黄金の羊亭新館

ガープスルナルのリプレイを公開しています

  第10話「初めに闇ありき」

プロローグ

 

ワタシハ ズットシロイヘヤニイタノ

ソコニハ オトモダチモガイッパイイタノ

デモ トキドキ シロイオジサンガ オトモダチヲツレテイクノ

ツレテイカレタオトモダチハ モドッテコナイノ

ドコニイッタノカナ?

 

アルトキ シロイオジサンガワタシヲヨンダノ

 

「来るんだ№004-2」

 

ドコニイクノカナ? ワタシモモドッテコレナイノカナ?

 

 

infinite dragon

 

 前回、殺人事件の犯人を見つけることはできたものの、後一歩のところで逃げられてしまった一行。そのため、事件の全容も分からずじまいだったためGMはミッション完遂できずと見なし、PCには少量のCPしか与えなかった。・・・のだが・・・。

 

ヒスミ  ユズキぃ。体力16になったよぉ!

ユズキ  うぅ・・・、またお嬢に身長を離された・・・

イングリッド  ヒスミは前2セッション分CP貯めてたからねぇ。

GM  ユエルで指定されている、人間の限界を超えたな(笑)

ヒスミ  上げてもいいんだよね?

GM  OKだ。こっちはユエルじゃなくてルナルだし(笑)

ヒスミ  これで完全武装してても軽荷ー。前は刀一本捨てないと並荷になってたの。

カガヤ  私は他のみんなよりCP総計高いから1CPしかもらえなかったわ。今回は貯めておく。

イングリッド  前提条件満たせたから、《祝福》の呪文覚えたいんだけど?

GM  いいよ。

ヒスミ  イングリッドさんが善良と認められました(笑)

GM  いや、今のイングリッドにはヒンメルパワーが宿ってるから、多少無茶な呪文でも習得可能。覚えようと思えば高司祭専用呪文と同じ効果の別呪文くらいなら覚えられるかもね。

イングリッド  それも面白そうね。今度考えておくわ。

ユズキ  僕はGMから許可が下りたので「銀杏返し」を覚えてみました。これで敵の射撃攻撃を魔銃で叩き落せます。

カガヤ  へぇ。うまくいったらカッコイイわね。

ユズキ  でも、まだ目標値は9なのでうまく落とせるかどうか怪しいです(笑)

ヒスミ  大丈夫だよぉ。ユズキは私が守るから、狙われることなんて無いよ。

ユズキ  うぅ・・・お嬢、ありがとうございます。でも、男の子として守ってもらうのはかっこ悪いから、僕はお嬢を守りたいのです(泣笑)

イングリッド  今までも、十分守ってこれたじゃない。

ヒスミ  そうだよぉ。

ユズキ  分かりました。大人しく後ろで銃撃ってます(泣笑)

イングリッド  そうしなさい。

ヒスミ  そうだよ。ユズキは殴られると弱いんだから。

ユズキ  ぐさ。

カガヤ  自分の得意な場所で戦うのが一番よ。

ユズキ  本当に、僕はお嬢のボディガードなのでしょうか(苦笑)

GM  ボディガード集団(月~金)の中で、お嬢より強い奴って1人もいないんだから、気にしない気にしない。

イングリッド  ヒスミの両手剣技能って19もあるし、群島の中でも有数の戦士なのよね。

GM  鼓動編とトレジャー編のベッツを除けば、過去のキャンペーンPCの中でも最強だろうね。

ユズキ  ベッツの扱いは鼓動編の超人たちと同じレベルですか(笑)

GM  否定できる?

ユズキ  できません(笑)

GM  もっとも、第3版と第4版のルールやシステムの違いもあるから一概に最強とは言えないかもしれないけどね。さて、その話はここまでにして、そろそろゲームを始めよう。

ヒスミ  はーい。

GM  前回、温泉の町ジェイガンを出てから3日。君たちは王都アンリへとたどり着いた。

ユズキ  「青き騎士と白き姫」に書いてあった通りです。田舎みたいな王都ですね。

カガヤ  ここに来るのも久しぶりだわ。

イングリッド  アーリーたちは襲撃して来なかった? 前回も言ったけど、町に着くたびにモンタージュ写真を裏に流してるんだけど。

GM  その作戦が功を奏したのか、それとも他に理由があるのかは分からんが、アーリーたちの襲撃は無い。

ヒスミ  仲間を集めている?

ユズキ  雪山で襲撃を仕掛けてくるかもしれません。

カガヤ  雪山はやめて欲しいわね。前回で雪の上での戦いは懲りたわ。

GM  襲撃は無いが、イングリッドやヒスミたちに、何者かが夢で語りかけてくるのは健在だ。正直、最近少々寝不足。

ヒスミ  頭痛いよー。

イングリッド  これは、原因を断つまで我慢するしかないわね。何度も言うけどミロクって奴が原因なら、ヴァイオラを追っていけば必ず会えるはずよ。

GM  それで、王都から火竜山まで行くには歩いていくしかない。馬車は王都に置いておく必要があるね。

カガヤ  氷竜山に入るには許可が要ったはずだけど、火竜山にはいらないの?

GM  うん。別に特別な拠点があるわけじゃないしね。

イングリッド  メイベル。あなたはここで待っていてちょうだい。

メイベル  うん。気をつけてねイングリッド。私も一緒に行きたいけど、こんな足じゃ足手まといになるから・・・

イングリッド  ごめんねメイベル。でも、きっとヴァイオラや仲間の居場所を掴んでくるから。月さん、レベッカ。メイベルを頼んだわよ。

レベッカ  任せて。

月  分かりました。ユズキさん、お嬢を頼みました。お嬢もお気をつけて。

ヒスミ  大丈夫だよぉ。

ユズキ  月さんこそ、どこにアーリーが潜んでいるか分かりませんから気をつけて。

 

 こうして仲間達と別れた一行は、田舎のようでありながら欲しいものはほぼ何でも揃う王都で準備を整え、九竜山が1つ火竜山に挑むため王都を発った。

 そして・・・

 

GM  3日後。着いたよ、研究所。

一同  早っ!(笑)

イングリッド  雪山のイベントとか、登山の判定とかいらないの? 研究所の場所だって正確に分かっていないのよ?

ユズキ  その手の事故で役に立つ野外活動系技能、僕たち全く持っていないんですけどね(笑)

ヒスミ  私たち都会育ちだもんねー(笑)

GM  雪山は火竜山に入るために通る必要がある氷竜山の麓にはたくさんあるんだが、火竜山に入ってしまうと蒸し暑いくらいの気温で、雪なんぞ見る影も無い。

カガヤ  うーん、ファンタジー。現実じゃあありえない気候ね(笑)

GM  んで、山には研究所に通じる比較的安全な道があったんだが、山に入った瞬間イングリッドはそれを思い出した。その道をたどって3日で着いた。研究所時代にかけられた、山で迷子になって帰られなくなってしまわないよう施された呪いであると、君は理解できるね。

イングリッド  どうせ、山を下りる道が分からなくなるような呪いもしてあるんでしょ?

GM  正確には「してあった」だね。君たちが10年前に研究所を逃げ出す際、ヒンメルがその呪いは外してくれたから。

イングリッド  そういえば、お母様は何故私たちを逃がしたのかしら。

GM  直接聞いたことがあるだろう。そのときに言われた言葉は「面白そうだったから」。

ユズキ  さすが(笑)

GM  真意は本人にしか分からないけどね。ま、昔話はそれくらいにしよう。とにかく目の前には岩肌に直接彫られた神殿のような建物がある。それこそが、<聖なる母の結社>西ネクロス島支部が何らかの計画のために子どもたちを集めて、アートマの実験をしていた研究所だ。

イングリッド  ・・・・・・

ヒスミ  イングリッドさん、大丈夫?

イングリッド  え? ええ。大丈夫よ。ちょっと懐かしいなって思ってただけだから。別に、ここの研究所には嫌な思い出しかないってわけじゃないし。

GM  嫌な思い出の代表。ヒンメルにいぢめられた。

一同  (笑)

イングリッド  お母様は、私たちをペットみたいに扱ってくれたわ。私たちを物としか見ていなかった研究者達とは違う。

GM  他に、しょっちゅう友達が急にいなくなったりしてた。後は・・・

イングリッド  もういい!

ヒスミ  イングリッドさん?

イングリッド  行くわよ。嫌な過去なんかに呑まれてなるものですか。研究所周辺に人影は?

GM  人型の影ならある。

ヒスミ  かゆうま?

GM  いや。お掃除用の子どもサイズのクレイゴーレムがたくさん。君たちが近づくと、顔を向けて会釈する。君たちに対してではなく、イングリッドに対してだがね。

ヒスミ  はぅ? かわいい! もって帰りたいなぁ。

カガヤ  暴れるわよ(笑)

ヒスミ  私の力で抑え込めば、大丈夫です。

GM  ま、確かに。

ユズキ  もって行くのは帰りにしましょう。イングリッドさん、正面から入って大丈夫なのですか?

イングリッド  (ぶつぶつと)逃げるもんですか。ヴァイオラやみんなに会うんだから。

ユズキ  イングリッドさん!

イングリッド  え? ええ。そうね。広いから全体は無理だけど、《生命感知》でもかけてみましょうかしら。半径10へクスほどで。

GM  情報呪文だから、こっちでサイコロを振ってっと。入り口周辺には、生命反応は無い。もっともここの護衛なんかは全てゴーレムに任せていたから、単にその場所に人がいなかったってだけかもしれないけど。

イングリッド  それでも球にすると20メルー四方に誰もいないってのはおかしな話よ。

ヒスミ  誰かに襲撃されたとか?

カガヤ  それにしては柱も建物も綺麗よね。

イングリッド  ここで考えてても仕方が無いわ。人がいないなら好都合よ。今のうちに侵入しましょう。

?????  いよぅ。ようやく戻ってきたようだなぁ、マァイシィスタァー。

GM  突然、イングリッドにだけ、そんな声が聞こえた。

イングリッド  誰!?

ヒスミ  イングリッドさん、どうしたの?

イングリッド  え? 聞こえなかった? 今の声。

カガヤ  声?

?????  んんん? 俺が誰かも分からないのかぁ? 仕方が無い。待っててやるからぁ、早く来いよぉ。

イングリッド  夢と同じ奴?

GM  いや。夢の声は耽美な響きの声だが、こっちは結構渋い声だ。ちよ父とか、メカ沢とか、音速丸みたいな。

ユズキ  例えが微妙すぎです(笑)

イングリッド  てか、全員中の人は同じ・・・じゃなくって、心の声で話しかけてみるわ。あんた、誰なの?

GM  その問いかけには、誰も答えない。

イングリッド  ・・・・・・行くしかないか。

ユズキ  できるだけ足音を立てないようにしましょう。

ヒスミ  私、「忍び」技能なーい。

GM  しかも、「そそっかしい」から何もないところで転んだり、壁にぶつかったり。

ヒスミ  はぅぅ・・・全然忍べてないよぉ(泣)

GM  大丈夫だ。そんな大きな音を立てているのに人っ子1人出てこないから。それどころか、お掃除用のクレイゴーレムは時々見かけるんだけど、護衛用のゴーレムもいない。争った形跡も見当たらないね。

カガヤ  誰もいないってこと? 気味が悪いわ。

イングリッド  地下に資料庫があったはずよ。ひょっとしたら、何かの手がかりになるかも・・・

GM  研究所の構造もほぼ頭の中に植えつけられているから、地下の資料庫の場所も分かるよ。

 

 しかし、地下の資料庫の資料や本は軒並み無くなっており、残っていたのは読解不能なまでにボロボロになった本のみ。

 

イングリッド  役に立ちそうな本は?

GM  まったく無い。

ユズキ  他の場所に行きませんか?

 

 イングリッドの案内で、実験体が暮らしていた異様に白い部屋や実験室、教室なども回ってみるが、人どころか研究器具、資料、その他生活用品までもが綺麗に無くなっていることが分かっただけだった。

 

ユズキ  急いで出て行ったという雰囲気じゃありませんね。しっかりと荷物をまとめて、どこかに引っ越した?

イングリッド  こんな山の中から、どこに引っ越すって言うのよ。

ユズキ  ここがアートマ実験の総本山だとしたら、大型の飛行可能な生き物に変身する者くらいはいたのではないでしょうか?

カガヤ  ロック鳥とかね。

イングリッド  ありえる話ね。情報もないし、所員たちの居住区にでも行ってみようかしら。そこに行ったことはないから、場所は判らないけど、行った記憶のない場所を探せばそのうち見つかるでしょう。

GM  では、やたらと広い研究所内で行ったことのない場所を思い出しつつ移動すること半刻。目の前を料理の盛られた皿を持って移動するクレイゴーレムが横切った。

ユズキ  料理を運ぶということは、この先に人がいる証拠です。

ヒスミ  追うよ、みんな。

GM  気合を入れるのはいいことだが、クレイゴーレムは子どもサイズな上、普通に歩いているだけだから追うのは簡単。

ヒスミ  ところで、どんな料理運んでるの?

GM  野菜炒め。遠目で見た感じでは、帝国風にピリ辛に炒めてある。

ヒスミ  おいしそう・・・(じゅるり)

イングリッド  奪っちゃだめよ(笑)

ヒスミ  そんなことしないよぉ(ちょっと怒)

GM  そして、クレイゴーレムは研究員達の居住区の部屋の前で止まり、ノックする。すると、中から「どうぞ」という老人の声がする。イングリッドには聞き覚えがある声だ。

イングリッド  誰?

GM  君や姉だけでなく、ここの被験者たちに基礎教養を教えてくれたおじいさん。君たちに№以外の名前があると知ったら、ずっとその名前で呼び続けてくれた人。

ユズキ  イングリッドさん、どうします?

イングリッド  ・・・・・・

GM  イングリッドが迷っていると、クレイゴーレムが部屋から引き返してくる。イングリッドに会釈して帰っていくね。

イングリッド  部屋をノックするわ。

老人の声  なんじゃ? お昼はもういただいておるぞ。

イングリッド  先生。私です。イングリッドです。

GM  しばらく静かになったと思ったら、部屋の中で何かが倒れる音がした。

カガヤ  おじいさんが倒れた?

イングリッド  ドアを開けるわ。

GM  そこには、イングリッドの良く知る老人がいる。勢いよく立ち上がったのか、椅子が倒れているね。

老人  生きて・・・生きておったのか、イングリッド

イングリッド  ええ。私は生きています。生きてここへ戻ってきました。

GM  老人は目が見えないのか、目の焦点は定まっていない。

老人  どこじゃ? どこにおるのじゃイングリッド。どうか、もう一度顔を見せておくれ。

イングリッド  (老人の手をとり)先生。私はここです。

老人  この、手から伝わる魔力の色・・・確かにイングリッドじゃ。大きくなったなぁ・・・。

カガヤ  そんなことが分かるの?

老人  目が見えぬ代わりに、色々とな。君たちは、イングリッドの友人か?

ヒスミ  はい。親友です!

イングリッド  ヒスミ・・・ありがとう。

老人  そうか、イングリッドが世話になったな。レベッカやメイベルは元気か?

イングリッド  ええ。メイベルはここから逃げる途中に足が動かなくなったからここには来れなかったけど、元気にしてるわ。

老人  そうか。よかった・・・。まさか、わしが壊れる前にお前に会えるとは夢にも思っておらなんだ・・・

ヒスミ  壊れる?

GM  イングリッドは知っているが、この老人はゴーレムなんだ。精巧に作りすぎたせいで、寿命がある。

老人  ヴァイオラやイーリスがここにおればお前の帰りを喜んだだろう・・・。じゃが、2人とももうここにはおらん・・・

イングリッド  先生。私たちはヴァイオラやイーリス、他の仲間たちを探すためにここに来たのです。2人や他のみんなはどこに行ったのですか?

老人  この研究所よりも広く設備の整った場所へと移ったのじゃよ。その場所は、トルアドネス帝国領内の水晶連峰にある古き結社の総本山じゃ。

ユズキ  そこって、ひょっとして麓にサイクロップスがいる?

カガヤ  ビッグフェイスが門番の?

GM  うむ。小説版ルナルサーガ第2巻に出てきた、あの場所だ。

イングリッド  随分遠くね・・・

ヒスミ  おじいさんは、何でここに残ってるの?

老人  めくらで寿命の尽きようとしておる老人ゴーレムなんぞ、連れて行っても役にはたたぬじゃろう。

ヒスミ  そんなことありません! 亀の甲より年の功です。お年寄りをバカにする人は許せません!

老人  ありがとうなお嬢ちゃん。じゃが、良いのじゃよ。ここに残っておったからイングリッドジェシカに会えたのじゃからな。

イングリッド  ジェシカ? ジェシカもここに来たの?

老人  ああ。新たな研究所の場所を聞いていったから、そこに行くつもりなのじゃろう。止めたのじゃが、昔から言うことを聞く子じゃなかったからのう。

イングリッド  あの子も私たちを探してる? 1人で?

ヒスミ  ジェシカさんが来たのは、どれくらい前ですか?

老人  もう半年も前になるかのう。

イングリッド  追いつくのは難しいけど、特別な移動手段で先回りすることができれば・・・

カガヤ  教えてほしいんだけど、この山の中からどうやって引越ししたの?

老人  イングリッドの姉、ヴァイオラのアートマ<次元竜>ヨルムンガルドは空間と空間をつなげる穴を創ることができる。そして、この建物には力仕事の得意な雑用のゴーレムははいて捨てるほどおるからの。

イングリッド  さすがヴァイオラお姉さま。すごい力を覚醒させたのね。

老人  謙遜するでない。お主の<無限竜>も負けず劣らず強力じゃろう。もっとも、強さの方向性は違うがな。

イングリッド  謙遜も何も、私は刺青を彫られても何の能力も得なかった失敗作よ?

老人  何を馬鹿なことを。お主ほどの完成体は他にはおらぬ。・・・いや、そうか。ふふふ。イーリスめ。考えおったな。幼いころからあんな力が使えては・・・

イングリッド  1人で納得してないで、教えなさいよ。

老人  ・・・だんだん偉そうになってきとるのう。

一同  (笑)

イングリッド  敬語を使うのに疲れたのよ。普段の私は、こんな感じよ。

老人  そうか。砕けて話してくれてわしはうれしいぞイングリッド(笑) それでじゃ、おぬしの力のことが知りたければ、おぬしが昔ヴァイオラレベッカとよく遊んだ秘密の場所に行ってみるとよい。

イングリッド  あの洞窟に? 何があるの?

老人  行ってみれば分かるじゃろう。今のイングリッド嬢ならな。

イングリッド  分かったわ。話を少し戻すけど、ここのみんなが引っ越したのはいつごろの話?

老人  5年ほど前じゃったかのう。

イングリッド  私たちがここを抜けてから、5年後か。

ユズキ  その時期に、何か大きな事件でも?

老人  ああ。被験体じゃったミロクと言う男が内乱を起こし、組織を乗っ取ったのじゃ。

イングリッド  ああ、あの世界制服が目的の(笑)

カガヤ  世界制服ぅ?

ヒスミ  そういえば、カガヤさんは聞くの初めてだっけ?

イングリッド  世界制服を企むミロクって奴がいるのよ。

カガヤ  へぇ(笑)

老人  はて? 奴の目的はそんなじゃったかのう? まあ、5年のうちに心変わりしたのかも知れぬが。

イングリッド  聞きたいことはこれくらいかな? 先生、色々教えてくれてありがとうね。

老人  わしの枯渇しかかった記憶がイングリッドの役に立ったのであれば、幸いじゃ。

イングリッド  私たちは洞窟に行ってみるけど、先生はどうする?

老人  わしはここに残るよ。歩いても電池を消費するだけじゃしな。食事もまだじゃし。

ヒスミ  そういえば、おなかすいたー。

ユズキ  では、ここで食事をしましょう。非常食はたくさんあります。

老人  そんなものを食べなくとも、料理人ゴーレムに美味い野菜炒めを作らせるぞ。

ヒスミ  是非いただきたいです!

イングリッド  ここの食料って、人に分け与えられるほどあるの?

老人  かつては何百人という研究員や子どもたちを養ってきた人工栽培所がある。そこで採れた野菜は、味は劣るが栄養は天然にも劣らん。

イングリッド  そういえば、そんなものあったわね。

 

 こうして、一行はイングリッドのかつての師と共に食事を楽しむことになる。

 

ヒスミ  ねぇねぇ、おじいさん。イングリッドさんの小さい時の話してー。

老人  そうじゃなぁ・・・。では、あのことを話してやるか。

イングリッド  (赤くなって)ちょ・・・やめてよ先生!

ヒスミ  あ、イングリッドさん真っ赤ぁ。

カガヤ  何か思い当たることでもるの?

イングリッド  ありすぎるから困るのよ(笑)

 

 そして、食事を終えて一服した後、イングリッドの記憶を頼りに老人の言う秘密の洞窟へと向かった。

 

GM  洞窟の周辺は広い窪地になっている。君の記憶よりも草木が生い茂っているね。

イングリッド  さすがに10年も前のことだからね。でも、懐かしいわ。お母様にいたずらして殺されそうになったときは、いつもここに隠れたものよ。

カガヤ  なんて殺伐とした親子関係(笑)

GM  その時、またイングリッドの頭の中に声が響く。

?????  いよぅ。俺のこと、思い出したかぁ?

イングリッド  あなた、まさか私のアートマなの?

ヒスミ  また、イングリッドさんが独り言言ってます(笑)

?????  んんんんん~? まぁだ、ちょっと分かってねぇみたいだなぁ。まあいい。中に入ればきっと分かるさぁ。

イングリッド  この洞窟、深いの?

GM  いや、全然。子ども的には広いかもしれないが洞窟というより洞穴とか防空壕レベル。

ヒスミ  じゃあ、入るよー。

GM  うむ。中に入ると、やけに広い。50メルーはあるんじゃないかな? 高さも30メルーはある。

イングリッド  え? こんなに広かったかしら?

GM  そして、妙に広い洞穴の壁は一面氷付けになっている。その氷の奥では、全長推定40メルー。自らの尻尾を噛み8の字になって眠っている巨大な竜の姿が!

ユズキ  ウロボロス

ヒスミ  あ、<無限竜>って無限の形した竜のことだったんだ。

イングリッド  なんだと思ってたの?

ヒスミ  <夢幻竜>。こっちのほうがかっこいいよぉ。今から変えない?

GM  さすがに今から変えるのは無理・・・というか、僕が困る(苦笑)

カガヤ  白竜のおじいさんより大きいわね。・・・って、竜? てことは爬虫類!?

GM  見た目は8の字で丸まってるから、それほど大きく見えないけどね。それに、竜といっても鱗のあるタイプじゃないから爬虫類というより怖い顔したうなぎとか穴子を連想する。

ヒスミ  おいしそうです。

カガヤ  なるほど。だから自分の尻尾を食べてるのか(笑)

ユズキ  いや、それは違うでしょう(笑)

カガヤ  ところで、ウロボロスは<龍>? それとも竜?

GM  ウロボロスという<龍>の子孫だね。知恵や魔術。錬金術をつかさどる点から、ペローマの使いって考え方もあるってことにしてるけど。

イングリッド  これが私の能力の元? でも、これを見たってなんとも・・・。氷に触ってみるけど、なにか起こる?

GM  いや。

ヒスミ  寝てるのかな?

イングリッド  でも、さっき私にだけ聞こえた声は、多分こいつのものよ。ねえ、そうなんでしょ?

GM  氷の中の竜は答えない。

カガヤ  あのおじいさんに話し聞いてみない?

イングリッド  そうね。洞窟を出るわ。

GM  では、洞窟を出たあたりで上空から馬の嘶きが聞こえる。

ユズキ  げっ!

イングリッド  まさか、8騎士?

GM  うむ。空を駆ける馬に乗った、弓矢を持ったヒンメル似の男と、同じく鉄球を持った男。それに、タコアーリー最終融合形態が。

一同  何であんたが一緒にいる!(笑)

ユズキ  思わず笑ったけど、笑える状況じゃない。

GM  ちょっとカガヤを除く3人は知覚判定。

3人全員  成功。

GM  先日は全員失敗したのにな(笑) 成功したなら気付くけど、タコアーリーの額についている青い宝石のようなものとその周辺の文様。銀龍の胸のものとそっくりだね。

ユズキ  まさか、銀龍も取り込んだ?

イングリッド  いや、絶対銀龍のほうが強いって。どうやって取り込んだのよ?

ヒスミ  同意の上とか?

GM  あ、この文様。前に変身した時にもあったよ。君たちがそうであると気付かなかっただけ。

イングリッド  てことは<朝焼けの梟>の紋章? それだと、なんで銀龍があの文様を持ってたのかしら?

GM  さあ? その答えがでる前に、弓矢がしゃべりだす。

弓矢  ふはははは! やはりここにいたか№004-2!

イングリッド  私を№で呼ぶな!

弓矢  ふん。そのような小さなこだわり、すぐに考えなくても良いようにしてやるさ。前回の戦いでお前らは我ら8騎士の内1人でも本気を出せば倒すことができることがわかったのだからな!

カガヤ  そんなに強いの、あいつ?

ユズキ  ええ。奴ら全員が槍や盾と同レベルだとすると、悔しいですが言うとおりです。

弓矢  さらに確実にお前達を潰すため、お前らに復讐を誓った奴らも仲間にした。お前たちに我々のトライアングルアタックを抜けられるかな!? 抜けられないだろう! もはや我らの勝利は確実! ふははははははは!!

イングリッド  で、あんたは覚醒できたの?

弓矢  ・・・ええい! うるさい!

一同  (笑)

イングリッド  あんた、人の後ろでこそこそしてるタイプでしょう? そんなだから覚醒のきっかけも来ないんじゃない?

ユズキ  イングリッドさん。気持ちは分かりますが、あまり挑発しないで下さい(笑)

弓矢  黙れ黙れ黙れぇぇ!!

GM  なお、タコアーリーと鉄球はイングリッドのセリフにうなづいていたりする。

ヒスミ  この人、人望も無いみたいです(笑)

弓矢  おのれおのれ、この俺を愚弄しおって・・・。まあいい。どうせ貴様らは死ぬんだ。なんといっても私の隣にいるこの男。この男のアートマは、どんな敵でも一にらみで殺すことのできる魔眼の巨人。魔王バロ・・・

GM  と言ったところで、洞穴の岩肌から巨大な光線が発せられ、2人と1匹、馬2匹を消滅させた。

一同  ・・・・・・はい?

GM  だから、洞穴の岩肌から光線が発せられたんだってば。岩肌にも巨大な穴が開いている。

ヒスミ  空にいた奴らは?

GM  消滅したんだってば。そして、その瞬間、君たちの影の中から影でできた狼が出現。

カガヤ  影の狼? ・・・(PLに)ちょっと嫌な思い出が・・・

ユズキ  魔銃を構えます。

GM  そいつらは弓矢たちがいた場所の下まで疾走。何か探しているみたいだが、何も見つからなかったのか君たちを威嚇しながら逃げていった。

ヒスミ  なんだったの?

ユズキ  恐らく銀龍姫の手先でしょう。僕たちを監視して、強力なアートマをかっさらおうとしてたんじゃないですか?

GM  実はその通り。消滅したんだからアートマも残ってないんだけどね。

イングリッド  で、さっきの光は何? 今度は銀龍って奴じゃないのよね?

GM  うむ。岩肌にできた穴の奥から声がする。

?????  まったく。せっかく竜が気持ちよく寝てるってのによぉ。竜様の庭で騒ぎやがってからに・・・。

GM  イングリッドは研究所に来てから何度か聴いた声だね。声の主は開いた穴から出てくる。8の字形態を解いた巨大な怖い顔のうなぎだ。そいつは穴から出てくると大あくびし、空中で8の字になり自らの尻尾をくわえる。

イングリッド  ウロボロス

ウロボロス  いよぉう。マァイシィスター。久しぶり・・・と言っても、あんたは俺のことを覚えていないみたいだな。悲しいぜぇ。

カガヤ  中々ファンキーな竜ね(笑)

イングリッド  そうね。気に入ったわ(笑)

ウロボロス  気に入ってくれて嬉しいぜぇ。

ヒスミ  尻尾くわえたまましゃべってます。

ユズキ  器用な竜ですね。

ウロボロス  はっはっは。俺の芸の細かさにもっと驚くがいい。

イングリッド  あなたに聞きたいんだけど、私のアートマの効果ってなんなの? あなたの力の一部が使えるみたいなんだけど。

ウロボロス  おうよぉ。あんたが俺に指令を出してくれれば、俺はそれに従うぜぇ。

イングリッド  対象使役型!? ちょっとビックリ・・・

ヒスミ  すごいぃ! イングリッドさんドラゴンさんとお友達なんだぁ!

ウロボロス  ちっちっちっ! 友達じゃなくブラザーと呼んでくれぃ。

ヒスミ  ドラゴンさんが兄弟です!

ユズキ  杯を交わした仲ですね(笑)

カガヤ  こいつ、リュード君に似てるわね(笑)

イングリッド  さっきの光線もあなたのものよね? 他に何ができるの?

GM  これ、データね(紙を渡す)

イングリッド  (一通り見て)体力120基本過重値1440ってなによ!? しかも飛行時の移動力320(時速約1100メートル・マッハ1弱)って・・・

ユズキ  コンピュータRPGでよくある、高速移動用の乗り物ですね(笑)

ウロボロス  気球や飛行艇みたいな物で見られるのは勘弁だな。不死鳥ラーミアとでも、呼んでくれぃ。

カガヤ  なんでウロボロスにこんな能力が?

ウロボロス  旅はいい・・・

一同  は?

ウロボロス  旅は旅先の風土や文化、価値観に直接触れることができる。それらは新しいものの発見、己の知識や価値観、考えを広めるには最高の素材だ。だがぁ、旅行は目的地に着くまで時間がかかってしまうのだよ。だから、速いほうが良い。

ユズキ  クーガーか(笑)

イングリッド  他にも素の知力25で、「ペローマ呪文とその他知識系情報系呪文全て25レベル」とか「脳内ペローマの写本」とか「破壊光線100D」とか、無茶苦茶ね。破壊光線は1日1回しか使えないし集中に30秒もかかるけど。

ウロボロス  しかも、人間サイズの相手に当てるには一苦労だぜぇ。敏捷力そのものが低いから、光線だけじゃなく尻尾攻撃とか噛みつきもな。さっきはマイシスターが時間稼ぎしてくれていたから、十分に狙うことができたがなぁ。ナイスコンビネーションだぜ。さすがはシスター!

イングリッド  狙ってたわけじゃないけどね(笑)

カガヤ  で、破壊光線とウロボロスの関係は?

ウロボロス  俺はぁ知識を司る竜だ。知識を司るということはぁ、この世に分からないものなどあってはならなぁい。だぁから、分からないものをこの世から消滅させるための光線よぉ!

イングリッド  賢者ビームね(笑)*1

ユズキ  しかし、これで帝国の水晶連峰までの足ができました。ほんとうにCRPGみたいな展開です(笑)

イングリッド  そうね。先生に事情を話して、レベッカとメイベル拾って出発しましょう。ウロボロスはここで少し待ってて。

ウロボロス  オゥケェイ!

GM  では、先生の部屋。

老人  そうか。無事、覚醒したか。イーリスは幼いお前があの力を使って無茶をすることを危険に思い、奴の思念が届かぬよう呪いをかけておったのじゃろう。

イングリッド  たしかに、幼いころの「かんしゃく」の自制値が低かった私があれを持てば、どうなっていたか分からないわね(笑)

ヒスミ  世界征服とか言い出しそうです(笑)

イングリッド  む・・・やってたかもしれないわね(笑) それで、私たちはこれから水晶連峰まで行きます。

ヒスミ  おじいさんも一緒に行きませんか?

老人  いや。・・・イングリッドよ。

イングリッド  何?

老人  最期に、お前の成長が見れて本当に嬉しかった。

イングリッド  何言ってるのよ先生。先生がいるって分かったんだから、またいつでも会いに来るわよ。ウロボロスの高速移動があれば、世界のどこからでもここに来れるわ。

老人  嬉しいことを言ってくれる。教師冥利に尽きるというものじゃ。じゃが、今日は年甲斐も無くはしゃぎすぎたわい・・・

GM  そう言って、老人は動かなくなる。

イングリッド  え? ・・・先生? 先生!

老人  ぐーぐー

イングリッド  ・・・ベタ過ぎて突っ込む気にもならないわ・・・

 

 翌日。目を覚ました老人に別れを告げた一行は、レベッカたちを迎えるためにウロボロスの首付近、ふさふさの毛がある場所に乗り<王都>へと向かった。

 

イングリッド  ところで、先生の名前って考えてた?

GM  おお、そうだった。ローフルっていう立派な名前がある。このようにしっかり名前を考えてても忘れることがあるから、僕はNPCにまともな名前をつけないのだ!

イングリッド  絶対嘘だ(笑)

 

再会

イングリッド  ウロボロスに乗って<王都>に直接行くのは色々まずいから、郊外で降ろしてくれない?

ウロボロス  もう遅いぜぇ。

GM  下を見ると、王都の中心近くにいる。

一同  おいおい(笑)

GM  下は大混乱だが、「九竜山の竜様が降りてこられたー」と喜んで崇めている人がいる。

ユズキ  竜は信仰の対象にもなりますからね。

GM  崇めている人の中から、ちょっと立派そうな男が出てくる。

  して、竜殿。今日はどのようなご用件で?

ウロボロス  いやいや。場所を間違えちまっただけだぜぇ。

GM  と言って、高速移動。ウロボロスは郊外に降りた。

カガヤ  良い性格してるわよねこいつ(笑)

イングリッド  レベッカたちを迎えに行くから、あんたはここで待っててね。

ウロボロス  上空で待機しているからぁ、必要になったらここの下で俺を呼べよ。

GM  と言って、ウロボロスは急上昇。すぐに点しか見えなくなった。では、<王都>。街中は混乱はしていないが、大きな騒ぎになっているね。

イングリッド  そりゃそうよね(笑) レベッカたちの泊まっている宿に行くわ。

GM  んでは、宿。

メイベル  ねぇねぇ、イングリッド! さっき王城近くに竜が飛んできたんだって! すごいなー。見たかったなぁ・・・

イングリッド  見せてあげるわよ(笑)

メイベル  ほんと? 約束だからね? いつかちゃんと見せて頂戴ね。

ヒスミ  勘違いしてます(笑)

カガヤ  まあ、当然の反応だと思うわよ(笑)

イングリッド  それじゃあ、出発するわよ。

レベッカ  どこへですか、イングリッド

イングリッド  ヴァイオラや仲間達に会いによ。

月  居場所が分かったのですね?

イングリッド  ええ。ヒスミのお母さんの場所もね。

月  ・・・は?

ヒスミ  そういえば、月さんにもお母さんのことは話していませんでした。月さんにだけは話しておこう。

ユズキ  かくかくしかじかというわけで、組長の奥方様が生きておられる可能性があるのです。

月  そうでしたか。イーリス様が・・・。それでお嬢は今回の旅に?

ヒスミ  イングリッドさんたちの手伝いがしたかったって方が上かな? お母様って言われても、顔も覚えてないから。会えるなら会ってみたいけどねー。

イングリッド  それが実現するかもしれないのよ。さあ、さっさと準備して出発するわよ。場所は帝国の水晶連峰。

レベッカ  長い旅になりそうですね。

イングリッド  (ニヤリと笑って)そうでもないわよ。

 

 一行は王都で霊薬や便利なマジックアイテム。食料やキャンプ道具などを買い込んだ後、ウロボロスの待機する場所へと向かった。

 

イングリッド  降りておいで。ウロボロス

ウロボロス  オォウケェイ!

GM  超スピードで降りてくる竜を見て、レベッカ、メイベル、月は放心。

イングリッド  こいつが、私のアートマ。<無限竜>ウロボロスよ。

ウロボロス  マイシスターが世話になったなフレェンズ。

メイベル  すごい! すごいわイングリッド! 私たちのアートマとは比べ物にならないわ!

ヒスミ  そういえば、メイベルさんのアートマって見たことが無いよね。

ユズキ  ゾンビ戦の時、「暴走すると敵は無事で自分たちは危ない」って言っていましたから、精神に作用するタイプのものだとは思っていますけど。

イングリッド  近いけど、具体的には秘密よ。

カガヤ  敵だけの特殊能力かと思ってたけど、刺青持ってる人って身内にたくさんいたのね(笑)

イングリッド  そういえば私たち、何のためらいもなくカガヤにアートマの話してるわよね(笑) なぜかしら?

カガヤ  人徳人徳(笑)

ユズキ  ところで、水晶連峰にいきなり乗り込んで大丈夫なのでしょうか?

ウロボロス  研究所の場所なら、俺が知ってるぜぃ。

ユズキ  場所の件もそうでしたけど、連峰周辺で話を聞くという手もあると思うのですよ。大きく活動しているのか秘密裏に活動しているのかだけでも知っておけば、何かあったときの対策も立てられます。

カガヤ  なるほどねぇ。

ユズキ  ただ、1つ問題があります。

ヒスミ  なぁに?

ユズキ  僕とお嬢はタマット。カガヤさんはカルシファード剣士なのです。

イングリッド  みごとに帝国と相性悪いわね(笑)

GM  まあ、カルシファードと帝国の緊張状態は解けてるだろうけど、仲の良い国でもないしね。

ヒスミ  ユズキぃ。私の信仰リャノ様だよぉ。

ユズキ  え? そうだったんですか?

イングリッド  あんた。舎弟のくせに姉貴分の信仰も知らなかったの? 私も初めて知った気がするけど(笑)

ヒスミ  お仕置きのぐりぐり攻撃。

ユズキ  痛い痛い痛いー!

ヒスミ  リャノっぽいこと何もしてなかったからしょうがないけどねー。(言いつつぐりぐり)

ユズキ  やめてー!

カガヤ  ところで。

イングリッド  なに? カガヤ。

カガヤ  誰か帝国語しゃべれる人は? このGMのルナルじゃ共通語は無いはずよ。

一同  (シーン)

メイベル  読み書きだけなら。

ウロボロス  俺は世界各国どぉんな言葉でもペラッペラだぜぇ。

イングリッド  あんたがしゃべれても、人から話は聞けん(笑)

ヒスミ  ダメじゃん(笑)

 

 結局、一行は事前の情報収集は諦め水晶連峰へ直行することに決めた。

 

GM  さて、君たち+結構大量の荷物を積んでも、ウロボロスからしてみれば無荷に等しい。

イングリッド  サイズがサイズだしね(笑)

GM  さすがに全力で飛ぶと疲れるし、マッハで突っ切ると乗っている君たちが危ないので、大体時速500キロくらいで空を飛んでいる。

ヒスミ  速いー! 速いから下が見えないのが残念。

ユズキ  高所恐怖症じゃなくて良かった(笑)

GM  いろんな国の領空を堂々と侵犯し、帝国領空では防空魔術師に捕捉されたりするも、スピードの差により簡単に逃げ切った。そして、水晶連峰上空。下に旧結社の本部が見える。

カガヤ  こんなに堂々と姿みせて大丈夫?

イングリッド  ウロボロスと一緒の時点で、隠密行動は無理よ。

GM  さて、堂々と姿を現した君たちの周りに、飛行可能なアートマを持った空中防衛隊や翼人たちが集まる。武装してるけど、みんなどこか怯えた様子だね。

ヒスミ  そりゃ、ドラゴン見て驚かない方がすごいです(笑)

GM  その中で、隊長各っぽい燕の羽が背中から生えた男が誰何の声を上げる。

燕男  竜よ。この地は我らが結社の総本山。如何様な目的があって、ここまで来られたのだ。

GM  ちなみに、顔は普通だけどたくましい体つきで頼りになりそうな雰囲気の男だ。年は20後半から30前半くらいに見える。

ヒスミ  きゅん(笑) 礼儀正しくて勇気があって強そうです。

ユズキ  こいつ・・・手羽先にして食ってやる! ・・・と心の中で。

イングリッド  人のこといえないけど、ヒスミって結構惚れっぽいのね(笑) それはともかく、ウロボロスの毛の隙間から顔を出すわ。

GM  すると、防衛隊の間に動揺が走る。

燕男  ヴァイオラ様? いや、違う。似ていらっしゃるが雰囲気が違う。

イングリッド  私はイングリッドヴァイオラの妹よ。

燕男  おお。あなたがあの・・・。

GM  防衛隊の面子は武器の構えを解く。

燕男  ヴァイオラ様の妹君とは知らず失礼しました。わたくしはロウといいます。イングリッド様のことは、ヴァイオラ様から常々うかがっております。

イングリッド  ちなみに、どんなこと聞いてるの?

燕男→ロウ  え? いや・・・まあ・・・色々と(笑)

イングリッド  ヴァイオラったら、どんなこと周りに吹き込んでいるのよ(苦笑)

ヒスミ  (ニコニコしながら)初めましてロウさん。ヒスミです。

ロウ  イーリス様!? ・・・ではありませんね。失礼しました。上司に雰囲気が似ていたもので。

イングリッド  この子はイーリスの娘さんよ。

ロウ  なんと!? 今日はなんという日なのでしょう。ヴァイオラ様の妹君にイーリス様のご息女様がいらっしゃるなんて。

イングリッド  2人のところに案内してもらえる?

ロウ  分かりました。しかし・・・

イングリッド  何?

ロウ  (小声で)あなた方の強力なアートマの話は、ここでは有名です。隙あらば奪おうという輩は後を絶たないでしょう。できれば刺青はお隠しになられてください。そして、軽はずみな行動はお控えください。

イングリッド  分かったわ。

ヒスミ  マフラー巻いて蝶の痣隠しておくねー。

ユズキ  この人、信頼して大丈夫でしょうか?

カガヤ  悪い人には見えないけどね。

GM  そうだヒスミ。3D6振ってみて。大きい方がいいよ。

ヒスミ  15です。

GM  その判定の意味は後ほど・・・

 

 こうして一行は、ウロボロスを上空で待機させロウの案内でヴァイオラとイーリスが住む部屋へと向かうことに。

 途中、少なくともカガヤとユズキはロウへの警戒を解くことはなかったが、何事もなく表札に「ヴァイオラ」と書かれた部屋の前まで案内された。

 

GM  ロウはヴァイオラの部屋をノックする。すると、中からイングリッドそっくりな声が返ってくるね。

ヴァイオラの声  何? 今私は忙しいの。重要な用件じゃなければ、後にして頂戴。

ロウ  ヴァイオラ様。妹君のイングリッド様がいらっしゃいました。

ヴァイオラの声  何を言っているの。イングリッドがここに来るわけないじゃない。

イングリッド  お姉様。私の声を忘れたの?

GM  数秒の沈黙の後、部屋の中から妙に慌しい音が聞こえる。部屋の掃除でもしているみたいだ。

ヒスミ  押入れに何か隠してます。

GM  んで、しばらくたってから息を切らした女性がドアを開けて中から出てくる。髪をアップにしていること以外は、イングリッドと瓜二つ。

イングリッド  お姉様・・・ずっと・・・ずっと会いたかった・・・

ヴァイオラ  ・・・・・・ふ・・・ふん! (ポーズを取って)研究所を逃げたあなたが、どんな顔してここに来たかと思えば。いきなり泣き顔? それに、ここがどれほどあなたにとって危険な場所かも知ってて?

イングリッド  え?

ヴァイオラ  何も考えてないあたり、相変わらずミジンコみたいな脳みそしているみたいね。

イングリッド  そうだった。お姉様ってこういう性格だった(笑)

ヒスミ  じゃあ、妹が会いに来たのになんてこと言うんですか! って怒る必要はないですね(笑)

ヴァイオラ  ここがどれほど危険かはイーリスに聞けば分かるわ。ロウ。案内してやりなさい。

ロウ  はい。

ヴァイオラ  じゃ、私はやることがありますから。イーリスのところに寄ってきなさい。彼女もきっと喜ぶわよ。

GM  と言って、そそくさと部屋に戻ってドアを閉める。・・・ちょっと視覚判定。

イングリッド以外全員  成功。

GM  じゃあ、ヴァイオラがドアを閉める瞬間。押入れの中から何かが転がり落ちた。

カガヤ  何?

GM  イングリッドの人形。しかもたくさん。

一同  (爆笑)

ユズキ  妹好きを通り越してますねこれは(笑)

ヒスミ  イングリッドのお姉さんは変態さんです(笑)

カガヤ  私は何も見なかったことにするわ(笑)

イングリッド  私は見なくて良かった気がする(笑) ロウ。イーリスのところに案内して。

ロウ  分かりました。

GM  イーリスの部屋に行く途中、そこいら中から敵意や嫉妬、憎しみに満ちた視線を感じる。

イングリッド  私たちのことがばれてる?

ユズキ  そりゃ、あれだけど派手に乗り込めば噂にもなりますよ(笑)

GM  そして、通路の向こう側からきびきびと動くゾンビのような外見の集団が近づいてくる。

カガヤ  あいつらは?

ロウ  ああ。労働用の人造生命ですよ。力は劣りますがゴーレムより簡単に作れて頭も悪くないので重宝しています。アートマの受け入れもできるので、警備員をやっているものもいますよ。

カガヤ  なにも臭い奴を使うことはないのに。

GM  腐って見えるだけで、実際はそうじゃない。臭いはないよ。美観は損なうけどね。その集団は君たちに会釈をしながら去っていった。

イングリッド  普段からあいつらこの辺をうろついているの?

ロウ  いえ。上司から特別な命令をされない限り、持ち場を離れることは無いはずですが・・・

ヒスミ  何か命令された?

ユズキ  僕たちに都合の良いことが起きるとは考えない方がいいですね。警戒だけはしておきましょう。

GM  では、イーリスの部屋だ。

ヒスミ  ちょっと緊張します。どんな顔して合えばいいんだろう?

イングリッド  いつもの笑顔で良いと思うわよ。ヒスミの笑顔はみんなを癒すんだから。(ノックして)イーリス。

イーリスの声  あら? ヴァイオラ? どうしたの?

イングリッド  ヴァイオラじゃないわ。イングリッドよ。メイベルやレベッカ。それに、あなたの娘もここにいるわ。

イーリスの声  ヴァイオラ。そんな冗談、面白くないですよ。

GM  と、言ってヒスミに似た顔の人がドアを開けて出てくる。

ユズキ  似ているって、瓜二つですか? それとも親子レベルでですか?

GM  親子レベル。もっとも、ヒスミの母親にしてはイーリスは若く見えるけどね。背も胸も小さいさいし。

ヒスミ  すでに母親を超えていました(笑)

GM  で、イーリスは驚いた顔でイングリッドたちとヒスミを見る。

イーリス  ・・・まさか、本当にヒスミなの? そして、イングリッド? メイベルにレベッカまで・・・

ヒスミ  (笑顔で)はい! 初めましてお母様。

イーリス  また、生きて会えるなんて・・・夢じゃないのよね? 現実なのよね?

ヒスミ  そうですよお母様。

イーリス  ああ・・・ヒスミ・・・こんなに大きくなって・・・

GM  イーリスはヒスミに抱きついてくる。

ヒスミ  はうぅ・・・会っても実感わかないと思ってたけど、会えて嬉しいよぉ(泣)

ユズキ  よかったですね、お嬢(もらい泣き)

ヒスミ  力いっぱい抱きしめるぅ! ぎゅうううう。

イーリス  ほ・・・本当に力強くなってぇぇ・・・

イングリッド  やめてヒスミ! イーリスが死んじゃうぅ!(笑)

イーリス  (ヒスミから解放されて)ああ・・・でもヒスミ・・・。なんてタイミングの悪いときに来てしまったのでしょう・・・

ヒスミ  どういうこと?

イーリス  そうですね・・・ここで話していると、誰かに聞かれる可能性があります。ヴァイオラの部屋に行きましょう。彼女は《沈黙障壁》が使えるわ。

ヒスミ  わかりました。すぐ行きましょう。

 

№666

GM  では、ヴァイオラの部屋の前。

イーリス  ヴァイオラ。入るわよ。

GM  と、イーリスが部屋を開けると、ベッドの上で鼻血をたらしながら等身大イングリッド人形にハァハァしているヴァイオラが・・・・

一同  ・・・・・・

ヴァイオラ  ・・・・・・

ユズキ  ・・・で、イーリスさん。タイミングが悪いとはどういうことです?

ヴァイオラ  流された!? 無視された!? そんなことされるのが一番気まずいじゃない!

カガヤ  いや、突っ込むのも悪いかなーって(笑)

イングリッド  (部屋中に散らばるイングリッド人形を見て引きつりながら)あの・・・お姉様・・・これは?

ヴァイオラ  《誘眠》! 成功度5!

イングリッド  ぱた。ぐーぐー。

ヴァイオラ  そして《完全忘却》!

一同  (笑)

ヴァイオラ  ・・・ちょっとあなたたち! 人形片づけるの手伝いなさいよ!

ヒスミ  は・・・はい! って、あぁー! 押入れのダンボール倒しちゃった!(PLは笑)

GM  では、イングリッド人形の山が崩れ落ちる。

ヴァイオラ  何やってんのよ! イングリッドが起きちゃうでしょ!

カガヤ  大声出しても起きるわよ(笑)

ヴァイオラ  そ・・・そうね。ゆっくり静かに片づけましょう・・・

 

 こうして、イングリッドを除く一行は、半刻(45分)近い時間をかけてヴァイオラの部屋のイングリッド人形を片づけた。

 

イングリッド  (目を覚まして)うーん・・・なにか、さっきすごく嫌なものを見た気が・・・

ヴァイオラ  き・・・気のせいよ。(ポーズを取って)まったく、疲れで倒れるほど動いているなんて、子どもよねぇ。

ヒスミ  取り繕うのに必死になってます(笑)

イングリッド  今の眠りって疲れとは違った気もするけど・・・

ヴァイオラ  それすら分からないところが子どもだっていうのよ。まったく。やっぱりあなたは私がついていないとだめみたいね。

イングリッド  ・・・ああ、本当にヴァイオラだ(苦笑)

ユズキ  そろそろ本題に入りませんか?

ヴァイオラ  そ・・・そうね。部屋全体に《沈黙障壁》をかけるわ。

イーリス  お茶の準備はできていますから、ゆっくり話しましょう。

ヒスミ  わーい。お茶菓子食べるぅ。

イーリス  たくさん食べてねヒスミ。クッキーは私の手作りだから。

ヒスミ  おいしー。お母さんの味だぁ。あむあむ。

イーリス  本当は、もっと積もる話がしたいのですが・・・時間がありません。

イングリッド  それで、イーリス。タイミングが悪いってどういうこと?

イーリス  ミロク・・・結社の現トップの計画に必要な手駒が少なくなっているのよ。8騎士という大幹部たちがいたのですけれど、2人が殺され2人が行方不明。1人が「飽きた」と言って8騎士を抜けたのよ。

イングリッド  抜けたのは、イザヨイ?

イーリス  あら? 彼を知っているの?

イングリッド  ええ。色々あってね。話したのは少しだけだけど、飽きたから抜けるなんてイメージ通りだわ(笑)

ヒスミ  イザヨイさんからは剣をもらいました。

ユズキ  お嬢、そんな剣さっさと捨てちゃいましょうよ。

ヒスミ  できません。イザヨイさんからのプレゼントなのです。

イングリッド  イザヨイだけじゃなくて、弓矢、槍、盾、鉄球は私たちの目の前で倒れて行ったわよ。

ヴァイオラ  あなたたちがあいつらを倒したというの?

ユズキ  いえ。かくかくしかじかというわけで、僕たちは見ていただけです(笑)

ヒスミ  そうだ。お母様たちは銀龍という人を知っていますか?

イーリス  いえ。

ヴァイオラ  とにかく。ミロクの言う「新しい世界」を手に入れるためには今の結社は戦力不足。ウロボロスや、イーリスと別系統の月光蝶のアートマが近くにあると知れば、奴は必ず奪いに来るわ。そして、それほど強力なアートマを外すことは、本人の命にも関わることよ。

ロウ  ついでに、ヒスミ様はさきほど痣と言っておられましたが、ミロク様からしてみれば痣でも刺青でも力があれば関係ないと思います。

ヒスミ  はう?

イングリッド  お姉様とイーリスは、何故ミロクに従っているの?

ヴァイオラ  そんなの。私の勝手でしょう。

イーリス  私の力は逃げるには向いていないだけです。ヴァイオラは、自分がここに残って協力することで、ミロクが逃げた仲間を執拗に追うことを止めていたの。

ヴァイオラ  イーリス。余計なことは言わなくていいのよ。

イングリッド  相変わらず、お姉様は身勝手ね(苦笑)

ヴァイオラ  ふん。

イングリッド  でも、私も身勝手な女よ。ヴァイオラともイーリスとも、あの時逃げられなかった他のみんなや、はぐれたみんなとまた一緒に暮らしたい。誰かの駒になってじゃなくてね。

ヒスミ  そうです。私はお母様を連れて家に帰ります。

イングリッド  そのためにミロクが邪魔なら、ミロクを倒す!

ヴァイオラ  簡単に言うけど、ミロクは強いわよ。個人の戦闘力だけじゃなくって、組織力も財力も。

ユズキ  組織力と財力に関しては頭を潰せばいいので、ここで重要なのは個人の強さですね。

カガヤ  ミロクのアートマは?

イーリス  未知数よ。まだ完全覚醒はしていませんけれども、片鱗だけで様々な能力を持っているわ。

イングリッド  何の刺青してるのよ。

イーリス  6対13枚の翼です。

イングリッド&ユズキ  ぎゃー!

カガヤ  え? 何なの?

ユズキ  ルシファーです。

ヒスミ  げ。

イーリス  創造神から知恵の炎を盗んだ蛇とも、悪魔王の姿とも、異界の大魔王とも言われている現存する最強のアートマです。

イングリッド  どこで手に入れたのよ。そんなアートマ。

ヴァイオラ  ヒンメルお母様が置いていったのよ。

イングリッド  さすがはお母様(笑)

ユズキ  なぜ、そいつの名前がミロクなんです?

イーリス  被験体№666。3つの6だからミロクと、自ら名乗ったそうよ。

イングリッド  イザヨイと同じか(笑)

カガヤ  イザヨイといえば、8騎士もあと3人いるんだっけ?

ヴァイオラ  1人は私よ。それに、残りのメイスンとアクセラはミロクのことを嫌っているから、奴につくことはないと思うわ。

ユズキ  意外と人望無いんですね。

イーリス  8騎士は我が強い人たちが揃っていますからね。8騎士ほどでないにせよ、強力なアートマを持った者がミロクの配下には何人もいます。

ユズキ  やっぱり頭を潰すしかないでしょうね。

イングリッド  そのための勝利の鍵はウロボロスキャノン!

GM  また安易なネーミングを(笑)

イングリッド  うるさいわよ(笑) ただ、ウロボロスキャノンをどうやって命中させるかね。

イーリス  確かに。あれを直撃させれば、覚醒していないミロクなら耐えられないでしょう。

ユズキ  そういえば、イーリス様のアートマはどのようなものなのです?

イーリス  潜在能力の解放です。

GM  ルール的に言えば、1人のCP総計を50ほど上昇させられる。ただし、1人に対しては一生に1回しか使えず、なぜか刺青持ちには効果がない。しかも発動させるには6時間の儀式が必要。

カガヤ  老界王神

GM  モデルはそれ。ぶっちゃけ言えば刺青ありのPCと無しのPCの差を埋めるための能力だと思いねぇ。

イングリッド  なるほどね。

ユズキ  今回は時間もありませんし、あまり状況打破には使えなさそうですね。

ヒスミ  やっぱりウロボロスキャノンを使いましょう。

イングリッド  問題は命中率ね。ウロボロスに心で話しかけることってできたわよね?

GM  うん。

イングリッド  じゃあ、話しかけるわ。人間サイズに当てる場合、ウロボロスキャノンの目標値はいくつ?

ウロボロスの声  6だぜぇ。それに、距離修正が加わるな。ついでに言うと正確さは+1だ。

ユズキ  思い切り狙って全力攻撃で目標値10ですか・・・。少しでも距離が離れていると当たりませんね。

カガヤ  それでもこの世でもっとも強靭な一族の末裔か!(笑)

ウロボロスの声  そう言われてもなぁ(苦笑)

カガヤ  《すばやさ》をかけるとか?

GM  大きな目標が対象の場合、呪文の消費はそれに応じてバカみたいに大きくなるよ。ウロボロスの場合サイズ修正+7だから、7倍消費だね。

イングリッド  パワーストーンがあれば、1点はかけられるか・・・

ユズキ  (距離修正表を見ながら)一直線3ヘクスに有効な攻撃ですから、「大まかにこのあたりを狙う」を宣言すれば+4。でも、15じゃあ10メルー以上離れると目標値は厳しくなる・・・

カガヤ  飛び道具のことは飛び道具使いに任せるのが一番ね(笑)

ユズキ  なんとか至近距離で30秒集中する方法・・・そうだ!

ヒスミ  あ、ユズキがひらめきました!

ユズキ  ヴァイオラさん。あなたのアートマは空間をつなげる門だと聞きました。

ヴァイオラ  ええ。そうだけど? 発動させるには30秒ちょっとの集中がいるわ。

ユズキ  集中時間がそれなら問題ありません。門のサイズは?

ヴァイオラ  最大で直径10メルーは作れるわね。

イングリッド  (手を叩いて)そうか!

ユズキ  はい。ミロクの真後ろに門の出口を作って、至近距離からウロボロスキャノンを叩き込みます! これなら《すばやさ》も含めて目標値は16!

イーリス  なるほど。

ユズキ  《透明な目》や《精神感応》は、誰か使えますか?

ヴァイオラ  私を誰だと思っているの? 両方使えるわよ。

イングリッド  さすがはお姉様。ちょっと悔しいわ。

イーリス  私も《透明な目》は使えます。

ユズキ  一方が気付かれてもいいように、2人で《透明な目》でミロクの様子を探っていてください。《精神感応》でヴァイオラさん、イーリスさん、ウロボロスの意識を共有させて門が開く前から狙いを付けられるようにします。そして、門が開いた瞬間ウロボロスキャノンを発射してください。

ヴァイオラ  面白そうね。やってみる価値はあるわ。

ヒスミ  姉妹のアートマ合体技です!

イングリッド  そうね。絶対成功させましょうお姉様!

ヴァイオラ  ええ!

GM  「瞬間移動ウロボロスキャノン」と名づけよう。

イングリッド  いや、もうちょっとマシな名前考えてよ。私が言えた義理じゃないけどさ(笑)

ユズキ  もし失敗したら、即座に門を閉じてウロボロスに乗って逃げます。

イングリッド  分かってるわ。

GM  その時、ヴァイオラの部屋のドアが乱暴に叩かれる。ノックと言うより、壊そうとしているみたいだね。

ヴァイオラ  ふん。イングリッドのアートマにたかる蝿どもが来たようね。窓から逃げて今の作戦実行に移すわよ。ミロクが死ねば組織内が混乱するだろうから、その隙に逃げることも容易いでしょう。

ユズキ  この作戦。30秒強の時間が必要です。ウロボロスが大きいので、ある程度広い場所で行わないと。

イーリス  水晶連峰の麓に、開けた場所があります。そこでウロボロスと合流したいので、呼んでおいてください。

イングリッド  分かったわ。

ヒスミ  私たちは?

ヴァイオラ  イーリスが《空飛ぶ絨毯》を使うわ。それに乗っていきましょう。悪いけど、メイベルの車椅子は重いから置いて行くわ。

イングリッド  仕方が無いわね。

ユズキ  今のうちに《透明な目》を使うことを忘れないで下さいね。

ロウ  私は信頼の置ける部下を連れて、あなたたちの援護に回ります。

ヒスミ  お願いね。

ユズキ  ・・・けっ!

 

 一行はロウを置いて作戦を開始するため水晶連峰の麓へと向かった。

 

イングリッド  作戦はかくかくしかじか。やってくれるウロボロス

ウロボロス  もちろんだぜぇ。

GM  そう言うと、ウロボロスは8の字型を解き、鎌首をもたげる。

ウロボロス  じゃ、準備開始と行くかぁ!

イングリッド  ヴァイオラもお願いね。

ヴァイオラ  言われなくても分かっているわ。

GM  と、その時上空に無数の影が!

ヒスミ  ロウさんの部下?

GM  いや。君たちのアートマを手に入れようと企む連中だ。飛行可能な奴につかまって口々に「いたぞー」「殺せー」「奪えー」って叫んでるから。そいつらの何人かは地上に飛び降りてくるね。サイコロ1個を2回と2個を1回振って。

ヒスミ  6と3と9です。

GM  うむ。ならば飛び降りてきた数はゾンビのような人造生命が6体。それに、大男が1人。そいつらは刺青を光らせて変身する。

イングリッド  全員アートマ持ちか!

GM  6体の人造生命は、虎とか蟷螂とか薔薇とか色々。ぶっちゃけ、全員データ共通だから外見はイメージのみ。

一同  (笑)

GM  大男は身長3メルー越えのマンモス頭の怪人へと変身する。

イーリス  ヒスミ、イングリッド、集中が終わるまで時間を稼ぐわよ。

ヒスミ  はい!

GM  上空ではロウとその部下たちがやってきて、降下部隊や上空の射撃部隊を牽制している。

ヒスミ  ロウさーん。がんばってー!

ユズキ  ポイント稼ぎなんかしやがって・・・

イングリッド  上空からの飛び道具攻撃が無いのはありがたいわ。

GM  さて。戦闘開始だ。上空部隊と月、イーリスは他の場所で戦っているから、君たちは目の前の7体を相手にしてくれ。

一同  了解。

 

 第1ターン

 レベッカは変身。カガヤとヒスミは武器を構え前に出て待機。なお、長期戦の可能性があるため、ヒスミは疲労の大きな魔剣を使わずいつもの大太刀を抜いた。

 ユズキは「陽光撃弾」で怪人A(カミキリムシ)にダメージを与える。

 イングリッドは《騒霊》を「爆発」の霊薬にかけ敵の中心に狙いをつける。

 怪人たちは鋭い爪や鎌状の腕、ギザギザのトゲ、鋭い牙などを構えて接近してくる。

 そして、敵が間合いに入った第2ターン

 

GM  むう・・・目の前の怪人C(薔薇怪人)がじゃまだ。マンモス男は待機しよう。

カガヤ  奥義「血車」! ダメージは6点!

レベッカ  「後ろ回し蹴り」で4点よ。

ヒスミ  脳を狙って14てーん!

一同  (どよめく)

GM  一刀両断にされたー!(泣)

カガヤ  怖いわね、この子(笑)

ユズキ  重要器官があるかどうか分かりませんが、狙ってみましょう。当たって8点。

GM  実は変身前なら人間と同じ重要器官があったんだけど、変身後には移動してるんだなこれが。知りたければ動物学か植物学ね。または自然知識-3。今のは普通に胴体命中扱い。

ユズキ  都会育ちですから動物とか詳しくないのですよ(笑)

 

 この攻撃で怪人A(カミキリムシ)と、怪人B(虎)のHPが死亡ダメージに突入。所詮魔法生物である彼?らはそれで活動を停止する。

 イングリッドは味方に被害が及ばないよう、油が飛び散るよう改良された「爆発」の霊薬を飛ばし、マンモス男に命中させるが・・・

 

マンモス男  はっはー! わしの硬い皮膚がこの程度の炎で焼かれるものか!

イングリッド  ちっ! 思ったとおりこいつは結構強いわね。

 

 そして敵怪人達の反撃がはじまる。

 

GM  防御判定めんどくさいし、こいつら使い捨てだから常に全力攻撃を行おう。

一同  ぎゃー!

GM  まずはカガヤに怪人Cが(コロコロ)あ、クリティカル。

カガヤ  ええ!?

GM  特別な効果は無しで、ダメージも低いや。5点の切り。

カガヤ  ヘビーレザーしか着てないから、それでも結構痛い。

GM  追撃は(ころころ)あ、ファンブルファンブル表は「武器を落とす」だから、腕を怪我した。

一同  (笑)

 

 他の怪人D(バッタ。透明な羽を刃にして攻撃)E(猿。手と一体化した剣で攻撃)F(カマキリ。鎌状の腕で攻撃)の攻撃も、クリティカルかファンブルかのいずれかを必ず出してしまうと言うなにやらすごい結果に。

 この派手なのか地味なのか分からない攻撃により、ヒスミも傷を負った。

 

カガヤ  今日のGMの出目、怖い!

イングリッド  もしマンモス怪人の攻撃がクリティカルヒットしたら、ただじゃすまない気がするわ。

 

 そして・・・

 

マンモス男  ふはは。道が開いたな。喰らえ裏切り者の犬女! 我が必殺のビッグタクスを!

ユズキ  あ、こいつマンモスマンか。

GM  なお、この攻撃はインペイラーチャージと同様に扱うから、「受け」でも跳ね飛ばされるよ。*2

レベッカ  とは言え、「よけ」は心もとないから「受け」るわ。成功。

GM  よし。衝撃ダメージは7点で、転倒判定の体力判定は・・・ありゃ2成功?*3

レベッカ  こっちはクリティカル。10成功よ。

GM  げ? ならばこっちが転ばされた。

ユズキ  今のは、相手の勢いを利用して転倒させる合気の極意!(笑)

ヒスミ  レベッカさん、いつの間にあんな技を?(笑)

マンモス男  ばかな!? このわしが犬っころごときに地を舐めさせられただと!?

レベッカ  私は狼よ。組織の狗と成り下がった奴には負けないわ。

ヒスミ  レベッカさんカッコイイです!

GM  第3ターンだね。レベッカからどうぞ。

レベッカ  反撃のダメージは3点(泣) 加速モードの二度目の蹴りも4てん・・・

ユズキ  レベッカさん。賽の目いいですね(笑)

レベッカ  うるさいやい(泣)

ヒスミ  レベッカさん面白いー(笑)

 

 ユズキは「大治癒弾」でヒスミを癒す。カガヤは怪人Cの喉と思しきあたりを切り裂き、怪人Cも行動不能に。

 

ヒスミ  今度は怪人Dの喉狙って17てーん!

GM  あああ、介錯されちまったよ・・・

イングリッド  絶好調ねヒスミ。

ヒスミ  お母様が見ていますから(にっこり)

イーリス  恐ろしい子・・・(笑)

カガヤ  自信無くしちゃうなぁ(笑)

 

 マンモス怪人は膝立ちになり、怪人Eの攻撃はファンブル。ヒスミを切ろうとしてバランスを崩した。そしてFの攻撃はヒスミの大太刀が受け流した。

 イングリッドは、初期から持っていたが使う機会の無かったネットを構える。

 その後しばらく膠着状態が続くが6ターン目にユズキの「陽光撃弾」は怪人Eを焼き貫き、残ったFはヒスミの大太刀で胴を両断された。

 カガヤはマンモス男にかすり傷を負わせ続けている。

 レベッカは・・・

 

レベッカ  「回し蹴り」が2回とも当たって、ダメージは5点と4点・・・どうしてさっきからこんなにダメージ低いのー!

マンモス男  はっはー! 何が狼だ。まるで猫がじゃれている程度にしか感じんわ!

ヒスミ  さっきは転ばされてたけどねー。

マンモス男  ええいうるさい! 俺様の豪腕が生み出すパンチを喰らうがいい! 右ストレートでぶっ飛ばす真っ直ぐいってぶっ飛ばす!

レベッカ  あ、クリティカルで「受け」た。相手は転ぶってさ。

マンモス男  また犬っころに転ばされるのか俺様ー!

一同  (爆笑)

イングリッド  決め技が無いあたり、本当に合気ね(笑) じゃあ、私は十分に狙いつけたし《騒霊》でネットを投げるわね。命中。

GM  あ、よけられんかった。マンモス男は大型のネットに絡め取られる。

マンモス男  ま・・・待て! 降参する!

ユズキ  (銃口を向けて)では、変身を解いてこちらに来てください。

マンモス男  わ・・・分かった。

ユズキ  油断しているところに、脳天に「火炎弾」を叩き込みます。第2派が来た時、後ろで変身して暴れられたらたまりませんからね。

GM  (実際、そのつもりだったんだけどね。)OK。変身中ならともかく、変身前ならそれで死ぬ。

イングリッド  賢明な判断よ。

カガヤ  この子たちも、ずいぶんとシビアな考え方するものね(苦笑)

ヒスミ  綺麗事だけじゃ裏社会は渡っていけません(にっこり)

GM  さて、先行部隊が10秒と持たず全滅したのを見て、第2派は浮き足立っている。だれか2D6振って。

ヒスミ  9です。

GM  次に降りてくるまで、しばらく時間がありそう。マンモス男を片づけたユズキ以外は、霊薬のむ時間くらいはあるよ。

 

 イングリッドは「治癒」の霊薬でFPを回復させ、ヒスミは「筋力」カガヤとレベッカは「戦士」でドーピング。

 飲み終わったタイミングで、第2派が降下してきた。

 

GM  降りてくる途中に、ロウたちに何人かやられた。生き残ったのは3人。バッファロー男とサイ男。それにゾンビ型人造生命の変身するクワガタ怪人だ。バッファローとサイは、角による突進と豪腕が武器っぽいね。

ヒスミ  それって、前のマンモス男と何が違うの?

GM  外見。

ヒスミ  だめじゃん(笑)

 

 しかも・・・

 

ヒスミ  フェイント効いてるんだよね? 全力攻撃で2回頭狙って18点と20てーん。

GM  げ? 死亡判定ファンブル? 防護点6、HP30点の化け物が即死したよ・・・

カガヤ  目を狙って7点の「刺し」ね。

GM  こっちも1撃気絶かよ(泣)

 

 接近、フェイント、攻撃の3ターンで倒されました(しくしく)

 残る怪人も次のターンには倒されてしまう。

 

GM  おかしい・・・こいつらかなりの強敵のはずなのに・・・。上空の敵部隊は、「おのれ! どちらが化け物だかわかりゃしない!」とか「ビッグフェイスを呼べ!」とか叫んでいる。

ユズキ  げ? ビッグフェイスってそれこそかなりの強敵ですよ。

ヒスミ  どうしよう?

イングリッド  戦うしかないでしょう。

GM  さて、何秒後にビッグフェイスが到着するかサイコロで決めてもらおうか。10以上がでればビッグフェイス到着前にウロボロスキャノンが発射される。

ユズキ  お嬢、頼みましたよ。

ヒスミ  出目が悪くても恨まないでね。(気合を込めて)てい! やた11!

イングリッド  よし! あの者どもを焼き尽くせ!(笑)

GM  ならば、ビッグフェイスが到着するとほぼ同時に、ヴァイオラのゲートが開かれる。そこに向かって、ウロボロスが極大光線をぶっ放す! イングリッド。命中判定。

イングリッド  よし、命中!

ミロク  なんだ?

GM  門の向こうで座禅を組んでいたミロクは気付いたみたいだが回避する余裕がなかった。次はダメージだ。低いと耐え切る可能性があるよ。

イングリッド  さすがに100個も振るのは面倒だから、サイコロ10個を10倍にして(大量のサイコロを振り)ダメージは期待値より少し低くて340点!

GM  本部の上階全てと共に、ミロクは消し飛んだ。本部の方から天に向かって昇る光を見て、上空の部隊にも混乱が走る。

イングリッド  まだ。ゲートを通ってミロクを見るけど?

GM  人体発火現象の被害者のように、足首から下は残っている(座禅組んでいてどうやって足首だけ残ったのかとか言う突っ込みは不許可)。そこから徐々に再生を始めているみたいだね。

イングリッド  化け物が・・・。炎の腕輪の力で《聖火》を作って焼き尽くす。

GM  さすがに足だけじゃ、光の衣の防護点はないかな。OK。ミロクは聖なる炎に焼かれて消滅した。それまでしばらく時間はかかるけど、ミロクと同じ部屋にいた奴は衝撃の余波で消滅したし、本部の上階が消し飛んだのでミロクの様子を見に来れるものもいないから多少は時間がかかっても大丈夫。

イングリッド  これで良し!

GM  しかし、見晴らしの良くなった本部上空を漆黒の翼が横切った。

イングリッド  まさか、銀龍? (ゲートを抜けて)お姉様! ゲートを閉めて! 早く!

ヴァイオラ  え? ええ。

ユズキ  イングリッドさん。どうしました?

イングリッド  みんな、早くウロボロスに乗って! 奴が・・・銀龍が来たわ。

ヒスミ  えぇー!

カガヤ  銀龍ってあなたたちが言っていた奴よね? なぜこの場所が?

ユズキ  名前からして銀龍姫とつるんでいるのは間違いないでしょう。火竜山の研究所で、影の狼がおじいさんとの話を聞いていたのかもしれません。

イングリッド  とにかく速く逃げるわよ。銀龍の攻略法は今のところ無いわ。そもそも奴の能力が何なのかも分かってないんだから。

GM  しかし、少しは落ち着きを取り戻した結社のメンバーが、ビッグフェイスに「奴らを逃がすな」と命令する。ビッグフェイスは動き出すね。

イングリッド  ちっ!

ヒスミ  ビッグフェイスが近づく前に逃げるよー!

GM  だが、次の瞬間ビッグフェイスは命令を出した男ごと細切れにされる。そして、崩れたビッグフェイスの前に立っているものは・・・

カガヤ  あいつが銀龍? ザインにそっくりじゃない。

イーリス  おや? あの胸の文様は・・・

イングリッド  え?

GM  イーリスに問う前に、銀龍は相変わらず男とも女とも分からない微妙にエコーのかかった声でしゃべりだす。

銀龍  ミロクは消えたか・・・奴のアートマは、我が目的に必要なものだったのだがな・・・。

ユズキ  だったら、どうします?

銀龍  <無限竜><次元竜>月光蝶らの力で・・・代用する・・・

ユズキ  「拡散陽光撃弾」を撃つ!

GM  次の瞬間、3条の光は全て同時に弾き飛ばされた。どうやってはじかれたかも分からない。

ユズキ  全て同時って・・・どうしてそんなことが可能なのでしょう?

GM  PL的には推測ついてるだろ(笑)

イングリッド  ウロボロス! 早く逃げて!

ウロボロス  高速飛行形態に戻るにはもう少し時間が・・・

銀龍  逃さん・・・

GM  銀龍が剣を構えようとした瞬間、上空から燕の羽が雨のように降り注いできた。

ロウ  ヒスミ様! 早くお逃げください!

ヒスミ  ロウさん!

GM  ロウは銀龍に向かって羽の弾丸を飛ばす。しかし、次の瞬間にはいつのまにか目前にまで接近していた銀龍に斬られ、血しぶきを上げ絶命する。

ヒスミ  ロウさん!

GM  それと同時にウロボロスも飛行形態になり、超スピードで上空へ逃げる。

イングリッド  (額をぬぐって)ふぅ・・・

ヒスミ  ロウさん・・・

ユズキ  彼の犠牲を無駄にしないためにも、僕たちは生きましょう。

ヒスミ  そうだね・・・。でも、きっと帰ってきてお墓つくろうね。

ユズキ  ・・・そうですね。(心の中で)くくく。これで1人ライバルが減った。

一同  (苦笑)

カガヤ  それで、これからどうするの? 身を隠すことはできるだろうけど、さっきの奴から長い間逃げ続けることなんてできる?

イングリッド  まず、奴が何者なのか知りたいわね。イーリス。さっき何か言いかけてたみたいだけど?

イーリス  ええ。彼の胸の文様。あれはたしか、フュージョンのアートマを使った者に現れる文様だったはずです。

ユズキ  え?

イングリッド  じゃあ、銀龍ってひょっとして・・・

ヒスミ  ザインと銀龍姫がフュージョンした姿!?

 

 母や姉と再会し、世界征服を企む?魔人ミロクを滅ぼした一行。

 しかし、謎の能力を使い<悪魔>騎士やビッグフェイスをも瞬殺した、ザインと銀龍姫の融合体(推定)「銀龍」

 風雲急を告げるGURPSルナル極道剣士剣風録篇、次回、最後の戦いが始まる・・・

 

ヒスミ  そういえば、ロウさんと会った後の判定って何だったの?

GM  反応判定。あれで「最高」がでたから、ウロボロスの防衛戦で積極的に協力したり、銀龍相手に特攻かけたりしたの。

イングリッド  1人の男に命をかけさせるなんて、ヒスミ・・・なんて恐ろしい子(笑)

ヒスミ  僕もお嬢のためなら死ねます。

ヒスミ  ユズキは死んじゃダメー!

イングリッド  この子、私以上に男泣かせかもしれないわね(笑)

 

次回に続く

 

*1:ジェノサイド&ゴブリンズという、所属していたTRPGサークルが独自で作ったゲームの話。賢者が知識判定に失敗するとビームを放ち、知らないものをこの世から消滅させてしまう。

*2:ハウスルールで、インペイラーチャージを「受け」「止め」た場合は、体当たり時の転倒処理を行うようにしている。ガープスユエルの公式のものではない。

*3:体当たりの処理自体は第3版のものを使用。高いほうの上限は16となるルールも採用している。