黄金の羊亭新館

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第9話【再誕ー後編ー】

それは、“奴”にとって幸運なことであった。

処分されそうになったところを、偶然にも拾われた。

しかも、拾得者は本を声に出して読む癖があったようだ。お陰で封印が解けた。

さらに整理整頓の苦手な者だった。

だから、他のものの中にまぎれることが出来た

ここならば誰にも邪魔されず、恐怖と死を振りまくことが出来る…

“奴”はほくそ笑んだ。

 

第七章【そして誰もいらなくなった】

GM  地下一階にあったランクSパスが必要な扉を開けると、下り階段がある。そこを降りると、肌寒いような空気を感じる薄暗い通路へと出る。魔力が供給されているはずの、壁の《持続光》は、大半が消え、まだ灯っているものも点滅を繰り返している。

ディック  不気味な場所じゃのう・・・

GM  すると、通路の奥から女性の悲鳴が!

ダンテス  駆けつけましょう!

GM  悲鳴が聞こえたのは通路奥右側にある部屋だ。中に入ってみると、マスクを被って鉈を持った怪力そうな巨漢と、山高帽を被って赤いセーターを着た素早さそうな鉤爪男がハルさんに似たショートの娘と、茶髪のロングの少女に襲いかかろうとしている!さて、ここからは行動順に動こうか。

 

 最初に動いたのは、実戦慣れしたリューリック。手近にいた巨漢の前に立ち塞がり、ロングの少女を守ろうとする。次にディックが鉤爪男の前に動こうとするが、わずかに早く動いた鉤爪男が、オレンジの髪の少女の喉を切り裂いた。

 

ディック  しもた!

リューリック  こんな状況で、どうやって彼女を守ればよかったんだよ!

GM  まずリューリックが鉤爪の前に移動すれば、巨漢が動く前にディックが黒髪の少女を守れたんだがね。

リューリック  そんなの分かるかよ!

GM  僕は言ったはずだがね。鉤爪男は素早さそうだって。

リューリック  厳しいな~。

GM  この手のシナリオは緊迫感重視だ。わずかなミスが死を招くことくらいは理解して欲しい。NPCならばいくら死んでもかまわないと思っているなら、遠慮なくPCを狙わせてもらう。

リューリック  そんなことは思っていませんよ。

 

 この後、二体の怪人は意外とあっさり倒される。

 

GM  さて、ロングの少女は親友の死に放心状態だ。

リューリック  ・・・復活の霊薬を使いましょう。

リネール  そんなもの持っているのですか?

ルミノール  そういえば、前回手に入れましたね。

ディック  使うてくれ。このままでは気分悪うてしゃあない。

GM  んじゃ、オレンジ色の髪の少女は蘇る。茶髪の少女はオレンジの少女に抱きついて泣いて喜ぶが、オレンジの少女は何が起こったのか理解できていない様子。

ルミノール  それはそうでしょうね。

ダンテス  お嬢さんがた。感動の再開を喜ぶのは良いですが、私たちの話を聞いていただけませんか?

茶髪の少女  (反応判定は「とても良い」顔を真っ赤にして)は・・・はい。

ダンテス  私の名はアレハンドロ・ダンテス。まずはあなた方の名前を教えていただきたい。

茶髪の少女  ティアラス・リー。ティアって呼んでください。

オレンジの少女  私はアキ。変な名前でしょ?

リューリック  アキ? ハルさんとの関係は?

アキ  ハル姉さんは、私の姉よ。

ダンテス  では次に、何故このような場所にいるんです?

アキ  親父・・・ああ、ここの所長だけど、そいつがティアを呼び出したの。あいつ、ティアの母さんと不倫しただけじゃ飽き足らず、娘にまで手を出そうとしているに違いないわ。

一同  (笑)

リネール  なるほど、ハルさんが口篭もった複雑な家庭の事情とはこういうことか(笑)。

リューリック  父親としてと言うより、人間としてダメですね(笑)。

アキ  私はティアが心配だし、親父を一回ぶん殴りたくてここまで着いてきたの。ティアの母さんが死んでからは、あいつ家族のことを見向きもしなくなったのよ。

ディック  不倫相手は死んでいる・・・か。ふむ。

ダンテス  ありがとう。ここはもう危険だ。所長は私たちが地下から連れ出すから、君たちは応接室に避難していてくれ。ハルさんもそこにいる。

ルミノール  二人だけでは心配です。私が送っていきます。

ジェイル  俺も行こう。

リネール  では、その間に私たちは地下の探索をしていましょう。

GM  了解。では、地下の方から話を進める。言い忘れていたけど。この部屋には奥の壁一面に謎な装置が置いてある。

ダンテス  謎な装置とは?

GM  1から30までの数字が書かれた窪みがあって、壁に我々の世界で言うところの、B、13、21という文字が書かれている。

ディック  押しボタン式やないんやな。なんやろ?

リネール  先に他の部屋の探索に向かいましょう。きっと、この窪みに入れるものがどこかにあるのでしょう。

ディック  そやな。この階の地図が、どっかにあらへんか?

GM  地下二階に入ったところに地図はある。ここには海洋観測室が2つ、地下医務室、魔力制御室、特別研究室、展示室ってのがあるね。君たちがさっきまでいたのは展示室だ。あと、大きな扉があるけど、開けようとするとアナウンスが流れるね。

アナウンス  ここの扉を開けるには所長またはオーナーの特別な許可が必要です。何らかの理由で所長またはオーナーとの連絡が取れない場合は、展示室にてパスコードを入力後、ランクSパスを提示してください。

GM  だそうだ。

ダンテス  開かないものは仕方がない。特別研究室へ行ってみよう。

GM  特別研究室に入るには、ちょっと狭い通路を通らなくてはならない。その通路半ばまで来ると、アナウンスが流れる。

アナウンス  この先は個人の研究所です。所有者の特別許可がないとは入れません。何らかの理由で所有者と連絡が取れない場合、壁のパネルにて30カウント以内にパスコードを入力してください。29・・・28・・・

リューリック  壁のパネルを見てみましょう。

GM  七つの窪みがあって、1から7までの数字が書かれているね。

ディック  またかいな。

リネール  はめ込むものなんて持っていませんからね。しょうがないので戻りましょう。

GM  君たち全員が通路から出ると、分厚い扉が自動的に閉じる。

アナウンス  先ほどの侵入は不法侵入と断定。今後この扉を開ける場合は、オーナーまたは所有者本人を連れてくる必要があります。

ディック  ぬぅ。奥に何か重要なものがあったみたいやのう。

GM  (重要じゃないけど、貴重なものがあったんだよん。)

リネール  では、魔力制御室に行ってみましょう。

GM  巨大なパワーストーンに、魔力のかかった紐がくくりつけられている。ただ、紐はいくつか切れているし、パワーストーン自体も輝きが小さい。

リネール  ここから研究所の各地に魔力を供給しているのですね。「探索」してみますが、他に変わったものは?

GM  特にない。

リューリック  次は海洋観測室ですね。

GM  海洋観測室は一面ガラス張りになっていて、海底の様子がよく分かるようになっている。本来ならば海底にばらまかれた《魔法の目》で、もっと広域の海底の様子をモニターできるんだけど、魔力不足でモニターは消えている。

ディック  ハァ~(嘆息)・・・すごい技術やな。

GM  マナ*1の濃度が濃密だった時代に作られたものだからね。海洋観測室は2つあるが、どちらも似たようなものだ。

ディック  一応両方「探索」やな。

GM  観測室2の方には、所長のデスクがあって、中には三つの丸いものが入っている。

ディック  どうやら正解みたいやな。この球を展示室の窪みに入れるんろ。あとはあのパネルの謎解きやが・・・

GM  てなところで、ルミノール&ジェイル組に視点を移す。君たちは二人を無事応接室に送り届けた。応接室にはニーチェにハルさん、シェリーさんがいるね。

ルミノール  ふむふむ。

GM  (あれ? 人数が少ないことに気付かない?)で、二人を応接室に置いた君たちは地下一階に向かった。そこに、一匹の黒猫が現れ、君たちの前に止まる。

ジェイル  黒猫!? さては遺跡のときの奴だな!

黒猫  にゃにゃ!?

ジェイル  今度は逃がさん覚悟しろ!

黒猫  にゃ! にゃにゃにゃにゃ!(首を振る)

ジェイル  ・・・違うのか?

黒猫  にゃにゃ(頷く)。にゃにゃにゃ(そして手招き)

ルミノール  ついて来いと言っているのですかね?

ジェイル  ついて行ってみよう。

GM  黒猫は地下書庫の前で足を止める。扉を引っ掻いているね。

ジェイル  開けてみる。

GM  あの3人は視界内にいないが、取り立てて変わったところはない。天井から何かが軋むような音が聞こえるが。

ジェイル  天井を見てみよう。

GM  そこには、チェーンを首に巻きつけられ、苦しみもがくアイがいる。チェーンは天井の送風機にくくりつけられているね。

ジェイル  人助けは趣味じゃないが、しょうがない。《飛行》の呪文を使う。

GM  チェーンは簡単に外せそうにないが?

ジェイル  だったら小娘の体を支えて鎖を緩める。その隙に解けばいい。無理ならば送風機を壊す。

GM  ふむ。送風機を壊すまでもない。鎖は外れるね。

アイ  ふにゃぁぁ~・・・・・・眠い。

一同  (笑)

地下二階のディック  この娘は将来大物になるで(笑)。

ジェイル  しょうがない。この小娘も応接室へ送ってこよう。

ルミノール  それがいいですね。

 

 地下二階では地下医務室にて七色のボールを見つけたものの、使用するであろう場所が閉じてしまっているのでは意味がない。そして一行は、展示室で合流する。

 

リネール  ここのパネルを正しく操作すれば、開かずの間の奥にいけると思うのですがね。

リューリック  13と21はそのままですが、Bと言うのが分かりませんね。

ディック  よく見ると1と3に分かれとったりせえへんか?

GM  してないね。

リネール  それに、13はすでにありますよ。13番に2つはめ込むことはできますか?

GM  無理だと思うよ。

ディック  8の間違いかもしれんな。8と13と21の窪みに球を置くで。

アナウンス  オーブの配置が違います。後2度失敗した場合、侵入者とみなし以後の地下の扉の開閉には所長またはオーナーの許可が必要となります。

ディック  だめか。

リネール  しかし、危険な機能ですよね。一歩間違えると一生ここから出られなくなりますよ。

GM  一応<悪魔>戦争時代に、いざと言うときは<悪魔>もろとも封印することができるようになっていた建物だからね。(だから、出られなくなると君たちも封印されるよ。)

ルミノール  どこかにヒントがありませんかね。

ディック  おお、そういえば、所長室のメモにあったな。

リネール  「更なる深き場所へ行くには、知恵と対をなす神の指で数えるべし」。これがパスワードのヒントですかね。知恵と対をなすものといえば、直感の神タマットですが。

ディック  タマットの指は六本やな。ということは6進法か。8と13と21を6進法に直すと(計算して)12、21、33や。はめ込むで。

GM  窪みは30までしかないが?

ディック  う~む・・・。

ダンテス  ・・・12進法じゃないのか?

ディック  おお、なるほど。タマットの両手で数を数えるわけやな。それやったらBの意味も分かる。

リネール  とすると、11、15、25ですね。はめ込んでみましょう。

アナウンス  パスコード確認。扉を開きます。

GM  廊下で、大きなものが動く音がする。

ディック  ようやく所長さんとご対面や。謎が解ければええやけんどな。

 

 

第八章【犯人は誰だ?】

GM  開かずの扉の奥は、長い下り階段になっている。その先には50メルー四方はあろうかと思われる広い空間になっていて、使用用途不明の機材やら、淡い光を放つ棺のようなものが乱立している。中央には大型のパワーストーンがあり、この部屋の各部に魔力を供給しているようだ。そして、その空間にいた男が君たちに気付く。不健康そうな痩せた男で、無精髭を生やしている。

ダンテス  ここの所長ですね。特別研究室の通路奥に入る許可を下さい。

所長  何だね君たちは?

ディック  副所長のハルはんに頼まれてな。ここを調査しに来たもんや。

リネール  あなたが<悪魔>関係の書物を持っていたという話を聞きましてね。

所長  <悪魔>関係の書物? あれだったら、最初は読んでみようかと思ったが、さすがに危険だからな。すでに処分したぞ。確かザー・・・なんとかの書だったな。

ジェイル  《嘘発見》の呪文を使おう。

GM  別に嘘はついていないみたいだよ。

リューリック  じゃあ、上で起きていることと、所長の研究は関係ない?

ダンテス  そんなことより、特別許可を下さい。

所長  悪いが、特別研究室は私の管轄外だ。

ダンテス  だったら、研究所内で自由に行動できる許可を下さい。

所長  何を企んでいるのかは知らんが、それは出来ん。それより、上で起きていることとは何かね?

ディック  事情を話すで。

所長  それは、私とは関係ないだろうな。

リネール  あなたは、ここで何の研究をしているのですか?

所長  死者蘇生だ。

ルミノール  ありがちですねぇ。

ディック  そんなことが本当にできると思っとるんか? まあ、《復活》ちゅう呪文はあるが、簡単に使えるもんやないで。

所長  正確には、生前の記憶を情報として保管し、他者に移し変えるのだ。その際、移し変える相手の記憶を消しておけば、外見以外は完全に記憶の方の人物になる。

ジェイル  そんなことができるのか?

所長  できる。事実、研究は実用段階にまで入っている。あとはターニャの記憶との適合率が高い素材さえ見つかれば・・・

ディック  所長に呼ばれたっちゅう女の子らは、そういう目的で呼び出しとったんか。

リネール  そんなことで、本当に不倫相手が生き返ったことになるのですか? 現実を見ましょう。彼女は死んだのです。

所長  黙れ夢見がちなトリップエルファめ。そんな説得で改心するようなら、こんな研究やっとらんわ。

ディック  冷静にマッドなやっちゃな(笑)。

所長  なんにしても、上で起こっていることと、私の研究は関係ない。強いて言うならばここのパワーストーンを使い切ってしまったから、上階のパワーストーンの魔力を借りただけだ。確かに停魔力が発生しやすくなるだろうが、だからと言って、殺人鬼だの<悪魔>などが呼び出される理由にはなるまい。

ルミノール  それはそうですね。

ディック  ほな、今回の事件を起こした犯人は誰なんやろ?

リネール  ハルさんという可能性はないですか? 彼女は一度襲われて助かっていますし、私たちをここに呼び寄せたのも彼女です。

リューリック  でも、動機がわからないですね。

リネール  私たちが知らない裏があるかもしれませんよ。一度戻って話を聞いてみましょう。

所長  では、私は研究を続けさせてもらう。

リネール  どうぞご自由に。

GM  冷たいなぁ。

リネール  今のところ、所長とこの事件は関係なさそうですからね。

GM  (本をどうやって処分したかは聞かない・・・と。)では、こらからハルさんのところに向かうんだね。

リネール  そうしましょう。

GM  応接室には鍵がかかっている。

リューリック  おや? ランクSパスを提示しますが?

GM  反応がないね。

ダンテス  大声で呼びかけてみましょう。ハルさん!何かあったのですか?

ハル  外に誰かいるのですね? 内側からでは扉が開かなくなってしまったのです。何とか開けていただけませんか?

ルミノール  それが、外からでも開かないのですよ。

ハル  そんな・・・一体どうなっているの?

リネール  ハルさん以外はそこにいますか?

ニーチェ  ウチもおるで。

シェリー  私もいます。

GM  アキやティアも返事をする。アイもいびきが聞こえるからいるだろう。

リネール  ということは、ハルさんが犯人ではない?

ディック  ヒッターはんとカインはんはどうしたんや?

ハル  あの方達でしたら、自分達でこの事件を調べてみると言って出て行きましたよ。

リューリック  怪しい。

ルミノール  でも、彼らは図書室に閉じ込められていましたよ?

リネール  犯人にとっても予想外のことがおきたのかも知れませんね。とりあえず、あの二人を探してみましょう。

GM  じゃあ、どこから探す?

ディック  二手に分かれようや。幸いバランス取れたパーティやで、多少の戦力分散しても簡単に死ぬことはあらへんやろ。次の犠牲者が出る前に犯人を見つけたいで。

リネール  ルミノールさん、ディックさん、ジェイルが一階をお願いします。リューリック、私、ダンテスが二階の捜索をします。

GM  じゃあ、先に一階組だ。どこから探索する?

ディック  そうやな・・・まだ行っとらん警備員室周辺に行ってみよか。

GM  警備員室周辺に行くには、ランクC以上のパスを求められる。

ルミノール  Cなら持っていますね。

GM  じゃあ、扉が開く。すると、通路の置くから水の流れるような音が聞こえるね。

ルミノール  行ってみましょう。

GM  奥にはいわゆるバスルームがある。魔法で水を供給できる優れものだ。そして、湯船からは水がこぼれそこに浮いている小さな死体が。

ディック  ・・・サンディはんか。

ジェイル  シェリーとダンテスが一階は調べたって言っていたよな?

ディック  よう考えたら、一階の「行ける範囲は」ゆうとったわ。ここに入るんはパスカードが必要やったで。

ルミノール  (十字を切って)・・・せめて水から出して、暖かい毛布にくるんであげましょう。それと、シェリーさんには黙っておきましょうね。

ディック  それがええな。今パニックを起こされるとろくなことにならへん。

GM  ・・・チッ!

ディック  何があっても言うんやないで(苦笑)。

 

 一階組はこの後も探索を続けるが、休憩室のエキストラの死体が持っていたランクBパスを入手する以外、めぼしい収穫はなかった。仕方なく一階組は二階組と合流するため階段を上る。

 

GM  じゃあ二階組だ。

リネール  まずはアーレスさんと、ヒンメルの妹の様子を見に行きませんか?

リューリック  あの二人なら、放っておいても問題はない気がするけどな。

ダンテス  妹と聞いて行かないわけにはいかんな。さあ、どこにいるのか白状しなさい。

リネール  たしか、副所長室にいたはず。

ダンテス  副所長室に向かいましょう。ヒンメルさんの妹さんはいらっしゃいますか?

GM  いるね。入ってきた君たちのことなど気にもしない様子で、椅子に座っている。

ダンテス  始めまして。わたくしアレハンドロ・ダンテスといいます。と、目を輝かせましょう。

GM  しかし、その目の輝きは漆黒の少女に届く前に、彼女の二指に受け止められた。しかもポイ捨てされたね。

ダンテス  な・・・なんということだ!

リネール  あ~ハイハイ。次にいきますよ。(ダンテスを引きずっていく)

ダンテス  (引きずられながら)待ってくださいお嬢さん! せめてお名前をぉぉ~(ドップラー効果)。

リューリック  そういえば私ら、あの人の名前知りませんよね。

リネール  聞いて答えてくれるとも思えませんね。そんなことより、さっさとカインとヒッターを探しましょう。

GM  (おや、アーレスには話しかけないのね。ことごとくヒントが出せる人物から話を聞こうとしないな(苦笑)。)ここの近くには所長室と会議室があるね。

リネール  所長室に行ってみましょう。

GM  所長室の中からは、人の気配がするね。

リネール  忍び足で近づきましょう。この扉は外開きですか?

GM  研究所の扉が外開きだとまずいだろう。内開きだよ。

リネール  外開きならば、《幻覚》で閉まったままの扉を作ることも出来たのですが、仕方がありません。聞き耳を立てます。

GM  中からカインの大きな声が聞こえるね。逆に、ヒッターの声は小さくて聞き取りづらい。実はヒッターは耳が遠いから、カインは大声で話さざるをえなかったりする。

一階のディック  「難聴」も、PCじゃ怖くて取れん弱点よのう(笑)。

カイン  しかし、ツェンバーの奴、一体どこに本を隠したのやら。

ヒッター  ・・・は・・・い。・・・・・・お陰・・・・・・ある。そのす・・・んの・・・が・・・。

カイン  しかし、「ザーザリオンの書」なんてどこで手に入れたのでしょうね。

ヒッター  ・・・名は・・・な。・・・に・・・・・・目・・・りだ。

リネール  ザーザリオンの書ね。恐らく所長が手に入れた<悪魔>の書を利用しようとしているのでしょうね。この騒動にどう関わっているかは分かりませんが、悪人には違いありません。ちょっとハッタリかけてみましょう。中に入ります。

GM  ドアを開けると、中の二人もさすがに君たちに気付く。

カイン  おお、無事だったか。所長には会えたのか?

リネール  ええ、そしてあなたたちが探しているザーザリオンの書ですが、所長が持っていましたよ。

ヒッター  やはりそうか。ツェンバーめ、そのような邪悪な書物を所持しているとは。研究者の風上にも置けん。

カイン  ザーザリオンの書は、ある<悪魔>を封印した書物なんだ。俺たちはそれを処分するために探していた。

リューリック  おや?

ダンテス  別に悪事を企んでいるわけではなさそうだな。

リネール  「嘘発見」の技能はあるので、使ってみますが?

GM  (ころころ)別に嘘を言っている様子はない。

カイン  ツェンバーに会ったのなら言ってやってくれ。今ならまだ間に合うかもしれない。その本を捨てろってな。

リネール  分かりました。言っておきます。で、部屋を出るふりをして、扉を閉める幻覚を作ります。

GM  集中も体力消費も必要ないほど熟達している君ならば可能だね。

リネール  後は、隣接している面にまったく同じ背景の幻覚を作って、その後ろを移動し、ソファーの後ろに隠れます。

GM  なるほど。そうすりゃ中の声は聞こえるわな。5回魔法の発動判定を行ってくれ。

リネール  (ころころ)全部成功です。当然、扉以外一度通った場所の幻覚は解除しますね。

GM  ふむ。では、君たちが出て行ったと思い込んでからしばらく経つと、二人は話し始めるね。

カイン  あの連中、何か感付いているのですかね?

ヒッター  だろうな。でなければツェンバーがザーザリオンの書を持っているなどという嘘はつくまい。

リネール  (う・・・ばれてる?)

ヒッター  しかし、わしらの計画に変更はない。なんとしてでも本を手に入れなければならん。

リネール  何かの悪巧みをしているのは間違いないですね。もういいでしょう。さっきと同じ方法で入口まで戻ります。

GM  いいけど、ドアを閉めるときの音はどうする気だ?

リネール  う・・・しょうがないので、堂々と閉める音を立てましょう。で、ダッシュで逃げます。

リューリック  ピンポンダッシュかよ(笑)。

GM  そんなところで、一階組と合流かな。

リネール  全員に、ヒッターとカインが怪しいことを知らせましょう。しかし、確証は何もないですが。

ディック  ザーザリオンの書ってのを欲しがっとるんは分かったが、その本の効果が分からんからのう。

GM  (今回の事件について詳しく知っていると言ったNPCがいるのにねえ。)

ルミノール  犯行に使った道具があれば、指紋でも調べるのですがね(笑)。

ジェイル  おお、そういえば小娘の首を絞めていたチェーンがあったな。指紋は無理としても、《歴史》の呪文で何があったか見てみよう。

GM  なるほど。(ころころ)すると、首を絞められてもがくアイ、寝ているアイの首にチェーンをかける太い腕が見える。

ジェイル  カインの腕だな。

GM (そんなことは一言も言ってねーよ。)

ディック  少なくとも、アイはんの殺人容疑は固まったな。動機は分からんが。

リネール  このことを突きつければ、ガヤンの権限で動きを封じることはできるでしょう。

リューリック  また、私の職権を利用するのですね。

ディック  乱用やないから安心しとけ(笑)。所長室のドアを開けるで。

カイン  ん? また君たちか。今度は何の用だ?

リューリック  カイン&ヒッター。あなたたちをアイさん殺害未遂容疑で身柄を拘束する。

ヒッター  何を証拠に?

ジェイル  このアイの首を絞めていたチェーンだ。《歴史》の魔法で過去に使った者をばっちり見させてもらった。

ヒッター  ハッハッハッハッハ!

ディック  お、観念したか?

ヒッター  馬鹿を言っちゃいかんな。ほれ、ちょっとそのチェーンを貸してみろ。

リューリック  それは出来ませんね。大事な証拠です。

ヒッター  ならば別にいい。この本で充分だからな(ガープスベーシック完訳版を持つ)。ぬぅぅぅん!

GM  ヒッター氏は何かを念じる。

ヒッター  おお! わしには今、この本の角を使でアイくんを滅多打ちにしているそこの魔術師の姿が見えたぞ!

ジェイル  ハァ? なに言ってんだこの爺。

リューリック  嘘を言ってもらっては困りますね。

ヒッター  嘘だと言う証拠がどこにある?

ジェイル  俺はそんな本には触れたこともないぞ。

ヒッター  じゃが、わしの《歴史》呪文によると、確かにそのような映像が見えた。

ディック  なるほどな。

リューリック  つまり、あなたはジェイルが嘘を言っているのだと言うのですね?

ヒッター  そうだ。この手の呪文は使った本人しか結果が分からんからな。ガヤンの呪文で真偽を確かめたとしても、そのガヤン呪文に対抗する術を覚えている場合もある。そんな呪文だけで犯人扱いされてはたまらん。

ジェイル  ちょっと待て。何故俺が嘘をつく必要がある。

カイン  そんなことは知らんし興味もないな。分かったら静かにしていてくれ。調査の邪魔だ。

リネール  あなたたちは何の調査をしているのですか?

カイン  当然この事件か事故かの調査だよ。

ダンテス  それだったら私たちに任せて、あなたたちは応接室で待機していて欲しいものですね。

ヒッター  貴様らの調査能力が、わしらのそれより上だとは思えんがな。

ダンテス  そんなことは関係ありません。私たちは副所長権限でこの事件の調査を行っているのです。よってあなたたちは邪魔です。

ヒッター  それを言うならば、わしらは所長の権限でこの研究所内を自由にうろつけるわい。わしらは所長に呼ばれたのだしな。

ダンテス  今は非常時です。副所長が我々に事件解決を依頼した以上、所員はそれに従うべきでしょう。

カイン  ヒッターさんはここの所員じゃないんでね。それに従う必要はないぜ。

ダンテス  しかし・・・。

ヒッター  話にならんな。調査の邪魔だ、とっとと失せるがいい。

リネール  ・・・ガーゼットゾンビの幻覚を作り出して、二人に襲いかからせて見ましょう。

GM  さすがに二人は驚いた顔をするね。そして、カインはカルシファード無刀武術の構えを取る。

リューリック  おお、空手家か。

カイン  おのれ、貴様が噂に聞いた怪物だな。覚悟!

GM  と、カインが蹴りを放つと幻覚は消えるわけだ。

リネール  いい加減つまらない演技は止めてもらえませんかね? こっちはもう分かっているのですよ?

カイン  今のは貴様の仕業か? このような幻覚で俺らを騙して陥れようとしている貴様らのほうが、俺にはこの事件の犯人に思えるがね。

 

 この後、しばらく不毛な言い争いが続きます。この時点でPCは重要な情報を3つほど聞き逃している&《歴史》の魔法の結果を勝手に勘違いしているため、ヒッターとカインが真犯人だと大きな勘違いをしているのです。

 

ディック  しゃあないな。あんさんらの無実が晴れるまで、両手を縛っておく。これでどうや?

リネール  本当に無実ならば、この要求は呑めますよね?

カイン  ふざけるな! 俺らをはめようとしている魂胆が見え見えの連中相手に、そんな真似ができるか!

リューリック  いい加減問答には飽きてきたぞ。もう力ずくでいきませんか?

ディック  (ため息)しゃあないな。なに言っても言い逃れの手段は持っとるようやし。

 

 長時間の問答はなんだったのか。ヒッター&カインはあっさり捕まってしまいます。だって多勢に無勢ですから。

 

第九章【血の舞踏会】

ヒッター  貴様ら! ここから出たら覚えておけ、ガヤン神殿に訴えてやる!

ジェイル  負け犬の遠吠えは見苦しいな。

GM  で、二人を捕まえてどうするね?

リューリック  情報がなくなりましたね。しょうがないので、ロビーのシャッターを破壊しましょう。

ディック  ここまで来て力押しかいな(苦笑)。

ルミノール  しょうがないですね。(シャイニング・サンを構える)

GM  じゃあ、ロビーのシャッターを殴り始めるわけね(これは、PC達はシャッター壊しに夢中で油断するだろうし、手駒も増えるだろうしチャンスかな。)

リューリック  リュードくんで切りつけます。

GM  手ごたえはあるね。時間はかかりそうだが破壊は出来そうだ。もっとも、武器の方が先にイカレる可能性はあるが。

リューリック  少しの間我慢してくれよ、リュードくん。

リュード  この程度で折れるほど俺は柔じゃないぜぃ。

ディック  痛覚過多なインテリジェンスソードってのがあったら嫌やのう(笑)。

GM  (キャラ配置を確認して)すると突然、ルミノール、ダンテス、ジェイルの後ろに人影が現れ襲ってくる!

ディック  後ろ!?

リューリック  いかん! シャッター破壊を中断してそいつらに向かいます!

GM  現れたのは、真っ白いマスクを被ってナイフを持った男、ローブを深く被って鉤状の剣を持った男、さらに、毛布かなんか被ってもぞもぞしている手斧を持った何かだ。

 

 突如現れた謎の怪人たちの初撃は、バックアタックにも関わらず、ジェイルには回避され、ルミノールの鎧は貫けず、ダンテスにはかすり傷しか付けられなかった(泣)

 

リネール  ヒッターとカインの様子は?

GM  こいつらの登場に驚いているように見える。縄を解けと言っているね。

ディック  ここまで来てしらばっくれるつもりか。見上げたもんやで。

GM  じゃあ、戦闘開始だ。

 

 PC側の隊列が乱れていることと、GMのサイコロの目に助けられ、地下の怪人たちと比べるとずいぶん粘る怪人たち。しかし、PCたちが隊列を整えるとジェイルの《怪力》で攻撃力が激増したリューリックの前に怪人は次々と倒されていった。

 

GM  うむ。バックシートの殺人鬼も倒れたところで声がする。

声  汝等は我が問いかけに3度答えた。

リューリック  何のことだ?

リネール  三度? まさか・・・

GM  怪人たちの死体から血が流れ出し、部屋の中央で魔法陣を描き始める。

ディック  なんや? 流れとる血に槍を突き刺すで。

GM  すると、槍を伝って血は君に取り付こうとする。

ディック  慌てて地面から槍を抜くで。

GM  血は槍から滴り落ちて魔法陣に向かう。そして魔方陣の中央から血の滴る触手のようなものが伸びて、近くにいたヒッターとカインの首に突き刺さる。

声  汝等、我が血の祝福を受けよ!

GM  触手から何かが二人に流し込まれると、二人の体が変異を始める。ヒッターは全長2メルー程の腐肉の塊になり、カインは剛毛が全身を覆い、鉤爪と牙が生えてくる。大柄な黒い狼男になったね。

リネール  <悪魔>化しましたか。やはりこいつらが黒幕だったようですね。

ジェイル  奴らの最期の悪あがきは、無駄だったようだな。

GM  (まあそう思っとけ。)さらに魔方陣から無数の血の滴る触手のような物が生えてくる。

ディック  こいつがザーザリオンとかいう<悪魔>かいな?

ジェイル  所長は本の処分に失敗したんだろうな。《倍速》に集中する時間はあるか?

GM  2秒ある。

リューリック  じゃあ、私は今のうちに《筋力》の霊薬を飲んでおきましょう。

GM  魔方陣から何かが完全に出てくる前に、カインとヒッターだったものは襲いかかってくる。

リネール  待て! 私カインの目の前にいるぞ!?

GM  じゃあ、カインはリネールに組み付こう。鋭い牙が君の喉をめがけて噛み付こうとしているから。

リネール  (ころころ)だめだ、組み付かれた。

GM  ヒッターは・・・範囲内にはルミノールだけか。腐肉の塊の中央に巨大な口が出来たかと思うと、絶叫を上げる。意思力で抵抗だ。

ルミノール  抵抗しました。

リューリック  意志ですと? 奴のことは任せました(笑)。

 

 リューリックとディックは、魔法陣から出てくるものと戦うために前進。リネールはカインを振りほどこうとするが、常人並みの体力しか持たない彼では怪力を誇る<悪魔>化したカインを振りほどくのは無理。ダンテスは弩を魔法陣から出てくるものに向ける。ジェイルはリューリックに《盾》を集中。ルミノールはヒッターに攻撃する。

 

ルミノール  (ころころ)命中しました。

GM  うむ。腐肉が飛び散ってるね。しかし、武器が命中した部分の腐肉が収縮し始め、シャイニング・サンを体内に取り込もうとする。引き抜くなら体力判定な。

ルミノール  実は私、ドワーフとしては並みの体力なのですよね。

ジェイル  だったら引き抜くな。押し込んでやれ。

GM  いいけど、「引っ付いて離れない」ではなく「体内に取り込もう」としているんだからね。

ジェイル  頑張って引き抜いてくれ(笑)。次は貴様に《怪力》をかけてやる。

 

 リューリックとディックは魔法陣から上半身を出した敵を攻撃し、ダメージを与える。ルミノールはシャイニング・サンの引き抜きに成功。しかし、ヒッターの絶叫を浴び、朦朧としてしまう。リネールはカインの牙を防ぐため、近接戦闘では邪魔になる盾を捨て全力防御。ジェイルはリューリックに《盾》を飛ばし、次に予告通りルミノールへの《怪力》に集中。

 そして・・・

 

GM  魔方陣からは、全身を血で濡らしたような恐ろしい形相の老婆が現れる。頭には髪の毛の変わりに無数の触手が生えている。足はわずかに宙に浮いているが、ワイヤーは見当たらない。

ディック  引田天功もびっくりやな(笑)。

GM  この<悪魔>は特に喋る気配はない。近くにいるディックとリューリックに触手と鉤爪の計6回攻撃だ。

リューリック  うお! ヤバイ・・・って、私の鎧じゃダメージ通ってない? ひょっとしてこいつ、大したことない?

ディック  ワイはダメージ食らったで。

GM  だったら、触手は君に吸い付いたまま離れなくなる。

ディック  吸血攻撃かぁ・・・ワイ我慢強くないでそういう攻撃に弱いんよなぁ・・・

リューリック  しかし、攻撃力は大したことないみたいですからね。全力攻撃で一気に片付けます!

GM  (あ~あ、この<悪魔>の情報得るチャンス3回のあったのに、ことごとくスルーしたからなぁ。こりゃ2、3人死ぬぞ。)

 

 リューリックは予告通りの全力攻撃で、<悪魔>に大打撃を与える。ディックは自分に吸い付いている触手を引きちぎる。ダンテスは<悪魔>に弩の矢を放つが、《矢返し》の呪文で自らの体にその矢が刺さり転倒。ルミノールは朦朧から回復し、ヒッターを攻撃。再び武器を取り込まれそうになるも、ジェイルの《怪力》が飛び、武器引き剥がしの成功率が格段に上がる。カインはリネールの喉に喰らいつくが、ダメージが振るわずリネールは無事。そして、<血の悪魔>ザーザリオンの行動が回ってくる。

 

GM  リューリックが斬りつけたことによって、多量に流れた<悪魔>の血が結晶の形を取り、物凄い勢いで周囲に放出される!ダメージはまず1D6を振って、それに1を足す。その数値個分の六面ダイスのダメージを受けてくれ。

ディック  うお! なんちゅう威力や。

GM  よけたらダメージ決定のサイコロが一つ減り、盾で止めた場合は盾の防御力分ダメージ決定のサイコロが減る。ただし、魔法効果による防御力上昇分は除く。<悪魔>から3ヘクス離れるごとにもダメージダイスが一個分減少ね。

 <血の悪魔>ザーザリオン必殺の<血弾の暴雨>により、全力攻撃を行い隙だらけのリューリックは、一気に死亡判定が必要なダメージに突入。ミュルーンのディックは体面積が小さいため、他の面々よりは多少負傷が少なくなる可能性はあったが、サイの目が悪く生命力がマイナスに突入。ルミノールも同様に大ダメージ。ジェイルは《瞬間回避》を試みるも、攻撃の効果範囲が広すぎるためほとんど意味がなく負傷する。ダンテスは運良く大した被害はない。リネールは大柄な狼男と化したカインに組み伏せられているため、ほとんどダメージを受けなかった。

 ちなみにサイズのでかいヒッターと、リネールを押さえるために身動き出来ないカインは、どのPCたちよりも大きなダメージを受けた。

 

ジェイル  こんな攻撃、何度も喰らったら全滅するぞ。

リネール  自分のHPも削ってそうな攻撃ですがね。

GM  (切ったことによって流れ出た血って言ったけどな。)

リューリック  何度も撃たれる前に、全力で倒す!

GM  (もうどうにでもなれ。全滅しても俺の責任じゃない。)

 

 《倍速》による2回目の行動は、後の防御を考え通常攻撃を行うリューリック。その前の全力攻撃も、<血弾の暴雨>に恐怖したせいかイマイチダメージが走らない(それは結果的にPCの全滅を防ぐことになったのだが)。ディックは気絶、ルミノールはヒッターを無視し、ザーザリオンに接近する。ジェイルは何とか気絶せずザーザリオンに《凍傷》を使いダメージを与える。リネールは全力防御。ダンテスはやることはないが、とりあえず膝立ちにはなる。

 ヒッターは叫び攻撃の効果範囲内に目標がいないため、鈍い動きで移動。カインはリネールに傷を負わせる。ザーザリオンは<血弾の暴雨>の発動条件が揃わないため、流れた血を散弾のように放つ<血弾の飛沫>でリューリックを攻撃。負傷はさらに増大するも、リューリックは二度目の死亡判定にもなんとか成功する。

 リューリックは前回の行動を繰り返し、ルミノールもザーザリオンを攻撃。第2師団の<悪魔>にもアンデットと同じ効果を持つシャイニング・サンの力も加わり大ダメージを与える。ジェイルとリネールは気絶。ダンテスは起き上がるも、他にすることなし。

 

GM  (計算して)あ、また<血弾の暴雨>を使う条件を満たしたな。

ディック  まずいな。今またこれを喰らったら死んでまう。

リューリック  私もかなりやばい。

リネール  まだカインは組み付いていますよね? だったら私は安全です(笑)。

GM  君たちがどんな状況であろうと、この<悪魔>には関係ない。別にこっちのHPはそれほど削れるわけでもないし。君たちの攻撃によって流れた血を結晶に変え、暴雨のごとく降注がせる! さあ、ダメージは自分で決めるが良い。

 

 この攻撃により、ディック、ルミノール、ジェイルが死亡。ダンテスも気絶ダメージに。リネールは狼男のお陰で今回も大した負傷は無し。リューリックは回避判定にクリティカル。ほとんど無傷で血の雨の中を潜り抜ける。ヒッターとカインは気絶する。

 その後のリューリックの攻撃により、ザーザリオンは消滅する・・・

 

第十章【真相は誰も知らぬまま】

GM  ザーザリオンが消滅すると、アナウンスが流れる。

アナウンス  緊急事態宣言解除。緊急事態宣言解除。

リネール  (気絶したカインをどけて)ハルさんたちを呼んできます。復活の霊薬ぐらい持っているかもしれません。

GM  じゃあ、応接室前だ。扉は開くようになってるね。

リューリック  (地図を見て)応接室はロビーに面していますね。<悪魔>の攻撃で破壊されていませんか?

GM  それは無い。(だってこの研究所にはザーザリオンの根が張り巡らされていたからね。異常に丈夫になってたんだよん。)では、応接室からハルさんその他が出てくる。

ハル  無事でしたか。すごい音が聞こえましたが、何があったのです?

リネール  今回の事件は解決しました。詳しくは後で報告しますが、仲間が3人死んでしまったのです。復活の霊薬がありませんか?

ハル  ありますが一本だけです。

アイ  にゃ~~。あたしが一本持ってるよ~~。

リューリック  何でこんな娘が?

ハル  アイちゃんは霊薬作りの天才なんです。

GM  (当初の目的では、重要な情報を持ったNPCが死んだときのためだったが・・・まあ、仕方ない。)

 

 今になって考えれば、死人の口でもよかったという気はするが。

 

ダンテス  しかし、2本では二人しか生き返られんな。誰を生き返らせるんだ?

一同  ・・・・・・。

リューリック  性格で考えると、ディックさんとルミノールさんですね。

リネール  しかし、ジェイルの呪文も捨てがたい。

ダンテス  しかし、こんな邪悪な奴を蘇らせていいのか?

死亡中ジェイル  邪悪とはなんだ。

ダンテス  もとい、邪悪な外見の奴を生き返らせるのか(笑)。

リネール  ・・・そうだ! ここの所長の研究で、記憶を移し変えてもらうというのはどうでしょう?

リューリック  なるほど! だったら考えることはない。

ダンテス  ディック氏とルミノール氏を生き返らせよう。

GM  じゃあ、ディックとルミノールに飲ませるのね。自動死亡ダメージに達していたわけじゃないから、普通に生き返られる。ただ、さすがに体の調子は悪いだろうね。

ディック  あ~。なんかドタタが迎えに来るような夢を見たのう(笑)。

ルミノール  私にはご先祖様が見えました。

リネール  二人に事情を説明して、地下にジェイルを運びましょう。そして所長にも事情を話し、記憶の移し変えが可能か尋ねます。

所長  「死にたて」ならば、まだ可能かも知れんな。

GM  ジェイル、知力と生命力の判定だ。

ジェイル  両方成功しました。

所長  記憶は何とか保存可能だ。だが、肉体はどうする? 言っておくが、死体ではダメだぞ。後は、肉体と精神の適合率が悪ければ、精神崩壊を起こす可能性がある。

ディック  となると、女性は除外やな。生きている男性で、しかもジェイルはんと気が合いそうな奴は・・・

リネール  カインさんですね。陰険そうですし、ジェイルとは気が合いそうでした。

死亡中ジェイル  おい!

ルミノール  何故<悪魔>信者にさん付け?

リネール  彼は命の恩人ですから(笑)。

GM  じゃあ、カインでいいんだな?

ディック  そやな。それが恐らくベターやろ。

GM  OK。じゃあ、君はカインのデータとジェイルのデータが統合された新しいキャラクターになるから、今から言うようにキャラシートに書き込んでくれ。あ、使い魔のシグレは戦闘終了後まで生きていたが、君が死んだので自然に帰った。

死亡中ジェイル  了解。

ディック  どんな奴になるんか、今から楽しみやな。

リネール  うんうん。

死亡中ジェイル  お前ら楽しんでるだろ!

GM  (事件は一応の解決したけど、こいつらが真犯人を知ることはないだろうな。まあ、真犯人がまた同じ行為を行う状況になる可能性は限りなく低いが。あと、結局ザーザリオンの本体も処分されていない・・・っと。これはこれで後のシナリオに使えそうだな。)

 

小さな謎は永遠に解けぬまま、次回へ続く・・・

*1:魔法の源となるエネルギー。