黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第2話【影と共に消ゆる】

ゲームが始まる前に

 

 ゲーム開始予定時間の30分前。何故か、他のメンバー全員はすでに集まっていたのだが、ザインのプレイヤーだけまだ来ていなかった。


GM  遅いな、ザインのPL。

ルミノールのPL  いや、私らが早く集まりすぎただけですよ。

GM  しょうがない。テレビでも点けるか・・・。


 一行はしばらく、「太陽にほえろ(再)」を見ることに。


GM  あれ? このエピソードってもしかして・・・

ティースのPL  うむ。間違いない。ジーパン刑事殉職の話だ。

ジークのPL  じゃあ、「あれ」が見られるのか?

カガヤのPL  「あれ」?

GM  黙って見てれば、すぐに分かる。


 一行はテレビに見入る。そして・・・


ジーパン刑事  なんじゃこりゃぁ!

一同  ・・・・・・。

ティースのPL  ・・・素晴らしい。

カガヤのPL  パロディは良く聞くけど、本物聞いたのはこれが初めて。

ジークのPL  これのパロディが多い理由が良く分かりました。真似したくもなりますよこれは。

ザインのPL  お待たせしましたー。

一同  お前タイミング悪すぎじゃー!

ザインのPL  ・・・え?


 「太陽にほえろ」の件をザインのPLに話したところ、この場に早く来なかったことを、本気で後悔していたことを付け加えておく。・・・そんなことはさておき。


我ら休日冒険者


GM  さて、前回冒険者としての活動を始めた=プータローになった君たちだが・・・

カガヤ  元々私は、定職なかったから問題なし。日雇いでその日暮をしていたし(笑)。

アージス  俺は冒険者を辞めても住所不定無職だ(笑)。

ジーク  俺は普段はサリカ神殿に勤めているぜ。

ルミノール  私も普段は開業医をしています。

ザイン  そういえば、ジェスタ神殿に挨拶に行っていませんでした。挨拶ついでに、バイトの当てがないか話を聞いてみましょう。

ティース  ジーク様のお世話は、わたくしめの仕事でございます。

GM  じゃあ、君たちの半分は典型的な休日冒険者*1なわけだ。

ジーク  腕を磨くチャンスは減っちまうな。

ティース  ご安心を。わたくしめが、なにか事件が起こっていないか頻繁に確かめております。

GM  この街で小さな事件ならばどこでも起こっている。ならず者が行商人を怪我させたとか、詐欺を働いたシャストア信者が捕まったとか、魔術師が殺害されたとか、子どもの行方不明になっているという事件なんかもある。

カガヤ  仕事をするには事欠かない状況ね。

GM  そんな中、全員が酒場『青い瞳』亭に集まっていると、一人の男が現れる。

男  ここに、ジークムンド・カーナーという方がいると聞いたのですが、誰がジークムンドさんですか?

ジーク  訪ねてきたのはどんな男ですか?

GM  中肉中背。平凡な中年だ。特に印象に残るような顔立ちではない。

ティース  わたくしめはジーク様の世話係をしております、ティースと申します。失礼ですが、あなた様は?

男  おっと失礼。私はグレイと言う、しがない私立探偵です。

ティース  その私立探偵が、ジーク様にどのような御用で?

グレイ  もちろん、仕事を依頼に来たのですよ。ジークさんと言うより、その仲間たちにもですね。

ティース  だそうですが、皆様、いかがいたしましょう?

カガヤ  話を聞くくらい良いんじゃない?

ザイン  しかし、なんで僕たちを?もっと高名な冒険者だったら他にもいるでしょう。

グレイ  いえ、あなたたちの山賊退治の話は有名ですよ。それに、ジークさんはあのカーナー家の者。信頼に値し、実力がある人物に依頼を頼みたいのです。

ジーク  俺個人より、家の名前優先か。

ルミノール  まだ冒険者として大成したわけではありませんし、しょうがないですよ。

アージス  それで、依頼の内容は?

グレイ  護衛です。対象はティルフレイ・ブラウ。ブラウ商会会長の息子さんです。

ティース  そのブラウ商会とは?

GM  「地域知識」を持っているティースなら知っている。この街にある陸運商の名前。商会としては大きい方で、この街の中では5本指に入る。主な取り扱いの品は、海産物を保存、加工したもの。

ルミノール  内陸なのに海産物?

GM  アストリアに支社があって、向こうで加工したものをアンリ連邦東部の商業中継点であるここに運び各地に運送する。

ティース  実質この街で商品を管理しているわけですな。

GM  そういう事。

カガヤ  それで、何故私立探偵のあなたが、その人の護衛を頼むのです?

グレイ  私はタマット信者で、裏社会に多少は顔が効きます。そこで、ティルフレイ君が何者かに狙われていることを知ったのですよ。ブラウ商会の会長、アイゼル氏には、私も色々恩義がありましてね。

ザイン  なんでガヤンなどに言わず、冒険者の僕たちに頼むんです?

グレイ  仕事柄、私自身ガヤンの世話になるような事実がいくつかあること。それに私喧嘩はめっぽう弱いのですよ。頭脳には自信がありますがね。

ザイン  なるほど。

ティース  最後に、期日や報酬も含めた護衛の条件を教えていただきたい。

グレイ  期日は1巡り。私の情報では、誘拐犯側にも時間の都合があるそうです。報酬は前金で500。成功報酬として3000払いましょう。仕事の条件として、護衛対象やブラウ商会の者に、護衛していることや、狙われていることをばれないようにお願いしたい。

ザイン  何故?

グレイ  商会の者に知られてことが大きくなると、誘拐犯側も強硬手段をとる可能性があります。そうされると、ティルフレイさんの身がより危うくなる可能性があります。それに、荒事になってしまっては、商会に迷惑がかかります。

ティース  ジーク様、どういたします?

ジーク  悪くない仕事じゃないかな?

アージス  報酬も悪くない。

ティース  他に、この依頼を受けるのに反対の方は?

一同  いませーん。

ティース  では、グレイ殿。その依頼、受けさせていただきます。

グレイ  ありがたい。これで、アイゼル氏に少しでも恩返しができる。

GM  グレイ氏はティル君の容姿を教えてくれる。

ティース  では、ティルフレイ氏の護衛計画を立てましょう。

ザイン  でも、その子の行動がわからないと、計画の立てようもないですよ?

グレイ  ティルフレイ君は、北区のサリカ学校へ通っています。通学路は決まっていますし、帰りにはいつも北区の中央公園で友達と遊んで帰ります。

ルミノール  学校にいる間は大丈夫として、問題は通学時と帰宅時ですね。夜は・・・まあ、家の周囲の警備をしましょう。

グレイ  いえ、あの家の警備は厳重ですから、夜の護衛は必要ないでしょう。

アージス  じゃあ、通学時、帰宅時、公園で見張ってりゃ良いわけか。

ザイン  今からその場所を確認に行きませんか?北区でしたら、歩いてすぐそこです。

カガヤ  賛成。

グレイ  では、護衛の件はお願いします。私は私で、他の方面から情報を収集しておきますので。何かありましたら、こちらへ来て下さい。

GM  住所と名前の書かれた名刺を渡される。

ザイン  じゃ、北区へ向かいましょう。

GM  ジョルジュの北区は高級住宅街で、カーナー家もそこにある。ティル君の通学路はジークもよく知っている。北区の公園にも、昔はよく来ていたね。

ジーク  道理で、聞いたことがある地名だと思ってた(笑)。

カガヤ  通学路の様子は? 襲撃とかし易そうとかいうことはない?

GM  閑散とした住宅街にある道で、昼間ならともかく、朝の出勤や通学で人があふれる中では、そうそう襲撃はできないと思うよ。

アージス  公園はどうだ?

GM  広くて緑の多い公園だ。見晴らしもいい。

ティース  どちらも誘拐には全く向かない地形ですな。相手が魔法を使うならば話は別ですが・・・。

ジーク  せめて、誰がティルフレイを狙っているかが分かれば良いんだけどな。

ザイン  他の問題は、安息日*2のティル君の行動ですね。

カガヤ  それはその日になってみないと分からないでしょう。

ルミノール  当日にティル君を尾行すると言う形になるでしょうね。

GM  今日は輪の月の日。安息日は5日後だ。

ザイン  確かに、今から考えていても仕方がないかもね。

ティース  では、これからの護衛の件ですが、六人もいることですし3手に分かれましょう。ティルフレイ氏の前後方と側面を守る形で、あまり各々が離れすぎますと、いざと言うときに困りますゆえ、適度に距離を取りながら一緒に移動するのです。

ジーク  俺だったらサリカ神殿に向かう振りをしながら、護衛することができるがな。

ティース  わたくしもできますね。では、わたくしとジーク様で前方を護衛いたしますので、側面と後方の護衛をお願いします。

カガヤ  いつも同じメンバーで護衛してたら怪しまれるから、構成は毎回変えることにしましょう。

アージス  分かった。

ルミノール  まずは学校に向かいましょう。学校から公園までも護衛した方が良いですしね。

 

青い瞳の少年

GM  では、サリカ学校だ。校内の鐘が鳴り響き、授業の終了を告げている。

ティース  グレイ氏に聞いた、ティルフレイ氏の容姿と合う人物を探しましょう。

GM  ティル君は、碧眼と青みのかかった金髪が印象的な美少年。その特徴的な容姿のおかげで、すぐに見つかるよ。君たちが見つけるのとほぼ同時に、流れるような銀髪が印象的な、綺麗な女性がティル君に近づいていく。

ルミノール  誰ですか?

GM  君たちは知らない人。でもティル君は知っているらしく、笑顔でその女性に駆け寄る。んで、手を繋いで学校を出るね。

カガヤ  ティル君の母親かな?

GM  いや、それはないと思うよ。

カガヤ  なんで?

GM  だってその人、下半身が虎だから。

一同  は?

ザイン  ・・・あ、ギャビット*3ね。

GM  正解。

ティース  容貌/美人のギャビットと言うのは初めて聞きますな。イマイチ想像できませんぞ。

GM  そう?上半身が美女ってだけなんだが。下半身の虎も毛並みは美しいし、猛獣の肉体美ってのも供えている。

アージス  美女と野獣(笑)。

ティース  何となく理解はできましたな。

ルミノール  それより、二人の後をつけましょう。

ザイン  こっちが誘拐犯みたいでやだなぁ(笑)。

 

 さっきの作戦通り、ティル君と美女ギャビットを包囲するように移動を開始する一行。周囲を警戒するが、何も起きぬまま公園へと辿り着いた。

 

ルミノール  できれば、最後までこの調子が続けばよいのですがね。

ジーク  それは期待するだけ無駄ってもんだな。

GM  さて、公園でのティル君は、友達と楽しく遊んでいる。お供の美女ギャビットは、草むらの上に寝そべり、ティル君の様子を笑顔で見ているね。

ザイン  油断は禁物ですが、何も起きそうにありませんね。

 

 ザインの予想通り、公園から自宅へ帰るまで、ティル君の周辺には何の変わったことも起きぬまま。翌日は、朝の通学路からの護衛を続けるが、その日も(PCたちの知る範疇では)何も起きず。そして翌日・・・

 

ザイン  今日の朝は、僕とカガヤさんで側面の護衛をします。

ティース  できれば、通りを一つ入ったところから、監視をお願いします。そこから尾行している連中がいないとも限りません。

GM  (鋭い・・・。)じゃあ、ザインとカガヤは、一つ隣りの通りから、ティル君を見張るわけだ。

ザイン  いえ、周辺に怪しい者がいないか探します。

GM  (チッ! ティルの方だけを見ていれば良いものを。こっそり二人の知力で判定してっと・・・やっぱ気付くな。二人とも知力高いし。)ザインとカガヤ、君たちと同じような行動をしている二人組みがいるよ。

カガヤ  つまり、一つ向こうの通路の様子をうかがいながら、移動している人がいると?

GM  そういう事。ローブを被った旅人風の二人組だ。

ザイン  警戒はしますが、手は出さないでおきましょう。

GM  しばらくすると、二人組みは全く関係ない方向に歩き出す。

カガヤ  距離をとって尾行してみる。電柱のコスプレでもして(笑)。

アージス  余計に目立つわ(笑)。

GM  てか、この世界に電柱はない!

カガヤ  冗談です。普通に後をつけるから、後のことはよろしく。

ザイン  分かった。気をつけて。

GM  (フフフ、この二人・・・と言うか、一方がそう簡単に尾行されるとは思うなよ(ころころ)って、知力判定失敗(泣)。)二人組みは君に気付いた様子はない。しばらく進み方向を変えると、サリカ学校がある方向へ向かうね。

カガヤ  やっぱりね。何とか他のみんなと合流したあと、サリカ神殿の前でこいつらを囲みたいんだけど・・・。

GM  (こいつら、本当に尾行に気づいていないからなぁ。)OK。何とかそれは可能だ。

ティース  しかし、これほど簡単に足を出すとは思えません。陽動の可能性もありますし、ティルフレイ氏の護衛は続けるべきでしょう。

ジーク  それは俺に任せておけ。

ルミノール  私もティル君の方に注意を向けておきます。

ザイン  じゃあ、他の四人で二人組みを囲もう。

GM  じゃあ、サリカ神殿付近で、二人組みを発見。囲むように近づくと、さすがに二人は気付くね。

二人組みA  何だあんた達は?

GM  一方がそう言うと、もう一方が何かを呟いた。鋭敏聴覚のあるカガヤさんのみ聴覚判定どうぞ。

カガヤ  5成功です。

GM  じゃあ聞こえる。二人組みBは「馬鹿が・・・無視しておけば良いものを」と小さい声で呟いたのが、カガヤには分かった。その声はAにも聞こえたらしく、Aも急に黙り込む。

ティース  何かを企んでいるのは明らかなようですな。

ザイン  二人組みに話し掛けましょう。ここのサリカ神殿に何かご用ですか?

二人組みB  旅人がサリカ神殿に用があってはいけないのか?

ザイン  そうではありませんが、さっき別方向に行こうとしていましたよね。何故わざわざ大回りを?

二人組みB  この街の地形に慣れていない。サリカ神殿を探してうろついていたんだ。

ティース  《嘘発見》の呪文を使いましょう。

GM  (ころころ)嘘をついた気配はない。

ティース  む? 抵抗されましたかな。

二人組みB  もう良いか? 俺たちはこれでも急いでるんでな。

ザイン  恐らくあらゆる問いに対する答えは作っているでしょうね。これ以上尋問の真似事をしても無駄でしょう。お邪魔してすいませんでした。

GM  二人組みは君たちの横をすり抜け、サリカ神殿に向かう。

ティース  ローブの下の顔を良く覚えておきましょう。わたくしめは記憶力が良いですからな。

GM  ほう。ならば知力判定をどうぞ。

ティース  成功度7ですな。

GM  だったら、二人組みBの顔だが、変装というかメイクで変わっているが、グレイにそっくりだ。

ティース  ほう。

ザイン  ・・・いま、嫌なこと思いつきました。

カガヤ  何?

ザイン  もしも、僕たちの作戦が失敗してティル君が誘拐されたら、誰が一番疑われると思います?

カガヤ  ・・・あ。

アージス  ティルの周りをうろついていた、俺たちだろうな。

ティース  依頼人が私たちを嵌めようとしていた・・・可能性は十分にありますな。

カガヤ  二人組みを追います!

GM  残念。サリカ神殿内は人が多く、とてもじゃないが見つかりそうにない。

カガヤ  しまった。

ザイン  さっきの話は、まだ推測ですよ。念のため最低限の戦力でティル君が本当に襲われないかを見張っておいて、これから裏を取りに行きましょう。


 ジーク、アージス、カガヤをサリカ学校前に残し、ルミノールはグレイ宅、ザインは裏の情報を仕入れにレインの元へ、ティースは子どもたちの噂話を集めるために、サリカの孤児院へと向かう。


GM  じゃあ、ルミノールだ。グレイ氏の名刺に書かれた住所には、集合住宅が建っている。

ルミノール  大家さんに話しかけましょう。ここに、グレイと言う方はいらっしゃいますか?

大家  グレイさん? たしかにいますけど、ここしばらく見ていませんねぇ。

ルミノール  ふむ・・・。

ティース  グレイさんの容姿を聞いてみてください。

ルミノール  そうですね。グレイさんの容姿を言って、その人かどうか確かめます。

GM  空間を越えた会話は控えるように。今回は後から調べれば分かることなので許すけど。

大家  印象の薄い中肉中背の中年?いいえ、グレイさんは小太りの中年ですよ。大きな鼻が特徴で、トルアドネス料理の店でコックをしています。

ルミノール  006?

ザイン  やっぱり偽者か。

カガヤ  でも、これだけあっさりばれるってのも変じゃない?

ティース  わたくしどもを初心者冒険者だと侮っておったのかもしれませんな。そうであるならば、何故わたくしどもに依頼がきたのかも納得がいく推測ができます。

ジーク  嵌める対象は、騙され易そうなやつらなら、誰でも良かったわけだな。

ティース  とは言え、特定の誰かを社会的に抹殺しようとした可能性も捨てきれませんがな。

ザイン  自分とは関係のないところで恨みを買っている可能性はありますからね・・・。僕の母さん、恨まれていそうだし。

カガヤ  私の家系は暗殺剣を使いますしね。

ジーク  カーナー家にも敵は多そうだ。

ティース  しかし、今それを話し合っても、どうせ推測にしかならなりません。後にいたしましょう。

GM  では、次にティース。

ティース  最近行方不明になった子がいる孤児院へ向かいたいのですが?

GM  噂話を集めれば、どこの孤児院かはすぐに分かる。

ジーク  あ、孤児院に行くんだったら、これだけ寄付しておいてくれ(100ムーナ金貨を渡す)。

ティース  承知いたしました。

ザイン  さすがは金持ちのボンボン(笑)。

ジーク  家が金持ちなんだからしょうがないだろう(笑)。

ティース  では、孤児院に寄付をするついでに、話を聞きに来たように装いましょう。

GM  うむ。100ムーナを渡されると、孤児院の保育士さんは感謝してくれる。

ティース  ところで先生。最近この孤児院で行方不明になった子がいると伺ったのですが・・・

GM  保育士は怪訝そうな顔をするね。

ティース  いえ、わたくし民間から行方不明者の捜索をしている者です。決して、ゴシップ記事を書くような者ではございません。

保育士  そうですか・・・ 確かに、うちの孤児院の子どもが一人、行方不明になっています。

ティース  それで、子どもたちから何か怪しいものを見たという噂などはお聞きになりませんか?

保育士  たしか、何人かの子が、公園で「影を見た」と言っていました。どういう意味なのかは、よく分からないのですが・・・

ティース  分かりました、ありがとうございます。10ムーナ鉄貨を置いて、この場を去りましょう。

GM  では最後にザイン。

ザイン  宿にあるレインの部屋へ行きます。レーイーン(ドアをノック)。

レイン  (眠そうな声で)こんな時間に何~?

ザイン  こんな時間って、もうすぐお昼だよ。

レイン  むぅ~・・・ あたしは夜行性なんだからね~。

GM  眠そうな目をして、パジャマのままのレインが部屋から出てくる。

レイン  で、何の用? 今はお金持ちの子の護衛をしてるんでしょ?

ザイン  もうそんな情報も入ってるんだね。

レイン  まあ、あたしの仕事は情報が命だから。

ザイン  じゃあ、その情報網を使って調べて欲しいことがあるんだ。僕たちが護衛しているティルフレイという少年が、本当に狙われているのか。狙われているんだとしたら、誰に狙われているのかの二つ。頼めるかな。

レイン  ん・・・いいよ。(手を出す)

ザイン  ・・・なに、その手は?

レイン  情報だって無料じゃないんだよ~。(猫なで声で)ついでにお小遣いもくれると嬉しいな~。

一同  (笑)

ザイン  う・・・しょうがないなぁ・・・100ムーナ渡すけど、お小遣いじゃないぞ。(ブツブツと)これは必要経費だ。後でジークに請求しよう。

一同  (笑)。

レイン  じゃあ、明日の夜までには調べとくから、待ち合わせは下の酒場ってことで。

ザイン  分かった。じゃあ、レインを見送ってから、皆と合流する。

GM  了解。それらの行動が全て終わる頃には夕方になるね。


 一応ティルの警備を続けた一行は、夕食を取りながら今後の活動の相談を始める。


ティース  わたくしめは、公園に出るという蟹の影が気になりますな。

ジーク  か・・・蟹!?

ティース  ええ、さらわれた子どもたちの周辺で、よく目撃されていたようです。

GM  (苦笑)

ジーク  いやいや、ティースの言うことを真に受けちゃいけない。「嘘発見」だ!

ティース  ほっほっほ。「演技」「言いくるめ」共にばっちり持つわたくしめの嘘を、覚えたばかりの「嘘発見」で見抜けますかな?

ジーク  てりゃ! (気合を入れてサイコロを振る)失敗。

ティース  わたくしめは成功度2でございます。

GM  じゃあ、ジークはティースが嘘をついているようには思えない(笑)

ジーク  嫌だ! 蟹には関わりたくねぇ!

ルミノール  依頼を持ち込んだグレイさんが偽者ということも分かりましたね。

ティース  依頼内容は無効ですな。

ザイン  レインの情報で、本当にティル君が狙われていることが分かったなら、ブラウ家に教えよう。

カガヤ  信じてもらえなかったら?

ザイン  その時はカーナー家の名前を出せばよいでしょう。

ジーク  俺の家の名前を勝手に使うなよ(苦笑)。

ティース  子供一人の、未来がかかっておるかも知れぬのですぞ。

ジーク  使うときは、俺かお袋に許可を取れと言ってんだ。

ティース  それは、現場の判断で臨機応変にということでよろしいでしょうな。

ジーク  よろしくねーよ。

ティース  (無視して)わたくしめは蟹の影についてもう少し調べてみたいのですが、いざと言うとき魔法使い型のわたくし一人では心もとないので、ジーク様。ついて来てください。

ジーク  何で俺が蟹の調査に・・・行かね―よ。

ティース  ご安心を。明日の朝、目が醒める前に公園に強制連行いたしますから。

ジーク  ・・・・・・。

 

その名は百鬼衆


 翌朝、ティースと(結局しぶしぶついていくことになった)ジークは、公園で遊ぶ子どもたちに、怪しい影を見たものがいないかどうかを聞いて回る。そこで、ティルフレイ君がよく影を目撃しているとの情報を得る。


カガヤ  朝っぱらから公園って、リストラされたサラリーマンモード?

ジーク  違う!

 

 ジークとティースは、ティルから話を聞くにはタイミングが重要というティースの発言に従い他のメンバーと共に今まで通り影ながらティル君の護衛を続ける。ちなみに今朝は昨日の二人組みを見つけることはできなかった。

 そして、ザインは、妹の代わりに行った、情報収集が上手くできたかどうかの判定でクリティカルする。


GM  じゃあ、ザインはティル君の学校が終わるまで、近所で時間を潰していた。その時・・・

少女の声  ザイン覚悟!

ザイン  え?

カガヤ  何者!?

GM  (ころころ)カガヤも反応できない。ザインは後ろから体当たりされる。背面からだからこっちに転倒するかの体力判定のボーナスがついて、成功度2。

ザイン  同じ成功度です。

GM  じゃあ、二人揃って地面に転がる。

ザイン  (平気な様子で)・・・何やってんだレイン?

レイン  (頭を打ったらしく)いてて・・・甘いよザイン。あたしが暗殺者だったら、今ごろザインの命はないよ。

ザイン  暗殺者が「敵」にいる某全身刺青エルファじゃないんだし、なんで僕がそんなデンジャーなことに気をつけなきゃいけないんだ(笑)?

カガヤ  誰?

ザイン  (立ち上がって)あ、カガヤさんは会うの初めてだっけ? ほら、立って自己紹介。(手をのばす)

レイン  (手を受け取り)初めまして。あたし、ザインの妹のレインです。兄がいつもお世話になっています。(ペコリ)

カガヤ  (笑顔で)いえいえ、こちらこそ。私はカガヤ・ユキノハ。よろしく。

ザイン  それで、こんなに早く、どうしたんだ?

レイン  情報入ったよ。ここだとあれなんで、近くに個室がある酒場があるから、そこに行こ。

ザイン  分かった。

カガヤ  私もついていく。

GM  うい。じゃあ、酒場の個室だ。君たち以外にも、やや物騒な雰囲気の連中が中にいる。

カガヤ  アルコール度数の高い、口当たりの良いカクテルをくださーい(笑)。

レイン  あ、あたしも同じもの。

ザイン  僕は水だけでいい。それでレイン。頼んでおいた情報の答えは?

レイン  うん。ティル君って子が狙われているか。それはイエス。誰に狙われているかは分からないけど、2巡りほど前に元百鬼衆って連中がこの街に入り込んでいるらしいわよ。

カガヤ  百鬼衆か・・・。

ザイン  何か知っているのですか、カガヤさん。

GM  知っているのはプレイヤー。まあ、キャラも知ってていいけど。40年前の六芒戦争*4のとき、六芒衆という魔人たちの配下についていた、特殊能力の持ち主たち。百ってのは「数の多い」、鬼ってのは「強い、恐ろしい」と言う意味の集団。戦争終結後は散々ばらばらになって、その能力を駆使していろいろ企む連中も多い。

カガヤ  40年も経ってるんなら、年寄りばかりじゃない?

レイン  中には延命したとか、不老になった奴もいるんじゃない? それに、今回この街に入ってきたのはゲルーシャだって。

ザイン  ゲルーシャ・・・確かに、あいつらは老化しないらしいからね。相手にしたくないなぁ・・・。

カガヤ  そのゲルーシャの具体的な能力とかは?

レイン  何人かの集団で来た中で、一人だけなら。影になることができるんだって。

ザイン  影か。そいつがティル君を狙っているかはともかく、ティースさんの話に繋がるものがあるね。

レイン  それでぇ~、追加の情報を集めてるんだけどぉ~(上目遣いでザインを見る)。

ザイン  だめ。もうお金は払わない。

カガヤ  情報は大切だからね。私は200だします。

レイン  ありがと。じゃ、早速行ってくるね。

ザイン  領収書切ってきてくれよ?

カガヤ  どこで落す気よ、その領収書(笑)。

ザイン  必要経費だから、リーダーのジークから(笑)。


 その後、下校時刻過ぎに公園で全員が合流。ティルと、その付き人の女ギャビットも公園に現れる。


ティース  さて、子どもたちから効率よく話を聞くために、一曲披露いたしましょう。得意のウクレレを弾きますぞ。(ころころ)成功度2ほどで弾けました。

GM  君の思惑通り、突如公園に現れた謎のウクレレ弾きの紳士に子どもたちは興味津々だ(笑)。しかも、ティル君お付きの女ギャビットが、ウクレレに合わせて歌いだす。(ころころ)成功度5だ。

ティース  むむ! やりますな。

子どもA  エーテルさんお歌じょうず~。

子どもB  おじさんだれー?

GM  君たちの周りに子どもたちが集まる。エーテルと呼ばれた女ギャビットは、子どもに髪を引っ張られたり背中に乗られたりしながら、困った顔をしているね。

ティース  災難ですなぁ(笑)。では、集まった子どもたちに、この辺りで怪しい影を見たものがいないか尋ねましょう。

子ども  あ、僕見たよ。

GM  と言って手を上げるのは、ティル君だ。

ティース  ふふふ、狙い通りですな。それは、いつ頃、どの辺りで見て、どんな影だったのか、分かりませんか?

ティル  えーっと・・・

GM  ティルは公園内を見回したり、太陽の光を確認したり、自分の影を見たりしている。

ティース  何をしているのですかな?

ティル  うん。五日前、時間はだいたい昼のリャノの刻に入ってから2分の1刻(だいたい午後5時15分)。影の長さから、それが普通の人のものなら、その人の身長は180メルチ強。体重は60カガル程の長身痩躯な影だったよ。

ティース  (絶句)。

子どもA ティル君は天才なんだよ。この歳で知力14もあるし、「記憶力」「数学能力」「時間感覚」「方向感覚」も持ってるんだ。

ジーク  なんつーガキだ・・・。

ティース  素晴らしい・・・。

ルミノール  ある意味、狙われるのも納得がいきますね。

ジーク  しかし、ティース。影は人型だと言っているが?

ティース  これはこれは。わたくしめとしたことが、間違った情報を仕入れてきてしまったようですな。はっはっは。

ジーク  この男は・・・。(拳をわなわな)


 ティルを影ながら守りつつ家まで送った一行は、今までの情報を整理すべく、酒場に集まる。


ザイン  まだ、偶然の可能性も完全に拭われたわけじゃないけど、ティル君が狙われている可能性が極めて高くなったね。

カガヤ  夜の警備も考えた方が良いんじゃない?

ティース  偽グレイ氏の依頼では、夜の警備はいらないと言っておりましたからな。逆に夜が怪しい。

ザイン  それに、「闇視」を持つゲルーシャは夜間の行動でも一切のペナルティを受ないからね。

ルミノール  ティル君の家の近くに、知った家はないのでしょうか? 何かがあったらすぐに駆けつけられるよう、そこで待機させていただくということはできませんか?

GM  そうだね。カーナー家と深い繋がりのあるサリカの家が近くにあることにしよう。そこの主人は(ランダムキャラ作成表をいくつか振って)容貌が美人の28歳。「不幸」の特徴を持つ。

ティース  未亡人?

GM  僕もそのイメージを考えた。ということで、そんな未亡人が住む家だ(笑)。

ジーク  それは、かなり俺的ヒットしてるかも(笑)。

アージス  何がだよ。

ジーク  嫁さん候補だ(笑)。美人で、未亡人で、サリカ信者。完璧だ(笑)。

カガヤ  何故サリカにこだわる?

ジーク  俺はガヤンだし、妹はシャストアだからな。このままじゃサリカの名家として通ってきたカーナー家が潰れちまう(笑)。

ティース  ・・・ニヤソ。

ルミノール  今の笑いはなんですか~(笑)。

ジーク  まさかお前・・・。

ティース  (ウクレレを弾きながら)いえいえ、わたくしめごときがカーナー家の養子となって家を継ぐ気などとは、豆粒ほども思っていませんよ。

ジーク  嫁をもらう前に、家からこいつを排除すべきかもしれないな(笑)。

ザイン  その話は置いといて、そこの家に話をつけるのでしたら早く行きましょう。

ティース  そうですな。行きますよジーク様。

ジーク  はいよ。


 未亡人に事情を話し、一行はブラウ会長宅の周辺を巡回する。しかし、特に何事も起きぬまま翌朝を迎える。いや、正確にはジークの反応判定で未亡人は「最高」を出し、密かに夜這いをかけるようなイベントを考えもしたのだが、警備のため全員同室だったため無駄に終わったという、PCたちは知る由もないことがあったりはしたが。

 翌朝、夜警の疲労が完全に回復しない一行は、朝の警備はジーク、ティース、アージスに任せ残りは寝ることにする。


GM  では、朝寝組みのザイン。君が目を覚ますと、喉元に槍を突きつけられている!

ザイン  (全然動じず)あ、レイン。おはよう。

レイン  おはよう。へっへ~。あたしが暗殺者だったら、今ごろザインの命はないよ。

ザイン  だから、なんで僕がそんな危険なことに気をつけて生きていかなきゃなんないんだってば(笑)。

レイン  だって、母さん、いろんなところで恨まれてそうじゃない?

ザイン  それはそうかも(苦笑)。

カガヤ  君らのとこの母親って一体(笑)。

ザイン  それで、ここにレインがいるってことは、もう情報が入ったってこと?

レイン  うん。例のこの街に入り込んだゲルーシャたちね。今夜動くんだって。

ザイン  ・・・え?

レイン  この情報手に入れるの、けっこう危険なことだったんだからね。感謝してよ。

ザイン  あ・・・ああ。ありがとう。

レイン  じゃね。あ、これ領収書。

GM  それだけ言って、レインは部屋を出て行く。領収書は何枚かあって、飲食代、服飾代、装飾代などと書かれておりますな(笑)。

カガヤ  裏の情報だからね、普通の領収書は無理でしょ(笑)。

ザイン  いや、この中のどれかが、本当にこの但し書きの品物に使われたんじゃないかなって(笑)。

ルミノール  自分の妹なんですから、信用してあげましょうよ(笑)。

ザイン  そうですね。それに、レインが重要な情報を持ってきてくれたことには違いない。さっそく皆に知らせに行きます。

 

漆黒の邪眼

 

 ザインの報告を受けた一行は、その日の夜。ブラウ商会会長宅へ向かう。

 

GM  家のノッカーを叩くと、執事みたいな人が出てくる。

執事  どちら様でございましょうか?

ティース  わたくしたちはカーナー家から来た者です。

ジーク  おい。

ザイン  今は黙ってて。

ティース  アポイントメントはありませんが、重要なお話があります。会長のアイゼル様にお会いできませんでしょうか?

執事  おお、カーナー様の。今、アイゼル様にお話を通しますので、中で少々お待ちください。

GM  お手伝いらしき人が、君たちを客室に案内し、執事は奥に引っ込む。

カガヤ  じゃあ、素直に案内されよう。

ジーク  ティース、俺の家の名前を勝手に使うなと言っただろう。

ティース  何をおっしゃる。わたくしめがカーナー家から来た者というのは間違いないですぞ。

ルミノール  確かに、カーナー家の者とは言っていませんね。

ジーク  (いまいち納得いかないらしい)

GM  しばらくすると、背は低くないが、太りぎみで禿げた中年が現れる。嫌味な感じのない、柔和な顔つきの人だ。

ティース  これはアイゼル様。お会いできて光栄です。

アイゼル  いやいや。ちょうど時間が空いたところでありますからな。重要な話と言うのであれば、聞かないわけには行きますまい。

ティース  はい、そのことなのですが、かくかくしかじかで、ティル様が狙われているという話をしますぞ。我々がトラブル解決業を営んでいること、情報源が裏タマットであることも話しましょう。

GM  そこまで正直に話してくれるのなら、アイゼル氏は神妙な顔つきになる。

アイゼル  それは、大変なことですね。分かりました。ガヤン神殿に連絡して、警備をお願いすることにしましょう。

ティース  わたくしめらも警備に加わらせていただきたい。役に立ちますぞ。報酬はロハでかまいません。

ザイン  赤字になるけど、狙われているのが分かっている子が目の前にいて、ハイさよならはできないからね。

カガヤ  弱者を守るのは、強者の使命でもあります。

ルミノール  私も依存はないです。

ジーク  俺もだ。

アージス  たまには、そういう仕事もありかもな。

GM  (いきなり報酬を要求してきたら話そのものを信じないつもりだったが、問題はなさそうだ。)アイゼル氏はその申し出を喜んでくれるよ。普通の警備員に払う給料分くらいでいいなら出してくれるとさ。

ティース  では、無事ティル様を守ることができた暁には、その報酬をいただくことにしましょう。

ザイン  じゃあ、警備の話だけど、この家の構造は?

GM  二階建てになっていて、二回には子ども部屋とアイゼル氏の私室、書斎、客間の4部屋。一階は食堂、厨房、お手伝いの部屋が二部屋、応接室の5部屋。ちなみに、奥さんは2年前に他界。

カガヤ  警備員の数と実力は?

GM  何かあるときに、いつも雇う警備会社から5人派遣される。実力は素人以上、達人未満。お手伝いは戦力としては当てにならないが、ギャビットのエーテルさんはけっこう強い。槍の使い手で、特殊能力「血の叫び」や「惑わしの叫び」*5も使える。

ティース  ふむ・・・


 一行は、ティル君を客室で寝させ、その部屋にエーテルと警備員Aを待機させる。いつもティルが寝ている部屋には、ルミノール、ティース、ジーク、アージスを配置して誘拐犯を待ち伏せ。ザインとカガヤは屋敷の裏手、他4人の警備員は屋敷の表を警備。全員に《持続光》の所持を義務付ける。もしも、ピンポイントで客室が狙われた場合、エーテル「叫び」で、外に敵が現れたら《持続光》を高く投げ周辺に知らせるという作戦を取る。ちなみに、ガヤン神殿は他の事件で忙しく、こちらに人手を割く余裕はないそうだ。

 そして夜が訪れる・・・


GM  (強敵が襲撃する予定の場所を、揃ってPCが警備しているなあ。)屋敷裏手を警備しているのはザインとカガヤか。2人とも聴覚か視覚で判定。

ザイン  (ころころ)視覚で成功度1。

カガヤ  聴覚で8だね。

GM  はちぃ!? じゃあ、奥の茂みの方で、ごくわずかに不自然な物音がしたことをカガヤは気付く。

カガヤ  ザイン、あっちで音がした。

ザイン  警戒しながら近づきましょう。

GM  じゃあ、さらに視覚判定。

ザイン  成功度3で、僕のほうが高いです。

GM  じゃあ、二人とも気付けない。茂みの中に隠れていた人影が、いきなり現れザインに襲い掛かる!

ザイン  うわ!?

GM  警戒していたから、ペナルティはあるけど回避は可能。

ザイン  だったら、後退して盾で「止め」ます!(ころころ)成功!

GM  ちっ! 《持続光》に照らし出されたその姿は、手足の先が剛毛に覆われた女ゲルーシャ。さっきの攻撃は、硬質化した足から放たれた蹴りだったね。

ザイン  トロール戦場格闘術使い? しかも女ゲルーシャってことは、コードネームは11番とか使ってきそうな・・・

カガヤ  よく分からないけど、そんなことをされる前に、切り倒してあげるわよ。

GM  おっと。そう言って刀を抜いた君の後ろに、妙に面長な武装したゲルーシャが現れるね。

カガヤ  2人いた!?

ザイン  逆に2人しかいないことと、わざわざ姿を現して襲ってきたことも怪しいですね。ここはきっと陽動でしょう。

カガヤ  警戒を促すために、《持続光》は投げておくね。

GM  それは一行動消費してくれ。じゃあ、戦闘開始だ。


 第1ターン。《持続光》を投げたカガヤに続き、女ゲルーシャは踏み込みから鋭い突きを放つが、ザインの盾に阻まれる。ザインは自分に向けて《鎧》の呪文の集中に入る。相手が、どうしても攻撃力的に劣ってしまう素手格闘家だと踏んでの作戦である。面長のゲルーシャは、今回は動かない。

そして、第2ターン。


カガヤ  小手調べに普通に切ってみよう。

GM  じゃあ、君の刀が当たりそうになった瞬間、面長ゲルーシャは姿を消し、次の瞬間には隣りのへクスに出現する。

ザイン  《瞬間回避》ですね。てことは、ゲルーシャソーサラー

GM  (ニヤリ)さてね。じゃあ、面長ゲルーシャの攻撃だ。カガヤに向けて手に持った剣を振り降ろす。

カガヤ  そんな単調な攻撃! (ころころ)「受け」は成功よ。

GM  君の刀は余裕で敵の剣を受け流す・・・はずだった!

カガヤ&ザイン  え?

GM  ゲルーシャの持っていた剣は、君の刀をすり抜ける!

カガヤ  物質透過!?

GM  と思っていると、剣は君の体をもすり抜ける。

カガヤ  え? ダメージは無いってこと?

GM  うん。しかし次の瞬間、君の脇腹に鈍痛が走る! 重要器官に4点の「刺し」が命中。

カガヤ  ぐっ、痛いけど、大丈夫、倒れない。我慢強いから朦朧ともしない。なるほど。幻覚で惑わしておいて、本体は透明になって攻撃してるわけか。

GM  (一瞬で見抜かれたよ。)

 

 女ゲルーシャはザインに足払いをかけると見せかけ、隙を誘うことに成功(要するにフェイント勝負で勝利)。ザインは《鎧》の呪文を自分にかけ、革鎧にも関わらずプレートアーマーのような装甲を得る。

 

GM  じゃ、第3ターン。

カガヤ  目を閉じて聴覚に全てを委ねましょう。敵が動くのを待ちます。

GM  うい。では、女ゲルーシャは、お待ちかね。コードネームは11番を狙って蹴りを放ちます。(ころころ)命中。

ザイン  げ、当たった?

カガヤ  コードネーム11番って何?

二階のティース  ランダム命中部位表の、11番のことですな。

二階のルミノール  当たると、男にしか分からない痛みを味わうことになります(笑)。

GM  しかも、ダメージが大きかった場合、その場所が使えなくなる可能性があります(笑)。

二階のジーク  うわっ・・・同情するぜ、ザイン(笑)。

ザイン  そうならないように、自分に《鎧》をかけたのです。

GM  う~ん・・・確かに今の君の装甲では、10点のダメージでも使えなくなることはないな。最大ダメージなんだが。

ザイン  っつ!・・・大丈夫! 痛いけど朦朧はしなかった!

 

 ザインは反撃にシールドチャージをかけるが、素早い女ゲルーシャはそれを回避。面長ゲルーシャは数を増やし、カガヤを惑わそうとするが・・・

 

カガヤ  無視します。

GM  むぅ・・・

 

 第4ターン。女ゲルーシャはザインの胴体に向けて蹴りを放つも、斧で「受け」られ、使えなくなるほどではないが足を負傷する。女ゲルーシャの痛みによる行動へのペナルティは次のターンになるため、ザインは様子見の攻撃。ラッキーヒットすることも無く、このターンは終了。

 第5ターン。カガヤは相変わらず相手が動くのを待ち、女ゲルーシャは全力防御を宣言。

 

ザイン  女ゲルーシャは、痛みの修正受けているのですよね?

GM  うん。見たところ我慢強くないみたいだね。(でも全力防御もしてるし、技能レベルも高いから、痛みのペナルティを入れても後退しての「受け」なら目標値は16。そう簡単には当たらんよ。ククク・・・)

ザイン  女ゲルーシャにフェイントをかけます。

GM  え?

ザイン  相手は全力防御していますし、技能レベルも高そうです。4点程度の痛みのペナルティでは、後退「受け」される可能性は高いでしょうからね。

GM  (鋭い・・・。)

ザイン  だから、痛みで判断力が鈍っているときにフェイントをかけるのですよ(ニヤリ)。(ころころ)成功度は6。

GM  むぅ(ころころ)1しか見切れない。見事にそのフェイントに引っかかった。

 

 二体に増えた面長ゲルーシャは、カガヤを攻撃しようとするのが・・・

 

カガヤ  周辺の音に集中しましょう。本体もきっと動くはずです。

GM  聴覚マイナス4で判定。成功すれば、相手の居場所が推測できて、大振りで攻撃可能。そのまえに、マイナス4でこっちの攻撃も回避してもらうがな。

カガヤ  (ころころ)聴覚判定は成功。見えない剣の一撃も「受け」ました! (ころころ)見えない相手への命中判定も成功。そこだ!

GM  む? 動く際音を立てないように、軽い鎧しか着てなかったのが災いした。

カガヤ  ダメージは8点です。

透明ゲルーシャ  ば・・・馬鹿な!?

カガヤ  相手が悪かったね。私は耳がいいのよ。

GM  舐めるな! まだ気絶ダメージにすら達していない!

カガヤ  でも、次のターンは私が最初に動きます。さっきの攻撃で血が流れているはずだから、狙いやすい。

GM  部位狙いなんかの修正は通常より大きいよ。

カガヤ  どうせ狙わないから気にしない。確実に命中させるため、奥義<血車>三連斬!

GM  あ、だめだ。一撃目で喰らった。

 

 これにより、このターン透明ゲルーシャは気絶する。女ゲルーシャは、起死回生の一発を狙って、ザインの頭部めがけて蹴りを放つが不発に終わる。

 

ザイン  全力攻撃技能+4で、頭部に、狙い澄ました一撃を叩き込む! (ころころ)命中!

GM  だめ、喰らった。

ザイン  問題はダメージですが(ころころ)期待値で7点。

GM  そのダメージなら気絶したね。

ザイン  勝った。

カガヤ  他のところは大丈夫かな?

ザイン  でも、今動き回るのは逆に危険ですよ。僕たちも無傷じゃないですし。

 

執事の美学

 

 裏口での決着がつく少し前、投げられた<持続光>で敵襲を知った屋敷の中の連中は・・・

 

ティース  敵襲のようですな。恐らく外は陽動。・

ジーク  外の様子を見てみよう。

GM  子ども部屋からは表しか見えない。表では、警備員たちが円陣を組んで周囲を警戒している。

ティース  裏口のザイン様たちが気になりますな。廊下の窓から見てみましょう。

GM  ちょうど裏口では、ザインとカガヤが二体のゲルーシャを葬ったところだね。

カガヤ  見えないゲルーシャは厄介ね。止めを刺しておこう。

ティース  お二人とも、ご無事ですか?

ザイン  こっちは大丈夫。どこかに伏兵がいると思うから、気をつけて。

ルミノール  透明だったり影だったりする連中ばかりなのでしたら、ティル君の部屋の警備を固めた方がいいかもしれませんね。

ティース  そうですな。客室の確認をしましょう。

GM  客室で変わった様子はない。エーテルと警備員が警戒している。

ティース  戦力の分散は危険かもしれませんな。ジーク様たちは、ここの警備に移ってください。

ジーク  分かった。

ティース  わたくしめは《空中歩行》を使い、廊下の窓から下へ向かいますぞ。考えてみれば、ザイン様たちの方には、回復呪文の使い手がおりませぬ。

アージス  確かにな。

ルミノール  では、お願いします。

GM  ティースは一人で廊下に出るわけね。

ティース  はい。

GM  じゃあ、窓の近くで呪文の集中に入った君は、いきなり後ろから刺される。重要器官に4点の「刺し」。

ティース  なんですと? (ころころ)転倒はしません。痛みに耐えながら後ろを見ますぞ。

GM  そこには、ナイフを持った手が生えている、人型の影がある。

ティース  バトルファンの準備をせねば(ころころ)いかん。失敗いたしました。

GM  じゃあ、右手のバトルファンは取り出したけど、開くには至らなかった。影から生えたナイフは、君のバトルファンを持った手首でも攻撃させてもらおうか。

 

 この攻撃によりバトルファンを落とし、次のターンには右足首を断たれ逃げることもできなくなったティース。なんとかジークたちを呼び、《電光》を発動させることに成功したティースだが、ジークが助けに来るより早く、その《電光》を放つ間もなく気絶。

 

ティース  気絶したとき、手に持った《電光》が影に当たりませんかな?

GM  うちのシナリオでは術者が気絶すると、呪文の効果は切れる。君が気絶した瞬間、《電光》は四散するね。

ジーク  ティースの声が聞こえたので廊下に出ます。

GM  するとそこには、気絶して影に取り込まれようとしているティースの姿がある。

ルミノール  取り込む?

GM  床に飲み込まれているようにも見えるけどね。

ジーク  その場所に駆けつけます。

ルミノール  後に続きますが、間に合いますか?

GM  取り込み作業は1ターンで終わるから間に合わない。君たちがティースのいた場所に着く頃には、不自然な人型の影があるだけ。

ジーク  この影を切ってみよう。

GM  どうぞ。サイコロ振って偶数なら影、奇数なら影に取り込まれたティースに当たる。

ジーク  このまま何もしないわけにもいかないだろう。(ころころ)よし、偶数。8点ダメージ。

GM  影への物理攻撃はダメージ半分になるし、「切り」や「刺し」のダメージボーナスも無いけど、ちょっと痛い。

ルミノール  では、私も攻撃を。奇数です(笑)。

 

 この後、ルミノールとジークは何度も攻撃を仕掛けるも、ほとんどがティースに命中する。とくにジークは、今までティースにいじめられてきた恨みを晴らすが如く、初撃以外全てをティースに命中させる(笑)。

 

気絶中ティース  お二方がわたくしめをどう思っていたか、よ~く分かりました(笑)。

GM  しかし、影も姿を見られて、いつまでもここに止まる理由は無い。壁をつたって逃げさせてもらう。

ジーク  だったら、外のカガヤさんとザインに声をかけよう。壁伝いに怪しい影が移動している! そいつを止めてくれ!

ザイン  分かった。

カガヤ  《持続光》で壁を照らそう。見つかる?

GM  うん。すぐに見つかる。影は、《持続光》の光を嫌うような動きで移動している。

ザイン  そうか、相手は魔法的手段で影になっているから、きっと魔法の光に弱いんだ。

カガヤ  何とか影を下に追い立ててみよう。

ジーク  じゃあ、俺は上から光を当てる。ルミノールさんはティル君のところに行っててくれ。

ルミノール  分かりました。

 

 三方向からの《持続光》の光に追い立てられ、影は逃げ場を失う。そこに、光が一斉照射された。

 

ザイン  何か変化が起こるまで、光を当てつづけましょう。

GM  了解した。(ティースのプレイヤーにメモ用紙を渡す)

ティースのPL  むう・・・分かりました。・・・一回目で失敗ですな。

カガヤ 何の話だろうね?

ジーク  ろくなことが起きない気がするな。

GM  君たちが光を当てつづけると、徐々に影が薄くなり、やがて消滅する。

ジーク  二人とも、ティースを連れて上まで来てくれ。

GM  ティース? そんな人、どこにもいませんが?

一同  え?

ジーク  まさか、一緒に消滅した?

ザイン  影の中にティースさんがいたなんて、聞いてないよ。

カガヤ  影を止めろと言われてだけ。

消滅ティース  闇に消える。これも執事の美学ですな。

ジーク  いや、ティースのことだ。きっと何事も無かったかのように帰ってくるに違いない。

GM  (これがなんでもありのギャグシナリオだったらありかもね。)では、客室の方へシーンを移す。

ルミノール  廊下にはジークさんがいますから、窓の方を警戒していましょう。エーテルさんは、窓側からベッドを守る位置にいてもらいましょう。

GM  エーテルはそれを承諾する。そして、君の読みどおり、鍵のかかった窓が外側から開けられる。

 

 そこから現れたのは、捻れ曲がった六本の腕を持ち、鋭い牙の生えた蜘蛛を連想するゲルーシャ。恐ろしい外見により、部屋にいた一同は恐怖判定を行うが、警備員以外は全員成功。蜘蛛ゲルーシャは口から糸をはき、ベッド上のティルを絡み取ろうとするが、ベッドの前に待機していたエーテルがそれを阻止。力ずくでティルを奪うため、ベッドに近づこうとする蜘蛛ゲルーシャの前に、そうはさせじとシャイニング・サンを構えたルミノールが立ちはだかる。

 

GM  フッフッフ。六本中攻撃に使える腕は2本だが、「受け」は6回行える。しかも、「受け」の数値はけっこう高いぞ。

ルミノール  でも、私の持っているシャイニング・サンは、フレイル系の武器ですから「受け」辛いですよ?

GM  ・・・あ。

裏口のザイン  確か、エーテルさんの「血の叫び」も「受け」はできませんね。

アージス  俺の《飛ぶ剣》もな。

GM  ・・・・・・。

 

 かくして、六本腕の怪奇なゲルーシャは、高い「受け」の値も虚しく、切られ砕かれ貫かれ、あっさり絶命いたしましたとさ。

 

陰謀の片鱗

 

ジーク  襲撃はこれで終わりか?

カガヤ  わからない。まだ警戒は続けるべきだね。

ザイン  女ゲルーシャは気絶しているだけですからね。舌を噛まれないように猿轡をして、縛って、後で尋問しましょう。

ジーク  変態野郎め(笑)。

ザイン  言うと思った(笑)。

 

 一行は朝まで警戒を続けるが、4人のゲルーシャ襲撃以外は、何事もなく朝を迎えた。

 

ルミノール  ティルさんが起きる前に、部屋の掃除をしておきましょう。

アージス  目が醒めるとそこには、頭が半分砕かれた化物の死体が・・・トラウマになるな(笑)。

GM  死体の後片付けは、ゲルーシャを見て気を失いかけた警備員が、贖罪の意味もこめてやってくれる。

ジーク  結局、ティースも帰ってこず・・・か。

消滅ティース  (ウクレレを弾きながら)大丈夫ですぞジーク様。わたくしめはあなた様の心の中にいつまでも存在しつづけておりますからな(笑)。

ジーク  それは嫌だ(即答)。

ルミノール  ところで、アイゼル氏は?

GM  出そびれたけど、深夜の襲撃の後に出てきて、君たちに大感謝。何か自分にできることがあれば言ってくれとさ。

ルミノール  何かあったときは、お力をお借りすることがあるかもしれません。そのときはお願いしいます。

 

 太陽も強く輝き始めたころ、ティルはエーテルと共にサリカの学校へ出かける。念のためルミノールはそれについて行き、他の一行は屋敷の裏庭で、捕まえた女ゲルーシャを取り囲む。

 

カガヤ  さて、後は襲撃してきた女ゲルーシャを尋問するだけだけね。

ザイン  猿轡を解いたら舌噛まれそうだよね。ティースさんがいてくれれば、《精神探査》ができたんだけど・・・。

アージス  俺も《読心》くらいならば使えるぞ。

カガヤ  じゃあ、私が尋問するから、君は呪文で心を読んでいてちょうだい。

ティースの霊  ジーク様。ガヤン神官ともあろう者が、尋問もできないでどうするのです。

ジーク  っつ!?

ザイン  どうしたんだい、ジーク?

ジーク  いや、何か背筋に寒いものが走った。

ザイン  風邪か? だったら後でルミノールさんに診てもらっておいた方がいいよ。

ティースの霊  そうですぞ。風邪は万病の源ですからな。

ジーク  (剣を抜いて)ティース!? ティースだな!? どこにいやがる! でて来い!

カガヤ  あーもう、うるさいなぁ。ザイン、ちょっと気絶させといて。

ザイン  わかった。

 

 ジェスタアクスの背で殴られ、気絶させられたジークを放っておき、猿轡をしたまま気絶していた女ゲルーシャを呪文でたたき起こした後、カガヤは尋問を始める。

 

アージス  呪文は10分ほどしかもたないから、有効な質問をしてくれよ。

GM  (時計を見て)じゃあ、今からカウント開始ね。

カガヤ  じゃあ、まずはあんたたちは何者だ? (ころころ)尋問の成功度は3。

GM  こっちの抵抗は失敗。

女ゲルーシャ  我々は元百鬼衆。不思議四天王だ。

GM  ちなみに、透明が<見えざる>タバステ。格闘女が<息子殺し>のウブサラ。影が<影走り>シギシギ。蜘蛛が<闇這い>ルーワーだそうだ(笑)。

ティースのPL  覚えやすい名前ですな(笑)。

カガヤ  一部の人にとってはね。私にはさっぱり。次の質問、なぜティル君を狙った?

女ゲルーシャ=ウブサラ  われらの主の命令だ。

カガヤ  主とは?

ウブサラ  われらが主。偉大なる<膿の王>。第8師団に所属する偉大な魔王。

ザイン  <海の王>? 海エルファのゲルーシャ版?

GM  「海」じゃなくて「膿」だ。アージスの頭の中に、巨大な4本腕の化物のシルエットが浮かんでくる。

カガヤ  その、<膿の王>の目的は?

ウブサラ  一部の子どもは、ダンケル商会とやらに売っていたようだが、後は知らない。<膿の王>様は、<看護都市>レナでも同じ事を行っていた。

ザイン  <看護都市>レナは、北西にある大きなサリカ病院のある街だけど、ダンケル商会?

カガヤ  ティースさんだったら知ってたかもね。

気絶中ジーク  うおぉぉぉ、来るな、来るんじゃない。あっちへ行けティース!

ザイン  うなされてるね。

アージス  嫌な夢でも見てるんだろう。それより、他に聞くことは無いのか? 呪文の維持は、あと3分しか持たんぞ。

カガヤ  うーん、他には特に思いつかない。

アージス  じゃあ、維持を止めよう。

ザイン  こいつはガヤンに突き出そう。ダンケル商会のことは、向こうで調べてもらった方が効率よさそうだしね。

カガヤ  じゃあ、ルミノールさんが戻ってきたら、帰ろうか。

GM  帰る前に、アイゼル氏がせめてもの感謝の印と言うことで、1万ムーナを即金でくれる。

ザイン  断る素振りだけはしておいて、ありがたくいただきましょう(笑)。

カガヤ  6人・・・いや、ティースさんがいないから、5人か。一人2000ムーナだね。

ザイン  そうか・・・死体が無いから、死んだっていう実感がないけど、ティースさんはもういないんだよね。

ルミノール  せめて、冥福だけでも祈っておきましょう。

アージス  そうだな。

ティースの霊  わたくしめはジーク様の背後霊として、皆様を見守ることにいたしましょう(笑)。

ジーク  気のせいか、肩が重い(笑)。

GM  (ナレーション口調で)激しい戦いの中で命を落としたティース。しかし、今回の敵は<膿の王>とやらの尖兵でしかなかった。果たして<膿の王>とは何者か? そして、ゲルーシャたちがさらった子どもを売っていたという、ダンケル商会とのつながりは?

カガヤ  子どもの人身売買なんて、許せない。

ザイン  冒険者を続けていれば、いずれ両方と対立することになるだろうね。

 

仲間の死を乗り越え、次回へ続く 

*1:専業の冒険者ではなく、普段は職をもち休日に冒険に出かける冒険者。ルナル世界の多くの国では、冒険者は職業として認められていない。

*2:我々の世界で言う、日曜日。

*3:彷徨いの月を崇める獣人族。4足歩行獣の胴体から人間の上半身が生えている、ケンタウルス型の種族。

*4:リプレイ化はしないが、アンリ連邦列伝シリーズエピソード01に当たるキャンペーンの時に起きた、アンリ国内の内乱。

*5:ギャビットが持てる特殊能力。叫び声に様々な効果をもたらすことができる。しかし、発動には知力基準の技能が必要であり、基礎知力の低いギャビットでは使いづらく、必要CPが効果の割に高いため、お世辞にも強い能力とは言えない。