姿を見た者はいない。

 

GM  では、エリィ。君はフォウシーズン研究所のヒンメルという人が、時空を操る呪文について研究しているという噂を聞いた。

エリィ  早速行ってみまーす。ごめんくださーい!

ヒンメル  (目がギュピーン)ほほほ、よく来たのう。わらわに何の用じゃ?

リネール02  マスター、視線が彼女の右手に集中していますよ(笑)

エリィ  ウィズ様を探すために、時空を越える呪文を教えて欲しいのです。

ヒンメル  いいじゃろう。おぬしになら、何でも教えてやるぞ。ほほほほほほ(エリィの頭をナデナデ)

ハトゥル  この人、良い人みたいだぷー。

ティリン  先生ぇ、表は天使のようですが、背中は悪魔になってますよぉ(笑)

ジャン  でも、「月に至る子」の最後で、ジーゼは時空操作系呪文が使えなくなる結界張っていませんでしたか?

GM  ジーゼは、魔法で時空を越えることを禁止するって言っただけだよ。

ジャン  でも、神が禁止したのですよね?

ベッツ  神が決めたことを、世界の全ての人が守っているのでしたら、この世には犯罪も戦争も、まして<悪魔>なんぞ存在しないでしょうね。

ジャン  でも・・・

GM  ベッツの言うとおりだ。で、とにかくエリィはヒンメルの弟子になったと。

エリィ  はい!

 

 この物語の後も、エリィは度々登場する。その詳細は、その時にでも。

 

GM  次にロジャー。

ロジャー  俺もスターライト研究所を辞める気は無いな。あ、タマットの神官になりたいんだが?

GM  ま、良いでしょう。「迷いの森」の報告は確認のしようが無いけど、リフにある古代遺跡発掘の手柄はあるし。

ロジャー  ♪~♪~(スッテップを踏んで、鼻歌を歌っている)

メアリー  どうしたのロジャーくん。何かすごく嬉しそうだけど。

ロジャー  はっはっは、聞いて驚けよメアリー、俺は今日、タマットの神官になったんだぜ!

メアリー  ふーん。それってすごいことなの?

ロジャー  おうよ! 昇進祝いに、今日は俺が奢ってやるぜ! 好きなだけ飲め!

メアリー  本当!? ひゃっほぅ、神官サイコー!

ロジャー  そうだろう、そうだろう!

一同  (笑)

GM  この二人の関係は、変わりそうにないな(笑) そういや、レインが研究所に、ファーンたちのことを聞きに来るが?

ロジャー  ありのままに話すさ。あいつらは、あんたらが危惧するような危険人物じゃ無かった。そして、帝国の偉い人が警戒していたって言う“結社”とやらとも、敵対関係にあるってな。

GM  OK。向こうとしても、それで納得するだろう。

 

 彼も、この後多くの危険な冒険を経験することになるのだが、持ち前の機知と幸運で乗り切ることになるだろう。古代の様々な謎を明かす手掛かりとなるものをいくつも見つけたトレジャーハンターとして、後世に名を残す日も近いかもしれない。

 

GM  ま、そんなわけで、各々新しい生活をはじめたという所で、今回のショートキャンペーン、トレジャーハンター篇は終りとさせていただきます。お疲れ様でした。

一同  お疲れ様でしたー!

 

 そして、数年後。

 太陽の光も届かぬ海の底。

 捨てられた双頭の邪神の像に、青く輝く不定形生命体が触れた・・・

 

トレジャーハンター編~完~

*1:高CPで作られたキャラなら倒せるだろうが、このゲームのPCは100CP。100CPキャラは英雄候補と言われるが、将来プロ野球で一流級の活躍できるポテンシャルを持った高校球児というレベルの話である。

*2:馬並みの体力しかない20メートルの巨人や水の中で生活できない水棲種族をはじめ、基となるGURPSに習熟すると、拡張ルールであるルナルには首をかしげざるを得ないデータが多い。恐竜女王にしても、ルナルに載っているデータでは公式リプレイに出た女王を作ることができない。