黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

最終話「おてんば姫と逆転法廷」

ゲームが始まる前に

GM  では、ゲームを始めよう。今回で最終回になる可能性が高いので、よろしく。

ホーリー  最終回か・・・なんとかラブコメに走りたいものじゃのう。

レグルス  今の状態で、どうやってラブコメに走れと?(笑)

カリナ  カップルになりそうなのはスピカとシリウスくらい?

シリウス  いや、ちょっと(笑)

ホーリー  ふっふっふ。わらわを甘く見るでないぞ。かつて夏野氏*1のゲームで、最終話に無理矢理ラブコメを入れてお姫様抱っこしてもらったこともあるのじゃからな!(笑)

GM  まあ、頑張ってくれ(笑) さて、前回君たちは、ゲペルニッチを名乗る声が作り出した魔方陣の中に入ったわけだが・・・

バニング  あ、待ってください。GM。

GM  何?

バニング  いや、前回のゲームから日がたちすぎていて、バニングの人となりを忘れてしまったのですよ。

カリナ  あれだけ濃いキャラで忘れるものなの?(笑)

バニング  いや、ネタっぽいキャラって、意外と忘れやすいものなんですよ。

GM  ほほう。確か君は、ホーリー姫のお付のじいさんで・・・

レグルス  一人称は「あちき」で、語尾は「ありんす」。口癖は「テラワロス

バニング  おお! たしがそうだったでありんすな。テラワロス(笑)

シリウス  さらに、一度死んでゾンビになっていたはず。

バニング  おお! あちきはZG(ゾンビじい)でありんす(笑)

GM  ま、冗談はさておき、キャラクターシート見れば思い出せるだろう。

バニング  いや、それが、キャラシを紛失してしまいまして・・・

一同  ・・・

GM  もういいよ。今から君はZG。「かゆうま」以外しゃべれない。

バニング  ちょ(笑)

GM  それが嫌なら、君は死んだショックで記憶をなくした・・・・・・あれ?

ホーリー  どうしたのじゃGM?

GM  いや、なぜか僕のファイルにバニングのデータが・・・

一同  貴様が犯人かっ!!(笑)

 

 そんなこんながありまして、最終話前の数十分を無駄にして、PLにバニングのキャラクターを思い出してもらいましたとさ。

 

幽霊屋敷とドジな村長

GM  で、バニングは自分を思い出せたかな?

バニング  完璧に思い出しましたぞ!

レグルス  記憶を失っていれば、まともな奴になっていたかもしれないと思うと惜しい気もするな(笑)

ホーリー  同感じゃ(笑)

GM  さて、そんなわけで魔方陣に飛び込んだ君たちだが、いつの間にか大きな洋館の庭にいる。

ホーリー  無事転送できたようじゃな。扉を叩くぞ。がんがん(擬音)

GM  返事がない。ただの扉のようだ。

ホーリー  ふむ? 扉を開けてみるが?

GM  鍵がかかっている。複雑なものなので、無理に開けるには-10くらいのペナがかかりそうな魔法の鍵が。

バニング  さすがに鍵開け11レベルのわしが、それを開けるのは無理ですなー。

シリウス  館の周りを回ってみるけど、入れそうな場所は?

GM  ない。ちなみに、裏庭は墓地になっている。

レグルス  ま、ヴァンパイアの住んでいた館だからな。墓地くらいはあるだろう。

GM  微妙に偏見な気がする(笑)

ホーリー  やっぱり下には、ヴァンパイアが埋まっておるのかのう。

バニング  掘って調べま・・・

ホーリー  てい!(シーリングシューターを撃つ)

バニング  ぬぉぉ! ねばねばじゃー!

ホーリー  余計なことはせんで良い!

シリウス  庭ってことは、塀もあるよね? 表の塀に回ってみるけど?

GM  すると、古い立て看板がかけてある。「ファーレンハイツ家のお屋敷に御用の方は、ふもとの村の村長にお話ください」だそうだ。この館は高台の上に建っていて、下には村らしきものが見えるよ。

ホーリー  無理矢理入ることも無かろう。まずは村へ向かうぞ。

カリナ  さんせーい。

GM  では、徒歩で3分の1刻(30分)ほど。君たちは小さな村へとたどり着いた。

ホーリー  村長の家の場所を聞くのじゃ。聞けたらそこへ行くのじゃ。

GM  (反応判定して「普通」)別段トラブルも無く教えてもらえる。村長さんは白髪交じりで口ひげを生やした、40代の男性だ。

ホーリー  美人の娘は?(笑)

GM  いなけりゃ偽者呼ばわりするつもりだろ(笑) いてもいいよ。

村長  旅の方ですかな? こんな辺鄙な村に、何の御用で?

ホーリー  ゲペルニッチの館に用があるのじゃ。入り方を教えるのじゃ。

村長  ぎくっ!

レグルス  ・・・・・・なんだ、今のあからさまにショックを受けた態度は?

バニング  まさか、鍵を無くしたとか言いませんよなぁ?

村長  ぎくぎくっ!!

シリウス  ・・・図星みたいだね(苦笑)

バニング  ふふふ。さすがはわしの推理力ですな(笑)

レグルス  どうせ当てずっぽうだろ・・・

バニング  わしは「神秘学」も持っておりますからのう。

カリナ  いや、それ関係ないんじゃ・・・

バニング  じじいの神秘の力。略して「神秘学」ですぞ!

ホーリー  嫌な技能じゃな(笑)

GM  話、戻してくれないかな?

ホーリー  そうじゃな(苦笑)

シリウス  それで、村長さん。いつ失くしたとか分かりませんか?

村長  数日前、酒場で飲んだ翌日、失くしていることに気付きました。

レグルス  それ以前に失くした可能性は?

村長  ありません。いつも財布の中に入れていましたので。

カリナ  《方向探知》とか使えないの?

GM  使えたらもう見つけてるよ。それにあの呪文、ユエルじゃ消えてるから、この世界じゃ遺失呪文扱いだ。

カリナ  それもそうか。

ホーリー  仕方が無い。探しに行くのじゃ。

バニング  ふふふ。わしの「発見」技能が役に立つ時が来ましたな。10レベルですが(笑)

村長  実はその鍵、代々の村長が管理してきたものなので、失くしたことがばれると恥ずかしいので村人達には秘密にしています。探すのはいいですが、どうか内密にお願いします。

レグルス  善処しておくよ。さて、どこから探すか。まずは基本に忠実に、酒場に行くかな?

シリウス  いや、落し物探しなら、まずはガヤンじゃないかな? 届けられてるかもしれない。

レグルス  言われて見れば正論だな(笑)

ホーリー  汝、本当にガヤンの高司祭なのか?

バニング  いやいや、まったくですなぁ!

シリウス  大丈夫。兄さんは、深読みしすぎなだけだよ。

レグルス  それ、フォローのつもりか?(苦笑)

ホーリー  また、不信度を上げるとするか。

レグルス  いや、ちょっと待ってくださいよ! これだけのことで上げないで下さい!

ホーリー  そこまで言うなら、仕方が無いのじゃ。しかし70点か・・・かなり溜まったのう。

レグルス  いや、少しぐらい減らしてくださいよ! これだけ姫様に尽くしているのですから!

ホーリー  仕方が無いのう(サイコロ1個振って)4が出たので、不信度4点減じゃ。

一同  (爆笑)

レグルス  ちょっとぉぉぉぉぉぉ! よりにもよって1D6ですかぁぁぁぁ!?

ホーリー  「少し」で良かったのではないか?

レグルス  いや、まあ、そう言いましたけどね・・・

ホーリー  諦めろ。汝がわらわに尽くしておるのは、自分の目的のためであろう。わらわはそれくらいお見通しなのじゃからな。

レグルス  ・・・はい、分かりました。

カリナ  (何か可哀相なものでも見るような目でレグルスを見る)

バニング  (道端に落ちている虫の屍骸でも見るような目でレグルスを見る)

レグルス  見るな! 俺様をそんな目で見るなぁァァァァァァ!!

 

 小さな村にレグルスの心の叫びがこだました・・・

 

ホーリー  よし、まずはガヤン神殿に行くのじゃ。

GM  ・・・・・・。

ホーリー  ん? どうしたGM。

GM  いや、君たちさ、いつも深読みするのに、何で今回に限ってこんな基本中の基本から調べるわけ?

シリウス  何でって言われてもね・・・

バニング  しかし、そういう反応するということは、あるのじゃな?

GM  うん。まあ、神殿というか、交番みたいな小さなガヤンの祠で話を聞けば、鍵の落し物はすぐに見つかった。

ホーリー  ゲットなのじゃ!

GM  そうはいかん!

ガヤン信者 この鍵は、あなたたちの物なのですか?

ホーリー  いや。村長の物なのじゃ。わらわたちは、それを借りるために探しておったのじゃ。

カリナ  姫様、何て正直な・・・

ホーリー  村長が代々管理してきた鍵とは言っておらん。問題なかろう。

バニング  そこまで考えておられるとは、さすが姫様ですな。これがレグルス殿だったら、手に入れるために嘘八百を並べていたことでしょうなぁ!

レグルス  ぐっ・・・

ガヤン信者 そういうことでしたら、まずは村長に返却してその後であなたたちが村長から借りるという形にさせていただきます。あなたたちを信用してないわけではないですが、落し物の返却は本人に渡す必要があるので。

ホーリー  わらわたちを信じられぬというのであれば許せんが、決まり事ならば仕方が無かろう。

レグルス  まったく。これだからガヤンは硬くて困るぜ!

一同  ・・・・・・

レグルス  ・・・いや、だれか突っ込んで欲しかったなー(泣)

 

 その後、無事村長より鍵を借りた一行は、ゲペルニッチの館へと戻ってきた。

 

ホーリー  鍵を開けて入るのじゃ。

GM  玄関は吹き抜けのホールになっている。高級そうな赤い絨毯や大理石の床には、埃1つついていない。

ホーリー  中に入って叫んでみるぞ。誰かおらぬのかー!

女性の声 お待ちしておりました。

GM  と、言う声が後ろから聞こえる。

シリウス  うわ! ビックリした・・・

バニング  ふっふっふ。そこにいるのは分かっておりましたぞ!

GM  とか言いながら後ろを向くと、そこには真っ白い肌と真紅の瞳。漆黒の髪を持ったメイド服の女の子が。

シリウス  えーっと、ソウルハッカーズのメアリー?

GM  言われてみりゃ似てるな。メイドのヴァンパイアなんだが。

メイド  (恭しく礼をしながら)ようこそいらっしゃいました。我が主の血を引く方々。

ホーリー  おお、分かるのか?

メイド  はい。どうぞ、こちらへ。お茶を用意しております。

カリナ  怪しい気がするけど、着いて行って良いと思う?

ホーリー  わらわは気にせず着いていくのじゃ。

バニング  虎穴に入らずんば虎児を得ずじゃな。わしはそうやって虎の尾を踏み続けてきた男ですぞ。

カリナ  だめじゃん(苦笑)

GM  君たちは応接間に案内される。上品な調度品でまとめられた綺麗なところだね。

ホーリー  (紅茶を飲みながら)メアリーよ。わらわたちはご先祖様に頼まれてここまで来たのじゃ。精神イメージを飛ばすマジックアイテムと、<悪魔>封印の壺を貸すのじゃ。

GM  直球でくるか(苦笑)

ホーリー  こやつはゲペルニッチに仕えるものなのじゃし、わらわたちがゲペルニッチの血を引くと知っておる。変に遠まわしに言うよりこの方が良かろう。

GM  ま、確かにそうだけどね。

メイド  しかし・・・

シリウス  何か問題でも?

メイド  いえ、ゲペルニッチ様のコレクションルームに、そのようなアイテムがあるのは知っているのですが・・・

カリナ  散らかっていてどこにあるか分からないとか(笑)

メイド  いいえ。コレクションルームに入るには、この館の主の承認が必要なのです。

シリウス  ゲペルニッチの?

メイド  いえ、ゲペルニッチ様は先代の主になりまして、現在主の座は空いております。権利書に血判を押された方が、新たな主となります。私どもは現在、暫定的にゲペルニッチ様にお仕えさせていただいておりますが、新たな主が誕生されればその方にお仕えさせていただくことになります。

レグルス  その権利書はどこに?

メイド  私がお預かりさせていただいております。私たちがお仕えさせていただくに値する者が現れた時、そのお方にお渡しするようにと言われております。

シリウス  ってことは、ゲペルニッチってもうこの館に戻ってくる気無いってことか?

メイド  恐らくは・・・

シリウス  まあ、今はそんなことは関係ないけど・・・

レグルス  新しい主を探さなければ、目的は達成できないわけか・・・

メイド  あの・・・私どもは、その・・・できることでしたらゲペルニッチ様の血を引かれているお方にお仕えさせていただきたいのですが・・・

ホーリー  つまり、じじいは嫌じゃということじゃな(笑)

メイド  有体に言えば。

バニング  くっちゃくっちゃ(噛みタバコを噛んでいるらしい)

シリウス  ところで、さっきから何度か私“ども”って言ってるけど、メアリーさん以外にも誰かいるの?

GM  いつの間にか名前がメアリーになってるよ(笑)

バニング  名前があったほうが呼びやすいですからな。

GM  んじゃ、これからはメアリーで統一するか。どうせ名前考えてなかったし(笑)

メイド→メアリー  ええ、今でもゲペルニッチ様の忠実なしもべたちが裏庭の墓地に眠っております。あなた方が館に入ってこられたことで新たな主の誕生の期待を高めておられることでしょう。

GM  シリウス。ちょっと知覚判定を。

シリウス  嫌な予感が(ころころ)成功。

GM  うむ。すると、地の底から響いてくるような歓声が聞こえる。

ホーリー  “ような”ではく、地の底から響いてきてるのではないか、それは(苦笑)

レグルス  やばいな。なんか追い詰められた気分だ(苦笑)

シリウス  ところで、そのしもべたちは強いのか?

メアリー  力ずくで館から出られるおつもりでしたら、その心配はございません。私どもは無理強いはいたしませんから。

シリウス  いや、館の主になった場合、その戦力がそのまま味方になるなーって思ったから(笑)

カリナ  ヴァンパイアですよ?

レグルス  スピカの部下のスレイヴたちがいるから、今更少し増えたくらいで(笑)

メアリー  そうですね。実力は様々ですが、最低ランクの者でも、並みのスレイヴヴァンパイアでしたら10対1でもまず負けないでしょう。

シリウス  それって、無茶苦茶強くないか?

メアリー  ほとんどがアークヴァンパイアクラスになりますからね。

GM  ルール的に言うなら、ヴァンパイアテンプレート標準装備の連中だと思いねぇ。個人の不利特徴を考えなければ、最低レベルでも330CP。もちろん、昼間は役に立たないけど。

バニング  その戦力は魅力的ですなぁ。

シリウス  さらに、ゲペルニッチコレクションも使えるわけか。

レグルス  ちなみに、館の主になったとして、なにか制限はあるのか? ヴァンパイアにならなければならないとか。

メアリー  永遠の命を持たれた方であれば私どもも長い時間お仕えさせていただけるので嬉しいのですが、必ずしもそうでないといけないわけではありません。

レグルス  つまり、人間でもいいわけか。

メアリー  ですが・・・

レグルス  何かあるのか?

メアリー  館の主となられるお方は、館に住み込んでいただくことが条件となります。

レグルス  だったら姫さまは却下だな。王城に住んでいただかなければならないのだから。

シリウス  僕がなるのが一番なんじゃないかな? もうすぐ完全なヴァンパイアになるだろうから、寿命もなくなるだろうし。

ホーリー  (シリウスの声を遮って)一度主になって、その後、別の者に権利を譲渡することはできぬのか?

メアリー  できます。しかし、好き勝手に主を決められるような方に権利書をお渡しするわけにはいきません。

ホーリー  ならば問題は解決じゃ。ガヤンの誓いに書いておくぞ。「わらわはゲペルニッチの館の主の座を放棄する際、主に相応しき者にその座を譲渡する。ホーリー・ロジィラ」

レグルス  あ! 俺様の「ガヤンの誓い」がいつの間に(笑)

ホーリー  よし、一旦わらわがこの館の主になる。当面の問題が解決したら、主の座を相応しき誰かに渡す。これで良いじゃろう。

メアリー  そうですね。それでは、この権利書にサインと血判をお願いします。

ホーリー  ホーリー・ロジィラ・・・と。

GM  姫が権利書にサインすると、それまでシリウスにしか聞こえていなかった歓声が、他の面子にも聞こえるほど大きくなる。

シリウス  ロジィラがどんどんヴァンパイアの国になっていく(笑)

GM  そして、メアリーは跪いて言う。

メアリー  改めましてホーリー様。私は、ホーリー様にお仕えさせていただく、メイドのメアリーと申します。

ホーリー  そう硬くならずとも良い。わらわは仮の主なのじゃからな。

メアリー  はい。

ホーリー  では、さっそくじゃが、さっき言ったマジックアイテムを持ってまいるのじゃ。

メアリー  分かりました。しもべの一人に取りに行かせます。

カリナ  他にも、役に立つマジックアイテムはありませんか?

メアリー  あるにはありますが・・・

シリウス  何か問題でも?

カリナ  大体想像つくけど(笑)

メアリー  晩年のゲペルニッチ様は、強力なマジックアイテムには弱点をつけたほうが面白いとおっしゃられていまして、私どもが探すことができる範囲のものはほぼ全てが何らかの弱点を持っているのです。

カリナ  ああ、やっぱり(笑)

バニング  弱点はあっても良いから、むっふむっふなインペイラーはありませんかのぅ?

GM  むっふむっふって(笑)

メアリー  そうですね。突進の際後方へエネルギーを放出することによって、突進の破壊力を増す突撃槍でしたらございます。エネルギーが山吹色の光を放つことでサンライトイエローオーバードライブと言う名がついております。

レグルス  波紋疾走だとぉー!?

メアリー  ちなみに使うには、一度心臓を抉り出す必要があります。

シリウス  えーっと、心臓を取り出したらどうなります?

メアリー  もちろん死にます。例えヴァンパイアでも。

バニング  おお、ZGになれば使えるのですな(笑)

レグルス  つーか、完全な死にアイテムだよなそれ(笑)

メアリー  使われますか?

バニング  いや、さすがに(笑) 代わりに8面にインペイラーが突き出ている鎧とかは・・・

レグルス  ネタも程々にしておかぬと、面白くないぞ。

バニング  むぅ。それもそうですな。では、ダメージ+1くらいのインペイラーとかは。

メアリー  そんなそこそこ便利な武器、ゲペルニッチ様が作られるはずがありません。技能とダメージが+3。ただし、あらゆる成功判定に-2のペナルティがかかるものならありますが。インペイラーに限らず、あらゆるタイプの武器で。

シリウス  いや、もう武器は諦めようよ(笑)

バニング  それがよさそうですなぁ。

ホーリー  では、件の壺と道具だけ借りていくのじゃ。あと、王墓まで戻る手段が欲しいのじゃ。

メアリー  それでしたら、水上をも高速疾走する魔法の馬車がありますからご心配はございません。

 

 一行は、精神イメージを飛ばすマジックアイテム(御札)5枚と壺を受けとり、紅眼の黒い馬が引く高速馬車に乗り王墓へと戻った。・・・たくさんのヴァンパイアたちに見送られて・・・

 

扉の向こう

レグルス  王墓にいく前に、ドーピング系の霊薬とか買いたいんだがね。

シリウス  でも、相手はヒュヒテだよ。奴の能力について、知ってちゃまずいかな?

ホーリー  わらわがペローマの写本で調べるのじゃ。フィー関係を調べていけば、見つかるじゃろう。

GM  良いでしょう。奴の物質透過能力や、能力のコピーのことなんかも分かった。防護点は基本的に無視。自分より相手の体力や敏捷力が高い場合、その相手と同じ能力になることができる。

バニング  迂闊なドーピングは危険ですな。

シリウス  前衛の体力と敏捷力を全員同じにできれば楽なんだけどね。

ホーリー  難しいじゃろうなぁ・・・

カリナ  そうでなくてもヒュヒテは強いのにね。戦闘力だと、フィーより上。

ホーリー  じいには<時戻し>の霊薬を飲んでパワーアップしてもらうつもりじゃからな。それにあわせて強化するのは悪くなかろう。<戦士>や<筋力>、<治癒>、<爆発>は買っておくのじゃ。

GM  霊薬は問題なく買える。

ホーリー  うむ。ならば王墓へ行くのじゃ。

GM  んでは、王墓。

ホーリー  道具は持ってきたぞ、ご先祖様。

ゲペルニッチ  おお、早かったな。準備ができたらその札を頭に貼って私に言ってくれたまえ。そうすれば、フィーのいる空間の月光蝶を追い払い、戦えるスペースを作り君たちをそこへ導こう。

バニング  では、霊薬を飲みますぞ。

GM  では、<時戻し>の霊薬を飲んだバニングは、白髪だらけだった髪は黒くなり、皴は消え力がみなぎってくる。具体的には、体力、敏捷力、生命力が+3される。

バニング  ふっふっふ。顔もハンサムになりましたぞ。

GM  いや、それはない。脳が活性化されるわけじゃないから、性格もそのまま。

ホーリー  強くなったのなら、それで良いのじゃ。というか、頭のいいじいなど見たくはないわい(笑)

 

 カリナとシリウスも<戦士><筋力>の霊薬を飲みドーピングする。

 

ホーリー  準備も終わったぞ、ご先祖様。

ゲペルニッチ  よし。ならば、これから君たちをフィーの元へ送る。精神イメージとは言え、精神が死んでしまっては肉体にも多大な後遺症が残る。気をつけろよ。

レグルス  その前に壺の使い方教えてください。

ホーリー  おお、忘れるところじゃった(笑)

ゲペルニッチ  そうだったな(笑) その壺の蓋を開け、目標に向ければ良い。

レグルス  意外と簡単なんだな。

ゲペルニッチ  ただし、射線上に別の悪魔がいる場合、そいつを封印してしまうから注意するのだ。それと、今のフィーが相手ではその壺程度の封印であれば簡単に外してしまうだろう。ある程度弱らせて使わねばならない。弱れば何らかの行動を起こすはずだから、そこを狙え。

シリウス  つまり、最初は戦えってことだね。

ゲペルニッチ  そういうことだ。最初からそのつもりだったはずだろ?

ホーリー  その通りじゃ。

ゲペルニッチ  シリウス君。

シリウス  何ですか?

ゲペルニッチ  恐らく、奴との戦いでは君の力が勝利の鍵となるだろう。上品な手段でなんとかなる相手ではないことを覚えておくのだ。

シリウス  うーん・・・

ゲペルニッチ  では、送るぞ。横になって目を閉じると良い。

ホーリー  そのようにするのじゃ。

GM  では、君たちが目を開いたら、青い光に包まれたドームの中にいる。

シリウス  ここが、月光蝶の中?

ホーリー  フィーはどこにおるのじゃ?

GM  君たち5人の目の前に、流れるような黒い髪と瞳のグラマラスな美女がいる。その手には漆黒の剣が握られている。

カリナ  猫耳は?

GM  生えてない。もともと、かつてのフィーの猫耳は、魂の器が持ってただけだし(と言いつつヘクスマップ上にフィギュアを置く)

一同  でかっ!(注:通常ヘクスマス上のフィギュアは100円のソフビ人形を使うが、フィーは500円のものを使っている。)

レグルス  これは、存在力の大きさによる目の錯覚か? 遠近法か? それとも本当にでかいのか?

GM  正解は一番目だね。

ホーリー  汝が、フィーじゃな?

フィー  そうよぉ。こぉんなところまで来るなんて、あなたたちはだぁれぇ?

ホーリー  わらわは、ロジィラ国第1王女、ホーリー・ロジィラじゃ!

フィー  ロジィラ国? 聞いたことないわねぇ。私がここにいる間に、新しくできた国かしらぁ? 早くここを出て、世界がどうなったか知りたいわぁ。

レグルス  世界を滅ぼすつもりの奴が、何を言う!

フィー  あらぁ? 私は別に世界を滅ぼす気は無いわよぉ。

カリナ  そうなの?

フィー  私はここから出たいだけぇ。その時に月光蝶も外に出て大変なことになるだろうけど、私の知ったことじゃないわぁ。

レグルス  話にならんな。

バニング  やはり、倒すしかありませんな。

フィー  私をぉ? 倒すぅ? 止めといたほうが良いわよぉ。

GM  フィーが両手を広げると、足元の影が広がり2m近い4匹の狼の形を取って立ち上がる。

フィー  まあ、来るって言うのなら、拒まないけどねぇ。

GM  では、戦闘ターンと行きましょうか。

バニング  ・・・しかし、ゲームが始まってから2時間・・・朝早くから集まったことを考えると、こいつ、さてはラスボスではありませんな。

GM  さてね。何段階にも変化して異常にタフで、倒すのに平気で何時間もかかるだけかも知れんよ?

レグルス  下手な邪推はいいから、奴を倒すぞ。

 

第1ターン

 

GM  では、基本反応速度が一番高い影狼から動かさせていただきますか。

バニング  むぅ。パワーアップしたわしよりも速いのですかな?

GM  あ、そうか。バニングが先だ。

バニング  ならば、インペイラーチャージの準備をしますぞ。

 

 突進準備のために前に出たバニングに、4匹の影狼は躍りかかる。体力的に勝るバニングだが、4匹全員の体当たりにはさすがに耐えられず転倒してしまう。

 シリウスは影狼の相手はバニングに任せ、フィーに近づくために移動。カリナは影狼を切り裂いてダメージを与える。

 ホーリーは《酸球》を精製し、レグルスは影狼は光に弱いと踏み、《閃光》の準備に入る。

 その間、フィーは剣を弄んでいるだけだった。

 

第2ターン

 サブウェポンを全く持っていないため、近接されてしまっては何もできないバニングは何とか影狼の1匹を引き剥がすことに成功。

 影狼のうち3匹はバニングを攻撃。しかし、出目が走らずかすり傷を与えるに留まる。1匹はカリナに攻撃を仕掛けるが、虎切り包丁で「受け」られてしまう。

 シリウスはフィーにシールドチャージを仕掛けるも、《瞬間回避》でかわされる。

 

フィー  いきなり近づいてくるなんて、度胸あるわねぇ。もっと護衛を増やしたほうが良いみたぁい。

GM  そう言って手を振ると、彼女を囲むようにさらに4匹の影狼が出現する。

シリウス  げっ!?

レグルス  まさか、ボスを倒さなきゃならない無限再生パターンか?

 

その後、カリナの攻撃と、ホーリーの≪酸球≫、レグルスの≪閃光≫により、最初に召喚された4匹の内2匹の影狼は消滅する。

 

第3ターン 

 バニングは膝立ちになり、シリウスは2度目に召喚された影狼にまとわり付かれ身動きが取れなくなる。カリナの攻撃で、最初に召喚された影狼のもう1匹が倒され、ホーリーは再び≪酸球≫を、レグルスは≪閃光≫の集中に入る。

 

フィー  あらら。もう3匹も倒しちゃったのぉ? 結構やるわねぇ、あなたたちぃ。

カリナ  また増えるの!?

フィー  まさかぁ。そんなにポコポコ召喚するなんて、面白みにかけるじゃなぁい。

レグルス  打ち止めか? それとも、遊んでるだけか?

ホーリー  どうも、後者っぽい気がするのぅ(苦笑)

 

第4ターン

 立ち上がりつつ攻撃したバニングは、ようやく影狼の1匹を倒すことに成功する。

 

フィー  第1波は全滅かぁ。じゃあ、第3波行きますよぉ。

GM  6体の影狼が、整列して出現する。

バニング  ちょ(笑)

レグルス  ・・・《神聖加護》の使用も、視野に入れといたほうがよさそうだな・・・

シリウス  ・・・・・・

 

 4匹の影狼に囲まれてしまったシリウスは、さすがに【石弾】を集中する余裕もないため、メイスの柄で影狼を殴ることしかできない。

 カリナは第3波から姫を守る位置に移動。ホーリーは【酸球】を構え待機、レグルスは【閃光】の集中待機を宣言。影狼たちが射程内に入ってきた瞬間に放つつもりだ。

 

完全に守りの体勢に入った第5ターン

 

6匹の影狼がバニングとカリナに躍りかかろうとした瞬間、レグルスの【閃光】が炸裂! しかし、一撃で消滅させるには至らず、待機していたバニングとカリナ、ホーリーの攻撃により、2匹が消滅する。

 

フィー  悪くないコンビネーションねぇ。じゃあ、それを崩してあげるわぁ。

GM  姫とレグルスの後方に、4匹の影狼が現れる。

ホーリー  いかん! 強すぎるというか、こいつ、卑怯すぎるのじゃ!

GM  第3師団の大悪魔相手に、何を今更。

レグルス  次のターン、何とか俺の番まで耐えてくれよ自分! じじぃ! 俺様を援護しろ!

バニング  分かりましたぞ。

 

第6ターン

 

 なにやら策ありのレグルスと姫を必死に守るバニングとカリナ。少し離れた位置で、シリウスが大きなダメージを受けながらも影狼1匹を倒していたりしたが、まるで目立っていない。

 2人に守られ、なんとかレグルスの行動ターンが回ってきた。

 

レグルス  (両手を掲げて)ガヤン様! 俺様に力を貸せ! 《神聖加護》*2!!!

ホーリー  神相手にもその口調か(笑)

GM  レグルスの頭の中に声が響く。

声  我が信徒よ。その地は我が力が及び辛き場所。力を行使するのであれば、通常の倍の負担がかかるであろう。

レグルス  え? そうなの? ちなみに、この地を影が映らないくらい強い光で包み続けて欲しいというのはどれくらい?

声  本来ならば-5CP分で可能だろうが、その地では-10CPだ。

レグルス  結構きついな・・・一瞬だけ照らすというのはどうでしょう?

シリウス  徐々に腰が低くなってってるね、兄さん(苦笑)

声  その願いならば、-2CP程度だな。

レグルス  じゃあ、1瞬だけ照らすということで。視覚判定にペナルティ受けることにしておくよ。

GM  (ほう。この状況で出し惜しみするわけね。ま、良いけどね、別に。)では、一瞬周囲がまばゆいが暖かい光に包まれたかと思うと、影狼たちは消滅している。

レグルス  よし、今のうちにフィーを・・・

フィー  (言葉を遮って)じゃあ、次は私の行動ねぇ。《神聖加護》とは思い切ったことしたわねぇ。でもぉ、戦術がまるでなってないわぁ。

レグルス  え? このターン、動いてませんでしたっけ、フィー?

GM  うん。

フィー  じゃあ、ちょっとだけ絶望感じてもらおうかしらぁ。

GM  とりあえず、12匹ほど召喚いたしますか。(フィギュアを並べていく)

シリウス  ・・・なんか、一匹だけ可愛いフィギュアが混ざってるね。

GM  黒いフィギュアがもうキュアブラックしか無くてね(笑)

カリナ  もう1回使えないの、今の呪文。

レグルス  あの呪文、1度使うとその時に払った-CP分を払い戻さないと、もう使えないんだ。

ホーリー  言ってやるな。所詮はレグルスじゃ。-10分で行くように強く勧めんかったわらわたちにも責任はあるしな。それより今は、この状況を何とかする手段を考えねばのう。

レグルス  (わざとらしく)くっ・・・闇や影を吸収して力に変えてしまうような能力があれば!

シリウス  暗に使えって言ってるね、兄さん(苦笑)

レグルス  ふぁっつ? ワタシオトウトガソンナチカラモッテルッテシリマセーン。あくまでPCの希望を込めたセリフだ!

シリウス  ええい、黙れ!(笑)

 

第7ターン

 

 一行は12匹の影狼の猛攻を、何とか耐え抜いた。

 そして・・・

 

シリウス  「潜在能力解放」。使いたくなかったけど、ゲペルニッチの言うとおり、上品な戦い方で勝てる相手じゃない!!

GM  OK。君が内なる吸血鬼の力を目覚めさせると、影狼たちは君の周囲を渦巻く黒い竜巻に吸い込まれていく。

フィー  な・・・何!?

GM  能力の上昇は前回と同じ。横になると2ヘクスを締める12匹分の影狼を吸収して、君の防護点は24点になった。「潜在能力解放」の効果も決めてくれ。

シリウス  生命力が+2されて・・・だぁぁ!? 4ターンしか変身が持たない

レグルス  何やってんだ弟ー!

シリウス  賽の目だから仕方がないよ(苦笑) 姫様や兄さんからこの姿のことを聞かれる前に、フィーを潰スッ! めいすト闇ノ刃デ、ふぃーヲ攻撃!

フィー  ちぃっ! なんだこいつは!?

GM  1回目は《瞬間回避》。でも、2撃目の闇の刃は回避失敗。

シリウス  ダメージは(ころころ)11点!

 

 さらにヴァンパイアシリウスは、フィーの喉元に喰らいつき、血(この場合は生命エネルギーそのもの)を啜り・・・いや、貪り始める。

 

シリウス  サラニ! 体ヲ掴ンデイル手ノ先カラ闇ノ刃出シ入レシテ切リ刻ム!!

フィー  ぎあああああああああ!!!

ホーリー  レグルス。あれは、シリウスなのか? (PLの素に戻って)と、驚いておくのが礼儀というものじゃな。

レグルス  多分・・・あれが、ヴァンパイアの力を解放した弟の姿なんだろう。 (PLの素に戻って)と、それっぽいことでも言っておこうか。

シリウス  あのねぇ(苦笑)

GM  (次のターンから、吸血で毎ターン40点。刃でだいたい30点。今の不完全なこいつじゃ2ターンで死ねるな。ふだが・・・)

 

第8ターン

 

 シリウスの豹変に(一応)驚きつつも、バニングとカリナもフィーに攻撃するため(回復呪文がとぶのを待ってから)移動。しかし、少し距離があったため攻撃射程には捕らえられない。

 シリウスは、吸血と闇の刃による攻撃を繰り返す。

 

フィー  まさか、こんな力があったなんて・・・。さ・・・さすがに不完全なままじゃ分が悪いか・・・

GM  次の瞬間。フィーの形が崩れていく。そして、崩れたフィーは右手の黒い剣に集まる。

シリウス  剣にメイスで攻撃!

GM  おっと、それは《瞬間回避》でよける。そして、少し上空に剣だけが浮いている状態で出現する。

フィー=ヒュヒテ あの不完全な体よりも、ヒュヒテのほうがよっぽど強い力を出せるわぁ。そこのお兄さんの力も覚えたし、さあ、覚悟はいいかしらぁ?

シリウス  (指を突きつけて)覚悟スルノハ貴様ノホウダ!!

 

第9ターン

 

 さすがに剣に血はないため、メイスと闇の刃で攻撃を繰り出すシリウス。ほとんどが金属の触手のような飾りに弾かれるが、メイスの一撃を命中させ大きなダメージを与える。

 バニング、カリナともに接近して攻撃するも、どちらの攻撃も触手に「受け」られる。

 

GM  シリウスに攻撃してもよけられそうだよなぁ。ここは周りから潰していくか。ヒュヒテは大きく振りかぶられたかと思うと、バニングに向かって振り下ろされる。

バニング  な・・・何故わしに!? なんとか「受け」ましたぞ。

GM  あ、そう。だったら、受けたと思ったインペイラーをすり抜けて、体を切り裂いた。出目は並。防護点無視で35点の「切り」ダメージね。

バニング  洒落にならねー! じぃは・・・じぃは死んでしまいますぞー! ・・・ふう、死亡判定は成功ですぞ。

ホーリー  (PLの素に戻って)なんじゃ。先輩たちが騒ぐから、どれほどの奴かと思っておったが、思ったより大したことないんじゃのう。

シリウス  (PLの素に戻って)今ののどこが大したこと無いと?

ホーリー  いや、先輩達が強い強いって騒いでたから、当たると一撃で消滅するくらいの攻撃持ってると思ってたんだけど。

カリナ  (同じく素に戻って)いや、修正して48点って、大抵即死するって。

バニング  10年前のわしでなければ、死んでおりましたぞー!

ホーリー  しかし、そこまで騒ぐほどの強さかのぅ?

GM  というか、「普通に戦って勝てるようにデザインされていない敵」と「戦って勝てるレベルの敵」の差はあるな。ヒュヒテ数値上は後者だし。それはともかく、6本の金属の触手が君ら全員を攻撃するぞ。軌道が変則なんで、回避には-4。「受け」や「止め」は無駄。ダメージは一括でいいや。刺しの6点ね。調子に乗ってるから、重要器官は狙わないでおいてやろう。

 

 この攻撃でシリウス以外、全員かなりのダメージを負う。バニングは更なる死亡判定を行うが、なんとか生きていた。

 

第10ターン

 

 バニングは気絶。シリウス、カリナの攻撃はほとんど当たらず、シリウスは変身が解けてしまう。

 

GM  (それにしても、意外とみんな気づかないものだな)さーて、次は大上段切りをカリナに浴びせさせてあげましょうか。

カリナ  こ・・・後退してなんとか回避―!

GM  さらに、触手による広域攻撃ー。

シリウス  だめだ。当たった!

カリナ  こっちはよけれたよー(半泣)

ホーリー  し・・・死亡判定なのじゃ・・・何とか成功したが・・・こいつに弱点はないのか!? たしか、ペローマの写本で調べたはずじゃぞ!

GM  一応、電撃攻撃は防護点無視の3倍ダメージになって、高確率で朦朧状態になる。

レグルス  誰か、《電光》使えなかったか?

ホーリー  ララリエなら使えるのじゃ!

GM  そういや、今回仲間の出現判定やってなかったな。ただ、今出るのは都合よすぎるんで6以下が出れば登場としようか。

ホーリー  ていっ! 1ゾロなのじゃ!

GM  ほほう。ならば、気絶したじじいがいた場所にララリエが登場しようではないか。

ララリエ  じいさんが痙攣してたから札を外して自分につけてみたけど、大変なことになってるみたいだね。

ホーリー  ララリエ、汝はわらわたちの救世主じゃ! 彼奴に《電光》で攻撃を!

ララリエ  わかったよ、ホーリー

 

 とカッコよく言ってはみたものの、遮蔽物も一切ない位置で呪文の集中に入り、しかも誰もカバーしてくれなかったララリエは、ヒュヒテの攻撃で次のターン死亡判定に突入。命は助かったものの、その後あっさり気絶する。

 

ララリエ  ごめんよホーリー。役に立てなかった(気絶)

ホーリー  ララリエー!!

シリウス  こいつ、前より強くなってないか?

GM  強くなってるよ(あっさり)

レグルス  (突然早口で)ゲペルニッチさん札とってー!

GM  なるほど。考えたな。

 

 レグルスが叫んだ次のターン。一行は王墓の前で目を覚ました。

 

ホーリー  助かったのじゃー・・・

GM  えーっと、誰か死亡した人いたっけ?

レグルス  全員死亡判定したけど、奇跡的にみんな生きてるよ。瀕死にもなってない。

ゲペルニッチ  精神イメージでよかったな。ヒュヒテによって肉体が傷つけられると、20レベル相当の呪いを《呪い除去》で打ち破った後でないと何をやっても癒せない。大抵の者はかすり傷でも出血し続け、いずれ死に至る。

シリウス  そういや、そんな能力もあったっけ。

ホーリー  うーむ。あんな奴をどうやって倒せばよいのか・・・

ゲペルニッチ  倒すというか、奴は己が危なくなったからヒュヒテに移ったのだろう? 何故壺を使わなかったのだ?

レグルス  しまった、すっかり忘れていた(苦笑)

カリナ  じゃあ、私が一番ダメージ少ないから行ってきまーす。

ホーリー  任せたぞ。その前に念のため《大治癒》を何度かかけておくのじゃ。レグルス。かけておけ。

レグルス  (心の中で)あんたも高司祭なんだから、《大治癒》くらい覚えておけよ・・・

ホーリー  何か言ったか?

レグルス  (にっこり笑って)いいえ、何も言っていませんよー。じゃ、《大治癒》2回。

カリナ  いつでも蓋を開けられるように壺をもって、お札をつけます。5秒したら札を取ってください。

ホーリー  任せるのじゃ。

GM  (ほう。ヒュヒテより行動順が遅い奴が一人で行くわけね。こりゃ100%死・・・あ、いや待てよ・・・壺に封印されれば、外に出られるじゃん? 別にフィーの目的は、月光蝶による世界破壊じゃないわけだし、むしろ破壊されると面白くないと思うタイプだし、壺の封印の効力は知ってるわけだし、外から扉を封印される可能性を考えると・・・・・・よし)じゃあ、さっきと同じ青い光を放つドーム。中央にフィー=ヒュヒテが浮いている。その隣には、そこいらへん彷徨っていた消化完了前の魂集めて作っているフィーの新しい体があったりする。

カリナ  剣に向けて、壺を向けます。

フィー=ヒュヒテ あらぁ、また来たのぉ? ・・・って、その壺はまぁさぁかあぁぁぁ!?

GM  一瞬抵抗感じたけど、剣から何かが抜け出して壺に吸収される。

カリナ  蓋を閉めます。

GM  すると、フィーの新しい体を形作っていた魂たちが暴走を始める。もちろん、カリナにも襲い掛かってくるよ。

カリナ  げ?

GM  札を剥がすのは5ターン後だったよね。封印に1ターンかかったとして、意志力判定-2で4回ね。失敗度が多いと、悪霊の類に乗っ取られるから。

 

 この判定をかろうじて乗り切ったカリナは、フィーが封印された壺を抱えて目を覚ました。

 

カリナ  助かったぁ・・・

ホーリー  うむ。ご苦労じゃった。

ゲペルニッチ  奴にしては妙にあっさり捕まった気がするが・・・まあ、長いブランクでもあったのだろうな。うん。

シリウス  何か嫌なこと言ってるぞ(苦笑)

ゲペルニッチ  まあ、何か企んでいたとしても、奴は弱っている上封印の壺の中。そう簡単には出られまい。

ホーリー  ともかく、これで、なんとか世界の危機は回避できたわけじゃな。

ララリエ  世界の危機も大変なことだけどね。

ホーリー  おお、ララリエ。そういえば汝は何故ここに来たのじゃ?

ララリエ  スーリークの奴が、正当王位継承権第1位を主張して、王城に立て篭もったよ。

一同  またかー!!

 

一難さってまた一難

ホーリー  まったく。懲りぬ奴じゃな。

レグルス  しかし、あのしたぶくれの強そうな奴が大それた行動に出たって事は、バックに何かいるんじゃないか?

ララリエ  僕が知っていることは、なんでもシャストア大臣が先王・・・ホーリーのお父さんの遺書を見つけたとか言っているらしいよ。

シリウス  よりにもよってシャストアかよ(苦笑)

レグルス  この世でもっとも信頼置けない信仰だな(苦笑)

バニング  おや? おかしいですな。

カリナ  何が?

バニング  シャストア大臣は、姫様の王位継承に対しては中立だったはずですぞ。

シリウス  そういえば、そんな設定を第1回のとき聞いた気がするね。いきなり半分死んだから、ほとんど意味がなかった気がするけど(苦笑)

レグルス  馬鹿だなじじい。中立ってのは、「自分にとって有利な側にいつでも付ける位置」ってことだぜ。

ホーリー  汝のようにな。

レグルス  何をおっしゃいますか姫様。私は姫様一筋でございますよ。

ホーリー  じとー。

レグルス  ぐ・・・

カリナ  もはや信頼度0だね(笑)

ホーリー  レグルスが何を考えているかは置いといて、シャストア大臣の持ってきたお父様の遺書なんぞ偽物に決まっておる。さっさと王城に戻って、それを証明するのじゃ。

ゲペルニッチ  そちらはそちらで大変なことになっているようだね。どれ。フィーを追い出してくれたせめてもの礼だ。君たちの傷と疲労は完全に回復させておこう。

ホーリー  うむ。礼を言うのじゃ。

 

 ゲペルニッチに別れを告げた一行は、王墓を後にし、再び王城へと向かった。

 

GM  では王城。別にまだスーリークが正式に王になったわけじゃないから、姫とそのお付である君たちは城の中に入れる。

ホーリー  急いで王の間へ向かうのじゃ!

GM  王の間の玉座にはスーリークが座っており、その脇に親衛隊やにやけているシャストア大臣アスタル、それに、苦い表情をしたガヤン大臣ジャミスがいる。あ、親衛隊の中にスピカも混ざってるね。

シリウス  何!?

レグルス  スピカに怪しいところは?

GM  目の焦点が定まってなくて、顔に表情がないけど、それ以外は元気なスーパーヴァンパイア。どこも怪しくない。

一同  十分怪しいわ!

シリウス  くそ。何らかの手段で操られてるとみるべきか・・・とすると、今こいつらを相手にガチっても、まず勝ち目は無いか・・・

GM  ま、それはともかく、シャストア大臣アスタルがしゃべりだすよ。

シャストア大臣→アスタル ほーっほっほ。ようやく戻ってきたようね、姫様。

一同  ・・・・・・

シリウス  えっと、シャストア大臣て、女性?

GM  うんにゃ。男。

ホーリー  ・・・わらわの国は、こんなオカマを大臣にしておったのか・・・

GM  (確かに・・・)今まではこんな口調でしゃべっていたところを見たことがないけどね。権力を手に入れた時点で、本性を表したんだ(と、いうことにしておこう。) ちなみに、長い髪を真っ赤に染めて濃い化粧をしている。

レグルス  小悪党のやりそうなことだよ。

ホーリー  スーリーク! 貴様、性懲りもなく!

スーリーク  あれぇ? おかしいなあ。僕は、先王に正式に新たな王と認められた男だよ? 前回の父上が勝手に言っていたこととはワケが違う。

アスタル  そうそう。これが、証拠の先王の遺書よ。

ホーリー  奪い取って読んでみるのじゃ!

GM  確かに、君の父親の字で新たな王はジェスタ大臣エスタールの息子、スーリークを任命すると書いてあるね。

バニング  くっちゃくっちゃと噛みタバコを噛みながら、グラサンつけてシャストア大臣の顔を覗きこんで、偽物なんだろぅ? と言ってやりますぞ。

アスタル  不敬罪だ。この場で首を切れ。

バニング  なんと!?

ホーリー  待て待て。ここは100叩きくらいにしておくのじゃ。

アスタル  仕方がないわね。考えてみればこのじじい、フローレンス将軍の旦那さんだったしね。近衛兵、こいつを連れて行って100たたきの刑にしろ。あと、以後城内に入ることを禁じておけ。

近衛兵A&B  は!

バニング  (両脇を押さえられながら)わしが一体何をしたー!

GM  (反省の色がないな。殺しても良かったかも。)

ホーリー  GM、この遺書は本当に父上の字なのか?

GM  そう見える。ガヤン大臣ジャミスも、筆跡鑑定の結果9割の確率で先王の筆跡だと。もちろん、印もロジィラ王家のものだ。

レグルス  筆跡はトレースという技術もある。それに、王城があれだけ混乱していたんだ。王の部屋に忍び込んで印を探すことも難しくないだろう。本物とは言い切れんな。

ホーリー  こんなものが本物のわけがないのじゃ!

レグルス  でも、それを証明する手段もない。

ホーリー  むぅぅ・・・そうじゃ! GM、この遺書が書かれたのはいつごろなのじゃ? たしか父上は急死したはずじゃから、死ぬ直前に書いたということはないはずなのじゃ。

GM  日付は1年半ほど前になってるね。

ホーリー  よし、ならばこの遺書がそれより後に書いたものであるとわかれば、偽物じゃと証明できるわけじゃな。

シリウス  なるほど。<時戻し>の霊薬か。

ホーリー  うむ。霊薬を取り出すのじゃ。みなの者! この霊薬は<時戻し>の霊薬といって、煙の範囲内の時間を1年戻すものなのじゃ。これを今からこの偽物の遺書にふりかけ・・・

アスタル  (遺書を奪い取って)おっと、そうはいかないわよ姫様。その霊薬が本当に時間を戻すかどうか分かったものじゃないからね。インクを消されたり、燃やされたりしたらたまったものじゃないわ。

レグルス  でしたら、手近の花瓶でも割りましょう。さあ、姫様、割れた花瓶に霊薬を。

ホーリー  でかしたぞレグルス。

GM  霊薬をたらされた花瓶は、元に戻る。周囲は一瞬驚きに沸くが・・・

アスタル  なるほど。<修理>の霊薬かしら? それを遺書にかけて、文字でも消そうっていう魂胆なんでしょう?

GM  (サイコロを振って)アスタルの言葉で、周囲はなんだ、そうかーとかいう雰囲気になる。

レグルス  ちっ。さすがシャストア。口が上手いな。

シリウス  姫様。ここは一旦退きましょう。作戦を考える必要があると思います。

ホーリー  ぐぬぬ・・・(指を突きつけて)覚えておれよアスタル! スーリーク! その遺書が偽物であると、必ず証明してやるからな!

カリナ  姫様、なんて古典的な負け惜しみを(笑)

ホーリー  うむ。言ってて気持ちがよかったのじゃ(笑)

アスタル  負け犬の遠吠えねー。

ホーリー  行くぞ、シリウス、レグルス、カリナ。

スーリーク  あ、そうそう。サリシオン家の人たち。

シリウス  (微妙にドスを効かせて)何だ?

スーリーク  君たちの妹は、僕が王位についた暁には妃に迎えることに決めたんだ。そんな小娘についていくよりも、こっちについてきた方が王妃の家族として将来を約束できると思うんだけどなー。

GM  そういって、スーリークはスピカの細い腰を抱く。

シリウス  貴様ぁ!!(メイスに手をかける)

レグルス  今は止めろ弟! さっきお前も言っただろう。戦っては俺たちじゃ勝てないって。

シリウス  くっ・・・

レグルス  スーリークに「考えておきます」と言って、王の間を出る。お前も来い、シリウス

シリウス  (歯軋りをしながら)・・・ああ。

GM  そのタイミングで、霊薬の効果は切れ、壺は再び割れる。

レグルス  ・・・これで、あの霊薬が本当に時を戻すかどうかはともかく何らかの効果があるものだと印象付けられたか・・・

 

 王城を後にした一行は、サリシオン宅に集まった。

 

GM  バニングも参加していいよ。

バニング  ひどい目にあってしまいましたな。

ホーリー  自業自得なのじゃ。

GM  現在君はHP-2。「痛みに強い」の特徴が消されている状態。回復させても丸2日は特徴は戻らないよ。

レグルス  これで、ますます力押しはできなくなったな(苦笑)

シリウス  スピカの洗脳が解ければ良いんだけどね・・・

カリナ  これから、どうします?

ホーリー  あの遺書をなんとしてでも偽物だと証明するのじゃ。

レグルス GM。生前、王が遺書を書いていたような素振りを見せた事はあったか?

GM 思い当たる限りでは無い。亡くなる直前まで、ホーリーに対して「お前は次の国王なのだから」といい続けてた。

ホーリー だからあれは、誰が何と言おうと、偽の遺書なのじゃ!

レグルス  ちなみに、もし本物ならば偽物であることにしてしまえば良い。

GM  証拠の捏造、でっち上げってやつだな(笑)

バニング  それでしたらよい手がありますぞ。遺書というものは更新が新しい方が優先されますからな。こちらも偽の遺書を用意して、顧問弁護士に新しい遺書があると証言させて・・・って、なんでこんなファンタジー世界で現行の日本の法律が施工されとるんじゃー!(笑)

GM  むしろ、中世ヨーロッパ風のライトファンタジーで、実際に中世ヨーロッパの法律が使われている世界の方が珍しいと思うぞ。価値観や規律はデザイナーやプレイヤーたちが住む国のものに近いものが多いと思うが。

バニング  なるほど。納得ですな。

GM  なんと言っても、それが一番楽だし分かりやすいしね。日本でクラシックファンタジーがライトファンタジーに席巻されるのも仕方の無いことだよ。

ホーリー  じぃが言っておるのも1つの手じゃな。で、父上の顧問弁護士はおるのかの?

GM  ヴァンパイア騒動のごたごたの中で、死んだことになっている。まあ、要するに行方不明。

シリウス  手遅れか。

レグルス  手回しの良い連中だぜ。

バニング  世論を味方につけるとかは出来ませんかのぅ。姫様の味方になってくれる国民がたくさんおれば良いのじゃが・・・

ホーリー  今日は妙に頭がさえておるな、じぃ。

バニング  叩かれていろんなものに目覚めたのですぞ。

シリウス  相変わらず嫌なじいさんだ(苦笑)

GM  で、世論のことだったよね。姫様、ご自分の性格をどうぞ。

ホーリー  うむ。「高慢」で「自己中心的」じゃ!(威張り)

レグルス  ダメだなこりゃ(苦笑)

GM  まあ、ぶっちゃけた話国民の多くは良い政治をしてくれれば誰が王になってもよいとか思ってるだろうし。この国じゃ選挙制はないしね。

バニング  うーむ。世論を動かすのは難しそうですな・・・

シリウス  ・・・そうだ、明日、スピカに会っておきたいのですけれど、姫様、<時戻し>の霊薬の煙の方を1本いただけませんか?

ホーリー  良いじゃろう。時間が戻れば一時的とは言え洗脳が解けるやも知れんからな。

レグルス  ふむ・・・

ホーリー  どうしたのじゃ?

レグルス  1つ案が浮かんだ。ガヤン大臣あたりに、盗聴マイクみたいなマジックアイテムがないか聞いてみよう。

GM  ガヤン大臣は君たちのことが心配になって、後から家にやってくるつもりだったから、今登場させるか。そういうアイテムはあるってさ。1分ごとに2点疲労するけど。

レグルス  だったら、それを貸してくれ。あと、疲れはじめても怪しいから、できるだけ多くのパワーストーンを頼む。俺様は明日それを持ってシャストア大臣に会いに行く。みんなは、スピーカー側を持っていてくれ。幸い、俺様たちは向こうに着かないかとか誘われたから会うことはできるだろう、奴から自白を引き出してみる。

ホーリー  相手はシャストアの高司祭じゃぞ。嘘八百はお手の物のはずじゃ。

レグルス  だったら俺様はガヤン様の高司祭だ。しかも、不良系のな。嘘八百はこっちもお手の物だぜ。ああ、それとガヤンの誓いも買い足しておかないとな。

ホーリー  上手く行けばよいなじゃがな(苦笑)

カリナ  まあ、こういうことは、得意な人に任せようよ。

 

 そして翌日。

 

レグルス  王城の兵士に話しかけるぞ。シャストア大臣にアポを取りたいのだが? 大事な用件だと伝えて欲しい。

GM  兵士が走っていってしばらくすると、シャストア大臣アスタル直々にお出ましする。

アスタル  あたしに大事な話があるそうね。

レグルス  ええ。できれば、人払いをお願いしたいのですが。

アスタル  あ、言っとくけど、あたしこんな口調だけどホモセクシャルじゃないからね。ただ、オネェ言葉が好きなだけ。

レグルス  誰もそんなことは聞いてねー!(笑)

アスタル  まあいいわ。じゃあ、人のいない部屋にでも行きましょう・・・と言いたいけれど、あんたの妹は連れてこさせてもらうわよ。万が一暗殺なんか企んでたら、洒落にならないからね。

レグルス  俺様にそんな技術はないんだけどな(笑)

GM  至近距離で心臓狙ってフルパワー《陽光撃》撃たれりゃ、大抵の奴は余裕で死ぬぞ。

レグルス  あ、そうか。まあ、いいや。スピカは洗脳されているから何聞かれても大丈夫だって意味で、奴もスピカを選んだんだろうし。

GM  では、人のいない一室に案内される。もちろん、スピカとアスタルも一緒に。

レグルス  さて、そろそろマイクをセットするか。

GM  パワーストーンも合わせて、20分だったよね。今からカウント開始。

レグルス  さて、アスタル大臣。俺は、この話の中で決して嘘をつかないことを証明するために、この「ガヤンの誓い」に「この部屋にいる間は決して嘘はつかない」と書いてサインします。

アスタル  ずいぶん手の込んだことするわね。

レグルス  それもこれも、こちらの話を信じてもらうためですよ。

アスタル  で、大事な話ってなんなわけ?

レグルス  ええ、正直、俺は姫様にお仕えするのは、いい加減辞めたいと思っているんですよ。

外野のホーリー  ななな何を言っておるのじゃあいつはぁぁぁぁっ!!

外野のカリナ  姫様落ち着いて。相手を騙すための嘘ですよ。

外野のホーリー  じゃが、あいつはガヤンの誓いに嘘はつかぬと誓ったはずじゃぞ!

外野のシリウス  でも、兄さんのことだから、頭のどこかにそんな気持ちがあることは間違いないと思いますよ?

外野のホーリー  むぅぅぅぅ・・・レグルス不信度+50じゃ!!

レグルス  な・・・なんかすごい点数つけられた気が(汗)

GM  一応言っておくけどレグルス。今の言葉が後々嘘だと分かった場合、相当なペナルティ受けてもらうからな。

レグルス  ええ、大丈夫です。本心ですし・・・多分。

アスタル  それで、ホーリー姫に付くのを辞めて、こちらに付こうというわけね?

レグルス  その前に、確認したいことがあります。先王の遺書。あれは本物ですか? あれが本物かどうかで、俺の考えも変わってくると思うので。

アスタル  もちろん本物に決まってるじゃない。

一同  え!?

レグルス  いや、別に俺様に偽物だと言う必要はない。嘘をついているだけかも。この状況じゃ呪文は使えないが、技能の嘘発見なら・・・

GM  別段嘘をついているような素振りは見えないよ。

レグルス  ちっ。さすがはシャストアか。まずったな。ならば作戦を変えるか・・・。アスタル大臣。それが本物だとしても、ホーリー姫たちは偽物だと決め付けてしつこく食い下がってくるでしょう。どうです、それを公の場で完全に本物であると証明してみては?

アスタル  どうやってそんなことするつもりよ。

レグルス  昨日姫が持ってきていたあの霊薬。実際に時を戻すものかどうかはともかく、ふりかけた範囲のものを1年前の状態に戻すものなのは確かです。

アスタル  そうみたいね。

レグルス  姫たちは、その遺書が最近かかれたものであるに違いないと信じています。公の場でその霊薬を使うのですよ。

アスタル  ・・・なるほど。面白そうだわね。

レグルス  えーっと・・・あれ? それは困るとか言い出さないの?

GM  出さないよ。

レグルス  ・・・・・・ど、どうしよう?

外野のシリウス  いや、僕に聞かれてもアドバイスできる状況じゃないし、そもそも何も思いつかないし(苦笑)

外野のホーリー  所詮はレグルスであったか・・・

アスタル  心配なのは霊薬をすりかえられるかもしれないってことかしら。

レグルス  もうこうなったら、なるようになれだ! 大丈夫です。その霊薬は、一両日中にでも俺が持ってきますよ。事前に本物と確かめてから、公の場で使えばいいでしょう。

アスタル  ・・・・・・気に入らないわねぇ。

レグルス  何がですか?

アスタル  あんたのその口調! こういうときはもっと小悪党っぽくするもんでしょ!

レグルス  ・・・・・・で、その霊薬ですが。

アスタル  あ! さらっと流しやがったわね!

バニング  小悪党ロールならば、わしに任せてくだされ!

偽レグルス (バニングのPLが演じるレグルスのこと) あの小娘が持っている霊薬さえあれば、アスタル大臣の思うとおりになりますぜ。げっへっへ。

アスタル  うむうむ。レグルスおぬしも悪よのう。

偽レグルス  いえいえ、大臣様にはかないません。

アスタル  ほーっほっほっほ。

偽レグルス  げへへへへ・・・

レグルス  ・・・・・・楽しそうだな、お前。

バニング  メッチャ楽しいですよ、小悪党ロール。

 

 冗談はさておき、<時戻し>の霊薬をアスタル大臣に渡すと約束したレグルスは、一旦ホーリー姫たちと合流する。

 

ホーリー  じぃぃぃぃぃとぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・

レグルス  な・・・なんかいやな視線を感じるけど・・・まあ、とにかく聞いていたような流れになった。

ホーリー  わらわたちは、シャストア大臣の口からあの遺書は偽物だと言わせると聞いておったのじゃがな・・・

レグルス  あ、うん。ごめん。失敗した。

シリウス  ・・・兄さん、以前貴族だったら謝るなとか言ってなかった?

レグルス  シリウス。貴族に本当に必要なものは2枚舌だ。覚えておくんだな。

シリウス  僕、貴族になれなくてもいいや。

レグルス  しかし、シャストア大臣のあの自信、まさかあの遺書、本物なのか?

ホーリー  むぅぅぅぅ・・・そんなはずはないのじゃ!

シリウス  ・・・スピカから話を聞きだしてみよう。

レグルス  今できることはそれくらいか。小悪党かと思ったけど、意外と手強いな、シャストア大臣。

GM  (ラスボスだしね。簡単に尻尾つかませるようなヘマはしないよ。)

シリウス  スピカと2人で話をしたいって、スーリークに話してみるけど?

GM  (ちっ、そっに話をしたか。奴はスピカが何もしゃべれないのは知ってるし頭も良くないから・・・)

スーリーク  話をするくらいならいいだろう。ただし10分だけな。

シリウス  それだけあれば十分か。姫様、<時戻し>の霊薬を。

ホーリー  うむ。あと9本あって、1本はレグルスが渡すといってしまったからな。8本持って行け。

スーリーク  貴様がこちらに付かぬというのであれば、これが最後の別れになるかもな。せいぜい名残惜しむがいい。

シリウス  無視無視。スピカと2人きりになれたら、霊薬を撒く。

GM  すると、スピカの目にみるみる生気が宿り、牙も普通に戻り、瞳もエメラルド色になる。

シリウス  あ、そうか。1年前に戻るってことは、ヴァンパイアでもなくなるんだよね。そんなことより、スピカ、大丈夫か?

スピカ  ええ、お兄様。

シリウス  再会を感動したいところだけど、今は時間がない。

スピカ  今までも意識はありましたから、時間がないのは分かりますわ。

シリウス  そうか。じゃあ、すまないけどいくつか質問させてくれ。さっきまでのお前は、どういう状態だったんだ?

スピカ  「強制ガヤンの誓い」の効果で、アスタルの奴に操られていたのですわ。

シリウス  強制ガヤンの誓い?

スピカ  はい。ホーリー姫様の曽祖父様が、実験の際に誤ってお作りになられたマジックアイテムですわ。誓わせる対象がサインをしなくても、髪の毛一本あれば強制的に誓いに従わせるおおよそガヤン様らしからぬアイテムですわ。

シリウス  なんでシャストア大臣がそんなアイテムを・・・

スピカ  作られた方と一緒に王墓に埋葬されていたはずですが、アスタルの奴が盗掘したのだと思いますわ。

シリウス  とにかく、お前はそれによって操られているわけか・・・。ガヤンの誓いなら、焼けば誓いは無効になるはずだ。それは、今どこにあるか分かるか?

スピカ  アスタルの奴が、肌身離さず持っておりますわ。私の戦力は奴の切り札でもありますから、大事に懐に入れているのを見たことがありますわ。

シリウス  兄さんに、隙を見て奪えないか後で聞いてみるか。

スピカ  お兄様、お願いします。私を助けてください。私は、スーリークなんかと一緒になりたくありません・・・

シリウス  当たり前だ。あんな奴に、お前を任せられるか!

スピカ (いきなりホーリーのPLが演じ始める) 奴は・・・奴は・・・私のバージンまで奪ったのです・・・

シリウス  (すごく冷静に)大丈夫だスピカ。あいつは兄ちゃんがぶっ殺すよ。

GM  うわ、なんか勝手に話が進み始めた(笑)

スピカ  お兄様・・・せめてキスだけでも口直しをさせてください・・・

一同  (苦笑)

シリウス  い・・・いや、それは・・・その・・・

スピカ  お兄様・・・私が相手では、嫌・・・ですか?

シリウス  い・・・嫌とかそうではなくて・・・ほら、僕たち兄妹だろ?

スピカ  私は、シリウスお兄様のことが・・・

シリウス  あ! もう時間がない! 最後の質問! シャストア大臣がもっている先王様遺書、あれは本物なのか?

スピカ  ・・・ふぅ。お兄様のいくじなし。

シリウス  ・・・すまん。

スピカ (GMに戻って) 遺書が本物かそれは分かりませんわ。ただ、偽物であってもアスタルは幻術の達人。偽物を本物に見せるこを最も得意とする者ですわ。

シリウス  そうか。じゃあ、スピカ。もう少し辛抱していてくれ。きっと、兄ちゃんたちが助けるからな。

スピカ  ええ、待っていますわ。

GM  霊薬の煙は消え、スピカの表情も数分前のものに戻る。もちろん、瞳の色や牙もね。

 

 スピカと別れたシリウスは、妹から得た情報をホーリーたちに伝えた。

 

レグルス  強制ガヤンの誓いか。最悪、それさえ手にしてしまえば、スピカがこっちの仲間になって、シャストア大臣もスーリークも殺して、姫様の王位継承権も戻って一件落着なんだがな。

ホーリー  汝は、もうわらわに付くのは辞めるのじゃろう?

レグルス  辞めたいと思っているだけですよ。シャストア大臣に<時戻し>の霊薬を持っていくと伝えてしまった以上、渡しておきたいので1本いただけませんか?

ホーリー  勝手に持って行け。

レグルス  ぐ・・・完全に機嫌損ねさせたか・・・

カリナ  そりゃそうよ(笑)

レグルス  霊薬は大臣に渡すとして、これからどうするか・・・・・・・・・・・・

GM  名人長考に入りました(笑)

レグルス  ・・・いっそのこと殺っちまうか(笑)

カリナ  長々考えた結論がそれか(笑)

ホーリー  あの遺書が偽物だとガヤンに訴えてみるかのぅ・・・

レグルス  なるほど。いい手かもな。公式の裁判ならば「裁判中に嘘を言わない」と、ガヤンの誓いにサインさせることもできるはずだ。

ホーリー  おお! 本当に裁判ができるのか?(笑) 今から、「異議あり」「待った」「くらえ」の練習をするのじゃ(笑)

シリウス  まさか、逆裁ネタをここで持ってくるとはね(苦笑)

GM  別に逆裁じゃないんだけどな(笑)

 

 善は急げとばかりに一行は、ガヤン大臣に相談を持ちかけ、信頼の置ける第三者の裁判官(ガヤンの高司祭)の元、公平な裁判を行う準備を整えた。

 ちなみにその間、バニングは城に侵入しようとするも発見されてしまい、再び100叩きの刑を受け「痛みに弱い」の特徴を一時的に植えつけられるとともに、今度城内で見つけたら容赦なく首を刎ねると釘を刺されたりしていましたとさ。

 

これが最後の戦いだ!

GM  さて、色々手回しして、裁判は1巡り後に行われることになった。その間に何かすることは?

バニング  戦闘になった場合に備えて、あの館のヴァンパイアたちを裁判所の周りに配置しておいてはいかがですかな?

ホーリー  おお、面白そうじゃな(笑)

シリウス  高速移動ができる大型の馬車もあるしね。行ってくるよ。

レグルス  俺様はシャストア大臣のところに行ってるよ。なにかボロでも出すかもしれない。上手く近づければ強制ガヤンの誓いも・・・

GM  シャストア大臣は用心深い性格なんで、あまり近づけないよ。

レグルス  今無理するのは得策じゃないか。裁判の日を待とう。きっとチャンスはある。

 

 そうして、あれよあれよと1巡りが過ぎた・・・

 

GM  では、ガヤン大神殿審議の間。裁判長は髭もじゃで禿げたじいさんだ。

ホーリー  いきなり頼りにならなさそうに見えてきたのぅ(苦笑)

GM  そして、原告側の席には、ホーリーシリウス、カリナ、検事のガヤン大臣。バニングは先日の失態のせいで立てなかった。

バニング  わしは傍聴席から見ておりますぞー。

GM  で、被告側にはアスタル、スピカ、それにレグルスと名も無きNPCの弁護人。

ホーリー  レグルスの奴を睨みつけてやるのじゃ。

レグルス  アスタル様。奴ら、<時戻し>の霊薬を奪ったのが俺だってこと、やっと気付いたみたいですぜ。

アスタル  ほーっほっほっほ。その霊薬がこっちの手にあれば、遺書が本物だと証明できたも同然だわ。

レグルス  ・・・ちっ、ここまで来てボロを出さないってことは、遺書は本物みたいだな。こうなったら・・・

GM  さて、冒頭手続きもつつがなく続き・・・

レグルス  あ、待ったGM。ガヤンの誓いに、「裁判中嘘をつかない」と原告被告共にサインしないのですか?

GM  あ、そうだね。この世界、そんなアイテムがあるんだから、しない方が不自然だろう。では、サインはした。

レグルス  だったら弁護人の陳述のときに、「原告の訴えは全くの事実無根であり、この遺書は本当に先王が残したものである。間違いありませんね被告人」と尋ねてみましょう。

GM  (うまいな。だが・・・。)

アスタル  それを証明するために、私はここにいます。

GM  と、普段の気持ち悪いしゃべり方はどこへやら、いたって真面目な声で言う。

レグルス  ちっ。こうなったら賭けに出るしかないか・・・。裁判官。このような裁判は時間の無駄です。検察側がくだらない証拠を提示する前に、こちらがこの遺書が本物であるという証拠を見せましょう。さあ、アスタル大臣。こちらへ来て件の遺書を。

アスタル  ええ、そうね。

レグルス  アスタルが近づいてきたら、手を滑らしたふりをして霊薬をふりまく!

アスタル  あ、ちょっと! 何すんのよ!

レグルス  そして《Total Paralysis》!(《麻痺》の呪文) 成功度3! 頭に触れるのにも成功!

GM  あ、抵抗失敗。アスタルは体が痺れて動けない。スピカが大臣を助けに入ろうとするけど、煙に触れることになるんで人間に戻る

レグルス  よし! こいつの懐から強制ガヤンの誓いを出す! 霊薬の煙に触れれば、スピカとの契約は無効になるはずだ!

GM  まあ、それ以前に煙にふれた時点で契約の効果もなくなってるんだが。

スピカ  お兄様!

ホーリー  よくやったのじゃ、レグルス!

裁判長  な・・・なにをしているのです、あなたたちは! ここは神聖なる審議の・・・

レグルス  裁判長! これを見てください! と、強制ガヤンの誓いを見せる。

裁判長  それはまさか、強制ガヤンの誓い? たしか先々代が封印したはず。

レグルス  あれ? 知ってるの? だったら話は早い。シャストア大臣がこれを使って妹を操っていたこととか、この霊薬のこととかをつらつら話そう。

GM  ちなみに、遺書は白紙になってるよ。

レグルス  あれ? やっぱり偽物だったじゃん、これ。

ホーリー  だから、最初からそう言っておったじゃろう。

GM 白状すると、アスタルは遺書を煙にふれさせた直後、20レベルを誇る《幻覚》の呪文で文面を作ろうとしていたのだよ。

裁判長  裁判とはいえない状況になりましたが、どうやら結論は出たようですね。

ホーリー  うむ。勝訴なのじゃ。

シリウス  後は、シャストア大臣・・・いや、アスタルをどうするかだね。

アスタル  (麻痺が解けて)待って姫様。ただの出来心だったのよ。強い権力に憧れて、魔がさしただけなの!

レグルス  1年前の状態だし、ガヤンの誓いの効果は切れてるんだよな。だったら《嘘発見》だ。

GM  アスタルは嘘をついているようだ。

レグルス  はぁん? 出来心だぁ? お前は生まれ付いての悪党だろう!

バニング  ゲロ以下の臭いがぷんぷんしますなぁ!

アスタル  くっ・・・こうなったら・・・私は人間を止めるわよ! ホォォォォリィィィィィ!

シリウス  やっぱり最終回はJOJOネタに走るんだね(苦笑)

GM  大好きなんだから仕方があるまい。それはともかく、アスタルは隠していた小瓶を取り出す。中にはどこかで見た赤い液体が!

ホーリー  真祖の血なのじゃ!

レグルス  もっかい【麻痺】

GM  (ころころ)「幸運」も使ったけど抵抗失敗。

アスタル  な・・・納得行かないわ。レグルス。あなた、もう姫に仕えるのは辞めたいって言ってたじゃない。今更やっぱり姫様に仕える気になったなんてのは通用しないわよ! さあ、納得の行く説明をして頂戴!

レグルス  ああ、その話? 俺様は一言も嘘なんか言ってないぜ。俺様が本当に仕えるべき相手はホーリー姫じゃなくて、ホーリー女王陛下様であらせられるのだからな。

ホーリー  おお! よく言ったのじゃレグルス!

GM  説明できなかったら夢オチにしようとおもっていたが、まあ、良しとするか。

レグルス  (小声で)ま、この作戦が失敗しそうだったら遠慮なくアスタル側に付いたけどな。

ホーリー  レグルス不信度+10。

一同  (笑)

 

 この後、アスタルは憲兵に連れて行かれ投獄された。その数日後、もう1つ隠し持っていた真祖の血を飲みヴァンパイアと化したが、牢を破壊するほどの力を得ることができず、翌朝の日の光を浴びて消滅したのだという。

 スーリークは2度にわたる王位強奪計画の加担者。そしてオランジェ国を滅ぼし近隣の国々をも巻き込んだヴァンパイア大発生事件の首謀者の一人として処刑させられた。

 

レグルス  こうでもしないと、隣国へのヴァンパイア事件の説明がややこしくなるからな。隣国への説明は外交官に任せるとしよう。

ホーリー  丁度いいスケープゴートがいて良かったのじゃ。スケープゴートというか、実際に首謀者の一人なのじゃがな。

スーリーク  コ ノ ウ ラ ミ ハ ラ サ デ オ ク ベ キ カ ・ ・ ・

 

 かくして、妄想に取り付かれたジェスタ大臣による内乱から始まったロジィラ国の王位継承争いは、一旦収まることとなった。

 

ホーリー  わらわも、そろそろしっかり政治の勉強をせねばならぬな。あと、性格改善も(笑)

カリナ  姫さまは頭良いですから、すぐに政治も覚えられますよ。

レグルス  (小声で)性格改善は難しいだろうがな。

ホーリー  てい!(シーリングシューターを撃つ)

 

エピローグ

GM  さて、色々あったが、これで王位継承権第1位はホーリー姫に戻ったわけだ。

ホーリー  奴が座ったような椅子には座りたくないのう。とはいえ、国庫で買い直すような無駄遣いをするわけにはいかぬし、どうしたものか・・・

レグルス  ジェスタ大臣の財産を没収すれば、王座くらいは買えるんじゃないか?

ホーリー  おお、そうじゃな。・・・あと、とりあえず解決せねばならぬことは・・・

シリウス  僕の体のこと。あと、ゲペルニッチさんの館のことじゃないか?

フローレンス  それと、娘のラズベリーのこともよろしくねー。

バニング  おお、そういえばわしには娘がいたのですな。

フローレンス  てい(ペネトレイターでじじいを殴る)

スピカ  ラズベリーさんは私が説得して連れてきますわ。ただ、彼女は闇の衣を纏っておりませんので、昼間の活動はできません。日常生活を送るのはまず不可能ですわ。

ホーリー  うーむ・・・人間に戻す方法がないか、ご先祖様に聞いてみるか・・・

 

 一行は王墓の奥深く。ゲペルニッチの元へ・・・

 

ゲペルニッチの声  ヴァンパイアから人間に戻す方法ね・・・あるにはあるが・・・

シリウス  どんな副作用が?

ゲペルニッチの声  いや、薬の一種なのだが、1つしかない。私が外に出られない以上、量産は不可能だ。

レグルス  なんてこった・・・

バニング  (すかさず)いやいや、すいませんな、そんな貴重なものをわしの娘のために。

カリナ  ちょっと・・・

シリウス  いいよ、じいさん。ラズベリーに使ってやってくれ。

レグルス  おい。今回を逃したら、多分、もう戻れる機会はないぞ。

シリウス  いや、もう戻るつもりはないよ。僕はこのままヴァンパイアになる。

スピカ  あら、ようやく決心が付きましたかシリウスお兄様。

シリウス  ああ。僕は永遠に王墓の守人になろうと思うんだ。ここには危険なものが多すぎるからね。もともと、それがサリシオン家の使命なんだし。

スピカ  ちなみに、私はもともと、人間に戻るつもりはありませんから。

シリウス  それに・・・

ホーリー  ・・・どうしたのじゃ?

シリウス  ・・・いえ、何でもありません。(小声で)スピカと死に別れることもなくなるしね。

スピカ  ・・・クスッ。

ゲペルニッチの声  ふむ。どうやら決まったようだな。薬の場所はメアリーに聞くといい。

 

 で、薬を手に入れた一行はスピカが連れてきたラズベリーと会う。

 

スピカ  状況は話しておきましたわ。

ラズベリー  人間に戻る前に、お父様を殺すわぁー。

GM  インペイラー振り上げて、襲いかかろうとしておりますが?

ホーリー  まあ、待つのじゃ。汝がじじいを殺してしまうと、親殺しの罪で色々面倒なことになるぞ。

ラズベリー  でも、お父様を殺さないと、私は自由になれないのー。

ホーリー  安心せい。どうせこのじじいは、あと数年すればくたばるわい。

バニング  ちょ(笑)

カリナ  こういうじいさんは、長生きしそうな気がするけどなー(笑)

ホーリー  長生きしそうな時は、食事に少量ずつ毒でも混ぜればよい。

シリウス  おいおい(苦笑)

ラズベリー  なるほどー。それなら、私が捕まることなく自由になることが出来るのねー。

シリウス  それで説得されるのかよ!?

ホーリー  今、彼女はヴァンパイアなのじゃ。わらわたちの感性での説得なんぞ通じんじゃろう。

シリウス  なるほど(笑)

GM  では、ラズベリーはヴァンパイア化を戻す薬、シロイカクガーネをバリボリ食べる。

カリナ  食べるの!?(笑)

GM  うむ。噛んでいる途中に乱杭歯が削れて人間に戻る。

シリウス  なんか、無茶苦茶だな(苦笑)

バニング  おお、ラズベリー! 人間に戻ったのですなー! 抱きつきますぞー!

ラズベリー  近づかないで下さいお父様ー。ナイフを抜いて、重要器官を刺しますわー。

レグルス  止めないと、結局親殺ししちまうんじゃないか?

ホーリー  ヴァンパイアの力がなければ大丈夫じゃろう。

 

 結局、ラズベリーのナイフ攻撃でバニングが死ぬことはなかったそうな。

 

シリウス  そうだ、ご先祖様。スピカから発せられた黒い蝶の力について、何か知っていますか?

スピカ  そういえば、そんなものもありましたわね。

ゲペルニッチ  ああ、あれは開き始めていた扉のわずかな隙間から溢れた月光蝶が、私に近しい存在のもとに群れていっただけだ。その隙間はすでに修復したし、同じ事は起きぬだろう。

シリウス  そうか。良かった。

レグルス  いつあの力が発動するか分からないんじゃ、さすがに怖いからな。

ホーリー  さて、最後の問題はゲペルニッチの館じゃが・・・

シリウス  あ、それは僕が・・・

ホーリー  レグルス。汝を館の主に任命する。

レグルス  ・・・・・・はい?

ホーリー  汝が館に住み込んで主になれと言ったのじゃ。

レグルス  いや、そうじゃなくて、何故、私? ヴァンパイアの館なのですから、シリウスかスピカに・・・

ホーリー  あの2人は、わらわの親衛隊に任命するのじゃ。それに、手柄を立てた貴族には褒美をやるのが筋と言うものじゃろう。汝は今回良く働いた。領地と一緒に、正式に貴族の地位をやるぞ。

レグルス  いや、貴族の地位と領地は欲しいけど、ゲペルニッチの館のある島って、確か・・・

GM  ロジィラからは遠く離れた島。

レグルス  だろ? そんな田舎に引っ込むのは・・・

GM  安心したまへ。館を探せばAからBに転移するアイテムくらいゴロゴロ見つかる。それに、言い忘れてたけどゲペルニッチの持ってた権利書、島全体の所有権になってたから領土自体はかなり広いよ。漁業も盛んだし、西側には別荘地に向いた海岸もある。

レグルス  いや、そういうことが重要なんじゃなくて・・・

ホーリー  不服か? じゃったら今回の件での褒美は無しじゃ。何か大きな手柄を立てるまで、今後もあの家で過ごすがよい。

レグルス  ひでぇ! 俺は中央で大成したいのに・・・

ホーリー  と、いうことは褒美なしでいいのじゃな?

レグルス  ほとんど選択肢ないじゃんかよ・・・ゲペルニッチの館とその周辺の領地。お預かりいたします・・・畜生・・・(涙)

一同  (苦笑)

カリナ  海岸があるそうですので、釣り場も作りましょう姫様。

ホーリー  うむ。そうじゃな。転移装置があるなら休みが取れた日にはいつでも行けるしな。

レグルス  おい!

ホーリー  わらわの国の領地を視察するのじゃ。文句はなかろう?

レグルス  ・・・あるけど言っても無駄だろうな。

ホーリー  よく分かっておるではないか。

レグルス  ・・・まあ、実際誰かがちょくちょく来てくれるのは嬉しいけどさ。普段はヴァンパイアの屋敷に独りでいるわけだし・・・

ホーリー  ふむ・・・

レグルス  ああ、そうだ。島全体が所有物って言ってたけど、この島に村があったよな。税金の取立てとかして大丈夫そうか? 今まで払ってなかったのをいきなり払わされたって一揆でも起こされたら困るんだが。

GM  その辺はずっとメアリーが管理していたから問題ない。村人は、「人間の領主様が来てくれた」とか言って喜ぶくらいだ。

レグルス  あいつら、ヴァンパイアだってこと秘密にしてなかったのか(苦笑)

GM  いや、90年間姿形が変わってないんだから、ばれるって(笑) まあ、しっかり住民に還元させてきたから、これからも上手くやらないと一揆起こるかもしれないけど。

レグルス  その辺は俺様の政治手腕の見せ所だな。

シリウス  大丈夫かなぁ(苦笑)

レグルス  ああ、そうだ。ゴッピーが育ったとき用の水槽も作っておかないと。

ホーリー  何を言う! ミニュートは城で飼うのじゃ。

レグルス  ちょっと! 今までずっと世話してきたの俺なのに?

ホーリー  わらわが買ったのじゃから、反対は許さん。

レグルス  うう・・・すまんゴッピー。でも、ちょくちょく会いに行くからな。

シリウス  なんか、ゴッピーが絡むと兄さん人が変わるよね(苦笑)

レグルス  愛着あるんだよー。俺様に優しかったのはゴッピーだけだったんだよー。

一同  (苦笑)

ホーリー  さて、領地と地位は与えた。次は嫁じゃな。お見合いパーティを開くぞ。

シリウス  楽しそうですね、姫様(苦笑)

レグルス  つーか、絶対遊んでるだろ(苦笑)

ホーリー  何を言う。わらわは大真面目じゃぞ。独りで寂しいというから、結婚まで世話してやろうと言うておるのではないか! もちろんPLとしても真面目じゃ。

レグルス  嘘くせー(苦笑)

ホーリー  失敬な奴じゃな、まったく。まあよい。いろんなごたごたが一段落付いたら、レグルスにパーティの招待状を出すぞ。もちろん、お見合いパーティであることは隠してな。見合い相手は・・・ラズベリーが良かろう。地位もルックスも申し分なしじゃ。性格は少し壊れておるがな(笑)

レグルス  てことは、俺様は久々に中央に戻れるぞとかうきうきしながら準備するわけだな。姫様の掌の上とも知らず(苦笑)

メアリー  行ってらっしゃいませご主人様。

シリウス  で、パーティに出てみると、何故かラズベリーさんと向かい合って座っていると(笑)

バニング  もちろん、わしもおりますぞ。いやいや、うちの娘はこうみえておしとやかで気立てが良いですぞ。

ホーリー  うむ。レグルスも腹黒いが気は優しくて力持ちじゃ。

バニング  姫様、あとは若いお2人にお任せいたしましょうか。

ホーリー  わらわは2人よりも若いぞ(笑) ラズベリーよ。汝、レグルスのことをどう思う?

ラズベリー (もちろんホーリーのPL) は・・・はい。レグルス様は、とてもカッコよい方だと思います(ぷるぷる)

カリナ  ぷるぷるって何? スライム?

ホーリー  彼女は「内気」じゃから、震えておるのじゃ(笑)

レグルス  小娘を引っつかんで廊下に行くぞ。ちょっと姫様? 今日はパーティにご招待いただけたのではなかったのですか?

ホーリー  うむ。お見合いパーティじゃ。

レグルス  ・・・また、騙された(泣)

ホーリー  あの館に独りでは寂しいのじゃろう。嫁がおれば問題は解決じゃ。

レグルス  そんな困るよ! 俺、姫様のことが好きだったのに!

ホーリー  そうかそうか。汝もラズベリーのことを好いておるか。これで決まりじゃな。

一同  (爆笑)

レグルス  流された!? ラブコメがしたいとか言ってたから、「耳をすませば」風に決めてみたのに!

ホーリー  汝、自分の不信度がどれだけ高いか知っておるのか?

レグルス  えーっと、100越え?

ホーリー  そうじゃ。そんな奴にそんなことを言われて、わらわがツンデレキャラになるとでも思ったか?

レグルス  ・・・思いません。

ホーリー  それと、わらわはもう姫ではない。陛下と呼べ。さて、部屋に戻るぞ。喜べラズベリー。こやつも汝を好いておるそうじゃぞ。

レグルス  んなこと一言も言ってねー!(笑)

ラズベリー  ほ・・・本当ですか? あ・・・ありがとうございます!

レグルス  ・・・よく見ると、この子確かに可愛いかも・・・。

GM  ちなみに、母親のフローレンス将軍は次期ジェスタ大臣が確定しているよ。

バニング  なんと! でしたらわしをタマット大臣に・・・

GM  無理。誰も推薦しないから。

バニング  くっちゃくっちゃ。

レグルス  この子は大臣の娘になるわけか。地位も財産もルックスもオールオッケー。性格も、じじが絡まなけりゃ問題無さそうだ。・・・だがな・・・

ホーリー  何が不満なのじゃ?

レグルス  この子と一緒になるってことは、じじいの老後の世話をしなけりゃならねーってことが気に入らん!

カリナ  あー確かに(笑)

バニング  ニヤニヤ。

ホーリー  それなら問題ないのじゃ。どこかの施設にでもあずけて、見舞いになど行かなければよい。

シリウス  ひでぇ!

GM  このじいさん、施設に入ったら誰も家族が来なくなるのは仕方が無いと思うけどなー(笑)

ホーリー  それに、汝らはあの館で暮らすのじゃろう。じじいとも離れられて一石二鳥ではないか。

シリウス  なるほど・・・

バニング  毎日のように遊びに行きますぞ。我が娘と息子よー!

レグルス  ヴァンパイア兵。このじじいを丁重に追い払え。

バニング  (両脇を抱えられながら)わしが一体何をしたー!

ホーリー  では、決まりじゃな。城を揚げて結婚式を執り行うぞ。

バニング  そうはいかん! 娘と一緒になりたくば、わしを倒してからに・・・

レグルス  《陽光撃》フルパワー(7D-2の「刺し」) 心臓狙いで。

バニング  わ・・・わしを殺す気か!?

レグルス  そのつもりだけど?

バニング  いいじゃろう。合格じゃ。

シリウス  わけわかんないよ(苦笑)

ホーリー  まあ、じぃじゃし、今に始まったことではない。とにかく、カップル誕生じゃ! 黄金の羊亭リプレイ史上、3回目の結婚式を挙げるのじゃ!

GM  いいけど。結婚式に乱入してくる敵はいないよ?

ホーリー  なんじゃとー! 作れ! いまから敵を作るのじゃー!

GM  できないことはないけど、時間がないよ(苦笑)

 

 このようにして、平和の戻ったロジィラ国の日々は過ぎていくのでした。

 まだまだ解決されていない問題はあるけれど、それはまた別のお話し。

 それではこれにて、「おてんば姫と真祖の血編」・・・

 

カリナ  あ、ちょっとまって。私のお父さんどうなった?

GM  まだ帰ってきてないけど、元気でやっていると手紙が来た。

レグルス  マグロ漁船だからなー。1年くらい帰ってこないってことざらにあるらしいぜ。

カリナ  結局最後まで出番なしか(笑)

シリウス  ・・・あ! 僕の毎巡りやっていた判定って・・・

GM  そんなわけで、今回のゲームは終りにしたいと思います。お疲れ様でしたー。

一同 (シリウス除く) お疲れ様でしたー!

シリウス  ごまかすなーーーーーー!!

 

 

*1:旧サイトでルナルリプレイを書いていてもらっていた人。当サイトにも移行予定。

*2:自身の一部を犠牲にする=CP総計を減らすことで、神に願いをかなえてもらう魔法。願いの内容や重さにより必要なCPも変わる。