黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第1話【英雄候補、集結】

それぞれの遠征

GM  さて、これからルナルの新しいキャンペーンを始めるとしよう。

一同  おう!

GM  舞台は前回と同じ紫の群島西ネクロス島。時代は前回から17年経った双月暦1129年。始まりの場所も、前回と同じ<中継都市>ジョルジュ。早速で悪いが、演技を開始してくれ。

一同  分かりました。

GM  さて、ここジョルジュで生活しているPCは三人。カーナー家の長男ジークと、執事のティース。それに前回から引き続き登場のルミノールだ。

ルミノール  ジークさんの妹の、エルさんは?

ジーク  あいつは俺と違って頭が良いんで、五王国のトリース森共和国に留学に行ったよ。ちくしょう。

ティース  僻んではいけませんよジーク様。「何とかと鋏は使いよう」という言葉もありますからな。

ジーク  うるせぇ!俺は親父と違って知力は人並みにある!この歳で神官位も取った!

ティース  (何故かウクレレを弾きながら)はっはっは、一人前の神官を名乗るのでしたら、呪文の一つでも覚えなさい。

ジーク  今に見てろよ、ティースのやろう・・・(憎悪の炎がメラメラ)。

GM  んで、ジョルジュに住んでいない三人だが・・・

カガヤ  私は旅の剣士だから、たまたまこの街に立ち寄ったことにするね。そこで路銀が切れかけた(笑)。

GM  うい了解。では、残り二人。まずはザイン君。

ザイン  はい。

GM  君はゴードン山脈の麓の村で、家族で暮らしている。

ザイン  普段は自給自足ですが、ジェスタ神殿に所属していて、山賊とかから村を守ることもあります。でも、母さんが一緒にいると僕の出番はありません(笑)。

カガヤ  そんなに強いの?君の母親。

ザイン  ええ。武装した山賊百人程度なら、素手で全員再起不能にできます。

カガヤ  すごい人がいるものね・・・。

ザイン  ちなみに、育ての母です。実の両親は、顔を見たこともありません。

GM  そんな君は、ある日狩りに出かけた。

ティース  そこで光る竹を見つけて、切ってみると中から赤ん坊が・・・。

一同  ないない(笑)。

ザイン  飛び道具は持っていないので、わざと怒らせた獲物を正面から切り倒します(笑)。

GM  豪快なことを(笑)。で、そんな君が家に帰ると、白いリボンツインテールがチャーミングな君の双子の妹にして、「仲間」のレインが困った顔をしている。

ザイン  どうしたんだレイン?

レイン  あ、ザイン。これ見てよ。

GM  レインが持っている木版には一言だけ書かれている「旅に出る」。

ザイン  なんだ、いつものことじゃん。

一同  いつものことなのか!?

レイン  でも、ほら。

GM  レインが木版を裏返すと、そこには地図と住所が書かれている。<中継都市>ジョルジュ北区。カーナー家。

ザイン  ・・・ここに行けってことかな?

レイン  やっぱり、ザインもそう思う?

ザイン  考えてもしょうがないか。とりあえず行ってみよう。

レイン  そうだね。

GM  君たちのいるカシム村からジョルジュまでは、馬車で行けば2日。知り合いの商人のおじさんが、護衛も兼ねて荷馬車に乗っていかんかとかと誘ってくるけど? 報酬は昼飯代がせいぜいだけど。

ザイン  昼ご飯代が浮くだけで充分だよ。

GM  うい。こうして、ザインとレインの双子はジョルジュに赴くことになったわけだ。では、次に二人が旅立つ数日前、アストリア郊外、フォウシーズン研究所の魔術師アージス。君はヒンメルの正体を知らないまま、彼女の元で下働きをしている。

アージス  ここの仕事は給料がいい。正体なんて関係ない。

GM  と思いつつ、ヒンメルの研究所へ向かうと、彼女の姿が見えない。変わりに、彼女の助手である、エルファのリネール(正確にはリネール02)がいる。

リネール02  アージスさん。申し訳ありませんが、マスターは急ぎの旅に出ました。しばらく帰って来られないそうです。

アージス  え? じゃあ、俺の給料は?

リネール02  私は預かっていませんよ。ただ、マスターにアージスが来たらカーナー家を紹介しておけと言われました。何でも、そこの息子のジークが冒険者を始めたがっているとか。

アージス  冒険者ねぇ。まあ、何もしなければ俺はプータローなわけだし、カーナー家とやらに行ってみるか。

GM  ルナルの冒険者は正式に職業として認められているものではないから、冒険者でもそうでなくても、今の君はプータローだ。

アージス  そうかもしれないけど、何もしてない無職*1になるよりはマシだ。

GM  カーナー家のあるジョルジュまでは、乗り合い馬車で六日かかる。その旅費程度は「浪費家」なリネールが出してくれる。

アージス  一応俺の先輩なんだから、それくらいはしてくれないとな(笑)。

GM  んじゃ、舞台は数日後のジョルジュに移行。ガヤンの特務隊(犯人を逮捕するのではなく、殺すことを目的とした特殊部隊)に所属しているジークは、普段は暇。

ジーク  何を言う。普段はサリカ神殿で下働きをしているぞ。嫁さん探しも兼ねて(笑)。

GM  オーライ。君の容姿は「美形」だから、ファンは多い。ただ、今のところ「これは!」と思える女性には出会っていない。

ジーク  病弱で、いつも窓の外を見ている入院患者の女の子が気にはなるがな。

ティース  深窓の令嬢というのは、遠くから眺めるのが良いものなのですぞ。いざ話してみると、イメージが崩れてしまうというのが相場ですからな。

ジーク  と、ティースに吹き込まれてるんで、遠くから見ているだけ(笑)。

GM  そのころ、不思議なことに、ザイン&レインとアージスは、ほぼ同時にジョルジュに辿り着く。

ザイン  大きな街はほとんど来たことがないので、田舎者丸出しでキョロキョロしています(笑)。

レイン  (ザインの袖を引っ張り)恥ずかしいから止めて。

アージス  俺はすぐにカーナー家に向かう。

GM  街の南から来ることになるアージスと、北から来る双子組みでは、ゆっくり歩いたとしても双子組みのほうが距離的に早く着く。

ザイン  こんにちは~。

GM  すると、玄関に飾ってあるメイドが描かれた絵画が、突然しゃべりだす。

ジーク  あの絵画、まだあったのか・・・(月光蝶編のインターミッション参照)。

絵画  いらっしゃいませ。ようこそカーナー家へ。本日はどのようなご用件でいらっしゃいますか?

レイン  わぁ! びっくりしたぁ。

ザイン  マジックアイテム? こんなすごいものが一般家庭においてあるなんて、さすが都会(笑)。

絵画  お褒めに預かり、光栄でございます。

GM  絵画の中のメイドは、深々とお辞儀をする。そんなことを話していると、奥から腰の曲がったよぼよぼのミュルーンが現れるね。

老ミュルーン  おお、お客さんかいな。

絵画  あ、ディック様。

GM  つーわけで、ティース(のプレイヤー)、ディックのロールを頼みます。

ティース→ディック  分かった。その年格好言う事は、ジーク坊ちゃんの友達か?

ザイン  いえ、これを・・・(木版を見せる)。

ディック  確かにこの家の住所が書いてあるな。「旅に出ろ」か。・・・ふむ。

ザイン  (あれ? 「旅に出る」って書いてあった気が・・・。)

GM  その時、アージスもカーナー家を見つける。

アージス  先客か? まあいい、中に入ろう。こんにちはー。ヒンメル先生の紹介でここに来たアージスというものだが。

GM  ヒンメルという言葉を聞いた瞬間、ディックは固まってしまい、木版を落す(笑)。

ディック  あの姉ちゃん、また厄介事を持ち込んできたやなかろうのう・・・。恐る恐る来た奴を見るで。

GM  やや痩せ型で色素が薄い感じはするが、平凡な少年だ。

ディック  魔術師か? あの姉ちゃんの紹介言う事は、邪術師の可能性も捨て切れんが・・・。

絵画  いえ、彼は魔術師ですね。

GM  魔法の絵画の持つ7つの特殊能力の一つ、目標の霊気を感知する。他にも、飾られた館ならどこにでも言葉を届けることはできる、時間を正確に知らせることができるなど。・・・ほとんど壊れてるけどネ(笑)。

ディック  ジェスタの戦士殿に、タマットの盗賊風の少女・・・

レイン  失礼ね。盗賊じゃなくって、密偵って呼んで。

ディック  これは失礼。密偵風少女、それに魔術師・・・丁度ええな。絵画はん、ジーク坊ちゃんを応接室に呼んでくだはれ。

絵画  分かりました。ジーク坊ちゃま。ディック様がお呼びです。応接室までいらしてください。

GM  自室でくつろいでいたジークに、絵画のお呼び出しがかかる。

ジーク  坊ちゃまはやめろって言ってんのに・・・まあいい。応接室に行ってみよう。

GM  ザインやアージスも応接室に案内される。

ザイン  案内されます。

ディック  あ、ティースはん。お客様と坊ちゃんの分、お茶頼んまっせ。

ティース  承知いたしました。

GM  ジークが応接室に来ると、そこでは見たことのない三人と、お目付け役のディックがいる。

ザイン  はじめまして、僕はザイン。で、こっちがレイン。

レイン  よろしく。へぇ、なかなかいい男ね。

ジーク  俺はジーク。心の中で、また軽い女が現れたよと思っておこう(笑)。

アージス  俺はアージスだ。

ジーク  ディック、この人たちは?

ディック  坊ちゃまは、常々亡き父、リューリックはんを越えようと言うておったな。

ジーク  またその話か・・・。確かに親父は越えたいと思うが、ディックがいつも言っているような超人を超えようと思っているわけじゃないぜ。

ディック  (聞いてない)リューリックはんも18の時に冒険者としての活動を始めなされた。ジーク坊ちゃんもそろそろ冒険者になってみてはいかがかな? 偶然にも今日、ジェスタの戦士殿と、タマットのスカウト。魔術師とが訪ねてこられた。

ジーク  つまり、俺にこの人たちと冒険者稼業を始めてみたらどうかと?

ディック  そういうことや。

ザイン  ちょっと、僕たちの意思を無視して話を進めないで下さい。・・・興味はあるけどね(笑)。

アージス  俺は元からそのつもりで来た。ここの息子が冒険者を始めたがっているって聞いたからな。

ジーク  ・・・まあ、手っ取り早く名を上げるには冒険者になるのが一番か。

GM  幸いにも(?)、最近この街周辺では物騒な事件が多い。名を上げるにはもってこいだね。

ディック  今ここにあんさんらが集まったんも、月の導きやと思う。どうや、皆で冒険者稼業を始めてみんか?

アージス  だから、俺は元々そのつもりだったて。

ザイン  母さんが何故このメッセージを残したのか気になるからね。ここで起こった流れに従ってみます。

レイン  あ、あたしはパス。でも、情報収集とかの後方支援ならできると思うよ。

ディック  それで充分や。

GM  ティースがお茶を持ってくる。

ティース  お話はお聞きしました。不肖、このわたくしめもお供いたしますぞ。こう見えてもわたくしめはサリカの神官位を持っておりますからな。役に立ちますぞ。

ディック  ほな、頼んまっせ。

ティース  お任せください。

ジーク  で、冒険者になるって言っても、何から始めれば良いんだ?

ディック  まずは拠点となる場所を探しなはれ。オススメは酒場や。冒険が終わった後の打ち上げもその場で行えるあい、情報も集まりやすい(笑)。

アージス  優先順位は打ち上げか(笑)。

ジーク  ついでだから、いい酒場紹介してくれよ。

ディック  そうやな・・・。GM、なんかいい酒場はないか?

GM 屋台通り近くに、『青い瞳』亭ってのがある。宿屋も兼ねていて、冒険の拠点にするには最適な場所の一つ。

ディック  では、そこを紹介するで。

ザイン  じゃあ、そこに行きましょう。

レイン  あ、あたしは、裏タマットに挨拶に行ってくるね。

ザイン  そういうことを大声で言うな。・・・気をつけてな。

レイン  大丈夫だよ。

ジーク  んじゃ、『青い瞳』に行こうか。

GM  では、『青い瞳』亭だ。まだ夕食時には早いせいか、店内にはカルシファードブレードを持った女性が一人いるだけだ。

カガヤ  じゃあ、私は店にある一番強いお酒を、ストレートで飲んでいよう。

GM  いくら君が「うわばみ」*2でも、やりすぎると喉をいためるぞ(笑)。女性はかなり飲んでいるみたいだけど、全く酔った気配はない。

カガヤ  じゃあ、二番目に強いお酒にしとく(笑)。

ティース  ほほう。素晴らしい飲みっぷり。わたくしめが一杯お奢りましょう。

カガヤ  ありがとう。一気にあおります(笑)。私はカガヤ・ユキノハ。あなたたちは?

アージス  関わりたくないから、無視。

ティース  わたくしめはティース・フィッツマイヤーと申します。こっちがわたくしめの主、ジーク坊ちゃま。

ジーク  坊ちゃまは止めろ。

ザイン  僕はザインです。

カガヤ  見たところ、休日冒険者

ティース  いえ、これから冒険者稼業を始めようかと思いまして、ここに来た次第でございます。カガヤ様とおっしゃられましたね。見たところ腕の立つ剣士様のようですが、わたくしどもと一緒に一働きするつもりはございませんか?

カガヤ  ちょうど良かった。私も一仕事しようと思ってたところだし。

ザイン  えっと、じゃあ、カガヤさんでいいですよね? これからよろしく。

カガヤ  いつまで一緒にいるかは分からないけどね。よろしく。

ティース  それではマスター、わたくしめらに合った仕事はございませんか?

酒場の主ドトール  冒険は初心みたいだが、見たとこ腕は確かのようだな。・・・野盗退治なんてのはどうだ?

ジーク  他には?

GM  あるにはあるが、どれも似たような内容だ。まあ、今回は戦力を測ることも兼ねているから、諦めてくれ(笑)。

ティース  でしたら、野盗退治をやめて山賊退治にいたしましょう(笑)

カガヤ  あ、それがいいかも(笑)。

アージス  どう違うんだ?

GM  気分なんじゃない? じゃあ、仕事内容も決まったところで、酒場に一人のドワーフが入ってくる。ファウン信者の神聖武器、イブニング・スターを持っている。

ジーク  あれ? ルミノールさん、どうしたんだ?

ルミノール  いえ、ジークさんが冒険者になると聞いたので、お手伝いをしようかと思いましてね。

アージス  だれ?

ジーク  俺の親父の友人だったドワーフらしい。

ティース  しかし、戦士であり魔法使いであり医者であるルミノール様が仲間になっていただけるのであれば心強い。ジーク様、魔法も使えるルミノール様が仲間に加わるのですよ。

ジーク  どうせ俺は魔法なんて使えねーよ、チクショウ。

ティース  では、まずは準備を整えましょう。

 

 一行は数日分の食料を買い込み、翌日、山賊が出るという山へ向かう。ちなみに、野宿に必要なテントの類は、ティースの連れているロバに積んでいる。

 

ティース  さて、どこに行けば山賊に会えるかですが・・・

ザイン  わざと襲われやすいように、街道を行きましょう。

ルミノール  街で聞いた話では、山賊の数は十人に満たないそうですね。それほど強くもないそうですし、それで大丈夫でしょうね。

ティース  では、わたくしめが囮役をいたしましょう。ロバと一緒に歩きます。

ザイン  茂みに隠れて、ティースさんとロバを追いかけましょう。

 

 この作戦が成功し、山賊5人がティースとロバに襲い掛かる。

 待ってましたとばかりに、姿を現し逆襲する一行。不意を突かれ返され、慌てる山賊どもは5秒とかからず全員気絶する。

 

ジーク  楽勝だな。

カガヤ  聞いた話より数が少ないね。尋問して本拠地がどこにあるか聞いてみよう。

ティース  わたくしめが《読心》の呪文を使いましょう。これで、これで簡単には嘘はつけなくなります。

カガヤ  (楽しそうに)さーて、キリキリ吐いてもらおうか。成功度は3。

GM  (こえろころ)あ、抵抗はダイナミックに失敗した。

山賊A  俺たちのアジトはこの獣道を登った途中にある、古い小屋ッス!

GM  心でも同じことを思っている。

ティース  心を読む必要はなかったようですな。しかしさすがはカガヤ様。ガヤン信者らしく「尋問」の腕は一流ですな。

ジーク  それも嫌味か?

ティース  いえいえ、決してそんなことはございませんよ。

ルミノール  残りの数も聞いておきましょう。

山賊A  親分が一人、親分の片腕が一人、その他が三人だ。

ザイン  それだけ聞けば十分でしょう。この連中は止血だけして、簀巻きにしておいて、後でガヤンに突き出すことにしましょう。

ティース  では、山賊の住む小屋に向かいましょう。

 

初戦闘

GM  山賊Aの言った通り、獣道の奥にボロッちい小屋があって、中から人の気配がする。

ザイン  できれば、忍び足で近づきましょう。

GM  んじゃ、足を忍ばせて近づいていくと、突如鳴子が鳴り出す。

カガヤ  しまった、罠を調べていなかった!

GM  小屋の中から五人ほどぞろぞろ出てくるね。両手剣にスケイルアーマーの大男、ローブを目深に被った謎の人、後は質の悪そうなブロードソードに革鎧と言ったその他が三人だ。鳴子のなった方角から、すぐに君たちを見つけたようだね。

山賊リーダー  おのれ侵入者! 野郎どもやっちまえ!

ジーク  こうなったら正面突破!

カガヤ  私は《閃光》に集中。

ザイン  僕は自分に《盾》。

ジーク  なに? あんたらも呪文使えるわけ?

ティース  このメンバーで呪文が使えないのは、坊ちゃまだけですぞ。あ、わたくしは《電光》でも使いましょう。

ジーク  なんか無茶苦茶悔しいぞ。

アージス  俺は瞬間で発動可能な《飛ぶ剣》を使う。山賊雑魚に狙いをつける。

 

 ジークとルミノールが前に出て、山賊F、G、H(最初の5人がA~E)から、呪文使いをガード。山賊は一行に接敵。ローブと山賊リーダーは呪文に集中。

 

ジーク  山賊も呪文を使うのかよ!

アージス  何を使う気なのか、気になるな。

GM  同じ月の信仰で相手が使う呪文を知っていれば、詠唱の内容からどんな呪文か推測はできるが、山賊リーダーはタマット信者だし、ローブは古代神聖語魔法だが集中は小さな動きと呟きのみだから、どちらもよく分からない。

アージス  まあ、しょうがないか。

ルミノール  古代神聖語魔法ということは、魔術師か邪術師ですね。

 

 ルミノールは山賊に攻撃。前回からの愛用の武器、シャイニング・サンを振るい、「受け」と「よけ」しか出来ない山賊Gにダメージを与え、朦朧とさせる。ジークも父から受け継いだ両手用ソードブレイカーでHの胴を薙ごうとするが、「受け」の数値はそこそこ高い山賊は、剣でそれを受け流す。ザインは自分に『盾』をかけ、前にでる。カガヤはさらに集中を続ける。山賊Fはジークに対して攻撃。ジークはその攻撃をソードブレイカーの背で受け、へし折ろうと試みようとするも「受け」を失敗しては意味がない。しかも、山賊はダメージで最大の目をだし、ジークは転倒する。

 

ジーク  くそ! プレートアーマーだったら、かすり傷程度なのに・・・

ティース  山賊ごときに情けないですぞジーク様! リューリック様でしたらこんなとき・・・

ジーク  お前までディックみたいなことを言うな!

ティース  しょうがありません、《電光》を捨てて、ジーク様に《大治癒》の集中をします。

 

 朦朧から何とか回復した山賊GとHは、ルミノールとザインを攻撃するが、二人とも盾で防ぐ。

 

ザイン  ジークも盾を持てばいいんだよ。

ジーク  うるせぇ! 両手剣は攻撃力が高いんだ!

 

 ローブと山賊リーダーも呪文の集中を続ける。アージスの放った<飛ぶ剣>は不発に終わる。そして次ターン。

 

カガヤ  ガヤンよ、光を! 《閃光》!

ルミノール  太陽拳ですね。

山賊たち  うお!? 目が目がぁぁぁぁ!

ルミノール  (ボソッと)ムスカ・・・。

GM  山賊リーダーは距離が離れていたし、抵抗にも成功。やや目がチカチカしているもよう。ローブも同じ。

 

 カガヤはそのまま前進。大振りで山賊を攻撃するも外れ。ルミノール、ザインは視覚を失った山賊たちをそれぞれ攻撃。GとHを一気に気絶ダメージに持ち込む。ジークは膝立ちになる。山賊Fは完全に失明し動けない。山賊リーダーは呪文の集中を続ける。

 

カガヤ  よし、このまま一気に行こう!

GM  そうはさせん。ローブが呪文の集中完了。

ローブ  黒の月よ! 我に善の光を覆い尽くす邪悪な輝きを授けよ! 《閃光》!

ルミノール  太陽拳返しですか~!?

 

 ローブと一行の距離が離れていたため、完全に失明するものはいなかったが、全員目が眩み戦闘力が大幅に減少。しかも・・・

 

GM  このままじゃ前線が崩れるな。いきなり奥の手を使おう。(ポーズをとって)変身!

ザイン  げ! なんでこんな小さな山賊団に、<悪魔>変身ができる邪術師がいるんだ?

GM  さーて、どうしてだろうね? <悪魔>変身した姿は、2メルー強の黒いの人型甲殻類。右手にハンマーのような巨大な鋏、左手に切れ味よさそうな小さな鋏を持つ<獣の悪魔>だ。蟹を連想するよジーク君(ニヤリ)。

ジーク  か・・・蟹はいやだぁぁぁ!

ルミノール  ジークさんの過去に、何があったのでしょうね?

ティース  ・・・ニヤリ。

ジーク  ・・・ふぅ・・・、目が眩んでいたせいか、意志判定は成功だ。

GM  でも、恐怖の対象が近くにあると、判定値にペナルティ受けるから。

ジーク  《閃光》と恐怖でペナルティの合計が5・・・かなり厳しいなぁ。

GM  えーっと(<悪魔>の行動をサイコロで決める)・・・しかも、蟹型<悪魔>は、ジークの方に向かってくるね(笑)。

ジーク  こっちに来るなぁぁぁ!

 

 《閃光》による目くらましにも、予想外の<悪魔>の登場にもめげず、一行は反撃を開始。ティースはジークに《大治癒》を使い、さらに《倍速》に集中、アージスは目が眩んでいるため<飛ぶ剣>を諦め、ジークに対し《勇気》の呪文に集中。

 次ターン、カガヤとルミノールは最期の山賊を気絶させる。ザインは山賊リーダーの呪文集中を阻止するために、山賊リーダーに向けて走りだす。ジークは恐怖に狩られながらも蟹<悪魔>を攻撃。しかし、その恐怖のせいか狙いが中途半端に終わり、巨大な鋏でグレートソードブレイカーを押さえ込まれる。しかも、反撃の鋭い小型鋏で、硬い鱗鎧を紙のように切り刻まれ、大ダメージを受ける。山賊リーダーとティースは呪文の集中を続け、アージスは《勇気》の発動に失敗。呪文をかけやすくするため、ジークに接近。

 第4ターン。残りの敵は山賊リーダーと蟹型<悪魔>の一人と一体。カガヤは蟹型<悪魔>の巨大鋏を切り落とそうとするが、目が眩んでいるため躊躇。胴体を狙っての攻撃に変更し、ダメージを与える。ルミノールはザインに続き山賊リーダーに向かって突進。ジークは蟹型<悪魔>から剣を奪い返そうとするが、逆に奪い取られてしまう。蟹型<悪魔>は、奪い取った剣を捨て大型鋏でジークを挟み込む。他の面子は呪文の集中を続ける。

 第5、6ターン。ザインたちは山賊リーダーの集中を乱すことができず、リーダーは相変わらず集中。蟹型<悪魔>との戦いも、一進一退の攻防が続く。

 そして・・・

 

GM  ようやく集中完了! ルミノールとザインを巻き込む《集団誘眠》! 二人とも生命力マイナス3で抵抗せい!

ザイン GM、この話では「魔法の素質」は、魔法抵抗時のボーナスになるのでしたよね?

GM  うん。ウチのオリジナルルールだけどね。

ザイン  だったら成功です。

ルミノール  私は眠ってしまいました~。

 

 ザインはルミノールを起こそうとするも、硬い鎧が災いし、ちょっとやそっとの衝撃では、安らかな寝息を立てるドワーフは目を覚まさない。対蟹型<悪魔>側では、ジークがもう少しで死亡判定が必要なほどのダメージを受けるも、後方支援二人の《大治癒》が飛び、気絶はしたものの、大事には至らなかった。カガヤは着実に<悪魔>の生命力を削っていく。

 その後しばらく、ザインは山賊リーダーと一騎打ち。スケイルアーマー+「頑強」*3を持つ硬い敵相手にザインは有効打を与えられないでいるが、山賊リーダーの攻撃も物理的な盾と呪文の《盾》で非常に高い回避率を誇るザインには当たらない。蟹型<悪魔>も、気絶したジークを捨てカガヤに向かうが、カルシファードブレードの高い「受け」値の前に命中打がでない。そして、少しずつだが着実に生命力を削られていった蟹型<悪魔>は、黒の月に送還される。そのころには、山賊リーダーの生命力も気絶値に達していた。

 

気絶中ジーク  やっぱりカルシファードブレードは強い*4。名前が気に入らないから、使う気はないけど(笑)。

ザイン  後はあんた一人です、降参しませんか?

山賊リーダー  なめるな。俺一人でも半壊した貴様らを倒すことぐらいできるわ!

 

 と言った次のターンに気絶(笑)。なんと一行は、邪術師を除く全員を生きて捕らえることに成功した。

 一行はルミノールを起こし、呪文でジークを治療し、捕らえた山賊と邪術師の死体を引っ張り下山を開始する。

 

ティース  初めが肝心だと言うのに、敵を一人も倒せず気絶しているとは・・・情けない。

ジーク  俺にだって硬い鎧さえあれば!

ザイン  だから、盾を持ちましょうよ。多少鎧が薄くても、十分戦えますよ。

カガヤ  あまり、人の戦闘スタイルに口出しするのは止めなさいよ。

ザイン  僕はジェスタ信者だから、盾を使うことを推奨しなければなりません(笑)。

GM  しなければならないことはないと思うがな(笑)。

アージス  ところで、今回の報酬は?

GM  山賊10人。内一人邪術師だったから、合計1800ムーナ。一人当たり300ムーナの計算だね。

アージス  経費を抜けば一人頭290ムーナか・・・なかなかいい稼ぎだな。

ルミノール  その分命がけですがね。

ジーク  プレートアーマーには遠い・・・。

ザイン  今回は冒険と呼べる代物じゃなかったけど、初の仕事としては上々だね。カガヤさんはこれからどうします?

カガヤ  君たちといると面白そうだから、しばらくは一緒にいさせてもらうね。

GM  さて、こうして、偶然にも集まった一部若き冒険者。彼らの目指す道の先には、果たして何があるのか!?

ティース  わたくしは、ジーク様の影となり、お仕えするまでです。

アージス  俺は、まずは金だな。

ジーク  いつか親父を越える戦士になるぜ。

ザイン  僕も母さんを超えたいです。

カガヤ  いや、話聞く限りそれは無理だと思うよ(笑)。

 

各々密かな野望を抱きつつ、次回へ続く

*1:プレイ当時はまだニートという言葉は無かった

*2:どれだけアルコールを飲んでも酔いつぶれない有利特徴。飲み比べ勝負のほか、酔わされて捕らえられるなどの罠に対しても強い。

*3:防護点が増える有利特徴。

*4:通常の両手剣と比べ、攻撃に対する「受け」の値が高い。ただし、重い防具を装備できなくなるため、圧倒的に有利というわけではない。