黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

第6話「すくーるふぁんぶる?」

プロローグ

 

森の中で、いくつもの悲鳴が上がっている。

その様子を見ていた老人達は、驚愕した。

「ばかな!? 相手はたったの2人なのだぞ!」

老人達・・・森の民エルファの氏族長たちは、禁忌を犯した若いエルファとその伴侶の人間に罰を与えるため100の刺客を差し向けた。

しかし、それが悉く破られたのである。

「長・・・」

氏族長たちの後ろで若い女の声がした。

そこにいたのは、森の禁忌を犯した罰を与えられるべき者。

「私はたしかに禁忌を犯しました。それは罰せられるべきものです。しかし、そのために私の夫や娘に危害を加えるのであれば、私はたとえあなたたちが相手でも戦います。」

女は、決意を伝えに来たのであろう。

しかし、老人達にとって100の刺客を倒し、精鋭たちに守られたこの場に忍び込み、気付かれぬ間に背後を取った女の言葉は、

「夫や娘に手を出すのなら、あんたら、消すぜ?」

という脅迫にしか聞こえなかった。

 

突然編入

 

 さて、前回も2シナリオ分をこなした一行だが、後半のシナリオは失敗したため、それほど多くのCPは得られなかった。

 

ヒスミ  あと1CPで体力が上がるのになぁ。

ユズキ  これ以上お嬢に身長差を付けられないように、ぶら下がり健康棒にぶら下がっています。毎日じゃこを食べて、牛乳も飲んでます。

イングリッド  任侠っぽいセリフは練習しないの?

ユズキ  もちろんしていますよ。こ・・・このやろう・・・ちくしょう・・・

イングリッド  それじゃ、任侠と言うよりチンピラよ(笑)

ヒスミ  わぁい、ユズキ楽しそー! 私もぶら下がるぅ。

ユズキ  あ! お嬢、そんなに勢いつけてぶら下がると・・・

ヒスミ  (勢い良くぶらさがって)・・・って倒れてるぅ!

GM  ヒスミは鼻の頭を地面にぶつける。

ヒスミ  痛いよぅ。

ユズキ  大丈夫ですかお嬢! 今、「大治癒弾」を使いますね。

イングリッド  なにやってんのよあんたたち(笑) あ、私は「性的魅力」とかいくつかの技能を覚えてみたわ。使うかどうか分からないけど(笑)

GM  さて、前回ミディアの街に多大な被害を及ぼし、人々を恐怖に陥れたゾンビの集団を倒したとして、<風龍会>の人気は上昇中だ。

ユズキ  よしよし。良い傾向です。

イングリッド  <風龍会>が解決したって、街の人は知ってるの? 銀龍忌は郊外で倒したはずだけど。

GM  街中でオーガースケルトンと一騎打ちやらかしたローザが<風龍会>に出入りしてるのを知っている人がいた模様。そして、街中でドンパチやらかした挙句、本部が潰れた<表裏のコイン>の人気は落ち目。

ユズキ  ふふふ。狙い通り(笑) でも、外部の若い新人が活躍すると古株から目を付けられそうですね。

GM  あ、その辺は大丈夫。イングリッドやローザはお嬢の部下ってことになってるから(笑)

イングリッド  いつの間に(笑)

GM  さらに、2度にわたる<風龍会>本部の解放の手柄により組織内でのお嬢の株は上がる一方。

ヒスミ  私の力じゃないですよ。みんなで協力したから、できたことです。

GM  このことによって、<風龍会>内でお嬢の次期組長としての実力に疑問をもっていた派閥の考えも改まり始めている。

ユズキ  そんな奴らがいたのか!? 出て来い! 撃ち殺してやる!

イングリッド  少し落ち着きなさい(笑) でも実際の話ヒスミの反応修正の高さは組織のトップ向きなのよね。あとは優秀なブレインがいれば完璧。

ヒスミ  考えることはユズキにやってもらいます。

ユズキ  がんばります!

GM  さて、前回からの話はこれくらいにして、君たちに組長からお呼び出しがかかる。

イングリッド  前回も同じようなパターンじゃなかった?

GM  う・・・そう言えば。

ユズキ  呼ばれたのならば、行きましょう。

GM  組長の部屋では、組長と銀龍姫が正座してお茶を飲んでいる。

ユズキ  うわ、ミスマッチだ(笑)

ヒスミ  私もお茶飲むぅ。

イングリッド  組長、今日は何の用かしら?

ゴウケン  うむ。先ほど銀龍姫から話を聞いたのだがな。 中央区のサリカ高等学校が<梟の爪>の拠点の1つらしいのだ。

ユズキ  言ってましたね、そんなこと。

ゴウケン  それでだ。君たちの年齢は高等学校の生徒とほぼ同じ。

イングリッド  今回は学園モノ?(笑)

ヒスミ  わーい。かわいい制服が着れるぅ! ユズキぃ、一緒にセーラー服着よう?

ユズキ  え? いえ。僕は男ですので、男物の制服があるはずです。

ヒスミ  ぶー。

ゴウケン  まだ最後まで言ってないのだが、概ねそちらが考えている通りのことを頼もうと思っていた。

ヒスミ  学校行こうよ! ね、みんな!

ユズキ  お嬢が行くというのであれば、どこへでも。

ヒスミ  イングリッドさんも!

イングリッド  い・・・嫌よ! どうしてウィザードの高等教育を受けた私が、いまさら一般教育なんて!

ヒスミ  えー。そんなこと言わないで、イングリッドさんも一緒に学校行こうよぉ。一緒に来てくれないと寂しいよぉ。うるうる(嘘泣き)

イングリッド  う・・・仕方がないわね。どちらにしても<梟>の件が一段落しないと、私の目的は果たせそうにもないし、今のうちに恩を返しておくのもいいかもね。

ゴウケン  しかし、情報源がこの銀龍姫だ。正直言ってまったく信用ならん。この情報の真偽を確かめてきてもらうだけで構わない。

銀龍姫  (無言でお茶を飲んでいる)

ユズキ  分かりました。

ゴウケン  編入の手続きはこちらででっち上げておく。来巡りからにでも学校へ行ってくれ。

ヒスミ  じゃあ、さっそく制服買いに行こう!

イングリッド  レベッカ。しばらく留守にするけど、メイベルのことお願いね。

レベッカ  イングリッドがセーラー服姿を見せてくれるなら、いつまでも待ちますよ。

 

 一行は街へ繰り出し、やいのやいのと制服や校則に引っかからない程度のアクセサリー、化粧品などを選ぶ。

 

ヒスミ  イングリッドさん、青のマニキュア買わない?

イングリッド  あ、私の爪何も塗らなくても青いから。

ヒスミ  わあ、お洒落ー。

イングリッド  それに、普段は手袋してるからマニキュア買っても使わないからね。

ヒスミ  ちぇ。

ユズキ  僕は魔銃を隠すためのポーチでも買っておきます。

ヒスミ  つまんないぞユズキぃー。一緒に化粧品見ようよー。

ユズキ  い・・・いえ、僕は男で・・・

ヒスミ  いいからこーい! ついでに荷物も持てー!

ユズキ  ひぃぃ!? お嬢のほうが倍近く荷重基本値高いのにー(笑)

イングリッド  災難ねぇ(笑) あ、校則で腕輪ってOK? だめなら私も魔術具を隠しておけるポーチ買いたいんだけど。

GM  OKだ。

イングリッド  だったら付けて行くわ。

ヒスミ  刀は持ち込めないだろうなー。剣道部のフリして木刀持って行こう。

GM  宮本武蔵は真剣より木刀の方が強いと言ってるしね(謎)

 

 そして次の巡り。一行は買ったばかりの制服に身を包み、 中央区サリカ高等学校へと登校する。

 職員室に顔を出し、担任の先生の案内で編入することとなったクラスへと向かう。

 

ヒスミ  しまった! パンくわえて走って、交差点で運命の人にぶつかる計画実行するの、忘れてた!

イングリッド  どんな計画よ(笑)

ヒスミ  学園モノのお約束です(笑)

イングリッド  ヒスミっていつもそんな本読んでるの?

ヒスミ  他にも任侠小説読んでるよー。「人魚」と書いて「にんきょう」と読む(笑)

GM  それは任侠小説とは言わん(笑) そんな話はさておき、ヒスミやイングリッドが教室に入ると、男子生徒から歓声が上がるね。

イングリッド  ふっ。まあ、当然ね。

ユズキ  あれ? 全員同じクラス? 少し不自然じゃありませんか?

GM  う、確かに・・・。このクラスは元々人数が少し足りていなかったってことにしよう(笑) で、先生が以前言っていたように編入生が来ましたとか言っている。自己紹介をするように促してくるよ。

ヒスミ  本名はまずいよね? ヒスミ・ウィンドドラゴンです! よろしくお願いしまーす!

GM  勢い良くお辞儀をしたら、教卓に頭をぶつけた。

ヒスミ  ・・・いたい。

GM  教室内に笑いが広がる。

ユズキ  大丈夫ですかお嬢? あ、僕の名前はユズキ・フウリンです。一文字違いくらいが、自分で間違えることもないだろうし、ちょうどいいです。

ヒスミ  ユズキぃ。学校ではお嬢じゃなくって、ヒスミって呼んでよぉ。

ユズキ  す、すいません。努力してみます(笑)

イングリッド  私はイングリッド。名字は適当に名乗っておくわ。教室内を見回してみるけど、どんな人がいる?

ユズキ  あ、僕も見回します。

GM  まず目立つ奴といえば、机の上に足を投げ出している、一際ガタイのでかい、老け顔の男がいる。

ユズキ  わぁ、番長だ。任侠っぽくてかっこいいなぁ(笑)

GM  逆に15歳とは思えないほど幼い外見の男の子。顔はすごくかわいいけど、いじめてオーラを発してる。

イングリッド  ・・・じゅるり(笑)

ヒスミ  はぅ!? イングリッドさんが狙いを定めました(笑)

GM  そして、君たちの事なんか感心なさ気な、銀髪の褐色の肌で、とがった耳を持つ女の子。

イングリッド  エルファ?

GM  に、見える。そして、イングリッドの顔をジーッとみているショートボブの女の子。あの子、霧島3姉妹の3女に似てる。

一同  え?

ユズキ  霧島3姉妹って、カシム村で会った奴?

イングリッド  顔を知ってるのは私だけだけど・・・って、よく考えたら、向こうも私の顔知ってるんじゃない? じっと見られてたみたいだけど・・・

ユズキ  初日から潜入作戦に失敗したかもしれません(苦笑)

イングリッド  こっそり2人にも知らせておくわ。

GM  で、髪をピンクに染めた女の子が、君たちの前に歩いてきて、手を握る。

ミレイユ  初めまして! わたしは、クラス委員のミレイユ・ジュナスです。よろしくね!

ヒスミ  よろしくです。

イングリッド  人見知りしない、良い子ね。

GM  さて、自己紹介も終わったところで、君たちは席に着くよう促される。担当の男子教員は、忘れ物したとか言って、一旦教室から出て行った。

ヒスミ  いきなり事件が起こりそうです(苦笑)

GM  クラスメイトたちが君たちに興味を示して我先にと机の前に押しかけてくるよりも早く教室のドアが開き、先生とは別の人が入ってくる。黒いスーツに身を包み、流れるような長い銀髪をもった20代半ばの美女だ。再びクラスの男子の歓声が上がるね。

イングリッド  黒い服に、銀髪?

ユズキ  まさか・・・

銀髪美女  はぁい。産休をとったさっきの先生に代わって、今からこのクラスを担当することになりました、銀龍姫でぇす。

一同  偽名くらい使えー!(笑)

イングリッド  だいたい、産休ってさっきの先生男だったでしょうが(笑)

ユズキ  銀龍姫先生! 質問があります!(銀龍姫の手を取って廊下にダッシュ)・・・なにしてるんですかあんたは!

銀髪美女→銀龍姫大人バージョン  こぉんな楽しいイベントがあるのに私が大人しくしてるとでも思ったぁ? それにぃ、前から先生ってやってみたかったのよねぇ。

ユズキ  他の先生に見つかったら、どうするつもりですか?

銀龍姫  だぁいじょうぶよぉ。もう、校長を洗脳しちゃったからぁ。

ユズキ  分かりました。分かりましたから、大人しくしていてくださいよ?

銀龍姫  はぁい。

ユズキ  ・・・不安だ。でも気にしててもしょうがないので教室に戻りましょう。

ミレイユ  ユズキくん、銀龍姫先生と知り合いなの?

ユズキ  え? ええ。まあ・・・

銀龍姫  じゃあ、出席を取りますねぇ。

GM  出席を取る時に分かったことだが、番長の名はアルフレッド・ストロンガー。

イングリッド  ごつい名前ね(笑)

GM  美少年がクルート。そういや、名字考えてなかった(笑) で、エルファ耳の子が、アキエラ・コート。

一同  アキエラ!?

イングリッド  PCは知らないけど、アキエラって、あのアキエラ?

GM  さあ? そして、霧島3女似の女の子はサンジョ・キリシマ。

イングリッド  本名!? 本名なのそれが!?(笑)

ユズキ  本名だったら、親の顔が見てみたいものです(笑)

イングリッド  だんだん怪しくなってきたわねこの学校(笑)

GM  (しかし、僕がボケに走るとお嬢が目立たなくなるなぁ(笑))ホームルームはつつがなく終わったわけだが、その後君たちの机の周りには野次馬達が押しかけてくる。全員反応判定やってみて。

ユズキ  今後の行動を考えると、あまり目立ちたくないんですけどね(ころころ)お、「悪い」だ。

イングリッド  おなじく。でも、この反応修正じゃぁ(ころころ)あれ? 異性でも「良い」止まり。

ヒスミ  私も「良い」ですねー。

ミレイユ  ヒスミさんって、良い声してるよね。コーラス部に入らない?

ヒスミ  コーラス部かぁ、入ってみようかなぁ。

GM  この面子じゃ一番不人気はユズキか。

ユズキ  あ、キリシマの方を見てみますけど?

GM  サンジョ・キリシマはイングリッドの方を見ているんだが、無表情というか、ボーっとしているようにしか見えないため、何考えているのか分からない。

ミレイユ  ねぇねぇ、キリシマさんに興味があるの?

ユズキ  ええ。知り合いに似てたので。

ミレイユ  ふぅん。でも、彼女に手を出すなら気をつけたほうがいいわよ。彼女、不良グループを1人で壊滅させちゃうほどの猛者なんだから。

ユズキ  へぇ。詳しく話してもらえますか?

ミレイユ  キリシマさんルックスがすごく良いから、結構言い寄ってくる人が多いんだけど、人を無視したりすることがあってね。それで、不良グループのリーダーをのアプローチを無視したことがあるのよ。それで、怒ったその人が人数集めて脅しに来たんだけど・・・

ユズキ  返り討ちにあったと。

ミレイユ  見てた人の話だと、不良グループがいくらキリシマさんに掴みかかっても、かすりもしなかったそうよ。

ユズキ  霧島3姉妹と同一人物なら、霧になって攻撃をかわすくらいは容易いでしょうね。

女生徒A  ねぇヒスミさん。さっきユズキくんがあなたのこと「お嬢」って呼んでたけど、ヒスミさんってお嬢様なの?

ヒスミ  違うよぉ。ユズキは幼馴染で、お嬢はニックネームだから。

女生徒B  えぇー! 本当の幼馴染って、初めて見たぁ!

GM  さて、今回はランダムイベント表などを作ってみた。せっかくだから、誰かサイコロ一個振って。

ユズキ  6です。

GM  ふむ。すると、モーセ十戒のようにヒスミの机の前の生徒達が開いたかと思うと、番長が机の前にやってくる。そして、腕相撲の構えを取るね。

ヒスミ  ふぇ?

番長  ヒスミだったな? 俺とアームレスリングで勝負しろ。

生徒A(ユズキのPL)  ば・・・番長、いくらなんでもからかいすぎっスよ。

番長  お前・・・一見細腕だが、俺は騙されんぞ。その無駄の無い筋肉のつき方、相当腕力がありやがるな?

ヒスミ  ふぇぇぇえ!? ソ・・・ソンナコトナイデスヨ?

イングリッド  あら? ヒスミって意外と顔に出るのね(笑)

ヒスミ  うーん・・・でも、挑まれた以上は受けて立ちます。勝負です!

番長  良い心構えだ(ニヤリ)

女生徒A  ヒスミさん、大丈夫? 相手はアームレスリング部の部長よ?

ヒスミ  大丈夫です。

GM  勝負はアームレスリング技能か体力の即決勝負。先に負けのトータルが生命力に達した方の負けとする。

生徒B  よし、じゃあ、転校生vs番長アームレスリング一本勝負。レディ・・・GO!

ヒスミ  成功度5!

番長  む? 2だ。

生徒A  おお! すげぇ! 番長を押した!

ヒスミ  次に3!

番長  なんの。4だ。

生徒B  でも、さすが番長! あの勢いを止めた!

女生徒A  ヒスミさんがんばれー!

 

 体力的にはヒスミに劣るが、アームレスリング技能を修得しているため判定値では有利な番長。しばらくは拮抗した賽の目が続き中々決着がつかなかったのだが・・・

 

ヒスミ  はうぅ? 0成功?

番長  5成功だ。

ヒスミ  ま・・・負けました・・・

GM  ヒスミの手が机に叩き付けられた瞬間、教室中が水を打ったように静かになる。次の瞬間、大歓声が沸き起こるね。

生徒A  すげぇ。俺、こんなに緊張したの生まれて初めてかもしれぇねえ!

ミレイユ  番長と互角に戦うなんて、ヒスミさんすごーい!

女生徒B  なあ、あんた。うちのチームに入らないか?

ユズキ  この学校、レディースがあるんだ(笑)

ヒスミ  はう? ごめんなさい。

番長  ちっ・・・まだ手が痺れてやがる。予想以上の力だぜ。なあ、あんた。アームレスリング部に入ってみないか? あんたなら、大歓迎だぜ。

ヒスミ  ごめんなさぁい。もうコーラス部に入ろうって思ってるの。

番長  そうか。残念だ。

GM  そう言って、番長は自分の席に戻った。

ユズキ  さすが番長。僕達にできないことをやってみせる! そこに痺れる憧れるぅ!

GM  どこのDIOの取り巻きだお前は(笑) その時、ジャージを着た中年の教員が教室に入ってくる。背もかなり高く、なかなかに彫りも深い美中年だ。

ヒスミ  わぁ、素敵ぃ・・・

ユズキ けっ!

一同  (笑)

美中年  おーい、お前ら席に着け。授業を始めるぞー。っと、そうだ。このクラスには転校生がいたんだったな。自己紹介をしておこう。俺の名前は、ウィルハイム・コート。国文学の非常勤講師をしている。

一同  ウィル!?

イングリッド  (ユズキに)親子そろって何やってるのよあんたらは?

ユズキ  いや、僕に言われても(笑)

GM  そして、つつがなく授業が始まるんだが、ウィル先生はアキエラに問題を当てるときだけやたら易しい問題を出しているように見える。

アキエラ(実はヒスミのPL)  パパ! ・・・じゃなくて、先生! 公私混同はやめてって、いつも言ってるでしょ!

ウィル(ユズキのPL)  はっはっは。パパは公私混同なんてしてないぞぅ。

一同  (笑)

ユズキ  (ミレイユに)あの2人、親子なんですか?

ミレイユ  ええ。ウィル先生も、あれさえなければ良い先生なんだけどねぇ。

ヒスミ  小テストの時に、アキエラにだけこっそり簡単な問題を渡してそうです。

ウィル  はっはっは。もちろんじゃないか。「手品」技能持ちを舐めるな。

イングリッド  威張るな(笑)

GM  しかし、できちゃった子の割に、えらく溺愛してるよな(笑)

ウィル  できちゃっただろうがなんだろうが、生まれた子はかわいいものですよ。な、アッキー。

一同  (爆笑)

イングリッド  (笑をこらえながら)アッキーって・・・

 

 授業もつつがなく進んで行き、昼休みの時間になった。一行はこの時間を利用し校内を回ろうと考えていたのだが、そうはさせないと言わんばかりに野次馬達が集まってきたため断念。情報収集は放課後に行うことにする。

 そして放課後。ヒスミはミレイユとの約束どおりコーラス部の部室へ向かい、ユズキはそのお供について行く。そして、イングリッドは部活見学と称して校内を見学して回ることに。

 

ヒスミ  コーラス部の部室は、どこですか?

GM  音楽室。

ヒスミ  じゃあ、そこに行きます。

GM  (ランダムイベント表をふって)音楽室に向かう途中グラウンドが見渡せる場所があるんだが、そこに差し掛かったとき、ふと違和感を覚えた。

ユズキ  なんでしょうか?

GM  その原因はすぐに分かる。グラウンドを全速力で何週も走っている2人組みがいるからだ。2人とも足も速い。

アキエラ  邪魔しないでよパパ!

ウィル  (並走しながら)はっはっは。どうしたアッキー。ペースが落ちてるぞぉ!

アキエラ  全力で走って引き離してやる。

ウィル  はっはっは。俺のほうが足速いし、円周の内側を走ってるから引き離すのは無理だぞぉ。

アキエラ  むきー!

一同  (笑)

ユズキ  何者でしょうかあの2人?

ヒスミ  普通、並走する先生って自転車使うよね?

ユズキ  いや、突っ込むのはそこじゃないと思いますよ(笑)

GM  そんなことを気にしつつも、音楽室の前に立つと、軽快な音楽と共に、「俺の歌を聞けー!」というシャウトが聞こえてくる。

ヒスミ  え? ここってコーラス部じゃないの?

ユズキ  俺の歌を聞け? 確か、<表裏のコイン>を襲撃した人たちの中に、そんなことを言う人がいたはず・・・

ヒスミ  音楽室に入ってみますけど?

GM  そこには、髪を逆立ててラフな衣装を着た青年がギターをかき鳴らしている。その隣にはミレイユもいるね。

ヒスミ  あのぉ、ミレイユさん。

ミレイユ  (曲を止めて)あ、ヒスミさん。来てくれたんだね。

ヒスミ  ここって、コーラス部じゃなかったの?

ミレイユ  あはは。ごめんね。コーラス部は部員が少なくて、軽音楽部の何人かに兼部してもらってるの。それで、今日は軽音楽部の練習の日。

ヒスミ  なんだ、そっかぁ。

ミレイユ  先生を紹介するね。音楽教師で、軽音楽部の顧問の・・・

バーン  バーン・バニングだ。よろしくな!

GM  ラフな衣装の青年のことね。

イングリッド  バーン・・・熱気ね(笑)

ユズキ  ああ、だからピンク色の髪でミレイユ・ジュナスなのか(笑)

GM  なお、ミレイユの母親はこの街の市長。父親はアストリアで海軍旗艦の艦長を勤めている、マクシミリオン・ジュナス。

ユズキ  略してマックス艦長には変わりありませんね(笑)

ミレイユ  それで、ヒスミさん。コーラス部に入ってくれる?

ヒスミ  あ、ごめんなさい。他にも部を見て回りたいから・・・

ミレイユ  そう、残念。ユズキくんは?

ユズキ  僕は、あまり歌は得意じゃありませんので。

バーン  ハートを相手にぶつける。それが歌だ。技術なんてのは後からついてくるもんだぜ!

 

 ユズキは、自分も他にも部をまわってから決めたいとその場はスルー。

 その間、イングリッドはなんとなく魔法研究会へ向かっていた。

 

GM  イングリッド。ちょっと「魔法理論」で判定してみて。

イングリッド  成功したけど?

GM  だったら、魔法研究会が黒板に書いている魔方陣。遠目に見ているだけでいくつかミスが見つかった。その前で会員たちがあれは違うこれは正しいと話しているが、その意見も見当はずれ。

イングリッド  ちょっと、あんたたち!

会員  な、なんですかあなたは?

イングリッド  (黒板の前に立ち、魔方陣を修正し始める)

会員  あ! いきなりなにをするんですか!

イングリッド  いい? この魔方陣はうんぬんかんぬん!

会員  え? な・・・なるほど! この配置がこれでそれがあれだったわけですね!

外野のヒスミ  何を言っているのかさっぱりです(笑)

イングリッド  そうよ。分かればよろしい。

会員  なんてことだ。あれだけ長い間議論して、こんな単純なことが分からなかったなんて。

イングリッド  理論も重要だけど魔法は実践あるのみよ。いざ使ってみると、まったく別の効果のときとかもあるんだからね。

外野のヒスミ  色とりどりの閃光があがるとか(笑)

イングリッド  それもあるけどね(笑)

会員  あの・・・

イングリッド  なに?

会員  あなたはどなたですか?

イングリッド  あ、転校生よ。ちょっと見学に来てただけ。・・・素人相手にむきになっちゃったわ(そそくさと立ち去る)

会員  あ、待ってください! ぜひうちの会に入ってくださいー!

イングリッド  ごめんねー。他にも色々回るつもりだから。

 

 そんなことをしていて、これといって<梟>にまつわる情報を得ることはできなかった。

 こうして、学園生活1日目は終了。一行は<風龍会>本部で合流し、今後の方針を検討する。

 

ヒスミ  <梟>の話は出てこなかったけど、初日だからねー。

イングリッド  いきなり証拠がぽろぽろ出てきたらそのほうが怪しいわよ。

ユズキ  まず怪しいのはバーン先生です。それと、PL的には疑いたくはありませんが、ウィル先生とアキエラ。

イングリッド  霧島は?

ユズキ  露骨過ぎて、GMのミスリードな気がするのですよ(笑)

GM  気持ちはよく分かる(笑)

ユズキ  明日は、この3人を中心にクラスで話しを聞いて見ます。よろしいですかお嬢?

ヒスミ  そうだね。そうしましょう。

イングリッド  そっちは任せたわ。私は、クルートって子のことを調べてみるから。

ヒスミ  イングリッドさんに、目を付けられちゃってます(笑)

イングリッド  銀龍姫はどうする?

ユズキ  彼女は本当に面白がっているだけだと思います。気にしない方が得策だと思いますよ。ただ、彼女がどんな授業をしているのかは、かなり気になるところですけど(笑)

 

Needle

 

 そして翌日。

 登校した一行は、クラスメイトから不審がられない程度に、件の人物の情報を聞き出す。

 

ウィルハイム・コート
 8巡りほど前に非常勤で学校にやってきた、国文学の教師。いつもジャージを着ていて娘に甘々ということを除けば、冗談が好きで人に好まれる良い先生らしい。
 あの風体ながらシャストアの高司祭位を持ち、時々見せる超人的身体能力は魔法の力のお陰だと言っているらしいが、真偽は不明。
 街中の集合住宅に家を借り、エルファの妻と娘のアキエラと共に暮らしている。
 陸上部所属の男子がシャワー室でウィルと会ったことがあるが、刺青らしきものは無かったらしい。

 

アキエラ・コート
 ウィルの娘で、ウィルと同時に編入してきた。
 とにかく感情的で考えるより先に手が出るタイプだが、情に厚く弱いものいじめなどは決して見逃せない姉御肌。
 頭が良く成績もかなり良い。特に国文学はトップレベル(笑)
 セクハラ教師を半殺しにしたり、不良グループを一人で壊滅させたり、番長にアームレスリングで勝ったりと、武勇伝は多い。

 

ユズキ  8巡り前に非常勤ってところが、僕達と同じ目的なんじゃないかって気にさせてくれますね(笑)

イングリッド  刺青も無いみたいだし、<梟>とは無関係かしら?

ヒスミ  昼休みに会ってお話してみませんか?

ユズキ  そうですね。

 

バーン・バニング
 軽音楽部の顧問も担当する音楽教師。
 教え方もうまく、ルックスとファッションセンスもなかなか良いので、生徒間の人気はわりと高い。しかし、いつでもどこでも歌いだす悪癖としばしば発するシャウトで煙たがっている人もかなりの数にのぼる。
 独身だが市内に家を持ち、そこでバンド仲間と暮らしているらしい。
 また、ミレイユによると肩口から胸にかけて炎の形を模したような刺青をしているらしい。

 

ヒスミ  ミレイユさん。なんでそんなところにある刺青のこと知ってたのかなぁ?

イングリッド  そういう仲なんじゃない?

ミレイユ  (お願いのポーズをして)刺青を知っていることは秘密ね? 学校にばれると、退学になっちゃうかもしれないから。

ユズキ  もちろんですよ。刺青もちで、「俺の歌を聞け」です。2つも疑う余地があるので、要注意人物と言ったところでしょうか。

GM  そうそう。刺青のことについて尋ねているんだったら、番長ことアルフレッド・ストロンガー氏の二の腕にはカブトムシの刺青があるらしい。

イングリッド  なるほど。だからストロンガーなのね(笑)

ユズキ  いえ、トパーズのタディオでしょう(笑) でも、あの人でしたら普通に刺青つけててもおかしくない気はします。一応今日の放課後にでも話しを聞きに行ってみましょう。

 

サンジョ・キリシマ
 今年初めの入学時からずっといた人物。
 入学当時から人に干渉されること、することを嫌い、いつもボーっとした雰囲気をかもし出している。
 不良グループを1人で壊滅させたという伝説はあるが、それ以外に目立った噂は無い。
 教頭室周辺で、よく見かける。
 どこに住んでいるかなどはわからないが、2人の姉がいるらしい。

 

イングリッド  3姉妹の3女なら、もちろん姉はいるでしょうね。

ユズキ  僕としては、あの名前が本名なのか気になるところです(笑)

GM  偽名で入学してきた可能性もあるだろうけど、そこまで詳しく確かめる術はない。少なくとも入学当初からサンジョ・キリシマだった。

ユズキ  そして教頭室か。学園もののお約束として、教頭や校長、理事長を探ってみる必要もあるかもしれませんね。

GM  公立学校だから、理事長はいないよ。

イングリッド  あとはクルートくんの事についても聞いてみましょうか。別に怪しくはないけど個人的趣味で(笑)

 

クルート(名字なし)
 科学部の部長をつとめている、15歳でペローマの神官位を取った天才少年。
 頭はいいがいつもおどおどしていて、不良グループからいじめを受けていたようだ。ただ、最近はまったくそんな様子は無い。番長やアキエラ、キリシマに敗北を続け、不良グループも大人しくなったのかもしれない。
 学校の寮に住んでいる。

 

イングリッド  科学部の部長ね。放課後に顔出してみようかしら。

ユズキ  個人的に、最近いじめられなくなったというのも気になります。不良グループは負けのストレスを発散する場所が必要のはずですから、負け続けたからいじめられなくなったは変ですし。

ヒスミ  いじめ、かっこわるいです。

 

 その日の昼休み。ヒスミとユズキはウィル先生に会うために職員室へと向かった。そこで、ウィル先生は昼休みはいつも屋上でお弁当を食べていると聞き、屋上へと向かう。

 

外野のイングリッド  これがサマルトリアの王子だったら、この後に音楽室、その次に教室にって、たらい回しにされるでしょうね(笑)

GM  (ランダムイベント表をふる)それはない。しかし、職員室を出たときに、ヒスミとユズキは校舎裏の茂みから出てくる女性のエルファと目が合う。

ヒスミ  エルファ? アキエラさんじゃないの?

GM  似てるけど、違う。君たちと目が合ったエルファは、「しまった」とでも言いたげな顔をして姿を隠した。

ユズキ  何だったのでしょうか?

ヒスミ  さあ?

外野のイングリッド  PL的には大体想像ついたけど(笑)

ユズキ  気にはなりますが、まずは屋上へ行きましょう。

GM  では、屋上。そこではラヴラヴオーラを発しているウィルと、さっきの女エルファ。そして2人に背を向けてもくもくとお弁当を食べているアキエラがいる。

ウィル  ライカっちは優しいなぁ。忘れたお弁当をわざわざ持ってきてくれるなんて。

外野のイングリッド  やっぱりライカか(笑)

イカ  ウィルったら。仕事中でもあたしに会いたいから、わざと忘れて行ったくせにぃ。

ウィル  ライカっちにはかなわないなぁ。

ユズキ  あのぉ・・・

ウィル&ライカ  !!

GM  ライカは猛スピードでフェンスを飛び越え、回転しながら地面に着地。そのまま逃走する。

ヒスミ  す・・・すごいです! こんな高いところから飛び降りて、大丈夫なのでしょうか?

GM  とか思って下を覗くと、走り去っていくエルファの姿が。下はちょっとした騒ぎになっている。

外野のイングリッド  ジャングエルファの癖に目立ちすぎよ(笑)

ユズキ  あの、ウィル先生。今の人は?

ウィル  はっはっは。俺の嫁だ。美人だっただろ?

ユズキ  (呆気にとられて)はぁ・・・

ヒスミ  (アキエラのお弁当を見て)卵焼き、おいしそう・・・

アキエラ  ・・・1つ食べる?

ヒスミ  はい! いただきまーす。あむあむ。

GM  ライカ、ちょっと「調理」技能で判定してみて。

イカ  あら? 1成功しかしなかったわ。

GM  じゃあ、ヒスミの家の料理に比べれば・・・

ヒスミ  お母さんの愛情が入ってて、とってもおいしいですぅ。私お母さんの味って知らないから。

ユズキ  お嬢・・・(思わず涙)

アキエラ  ・・・もう1つ食べる?

ヒスミ  わーい。いただきまーす。

ウィル  はっはっは。そうだろうそうだろう。ライカっちの料理は最高だからなぁ!

外野のイングリッド  あんた、普段から妻のことを「ライカっち」って呼んでるわけ?

ウィル  照れ隠しに決まってるじゃないか。2人っきりの時は「ライカたん」って呼ぶさ。

一同  (白い目でウィルを見る)

ウィル  ・・・ごめん、冗談。

GM  外したな(笑)

ユズキ  その話は置いておいて、ウィル先生に聞きたいことがあるんです。

ウィル  はっはっは。何だね?

ユズキ  あなたたちの目的は何ですか? 何故、この学校に?

ウィル  それはだな。森・・・

GM  その瞬間、ものすごい勢いでアキエラが飛び蹴りを放ってくる。

ユズキ  ちっ! もう少しでうっかり口を滑らせることができたのに(笑)

GM  ウィルは吹き飛び、フェンスに激突するがピンピンしている。

ウィル  良いパンチだな。だが、まだまだ。

アキエラ  キックだ。

ユズキ  まだまだって、あんな攻撃喰らったら、普通の人間は死にますよ?

ウィル  ま、俺たちは少し特殊ってことだ。

外野のイングリッド  ねえGM。ウィルの性格、少し違わない?

GM  そこはそれ。シャストア信者だから。

外野のイングリッド  なるほど(笑)

ウィル  ま、俺たちが何故この学校に来ているかだったな。俺からしてみれば、なぜあんたらがこの学校に編入してきたかの方が知りたいんだがな。(ヒスミに)なあ、<風龍会>のお嬢さん?

ヒスミ  ふぇぇぇぇ!?

ユズキ  はっはっは。なに言ってるんですか。ウィンドドラゴンさんは、お嬢ですよ!

外野のイングリッド  あんたこそ、何を言っている(笑)

ユズキ  はっ! いつもの癖で(笑) ユズキくんはお嬢をお嬢以外の名前で呼べないみたいです(笑)

ウィル  その反応を見る限り、俺の情報も間違っちゃいなかったようだな。

ヒスミ  やっぱり、ウィル先生たちも何かするためにこの学校に来たんですね? あむあむ。

アキエラ  そろそろ止めてもらわないと、私の分がなくなるんだけど?

ヒスミ  はぅ!? ごめんなさい。

ウィル  今後のことを考えると、あんたらにも話しておいた方がいいかもな。お互い協力できることもあるかも知れん。

ヒスミ  ウィル先生もアキエラさんもいい人みたいです。

ユズキ  そうですね。

 

 ユズキたちはウィルを信用し、この学校に来た経緯を詳しく話すことにする。

 

ウィル  なるほど。<朝焼けの梟>ね。

ユズキ  ウィル先生は<梟>関係者ではないのですよね?

ウィル  関係者といえば、関係者だな。もっとも、敵対関係って奴だが。

ユズキ  次に、あなたたちの目的を話していただけませんか?

ウィル  そうだな。俺たちは、針を探してこの学校に入ってきた。

ヒスミ  針ですか?

ウィル  ああ。あんたらの話に出てきた、特殊能力を持った刺青を彫るための針だ。

 

 ウィルの話によると、西ネクロス島西南に位置するエルファたちの住む「エストの森」から、数年前にその針が何者かによって盗まれたのだという。その針はかつてある魔術師が開発したもので、針そのもの力は邪悪ではないが、あまりに容易に<悪魔>の力などを利用することができるため、危険な代物として森が封印していたのだという。

 盗まれた針の行方は長い間エルファたちが追っていたが成果は上がらず、半年ほど前にウィルの妻、ライカに調査の依頼が回ってきた。独自のルートから針の調査をしたところ、針を奪ったのは闇タマット<朝焼けの梟>。そして、この学校が<朝焼けの梟>の拠点の1つだと知り、8巡り前に生徒と先生として潜入したのだという。

 

ウィル  ま、そういうわけだ。

ユズキ  この学校が<梟>の拠点の1つなのは、間違いないのですか?

ウィル  悪いが、そこまではわからねぇ。少なくとも、俺の情報ではそうだったってだけだ。

ユズキ  もう少し、詳しく調べる必要はありそうですね。

ウィル  とにかく、お互いの目的は近いものがある。昼休みごとに、ここに集まって情報の交換をしようじゃないか。

ユズキ  それでいいですか、お嬢?

ヒスミ  もちろんです。

 

 ウィルとの協力を取り付けたヒスミとユズキは教室へと戻り、急ぎお弁当を食べる。

 校内をうろついていたイングリッドは、これといった遭遇も無いまま昼休みを終えた。

 そして放課後。ヒスミ&ユズキは番長のいるアームレスリング部へ。イングリッドは科学部の部室へと向かう。

 

GM  (ランダムイベント表をふってもらい)面白い目が出たな(笑) 両方科学室で起こったことにするか。

イングリッド  嫌な予感がするわ(笑)

GM  まずは、アームレスリング部から。この部はアームレスリング部兼、応援団部だそうだ。

ヒスミ  濃ゆ(笑)

ユズキ  この学校は、掛け持ちの部が普通なんでしょうかね(笑)

GM  で、番長はYシャツになってアームレスリングをしているんだが、確かに上腕二等筋に甲虫の刺青が彫られている。

ヒスミ  試合が終わったら呼んで話を聞いてみます。

番長  転校生か。どうした。アームレスリング部に入る決心でもついたか?

ユズキ  いえ。そうではないのですけれど、番長の腕についている刺青が気になって。

番長  刺青? ああ、この痣みたいなやつか。

ユズキ  その痣はいつ?

番長  詳しくは覚えていないが、しばらく前に部活で帰りが遅くなった時があってな。帰宅した記憶がないんだが、いつの間にか寮の自室で眠っちまっていたことがある。その時についた痣だろうな。原因は分からん。

ヒスミ  甲虫みたいで、強そうです。

番長  まあな。俺も実は気に入っている。なんだ、そんなことを聞きたかったのか?

ユズキ  ええ。ここの生徒じゃない知人に、いつの間にか刺青が彫られていたって人がいるんですよ。この学校でもそういうことが起こっているって聞いて、刺青があるっていう番長から話を聞こうと思って。

番長  ああ、その話は何度か聞いたことがあるな。もっとも、俺のは刺青じゃなくて痣だと思うんだが。

ヒスミ  刺青彫られた人で、番長は誰か知りませんか?

番長  さあな。だが、俺の舎弟なら誰か知っている奴がいるだろう。今呼んできてやるよ。

ヒスミ  ありがとうございます。

 

 番長の舎弟の話によると、気付かないうちにこの手の痣が体についた生徒は番長以外にも何人もいるという話を聞く。その中の一人に、クラスメイトのクルートも入っていた。

 

ユズキ  戦闘員育成じゃなくて、幹部怪人育成をしていたわけですね(笑)

GM  さて? では、イングリッド。科学部の部室だ。

イングリッド  クルートくんを探してみましょう。

GM  すぐに見つかる。

イングリッド  クルートくん。私、科学部に入部しようと思ってるんだけど見学させてくれる?

クルート  え? ええ。では、副部長を呼んで・・・

イングリッド  (必要以上に顔を近づけて)私は、あなたに、案内して、欲しいの。

クルート  (顔を真っ赤にして)え・・・あ・・・はい・・・

イングリッド  ふふ、かわいい。

GM  んでは、真っ赤になったクルートくんが、しどろもどろに部の説明をしてくれる。・・・文明レベル4の科学って、どんなことができるんだ?

イングリッド  さあ?

ユズキ  でんぷんをじゃがいもにたらせば紫になるよ(笑)

GM  小学生の理科かよ(笑) それよりは専門的だろう。電離分解・・・は無理か。錬金術のある世界だから、原子配列変換?

ヒスミ  なんか、すごいことしてます(笑)

GM  わからないから、それなりに専門的なことをしてると(笑) で、部員の1人が溶解液を服にたらしてしまい服に穴が開いた。それを見ていたほかの部員が、「用務員のおじさんに縫ってもらったらどうだ? あの人きれいな針持ってたから、縫い物とか得意かもしれないぜ」とか冗談交じりで言ってる。

ユズキ  本気だったら、すごい理屈ですよね(笑) しかし、針ですか。ウィル先生の言っていたものと何か関係が?

GM  んで、そんなことを話している隣で、なにか実験器具がすごい煙を発しだした。なんか、危なげな音もしだす。で、部員達が「逃げろー!」と騒ぎ出す。

イングリッド  ・・・え?

 

 その瞬間。イングリッドの視界は真っ白になった・・・

 

GM  科学室で実験の失敗による爆発が起きたと、学校中が騒ぎになる。

ユズキ  行きましょう。さすがに魔銃は使えませんが「応急処置」技能なら持っているので、少しは役に立てると思います。

GM  衝撃波は部室の窓にひびを入れるほど強力なものだが、幸い死者はいないっぽい。イングリッドも3Dダメージ受けておいて。

イングリッド  最大ダメージだと死ぬんだけど、11点ね。キャンペーン始まって初の気絶ダメージがこんななんて・・・(気絶)

ヒスミ  イングリッドさんが危険です!(笑)

ユズキ  ウィル! あいつなら回復呪文が使えた!

GM  こらこら、PCはそんなことしらんだろう。まあ、あいつの性格からすると、自主的に駆けつけてきて治療を始めるだろうけど。

 

 その後駆けつけた保険の先生や、「大治癒」の使えるウィル先生らにより、生徒たちは治療される。しかし、今回の事故の責任を取らされ科学部は無期限活動停止処分を受けてしまった。

 

イングリッド  せっかく入部しようと思ったのに・・・。クルートくん、残念がってるだろうね。慰めてあげないと。うふ・・・うふふふふふふ。

ヒスミ  イングリッドさんが怖いです(笑)

ユズキ  そういえば爆発が起こったタイミングって針の話が出た直後でしたよね? まさか、口封じに・・・

GM  (思わず)それは考えすぎだ。

一同  (笑)

 

 この事故により今日は早期閉門されることとなったため、ヒスミとユズキはコーラス部には顔を出さず帰宅。イングリッドも多少痛む体を引きずり<風龍会>へと戻った。

 

ユズキ  イングリッドさんに「大治癒弾」を打ちます。

イングリッド  ありがとう。でも、毎度毎度思うけどシュールな光景よね(笑)

GM  うっかり弾を間違えたら大変なことになるよな、これ(笑)

ユズキ  暗殺に使えるかも。ターゲットの目の前で回復しているところを何度も見せて、ターゲットには弾丸を入れ替えて撃ち込む。

GM  そりゃ、相手は油断するわなぁ。

ヒスミ  そんなことすると、男の株が下がっちゃうよぉ。

ユズキ  そうですね。そんな手段は最悪です!

ヒスミ  そういう方法は、相手が<悪魔>とかのときだけにしようね。

 

 そして、一行は情報を交換し合い、両者が得た「針」と「刺青」というキーワードに注目する。

 

ユズキ  用務員の持っていたという針については、明日ウィル先生に話してみませんか?

ヒスミ  そうしましょう。

イングリッド  私は、昨日の生徒にもう少し詳しく話しを聞いてみるわ。

 

 翌日の朝。イングリッドは、「立ち入り禁止」と書かれた部室前で肩を落としている、クルートくんを発見する。

 

イングリッド  クルートくん。怪我は大丈夫?

クルート  イングリッドさん・・・はい。でも、せっかく入部したいって言っていただけたのに、こんなことになってしまって・・・

イングリッド  いいのよクルートくん。私は、クルートくんの近くにいたかっただけだから。

クルート  え? (真っ赤になって)えええええ!? か・・・からかわないで下さいよ・・・

イングリッド  からかってるわけじゃないわよ。まだ朝のホームルームまでは時間があるし、色々君の事、教えて欲しいな。

クルート  (反応判定して、結果は「最高」)・・・はい・・・

 

 イングリッドは談笑の中で、クルートから刺青のことを聞く。

 

クルート  な・・・なんでそんなことを?

イングリッド  私はこの学校にある目的を持って潜入してるの。その目的と、あなたの刺青が関係あるかもしれないのよ。これ、2人だけの秘密ね?

GM  (うまいなぁ(笑))

クルート  刺青みたいなものは、あります。

イングリッド  どこに?

クルート  (真っ赤になってうつむく)

イングリッド  (心の中で邪悪な笑みを浮かべながら、ささやくように)お姉さんにだけ、こっそり教えてくれない? 誰にも秘密にするって約束するわ。

クルート  お・・・お尻に、犬の刺青を・・・

イングリッド  か・・・かわいぃー! 抱きしめたいけど我慢しよう。

クルート  この刺青が彫られてから、なぜかいじめにあわなくなったんです。

GM  刺青の効果は、周囲に守ってオーラを発するものだと思いねえ。

ユズキ  ギーレンあたりがつけたら、即破裂しそうな代物ですね(笑)

イングリッド  教えてくれてありがとう。今日のことは、2人だけの秘密よ?

クルート  は・・・はぃ・・・

 

 そして昼休み。イングリッドは、科学部員から用務員が持っていたという針について詳しく話を聞く。

 

GM  なんでも、授業サボってうろついていた時に、金色の綺麗な針を用務員が大事そうに箱に入れて、机の中に片付けていたのを見たことがあるらしい。

イングリッド  机の中ね・・・

 

 ヒスミ&ユズキは、屋上でウィル先生とアキエラに用務員と針のことを話す。

 

アキエラ  用務員室だな!

GM  アキエラは、屋上から飛び降りる。ウィルも「まずい!」と言ってアキエラを追いかけるが、出だしが遅れたため追いつけない。

ユズキ  話したのは失敗だったかもしれません。追いましょう。階段から。

ヒスミ  さすがに、屋上からは飛び降りれないもんね。

GM  用務員室の前には、人だかりができている。

ヒスミ  遅かったかもしれません。

ユズキ  中の様子、見られませんか?

GM  視覚判定ね。

ヒスミ&ユズキ  成功しました。

GM  そこには両腕が変な方向に曲がり、胸が陥没した用務員の死体があった。

ユズキ  どんな殺され方をしたんだ?

外野のイングリッド  メタ情報だけど、アキエラの必殺技ってパロスペシャルなのよねぇ(笑)

ユズキ  ああ、それなら確かに両腕がへし折れる(笑)

GM  しばらくすると、生徒達も用務員が死んでいることに気付き始める。腰をぬかす生徒や「ガヤンを呼べ」と叫ぶ生徒。職員室に走っていこうとして腰をぬかした生徒にぶつかる生徒など、中々に混乱し始める。

ヒスミ  何とかしたいと思わなくもないけど、今は目立たない方がいいよね。

ユズキ  そうですね。

 

 その後、駆けつけたガヤン信者によって生徒たちは教室に戻される。そして、学校は生徒達を早退させることにした。

 

ユズキ  詳しい話は、今度ショウさんにでも聞けばいいので、帰りませんか?

ヒスミ  そうだね。今下手に動いたら、私たちが疑われるかもしれないし。

 

 翌日。学校は休校となり、ユズキはショウから話を聞くことに。

 

ショウ  管轄は違うが多少の情報はあるな。部屋には荒らされた形跡があり、用務員の指紋がついた短剣が発見されている。死因は胸部打撲によるショック死。心臓の陥没具合からかなりの質量の鈍器を使ったはずなんだが、そのわりには傷の周りに裂傷が無い。オーガーのような怪物にでも踏み潰されたのかね?

ユズキ  部屋から魔法の針は見つかりませんでしたか?

ショウ  針? そんな話は聞かねぇな。

ユズキ  ありがとうございました。

ショウ  いいってことよ。今度、お前の親父さんに酒でもおごってもらうさ。

ユズキ  親父からは、好きなだけむしり取ってもかまいませんよ。

一同  (笑)

 

 一行は、この殺人は2通りの可能性があると考える。1つは、屋上での話を<梟>幹部に盗み聞きされ口封じに殺された。もう1つはウィルたち(というかアキエラ)が勢い余って殺してしまった。

 

ユズキ  勢い余って殺すかぁ(笑)

イングリッド  血は争えないわねぇ(笑)

 

 一行は、今度学校に行った時ウィルがいれば前者の可能性が高いだろうなーと話しつつ床についた。

 そして翌日、登校した一行を持っていたのは・・・

 

ウィル  (頭を下げて)すまん。俺たちが殺した。

一同  (爆笑)

ウィル  (アキエラの頭を抑え)ほら、おまえも謝れ。

アキエラ  (それに抵抗して)い・や・だぁぁぁぁ! あいつは短剣持ってたんだよ! 殺さなきゃ、こっちが危なかった!

ウィル  いつも言ってるだろうアキエラ。油断はするな。過小評価もするな。でも、相手の実力は見抜けって。あの程度の相手なら、俺らにはかすり傷1つ与えられない。

GM  アキエラはショボーンとする。

ウィル  すまないね。こいつの身体は成人以上なんだが、精神面が未熟なんだ。

イングリッド  ハーフエルファだから、精神と肉体の成長のバランスが取れてない?

GM  そういうことだ。ついでに言うと、知識と倫理のバランスも悪い。実に不良になりやすいタイプなわけだ。

ユズキ  それで、針は見つかったんですか?

ウィル  ああ。

GM  ウィルは、美しい装飾が施された黄金の針を取り出す。

ユズキ  針を手に入れたなら、この学校にいる必要は無いのでは?

ウィル  今姿を消したら怪しまれるだろう? 俺らは捕まるわけにはいかんのよ。

ユズキ  なるほど(笑)

ウィル  契約が切れる今年一杯はこの学校にいるつもりだよ。あんたらには針の情報をもらったわけだし、次はこっちが協力するよ。

ユズキ  渡世の仁義だ。この人任侠っぽくてかっこいいかも・・・

ヒスミ  ほんとぅ。かっこいいねー。私より背、高いしー。

ユズキ  ・・・っけ。何だこんな奴。

一同  (笑)

 

 こうして、かつての自分の分身をどんどん嫌っていくユズキくんであった(笑)

 それはともかく、一行は、屋上で今後の行動方針について話し合う。

 

ユズキ  用務員が死んだので、他に学校に潜む<梟>への手がかりを1つ失いました。

ウィル  ほんっとーにスマン。

ユズキ  いえ。その話はもういいんです。それで、僕はバーン先生に話しを聞いてみたいと思うんですよ。

ウィル  バーンに? あいつが怪しいのか?

ユズキ  ええ。かくかくしかじかで、説明します。

ウィル  ・・・なるほどね。だが、あいつがねぇ・・・

ユズキ  針を奪われたことで組織が取り戻しに来るのが確実であれば、このまま待つと言う手もあります。ただ、もし学校から撤退された場合、さらに闇に潜られ手がつけられなくなる可能性もあります。だから、早めに行動したほうがいいと思うんですよ。

ヒスミ  なるほど。さすがはユズキです。

GM  (今回のシナリオ、学校の調査が目的だったはずだが・・・まあいいか。やる気満々みたいだし(笑))

ユズキ  それで、今のところ手がかりになるのはバーン先生だけ。少々荒っぽい方法でも話を聞き出したいと思います。

ヒスミ  その前に、まずは話し合いをしましょう。

ユズキ  もちろんです。それでもダメならの話です。

イングリッド  でも、どうする? 荒っぽいことって言っても学校に武具は持ち込め・・・あ、ウィル先生の実験を手伝うとか何とか言って、ローブでも着ていけばいいか(笑) シャストア信者だし。

ヒスミ  それはいい手です。

ウィル  おまえら、シャストア信者を何だと思ってるんだよ(笑)

ヒスミ  ダメですか?

ウィル  いや、全然OKだ。

 

 その日の放課後、謎のローブの集団が音楽室へと向かった(笑)

 

青春ヤング伝説

GM  音楽室内にはミレイユとバーンがいるんだが、君たちを見て驚いている。

イングリッド  そりゃそうよね(笑)

ユズキ  バーン先生。お話したいことがあります。できれば、ミレイユさん抜きで。

ミレイユ  あなたたち、多人数で押しかけてきてどういうつもり!

バーン  ミレイユ。待て。

GM  バーンが子守唄を口ずさむと、ミレイユは眠りにつく。バーンはミレイユを抱きかかえ、椅子の上にもたせ掛ける。

バーン  (ギターを構えて)あんたらが何者かは知らねぇが、また俺の「アニマ」の刺青の力ってやつを利用しようって連中か? だったら、力ずくでもお帰り願うぜ!

ヒスミ  待ってください! 今日は話を聞きに来たんです!

バーン  武装した多人数で1人を囲みこんで「話を聞きに来た」だあ? そういうのは「話さなければ実力行使」って言ってるようなもんだぜ!

イングリッド  言われてみればそうね(苦笑)

GM  いや、最初に気付けよ(笑) 大抵のゲームじゃフル武装して情報聞きに行くの当たり前みたいになってるから仕方ないかも知れんけど。

ユズキ  待ってください! <朝焼けの梟>のことや、学校のこと、生徒に彫られた刺青のことなど、こちらの情報を全て話します。僕たちは、そいつらを止めようと思ってるんです。

バーン  あん? 教頭の奴ら、まだそんなことしてやがったのか?

ヒスミ  教頭?

バーン  ああ。用務員と一緒に生徒を拉致して危険な刺青を彫ってやがるのを知っちまってな。まあ、俺の刺青も奴等に彫られたんだが。で、ちょいとお灸を添えてやったから、もうしていないと思ったんだが・・・

ユズキ  あなたは、<朝焼けの梟>の一員ではないのですか?

バーン  少し前に騙されて協力しちまったが、そんな組織に入った覚えはないぜ。

ヒスミ  騙されたって?

バーン  街での争いを止めるためだと言われて、マフィアたちの前で歌ったんだが、連中、動けなくなった奴らを拘束したって話じゃねぇか。

ユズキ  ギーレンが<表裏のコイン>を襲撃したときの話ですね。

イングリッド  さっき教頭って言ったけど、校長先生は関係ないの?

バーン  関係ない。俺が呪歌を使って確かめたから、間違いねぇ。

ヒスミ  悪いのは教頭先生です!

??  そぅの通りだぁ!

GM  勢いよく音楽室のドアが開かれ、嫌味そうな面長の顔した、初老の男が入ってくる。

ユズキ  あなたが教頭ですね?

教頭  いっかにも! わっしが中央区サリカ高等学校の教頭である!

イングリッド  名前は?

GM  考えてない(えっへん)

一同  いばるな!

ユズキ  とにかく、あなたも、あなたの組織ももう終わりです。あきらめて投降しませんか?

教頭  愚ぅかな! わっしのことを知っているのは貴様らのみ! わっしの巻貝の刺青、ドゥリル! の力を持ってすれば、貴様ら如き黙らせるのは容易いことだぁ!

GM  教頭の両手の先が、横に高速回転する突起へと変わる。

イングリッド  ゲッター2ね。

教頭  そぅして、バーンのアニマの力など、サウンドプロテクター(耳栓)の前には無ぅ力! さあ、覚っ悟するがよい!

ユズキ  こっち、ウィル先生がいるんですけど?

教頭  ・・・・・・・・・・・・

一同  ・・・・・・・・・・・・

GM  しまったぁぁぁぁぁぁぁ!!

一同  (爆笑)

イングリッド  よし、勝った(笑)

GM  ぬぅ・・・。途中全然出番無かったから、インパクトのある登場狙っちまったぜい。ウィルとは途中で別行動させる予定だったのに・・・

イングリッド  確かにインパクトはあったわね。バカだけど(笑)

ユズキ  あ、ちなみに、組織のアイデンティティとも言える針を奪われた時点で<梟の嘴>は他の構成組織に潰されるだろうから、「あなたの組織ももう終わり」ね。

GM  実際そうなんだよなぁ・・・。ええぃ、こうなったら!

教頭  冥土の土産にわっしの答えられることならば、なぁんでも答えてやろう! さあ、聞っくがいい!

イングリッド  誰の土産よ?

GM  教頭の。

ヒスミ  GMが自棄になりました(笑)

GM  うるさいやい! サイコロの目が奇跡的によければ、ウィルとだって互角に戦えるくらい強いんだぞ! なんであれ、不意打ちで殺されない限りは、このセリフ言うつもりだったし問題なーし!

イングリッド  奇跡的に良くて互角ね(笑)

ユズキ  話してくれるのなら、遠慮なく聞きましょう。

 

 一行は、「この学校に他に<梟>関係者はいるのか」「この学校とギーレンの関係」「ギーレンの刺青」「<朝焼けの梟>や構成組織の規模」「<梟の嘴>や<梟の爪>の本拠地の場所」「<梟の嘴>のトップは誰か」などを尋ねる。

 返ってきた答えは順番に「この学校に<梟>関係者はもういない」「ギーレンは<梟の爪>のボス。<梟の嘴>とは、虎視眈々とその力を狙う仲」「ギーレンの刺青は知らない。しかし、配下に牛、蝙蝠、黒豹の刺青を持った男がいる」「規模は自分も把握していない」「知らない。知っていても教えない」「教えない」。

 

ヒスミ  たしか、レベッカさんの妹さんって豹の刺青しているんじゃありませんでしたか?

イングリッド  黒豹じゃないし、男って言ってたわよ。

ユズキ  牛を相手にする場合、いつもの倍のジャンプと3倍の回転を加えれば勝てます(笑)

GM  あ、そのパターンもあったな。

イングリッド  違うの? GMの趣味からすると、絶対そうだって思ったんだけど。

GM  それは会ってのお楽しみ~♪

教頭  さて。聞きたいことはもうないかね? ならば、死ぃぬがいい!

GM  さて、ここから戦闘ターン。反応速度7. 5のウィルと7のアキエラから。

イングリッド  さすがに早いわね。

ウィル  俺の必殺技は距離があると使えないからな。待機でもするか。

GM  アキエラも同じく待機。そして次は教頭だ。教頭は「マァァァァァッハ・スペシャァァァァァル!」と叫びながら一瞬でミレイユの横に移動。ルール的には瞬間発動になるよう増強した短距離の「ワープ移動」。

イングリッド  しまった!?

GM  知覚-5で判定すれば、移動先に気付ける。「戦闘即応」があれば+3。

ウィル  軽功あたりで、目標値を上げられないか?

GM  できるよ。

ウィル  ならば余裕で成功。移動してきた瞬間、クリムゾンインパクトを発動させるか。(タバコを指ではじき)まずはマントでフェイント。成功度17。軽功を使って目標値を上げるまでも無いな。

イングリッド  ちょっとちょっと! なによその成功度!

ウィル  フェイント目標値+2で2回サイコロがふれるようになる「超フェイント」だからな。技能レベルも24あるし。これでも期待値よりマシな程度だぜ。

イングリッド  無茶苦茶ね(苦笑)

GM  そのフェイント、教頭はほとんど見切れなかった。ワープした先でいきなり視界を遮られ、教頭は戸惑っている。

ウィル  貴様なんぞに大事な生徒を傷つけさせやしないぜ。目を刺し貫かせてもらおうか。外功でダメージ上げて、15点ダメージだ。・・・マッハってのは、ずいぶん遅いんだな? 

GM  「わっしが遅い? わっしがスロゥリィ!?」って言いたいけど、確実に気絶したな(笑)

ウィル  一応礼を言っておくよ。近づいてきてくれて、ありがとな。・・・って言っても、もう聞こえない・・・か。追加ダメージは12点だ。

GM  1度目の生死判定で瀕死になってたから、これで死亡か。次の瞬間教頭は内側から燃え上がり、叫び声をあげる間もなく絶命した。

ヒスミ  か・・・かっこいいー!!

ユズキ  ・・・けっ! どーせ僕の攻撃は地味ですよーだ。

ウィル  どうだい。俺好みの派手な技だろ? 唯一の欠点は、この赤い衝撃・・・一番見せたい奴は見ることができないってことだがな(落ちてきたタバコを掴んで、火をつける)

アキエラ  パパ。ここ禁煙。

ウィル  う・・・

アキエラ  それにパパ! その技使うと、レイピア一本焼け焦げて使い物にならなくしちゃうんだからあまり使わないでって、私もママもいつも言ってるでしょ! レイピア一本いくらすると思ってんのよ!

ウィル  ス・・・スマン。

一同  (爆笑)

ヒスミ  聞こえないー。かっこよかったウィルさんの姿だけが目に焼きついてるぅ(笑)

アキエラ  今日のことはママに言うからね。今日、パパの晩御飯抜き!

ウィル  ちょ・・・ちょっと待ってくれよアッキー・・・

GM  その時、窓の隙間から霧が集まってくる。

イングリッド  霧島3姉妹?

GM  いや。いるのは1人だけ。霧島の3女だ。霧は教頭の死体の前に集まり・・・

霧島3女  ・・・アートマ、回収不可能・・・

GM  と呟いて、再び霧になって帰っていく。

ユズキ  アートマ?

イングリッド  刺青のことでしょう。きっと。

GM  ヒンドゥー語で「覚醒」とかいう意味だったはずだけど、間違ってても気にしない。

 

 その後、ユズキが呼んだショウの調べで、教頭と用務員が闇タマットに所属しこの学校で危険な実験を繰り返していたという証拠がいくつも見つかった。

 また、教頭の残した私物の中から闇タマット<朝焼けの梟>に関する多数の情報が発見される。この情報を元に、ガヤンや裏タマットが動き出す日も近いかもしれない。

 

GM  教頭の作戦計画書の中に、刺青を彫った者を社会見学と称して孤島へ連れて行き、殺し合いをしてもらうという計画があった。

ヒスミ  バトルロワイヤルです。君たちには、殺し合いをしてもらいまーす(笑)

ユズキ  刺青の能力の覚醒にきっかけが必要だとしたら、命の危機はきっかけとしては十分でしょうからね。

GM  さて、調査が目的だったはずなのにばっちり黒幕まで倒してしまった君たちは、学校を去ることになる。

イングリッド  クルートくんのことは残念だけど、ま、一時の恋ってことで諦めるとするか。

ヒスミ  私は寂しいです・・・

ユズキ  また、遊びに行けばいいんですよ。本当なら、僕たちが近くにいるとみんなに迷惑がかかるからって止めるところですが、この学校僕たちがいようがいまいが危険はたくさんありそうですし(笑)

イングリッド  生徒数減りそうよね、この学校(笑)

ユズキ  そこまで責任は持てませんよ(笑)

ヒスミ  霧島3女は?

GM  まだ、在学してるよ。

イングリッド  色々気になるけど、下手に手出ししない方がいい気がする。

ヒスミ  賛成。

ユズキ  それがいいですね。

GM  去り際にウィルが話しかけてくる。アキエラとライカもいるね。

ウィル  あんたらには世話になったな。また、何かあったら俺を呼んでくれ。協力できることならば、協力するぜ。

GM  ウィルは連絡先を教えてくれる。

ヒスミ  はい。その時はお願いします!

ユズキ  (心の中で)けっ! あんたの力なんか、誰が借りるものか。

一同  (笑)

 

 教育の場に潜む闇の組織を粉砕した一行。

 教頭の残した情報により、公になりつつある闇タマット<朝焼けの梟>。

 <風龍会>と<朝焼けの梟>の、決戦の日は近いかもしれない・・・

 

ヒスミ  ふと思ったんだけど、ウィルさんとライカさんって、お互いあの性格で浮気とかしないんですか?

ウィル  してるよ?

GM  してるんだ(笑)

イカ  あたしもしてるし、あたしが一番だったら、いくら浮気しても許すと思うわよ。

ウィル  はっはっは。バカだなぁライカっち。君は一番にはなれないよ。

イカ  (微妙に怒気を含んで)なんですって・・・

ウィル  一番はアッキーに決まってるじゃないか!

イカ  そっかぁ、そうだよねー(笑顔)

ヒスミ  このバカップルどもめ(笑)

  

次回へ続く